特許第6099284号(P6099284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6099284リングファイル用シート体及びリングファイル用パンチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099284
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】リングファイル用シート体及びリングファイル用パンチ
(51)【国際特許分類】
   B42F 3/00 20060101AFI20170313BHJP
   B42F 13/00 20060101ALI20170313BHJP
   B26F 1/32 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   B42F3/00
   B42F13/00 Z
   B26F1/32 H
   B26F1/32 N
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-548106(P2015-548106)
(86)(22)【出願日】2015年4月8日
(86)【国際出願番号】JP2015061018
(87)【国際公開番号】WO2015156332
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2015年10月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-80175(P2014-80175)
(32)【優先日】2014年4月9日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512271468
【氏名又は名称】河村 千鶴子
(74)【代理人】
【識別番号】100110560
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 恵三
(72)【発明者】
【氏名】河村 千鶴子
【審査官】 櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0152421(US,A1)
【文献】 特開平11−115364(JP,A)
【文献】 実開平03−125342(JP,U)
【文献】 特開2006−289552(JP,A)
【文献】 特開2011−218593(JP,A)
【文献】 特開平11−010596(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3032469(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00−23/00
B42D13/00
B26F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リングファイルに綴じるルーズリーフ、クリアポケットその他のシート体であって、当該シート体の端辺近傍の標準規定位置に設けられたリングファイルのリングを通す標準リング穴と、当該標準リング穴に対して前記端辺に略平行方向に設けられ且つ前記リングが通る移動リング穴と、前記標準リング穴と移動リング穴とを連結する切断部と、からなる可動穴を備え、
前記可動穴は、前記標準リング穴及び移動リング穴にそれぞれ開口すると共に前記切断部に収斂する導入部を有すると共に、
前記可動穴は、前記切断部を前記標準リング穴と移動リング穴との接線に沿って且つ前記標準リング穴と移動リング穴との中心同士を接続する直線から長辺端縁方向又はその反対方向にずらして設けることで当該標準リング穴と移動リング穴との間にリングが容易に移動しないようにするためのフラップを形成することを特徴とするリングファイル用シート体。
【請求項2】
穿孔することでリングファイルに綴じるルーズリーフ、クリアポケットその他のリングファイル用シート体とするパンチであって、
当該シート体の端辺近傍の標準規定位置にリングファイルのリングを通す標準リング穴と、当該標準リング穴に対して前記端辺に略平行方向に位置するように且つ前記リングを通す移動リング穴とを穿孔する一対の丸刃と、
前記標準リング穴と移動リング穴とを連結する切断部を、前記標準リング穴と移動リング穴との中心同士を接続する直線から長辺端縁方向又はその反対方向にずらして形成する線刃と、
ハンドルにより丸刃及び線刃を昇降動作させる昇降機構と、
を備えたことを特徴とするリングファイル用パンチ。
【請求項3】
リングファイルに綴じるルーズリーフ、クリアポケットその他のリングファイル用シート体に用いるパンチであって、
当該シート体の端辺近傍の標準規定位置に設けられたリングファイルのリングを通す標準リング穴に挿通するガイド体と、
前記標準リング穴に対して前記端辺に略平行方向に位置するように且つ前記リングを通す移動リング穴を穿孔する丸刃と、
前記標準リング穴と移動リング穴とを連結する切断部を、前記標準リング穴と移動リング穴との中心同士を接続する直線から長辺端縁方向又はその反対方向にずらして形成する線刃と、
ハンドルにより前記ガイド体、丸刃及び線刃を昇降動作させる昇降機構と、
を備えたことを特徴とするリングファイル用パンチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングファイルに複数綴じて閲覧等を行うルーズリーフ等のリングファイル用シート体及びこのリングファイル用シート体を形成するためのリングファイル用パンチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
所謂リングファイルは、パンチにより端縁近傍に所定寸法及び間隔で穴をあけた書類を留めていく文具であり、現在広く普及している。リングファイルは、綴じた書類をめくり易いため、閲覧に適したものと言える。また、リングファイルは、書類の分類、整理、持ち運び、保管等の多種の用途で用いられる。
【0003】
現在、様々な形式のリングファイルが提供されており、例えば特許文献1に示すようなリングファイルも開示されている。このリングファイルは、見本帳の端部に溝を設けた構成であり、この溝は端縁から入口が端縁に垂直方向に形成され、直角に曲がり(垂直案内通路)、先端でリング穴に結合した形状である。このリングファイルに多数の見本帳をリングで綴じた後、所望の一枚の見本帳1を外したいときには、その見本帳をリングに対して上方に移動させ、垂直案内通路に沿って移動させ、さらに見本帳を横方向に引っ張ることで見本帳をリングから取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−171285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリングファイルは、綴じた書類を閲覧した後、リングファイルを閉じてしまうと、どこまで閲覧したか分からなくなるという問題点がある。また、従来から特許文献1に記載のリングファイルのような様々な形式のリングファイルが提供されているが、閲覧した書類が分かりやすい構造のリングファイルは未だ提供されていない。本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のリングファイル用シート体は、リングファイルに綴じるルーズリーフ、クリアポケットその他のシート体であって、当該シート体の端辺近傍の標準規定位置に設けられたリングファイルのリングを通す標準リング穴と、当該標準リング穴に対して前記端辺に略平行方向に設けられ且つ前記リングが通る移動リング穴と、前記標準リング穴と移動リング穴とを連結する切断部と、からなる可動穴を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のリングファイル用シート体は、上記発明において、前記可動穴は、前記標準リング穴及び移動リング穴にそれぞれ開口すると共に前記切断部に収斂する導入部を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のリングファイル用シート体は、上記発明において、前記可動穴は、前記切断部を前記標準リング穴と移動リング穴との接線に沿って設けることで当該標準リング穴と移動リング穴との間にフラップを形成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のリングファイル用パンチは、穿孔することでリングファイルに綴じるルーズリーフ、クリアポケットその他のリングファイル用シート体とするパンチであって、当該シート体の端辺近傍の標準規定位置にリングファイルのリングを通す標準リング穴と、当該標準リング穴に対して前記端辺に略平行方向に位置するように且つ前記リングを通す移動リング穴とを穿孔する一対の丸刃と、前記標準リング穴と移動リング穴とを連結する切断部を形成する線刃と、ハンドルにより丸刃及び線刃を昇降動作させる昇降機構とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のリングファイル用パンチは、リングファイルに綴じるルーズリーフ、クリアポケットその他のリングファイル用シート体に用いるパンチであって、当該シート体の端辺近傍の標準規定位置に設けられたリングファイルのリングを通す標準リング穴に挿通するガイド体と、前記標準リング穴に対して前記端辺に略平行方向に位置するように且つ前記リングを通す移動リング穴を穿孔する丸刃と、前記標準リング穴と移動リング穴とを連結する切断部を形成する線刃と、ハンドルにより前記ガイド体、丸刃及び線刃を昇降動作させる昇降機構とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係るリングファイルのシート体の一部を示す平面図である。
図2図1のシート体をリングファイルに綴じた状態の一部分を示す説明図である。
図3】可動穴6の変形例を示す説明図である。
図4】実施の形態1に係るシート体の変形例を示す説明図である。
図5】本発明の実施の形態2に係るシート体を示す平面図である。
図6図5に示したシート体の変形例を示す説明図である。
図7】本発明の実施の形態3に係るシート体を示す平面図である。
図8図7に示したシート体の使用状態を示す説明図である。
図9】本発明のシート体を形成するためのパンチを示す構成図である。
図10】パンチに用いる刃を示す説明図である。
図11】パンチに用いる刃の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るリングファイルのシート体の一部を示す平面図である。図2は、図1のシート体をリングファイルに綴じた状態の一部分を示す説明図である。このリングファイルのシート体100は、紙、ビニール、樹脂、革等のシート状の薄厚部材により構成される。以下、本発明のシート体100の例として、2穴式のルーズリーフを挙げて説明する。ルーズリーフ100の一端部には、リングファイルのリングRを通す標準リング穴1が形成される。この標準リング穴1は、当該ルーズリーフ100を綴じるリングRファイルのリングR間隔と同じ間隔で形成される。
【0013】
標準リング穴1に対して前記ルーズリーフ100の端辺に略並行する方向に、更に移動リング穴2がもう一つ形成されている。図1の例では、リング穴1,2は合計4個となり、各リングRに対して1組のリング穴1,2が対応することになる。図1に示すように、標準リング穴1と移動リング穴2の組は、直線的な溝状ないし矩形切欠き状の切断部3により連結している。前記切断部3は、幅が0.1mm〜4mm程度であるのが好ましい。これは、リングRが一方のリング穴1,2に入っているとき、勝手にルーズリーフ100がずれないように固定するためである。
【0014】
また、前記切断部3は、標準リングRと移動リング穴2の接線のごとく設けられる。即ち、リング穴1,2の中心同士を接続する直線ではなく、この中心から一方向(ルーズリーフ100の長辺端縁方向又はその反対方向)にずらして設けられる。次に、切断部3とリング穴1,2との結合位置には、リング穴1,2から切断部3にリングRが移動しやすくするための導入部4が形成されている。この導入部4は、楔形状ないし三角形であり、一辺がリング穴1,2に対して開口するように、先端が切断部3に一致するように形成される。換言すれば、導入部4はリング穴1,2の一部から切断部3まで切り込まれて形成される。一方、リング穴1,2、切断部3、導入部4により標準リング穴1と移動リング穴2との間にフラップ5が形成される。
【0015】
なお、上記リング穴1,2、切断部3及び導入部4を可動穴6と総称する。
【0016】
このフラップ5は、標準リングRが移動リング穴2とリング穴1,2との間を通るとき、ルーズリーフ100の紙面に略垂直方向に動いてリングRの移動を可能とし、リングRが移動し終わったら元に戻り、リングRが一方のリング穴1,2から容易に移動しないようにする。これは、リングRを一方のリング穴1,2に位置を固定する効果がある。特に、このフラップ5に対して補強するシール等を貼り付けることで、フラップ5の強度を調整できる。例えば、図3に示すように、フラップ5と相似形状の専用の補強用シール5aをユーザが適宜貼り付けることでフラップ5の強度を調整できる。また、予め補強用シール5aを貼り付けておいてもよい。
【0017】
次に、このルーズリーフ100の使用方法を説明する。図2(a)に示すように、ルーズリーフ100を前記標準リング穴1を用いてリングRに通してリングRファイルに綴じる。このようなルーズリーフ100を同様にして複数枚、当該リングRファイルに綴じるようにする。この状態でリングRは、標準リング穴1に固定される。ユーザは、通常の使用方法として、ルーズリーフ100をめくって閲覧、記入できる。また、全てのルーズリーフ100が、図2(b)に示すように、上端が揃った状態にある。このとき、標準リング穴1を通るリングRは、フラップ5によりルーズリーフ100との相対移動が阻止されており、ユーザが力を加えない状態で移動することはない。また、導入部4もリングRの移動方向に一定の傾斜を有するので、この傾斜部分(フラップ5端縁)がリングRの移動を抑制している。
【0018】
次に、ユーザが、リングRファイルに綴じている任意のルーズリーフ100をリングRファイルの上方に引っ張ると、図2(c)に示すように、標準リング穴1から移動リング穴2にリングRが移動して、当該ルーズリーフ100が標準リング穴1と移動リング穴2との距離分だけ移動する。これにより、当該ルーズリーフ100は、図2(d)に示すように、他のルーズリーフ100に比べて上方に飛び出た状態となる。リングRは、図2(e)に示すように、移動する際に標準リング穴1の導入部4にガイドされつつ相対移動する。フラップ5は、ユーザの引っ張る力によりリングRにより開き、リングRが切断部3に進入し、通過する。そして、リングRが移動リング穴2に入る。この状態でユーザは引っ張るのを止める。リングRは、フラップ5により移動リング穴2で固定される。
【0019】
前記ルーズリーフ100を上方に飛び出させた状態で、ルーズリーフ100の横端縁は、他のルーズリーフ100と同じ位置にあるから、閲覧、記入の際に使用し難くなることはない。ルーズリーフ100が上方に飛び出ることで、例えばどこまで閲覧又は記入をしたか簡単に位置を特定できる。即ち、ルーズリーフ100自体が上方に移動して栞として機能することになる。
【0020】
次に、当該飛び出したルーズリーフ100をもとに戻す。ユーザが当該ルーズリーフ100の下端を引っ張ると、リングRが移動リング穴2から導入部4によりガイドされつつ相対移動し、フラップ5を押し開け、切断部3を通過して標準リング穴1に戻る。フラップ5が閉じることでリングRが標準リング穴1に固定される。これにより、図2(c)に示すように、全てのルーズリーフ100の上端が揃った状態となる。
【0021】
本発明に係るシート体100として上記ルーズリーフ100を例示したが、この他、透明又は半透明の書類、名刺又はカードが入るクリアポケット(取り出し口は上方や側方を問わない)、厚紙で形成したインデックス、樹脂製の下敷き等の一般にリングRファイルに使用できる薄厚部材であれば、全てに適用可能となる。また、上記説明では、ルーズリーフ100を上方に移動するようにしたが、移動リング穴2の形成を標準リング穴1に対して逆にすることで、下方に移動するようにしても良い(図示省略)。
【0022】
以上、本発明のシート体100によれば、リングファイルに綴じた状態で上下方向に移動可能となるので、栞やインデックスの代わりになり、閲覧、記入等をしたところを簡単に識別できるようになる。また、栞等の余計な部材は不要である。更に、複数のシート体100を上方に移動することで、複数の目印となるので、利便性が高まる。
【0023】
図4は、上記実施の形態1に係るシート体100の変形例を示す説明図である。図4(a)に示すように、可動穴6を形成する部分を補強するため、シート体100の当該部分の周囲5bを厚手にするようにしても良い。例えばルーズリーフ100であれば、矩形のシールにより可動穴6の周囲を補強して当該可動穴6を形成する。これにより、ユーザがシート体100を引っ張っても穴が破損し難く、耐久性を高めることができる。また、フラップ5の強度が高くなるので、リングRを強く保持できる。このため、自重等でシート体100が上下移動するのを防止できる。
【0024】
図4(b)に示すように、可能穴を設ける側のシート体100の端部を帯状に補強する補強部7を設けても良い。その作用効果は(a)の場合と同様であり、更にシート体100を移動させる際に全体が撓み難くなる。また、図4(c)に示すように、可動穴6の周囲からシート体100の上端にかけて補強部8を形成しても良い。この補強部8の上端をユーザが摘まむように指示する表示を設けても良い。また、図4(d)に示すように、可動穴6の周囲からシート体100の上端にかけて補強部9を形成し、上端にユーザが摘まむ突起部10を設けても良い。このようにすれば、引っ張りの際の力が可動穴6に伝わりやすくなる。例えばシート体100の上端で且つ可動穴6を設けた側とは反対側を引っ張ると、シート体100の全体にしわが生じる可能性がある。このため、突起部10を引っ張り、この突起部10が補強部9と一体となっていれば、シート体100全体にしわが生じることがない。
【0025】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係るシート体を示す平面図である。このシート体200の上記可動穴6は、図5(a)に示すように、切断部231が湾曲形状となる。具体的には標準リング穴1と移動リング穴2と間に対して膨らむように湾曲する。これに伴いフラップ5も湾曲形状となる。導入部4は、リング穴1,2に開口するような形で切断部231に収斂する。これにより、切断部231がリング穴1,2の間で湾曲してフラップ5がシート体100の自重による移動を阻害するので、リング穴1,2にリングRが固定されやすい。シート体200を移動する際にはこの湾曲した切断部231をリングRが通って移動することになるが、切断部231をリングRが通る際に当該切断部231が湾曲していることからフラップ5をスムーズに開くことができ、力を加えれば簡単に移動できる。
【0026】
図5(b)に示す可動穴6も、切断部232が湾曲形状となる。具体的には標準リング穴1と移動リング穴2と間から外側に対して膨らむように湾曲する。これに伴いフラップ5は大きな湾曲形状となる。導入部4は、リング穴1,2に開口するような形で切断部232に収斂する。これにより、切断部232がリング穴1,2の間で湾曲してフラップ5がシート体200の自重による移動をより一層阻害するので、リング穴1,2にリングRが固定されやすい。シート体200を移動する際にはこの湾曲した切断部232をリングRが通って移動することになるが、切断部232をリングRが通る際に当該切断部232が湾曲していることからフラップ5をスムーズに開くことができ、力を加えれば簡単に移動できる。
【0027】
また、図5(c)に示す可動穴6は、標準リング穴1と移動リング穴2との間をS字状に連結する切断部233を有する。フラップ5は切断部233を中心として左右側に形成される。導入部4は、リング穴1,2に開口するような形で切断部233に収斂する。切断部233がS字形状となることでフラップ5がシート体100の自重による移動をより阻害するので、リング穴1,2にリングRが固定されやすい。シート体200を移動する際にはフラップ5が開いて切断部233をリングRが通って移動する。
【0028】
また、図6に示すように、標準リング穴1に対して移動リング穴2を2個設けても良い。各リング穴1,2,301の間は、上記図1乃至図5に示す切断部3により接続され、同図に示した導入部4が設けられる。標準リング穴1の下方に2個の移動リング穴2,301を設けることで、シート体を引き出す量を二段階に調整できる。標準リング穴1及び移動リング穴2,301、移動リング穴2及び移動リング穴301の間のリングRの相対移動は、上記の通りである。なお、図示しないが、移動リング穴2を3個以上としても良い。
【0029】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3に係るシート体を示す平面図である。このシート体300の可動穴306は、実施の形態1の可動穴6が全体的に傾いているものである。傾きは、シート体100の長辺端縁方向から5度〜20度程度下方外側とするのが良い。この可動穴306の標準リング穴1にリングRを通してシート体300を綴じている場合、図8(a)に示すように、綴じているシート体300の全ての上端縁および側端縁が揃っている。このシート体300を上方に引き出すと、リングRが可動穴306を相対移動して移動リング穴2に固定され、この状態で図8(b)に示すように、引っ張り出したシート体300の上端縁及び側端縁が他のシート体300の端縁から飛び出る。これにより、上端からも側端からも任意のシート体300を認識できるようになるので、利便性がより高まる。なお、側方への移動量は、標準リング穴1から端縁までの距離に余裕がないので、強度確保の必要性や標準リング穴1を設ける位置に限界があることから、上方への移動量より小さくするのが好ましい。
【0030】
(実施の形態4)
図9は、本発明のシート体を形成するためのパンチを示す構成図である。図10は、当該パンチに用いる刃を示す説明図である。パンチ50は、シート体100の端部を差し込む差込部59を有するベース51と、このベース51に対して回動可能に設けたハンドル56と、ハンドル56の回転軸57の近傍に設けた前記刃60とからなる。刃60は、本体53の先端に形成され、ガイド構造52に沿って上下方向に昇降可能に支持されており、ハンドル56の一部に上端部が押されてハンドル56の操作により昇降動作する。刃60は、スプリング55により上方に付勢されている。ベース51の前記刃60の下方位置には、穴58が設けられる。差込部59の奥側には、用紙の差込量を規制するストッパ59aが設けられる。なお、前記刃60が本発明のパンチ50の特徴であるから、パンチ50の全体構造は一般的な構造を採用でき、同図に示した構造に限定されるものではない。
【0031】
上記可動穴6をパンチ50で形成するための刃60は、リング穴1,2を形成する丸刃61,62と、切断部3を形成する直線刃63と、導入部4を形成する楔刃64とから構成される。この刃60は、板材の両端を丸めて端部を中央付近で溶接することで、両側に前記リング穴1,2と導入部4を形成する丸刃61,62と楔刃64とする。中央の板部分が前記切断部3を形成する直線刃63となる。溶接後、刃60の先端を研削して先鋭化し、所定の熱処理を行う。
【0032】
これにより、パンチ50の刃が形成される。刃60は、シート体100の上下に対応する一対の組としてパンチ50に設けられる。
【0033】
次に、このパンチ50の使用方法を説明する。ユーザが任意のシート体を選択する。例えば、A4サイズの用紙を被穿孔対象とする。この用紙の中心位置をパンチ50の中心マークに合わせるようにし、用紙の端部をパンチ50の差込部59に差し込む。用紙を所定位置まで差し込むとストッパ59aにより差し込みが規制される。この状態でハンドル56を下すと、前記刃60が下りて用紙に可動穴6を穿孔する。このようにして可動穴6を穿孔したシート体100は、通常のリングファイルに綴じることで、上記実施の形態1で説明したような使用方法が可能となる。
【0034】
(変形例)
図11は、パンチの変形例を示す説明図である。このパンチは、リングファイル用に市販されているルーズリーフ100等のシート体100を本発明のシート体100にするものである。市販のシート体100には、既にリングファイルのリングRを通す穴が設けられているので、上記のパンチで穿孔すると標準リング穴1がずれたりする。このパンチは、上記パンチの標準リング穴1に相当する丸刃61をガイド棒71に変更した構成である。ガイド棒71の下端71aは、既形成の標準リング穴1に挿入しやすいように、先細りになっている。先端は球状である。また、ガイド棒71に対応する前記台には、当該ガイド棒71が挿入されるガイド穴が設けられている。一方、移動リング穴2、導入部4、切断部3に相当する丸刃62、直線刃63、楔刃64は、上記と同様である。
【0035】
ユーザがシート体100の標準リング穴1が前記ガイド棒71の下に位置するように、当該シート体100をパンチの差込部59に差し込む。そして、ゆっくりとハンドル56を下げてガイド棒71をシート体100の標準リング穴1に差し込む。ガイド棒71がシート体100の端部に複数設けた標準リング穴1に挿入されることで、パンチの刃70とシート体100とが相対的に位置決めされる。続いて、そのままハンドル56を押し下げると、刃70がシート体100の端部に押し付けられて可動穴6が形成される。
【0036】
これにより、標準リング穴1のみの市販のシート体に対して、可動穴6をきれいに形成できるので、多種多様の市販されているシート体を本発明に係るシート体100にすることができる。また、ガイド棒71と、丸刃62、直線刃63及び楔刃64とを別々に動かせるようにしても良い。この際、楔刃64の端縁がガイド棒71の溝72に沿って移動するようにし、既に形成されている標準リング穴1と導入部4との接続をきれいに処理できるようにするのが好ましい。
【符号の説明】
【0037】
100 シート体
1 標準リング穴
2 移動リング穴
3 切断部
4 導入部
5 フラップ
6 可動穴
50 パンチ
60,70 刃
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11