(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。(なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。)
<用語の説明>
本明細書では、以下のように用語を定義する。
「遊技テーブル」:遊技場において各種のゲームが行われるテーブルのことをいう。一般に、一つのテーブルにつき、一人のディーラーが配置される。また、一つのテーブルにつき、複数人のユーザが同時にゲームに参加することができる。
「ディーラー」:ゲームで用いるカードを配るなど、ゲームの進行を仕切る遊技場側の人間のことをいう。
「ユーザ」:遊技場に来店してゲームに参加するゲストの人間のことをいう。
「ルーレット」:ディーラーが、回転する円盤に球を投げ入れ、ユーザが、その球の落ちる場所を予想するゲームである。賭ける対象の項目は、赤か黒か、奇数か偶数かなどように複数の数を包含するように賭けるものから特定の数に賭けるものまで様々な種類が存在する。
「バカラ」:伝統的なカードゲームであり、バンカー(胴元役)とプレイヤ(客役)によるカードゲームの勝敗を、ユーザが予想して賭けるゲームをいう。ユーザは単にゲームの勝敗を予想するのみであり、その手軽さなどから世界各地のカジノで人気を博している。ディーラーは、あるルールに則してバンカー及びプレイヤのそれぞれに2枚ないし3枚のトランプカードを配り、配られた合計数の1桁目が「9」に近い方が勝ちとなる。
「コイン」:ゲームに参加する際に用いられる媒体である。チップとも呼ばれる。円形のものが一般的であるが、どのような形状のものでもよい。サイズも任意の大きさのものでよい。
「ベット」:ユーザが予想を表明して賭けることをいう。例えば、ルーレットにおいては、ユーザが回転盤の中で球が落ちる箇所を予想し、予想先に賭けることをいう。バカラにおいては、バンカーが勝つのか、プレイヤが勝つのか又は勝負が引き分け(タイ(TIE))に終わるのかを予想して、この勝敗予想に対応して賭けることをいう。
「ベット額」:ベットの際に用いる額のことである。各ユーザは、所望の種類や枚数のコインを遊技テーブルに置くことでベット額を任意に指定することができる。ユーザの予想が当たった場合には、ベット額に応じた配当が得られる。
「ベット領域」:ユーザがコインを置くことでベット額を表明する領域である。つまり、ユーザがコインを賭ける領域である。例えばルーレットにおいては、回転盤に存在する数字や、複数の数を包含する項目(例えば赤枠の数を包含する「RED」)等がテーブル上にベット領域として明示されている。また、テーブル上に記載されている数字と数字との間の境界部分もベット領域となる。数字と数字との間の境界部分にベットがされた場合、それらの数字が一塊のベット対象として扱われる。バカラにおいては、バンカーが勝つのか、プレイヤが勝つのか又は勝負が引き分けに終わるのかに応じたベットをする領域がテーブル上に明示されている。
「クレジット」:ユーザが保有している残高のことである。配当が得られた場合にはクレジットの額が増え、予想が外れた場合には、クレジットの額が減る。
【0014】
<コインの位置を特定する利点>
まず、カジノなどの遊技場における遊技テーブルにおいて、コインの位置を特定することについての利点を説明する。
【0015】
ゲームが行われている期間中、コインは遊技テーブル上の様々な位置を転々と移動する。例えば一般に遊技テーブルにおいては、ユーザのコインを収容するコイン収容部及びディーラーの配当用のコインを収容する配当用コイン収容部が設置されている。ゲームが開始すると、ユーザは、コイン収容部に収容されているコインの中から所望の金額分のコインを取り出し、所定のベット領域に置く。これにより、そのユーザがベットした項目(以下、「ベット先」という。)及びベット額が確定する。ゲームの結果、ディーラーは、ゲームに勝ったベット先にベットしていたユーザ、すなわち予想が的中したユーザに対する配当分のコインを配当用コイン収容部から取り出す。そして、その予想が的中したユーザに配当分のコインを支払う。予想が外れたユーザがベットしていたコインは、ディーラーによって回収され、配当用コイン収容部に収容される。
【0016】
このように、ゲームが行われている期間中、コインは遊技テーブル上の様々な位置を転々する。このようなコインの位置を、遊技場を管理する管理システム側において特定できると、様々な利点が現れる。例えば、ユーザのベット先及びベット額を、管理システム側が特定することができる。管理システムとは、遊技場を運営する運営者が管理するシステムのことである。詳細は後述する。これらのユーザのベット先及びベット額が分かれば、そのゲームの結果に基づいて支払うべきコインの額も管理システム側で特定することができる。したがって、ディーラーがユーザに支払うコインの額が、管理システム側で特定している額と異なる場合には、警告を通知するなどして、ディーラーの不正やミスを防止することができる。
【0017】
<遊技テーブルの例>
図1は、本実施形態に係る遊技テーブル10の一例を示す図である。遊技テーブル10には、発信源15a、15b、15cが設置されている。発信源15a、15b、15cのことをまとめて発信源15と表記する。発信源15は、測位信号を発信する送信器である。本実施形態では、コイン20が、発信源15から発信された測位信号を受信し、受信した測位信号に基づいてコイン20の位置を決定する。
図1に示す例においては発信源15が遊技テーブル10の別々の位置に3つ設置されている例を示しているが、これに限られない。発信源15の数は4つ以上であってもよい。また、発信源15は、遊技テーブル10に設置されている必要はなく、例えば遊技テーブル10付近の天井、床及び壁などのように、遊技場の任意の位置に設置されていてよい。また、遊技場内に複数の遊技テーブル10が存在する場合、発信源15a〜15cは、各テーブル(あるいは各テーブルの付近)にそれぞれ設置されていてもよいし、複数のテーブルで発信源15a〜15cの1つのセットを共用してもよい。
【0018】
三つの発信源15a〜15cからの測位信号を用いると、各発信源から三点交差法によって受信器の位置が算出できる。発信源15aから発信された測位信号が受信器であるコイン20で受信されるまでの到達時間により、発信源15aからコイン20までの距離D1が特定できる。つまり、発信源15aを中心とした半径D1の球の表面のいずれかにコイン20が位置していることがわかる。同様に、発信源15bから発信された測位信号がコイン20で受信されるまでの到達時間により、発信源15bからコイン20までの距離D2が特定でき、発信源15bを中心とした半径D2の球の表面のいずれかにコイン20が位置していることがわかる。同様に、発信源15cから発信された測位信号がコイン20で受信されるまでの到達時間により、発信源15cからコイン20までの距離D3が特定でき、発信源15cを中心とした半径D3の球の表面のいずれかにコイン20が位置していることがわかる。これらの3つの球の表面の交点がコイン20の位置であると特定することができる。
【0019】
一例として、発信源15は、IMES(Indoor MEssaging System)と呼ばれる屋内位置情報取得システムで用いられる送信器として構成されてよい。発信源15は、自身が設置されている位置を示す測位信号を発信する。発信源15は、例えば測位信号を、音波を用いて発信してもよいし、電波を用いて発信してもよいし、光を用いて発信してもよい。
【0020】
なお、遊技テーブル10は、コイン収容部16a〜16eと、配当用コイン収容部18とを備えている。また、遊技テーブル10には、配布されるカードを収容するカードシュー17、カードが置かれるエリア19a、ベット領域19bが設けられている。
【0021】
<コインのブロック図>
図2は、本実施形態に係るコイン20のブロックを示す図である。コイン20は、受信部21、決定部22、出力部23及び充電部24を含む。
【0022】
受信部21は、受信用ICを含む。本実施形態の受信部21は、複数の発信源15からの測位信号を受信する。受信部21は、受信したそれぞれの測位信号を決定部22に出力する。発信源15が音波を使用する場合、受信部21は、受信用ICに含まれる超音波センサ(マイク)を用いて測位信号を受信することができる。発信源15が光を使用する場合、受信部21は、受信用ICに含まれるIRセンサ(フォトセンサ)を用いて測位信号を受信することができる。発信源15が電波を使用する場合、受信部21は、電波を受信するアンテナ(図示せず)を用いて測位信号を受信することができる。
【0023】
ここで、発信源15a〜15cは、それぞれ同じ種類の信号(例えば音波)を用いて測位信号を発信してもよいし、発信源15a〜15cのうちの一部(例えば発信源15b)は、他の発信源(例えば発信源15a、15c)とは異なる種類の信号(例えば発信源15a、15cは音波で、発信源15bは電波)を用いて測位信号を発信してもよい。この場合、発信源が発信する信号の種類に応じた複数の受信部21が、1つのコイン20に設けられていてもよい。
【0024】
決定部22は、CPU(Central Processing Unit)その他図示しないメモリ、インターフェース等を備える判断手段である。決定部22は、受信部21から出力されたそれぞれの測位信号に基づいて、コイン20の位置を決定する。決定部22の処理は後述する。
【0025】
出力部23は、出力ICを含む。出力部23は、決定部22が決定した位置を示す位置情報を無線信号に変換して管理装置に出力する。また、出力部23は、位置情報を管理装置に出力する際に、コイン20の識別情報も出力する。例えば出力部23は、RFID(Radio−Frequency IDentification)タグとして機能する出力ICに位置情報を書き込む。そして、この情報を遊技テーブル10に設置された図示しないRFIDリーダで読み取らせることができる。つまり、遊技テーブル10に設置された図示しないRFIDリーダのアンテナから電波を輻射させ、このRFIDタグに書き込まれた位置情報を読み取らせてもよい。出力部23は、アンテナとしても機能するコイル23aが含まれており、RFIDリーダのアンテナからの電波をこのアンテナで受信し、受信した電波を起電力として出力ICをアクティブにし、RFIDタグに書き込まれた位置情報を発信する。RFIDリーダは、このように発信された位置情報を受信し、管理装置に送信する。あるいは、出力部23は、例えば2.4GHz又は5GHzなどのように無線LANで用いられるような周波数帯の電波を用いて位置情報を管理装置に送信してもよい。なお、管理装置とは、後述する
図5で説明する管理システム500に含まれる管理装置550であり、各コイン20の位置情報などを管理する装置である。管理装置550の詳細については後述する。
【0026】
充電部24は、充電ICを含む。充電部24は、受信部21、決定部22及び出力部23に電力を供給する。例えば遊技テーブル10には電力供給用の供給部511(後述する
図5参照)が備えられている。充電部24は、非接触で供給部511から電力の供給を受けることができる。例えば、本実施形態では、電磁誘導方式により電力の供給を行うことができる。遊技テーブル10には、ベット領域などの特定の領域に供給部511として機能する図示しない送電用のコイルが埋設されている。コイン20をこの特定の領域に置き、送電用のコイルに電流を流すと、磁界の変化が生じ、充電部24の受電用コイル24aに電流が流れる。送電用のコイルが埋設されている箇所は、コイン収容部16a〜16eでもよく配当用コイン収容部18でもよい。
【0027】
<コインの位置決定>
次に決定部22にて行われる、コイン20の位置を決定する処理の例を説明する。
【0028】
図3は、遊技テーブル10上において決定される位置の例を示した図である。
図3では、アルファベットで特定される行と数字で特定される列とにより、遊技テーブル10上の位置を特定するものとして説明する。例えば
図3のコイン20は、「区画6D」に示す位置に置かれていると特定される。なお、
図3では説明を簡便にするために、各区画を広く設定した例を示している。実際には、
図3に示す区画よりも細かい範囲の区画を設定することができる。
【0029】
決定部22は、受信部21が受信した複数の発信源15からの発信信号に基づいてコイン20の位置を決定する。以下、具体的に説明する。
【0030】
例えば、発信源15が、自身の設置されている位置を示す位置情報を含む測位信号を発信する場合がある。この場合、発信源15a、15b、15cから送られる測位信号が、コイン20で受信されるまでのタイミングは、コイン20の位置に応じて異なることになる。例えば、発信源15aから発信された測位信号が0.004秒経過後に受信部21において受信され、発信源15bから発信された測位信号が0.005秒経過後に受信部21において受信され、発信源15cから発信された測位信号が0.006秒経過後に受信部21において受信されるような場合がある。これらの測位信号の到達時間の違いと、発信源15が設置されている位置とに基づいて、決定部22は、コイン20の位置を決定することができる。測位信号の到達時間の違いと、発信源の位置とに基づいて、現在の位置を決定する処理は、例えばGPS(Global Positioning System)などで広く用いられている三点測量方式と同様の技術を用いることができる。
【0031】
なお、このように三点測量方式でコイン20の位置を決定すると、例えばコインが複数枚積み重ねられてベットがされている場合であっても、上部のコインの位置を適切に決定することができる。また、細分化された隣り合う区画にコイン20がそれぞれ置かれていたとしても、両者のコイン20の位置を同じタイミングで決定することができる。すなわち、他方の区画に設けられたアンテナの電波の発信の停止を待ってから、もう一方の区画に設けられたアンテナの電波の発信を行うといった処理が行われる必要はない。
【0032】
発信源15は、互いに同期した同じタイミングで測位信号を送信してもよい。あるいは、測位信号を送信した時刻を記録した時間情報が測位信号に含まれていてもよい。
【0033】
また、発信源15a、15b、15cが、それぞれ異なる波長や異なる周波数の測位信号を発信するように構成してもよい。この場合、コイン20の決定部22には、予め、図示しないレジスタやメモリなどにそれぞれの発信源15a、15b、15cが使用する波長や周波数の情報と、それぞれの発信源15a、15b、15cの設置されている位置の情報とが格納される。そして、発信源15の測位信号の波長や周波数を解析することで、いずれの発信源15a、15b、15cで発信された測位信号であるかを特定することができる。そして、先に説明したように、その測位信号の到達時間の違いと、発信源15が設置されている位置とに基づいて、コイン20の位置を決定することができる。なお、決定部22は、発信源15の信号の種類に応じた解析を行うことができる。例えば、音波が用いられている場合には、音波の周波数を特定し、光が用いられている場合には、光の波長を特定し、電波が使用されている場合には、電磁波の周波数を特定することができる。
【0034】
なお、このようにして決定された位置情報は、緯度、経度及び高さが含まれる。この位置情報は、出力部23から管理装置550に出力される。管理装置550では、発信源15と遊技テーブル10との位置関係及び遊技テーブル10のテーブル面上の区画割が管理されている。例えば、管理装置550は、遊技テーブル10のテーブル面上の区画ごとの緯度、経度及び高さの情報を管理している。管理装置550は、これらの管理している位置関係の情報と、コイン20から出力された位置情報とに基づいて、遊技テーブル10上においてコイン20が存在する位置(
図3の例では、区画6D)を決定することができる。すなわち、遊技テーブル10上におけるコイン20の位置を決定することができる。
【0035】
なお、コイン20の図示しないレジスタやメモリなどに、発信源15と遊技テーブル10との位置関係及び遊技テーブル10のテーブル面上の区画割の情報が格納されている場合には、決定部22が、コイン20の位置を、遊技テーブル10上の位置情報として決定することができる。すなわち、
図3の例では、決定部22が、コイン20の位置として、遊技テーブル10上の「区画6D」を示す位置を決定することができる。
【0036】
このように、コイン20の決定部22は、コイン20の位置する緯度、経度及び高さを決定してもよいし、コイン20の遊技テーブル上の位置(例えば区画6D)を決定してもよい。
【0037】
<コインの動作フロー>
図4は、コイン20の動作を示すフローチャートの一例を示す図である。
図4に示す例においては、ベットタイム(BET TIME)が開始してから終了するまでの間、コイン20が位置情報を出力する例を説明する。
【0038】
ステップS410でコイン20の受信部21は、ベットタイムの開始を示す開始信号を受信する。受信部21は、発信源15から特別な信号(開始信号)を受信しもよいし、管理装置550から開始信号を受信してもよい。
【0039】
ステップS420において受信部21は、ベットタイムの終了を示す終了信号を受信したかを判定する。受信した場合、ステップS480に進む。そうでない場合、ステップS430に進む。
【0040】
ステップS430において充電部24は、バッテリーが不足しているかを判定する。不足している場合、ステップS440に進み、バッテリーの充電を行う。充電部24は、非接触で供給部511から電力の供給を受けることができる。その後、ステップS450に進む。バッテリーが不足していない場合、ステップS450に進む。
【0041】
ステップS450において受信部21は、発信源15において発信された測位信号を受信する。
【0042】
ステップS460において決定部22は、ステップS450において受信された測位信号に基づいてコイン20の位置を決定する。
【0043】
ステップS470において出力部23は、ステップS460で決定された位置の位置情報を、管理装置550に出力する。
【0044】
ステップS430からステップS470までの処理は、ベットタイムの終了を示す終了信号を受信するまで繰り返される。ベット期間中においては、ユーザによって、コイン20の位置が適宜変更されることになる。コイン20は、この適宜変更された位置を管理装置550に出力する。
【0045】
ステップS420において受信部21がベットタイムの終了を示す終了信号を受信した場合、ステップS480に進む。
【0046】
ステップS480において決定部22は、位置情報確定データを生成する。位置情報確定データは、位置が確定していることを示すデータである。
【0047】
ステップS490において出力部23は、ステップS480で生成された位置情報確定データを管理装置550に出力する。
【0048】
このような処理によれば、ベットタイムが終了した際に、管理装置550が管理しているコイン20の位置が、確定した位置になる。
【0049】
なお、上述した処理は一例に過ぎず、これに限られるものではない。例えば、ベットタイムが終了した場合に、位置情報確定データを出力する形態を示しているが、これに限られるものではない。ステップS430からステップS470の処理に従えば、コイン20の位置は、適宜、管理装置550に出力されている。したがって、ベットタイムが終了した場合、管理装置550側でベットタイムが終了したことを決定し、その時点において各コイン20から送られている位置情報を用いて、管理装置550が、各コイン20の位置を特定する形態でもよい。
【0050】
なお、
図4においては、ベットタイムが開始してから終了するまでの間、コイン20が位置情報を出力する例を説明したが、これに限られるものではない。ベットタイムとは関係なしに、コイン20は、位置情報を出力する形態でもよい。
【0051】
<システム構成>
図5は、本実施形態に係る管理システム500の構成の一例を示すブロック図である。
【0052】
管理システム500は、遊技テーブル10、コイン20、発信源15、管理装置550、管理データベース(DB)560及びコイン位置データベース(DB)561を含むものである。
【0053】
管理装置550は、取得部551、特定部552及び通知部553を備える。管理装置550は、管理DB560及びコイン位置DB561との間で情報の読み取り及び書き込みを行う。管理DB560は、コインの保有者情報、ユーザのクレジット情報及び遊技場で行われている各種のゲームの進行情報等を管理するデータベースサーバである。コイン位置DB561は、コイン20の遊技テーブル10上の位置を管理するデータベースサーバである。管理装置550、管理DB560及びコイン位置DB561は、それぞれ情報処理装置として実現することができる。情報処理装置は、図示しないCPU、メモリ、HDD、及びネットワークインタフェースを有してよい。
図5の管理装置550の各部は、HDDに格納されたプログラムが一時的にメモリに読み出され、CPUがメモリに読み出されたプログラムを実行することで、CPUが
図5の管理装置550の各部として機能してよい。また、
図5の管理装置550の各部のうちの少なくとも一部が、各種のネットワークを通じて相互に接続された複数の情報処理装置によって実現されてよい。また、
図5の管理装置550の各部のうちの少なくとも一部は、複数の情報処理装置による分散処理によって実現されてよい。また、管理装置550、管理DB560及びコイン位置DB561を別々の構成として例示しているが、これらは同一の装置に設けられていてもよい。
【0054】
ここでは、管理装置550は、遊技テーブル10ごとに設けられている例を説明する。つまり、遊技テーブル10は、取得部551、特定部552及び通知部553を備える管理装置550を備えることができる。なお、管理装置550は、複数の遊技テーブル10ごとに設けられていてもよいし、遊技場全体で1つ設けられていてもよい。
【0055】
取得部551は、コイン20から出力される位置情報とコイン20の識別情報とを取得する。
【0056】
特定部552は、取得部551によって取得された位置情報に基づいて、遊技テーブル10上においてコイン20が置かれた位置を特定することができる。特定部552は、位置情報に含まれる、緯度、経度及び高さと、遊技テーブル10のテーブル面上の区画ごとの緯度、経度及び高さとを比較して、コイン20の位置として、遊技テーブル10上の区画(例えば「区画6D」)を示す位置を特定する。また、特定部552は、取得部551によって取得されたコイン20の識別情報に基づいてコイン20に対応付けた金額を特定することができる。また、特定部552は、コイン20の識別情報に基づいてコイン20を保有するユーザを特定することができる。
【0057】
このように、特定部552は、コイン20から取得したコイン20の位置情報とコイン20の識別情報とを用いることで、そのコイン20を保有するユーザと、そのコイン20のベット先と、そのコイン20のベット額とを特定することができる。コイン20が複数置かれているような場合には、ベット額はその総額となる。
【0058】
通知部553は、特定部552において位置を特定できない場合、エラーを通知する。エラー通知の方法は様々である。例えばエラーは、遊技テーブル10に設けられている不図示の表示部にエラーメッセージを表示する形態であってよい。表示部は、ディーラー側に設けられているものであってもよいし、ユーザ側に設けられているものであってもよいし、両者が共用して確認するためのものであってもよい。また、エラー表示の例としては、コインの位置が特定できないこと又はベットが不可能な位置に置かれていることなどを通知するメッセージであってもよい。或いは、遊技テーブル10に備えられている不図示の警告灯を点灯させたり、不図示のスピーカーから音声、効果音などを出力させたりしてもよい。また、テーブルやユーザの座っている椅子を振動させてもよい。
【0059】
本実施形態において、エラーを通知することは有用である。紛らわしい場所にベットがされた場合には、ユーザが意図したベット先と、管理装置550や管理DB560で更新される情報とが異なってしまう可能性がある。そこで、特定部552において位置を特定できない場合には、エラーを通知することで、紛らわしい場所にベットがされてしまうことを防止することができる。
【0060】
<ゲームの進行例>
図6は、コイン位置DB561で管理されているコイン位置情報600の例を示す図である。
図7は、管理DB560で管理されているコイン管理情報710、クレジット管理情報720及びゲーム進行管理情報730の例を示す図である。
図3、
図6及び
図7を用いて、実際に遊技テーブル10上にコインが置かれてゲームが行われる場合の処理の一例を説明する。
【0061】
以下では、ユーザIDが「U301」であるユーザ(以下、ユーザIDとしてU301が割り当てられたユーザを「ユーザU301」等と表記する。)は、バカラのゲームを行う遊技テーブル10に着席してゲームに参加するものとして説明する。ユーザU301は、予め図示しないキャッシャーなどでクレジットを登録する。クレジット管理情報720では、ユーザのIDと、そのユーザが保有するクレジットとが管理されている。
【0062】
また、ユーザU301は、予めキャッシャーにおいて、コインを受け取る。あるいは、遊技テーブル10のディーラーが、ユーザU301にコインを配布する形態でもよい。いずれの形態にせよ、「コインの保有者がユーザU301である」という情報が、コイン管理情報710に示すように管理されている。つまり、ユーザU301が保有しているコインは、そのユーザU301の専用のコインと言える。コイン管理情報710には、コインの識別情報ごとに、そのコインに対応付けられる金額と、そのコインの保有者のユーザとが管理されている。
【0063】
このような状態において、遊技テーブル10においてベット期間が開始する。ユーザU301は、ベット先としてBANKERを選択し、ベット金額として30ドルをベットしようと決心した場合を想定する。ユーザU301は、BANKERのベット領域に30ドル分のコインを置く。この置かれたコインは、先に説明したように、発信源15からの測位信号に基づいて自身の位置を決定する。そして、コインによって決定された位置が、管理装置550に送られる。管理装置550の特定部552は、コインから送られた位置に基づいて遊技テーブル10上のそのコインの位置を特定する。そして、コイン位置情報600のように、各コインがどの位置に存在するかを示す情報を適宜更新する。
【0064】
その後、ベットタイムが終了して、位置確定データを受信すると、管理装置550は、コイン位置情報600を参照して、どのコインがどの位置に存在しているかを特定する。そして、コイン位置情報600及びコイン管理情報710を参照して、ゲーム進行管理情報730を更新する。例えば、特定部552は、コインの識別情報C111、C112、C113で識別されるコインが、遊技テーブル10上のD6の位置に存在することを特定する。特定部552は、それらのコインの保有者がユーザU301であり、それらのコインの金額が合計で30ドルであることを、コイン管理情報710を参照して特定する。特定部552は、遊技テーブル10上のD6の位置は、BANKERのベット領域であることを、図示しないDB情報を参照して特定する。そして、特定部552は、ゲーム進行管理情報730に示すように、ユーザU301は、BANKERに30ドルのベットをしたことを記録する。なお、
図7に示すように、遊技テーブルごとにゲームが行われるので、ゲーム進行管理情報730は、各遊技テーブルの情報を含んでいる例を示している。
【0065】
その後、ゲームが行われ、PLAYERが勝利をした、すなわち、ユーザU301の予想が外れた場合を想定する。なお、このようなゲームの結果は、例えばテーブル上に置かれたカードの情報など読み取ることで特定されてもよいし、ディーラーなどから手入力で入力されてもよい。この例では、ユーザU301の予想が外れたので、ゲーム進行管理情報730では、ユーザU301の更新すべき額がマイナス30ドルとなっている。この更新すべき額で、クレジット管理情報720のユーザU301のクレジットの額が更新されることになる。
【0066】
このように、コイン20の位置が特定できると、管理装置550においてゲームの進行情報と連動して、ユーザのクレジットを適宜更新して管理することができる。
【0067】
<オフセットを設ける例>
次に、複数のコインが混在する場合に、コインの位置のバラつきを低減する構成を説明する。遊技テーブル10上では、大量のコイン20がゲームの際に用いられることになる。コイン20の中には、その種類に応じて大きさや形が異なるものが含まれる。一方で、例えばルーレットのような場合には、狭い区画にコイン20が置かれることになる。狭い区画に置いた場合、コインの種類や置き方によっては、本来の意図した場所と違う位置に置かれているものと決定されてしまう場合がある。以下、具体的に説明する。
【0068】
図8は、コイン20の受信部21がコイン20の外周部に設けられる例を示す図である。コイン20において受信部21が設けられる場所は様々である。コイン20の中心部に近い場所に設けられる場合もあれば、
図8に示すように、コイン20の外周部に設けられる場合もある。決定部22は、受信部21において受信した測位信号に基づいて位置を決定するので、受信部21の位置が、例えばコイン20の中心部27に設けられている場合と、コイン20の外周部に設けられている場合とでは、距離8dのズレが生じてしまうことになる。
【0069】
また、受信部21が外周部の同じ位置に設けられている同じ種類のコインを用いる場合であっても位置のズレが生じる。例えば、コインが重ねられる場合に、受信部21の位置を合わせるようにしてコインが重ねられるとは限らない。重ねられたコインの受信部21の位置が、コインの中心部を介する正対する位置にある場合には、同じテーブル上の位置にコインが重ねられているにも関わらず、コイン1つ分の位置のズレが生じてしまうことになる。また、サイズが異なるコイン20が混在するような場合には、このズレがさらに大きくなる場合もある。
【0070】
本実施形態においては、決定部22は、コイン20の中心点と定めた位置(
図8では、中心部27)をコイン20の位置として決定する。このように、各コイン20の位置を決定する基準となる点を共通化することで、コイン20が決定する位置情報のバラつきを減らすことができる。
【0071】
具体的には、予めコイン20の受信部21の位置とコイン20の中心部27の位置との間のオフセットを求めておく。このオフセットは、受信部21の位置から中心部27に対するベクトル8vである。そして、決定部22は、決定した位置に、この予め求めていたオフセットを付加する。このように処理をすることで、コイン20の位置が中心部27の位置として決定されることになる。例えば、
図8の例では、決定部22が最初に決定した第一の位置は、中心部27の位置ではなく、受信部21が設けられている位置である。決定部22は、この第一の位置から、コインの中心部27の位置である第二の位置に対するベクトル8vを考慮して、コイン20の位置を決定する。つまり、決定部22は、受信部21が設けられている位置と、コイン20の中心部27の位置との相対的な位置関係に基づいて、コイン20の位置を決定することができる。
【0072】
なお、受信部21から中心部27までの距離8dは、予め測定するなどして求めておけばよい。コインが置かれたときの受信部21から中心部27への方向については、様々な方法で特定してよい。例えば、受信部21から微弱な電波を出力し、決定部22が、この電波の方向を検知して特定してもよい。その他、任意の方法を用いてよい。
【0073】
このように構成することで、コイン20が決定した位置は、コイン20の中心部27の位置となるので、各コイン20で決定される位置情報のバラつきを低減することができる。
【0074】
<ベットが可能な有効領域>
次に、ベットを行うことが可能な領域、すなわち、コインを置くことができる有効領域について説明する。
【0075】
図9は、コインを置くことができる有効領域を説明する図である。
図9は、ルーレットのベット領域の一部を拡大して抜粋した図である。表記911は、数字「18」にベットする領域であることを意味する表記であり、表記912は、数字「19」にベットする領域であることを意味する表記である。線910は、境界線である。ルーレットの場合、この線910上にコインを置くことで、数字「18」及び数字「19」の両方にベットをすることになる。つまり、数字「18」及び数字「19」を一塊のベット対象としてベットが行われることになる。このような場合、線910から例えば少し右側にコインがずれて置かれると、数字「19」の単体にベットをしているのか、数字「18」及び数字「19」の両方にベットをしているのかが、不明確となる。
【0076】
そこで、本実施形態では、ベットが可能な有効領域950を設ける。この有効領域950は、例えばテーブル上の位置情報(区画)と対応付けて管理装置550において管理されている。
【0077】
そして、コインがこの有効領域950の内側に位置する場合、特定部552は、そのベットは有効であるとして扱い、有効領域950の外側に位置する場合、そのベットは有効ではないとして扱う。ベットが有効でない場合、通知部553がエラーを出力することになる。
【0078】
本実施形態においては、先に説明したように、コインの位置をコインの中心部27の位置として決定部22が決定することができる。そして、その中心部27から所定の範囲内(具体的には、半径)の領域のうちの一部が有効領域950の外側に位置する場合には、通知部553がエラーを出力する。
図9の例では、コイン20bは、中心部27bが線910上に位置しており、有効領域950内に収まっている。一方、コイン20cは、中心部27cが線910よりも右側にずれてしまっており、この結果、一部の領域が、有効領域950の外側に位置してしまっている。したがって、通知部553によってエラーが出力されることになる。
【0079】
<有効な高さ位置>
次に、ベットが有効な高さ位置について説明する。
【0080】
図10は、コイン20を遊技テーブル10に置く際の有効な高さ位置を説明するための図である。本実施形態において決定部22によって決定される位置は、高さ情報も含む位置である。実際にゲームを行うと、コイン20fのように、遊技テーブル10のテーブルの下にコインが落ちてしまう場合がある。このとき、コインの充電部24に電力が残っており、ベット可能な有効領域の真下にコイン20fがある場合には、不適切なベットが、管理装置550側で行われてしまう。この結果、管理装置550が管理する情報とユーザが認識している金額との不整合が生じてしまう。そこで、特定部552は、予め遊技テーブル10のテーブル面12の高さを記憶しておき、その高さから所定の範囲10h内にある1以上のコインの識別情報を用いて、コインの金額を特定する。つまり、特定部552は、テーブル面12の高さから所定の範囲10h外の位置情報を送信するコインに関しては、有効なコインとして扱わなくてよい。あるいは、通知部553が、遊技テーブル10のテーブル面12から所定の範囲10h内にないコインがあった場合に、エラーを通知してもよい。
【0081】
このような処理によれば、遊技テーブル10上の所定の高さ範囲内に存在しないコイン20があった場合、エラーが通知されるので、管理装置550で管理する情報との不整合を防止することができる。
【0082】
<その他の実施形態>
上記で説明した実施形態においては、ベット領域に位置するコインの金額を特定する例を説明した。しかしながら、上記で説明した実施形態の処理によれば、ベット領域のみならず、ユーザのコインを収容するコイン収容部16a〜16e及び配当用コイン収容部18に収容されているコインの金額などを特定することも可能である。したがって、ゲームの終了した時点において、コイン収容部16a〜16eに収容されているコインの総額と、クレジット管理情報720で管理されているユーザのクレジットとを比較して、一致しない場合には通知部553がエラーを出力する形態を採用してもよい。
【0083】
また、上記で説明した実施形態によれば、例えば遊技テーブル10のテーブル面のベット領域などが記載されたシートを、ゲームに応じて交換することも可能である。例えば、カードゲームであるバカラ用のシートと、ブラックジャック用のシートとを交換する、といったことも可能である。そして、その交換したシートのゲームに対応する、ベット領域や有効領域などの位置関係を管理装置550に設定する。この結果、遊技テーブル10を複数の種類のゲームに転用して用いることが可能となる。すなわち、汎用性の高い遊技テーブル10を提供することが可能となる。
【0084】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0085】
以上説明した本発明の各実施形態を実現するためのプログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、施設における予約の順番待ちを管理するためのコンピュータに、上記プログラムをインストールすることができる。ここで、上記プログラムを記憶した記録媒体は、非一過性の記録媒体であっても良い。非一過性の記録媒体は特に限定されないが、例えば、CD−ROM等の記録媒体であっても良い。
コイン20は、複数の発信源からの測位信号を受信する受信部21と、測位信号に基づいて位置を決定する決定部22と、位置を示す位置情報を出力する出力部23とを備える。管理システム500は、測位信号を送信する複数の発信源15と、測位信号の受信に応じてコインから出力される位置情報とコインの識別情報とを取得する取得部551と、位置情報に基づいて遊技テーブル10上においてコインが置かれた位置を特定し、識別情報に基づいて当該コインに対応付けた金額を特定する特定部552とを備える。