(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電子歯科カルテを表示するステップは、前記表示された電子歯科カルテ上のポインタの位置に従って、前記複数の歯のうちの少なくとも1つと関連付けられる画像を表示することを特徴とする、請求項1に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法。
前記複数の歯のうちの少なくとも1つに関する、歯科医によって提供される情報に従って、前記電子歯科カルテ上に注釈を付するステップをさらに含む、請求項1に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法。
【背景技術】
【0002】
歯科カルテは、歯および支持構造の系統的診断、追跡、および治療において、歯科医を支援する。従来の歯科カルテ作成は、大部分が手作業のプロセスであり、それぞれの歯に関する書面の注釈を、患者ファイルに記録および記憶することを可能にする、標準化された紙のテンプレートの助けにより、歯科医によって行われる。
【0003】
画像記憶および表示のための電子ツールの使用が増加するとともに、必要に応じて表示することができるデジタルデータとして、歯科カルテを維持することの価値が、広く認識されている。Carestream HealthによるKodak Dental SystemsからのSOFTDENTソフトウェアといった、種々のタイプの歯科カルテ作成ソフトウェアが開発されている。
【0004】
米国特許第7,010,153号、発明の名称「Tooth Identification Digital X−Ray Images and Assignment of Information to Digital X−Ray Images」(Zimmerman)を参照されたい。
【0005】
米国特許出願公開第2006/0285636号、発明の名称「Dental Image Charting System and Method」(Razzano)を参照されたい。
【0006】
出願人は、歯科用画像から特定の患者に対する適切な歯科カルテを生成することができ、自動化された診断法を歯画像データに適用することから取得される情報を、生成されたカルテに入力することができる、自動歯科カルテ作成方法および装置に対する必要性が存在することを認識した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、患者から取得されるいくつかのタイプのデジタル画像のうちのいずれかの分析から取得される情報を使用して、患者に対する電子歯科カルテの自動生成のための方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、患者画像から、または患者から取得された測定値から、新たなデータが利用可能になった時、既存の電子歯科カルテを更新するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、少なくとも一部においてプロセッサによって実行される、患者に関する電子歯科カルテを生成するためのデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、前記患者の複数の歯のそれぞれに関する画像データを取得するステップと、前記取得された画像データに従って、前記複数の歯のそれぞれの位置を記号で表す、前記患者に関するテンプレート歯科カルテを生成するステップと、前記複数の歯のそれぞれの歯に関して、(i)前記取得された画像データを、前記歯に関する前記テンプレート歯科カルテにおける対応する記号に関連付けるステップと、(ii)前記歯の状態を識別するように、前記取得された画像データを分析するステップと、(iii)前記識別された状態を、前記歯に対する前記記号と関連付けるステップと、によって、前記電子歯科カルテを形成するように、それぞれの前記記号毎に前記テンプレート歯科カルテにデータを入力するステップと、前記入力された電子歯科カルテを表示するステップと、を含み、前記表示された電子歯科カルテは、前記識別された状態の視覚的指標を提供することを特徴とする。
【0011】
(2)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、画像データを取得するステップは、デジタルカメラ、X線システム、円錐ビームコンピュータ断層撮影システム、および超音波システムのうちの1つ以上から、画像データを取得することが好ましい。
【0012】
(3)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、前記識別された状態は、齲蝕、充填材、充填材タイプ、歯冠、シーリング、根管、およびインプラントからなる群より選択されることが好ましい。
【0013】
(4)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、前記電子歯科カルテを表示するステップは、前記表示された電子歯科カルテ上のポインタの位置に従って、前記複数の歯のうちの少なくとも1つと関連付けられる画像を表示することが好ましい。
【0014】
(5)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯カルテ歯科カルテ作成方法であって、前記複数の歯のうちの少なくとも1つに関する、歯科医によって提供される情報に従って、前記電子歯科カルテ上に注釈を付するステップをさらに含むこと前記複数の歯のうちの少なくとも1つに関する、歯科医によって提供される情報に従って、前記電子歯科カルテ上の入力に注釈を付するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法ことが好ましい。
【0015】
(6)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、前記テンプレート歯科カルテにデータを入力するステップは、前記電子歯科カルテに関係する歯周測定データを取得し、記憶することをさらに含むことが好ましい。
【0016】
(7)上記(6)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、前記歯周測定データは、デジタル信号から取得されることが好ましい。
【0017】
(8)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、後の患者の診察の間、画像取得をスケジュールするための命令を記録することをさらに含むことが好ましい。
【0018】
(9)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、前記テンプレート歯科カルテを生成するステップは、外形画像を取得するように、前記歯に対する画像を処理することが好ましい。
【0019】
(10)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、前記テンプレート歯科カルテを生成するステップは、3次元歯科用画像を生成することが好ましい。
【0020】
(11)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、前記少なくとも1つの歯に対する色合いを表す、1つ以上の値を記憶するステップをさらに含むことが好ましい。
【0021】
(12)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、前記患者の少なくとも1つの歯の少なくとも1つの画像に関するデジタル画像データを取得するステップと、前記撮像された歯の状態を識別するように、前記少なくとも1つの取得されたデジタル画像データを分析するステップと、更新された歯科カルテを形成するように、少なくとも前記識別された状態を、前記電子歯科カルテにおける前記撮像された歯に関する前記記号と関連付けるステップと、前記更新された電子歯科カルテを表示するステップと、によって、1つ以上の歯に関して、前記患者に関する前記電子歯科カルテを更新することが好ましい。
【0022】
(13)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、前記テンプレート歯科カルテにデータを入力することは、少なくとも一部において自動化された手順によって実施されることが好ましい。
【0023】
(14)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、前記テンプレート歯科カルテ上で、1つ以上の欠損歯の位置を示すステップをさらに含むことが好ましい。
【0024】
(15)上記(1)に記載のデジタル画像を使用した自動歯科カルテ作成方法であって、前記取得された画像データは、パノラマX線画像であることが好ましい。
【0025】
(16)また、本発明は、患者に対する歯科用画像を表示するための方法であって、前記患者の複数の歯のそれぞれに関するデジタル画像データを取得するステップと、前記複数の歯のそれぞれの位置を、前記取得された画像データから生成される記号で表す、前記患者に対するテンプレート歯科カルテを生成するステップと、前記取得された画像データと前記複数の歯のそれぞれに対応する記号とが関係付けられた電子歯科カルテを形成するように、前記複数の歯のそれぞれに関して前記生成されたテンプレート歯科カルテにデータ入力するステップと、前記電子歯科カルテを表示するステップと、前記電子歯科カルテとともに、観視者の選択に従って、前記電子歯科カルテ上の記号に関係する、1つ以上のインデックス画像を表示するステップと、を含むことを特徴とする。
【0026】
(17)上記(16)に記載の患者に対する歯科用画像を表示するための方法であって、前記電子歯科カルテを表示することは、命令に応答して、3次元歯科カルテ、または2次元歯科カルテのいずれかを表示することが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の効果は、画像分析から利用可能なデータを使用して、歯科記録の生成および更新を容易にすることである。
【0028】
本発明の別の効果は、同一の歯科カルテ情報を、従来の2次元(2D)形式または3次元(3D)形式で提示する能力に関する。
【0029】
これらの目的は、実例となる実施例としてのみ与えられ、そのような目的は、本発明の1つ以上の実施形態の例示的なものであり得る。開示される発明によって本質的に達成される他の望ましい目的および効果は、当業者にとって明らかな事項となり得る。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の前述および他の目的、特徴、ならびに利点は、添付の図面に例示されるとおり、以下の本発明の実施形態のより具体的な説明から明白であろう。図面の要素は、互いに対して、必ずしも原寸に比例していない。
【0031】
【
図1】電子歯科カルテを生成する、歯科情報システムの概略図である。
【
図2】1つ以上の歯に対する電子歯科カルテを生成および表示するためのプロセス順序を示す、論理流れ図である。
【
図3A】電子歯科カルテにおけるいくつかの歯のそれぞれに関係する画像データを示す図である。
【
図3B】代替的な実施形態による、電子歯科カルテにおけるいくつかの歯のそれぞれに関係する画像データを示す、上面図である。
【
図3C】一実施形態による、電子歯科カルテにおける歯に対して利用可能である参照データの一部を示す図である。
【
図4A】電子歯科カルテを示す、ユーザインターフェースの実施例である。
【
図4B】患者の歯の3D表示を伴う代替的な電子歯科カルテを示す、ユーザインターフェースの実施例である。
【
図5】追加の測定情報を提供するカルテの実施例である。
【
図6】既存の電子歯科カルテを更新するためのプロセス順序を示す、論理流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下は、本発明の好ましい実施形態の詳細な説明であり、同一の参照番号が、いくつかの図面のそれぞれにおいて、同一の構造の要素を識別する図面を参照する。
【0033】
以下の図面および本文において、同様の構成要素は、同様の参照番号で指定され、既に説明された構成要素、および構成要素の配置または相互作用に関する同様の説明は省略される。使用される場合、「第1の」、「第2の」等の用語は、必ずしも任意の順序または優先関係を示すわけではなく、単に1つの要素を別のものからより明確に区別するために使用される場合がある。
【0034】
図1は、本発明の実施形態による、患者画像を取得し、電子歯科カルテを生成するための歯科情報システム10を示す。歯科情報システム10は、少なくとも1つの撮像装置を含み、これは、X線撮像装置12、口腔内カメラといったデジタルカメラ14、または歯構造の体積画像を生成するための歯科円錐ビームコンピュータ断層撮影(CBCT)システム16であってもよい。超音波または他の撮像タイプを使用する装置といった、他のタイプの撮像装置もまた、歯、支持構造、歯茎、および関連組織の画像を取得するために採用され得る。加えて、以降により詳細に説明されるとおり、種々のタイプの診断測定計装もまた、歯科情報システム10と連動するために提供されてもよい。
【0035】
さらに
図1を参照すると、撮像装置からの画像データを取得し、処理し、記憶するための、コンピュータまたは他のタイプの専用論理プロセッサといった、ホストプロセッサ20もまた、画像結果を観視するための1つ以上の表示器26とともに、歯科情報システム10の一部である。ホストプロセッサ20は、1つ以上の画像捕捉デバイスと、および任意選択的に、任意の数の自動化された測定デバイスと、データ通信している。加えて、ホストプロセッサ20はまた、例えば、内部に、またはネットワーク化されたホストもしくはサーバに記憶された、患者記録のデータベースとデータ通信することもできる。コンピュータがアクセス可能なメモリ24も提供され、これは、磁気、光、または他のデータ記憶媒体を使用するデバイスといった、長期の記憶のために使用される、非揮発性メモリ記憶デバイスであってもよい。加えて、コンピュータがアクセス可能なメモリ24は、表示バッファとして画像内容を一時的に記憶するための表示デバイスと併せて使用されるメモリといった、短期のデータ記憶のために使用される、ホストプロセッサ20の中にある、ないしは、それとデータ通信する、ランダムアクセスメモリ(RAM)、または本発明による方法を実践するように、1つ以上のコンピュータを制御するための命令を有するコンピュータプログラムを記憶するために採用されるメモリといった、揮発性電子メモリを備えることができる。
【0036】
図2の論理流れ図は、本発明の一実施形態による、電子歯科カルテを生成し、表示するためのプロセスステップの順序を示す。
図3Aおよび3Bは、一実施形態による、
図2の順序の種々のステップにおいて形成される、データ構造を表す。簡潔に述べると、この順序はまず、
図3Aに示されるような、患者に対するテンプレート歯科カルテ40を形成するように、一組の複数の画像を取得し、使用する。テンプレート歯科カルテ40は、外形図またはサムネイル形態で、取得された画像から検出された歯の配置を示す。このように、テンプレート歯科カルテ40は、新たな患者に対するデータを記録するための開始点として使用される、「空白の」標準的な歯科カルテと類似している。テンプレート歯科カルテ40においては、それぞれの撮像された歯に対する記号42が存在する。しかしながら、標準的な印刷された空白の歯科カルテとは異なり、テンプレート歯科カルテ40は、一実施形態において、画像の分析を使用して、患者の歯の画像から生成され、歯の数、相対的な歯のサイズ、ならびに検出された歯の外形および角度、ならびに、歯または歯の特定の表面に対する、全体的な歯の状態、歯色、ならびに修復および他の治療といった、患者特有の特徴を示す。従来の歯の外形記号を使用する、標準化されたテンプレートは、例えば、対応する歯に対して、画像が取得されたどうかを示すように、適切にハイライトされる、ないしはマークされる、記号42とともに、代替的に使用することができる。
【0037】
図2に示される論理流れを参照すると、テンプレート歯科カルテ40を生成するために必要とされる1つ以上の画像は、画像を取得するステップ100において取得される。取得された画像は、多くのタイプの画像のうちの任意のものとすることも、また、異なるタイプの画像を含む組み合わせであることも可能である。この処理に関して、少なくともいくらかの量の画像データ内容が、特定の歯をテンプレート歯科カルテ40に提示するために、その歯に対して必要とされることが理解され得る。
【0038】
図3A、および
図3Bの代替的な上面図中の部分的なテンプレートカルテに関する実施例によって示されるように、取得される画像は、可視光画像(VL)、蛍光画像(F)、X線画像(X)、CBCT処理において体積画像を形成するために使用される画像投影、輪郭画像、および超音波画像を含む、1つ以上の画像タイプまたは様式であることが可能である。このように、デジタル検出器で直接取得される画像、ならびに走査されたフィルムまたは記憶蛍光体媒体からの画像を使用することができ、それぞれの画像は、対応する歯に対する記号42にインデックス化される。一実施形態において、可視光画像は、口腔内デジタルカメラを使用して取得される。口の1つの四分円から開始し、歯に沿って前進し、複数の歯から取得され、電子歯科カルテにデータを入力するために用いられる情報とともに、診断目的で使用される一連の画像を取得するように、走査順序が慎重にたどられる。少なくとも1つの歯に対して、例えば、異なるビューから撮影された画像といった、複数の画像が取得される。これらは、代替的に、齲蝕状態をより効果的に示すためにその組み合わせを使用することができる、可視光および蛍光画像の両方といった、異なるタイプの画像であることが可能である。個々の歯に対して記憶される、収集された画像はまた、色または色調情報を提供する、画像を含んでもよい。歯番号または他の識別子の手動入力は、一実施形態において、それぞれの画像を、テンプレートにおけるその対応する歯および記号と関連付けるために使用される。コンピュータマウスまたは他のポインタで、対応する記号を選択することといった、タイプされた入力または画面選択は、歯番号を入力するために使用される。代替的に、音声認識を、歯番号識別のために使用することができる。
【0039】
テンプレート生成ステップ110(
図2)において、取得された画像は、技師によって入力される歯番号によって識別される。また、取得された画像は、システムによって促される一連の画像捕捉ステップ、画像が自動的に分析され適切な歯に関連付けられる自動認識、及び明確な技師のラベリング、等による何らかの他の手段によって、患者の口内の個々の歯に相関付けられる。一実施形態において、以前に記憶された画像には、ローカルまたはリモートメモリ、およびテンプレート歯科カルテ40における、その対応する記号42と関連付けられるそれぞれの画像からアクセスすることができる。次いで、取得された画像からの歯の外形および関連特徴は、患者に対するテンプレート歯科カルテ40における記号42の配置を生成するために使用される。多重テンプレート歯科カルテ40は、例えば、
図3Aの側面図および
図3Bの上面図に示されるように、例えば、異なる記号42による一組の歯の異なるビューを使用して、同一の患者に対して生成することができる。代替的に、それぞれの歯に対する1つ以上の画像を記憶し、アクセスするための単一の記号42を有する単一のテンプレートが使用され得る。一実施形態において、テンプレートの組み合わせが採用され、それぞれが他のテンプレート表示にリンクされており、例えば、表示器で、もしくは制御コンソール上で、命令を入力することによって、施術者を、1つのテンプレート表示から別のものへナビゲートすることを可能にする。これは、患者の口の異なる提示を提供し、例えば、歯のどの部分に修復があるかを示すように、記号の局部的位置付けを可能にする。
【0040】
2D画像の使用に加え、再構成されたCBCT画像といった3D画像は、テンプレート歯科カルテ40の少なくとも一部分を生成するための基礎として使用することができる。代替的に、歯表面からの輪郭パターンまたは投影干渉縞を投影、記録、および分析することによって取得される、3D輪郭画像が、テンプレート歯科カルテ40を生成するために使用され得る。一実施形態において、3Dテンプレートは、代替のタイプの歯科カルテ画像として提供される。これは、それぞれの連続的な歯に対して、画像を適切に記憶するため、および画像データにアクセスするために、有利である可能性がある。
【0041】
一実施形態において、テンプレート歯科カルテ40は、画像データから直接生成される。生成されるカルテは、画像が取得された歯のみに関する記号を含む。このため、特定の患者に対する歯科カルテは、それらの歯のみが、システムにアクセス可能な画像を有することを含めて、不完全であると思われる場合がある。特定の歯の他の画像から生成される、低減されたサイズの画像、または外形画像は、標準的な歯の外形パターンを使用するのではなく、テンプレート歯科カルテ40において、記号42として歯を表すために使用される。歯が抜去されている、または欠損している場合、テンプレート歯科カルテ40において、対応する空白箇所、または除去された、もしくは欠損する歯を示す、特定の記号があってもよい。
【0042】
さらに
図2の順序を参照すると、次いで、テンプレート入力ステップ120は、一組の中の1つ以上の歯に関する齲蝕、修復、または治療といった状態を識別するように、取得された画像データを分析して、一組の1つ以上の歯に関するテンプレート歯科カルテにデータを入力する。
図3Aに示される実施例のプロセスにおいて、テンプレート入力ステップ120は、それぞれの歯について連続的にループし、画像を識別するステップ122において、歯に関係する画像を識別し、画像分析ステップ124において、画像分析を実施し、記録ステップ126において結果を記録して、画像分析ステップ124で検出された状態を対応する歯と関連付ける。歯の状態は、検出された齲蝕、および以前の修復または治療を含んでもよく、例えば、根管またはインプラントといった、可視的でない状態を含んでもよい。
【0043】
図2の順序内の画像分析ステップ124は、齲蝕または他の検出された問題のみではなく、修復または以前の治療データを含む、歯の状態を判断するために利用可能である、多くのコンピュータ支援診断ツールのうちの任意のものを利用することができる。利用可能な診断技術の一例は、参照によって本明細書に組み込まれる、Wong et al.の同一出願人による米国特許第7,596,253号、発明の名称「Method And Apparatus For Detection Of Caries」において教示される、反射向上による蛍光撮像(fluorescence imaging with reflectance enhancement:FIRE)技術である。FIRE撮像技術は、齲蝕検出のために、蛍光および反射効果の両方を組み合わせる。FIRE撮像技術はまた、種々のタイプの歯冠および充填材を識別するために、ならびに1つのタイプの充填材を別のものから区別するために使用することができる。次いで、種々のタイプの修復の自動識別は、患者に関する電子歯科カルテに直接入力することができる。また、そのような自動化された入力が、操作者または施術者により確認されるように要求されるようにしてもよい。
【0044】
FIRE撮像に加えて、使用することができる他のツールとしては、可視光技術、蛍光検出技術、およびX線画像の自動化された分析が挙げられる。可視光、蛍光、もしくはX線画像データから、または任意の数の画像データ源からの画像データのいくつかの組み合わせからのデータの自動化された分析は、齲蝕および他の状態の検出のために使用することができる。画像処理アルゴリズムもまた、シーラント、インプラント、歯冠、ブリッジ、充填材、および種々の充填材タイプを含む、歯に適用された種々のタイプの治療、または他の状態を検出することができる。いずれの自動で検出された状態データも記憶され、それぞれの歯または歯群と関連付けられる。種々のタイプのコードおよび記号を、患者に関する新たな画像データが取得される時に自動で入力および更新される、歯の状態または治療を表すために使用することができる。
【0045】
診断データに加えて、歯の一部分と関連付けられる、視覚的色値といった色合いデータを記憶することができる。これらは、例えば、色相・彩度・明度値(hue−saturation−brightness:HSV)またはCommission Internationale de L’Eclairage L*a*b*(CIELAB)色空間といった、標準的な色空間からの値であることが可能である。
【0046】
代替的に、画像分析ステップ124は、施術者観察を使用することができ、歯状態に関するテキストコメント、ならびに自動で識別されなかった可能性がある状態または治療を示すための記号を入力するための注釈を可能にする。
【0047】
パノラマX線画像データからの情報もまた、歯科カルテ40とともに使用することができる。パノラマ画像は、根管治療およびインプラントといった、隠れた特徴に関する情報を提供することができる。画像閾値化は、X線画像において、金属および他の材料の存在を検出するために使用することができる。加えて、パノラマ画像を、例えば、形状識別または他の適切な処理によって、歯の識別のために分析することもでき、パノラマ画像を、1つ以上の歯に関する隠れた特徴に関するデータの入力のために自動で処理することを可能にする。
【0048】
記録ステップ126(
図2)の後、自動化された画像分析の結果は、1つ以上の歯のそれぞれで利用可能となる。
図3Cに示されるように、これらの結果は、表示するステップ130において、入力された電子歯科カルテ50からアクセスおよび表示することができる。
図3Cの実施例において、表示された電子歯科カルテ50内の指定された歯記号42に、マウスカーソル28を「ホバリングすること」もしくは置くこと、または何らかの他のポインティング要素を使用することは、
図2で概説されたプロセスを使用して、歯に対して生成される対応する診断結果の表示を可能にする。ウィンドウ52(
図3C)は、一実施形態における、特定の歯に関する結果を示す。これは、ポップアップウィンドウ、または代替的に、任意の選択された歯に関する記憶された情報の表示のための、ユーザインターフェース画面の専用領域であってもよい。該システムは、任意の識別された状態の視覚的指標を提供する。一実施形態において、選択された歯に関する記号は、拡大またはハイライトされ、例えば、歯のどの部分が修復されたかに関する情報を可能にするように、歯を回転させることによって得られるビューといった、任意の選択された歯の異なるビューが利用可能となる。
【0049】
施術者観察、または特定の画像と関連付けられていないデータを含む、測定されたデータに基づいて、さらなる情報を代替的に追加することができることを理解することができる。歯科医は、例えば、タイプされた入力または音声入力によって、電子歯科カルテ50内の歯に関する追加のデータを入力したい場合がある。代替的に、走査されたメモまたは他のデータもまた、提供され、電子歯科カルテ50とリンクされ得る。
【0050】
図3Cに示されるように、ウィンドウ52は、表示されたデータの施術者注釈のための任意選択的な「メモ」テキスト領域58を含む。これも、施術者が、自動で生成された歯についての情報を編集および訂正することを可能にする。
【0051】
一実施形態において、電子歯科カルテ50内の少なくとも1つの歯と、例えば、異なるホストプロセッサ上に記憶される、またはネットワーク化されたデータベース上に記憶されるといった、少なくとも1つの歯に対して記憶される取得された画像データとの間に、リンクが生成される。電子歯科カルテにおいて、歯画像は、例えば、
図4Aに示されるように、表示された電子歯科カルテ50の側部に、低減されたサイズまたは「サムネイル」形態で、インデックス画像56として表示される。画像は、対応するインデックス画像56が、施術者によって選択される時、表示器上で拡大することができる。一実施形態において、インデックス画像56は、コンピュータマウスまたは他のポインタが、電子歯科カルテ50表示にわたって移動する時、垂直にスクロールする。標準化された、またはカスタム化された表記を使用して、それぞれの歯の識別された状態を示すように、種々のコードおよび色コーディングを、視覚的指標として使用することができる。例えば、赤色は、近々の治療を必要とする歯を示すために使用され得る。他の色は、特定の注意または監視を必要とする歯を示すために、または特定のタイプの修復を有する歯の部分を示すために、使用され得る。このコーディングおよび表記の少なくとも一部分は、最初に、コンピュータによって自動化された検出/診断ソフトウェアによって生成される。一実施形態において、色のハイライトまたはインデックス化は、どのタイプの画像が、それぞれの歯に対して利用可能であるかを示すために使用される。
【0052】
本発明の実施形態はさらに、代替の3D表示が、CBCT撮像、輪郭撮像、または何らかの他の3D撮像タイプから利用可能である場合、これらの表示を伴う歯科カルテ作成を提供するために、従来の2D歯科カルテを拡張する。
図4Bを参照すると、患者の歯の一部分もしくは全てに関する、
図4Aに提供されるより従来的な2D歯科カルテ50の代わりに、またはそれの代替として、提示することができる、代替的な歯科カルテの3D表示51が、例として示される。一実施形態において、観視者は、ユーザインターフェースコマンドを使用して、歯科カルテ50または51について、2Dと3D観察モードとの間で切り替えることができる。これにより、該システムが、3D情報が利用可能な場合、観視者の選好に従って、従来の2D形式および3D形式の両方で、同一の歯科カルテ情報を提示することを可能にする。一実施形態において、3D表示は、対応する記憶された画像を観視するため、またはそれにアクセスするために好ましい位置に回転または配向させることができる。
【0053】
一実施形態において、3D情報は、標準的なテンプレートを使用して表示される。別の実施形態において、3D表示は、患者の輪郭撮像、CBCT撮像、または他の3D撮像から得られる。
【0054】
歯のデジタル画像から取得される情報に加えて、測定情報もまた、電子歯科カルテ50を支援するために、取得および記録されることができる。施術者コマンドは、歯周探針測定値、および歯の近傍の表面に関するポケットの深さの値を与えるBPE(Basic Periodontal Examination:基本歯周検査)コードの入力を記録する、測定カルテ54を表示する。歯周測定値の手動または自動化された入力は、カルテ54上での表示のために取得することができる。一実施形態において、自動調査が、測定データを生成するために提供される。多くのタイプの自動調査が、歯周ポケットの深さを測定するために利用可能であり、超音波、光学、または機械的測定デバイスを使用する調査が含まれる。これらのデバイスは、歯周測定データを提供するデジタル信号を生成する。別の実施形態において、音声転写デバイスが歯科医によって取得される手動読取値を記録し、「ハンズフリー」動作モードで、測定データを取得する。BPEコードまたは他の関係する値の手動入力は、別のオプションである。この目的で表示器を使用することにおける一利点は、歯周測定データを図式で表示することができ、これにより施術者が問題もしくは関心領域を一見して識別すること、および問題の箇所をより効果的に監視することを可能にするということである。加えて、歯周測定値には、歯に固有の情報と併せて、アクセスすることができる。画像内容から取得される歯情報と同様に、カーソル28は、歯または領域を指し示し、例えば、ウィンドウ56等の中に、有用な測定情報を表示するために使用することができる。
【0055】
電子歯科カルテ50は生成された後に、治療ワークフローを支援および改善するために利用することができる。電子歯科カルテ50は、後続情報、および歯状態もしくは治療に関する更新を記録するためのツールとしての役割を果たし、患者に関する治療計画の生成のための指針として機能することができる。
図6の論理流れ図は、電子歯科カルテの更新のためのステップの順序を示す。画像、データ、および測定値を取得するステップ104は、施術者が、任意のタイプの患者の歯の画像を更新し、これらを既存の電子歯科カルテ50と相関付けることを可能にする。使用される画像は、電子歯科カルテ50を生成するために最初に使用された画像のタイプのうちの任意のものを含むことができる。最近の修復といった、歯または歯の治療に関する追加の情報は、自動でまたは手動で入力することができる。一実施形態において、制御ソフトウェアは、歯科医師もしくは歯科技師に、画像を取得するように、または現在利用可能な画像もしくは他のデータが無い歯についてのいかなる情報をも提供するように指示する。次いで、更新するステップ150は、この追加の情報を使用して、修正された電子歯科カルテ50を生成する。テンプレート入力ステップ160は、追加の画像および情報が利用可能となったそれぞれの歯を配列する。それぞれの歯に対して、画像分析ステップ162が実行され、結果は、記録ステップ164において記憶される。次いで、表示するステップ170は、新たな情報で更新された、修正された電子歯科カルテを表示する。
【0056】
電子歯科カルテを使用することで利用できる機能として、タイミングおよびスケジューリングソフトウェアならびにユーティリティへのリンクがある。例えば、施術者は、次の患者の診察の際、または所定の時間間隔の後に、関心がある領域のX線を取得するように、リマインダを送信するためのコマンドを入力することができる。この情報は、歯科施設で使用されるスケジューリングソフトウェアへのフィードとして、使用され得る。
【0057】
本発明の電子歯科カルテは、従来の紙の歯科カルテの電子版としての役割を果たすだけでなく、患者の口腔内状態に関する更新された情報の記憶のための好都合なツールを提供し、診断および治療の一部の態様に関しては、患者の歯および全体的な口腔衛生に関する後続データの集合体を誘導および組織化するのに役立つことができるということが分かる。電子歯科カルテは、歯科データを取得するために画像、測定、および分析を提供する、自動化されたツールと協働することができる。新たな診断ユーティリティが開発されるにつれて、例えば、電子歯科カルテを、支援ユーティリティとして、それらの能力を組み込むように再構成することができ、歯科医がより効果的に患者の状態を治療するのに役立つ。別の利点として、患者についての極めて完全な歯科情報を、1つの場所から別の場所へ送信することができる。これにより、患者が、よその町にいる時、または特定の歯科業が行われていない新たな場所への転居後、適切な歯科治療を得るのに役立つことができる。
【0058】
本発明を、本発明の好ましい実施形態を特に参照して、詳細に説明してきたが、本発明の精神および範囲内で、改変および修正を行うことができることが理解されよう。したがって、本発明の開示される実施形態は、全ての点において、例示的なものであり、制限的なものではないと見なされる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、本発明の同等物の意義および範囲内にある全ての変更は、本発明に包含されることが意図される。