(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛スズ(ZTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(ZIO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化アルミニウム亜鉛スズ(AZTO)のうちの少なくとも一種である請求項2あるいは3に記載の製造方法。
ステップb11においてステップa23と同じマスクを使用し、ステップa23においてポジ型フォトレジストを使用し、ステップb11においてネガ型フォトレジストを使用する請求項3に記載の製造方法。
ステップaが完了したベース基板上にフォトレジストを塗布し、露光、フォトレジスト剥離工程を経て前記二つの独立したオーミック接触領域の間のフォトレジスト8を保留するステップb21と、
ソース、ドレイン金属薄膜を形成し、剥離工程を経てソース電極とドレイン電極を形成するステップb22とを含むステップbを更に含む請求項1ないし3のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施例における図面をもって、本発明の実施例の技術方案を明白かつ全面的に説明する。説明される実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本発明における実施例に基づき、当業者が創造力を用いることなく得られる他の実施例は全て、本発明の保護範囲に属する。
【0013】
実施例1
図1に示すように、本発明の実施例は、ゲート電極2、ゲート絶縁層3、半導体活性層、ソース電極61、ドレイン電極62及びパッシベーション膜7を含む非晶質酸化物薄膜トランジスタ100を提供する。前記半導体活性層はチャネル層4とオーミック接触層5からなる二重構造であり、かつ前記チャネル層4は前記オーミック接触層5に比べ酸素含有量が高い。この非晶質酸化物薄膜トランジスタ100はベース基板1上に形成される。
【0014】
前記チャネル層4は前記ゲート絶縁層3上に設置するとともに互い接し、前記オーミック接触層5は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域51、52はそれぞれ前記ソース電極61、ドレイン電極62と接する。
【0015】
前記チャネル層4は酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成され、前記オーミック接触層5は無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成される。前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO
2/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気とする。前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛(ZnO)系あるいは酸化スズ(SnO
2)系酸化物とし、具体的には、前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛スズ(ZTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(ZIO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化アルミニウム亜鉛スズ(AZTO)のうちの少なくとも一種とすることができる。
【0016】
本発明が提供する非晶質酸化物薄膜トランジスタにおいて、二重構造の半導体活性層はチャネル層とオーミック接触層を作成することにより形成され、かつチャネル層はオーミック接触層に比べ酸素含有量が高い。抵抗率は酸素含有量が高い程大きくなるが、オーミック接触層はチャネル層に比べ酸素含有量が低いため、オーミック接触層の抵抗値はチャネル層の抵抗値より小さい。また、オーミック接触層はソース、ドレイン電極と接するため、ソース、ドレイン電極の寄生抵抗を抑え、電流駆動能力を高めることができる。
【0017】
本発明の実施例は他に、以下のステップを含む前記非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造方法を提供する。半導体活性層を形成する工程において、チャネル層4とオーミック接触層5をそれぞれ作成し前記半導体活性層を形成し、前記チャネル層4は前記オーミック接触層5に比べ酸素含有量が高い。前記チャネル層4は前記ゲート絶縁層3と接し、前記オーミック接触層5は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域51、52はそれぞれ前記ソース電極61、ドレイン電極62と接する。
【0018】
一例において、非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造方法は以下のステップを含む。
【0019】
ステップ101において、
図2に示すように、ベース基板1上にゲート金属薄膜を形成し、フォトリソグラフィ技術によりゲート電極2を形成する。
【0020】
例として、例えばガラス、ケイ素あるいはポリエチレンテレフタラートPETのベース基板1上に、スパッタによりモリブデンMo、あるいはアルミニウムAl、ネオジムNdの二重金属、あるいは金Au、チタンTiの二重金属、あるいは合金を堆積しゲート金属薄膜を形成する。その後フォトリソグラフィ技術によりゲート金属薄膜にパターニングを施し、薄膜トランジスタのゲート電極2を形成する。
【0021】
フォトリソグラフィ技術はフォトレジスト塗布、露光、現像、エッチング、フォトレジスト除去などの工程を含む。フォトレジストはポジ型フォトレジストを例に取り、即ち露光された部分は現像の過程において除去され、露光されなかった部分は現像の過程において保留される。ネガ型フォトレジストの場合は逆となる。
【0022】
ステップ102において、
図3に示すように、ステップ101が完了したベース基板1上にゲート絶縁層3を形成し、前記ゲート絶縁層3にパターニングを施す。
【0023】
例として、熱成長、またはプラズマ化学気相蒸着を採用し、あるいはSiOx、Si
3N
4、AlOx、TiOx、HfO
2のうち少なくとも一種の材料をスパッタしゲート絶縁層を形成する。あるいは、予めアルミニウムAl、チタンTi、ハフニウムHfのうちの少なくとも一種の金属をスパッタした上で酸素プラズマ処理を施し、AlOx、TiOx、HfO
2のうち少なくとも一種の材料からなるゲート絶縁層を形成する。もちろん、他の金属であっても良い。
【0024】
また、ゲート絶縁層を完成した後、フォトリソグラフィ技術によりゲート絶縁層にパターニングを施しても良い。これによりビアーホールの形成及びリードの形成などの工程において発生する接触不良や導線の割れ等の問題を防止でき、工程の効率と良品率を高めることができる。
【0025】
ステップ103において、窒素、あるいは酸素、あるいは真空雰囲気においてステップ102が完了したベース基板1にアニーリングを施す。アニーリング温度の範囲は350°C〜400°Cである。
【0026】
本実施例において、アニーリング温度は400°Cとする。
【0027】
このステップにおいて、アニーリングによりゲート絶縁層の不安定的な表面状態と界面状態の不均一、例えば格子欠陥やダングリングボンドなどを減らすことができる。これにより部品のしきい値電圧のばらつきをある程度低減でき、よって部品の長期安定性を高めることができる。また、アフターアニーリングのみを行う従来の製造方法と違い、本実施例ではアニーリングをゲート絶縁層の形成後、かつ半導体活性層の形成前に行うことにより、半導体活性層への影響(例えば化学組成比の影響)を抑え、技術効果を改善できる。
【0028】
ステップ104において、チャネル層4とオーミック接触層5をそれぞれ作成し前記半導体活性層を形成する。前記チャネル層4は前記オーミック接触層5に比べ酸素含有量が高い。
【0029】
一例において、ステップ104は以下のステップを含む。
【0030】
ステップa11において、
図4に示すように、酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をベース基板1上にスパッタし、第一半導体活性層薄膜を形成する。無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし、第二半導体活性層薄膜を形成する。
【0031】
前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO
2/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気とする。前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛(ZnO)系あるいは酸化スズ(SnO
2)系酸化物とし、例えば前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛スズZTO、酸化インジウムスズITO、酸化亜鉛インジウムZIO、酸化インジウムガリウムIGO、酸化インジウムガリウム亜鉛IGZO、酸化アルミニウム亜鉛スズAZTOのうちの少なくとも一種とすることができる。
【0032】
例として、非晶質酸化物材料をそれぞれ酸素・アルゴン混合雰囲気と純アルゴン雰囲気下においてスパッタし、第一半導体活性層薄膜と第二半導体活性層薄膜を形成することができる。
【0033】
ステップa12において、
図5に示すように、ステップa11が完了したベース基板1上において、フォトリソグラフィ技術により前記第一半導体活性層薄膜と第二半導体活性層薄膜にパターニングを施し、チャネル層4を形成する。
【0034】
本ステップのフォトリソグラフィ技術におけるコーティングプロセスではポジ型フォトレジストを使用し、このフォトリソグラフィ技術におけるエッチングプロセスはウェットエッチングとしても良い。
【0035】
ステップa13において、
図6に示すように、ステップa12が完了したベース基板1上において、フォトリソグラフィ技術により前記第二半導体活性層薄膜にパターニングを施してオーミック接触層を形成し、かつ前記オーミック接触層は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられる。
【0036】
本ステップのフォトリソグラフィ技術におけるエッチングプロセスはドライエッチングとしても良い。
【0037】
あるいは、二重構造である半導体活性層に予めフォトレジストを塗布して非晶質酸化物をスパッタし、その後に剥離する方法を用いても良い。以下この方法について詳細説明をする。
【0038】
一例において、ステップ104は以下のステップを含む。
【0039】
ステップa20において、
図7に示すように、ステップ103が完了したベース基板1上にフォトレジスト8を塗布し、
図8に示すように、露光、フォトレジスト剥離(あるいは現像)工程を経てチャネル層領域のフォトレジスト8を除去する。
【0040】
本ステップの露光工程はステップa12のフォトリソグラフィ技術における露光工程と同じマスクを使用することができ、本ステップにおいて塗布するフォトレジストはネガ型フォトレジストとすれば良い。
【0041】
ステップa21において、
図9に示すように、酸素雰囲気においてステップa20が完了したベース基板1に非晶質酸化物材料をスパッタし、第一半導体活性層薄膜を形成する。無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし、第二半導体活性層薄膜を形成する。
【0042】
前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO
2/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気とする。
【0043】
ステップa22において、ステップa21が完了したベース基板1上において、剥離工程を経て残留したフォトレジスト及びこの残留フォトレジストに対応する第一半導体活性層薄膜と第二半導体活性層薄膜の一部を除去し、チャネル層4を形成する。この時、ベース基板1の状態は
図5を参照する。
【0044】
ステップa23において、ステップa22が完了したベース基板1上において、フォトリソグラフィ技術により前記第二半導体活性層薄膜にパターニングを施してオーミック接触層を形成し、かつ前記オーミック接触層は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられる。
【0045】
この時、ベース基板1の状態は
図6を参照する。
【0046】
ステップ105において、ステップ104が完了したベース基板1上においてソース、ドレイン電極61、62を形成する。
【0047】
ステップ105は以下のステップを含む。
【0048】
ステップb21において、
図10に示すように、ステップ104が完了したベース基板1上にフォトレジストを塗布し、露光、フォトレジスト剥離工程を経て前記二つの独立したオーミック接触領域51,52の間のフォトレジスト8を保留する。
【0049】
本ステップの露光工程はステップa13またはステップa23のフォトリソグラフィ技術における露光工程と同じマスクを使用することができるが、本実施例においてステップa13またはステップa23のフォトリソグラフィ技術に使用されるフォトレジストはポジ型フォトレジストであり、本ステップにおいて塗布するフォトレジストはネガ型フォトレジストである。マスクの製造ステップが減少したため、生産コストを抑えることができる。
【0050】
本ステップを行うのは、主にこれに引き続く工程がチャネル層にダメージを与えることを考慮し、フォトレジストで予めチャネル層を保護するためである。
【0051】
ステップb23において、アルゴンArプラズマでオーミック接触領域の表面を処理する。
【0052】
例えば、一例において、アルゴンArプラズマで部品の表面を処理する。このステップはチャネルの材料の成分によるArプラズマ照射の効果の差、例えばGa-O結合、In-O結合、Zn-O結合切断の効果の違いを利用し、オーミック接触区域の材料特性を変え、接触の効果を高めるものである。また、チャネル接触領域の表面粗さを増やすことにより接触の効果をさらに高めている。
【0053】
ステップb22において、
図11に示すように、ソース、ドレイン金属薄膜を形成する。
図12に示すように、剥離工程を経てソース電極とドレイン電極61、62を形成する。
【0054】
本ステップにおいて、スパッタによりモリブデンMo、あるいはアルミニウムAl、ネオジムNdの二重金属、あるいは金Au、チタンTiの二重金属、あるいは合金を堆積し、ソース、ドレイン金属薄膜を形成する。その後剥離工程によりソース、ドレイン金属薄膜にパターニングを施し、薄膜トランジスタのソース電極61とドレイン電極62を形成する。この工程においてチャネル領域以外の箇所で金属薄膜の剥離を行う必要がある場合、例えばソース電極61とドレイン電極62をベース基板1上の他の部品から電気隔離する場合、これらの箇所にもフォトレジストを保留しなければならない。
【0055】
ステップ106において、パッシベーション膜7を形成する。
図1を参照。このパッシベーション膜7はプラズマ化学気相蒸着により、例えば酸化ケイ素、あるいは酸化ケイ素、ポリメタクリル酸メチルPMMA二重層、あるいは酸化ケイ素、ポリイミドPI二重層、あるいは酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素三重層を堆積することにより得られる。
【0056】
ステップ107、得られた部品に後アニーリングを施す。例えば、真空、あるいは窒素、あるいは酸素中においてアニーリングを行い、アニーリング温度の範囲は120°C〜400°Cとする。
【0057】
本発明の実施例が提供する非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造方法は、低抵抗のオーミック接触層を形成することによりソース、ドレイン電極の寄生抵抗を減らすことができる。さらに、ゲート絶縁層形成後、かつ半導体活性層形成前にアニーリングを行うことによりトランジスタの不安定的な表面状態と界面状態の不均一を減らすことができ、これによりデバイスのしきい値電圧のばらつきを低減し、デバイスの安定性を高めることができる。予めフォトレジストを塗布してソース、ドレイン金属薄膜をスパッタし、フォトリソグラフィ技術によりソース、ドレイン電極を形成することにより、引き続く工程においてソース、ドレイン電極を形成するフォトリソグラフィ技術がチャネル層に及ぼす影響を防止できる。アルゴンArプラズマでオーミック接触領域の表面を処理することにより、表面特性を変え、オーミック接触領域とソース、ドレイン電極の接触効果を高め、これによりデバイスの性能を向上させることができる。
【0058】
また、前記非晶質酸化物薄膜トランジスタは、例えば液晶ディスプレイパネルのディスプレイに応用できる。一例において、前記液晶ディスプレイパネルはゲートラインとデータラインが画定する画素ユニットを含む。前記画素ユニット内には非晶質酸化物薄膜トランジスタが形成されている。この非晶質酸化物薄膜トランジスタの構造は
図1参照。前記非晶質酸化物薄膜トランジスタはゲート電極2、ゲート絶縁層3、半導体活性層、ソース電極61、ドレイン電極62及びパッシベーション膜7を含み、前記半導体活性層はチャネル層4とオーミック接触層5の二重構造であり、かつ前記チャネル層4は前記オーミック接触層5に比べ酸素含有量が高い。
【0059】
前記チャネル層4は前記ゲート絶縁層3と接し、前記オーミック接触層5は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域51、52はそれぞれ前記ソース電極61、ドレイン電極62と対応する。
【0060】
前記チャネル層4は酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成され、前記オーミック接触層5は無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成される。前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO
2/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気とする。前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛(ZnO)系あるいは酸化スズ(SnO
2)系酸化物とし、例えば前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛スズ(ZTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウムZIO、酸化インジウムガリウムIGO、酸化インジウムガリウム亜鉛IGZO、酸化アルミニウム亜鉛スズAZTOのうちの少なくとも一種とすることができる。
【0061】
本発明が提供する前記非晶質酸化物薄膜トランジスタを使用した液晶ディスプレイパネルは同じく、薄膜トランジスタのソース、ドレイン電極の寄生抵抗を抑え、よって電流駆動能力を高めることができる。
【0062】
実施例2
図13に示すように、本発明の実施例は他に、ゲート電極2、ゲート絶縁層3、半導体活性層、ソース電極61、ドレイン電極62及びパッシベーション膜7を含む非晶質酸化物薄膜トランジスタ200を提供する。前記半導体活性層はチャネル層4とオーミック接触層5からなる二重構造であり、かつ前記チャネル層4は前記オーミック接触層5に比べ酸素含有量が高い。
【0063】
前記チャネル層4は前記ゲート絶縁層3上に設置するとともに互い接し、前記オーミック接触層5は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域51、52はそれぞれ前記ソース電極61、ドレイン電極62と対応する。
【0064】
前記二つの独立したオーミック接触領域51、52の間にはエッチング保護層9が形成され、前記エッチング保護層9は前記チャネル層4と前記パッシベーション膜7の間に位置する。
【0065】
前記チャネル層4は酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成され、前記オーミック接触層5は無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成される。前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO
2/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気とする。前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛(ZnO)系あるいは酸化スズ(SnO
2)系酸化物とし、具体的には、前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛スズ(ZTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(ZIO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化アルミニウム亜鉛スズ(AZTO)のうちの少なくとも一種とすることができる。
【0066】
エッチング保護層9を形成する目的はソース、ドレイン電極をパターニングする工程がチャネル層に及ぼす影響を防止することにあり、デバイスの性能を高めることができる。
【0067】
本発明の実施例はまた、
図13に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造方法を提供する。この製造方法は実施例1において提供した製造方法とはステップ105のみ違いがあるため、以下ステップ105のみに対し詳細説明を行う。他のステップは実施例1参照。
【0068】
本発明の実施例において、ステップ105は以下のステップを含む。
【0069】
ステップb11において、
図14に示すように、ステップ104が完了したベース基板1上にエッチング保護薄膜を形成し、フォトリソグラフィ工程を経てエッチング保護層9を形成する。前記エッチング保護層9は前記チャネル層4と前記パッシベーション膜7の間に位置し、かつ前記エッチング保護層9の材料は絶縁材料とする。
【0070】
一例において、ステップ104が完了したベース基板1上にプラズマ化学気相蒸着あるいはスパッタによりエッチング保護薄膜を形成し、フォトリソグラフィ工程を経てエッチング保護薄膜にパターニングを施し、エッチング保護層9を形成する。この絶縁材料は例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンと窒化ケイ素のうちの少なくとも一種とすることができる。
【0071】
本ステップの露光工程は実施例1のステップa13またはステップa23のフォトリソグラフィ技術と同じマスクを使用することができるが、本実施例においてステップa13またはステップa23のフォトリソグラフィ技術に使用されるフォトレジストはポジ型フォトレジストであり、本ステップにおいて塗布するフォトレジストはネガ型フォトレジストである。マスクの製造を節減したため、生産コストを抑えることができる。
【0072】
ステップb13おいて、アルゴンプラズマでオーミック接触領域の表面を処理する。
【0073】
例えば、アルゴンプラズマで表面処理を行う。このステップはチャネルの材料の成分によるArプラズマ照射の効果の差、例えばGa-O結合、In-O結合、Zn-O結合切断の効果の違いを利用し、オーミック接触区域の材料特性を変え、接触の効果を高めるものである。また、チャネル接触領域の表面粗さを増やすことにより接触の効果をさらに高めている。
【0074】
ステップb12において、
図15に示すように、ソース、ドレイン金属薄膜を形成する。パターニング工程を経てソース電極61とドレイン電極62を形成する。
【0075】
その後、引き続く工程を経て最終的に
図13に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタを完成する。
【0076】
本発明の実施例が提供する非晶質酸化物薄膜トランジスタ及びその製造方法は、低抵抗のオーミック接触層を形成することによりソース、ドレイン電極の寄生抵抗を減らすことができる。さらに、エッチング保護層を形成することにより、引き続く工程においてソース、ドレイン電極を形成するフォトリソグラフィ技術がチャネル層に及ぼす影響を防止できる。
【0077】
また、本発明の実施例において提供した非晶質酸化物薄膜トランジスタは、例えば液晶ディスプレイパネルのディスプレイに応用できる。前記液晶ディスプレイパネルはゲートラインとデータラインが画定する画素ユニットを含む。前記画素ユニット内には非晶質酸化物薄膜トランジスタが形成されている。このうち、当該非晶質酸化物薄膜トランジスタの構造は
図13参照。前記非晶質酸化物薄膜トランジスタはゲート電極2、ゲート絶縁層3、半導体活性層、ソース電極61、ドレイン電極62及びパッシベーション膜7を含み、前記半導体活性層はチャネル層4とオーミック接触層5の二重構造であり、かつ前記チャネル層4は前記オーミック接触層5に比べ酸素含有量が高い。
【0078】
前記チャネル層4は前記ゲート絶縁層3と接し、前記オーミック接触層5は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域51、52はそれぞれ前記ソース電極61、ドレイン電極62と接する。
【0079】
前記二つの独立したオーミック接触領域51、52の間にはエッチング保護層9が形成され、前記エッチング保護層9は前記チャネル層4と前記パッシベーション膜7の間に位置する。
【0080】
前記チャネル層4は酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成され、前記オーミック接触層5は無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成される。前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO
2/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気とする。前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛(ZnO)系あるいは酸化スズ(SnO
2)系酸化物とし、例えば前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛スズ(ZTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(ZIO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化アルミニウム亜鉛スズ(AZTO)のうちの少なくとも一種とすることができる。
【0081】
本発明が提供する
図13に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタを使用した液晶ディスプレイパネルは同じく、薄膜トランジスタのソース、ドレイン電極の寄生抵抗を抑え、よって電流駆動能力を高めることができる。
【0082】
以上に述べたのは本発明の具体実施例に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限るものではなく、本発明が開示する技術範囲内において、本技術領域を熟知する技術者が簡単に想像できる変更や取替は全て、本発明の保護範囲に含まれるべきである。このため、本発明の保護範囲は特許請求の範囲をもとにすべきである。