特許第6099314号(P6099314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6099314非晶質酸化物薄膜トランジスタ及びその製造方法、その薄膜トランジスタを含むディスプレイパネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099314
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】非晶質酸化物薄膜トランジスタ及びその製造方法、その薄膜トランジスタを含むディスプレイパネル
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20170313BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20170313BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20170313BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20170313BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20170313BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170313BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20170313BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   H01L29/78 618A
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 616V
   H01L29/78 619A
   H01L29/78 627F
   H01L21/28 A
   H01L21/28 301B
   H01L29/50 M
   G02F1/1368
   H05B33/14 A
   H01L29/78 616K
   H01L29/78 616U
   G09F9/30 338
   G09F9/00 338
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-73363(P2012-73363)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2012-209557(P2012-209557A)
(43)【公開日】2012年10月25日
【審査請求日】2015年2月18日
(31)【優先権主張番号】201110076083.9
(32)【優先日】2011年3月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲曉▼▲ディ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 力
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 海晶
【審査官】 岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−056540(JP,A)
【文献】 特開2010−171404(JP,A)
【文献】 特開2010−205932(JP,A)
【文献】 特開2010−123937(JP,A)
【文献】 特開平04−002135(JP,A)
【文献】 特開2011−054946(JP,A)
【文献】 特開平02−237161(JP,A)
【文献】 特開平09−153625(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0025676(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記非晶質酸化物薄膜トランジスタはゲート電極、ゲート絶縁層、半導体活性層、ソース電極とドレイン電極を含み、前記方法は、
オーミック接触層と、前記オーミック接触層に比べ酸素含有量が高いチャネル層とをそれぞれ作成し前記半導体活性層を形成するステップaを含み、
前記チャネル層は前記ゲート絶縁層と接し、前記オーミック接触層は二つの独立したオーミック接触領域に分けられ
更に、ステップaが完了したベース基板上に絶縁材料からなるエッチング保護薄膜を形成し、パターニングによりエッチング保護層を形成するステップb11と、
ソース、ドレイン金属薄膜を形成し、パターニングによりソース電極とドレイン電極を形成するステップb12であって、前記二つの独立したオーミック接触領域はそれぞれ前記ソース電極、ドレイン電極と接するステップb12とを含むステップbを含む、非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項2】
前記チャネル層とオーミック接触層をそれぞれ作成し前記半導体活性層を形成するステップは、
酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をベース基板にスパッタし、第一半導体活性層薄膜を形成し、無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし、第二半導体活性層薄膜を形成するステップa11と、
ステップa11が完了したベース基板上において、前記第一半導体活性層薄膜と第二半導体活性層薄膜にパターニングを施し、チャネル層を形成するステップa12と、
ステップa12が完了したベース基板上において、前記第二半導体活性層薄膜にパターニングを施してオーミック接触層を形成し、かつ前記オーミック接触層は二つの独立したオーミック接触領域に分けられるステップa13とを含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記チャネル層とオーミック接触層をそれぞれ作成し前記半導体活性層を形成するステップは、
ベース基板上にフォトレジスト8を塗布し、チャネル層領域のフォトレジスト8を除去するステップa20と、
酸素雰囲気においてステップa20が完了したベース基板に非晶質酸化物材料をスパッタし、第一半導体活性層薄膜を形成し、無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし、第二半導体活性層薄膜を形成するステップa21と、
ステップa21が完了したベース基板上において、剥離工程を経て残留したフォトレジスト及び前記残留したフォトレジストに対応する第一半導体活性層薄膜の一部と第二半導体活性層薄膜の一部を除去し、チャネル層を形成するステップa22と、
ステップa22が完了したベース基板上において、前記第二半導体活性層薄膜にパターニングを施してオーミック接触層を形成し、かつ前記オーミック接触層は二つの独立したオーミック接触領域に分けられるステップa23とを含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛(ZnO)系あるいは酸化スズ(SnO)系酸化物である請求項2あるいは3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛スズ(ZTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(ZIO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化アルミニウム亜鉛スズ(AZTO)のうちの少なくとも一種である請求項2あるいは3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気であって、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気である請求項2あるいは3に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップb11においてステップa23と同じマスクを使用し、ステップa23においてポジ型フォトレジストを使用し、ステップb11においてネガ型フォトレジストを使用する請求項3に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップbにおいて、ステップb12の前に、アルゴンプラズマでオーミック接触領域の表面を処理するステップb13を含む請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップaが完了したベース基板上にフォトレジストを塗布し、露光、フォトレジスト剥離工程を経て前記二つの独立したオーミック接触領域の間のフォトレジスト8を保留するステップb21と、
ソース、ドレイン金属薄膜を形成し、剥離工程を経てソース電極とドレイン電極を形成するステップb22とを含むステップbを更に含む請求項1ないし3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
ステップbにおいて、ステップb22の前に、アルゴンプラズマでオーミック接触領域の表面を処理するステップb23を含む請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
ステップaの前に、
ベース基板上にゲート金属薄膜を形成し、パターニングによりゲート電極を形成するステップuと、
ステップuが完了したベース基板上にゲート絶縁層を形成し、前記ゲート絶縁層をパターニングするステップvとを含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
ステップaの前に、
窒素、酸素、あるいは真空雰囲気においてステップvが完了したベース基板に、350°C以上、400°C未満であるアニーリング温度の範囲内にアニーリングを施すステップwを含む請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非晶質酸化物薄膜トランジスタ及びその製造方法、ディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶ディスプレイの分野において幅広く採用されている薄膜トランジスタ(TFT)には非晶質ケイ素薄膜トランジスタと多結晶ケイ素薄膜トランジスタがある。水素化非晶質ケイ素(a-Si: H)薄膜トランジスタは製造工程が簡単であり、均一性が良いなどの特徴からアクティブマトリクスフラットパネルディスプレイ工業の主流技術とされるが、移動率が低く、安定性に欠けるなどの欠点のため、大面積AMOLED(Active Matrix Organic Light Emitting Diode、アクティブマトリクス有機発光ダイオード)分野への応用が少ない。多結晶ケイ素薄膜トランジスタは、非晶質ケイ素薄膜トランジスタに比べ移動率が高く、安定性に優れる利点があり、そのチャネルの製造方法には主に固相結晶化(spc)とエキシマレーザーアニール(ELA)があるが、前者は長時間の高温アニール工程を伴うため大面積ガラス基板には適用せず、後者にも均一性に欠けるなどの問題が存在するため同じく大面積ガラス基板への応用が実現できない。
【0003】
大面積AMOLEDディスプレイを実現するため、酸化亜鉛(ZnO)系と酸化スズ(SnO2)系を主とする非晶質酸化物薄膜トランジスタ(Amorphous Oxide TFT)は非晶質ケイ素と多結晶ケイ素薄膜トランジスタの利点を集め、高いキャリア移動率や、均一性に優れるなどの利点があるため、ますます重視化されるようになっている。しかし、非晶質酸化物により形成される半導体チャネルはキャリア濃度が高いことが多く、しきい値電圧がかなり低くなり、時には(n型部品において)マイナス値まで下がることもある。即ちゲートゼロ電圧にバイアスをかける際、デバイスが十分に電気切断されない。非晶質酸化物によりキャリア濃度が低い半導体チャネル高抵抗層を形成する場合、ソース及びドレイン電極の寄生抵抗が高まり、電流駆動能力が落ちることにつながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施例は、非晶質酸化物薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供し、ソース及びドレイン電極の寄生抵抗を抑えることができる。
【0005】
本発明の一実施例は、ゲート電極、ゲート絶縁層、半導体活性層、ソース電極及びドレイン電極を含む非晶質酸化物薄膜トランジスタを開示し、前記半導体活性層はチャネル層とオーミック接触層を含み、かつ前記チャネル層は前記オーミック接触層に比べ酸素含有量が高い。前記チャネル層は前記ゲート絶縁層と接し、前記オーミック接触層は二つの独立したオーミック接触領域に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域はそれぞれ前記ソース電極、ドレイン電極と接する。
【0006】
本発明の他の実施例は、アレイ基板を含む液晶ディスプレイを開示する。前記アレイ基板は、ベース基板上に形成され、互いに交差し画素ユニットを画定するゲートラインとデータラインを含む。前記画素ユニットにおいて、ゲート電極、ゲート絶縁層、半導体活性層、ソース電極とドレイン電極を含む非晶質酸化物薄膜トランジスタが形成され、前記半導体活性層はチャネル層とオーミック接触層を含み、かつ前記チャネル層は前記オーミック接触層に比べ酸素含有量が高い。前記チャネル層は前記ゲート絶縁層と接し、前記オーミック接触層は二つの独立したオーミック接触領域に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域はそれぞれ前記ソース電極、ドレイン電極と接する。
【0007】
本発明のさらに他の実施例は非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造方法を開示し、前記非晶質酸化物薄膜トランジスタはゲート電極、ゲート絶縁層、半導体活性層、ソース電極とドレイン電極を含み、前記方法は以下のステップを含む。
【0008】
ステップaにおいて、チャネル層とオーミック接触層をそれぞれ形成することにより前記半導体活性層を形成する。前記チャネル層は前記オーミック接触層に比べ酸素含有量が高い。
【0009】
前記チャネル層と前記ゲート絶縁層を接し、前記オーミック接触層は二つの独立したオーミック接触領域に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域はそれぞれ前記ソース電極、ドレイン電極と接する。
【0010】
本発明の実施例または従来の技術における技術方案をより明白に説明するため、以下、実施例または従来の技術の説明に必要な図面について簡単な説明をする。以下の説明における図面は本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者は創造力を用いることなくこれらの図面をもとに他の図面を得られることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1が提供する非晶質酸化物薄膜トランジスタの断面構造を示す図。
図2図1に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造工程の主なステップを示す図。
図3図1に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造工程の主なステップを示す図。
図4図1に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造工程の主なステップを示す図。このステップは、図7図9に置き換えることができる。
図5図1に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造工程の主なステップを示す図。
図6図1に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造工程の主なステップを示す図。
図7図1に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造工程の主なステップを示す図。
図8図1に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造工程の主なステップを示す図。
図9図1に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造工程の主なステップを示す図。
図10図1に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造工程の主なステップを示す図。
図11図1に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造工程の主なステップを示す図。
図12図1に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造工程の主なステップを示す図。
図13】実施例2が提供する非晶質酸化物薄膜トランジスタの断面構造を示す図。
図14】エッチングレジスト層及びソース、ドレイン電極を形成するステップを示す図。
図15】エッチングレジスト層及びソース、ドレイン電極を形成するステップを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施例における図面をもって、本発明の実施例の技術方案を明白かつ全面的に説明する。説明される実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本発明における実施例に基づき、当業者が創造力を用いることなく得られる他の実施例は全て、本発明の保護範囲に属する。
【0013】
実施例1
図1に示すように、本発明の実施例は、ゲート電極2、ゲート絶縁層3、半導体活性層、ソース電極61、ドレイン電極62及びパッシベーション膜7を含む非晶質酸化物薄膜トランジスタ100を提供する。前記半導体活性層はチャネル層4とオーミック接触層5からなる二重構造であり、かつ前記チャネル層4は前記オーミック接触層5に比べ酸素含有量が高い。この非晶質酸化物薄膜トランジスタ100はベース基板1上に形成される。
【0014】
前記チャネル層4は前記ゲート絶縁層3上に設置するとともに互い接し、前記オーミック接触層5は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域51、52はそれぞれ前記ソース電極61、ドレイン電極62と接する。
【0015】
前記チャネル層4は酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成され、前記オーミック接触層5は無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成される。前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO2/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気とする。前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛(ZnO)系あるいは酸化スズ(SnO2)系酸化物とし、具体的には、前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛スズ(ZTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(ZIO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化アルミニウム亜鉛スズ(AZTO)のうちの少なくとも一種とすることができる。
【0016】
本発明が提供する非晶質酸化物薄膜トランジスタにおいて、二重構造の半導体活性層はチャネル層とオーミック接触層を作成することにより形成され、かつチャネル層はオーミック接触層に比べ酸素含有量が高い。抵抗率は酸素含有量が高い程大きくなるが、オーミック接触層はチャネル層に比べ酸素含有量が低いため、オーミック接触層の抵抗値はチャネル層の抵抗値より小さい。また、オーミック接触層はソース、ドレイン電極と接するため、ソース、ドレイン電極の寄生抵抗を抑え、電流駆動能力を高めることができる。
【0017】
本発明の実施例は他に、以下のステップを含む前記非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造方法を提供する。半導体活性層を形成する工程において、チャネル層4とオーミック接触層5をそれぞれ作成し前記半導体活性層を形成し、前記チャネル層4は前記オーミック接触層5に比べ酸素含有量が高い。前記チャネル層4は前記ゲート絶縁層3と接し、前記オーミック接触層5は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域51、52はそれぞれ前記ソース電極61、ドレイン電極62と接する。
【0018】
一例において、非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造方法は以下のステップを含む。
【0019】
ステップ101において、図2に示すように、ベース基板1上にゲート金属薄膜を形成し、フォトリソグラフィ技術によりゲート電極2を形成する。
【0020】
例として、例えばガラス、ケイ素あるいはポリエチレンテレフタラートPETのベース基板1上に、スパッタによりモリブデンMo、あるいはアルミニウムAl、ネオジムNdの二重金属、あるいは金Au、チタンTiの二重金属、あるいは合金を堆積しゲート金属薄膜を形成する。その後フォトリソグラフィ技術によりゲート金属薄膜にパターニングを施し、薄膜トランジスタのゲート電極2を形成する。
【0021】
フォトリソグラフィ技術はフォトレジスト塗布、露光、現像、エッチング、フォトレジスト除去などの工程を含む。フォトレジストはポジ型フォトレジストを例に取り、即ち露光された部分は現像の過程において除去され、露光されなかった部分は現像の過程において保留される。ネガ型フォトレジストの場合は逆となる。
【0022】
ステップ102において、図3に示すように、ステップ101が完了したベース基板1上にゲート絶縁層3を形成し、前記ゲート絶縁層3にパターニングを施す。
【0023】
例として、熱成長、またはプラズマ化学気相蒸着を採用し、あるいはSiOx、Si3N4、AlOx、TiOx、HfO2のうち少なくとも一種の材料をスパッタしゲート絶縁層を形成する。あるいは、予めアルミニウムAl、チタンTi、ハフニウムHfのうちの少なくとも一種の金属をスパッタした上で酸素プラズマ処理を施し、AlOx、TiOx、HfO2のうち少なくとも一種の材料からなるゲート絶縁層を形成する。もちろん、他の金属であっても良い。
【0024】
また、ゲート絶縁層を完成した後、フォトリソグラフィ技術によりゲート絶縁層にパターニングを施しても良い。これによりビアーホールの形成及びリードの形成などの工程において発生する接触不良や導線の割れ等の問題を防止でき、工程の効率と良品率を高めることができる。
【0025】
ステップ103において、窒素、あるいは酸素、あるいは真空雰囲気においてステップ102が完了したベース基板1にアニーリングを施す。アニーリング温度の範囲は350°C〜400°Cである。
【0026】
本実施例において、アニーリング温度は400°Cとする。
【0027】
このステップにおいて、アニーリングによりゲート絶縁層の不安定的な表面状態と界面状態の不均一、例えば格子欠陥やダングリングボンドなどを減らすことができる。これにより部品のしきい値電圧のばらつきをある程度低減でき、よって部品の長期安定性を高めることができる。また、アフターアニーリングのみを行う従来の製造方法と違い、本実施例ではアニーリングをゲート絶縁層の形成後、かつ半導体活性層の形成前に行うことにより、半導体活性層への影響(例えば化学組成比の影響)を抑え、技術効果を改善できる。
【0028】
ステップ104において、チャネル層4とオーミック接触層5をそれぞれ作成し前記半導体活性層を形成する。前記チャネル層4は前記オーミック接触層5に比べ酸素含有量が高い。
【0029】
一例において、ステップ104は以下のステップを含む。
【0030】
ステップa11において、図4に示すように、酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をベース基板1上にスパッタし、第一半導体活性層薄膜を形成する。無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし、第二半導体活性層薄膜を形成する。
【0031】
前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO2/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気とする。前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛(ZnO)系あるいは酸化スズ(SnO2)系酸化物とし、例えば前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛スズZTO、酸化インジウムスズITO、酸化亜鉛インジウムZIO、酸化インジウムガリウムIGO、酸化インジウムガリウム亜鉛IGZO、酸化アルミニウム亜鉛スズAZTOのうちの少なくとも一種とすることができる。
【0032】
例として、非晶質酸化物材料をそれぞれ酸素・アルゴン混合雰囲気と純アルゴン雰囲気下においてスパッタし、第一半導体活性層薄膜と第二半導体活性層薄膜を形成することができる。
【0033】
ステップa12において、図5に示すように、ステップa11が完了したベース基板1上において、フォトリソグラフィ技術により前記第一半導体活性層薄膜と第二半導体活性層薄膜にパターニングを施し、チャネル層4を形成する。
【0034】
本ステップのフォトリソグラフィ技術におけるコーティングプロセスではポジ型フォトレジストを使用し、このフォトリソグラフィ技術におけるエッチングプロセスはウェットエッチングとしても良い。
【0035】
ステップa13において、図6に示すように、ステップa12が完了したベース基板1上において、フォトリソグラフィ技術により前記第二半導体活性層薄膜にパターニングを施してオーミック接触層を形成し、かつ前記オーミック接触層は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられる。
【0036】
本ステップのフォトリソグラフィ技術におけるエッチングプロセスはドライエッチングとしても良い。
【0037】
あるいは、二重構造である半導体活性層に予めフォトレジストを塗布して非晶質酸化物をスパッタし、その後に剥離する方法を用いても良い。以下この方法について詳細説明をする。
【0038】
一例において、ステップ104は以下のステップを含む。
【0039】
ステップa20において、図7に示すように、ステップ103が完了したベース基板1上にフォトレジスト8を塗布し、図8に示すように、露光、フォトレジスト剥離(あるいは現像)工程を経てチャネル層領域のフォトレジスト8を除去する。
【0040】
本ステップの露光工程はステップa12のフォトリソグラフィ技術における露光工程と同じマスクを使用することができ、本ステップにおいて塗布するフォトレジストはネガ型フォトレジストとすれば良い。
【0041】
ステップa21において、図9に示すように、酸素雰囲気においてステップa20が完了したベース基板1に非晶質酸化物材料をスパッタし、第一半導体活性層薄膜を形成する。無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし、第二半導体活性層薄膜を形成する。
【0042】
前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO2/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気とする。
【0043】
ステップa22において、ステップa21が完了したベース基板1上において、剥離工程を経て残留したフォトレジスト及びこの残留フォトレジストに対応する第一半導体活性層薄膜と第二半導体活性層薄膜の一部を除去し、チャネル層4を形成する。この時、ベース基板1の状態は図5を参照する。
【0044】
ステップa23において、ステップa22が完了したベース基板1上において、フォトリソグラフィ技術により前記第二半導体活性層薄膜にパターニングを施してオーミック接触層を形成し、かつ前記オーミック接触層は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられる。
【0045】
この時、ベース基板1の状態は図6を参照する。
【0046】
ステップ105において、ステップ104が完了したベース基板1上においてソース、ドレイン電極61、62を形成する。
【0047】
ステップ105は以下のステップを含む。
【0048】
ステップb21において、図10に示すように、ステップ104が完了したベース基板1上にフォトレジストを塗布し、露光、フォトレジスト剥離工程を経て前記二つの独立したオーミック接触領域51,52の間のフォトレジスト8を保留する。
【0049】
本ステップの露光工程はステップa13またはステップa23のフォトリソグラフィ技術における露光工程と同じマスクを使用することができるが、本実施例においてステップa13またはステップa23のフォトリソグラフィ技術に使用されるフォトレジストはポジ型フォトレジストであり、本ステップにおいて塗布するフォトレジストはネガ型フォトレジストである。マスクの製造ステップが減少したため、生産コストを抑えることができる。
【0050】
本ステップを行うのは、主にこれに引き続く工程がチャネル層にダメージを与えることを考慮し、フォトレジストで予めチャネル層を保護するためである。
【0051】
ステップb23において、アルゴンArプラズマでオーミック接触領域の表面を処理する。
【0052】
例えば、一例において、アルゴンArプラズマで部品の表面を処理する。このステップはチャネルの材料の成分によるArプラズマ照射の効果の差、例えばGa-O結合、In-O結合、Zn-O結合切断の効果の違いを利用し、オーミック接触区域の材料特性を変え、接触の効果を高めるものである。また、チャネル接触領域の表面粗さを増やすことにより接触の効果をさらに高めている。
【0053】
ステップb22において、図11に示すように、ソース、ドレイン金属薄膜を形成する。図12に示すように、剥離工程を経てソース電極とドレイン電極61、62を形成する。
【0054】
本ステップにおいて、スパッタによりモリブデンMo、あるいはアルミニウムAl、ネオジムNdの二重金属、あるいは金Au、チタンTiの二重金属、あるいは合金を堆積し、ソース、ドレイン金属薄膜を形成する。その後剥離工程によりソース、ドレイン金属薄膜にパターニングを施し、薄膜トランジスタのソース電極61とドレイン電極62を形成する。この工程においてチャネル領域以外の箇所で金属薄膜の剥離を行う必要がある場合、例えばソース電極61とドレイン電極62をベース基板1上の他の部品から電気隔離する場合、これらの箇所にもフォトレジストを保留しなければならない。
【0055】
ステップ106において、パッシベーション膜7を形成する。図1を参照。このパッシベーション膜7はプラズマ化学気相蒸着により、例えば酸化ケイ素、あるいは酸化ケイ素、ポリメタクリル酸メチルPMMA二重層、あるいは酸化ケイ素、ポリイミドPI二重層、あるいは酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素三重層を堆積することにより得られる。
【0056】
ステップ107、得られた部品に後アニーリングを施す。例えば、真空、あるいは窒素、あるいは酸素中においてアニーリングを行い、アニーリング温度の範囲は120°C〜400°Cとする。
【0057】
本発明の実施例が提供する非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造方法は、低抵抗のオーミック接触層を形成することによりソース、ドレイン電極の寄生抵抗を減らすことができる。さらに、ゲート絶縁層形成後、かつ半導体活性層形成前にアニーリングを行うことによりトランジスタの不安定的な表面状態と界面状態の不均一を減らすことができ、これによりデバイスのしきい値電圧のばらつきを低減し、デバイスの安定性を高めることができる。予めフォトレジストを塗布してソース、ドレイン金属薄膜をスパッタし、フォトリソグラフィ技術によりソース、ドレイン電極を形成することにより、引き続く工程においてソース、ドレイン電極を形成するフォトリソグラフィ技術がチャネル層に及ぼす影響を防止できる。アルゴンArプラズマでオーミック接触領域の表面を処理することにより、表面特性を変え、オーミック接触領域とソース、ドレイン電極の接触効果を高め、これによりデバイスの性能を向上させることができる。
【0058】
また、前記非晶質酸化物薄膜トランジスタは、例えば液晶ディスプレイパネルのディスプレイに応用できる。一例において、前記液晶ディスプレイパネルはゲートラインとデータラインが画定する画素ユニットを含む。前記画素ユニット内には非晶質酸化物薄膜トランジスタが形成されている。この非晶質酸化物薄膜トランジスタの構造は図1参照。前記非晶質酸化物薄膜トランジスタはゲート電極2、ゲート絶縁層3、半導体活性層、ソース電極61、ドレイン電極62及びパッシベーション膜7を含み、前記半導体活性層はチャネル層4とオーミック接触層5の二重構造であり、かつ前記チャネル層4は前記オーミック接触層5に比べ酸素含有量が高い。
【0059】
前記チャネル層4は前記ゲート絶縁層3と接し、前記オーミック接触層5は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域51、52はそれぞれ前記ソース電極61、ドレイン電極62と対応する。
【0060】
前記チャネル層4は酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成され、前記オーミック接触層5は無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成される。前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO2/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気とする。前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛(ZnO)系あるいは酸化スズ(SnO2)系酸化物とし、例えば前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛スズ(ZTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウムZIO、酸化インジウムガリウムIGO、酸化インジウムガリウム亜鉛IGZO、酸化アルミニウム亜鉛スズAZTOのうちの少なくとも一種とすることができる。
【0061】
本発明が提供する前記非晶質酸化物薄膜トランジスタを使用した液晶ディスプレイパネルは同じく、薄膜トランジスタのソース、ドレイン電極の寄生抵抗を抑え、よって電流駆動能力を高めることができる。
【0062】
実施例2
図13に示すように、本発明の実施例は他に、ゲート電極2、ゲート絶縁層3、半導体活性層、ソース電極61、ドレイン電極62及びパッシベーション膜7を含む非晶質酸化物薄膜トランジスタ200を提供する。前記半導体活性層はチャネル層4とオーミック接触層5からなる二重構造であり、かつ前記チャネル層4は前記オーミック接触層5に比べ酸素含有量が高い。
【0063】
前記チャネル層4は前記ゲート絶縁層3上に設置するとともに互い接し、前記オーミック接触層5は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域51、52はそれぞれ前記ソース電極61、ドレイン電極62と対応する。
【0064】
前記二つの独立したオーミック接触領域51、52の間にはエッチング保護層9が形成され、前記エッチング保護層9は前記チャネル層4と前記パッシベーション膜7の間に位置する。
【0065】
前記チャネル層4は酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成され、前記オーミック接触層5は無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成される。前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO2/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気とする。前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛(ZnO)系あるいは酸化スズ(SnO2)系酸化物とし、具体的には、前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛スズ(ZTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(ZIO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化アルミニウム亜鉛スズ(AZTO)のうちの少なくとも一種とすることができる。
【0066】
エッチング保護層9を形成する目的はソース、ドレイン電極をパターニングする工程がチャネル層に及ぼす影響を防止することにあり、デバイスの性能を高めることができる。
【0067】
本発明の実施例はまた、図13に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタの製造方法を提供する。この製造方法は実施例1において提供した製造方法とはステップ105のみ違いがあるため、以下ステップ105のみに対し詳細説明を行う。他のステップは実施例1参照。
【0068】
本発明の実施例において、ステップ105は以下のステップを含む。
【0069】
ステップb11において、図14に示すように、ステップ104が完了したベース基板1上にエッチング保護薄膜を形成し、フォトリソグラフィ工程を経てエッチング保護層9を形成する。前記エッチング保護層9は前記チャネル層4と前記パッシベーション膜7の間に位置し、かつ前記エッチング保護層9の材料は絶縁材料とする。
【0070】
一例において、ステップ104が完了したベース基板1上にプラズマ化学気相蒸着あるいはスパッタによりエッチング保護薄膜を形成し、フォトリソグラフィ工程を経てエッチング保護薄膜にパターニングを施し、エッチング保護層9を形成する。この絶縁材料は例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンと窒化ケイ素のうちの少なくとも一種とすることができる。
【0071】
本ステップの露光工程は実施例1のステップa13またはステップa23のフォトリソグラフィ技術と同じマスクを使用することができるが、本実施例においてステップa13またはステップa23のフォトリソグラフィ技術に使用されるフォトレジストはポジ型フォトレジストであり、本ステップにおいて塗布するフォトレジストはネガ型フォトレジストである。マスクの製造を節減したため、生産コストを抑えることができる。
【0072】
ステップb13おいて、アルゴンプラズマでオーミック接触領域の表面を処理する。
【0073】
例えば、アルゴンプラズマで表面処理を行う。このステップはチャネルの材料の成分によるArプラズマ照射の効果の差、例えばGa-O結合、In-O結合、Zn-O結合切断の効果の違いを利用し、オーミック接触区域の材料特性を変え、接触の効果を高めるものである。また、チャネル接触領域の表面粗さを増やすことにより接触の効果をさらに高めている。
【0074】
ステップb12において、図15に示すように、ソース、ドレイン金属薄膜を形成する。パターニング工程を経てソース電極61とドレイン電極62を形成する。
【0075】
その後、引き続く工程を経て最終的に図13に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタを完成する。
【0076】
本発明の実施例が提供する非晶質酸化物薄膜トランジスタ及びその製造方法は、低抵抗のオーミック接触層を形成することによりソース、ドレイン電極の寄生抵抗を減らすことができる。さらに、エッチング保護層を形成することにより、引き続く工程においてソース、ドレイン電極を形成するフォトリソグラフィ技術がチャネル層に及ぼす影響を防止できる。
【0077】
また、本発明の実施例において提供した非晶質酸化物薄膜トランジスタは、例えば液晶ディスプレイパネルのディスプレイに応用できる。前記液晶ディスプレイパネルはゲートラインとデータラインが画定する画素ユニットを含む。前記画素ユニット内には非晶質酸化物薄膜トランジスタが形成されている。このうち、当該非晶質酸化物薄膜トランジスタの構造は図13参照。前記非晶質酸化物薄膜トランジスタはゲート電極2、ゲート絶縁層3、半導体活性層、ソース電極61、ドレイン電極62及びパッシベーション膜7を含み、前記半導体活性層はチャネル層4とオーミック接触層5の二重構造であり、かつ前記チャネル層4は前記オーミック接触層5に比べ酸素含有量が高い。
【0078】
前記チャネル層4は前記ゲート絶縁層3と接し、前記オーミック接触層5は二つの独立したオーミック接触領域51、52に分けられ、かつ前記二つの独立したオーミック接触領域51、52はそれぞれ前記ソース電極61、ドレイン電極62と接する。
【0079】
前記二つの独立したオーミック接触領域51、52の間にはエッチング保護層9が形成され、前記エッチング保護層9は前記チャネル層4と前記パッシベーション膜7の間に位置する。
【0080】
前記チャネル層4は酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成され、前記オーミック接触層5は無酸素雰囲気において非晶質酸化物材料をスパッタし形成される。前記酸素雰囲気は分圧比の範囲がO2/Ar=0%〜30%である酸素・アルゴン混合雰囲気、前記無酸素雰囲気は純アルゴン雰囲気とする。前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛(ZnO)系あるいは酸化スズ(SnO2)系酸化物とし、例えば前記非晶質酸化物材料は酸化亜鉛スズ(ZTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(ZIO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化アルミニウム亜鉛スズ(AZTO)のうちの少なくとも一種とすることができる。
【0081】
本発明が提供する図13に示す非晶質酸化物薄膜トランジスタを使用した液晶ディスプレイパネルは同じく、薄膜トランジスタのソース、ドレイン電極の寄生抵抗を抑え、よって電流駆動能力を高めることができる。
【0082】
以上に述べたのは本発明の具体実施例に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限るものではなく、本発明が開示する技術範囲内において、本技術領域を熟知する技術者が簡単に想像できる変更や取替は全て、本発明の保護範囲に含まれるべきである。このため、本発明の保護範囲は特許請求の範囲をもとにすべきである。
【符号の説明】
【0083】
1 ベース基板
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁層
4 チャネル層
51、52 オーミック接触層
61 ソース電極
62 ドレイン電極
7 パッシベーション膜
8 フォトレジスト
9 エッチングレジスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15