【実施例1】
【0026】
図1(a)に示す本発明の第1実施例は、隣接する太陽電池1,1を離間させて配設して形成される目地部分2に、複数部材(4ao,4au)からなる目地部材4Aを固定する例である。この第1実施例では、対向する太陽電池1,1の枠体12,12の上端を保持して取り付ける固定部材3Aに、起立状部41aを有する前記目地部材4Aを嵌合させて、もしくは長手方向からスライドさせて取り付けている。
【0027】
この第1実施例の目地部材4Aは、略中央に受部を有する略平坦状(略水平状)の化粧面部42a及び左右一対の取付部43aを備える逆受皿状の下方部材4auと、下端に前記受部に取り付けられる取付軸及び略平坦状(断面直線状)の起立状部41aを備える上方部材4aoとからなり、前記下方部材4auの受部に前記上方部材4aoの取付軸を傾動自在に軸着して一体化され、風向きに対応して起立片部41bの向きが変わることで、風向きに影響を受けることなく裏面空間11からの排出が可能となる。
【0028】
前記固定部材3Aは、逆略ハット状の内面に左右一対の被係合部301を有するピース状成形体であり、隣接する太陽電池1,1(枠体12,12)の上端を押さえる横片が保持部31であり、下方へ窪む逆ハット状の底部が下地5に固定具(ボルトナット)32bにて固定(締着)する固定部32である。
【0029】
図1(b)は、前記第1実施例の一態様であり、該態様のように固定部材3A及び下方部材4auをピース材とすることにより、図示するように上方部材4aoをピース材としなくても通し材としても裏面空間11と表面側とがこの目地部分2にて連通する。なお、下方部材4auを通し材とした態様においても、起立片部41bの両側に連通孔を形成することにより、風向きの変化に対応することができる。
そして、
図1(a)中に曲線矢印にて示すように、風向きにて変位する起立状部41aが風を受け流すように上方に乱流を起こし、前述のように目地部分2上端を減圧状態とするため、裏面空間11の空気を表面10側へ排出することができる。
【0030】
なお、前記第1実施例における太陽電池1としては、どのようなサイズにものもどのような仕様のものも適用できるため、その詳細については言及していないが、周囲に枠体12を配した構成のものを用い、この枠体12には図示しないが、空気の流通を可能とする孔を開設して用いてもよい。また、
図1(a)では、モジュールの裏面(下方)にも、枠体12の裏面(下方)にも裏面空間を示す符号11を付したが、前述のようにこれらは独立していてもよいし、連通していてもよい。また、後述する各実施例においても前記
図1(a)と同様に符号11を付したが、太陽電池1の裏面側に位置する空間全てを指すものである。
【0031】
このような構成を有する本発明の太陽電池1を用いた外装構造は、隣接する太陽電池1,1間の目地部分2に取り付ける目地部材4Aに、起立状部41aを設けることで、該目地部分2にて太陽電池1の裏面空間11にて温められた空気を太陽電池1表面10へ排出することができ、裏面空間11の空気の流れを著しく速め、太陽電池セルの温度上昇を抑えることで発電効率の低下を防ぐことができる。
しかも、本発明に用いる起立状部41aを備える目地部材4Aは、太陽電池のサイズや仕様に全く影響されないので、新設のどのような太陽電池にも、既設のどのような太陽電池にも適用できる。
【0032】
図1(c)、(d)に示す第2実施例は、固定部材3Bが前記第1実施例の固定部材3Aとほぼ同一であり、左右一対の被係合部302を備え、一部材からなる目地部材4Bは、前記被係合部302に上方から弾性に抗して嵌合させる取付部43bを有するピース材であって、略水平状の横片が化粧面部42bであり、略鉛直状の縦片が起立状部41bである。
この第2実施例においては、固定部材3B及び目地部材4Bをピース材としたので裏面空間11と表面10側とがこの目地部分2にて連通するため、裏面空間11の空気を表面10側へ排出することができる。なお、目地部材4Bを通し材とした態様においても、起立片部41bの両側(化粧面部42b)に連通孔を形成することにより、風向きの変化に対応することができる。
【0033】
図1(e)、(f)に示す第3実施例は、固定部材3Cが前記第1実施例の固定部材3Aとほぼ同様であって、左右一対の被係合部303を備え、一部材からなる目地部材4Cは、前記被係合部303に上方から弾性に抗して嵌合させる取付部43cを有する連続材であって、略水平状の横片が化粧面部42cであり、略鉛直状の縦片が起立状部41cであり、横片部分には孔421が長さ方向に複数設けられている。
この第3実施例においては、目地部材4Cは連続材であるが、化粧面部42cに複数の孔421を形成したので、風向きの変化に対応することができ、裏面空間11と表面10側とが連通して裏面空間11の空気を表面10側へ排出することができる。
【0034】
図2(a)に示す第4実施例は、三角山状の隆状部分である起立状部41dを備える目地部材4Dが逆浅皿状の固定部材3Dと共に固定される実施例であり、固定部材3Dを固定する固定具32bを目地部材4Dに挿通させ、共締めにて下地5に固定される。
この第4実施例においては、目地部材4Dの横片状の底部が取付部であり、三角山状の隆状部分である起立状部41dが化粧面部を兼ねる構成である。前記起立状部41bは、図面左側が傾斜状で、左方から吹く風を円滑に吹き流すことができる。また、図面右側が略鉛直状に形成され、該鉛直状部分に孔が形成され、前述の共締めのための固定具32bを挿通する孔が底部に形成されるので、これらの構成で裏面空間11と連通する。
【0035】
図2(b)〜(d)に示す第5〜7実施例は、目地部材4E〜4Gが隣接する太陽電池1,1を下地5に取り付ける固定部材を兼ねる実施例であり、換言すると、目地部材4E〜4Gに、太陽電池1,1の端縁(枠体12の上面)を押さえる保持部及び下地5への固定部が設けられている構成である。
【0036】
図2(b)の第5実施例では、目地部材4Eが金属板材等の先端(図面左側の先端)を折り返し状に立ち上げて起立状部41eとした略横片状の連続材であって、隣接する太陽電池1,1に跨る略平坦状の化粧面部兼取付部42eの端縁が保持部であり、しかも略中央に下地5に至る固定具44が固定されているので、固定部も兼ねる構成である。
この第5実施例においては、目地部材4Eは連続材であるが、化粧面部兼取付部42eに複数の孔421を形成したので、裏面空間11と表面10側とが連通して裏面空間11の空気を表面10側へ排出することができる。
【0037】
図2(c)の第6実施例では、目地部材4Fが金属板材等を略ハット型に成形した成形材であって、略中央の段状隆起部が起立状部41fであり、その外側に位置する横片(保持部)とで化粧面部を形成し、しかも略中央に下地5に至る固定具44が固定されているので、固定部も兼ねる構成である。
この第6実施例においては、目地部材4Fを通し材とする場合には、前記
図2(a)の第4実施例と同様に図面右側の縦片などに複数の孔を設けて裏面空間11と連通させることが望ましく、ピース材とする場合にはその限りではない。
【0038】
図2(d)の第7実施例では、目地部材4Gがピース材であって、図面左側の端縁に中空の隆状部(起立状部41g)を有する横片状であって、この中空部分には連続状の管材45を挿通させて複数の目地部材4Gを連絡(連結)するようにしたものである。なお、この目地部材4Gの全体が化粧面部であり、端部が保持部であり、略中央に下地5に至る固定具44が固定されているので、固定部も兼ねる。
この第7実施例の目地部材4Gは、複数の目地部材4Gの配設間隔にて裏面空間11と連通させることができ、裏面空間11の空気を表面10側へ排出することができる。
【0039】
図3(a)に示す第8実施例では、目地部分2に、複数部材(4ho,4hu)からなる目地部材4Hを固定する例であり、そのうち下方部材4huは固定部材を兼ねる例である。
前記下方部材4huは、図面左側の上端に起立片405を有する断面略鍋状の成形体であり、別部品として作製された略L字状の上方部材4hoは、前記起立片405に側方からビスを締着して取り付けたものであり、下方部材4huの‘鍋蓋’に相当する横片には、‘鍋底’に相当する固定部に取り付ける固定具44を、上方からの締着作業により、下地5に締着する作業用の孔(締着用治具の挿入口)406が設けられている。
この第8実施例においては、
図3(b)に示す態様のように下方部材4huをピース材とすることにより、裏面空間11と連通させることができ、裏面空間11の空気を表面10側へ排出することができる。
【0040】
図3(c)、(d)に示す第9,10実施例は、目地部材4J,4Kを太陽電池1(枠体12j,12k)に取り付ける実施例であり、これらの目地部材4J,4Kは、共に縦片が起立状部41j,41kであり、横片が化粧面部42j,42kである略L字状の成形体である。
【0041】
図3(c)の第9実施例では、目地部材4Jの化粧面部42jの両端が枠体12j,12jに側方を向くように設けられた各嵌合溝にそれぞれ嵌入するように取り付けられている。
図3(d)の第10実施例では、目地部材4Kの化粧面部42kの一方端(左端)が左側の枠体12kの外側に嵌合し、他方端(右端)が右側の枠体12k'に側方を向くように設けられた嵌合溝に嵌入するように取り付けられている。
【0042】
図4(a)、及び
図4(b),(c)は、本発明が適用される下地のバリエーションを示し、
図4(a)の下地5Xは、ボート状の下地材5A上に略平坦状の屋根材5Bを敷設した雨仕舞性能を有する縦葺き屋根であり、略平坦状に流れ方向に沿う凸状が所定間隔で形成され、凸状に被せるように略ハット状の縦桟5Cを固定した構成である。そして、水下側(図面左下側)には起立状部41mを備える略L字状の固定部材を兼ねる目地部材4Mを用い、目地部分2'の幅が広いため、隣接する水上側(図面右上側)には略Z字状の固定部材を兼ねる目地部材3'を配した構成であり、断面逆ハット状の固定部材30Mと共に前記構成の下地5Xに取り付けている。
なお、この実施例において裏面空間11を示す符号を複数付しているが、これらの
図4(a)、及び
図4(b),(c)における裏面空間11は軒棟方向及び桁行き方向の両方に連続している。
【0043】
図4(b),(c)の下地5Yは、角桟躯体5D上にタイトフレームである下部保持部材5E及び上部保持部材5Fを所定間隔にて固定し、その上から完全嵌合式の縦葺き外装材5Gを敷設し、その両端を前記上部保持部材5Fに嵌合させると共に、キャップ5Hを嵌合させて施工される折板屋根を用いた。この折板屋根は、流れ方向に沿う山部と谷部とが交互に繰り返す外観形状を有するものであり、更に、この下層材(折板屋根)に、左右一対の取付架材5Jを固定し、その頂部(上面部)を太陽電池1の受部として用いた。