特許第6099324号(P6099324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社岡村製作所の特許一覧

特許6099324テーブルに用いる脚及びその脚の使用方法
<>
  • 特許6099324-テーブルに用いる脚及びその脚の使用方法 図000002
  • 特許6099324-テーブルに用いる脚及びその脚の使用方法 図000003
  • 特許6099324-テーブルに用いる脚及びその脚の使用方法 図000004
  • 特許6099324-テーブルに用いる脚及びその脚の使用方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099324
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】テーブルに用いる脚及びその脚の使用方法
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20170313BHJP
   A47B 13/02 20060101ALI20170313BHJP
   A47B 13/10 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   A47B13/00 Z
   A47B13/02
   A47B13/10
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-152059(P2012-152059)
(22)【出願日】2012年7月6日
(65)【公開番号】特開2014-14406(P2014-14406A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】菊池 輝
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−103977(JP,A)
【文献】 特開2009−178189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00−41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、前記天板の裏面に複数の脚を備え、
前記複数の脚のうち、少なくとも2以上の脚が、
前記天板の中央部分から設置面へ向かって形成される脚本体と、
前記天板の中央部分から外周に向かう方向に、前記脚本体との境界部分である屈曲部分から先端部分まで延在させて、前記設置面との設置領域を形成する脚接地部と、
で構成され、全体としてL字状で形成され、
前記L字状の脚同士は、前記脚本体が前記天板の中央部分で互いに間隔をおいて配置され、前記脚接地部が前記天板に対し放射状に配置され、
前記脚の底面には、前記屈曲部分近傍と前記先端部分近傍とに、それぞれ前記脚の底面の高さを調整可能なアジャスタを備えることを特徴とするテーブル。
【請求項2】
天板下に備えた脚の少なくとも一部がL字状に形成されたテーブルの設置方法であって、
L字状の底面における先端部分近傍と屈曲部分近傍とに、高さ方向に可変に構成された第1と第2のアジャスタを備えた前記脚を用いて、
テーブルの設置時に、
前記屈曲部分近傍の第2のアジャスタの接触面との間の摩擦係数が、前記先端部分近傍の第1のアジャスタの接触面との間の摩擦係数より小さくなるように前記第1及び第2のアジャスタを調整することを特徴とするテーブルの設置方法。
【請求項3】
前記第2のアジャスタは、テーブルの設置時に設置面から2〜5mm離れた状態に調整することを特徴とする請求項2記載のテーブルの設置方法。
【請求項4】
前記第1のアジャスタを接地させた後、前記第2のアジャスタの調整を行うことを特徴とする請求項2又は3記載のテーブルの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルに用いる脚及びその脚の使用方法の改良に関し、特に、安定的な設置が可能なテーブルの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テーブルにおいては、天板下における足入れスペースを確保するため、天板を支える脚部の構成に様々な工夫が施されている。テーブルの脚部は、天板を支えるという機能性を確保しつつ、上述した足入れスペースの確保やデザイン性が求められるなど、多くの課題を有する。
【0003】
例えば、円形のテーブルの脚部を、円形のベースとそのベースの中央に設けられた3本の支柱で構成することで、天板下の足入れスペースを確保する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、また、3本の支柱をカバーで覆うことにより、内部に配線を通して、天板中央から電源等が取れるような機能面への配慮がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−136347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のテーブルは、ベースが円卓の径に対して小さい径で形成されているため、天板が水平回転方向に対して揺れやすく、足入れ部分の確保やデザイン性を高めることに成功している一方で、テーブルの安定感に課題があった。
【0006】
本発明は、以上のような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、テーブルの安定性が高く設置箇所に関わらず安定的な設置が可能なテーブルに用いる脚及びその脚の使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、天板と、前記天板の裏面に複数の脚を備え、前記複数の脚のうち、少なくとも2以上の脚が、前記天板の中央部分から設置面へ向かって形成される脚本体と、前記天板の中央部分から外周に向かう方向に、前記脚本体との境界部分である屈曲部分から先端部分まで延在させて、前記設置面との設置領域を形成する脚接地部と、で構成され、全体としてL字状で形成され、前記L字状の脚同士は、前記脚本体が前記天板の中央部分で互いに間隔をおいて配置され、前記脚接地部が前記天板に対し放射状に配置され、前記脚の底面には、前記屈曲部分近傍と前記先端部分近傍とに、それぞれ前記脚の底面の高さを調整可能なアジャスタを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に係るテーブルを設置する方法に関するものであり、天板下に備えた脚の少なくとも一部がL字状で形成されたテーブルの設置方法であって、L字状の底面における先端部分近傍と屈曲部分近傍とに、高さ方向に可変に構成された第1と第2のアジャスタを備えた前記脚を用いて、テーブルの設置時に、前記屈曲部分近傍の第2のアジャスタにおける接触面との間の摩擦係数が、前記先端部分近傍の第1のアジャスタにおける接触面との間の摩擦係数より小さくなるように前記第1及び第2のアジャスタを調整することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記第2のアジャスタは、テーブルの設置時に設置面から2〜5mm離れた状態に調整されたことを特徴とする。
【0009】
以上の態様では、天板に対して放射状に配置された脚が、L字状に形成され、さらにそのL字状の脚の底面において屈曲部分近傍と先端部分近傍とに第1及び第2のアジャスタを設けた。これにより、テーブルを設置するに当たり、先端部分のつま先部分を接地させ、L字状の脚底面の屈曲部分に当たる踵部分を接地させず、屈曲部分近傍の第2のアジャスタにおける接触面との間の摩擦係数が、前記先端部分近傍の第1のアジャスタにおける接触面との間の摩擦係数より小さくなるように調整することが可能となる。
【0010】
したがって、第1のアジャスタにおいて、テーブルの天板に対する水平回転方向の揺れを抑えることができるとともに、天板に対する垂直方向の荷重に対しては、天板へ積載物等が搭載された場合に沈み込むことで、屈曲部分近傍の第2アジャスタ側も接地され、垂直荷重に対しても対応可能なテーブルを提供することができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、前記第1のアジャスタを接地させた後、前記第2のアジャスタの調整を行うことを特徴とする。
【0012】
以上の態様では、テーブルの設置に当たって、L字脚のつま先部分のアジャスタを接地させた後に、踵部分のアジャスタを接地させるようにする。仮に、踵部分を接地させた後に、つま先部分を接地させた場合、つま先部分の接地が不十分になり、結果としてテーブルに掛かる円周方向の力に弱く、テーブルの円周方向の揺れが起こりやすくなる。そこで、本態様では、まずL字脚のつま先部分のアジャスタを接地させることを主体とし、これにより、円周方向への揺れを防ぎ、その後に踵部分を接地させることで、つま先部分の接地を保ったまま垂直方向の荷重を受け得るようにすることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上の本発明によれば、テーブルの安定性が高く設置箇所に関わらず安定的な設置が可能なテーブル及びテーブルの設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係るテーブルを示す斜視図。
図2】本発明の実施の形態に係るテーブルの脚の構成を示す部分拡大図。
図3】本発明の実施の形態に係るテーブルの設置手順を示す模式図。
図4】本発明の他の実施の形態に係るテーブルの構成を示す斜視図(a)〜(c)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1.本実施形態]
(1−1.構成)
図1は、本実施形態のテーブルの全体構成を示す斜視図である。テーブル1は、円形の天板2と、天板2の裏面に4本の脚3(3a〜3d)を備える。
【0016】
脚3は、上述の通り、天板2の裏面に4つ設けられ、4つの脚本体31の脚接地部32が天板略中央部分から外周に向かって放射状に配置されている。脚3は、全体形状がL字状でなり、天板2から設置面へ向かって略垂直方向に形成される脚本体31と、脚本体31と略直交方向に設けられ脚3の設置面との設置領域を形成する脚接地部32とからなる。
【0017】
この脚接地部32には、脚本体31との境界部分である屈曲部分近傍と、先端部分近傍との両方に、脚の底面の高さを調整可能なアジャスタ33a,33bを備える。このアジャスタ33a,33bは、設置面へ接地する部分となる薄板状の円形部材と、脚接地部32への取り付け部分となる雄ネジ部分とからなり、これを脚接地部32側に施された雌ネジに挿入し、その挿入量(又は出張り量)によって、脚本体31の設置面からの高さを調整する。
【0018】
脚3の脚接地部32におけるアジャスタ33a,33bのより詳細な配置構成について図2を用いて説明する。図2は、脚接地部32と設置面Fとの関係を拡大して示した図である。脚接地部32のアジャスタ33aと、アジャスタ33bとは、設置面Fとの関係において異なる接地構成によって設置されている。すなわち、脚接地部32の先端部分近傍に設けられたアジャスタ33aは、設置面Fに接地するように調整されているが、屈曲部分近傍に設けられたアジャスタ33bは、設置面Fから2〜5mm程度浮くように調整されている。
【0019】
つまり、先端部分近傍に設けられたアジャスタ33aの接地面に対する摩擦係数と、屈曲部分近傍に設けられたアジャスタ33bの接地面に対する摩擦係数とが異なり、かつアジャスタ33bの接地面に対する摩擦係数が、アジャスタ33aの接地面に対する摩擦係数より小さくなるように設定されている。その具体的な実施態様として、アジャスタ33bの接地面に対する摩擦係数より小さくするため、アジャスタ33aを接地させる一方で、アジャスタ33bを接地面より2〜5mm程度浮かせて構成している。
【0020】
ここで、摩擦力は、脚3の設置面(接触面)Fと平行方向に生じる力であり、かつ、重力(垂直荷重)に比例するものであるため、以下の式が成立する。
[式1]
F(摩擦力)=f’(垂直荷重)・μ(摩擦係数)
【0021】
通常、f’は一定であるが、テーブル1の場合、天板2上の積載物により垂直荷重が変化する。そこで、天板2上の積載物がない状態において、以下の関係が成立するようにしたものである。
[式2]
μ(アジャスタ33bの摩擦係数)<μ’(アジャスタ33aの摩擦係数)
【0022】
なお、ここで、アジャスタ33bの接地面からの調整距離を2〜5mmとしているのは一例を示すものに過ぎず、例えば、アジャスタ33a,33bの設置面が板材やタイルなどの表面に凹凸がなく、テーブルを設置した際にアジャスタ33aの沈み込みがない場合と、アジャスタの設置面が絨毯や毛素材などのテーブルを設置した際にアジャスタ33aの沈み込みがある場合とでは、アジャスタ33bの調整位置は適宜変更する必要がある。
【0023】
[1−2.作用効果]
以上のような本実施形態のテーブル1においては、テーブル1を設置する際に、脚3の脚接地部32における屈曲部分近傍に設けられたアジャスタ33の設置面Fに対する摩擦係数が、先端部分近傍に設けられたアジャスタ33aの設置面Fに対する摩擦係数より小さくなるように設置する。
【0024】
具体的には、図3(a)に示すように、まず、先に、先端部分近傍に設けられたアジャスタ33aを調整し、4つの脚3a〜3dのそれぞれのアジャスタ33aが、設置面Fに確実に接地するようにする。ここで、屈曲部分近傍に設けられたアジャスタ33bよりも先に、先端部分近傍に設けられたアジャスタ33aから調整するのは、仮に、アジャスタ33bから調整して接地させた場合、テーブル1の荷重をアジャスタ33bで受けることとなり、その後にアジャスタ33aを調整したとしても、アジャスタ33bに掛かる荷重をアジャスタ33aで受けることができないことによる。
【0025】
なお、初期の設置時に、アジャスタ33aが、設置面Fに接地させることができるように、テーブル1の工場出荷時又は設置のための組み立て時において、アジャスタ33aを、アジャスタ33bよりも突出するようにしておくことが好ましい。
【0026】
上記のようにして、4つの脚3a〜3dのそれぞれのアジャスタ33aが、設置面Fに接地するようにした後、今度は、アジャスタ33bの調整を行う。具体的には、図3(b)に示すように、アジャスタ33の接地面に対する摩擦係数を小さくするため、設置面Fより2〜5mm程度浮かせた状態にする。
【0027】
以上のような本実施形態のテーブル1では、次のような効果を奏する。テーブル1では、天板2に対して放射状に配置された脚3が、L字状に形成され、さらにそのL字状の脚3の底面において屈曲部分近傍と先端部分近傍とにアジャスタ33aと33bを設けた。
【0028】
これにより、テーブル1を設置するに当たり、先端部分のつま先部分(アジャスタ33a)を設置面Fに接地させ、L字状の脚底面の屈曲部分に当たる踵部分(アジャスタ33b)を接地させず、屈曲部分近傍の第2のアジャスタにおける設置面(接触面)Fとの間の摩擦係数が、前記先端部分近傍の第1のアジャスタにおける設置面Fとの間の摩擦係数より小さくなるように調整することが可能となる。
【0029】
したがって、アジャスタ33aにおいて、テーブル1の天板2に対する水平回転方向の揺れを抑えることができるとともに、天板2に対する垂直方向の荷重に対しては、天板2へ積載物等が搭載された場合に天板2が沈み込むことで、屈曲部分近傍のアジャスタ33b側も接地され、垂直荷重に対しても対応可能なテーブル1を提供することができる。
【0030】
また、テーブル1の設置に当たっては、L字脚のつま先部分のアジャスタ33aを接地させた後に、踵部分のアジャスタ33bを設置面Fに接地させるようにする。仮に、踵部分のアジャスタ33bを接地させた後に、つま先部分のアジャスタ33aを接地させた場合、つま先部分のアジャスタ33aの接地が不十分になり、結果としてテーブル1に掛かる円周方向の力に弱く、テーブル1の円周方向の揺れが起こりやすくなる。そこで、本態様では、まずL字脚のつま先部分のアジャスタ33aを接地させることを主体とし、これにより、円周方向への揺れを防ぎ、その後に踵部分のアジャスタ33bを接地させることで、つま先部分のアジャスタ33aの接地を保ったまま垂直方向の荷重を受けることができるようになる。
【0031】
[2.他の実施形態]
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、例えば、次のような態様も包含するものである。すなわち、図1に示すテーブルの例は、代表的な実施形態を示したものであり、天板の形状や複数ある脚の組合せについては種々変更して構成することが可能である。例えば、図4(a)に示すように、天板が方形状のもの、同図(b)に示すように、天板が楕円の形状のもので構成することも可能である。また同図(c)に示すように、天板の一方の端部が方形で他方の端部が円形で構成される場合に、円形の端部側の脚を上述したL字状の脚3を放射状に配置することで構成し、方形の端部の脚を通常のストレートな棒状のものによって構成することも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1…テーブル
2…天板
3,3a〜3d…脚
31…脚本体
32…脚接地部
33a,33b…アジャスタ
F…設置面
図1
図2
図3
図4