(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フレームが、手摺りの外径より狭幅の開口を有し、手摺りの一端側から手摺りの軸方向に沿ってスライドさせながら取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の階段昇降用補助具。
ハンドルが、垂壁に略平行な不使用位置と垂壁に対して略垂直に延伸する使用位置との間において枢動軸周りで枢動可能に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の階段昇降用補助具。
枢止手段が、ハンドルの手摺り側の端部に突出して形成され、手摺りの外周面に当接する当接部であり、ハンドルの使用位置で当接部が手摺りの外周面に当接することによりハンドルの枢動が止まることを特徴とする請求項5に記載の階段昇降用補助具。
枢止手段が、ハンドルの手摺り側の端部に形成され、手摺りの外面に沿って湾曲する湾曲面を有する湾曲部であり、ハンドルの使用位置でフレームとの間で手摺りを挟持することによりハンドルの枢動を止めることを特徴とする請求項4に記載の階段昇降用補助具。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の階段昇降用補助具は、軽量な金属材料で形成され、階段の少なくとも一側に備わる垂壁1から複数の取付けブラケット2を介して支持された円柱状の手摺り3に、着脱可能に装着されるものであり、手摺りに沿って移動可能で、手摺りに取り付けられるフレームと、フレームに設けられ、階段を昇降する人が把持するハンドルと、ハンドルを使用する際に、フレームが手摺りの周方向へすべることを防止するすべり防止手段とを備えるものである。手摺り3は、家屋内に設置される一般的に良く用いられる円柱状の手摺りであり、直径が35mm又は40mmの手摺りが一例として例示される。
【0013】
以下においては、本発明の実施形態として、
図1〜4には本発明の階段昇降用補助具の第1〜4の実施形態が示され、
図5及び6には本発明の階段昇降用補助具の第5の実施形態が示され、
図7及び8には第5の実施形態の変形例が示され、
図9〜11には本発明の階段昇降用補助具の第6の実施形態が示され、
図12は本発明の階段昇降用補助具の第7の実施形態が示されている。なお、各実施形態においては、同一構成部分には同一符号を付して説明することとする。
【0014】
先ず、フレームにハンドルが一体形成された階段昇降用補助具の第1〜4の実施形態について、
図1〜4を参照しながら説明する。
図1に示すように、第1の実施形態の階段昇降用補助具10は、手摺り3の長手方向に直線移動可能で、かつ、手摺り3の周方向にも回転可能なフレーム11と、フレーム11から垂壁1の反対側へ一体的に延出して設けられ、階段を昇降する人が把持するハンドル12と、フレーム11からハンドル12とは反対側の垂壁1側に延出して設けられた係止腕13(すべり防止手段)と、を備えている。
【0015】
本実施形態において、ハンドル12が延長形成されたフレーム11は、垂壁1側を向く手摺り3の外周面に接する壁部11aと、壁部11aに直角に交差して続く壁部11bとを有しいる。壁部11aに係止腕13が略直角に交差して続き、壁部11bにはハンドル12が一体的に延長形成されている。階段を昇降する人がハンドル12の把持部16を把持して自身の体重を掛けると、階段昇降用補助具10が手摺り3の周囲を時計方向Rにすべり、係止腕13の先端が手摺り3の中心を通る水平線Hより下側に位置する接触点Cで垂壁1に当接する。フレーム11の壁部11aと円柱状の手摺り3とは接触点Aで接し、壁部11bと円柱状の手摺り3とは接触点Bで接する。すなわち、フレーム11は、手摺り3の中心を通る水平線Hより下側に位置する接触点Aと、手摺りの中心を通る水平線Hより上側に位置する接触点Bとの二点で手摺り3の外周面に接触する。なお、実際は、係止腕13及びフレーム11は所定の長さを有して手摺り3に沿って延びているため、係止腕13は垂壁1に対して接触点Cを含む線で接触し、フレーム11は手摺り3に対して接触点A及び接触点Bをそれぞれ通る線で接触することに留意されたい。
【0016】
階段昇降用補助具10の使用状態においては、係止腕13の先端と垂壁1との接触点Cが手摺り3の中心を通る水平線Hより下側に位置することで、階段昇降用補助具10が手摺り3から外れることが防止される。本実施形態では、フレーム11の壁部11aに係止腕13が略直角に交差して続いているため、フレーム11の壁部11aと円柱状の手摺り3との接触点Aも手摺り3の中心を通る水平線Hより下側に位置しているが、本実施形態に制限されることなく、壁部11aと係止腕13とが90゜より大きな角度で交差するようにして、フレーム11の壁部11aと円柱状の手摺り3との接触点Aが手摺り3の中心を通る水平線Hより上側に位置するようにすることもできる。
【0017】
フレーム11にハンドル12が一体形成された本実施形態の階段昇降用補助具10において、階段を昇降する人がハンドル12に自身の体重を掛けると、ハンドル12は下向きの力Fを受ける力点となり、接触点Bが支点となり、係止腕13の先端と垂壁1の接触点Cが作用点となり、梃子の原理で係止腕13の先端が垂壁1に強く当接し、力の釣り合いが保たれる。これによって、階段を昇降する人がハンドル12を使用する際に、階段昇降用補助具10が手摺り3の周方向にすべることが防止されると共に、階段昇降用補助具10が手摺り3から外れることが防止され、階段を昇降する人が階段昇降用補助具10で自身を支えることが可能となる。
【0018】
次に、本発明の階段昇降用補助具の第2の実施形態について説明する。
図2に示すように、階段昇降用補助具20は、手摺り3の長手方向に直線移動可能で、かつ、手摺り3の周方向にも回転可能なフレーム21と、フレーム21から垂壁1の反対側へ一体的に延出して設けられ、階段を昇降する人が把持するハンドル22と、フレーム21からハンドル22とは反対側の垂壁1側に延出して設けられた係止腕23(すべり防止手段)と、を備えている。係止腕23の先端が手摺り3の中心を通る水平線Hより下側に位置する接触点Cで垂壁1に当接する点や、フレーム21が、手摺りの中心を通る水平線より下側に位置する接触点Aと、手摺りの中心を通る水平線より上側に位置する接触点Bとの二点で手摺り3の外周面に接触する点に関しては、第1の実施形態と同様である。本実施形態では、フレーム21の壁部21aと壁部21bとが鋭角に交差しており、ハンドル22の把持部26の位置が第1の実施形態のハンドル12の把持部16の位置より低い点で、第1の実施形態と相違する。本実施形態の階段昇降用補助具20は、ハンドル22の把持部26の位置が低いため、ハンドル22の把持部26を把持しやすいという利点がある。
【0019】
本実施形態の階段昇降用補助具20の作用については、第1の実施形態と同様であり、階段を昇降する人がハンドル22に自身の体重を掛けると、梃子の原理で係止腕23の先端が垂壁1に強く当接し、階段昇降用補助具20が手摺り3の周方向にすべることが防止され、また、力の釣り合いが保たれて、階段を昇降する人が階段昇降用補助具20で自身を支えることが可能となる。
【0020】
次に、本発明の階段昇降用補助具の第3の実施形態について説明する。
図3に示すように、本実施形態の階段昇降用補助具30は、フレーム31と、ハンドル32と、係止腕33とを備えている点は、第1及び2の実施形態と同様である。フレーム31は、半円弧状の断面を有し、下側の開口端部34が手摺り3の直径と同程度の長さで開口している。フレーム31の開口端部34の間口は、取付けブラケット2の支持部2aの幅より広い。開口端部34の間口を手摺り3の直径より狭幅に形成することも可能であるが、本実施形態のように、手摺り3の直径と同程度の長さにすることにより、開口端部34を下向きにして、階段昇降用補助具30を手摺り3の軸方向に直交する方向、すなわち手摺り3の上側から階段昇降用補助具30を取り付けることができる利点がある。また、本実施形態の階段昇降用補助具30は、フレーム31が半円弧状の断面を有しているため、手摺り3のフレーム31の接触面積が大きくなり、階段昇降用補助具30のバランスが良くなり、手摺り3から外れ難くなるという利点がある。なお、本実施形態の階段昇降用補助具30の作用については、上記の第1及び第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0021】
次に、本発明の階段昇降用補助具の第4の実施形態について説明する。
図4に示すように、本実施形態の階段昇降用補助具40は、フレーム41と、ハンドル42と、係止腕43とを備えている点は、第1〜3の実施形態と同様である。フレーム41は、手摺り3の上側の略半分を覆うように、コの字状に形成されている。このため、本実施形態の階段昇降用補助具40では、フレーム41と手摺り3とは三つの接触点A,B,Dで接触している点で、フレーム11,21と手摺り3とが二つの接触点A,Bで接触している第1及び2の実施形態と相違すると共に、半円弧状の湾曲面でフレーム31と手摺り3とが面接触する第3の実施形態と相違している。本実施形態の階段昇降用補助具40は、半円弧状断面のフレーム31を有する第3の実施形態の階段昇降用補助具30と同様に、階段昇降用補助具40のバランスが良くなり、手摺り3から外れ難くなるという利点がある。なお、本実施形態の階段昇降用補助具40の作用については、上記の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0022】
続いて、ハンドルがフレームに独立に枢動可能に装着された階段昇降用補助具の第5〜7の実施形態について、
図5〜12を参照しながら説明する。
図5及び係止腕(53)を省略した
図6に示す第5の実施形態の階段昇降用補助具50は、手摺り3の外径に対応する内径を有し、手摺り3の上側部分を抱持する半円弧状断面を有するフレーム51と、フレーム51の一側に設けられ、階段を昇降する人が把持する枢動可能なハンドル52と、ハンドル52の位置する側とは反対側のフレーム51の他側に設けられ、ハンドル52が使用位置にあるときに、フレーム51が手摺り3の周方向へすべることを防止する係止腕53(すべり防止手段)と、を備えている。
【0023】
手摺り3の外周面に接するフレーム51の内面は、手摺り3の外周面に面接触する湾曲面として形成されている。本実施形態において、半円弧状断面を有するフレーム51の円弧角は、180゜と同程度の角度であり、開口端部54の間口の幅が手摺り3の直径とほぼ同じであるため、フレーム51は開口端部54を下向きにて手摺り3の上側(手摺り3の軸方向に直交する方向)から手摺り3に取り付けられる。フレーム51の円弧角を180゜より大きくし、開口端部54の間口の幅を手摺り3の直径より狭幅に形成した場合は、
図7及び
図8に示すように、フレーム51を開口端部54を通して上側から手摺り3に装着することができないため、フレーム51は手摺り3の一端側(自由端側)から手摺り3の軸方向に沿ってスライドさせながら取り付けられる。この際、フレーム51の開口端部54の間口の幅は、取付けブラケット2の支持部2aの幅より広くすることで、フレーム51と取付けブラケット2の支持部2aとの干渉を避けることができる。
【0024】
本実施形態のフレーム51は半円弧状断面を有しており、フレーム51の内面は湾曲しているため、フレーム51は手摺り3の中心を通る水平線Hより上側の外周面に面接触する。このため、本実施形態のフレーム51は、手摺り3に対する装着安定性が高く、これにより階段昇降用補助具50の操作性が良くなっているが、フレーム51の構造は本実施形態の態様に制限されるものではなく、フレーム51の形状を第4の実施形態の階段昇降用補助具40のフレーム41と同様のコの字状にするなど、種々のフレーム形状にすることも可能である。
【0025】
ハンドル52は、手摺り3の長手方向(長手軸)に平行な枢動軸57の周りで、垂壁1に略平行な不使用位置と、垂壁1に対して略垂直に延伸する使用位置との間において枢動可能であり、一端にはハンドル52の使用位置において手摺り3に当接する当接部55(枢止手段)を有し、他端には階段を昇降する人が把持する把持部56を有する。枢止手段としての当接部55は、ハンドル52の手摺り3側の端部に設けられ、枢動軸57と手摺り3との間の距離よりも長い距離延長する延長部分の端部である。これにより、本実施形態では、
図5に示すように、垂壁1に略平行なハンドル52の不使用位置から垂壁1に対して略垂直に延伸するハンドル52の使用位置へ、ハンドル52を時計方向に略90゜枢動することにより、ハンドル52の当接部55が手摺り3に当接し、ハンドル52の枢動が止まる。
【0026】
本実施形態では、ハンドル52がフレーム51に対して独立に枢動可能に設けられているが、ハンドル52の使用位置において、ハンドル52をフレーム51に係止(固定)するため、ハンドル52に係止部を設け、フレーム51にハンドル52の係止部に係合する被係止部を設け、ハンドル52の使用位置において、ハンドル52とフレーム51とが一体的に動作するようにすることもできる。すなわち、ハンドル52の使用位置において、フレーム51に対するハンドル52の相対的位置関係を定めて、ハンドル52とフレーム51とが一体的に動作するようにすると、フレーム31とハンドル32とが一体的に形成された第3の実施形態の階段昇降用補助具30のように、手摺り3に支持されたフレーム51の両側で、ハンドル52の把持部56が力点となり、係止腕53の先端と垂壁1との接触点Cが作用点となり、梃子の原理で係止腕53の先端を垂壁1に強く当接させて、力の釣り合いを保つことができる。
【0027】
係止腕53は、垂壁1に先端が当接することにより手摺り3の周方向へのフレーム51の回転(すべり)を止めるすべり防止機能を有している。この機能を奏するために、フレーム51からの係止腕53の延出長さL1が、垂壁1側のフレーム51の端部(外面)と垂壁1との間の距離L2より長く形成されている。このため、
図5に示すように、フレーム51が手摺り3に装着された状態においては、係止腕53は取付けブラケット2の近傍で斜め下向きに位置し、フレーム51を時計方向Rに回転することにより、係止腕53の先端が垂壁1に当接する。
【0028】
係止腕53は、先端(延出端)が垂壁1に当接する当接位置と、先端が垂壁1から離間する非当接位置との間で、一体形成されたフレーム51と共に手摺り3の周方向に回転可能であるが、フレーム51を手摺り3の周囲に沿って時計方向Rに回転させ、係止腕53を非当接位置から当接位置へ移動させて、係止腕53の先端を垂壁1に当接させることにより、係止腕53の先端と垂壁1との摩擦によりフレーム51の回転(すべり)が止まり、フレーム51が手摺り3から外れることもなく、階段を昇降する人が使用位置にあるハンドル52を使用できる状態となる。
【0029】
図6に示すように、係止腕53(
図6では不図示)の位置する側の反対側で、フレーム51に設けられたハンドル52は、略90゜の角度範囲で、一端を支点として枢動軸57の周りを枢動可能である。階段を昇降する人が、階段昇降用補助具50を使用しないときは、ハンドル52を不使用位置まで反時計方向に枢動する。一方、階段昇降用補助具50を使用するときは、ハンドル52を使用位置まで時計方向Rに枢動して略水平状態にする。ハンドル52を枢動して略水平状態にすると、ハンドル52の一端に備わる枢止手段としての当接部55が手摺り3の外周面に当接し、ハンドル52の枢動が停止する。この状態で、ハンドル52の把持部56に力を加えると、ハンドル52の当接部55が手摺り3の外周面を押す力となって作用し、力の釣り合いが保たれる。ハンドル52は、フレーム51に対して独立に枢動可能に設けられているが、ハンドル52の当接部55を手摺り3に当接させることにより、ハンドル52の枢動が止まり、階段を昇降する人がハンドル52を使用できる状態となる。階段昇降用補助具50を使用する際に、ハンドル52を略水平状態にすることによって、階段を昇降する人が身体の前でハンドル52を把持することができ、また、ハンドル52に対して自身の体重を掛けることができ、ハンドル52の操作性が向上する。なお、ハンドル52の長さなどの寸法や形状は任意であり、使用者の操作性やハンドル52の強度などを考慮して決定される。
【0030】
フレーム51と一体的に形成された係止腕53は、ハンドル52の位置する側の反対側(垂壁1の側で)で水平線Hより下に位置し、斜め下向きで根本側から先端まで延設されている。係止腕53を斜め下向きに延設することにより、フレーム51を開口端部54を下向きにして、フレーム51を手摺り3に上から干渉なく装着することができ、また、フレーム51を所定の範囲内で時計方向Rに回転させながら係止腕53の先端を垂壁1に当接させることができる。なお、係止腕53の長さ及び太さなどの寸法は、係止腕53の強度などを考慮して決定される。
【0031】
階段の昇降を連続して行うには、手摺り3に沿ってフレーム51を直線移動させる必要がある。階段を一段昇降した後に、ハンドル52を逆方向(図示例では反時計方向)に戻してハンドル52の当接部55を手摺り3から離すと共に、ハンドル52を把持したままフレーム51を手摺り3の外周に沿って反時計方向に回転させて、係止腕53の先端を垂壁1から離し、フレーム51を階段を昇降する人が進む方向へ手摺り3に沿って直線移動させる。このとき、フレーム51を移動させる距離は、階段1段を進む距離に対応する長さとすることが好ましい。階段を昇降する人は、再びフレーム51及びハンドル52を操作してフレーム51の移動及び回転を止めると共にハンドル52の枢動を止めることにより、ハンドル52を支えにして、脚力と腕力で階段を一段づつ安全に昇降することができる。
【0032】
なお、本実施形態の階段昇降用補助具50において、ハンドル52を操作しないときに、ハンドル52を不使用位置へ戻すために、ハンドル52を常時付勢する戻りばねなどの付勢手段(図示せず)をハンドル52の枢動軸57に外挿することも可能である。こうすることで、ハンドル52が、階段側に張り出して、階段昇降用補助具50を使用せずに階段を昇降する人の邪魔になることを防止することができる。
【0033】
図7及び8には、第5の実施形態の階段昇降用補助具50の変形例が示されている。
図7に示す階段昇降用補助具50Aでは、開口端部54Aの間口の幅が手摺り3の直径より狭幅に形成されたフレーム51Aと、ハンドル52の位置する側とは反対側のフレーム51Aの他側に設けられ、ばねで連結された一対の係止腕53A(すべり防止手段)と、を備えている。この変形例では、開口端部54Aの間口の幅が手摺り3の直径より狭幅に形成されているため、フレーム51Aが手摺り3から不用意に外れることが防止されている。枢止手段としての当接部55を先端に有する枢動可能なハンドル52の構成は、階段昇降用補助具50と同様である。
【0034】
この変形例において、フレーム51Aの開口端部54Aの間口の幅が手摺り3の直径より狭幅に形成されているため、フレーム51Aは手摺り3の一端側から手摺り3の軸方向に沿ってスライドさせながら取り付けられる。フレーム51Aの両端部は、手摺り3の中心を通る水平線Hより下側に位置し、ハンドル52は、フレーム51Aの一側端部に枢動軸57を介して枢動可能に取付けられている。ハンドル52は、フレーム51Aに対して独立に枢動可能に設けられているが、一対の係止腕53Aの先端が垂壁1に当接してフレーム51Aのすべりが防止されている状態で、ハンドル52を垂直な不使用位置から水平な使用位置へ枢動させ、ハンドル52の当接部55を手摺り3に当接させることにより、ハンドル52の枢動が止まり、階段を昇降する人がハンドル52を使用できる状態となる。
【0035】
すべり防止手段としての一対の係止腕53Aは、基端がフレーム51Aに枢動可能に取り付けられ、先端が垂壁1に当接し、先端と基端との間でばね58により連結されている。一対の係止腕53Aは、ばね58により互いに接近する対向方向に付勢されているため、一対の係止腕53Aの先端は垂壁1に常時接触し、これにより、フレーム51Aが手摺り3の周方向にすべることが防止されると共に、階段昇降用補助具50Aの安定性が保たれている。一対の係止腕53Aの先端が垂壁1を押す力は大きくないため、一対の係止腕53Aの先端は垂壁1に接触した状態で、フレーム51Aは手摺り3の長手方向へ移動することができる。
【0036】
階段昇降用補助具50Aを使用する際は、ハンドル52を時計方向に回転させ、ハンドル52の当接部55を手摺り3の外周面に当接させてハンドル52の枢動を止め、これによりハンドル52を水平状態にして、ハンドル52の把持部56に体重を掛けて自身を支える。
【0037】
第5の実施形態の階段昇降用補助具50の他の変形例である
図8に示す階段昇降用補助具50Bでは、フレーム51Bの手摺り3の周方向へのすべりを防止するすべり防止手段として、フレーム51Bに凸部(係合部)53Bが設けられ、凸部53Bに係合する凹部3a(被係合部)が手摺り3に設けられている。フレーム51Bの開口端部54Bの間口の幅が手摺り3の直径より狭幅に形成されている点や、フレーム51Bの一端側で、枢止手段としての当接部55を先端に有する枢動可能なハンドル52を備えている点は、上記の階段昇降用補助具50Aと同様である。
【0038】
この変形例においては、手摺り3に沿って凹部3aを形成する必要があるものの、係止腕の構成が不要となるため、フレーム51Bの構成がより簡易となると共に、ハンドル52の把持部56に大きな力が掛かっても、フレーム51Bの手摺り3の周方向へのすべりを確実に防止することができる利点がある。
【0039】
次に、本発明の階段昇降用補助具の第6の実施形態について説明する。
図9〜11において、本実施形態の階段昇降用補助具60が、手摺り3の外径に対応する内径を有し、手摺り3の上側部分を抱持する半円弧状断面を有するフレーム61と、フレーム61の一側に設けられ、階段を昇降する人が把持する枢動可能なハンドル62と、ハンドル62の位置する側とは反対側のフレーム61の他側に設けられ、ハンドル62が使用位置にあるときに、フレーム61が手摺り3の周方向へすべることを防止する係止腕63(すべり防止手段)と、を備えている点は、上記の第5の実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態の階段昇降用補助具60が、第5の実施形態の階段昇降用補助具50と異なる点は、ハンドル62が、手摺り3の長手方向に対して略垂直に延びる枢動軸67周りで枢動可能である点である。ハンドル62がフレーム61に対して独立に枢動可能である点や、ハンドル62が手摺り3に当接する当接部65を有する点や、当接部65が手摺り3に当接することによりハンドル62の枢動が停止する点などは、第5の実施形態と同様である。
【0041】
図9〜11に示すように、ハンドル62を枢動軸67周りで枢動可能とすることにより、ハンドル62を使用して階段を昇降する際には、ハンドル62を水平状態にしてハンドル62で自身を支えて階段を昇降することができ、ハンドル62を使用しないで階段を昇降するときは、ハンドル62を手摺り3の長手方向に沿わせることができ、階段を昇降する人の邪魔にならないようにすることができる。なお、本実施形態におけるフレーム61の構成や係止腕63の構成や作用は第5の実施形態と同様であるため、本実施形態でのその説明は省略することとする。
【0042】
なお、第6の実施形態の階段昇降用補助具60においても、第5の実施形態の階段昇降用補助具50の変形例と同じように、フレーム61の開口端部64の間口の幅を手摺り3の直径より狭幅に形成し、フレーム61を手摺り3の一端側から手摺り3の軸方向に沿ってスライドさせながら取り付ける構成とすることもできる。
【0043】
次に、本発明の階段昇降用補助具の第7の実施形態について説明する。
図12において、本実施形態の階段昇降用補助具70は、フレーム71と、フレーム71から上方に延出して設けられ、階段を昇降する人が把持するハンドル72と、フレーム71から垂壁1側に延出して設けられた係止腕73と、を備えている点は、第5の実施形態と同様である。
【0044】
本実施形態の階段昇降用補助具70が、第5の実施形態の階段昇降用補助具50と異なる点は、一端に手摺り3の外周面に沿って湾曲する湾曲面75aを含む当接部75を有する枢動可能なハンドル72と、ハンドル72と共に把持され、フレーム71に固定されたハンドル協働部材78を有する点である。
図12に示すように、ハンドル72が、手摺り3の外周面に沿って湾曲する湾曲面75aを有することにより、手摺り3の外周面に対するハンドル72の接触面積が大きくなり、ハンドル72にはより重い体重を掛けることができる。
【0045】
本実施形態のように、可動側のハンドル72と固定側のハンドル協働部材78を設けることにより、ハンドル72の当接部75とフレーム71との間で手摺り3を挟持する操作が容易となるが、ハンドル協働部材78を設けず、フレーム71に対して枢動可能なハンドル72だけとすることもできる。また、ハンドル協働部材78をフレーム71に固定せず共有する枢動軸79周りで枢動可能とし、ハンドル協働部材78の端部にハンドル72の当接部75との間で手摺り3を挟持する挟持部を設けることもできる。この場合は、ハンドル72とハンドル協働部材78の両方が枢動可能となる。なお、本実施形態におけるフレーム71の構成や係止腕73の構成や作用は第5の実施形態と同様であるため、本実施形態でのその説明は省略することとする。
【0046】
なお、第7の実施形態の階段昇降用補助具70においても、第5の実施形態の階段昇降用補助具50の変形例と同じように、フレーム71の開口端部74の間口の幅を手摺り3の直径より狭幅に形成し、フレーム71を手摺り3の一端側から手摺り3の軸方向に沿ってスライドさせながら取り付ける構成とすることもできる。
【0047】
以上のように、本発明に係る階段昇降用補助具10,20,30,40,50,50A,50B,60,70によれば、係止腕などのすべり防止手段13,23,33,43,53,53A,53B,63,73により、手摺り3に装着されたフレーム11,21,31,41,51,51A,51B,61,71が、手摺り3の周方向にすべることが防止されると共に、フレームが手摺り3から不用意に外れることが防止され、フレームに一体形成され、又はフレームに枢動可能に設けられたハンドル12,22,32,42,52,62,72に自身の体重を掛けて自身を支えながら、脚力と腕力で階段を一段づつ安全に昇降することができる。
したがって、本発明は、一般的に良く用いられる円柱形状の手摺り3に容易に取り付けることができ、また、取り扱いも容易な簡易な構造の階段昇降用補助具を提供することができる。