(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099376
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20170313BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20170313BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20170313BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20170313BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20170313BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20170313BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20170313BHJP
H05B 33/26 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/1343
G02F1/133 550
G02F1/1368
G09G3/20 624B
G09G3/20 622C
G09G3/20 611E
G09G3/20 680H
G09G3/20 611J
H05B33/12 B
H05B33/14 B
H05B33/26 Z
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-264112(P2012-264112)
(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公開番号】特開2014-109702(P2014-109702A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 涼
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛
【審査官】
中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/083784(WO,A1)
【文献】
特開2002−287712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
G02F 1/133
G02F 1/1343
G02F 1/1368
H01L 51/50
H05B 33/12
H05B 33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の表示領域において、一の方向に延び、並置された複数の走査信号線と、
前記複数の走査信号線の各々に沿って画素ごとに配置され、前記走査信号線がゲートに接続されたトランジスタと、
前記走査信号線に前記トランジスタを導通させる電圧である導通電圧が印加されることにより、前記トランジスタを介して、前記画素の階調値に対応する電位が印加される画素電極と、
前記導通電圧を印加する制御回路と、を備え、
前記画素電極は、前記基板の面に垂直な方向からの平面視において、互いに異なる面積を有する第1画素電極及び第2画素電極をそれぞれ複数有し、
前記画素電極には、前記走査信号線に対して並列に並ぶ複数の電極が設けられ、
前記第1画素電極と前記第2画素電極とは、前記並列に並ぶ複数の電極の数が異なり、
前記複数の走査信号線は、第1の走査信号線と、第2の走査信号線とを有し、
前記第1の走査信号線は、前記トランジスタを介して前記第1画素電極と接続し、
前記第2の走査信号線は、前記トランジスタを介して前記第2画素電極と接続し、
前記制御回路は、前記第1画素電極が接続された前記第1の走査信号線に印加される前記導通電圧である第1導通電圧と、前記第2画素電極が接続された前記第2の走査信号線に印加される前記導通電圧であり、前記第1導通電圧とは異なる電圧である第2導通電圧とを印加し、
前記第1導通電圧と前記第2導通電圧とは、前記第1画素電極と前記第2画素電極との面積の差に従って異なる、ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第2画素電極の面積が前記第1画素電極の面積より大きい場合には、前記第2導通電圧の電位差は前記第1導通電圧の電位差よりも大きい、ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示装置であって、
前記第1画素電極は、赤及び緑の波長領域の光を制御する画素電極であり、
前記第2画素電極は、青及び白の波長領域の光を制御する画素電極であり、
前記青及び白の波長領域の光を制御する画素電極は、同一の走査信号線上に交互に並び、
前記第2画素電極の面積は、前記第1画素電極の面積よりも大きい、ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表示装置であって、
前記対向電極は、前記画素電極と協働して電界を形成し、表示領域の全面を覆う共通電極である、ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板上に形成された複数の走査信号線と、
前記走査信号線に沿って配置された複数の画素と、
前記走査信号線がゲートに接続されたトランジスタと、
前記走査信号線に走査信号を印加する駆動回路と、
前記画素に設けられ前記トランジスタに電気的に接続する画素電極と、を備え、
前記画素電極は、第1画素電極と、第1画素電極より面積が大きい第2画素電極とを有し、
前記画素電極には、前記走査信号線に対して並列に並ぶ複数の電極が設けられ、
前記第1画素電極より前記第2画素電極は、前記並列に並ぶ複数の電極の数が多く、
前記走査信号線は、第1走査信号線と第2走査信号線とを有し、
前記第1走査信号線は、前記トランジスタを介して前記第1画素電極に電気的に接続され、
前記第2走査信号線は、前記トランジスタを介して前記第2画素電極に電気的に接続され、
前記走査信号は前記トランジスタをオン状態とする高電圧と、オフ状態とする低電圧とを有し、
前記駆動回路は前記第1走査信号線に第1高電圧を出力し、前記第2走査信号線に第2高電圧を出力し、
前記第1高電圧と前記第2高電圧とは、前記第1画素電極と前記第2画素電極との面積の差に従って異なることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置であって、
前記第2高電圧は前記第1高電圧よりも高いことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の表示装置であって、
前記第1画素電極は、赤及び緑の波長領域の光を制御する画素電極であり、
前記第2画素電極は、青及び白の波長領域の光を制御する画素電極であり、
前記青及び白の波長領域の光を制御する画素電極は、同一の前記第2走査信号線に沿って交互に並ぶことを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項5に記載の表示装置であって、
前記第2画素電極の面積は前記第1画素電極の面積よりも20%以上大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
第1基板と、第2基板と、
前記第2基板に設けられたカラーフィルタと、
前記第1基板上に形成された複数の走査信号線と、
前記走査信号線と交差して第1基板上に形成された複数の映像信号線と、
前記走査信号線に走査信号を印加する駆動回路と、
前記第1基板上にマトリクス状に形成された複数の画素と、
前記画素に形成されたトランジスタ及び画素電極と、
前記トランジスタに設けられたゲート、入力電極及び出力電極と、を有し、
前記ゲートは前記走査信号線に接続し、前記入力電極は前記映像信号線に接続し、前記出力電極は前記画素電極に接続し、
前記画素電極は、第1画素電極と、前記第1画素電極より面積が大きい第2画素電極とを有し、
前記画素電極には、前記走査信号線に対して並列に並ぶ複数の電極が設けられ、
前記第1画素電極より前記第2画素電極は、前記並列に並ぶ複数の電極の数が多く、
前記走査信号線は、第1走査信号線と第2走査信号線とを有し、
前記第1走査信号線は、前記トランジスタを介して前記第1画素電極に電気的に接続され、
前記第2走査信号線は、前記トランジスタを介して前記第2画素電極に電気的に接続され、
前記走査信号は高電圧と、前記高電圧より低い低電圧との間で振幅し、
前記駆動回路は前記第1走査信号線に第1走査信号を出力し、前記第2走査信号線に第2走査信号を出力し、
前記第1画素電極の面積が前記第2画素電極の面積よりも小さいことに従い、前記第1走査信号の高電圧は、前記第2走査信号の高電圧よりも低いことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の表示装置であって、
前記カラーフィルタは、
赤の波長領域の光を透過する赤フィルタと、
緑の波長領域の光を透過する緑フィルタと、
青の波長領域の光を透過する青フィルタと、
白の波長領域の光を透過する白フィルタとを有し、
前記第1画素電極は、前記赤フィルタと対向する赤画素電極と、前記緑フィルタ対向する緑画素電極とを有し、
前記第2画素電極は、前記青フィルタと対向する青画素電極と、前記白フィルタと対向する白画素電極とを有することを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項9に記載の表示装置であって、
前記カラーフィルタは、
赤の波長領域の光を透過する赤フィルタと、
緑の波長領域の光を透過する緑フィルタと、
青の波長領域の光を透過する青フィルタと、
白の波長領域の光を透過する白フィルタとを有し、
前記第1画素電極は、前記赤フィルタと対向する赤画素電極と、前記緑フィルタ対向する緑画素電極とを有し、
前記第2画素電極は、前記青フィルタと対向する青画素電極と、前記白フィルタと対向する白画素電極とを有し、
前記青画素電極と前記白画素電極とは、同一の前記第1走査信号線に沿って交互に並ぶことを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項9に記載の表示装置であって、
前記第2画素電極の面積は前記第1画素電極の面積よりも20%以上大きいことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信端末やテレビ受像機において、表示装置が広く用いられている。このような表示装置のうち液晶表示装置は、2つの基板の間に封じ込められた液晶組成物の配向を電界の変化により変え、液晶パネルを通過する光の強さを制御することにより画像を表示させる装置である。一方、他の表示装置である有機EL(Electro-Luminescent)表示装置は、有機発光ダイオード等の自発光体を用いた表示装置である。
【0003】
特許文献1は、液晶表示装置において、色ごとに開口率を異ならせることにより、効率よく輝度を得ることについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−158563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶表示装置や有機EL表示装置のような、各画素に所定の電位を印加するためのトランジスタを有する表示装置においては、各画素に映像信号電圧を書き込む際のゲート信号の変化に応じて、ソース・ドレイン線から印加された電極の電位を同時に変化させてしまうことがある。特に、上述の特許文献1に示されるように、画素によって開口率が異なる場合には、それに従って画素電極の大きさが異なるため、ゲート信号の変化に応じた画素電極の電位の変化も画素毎に異なり、結果としてフリッカ等の表示不具合の原因となる恐れがある。
【0006】
本発明は、上述の事情を鑑みてしたものであり、画素電極の面積が画素によって異なる場合であっても、ゲート信号の変化に応じた画素電極の電位の変化に起因する表示不具合を抑制した表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示装置は、基板上の表示領域において、一の方向に延び、並置された複数の走査信号線と、前記複数の走査信号線の各々に沿って画素ごとに配置され、前記走査信号線がゲートに接続されたトランジスタと、前記走査信号線に前記トランジスタを導通させる電圧である導通電圧が印加されることにより、前記トランジスタを介して、前記画素の階調値に対応する電位が印加される画素電極と、前記導通電圧を印加する制御回路と、を備え、前記画素電極は、前記基板の面に垂直な方向からの平面視において、互いに異なる面積を有する第1画素電極及び第2画素電極をそれぞれ複数有し、前記複数の走査信号線の各々の走査信号線には、前記第1画素電極及び前記第2画素電極のいずれか一方の前記画素電極のみが前記トランジスタを介して複数接続され、前記制御回路は、前記第1画素電極が接続された前記走査信号線に印加される前記導通電圧である第1導通電圧と、前記第2画素電極が接続された前記走査信号線に印加される前記導通電圧であり、前記第1導通電圧とは異なる電圧である第2導通電圧とを印加する、ことを特徴とする表示装置である。
【0008】
また、本発明の表示装置においては、前記第2電極の面積が前記第1電極の面積より大きい場合には、前記第2導通電圧の電位差を前記第1導通電圧の電位差よりも大きくすることができる。
【0009】
また、本発明の表示装置においては、前記第1画素電極は、赤及び緑の波長領域の光を制御する画素電極であり、前記第2画素電極は、青及び白の波長領域の光を制御する画素電極であり、前記青及び白の波長領域の光を制御する画素電極は、同一の走査信号線上に交互に並び、前記第2画素電極の面積は、前記第1画素電極の面積よりも大きい、とすることができる。
【0010】
また、本発明の表示装置においては、前記対向電極は、前記画素電極と協働して電界を形成し、表示領域の全面を覆う共通電極としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置である液晶表示装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図1の液晶パネルについて概略的に示す図である。
【
図3】
図2の液晶パネルの画素の副画素について概略的に示す図である。
【
図4】各副画素において形成される容量について説明するための図である。
【
図5】画素電極に、共通電極に印加された電圧より正極側の電位が印加される場合における、画素電極の電圧降下について示すタイミングチャートである。
【
図6】画素電極に、共通電極に印加された電圧より負極側の電位が印加される場合における、画素電極の電圧降下について示すタイミングチャートである。
【
図7】B画素電極及びW画素電極に対して延びる走査信号線に印加されるゲート導通電圧を、R画素電極及びG画素電極のゲート導通電圧より上昇させた場合について示すタイミングチャートである。
【
図8】R画素電極及びG画素電極に対して延びる走査信号線に印加されるゲート導通電圧を、B画素電極及びW画素電極のゲート導通電圧より低下させた場合について示すタイミングチャートである。
【
図9】走査信号線に印加されるゲート導通電圧の生成回路の一例について示す図である。
【
図10】比較例1に係るR画素電極(又はG画素電極)のレイアウトを示す図である。
【
図11】比較例1に係るB画素電極(又はW画素電極)のレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1には、本発明の一実施形態に係る表示装置である液晶表示装置100が概略的に示されている。この図に示されるように、液晶表示装置100は、上フレーム110及び下フレーム120に挟まれるように固定された液晶パネル200及び不図示のバックライト装置等から構成されている。
【0014】
図2は、
図1の液晶パネル200について概略的に示す図である。この図に示されるように、液晶パネル200は、トランジスタが形成された絶縁基板である薄膜トランジスタ基板201と、薄膜トランジスタ基板201上に重ねられ、薄膜トランジスタ基板201との間に液晶組成物(不図示)を封止し、表示領域207に形成された各画素210でRGBW(赤緑青白)のいずれかに対応する波長の光のみを透過するフィルタが形成されたカラーフィルタ基板203と、各画素210に配置されたトランジスタのゲートに接続され、一の方向に延び、並置された複数の走査信号線206と、トランジスタのドレインに接続され、走査信号線206に交差する方向に延び、並置された複数のドレイン線209と、走査信号線206に印加される電圧及びドレイン線209に印加される電圧を制御することにより、各画素210に階調値に対応する電圧を印加する制御回路であるドライバIC(Integrated Circuit)と、を有している。
【0015】
図3は、
図2の液晶パネル200の画素210の副画素について概略的に示す図である。画素は、RGBの色に対応する画素と、RGWの色に対応する画素との2つの種類があり、この図に示されるように、各画素に対応して、それぞれR画素電極211、G画素電極212及びB画素電極213、並びにR画素電極211、G画素電極212及びW画素電極214を有し、ドレイン線209に沿って順にR画素電極211、G画素電極212及びB画素電極213が並ぶ列と、R画素電極211、G画素電極212及びW画素電極214が並ぶ列の2種類が形成されている。また、走査信号線206に沿って、R画素電極211のみが並ぶ行、G画素電極212のみが並ぶ行、B画素電極213及びW画素電極214が交互に並ぶ行が形成されている。
【0016】
ここでB画素電極213及びW画素電極214の面積(第2画素電極の面積)は、R画素電極211及びG画素電極212の面積(第1画素電極の面積)より大きくなっている。本実施形態では、B画素電極213及びW画素電極214の面積は、R画素電極211及びG画素電極212の面積より約20%大きいこととしているが、他の比率で画素電極の大きさを異ならせていてもよい。ここで、W(白)の画素の面積を大きくしているのは、より輝度を上げて消費電力を抑えると共に、コントラストを向上させるためであり、更に青の色度が足りなくなるのを防ぐためにB画素電極213の面積もW画素電極214の面積と共に大きくしている。又、一つのドレイン線に対してRGB又はRGWの副画素が配置されることにより、ドレイン線209の本数を削減し、消費電力を抑えている。
【0017】
ここで走査信号線206に印加されるゲート信号の立ち下がり時の画素電極における電圧の降下について説明する。
図4は、各副画素において形成される容量について説明するための図である。この図に示されるように、ドレイン線209に印加された階調信号電圧は、走査信号線206に印加されるゲート信号の立ち下がりにより、画素電極211〜214のいずれかの画素電極に保持される。一方で、画素電極は、走査信号線206と容量Cgsを形成する。また、共通電極218は、表示領域207全体を覆う透明電極により形成されており、一定電圧を保持することにより画素電極と協働して液晶組成物の配向を制御する対向電極である。画素電極は、この共通電極218と容量Cstを形成する。これらの容量Cgs及びCstが形成されていることにより、ゲート信号の立ち下がり電位差ΔVgが発生すると、以下の数1に示されるように、画素電極に降下電圧ΔVpが発生する。
【0019】
図5は、画素電極に、共通電極218に印加された電圧より正極側の電位が印加される場合における、画素電極の電圧降下について示すタイミングチャートである。この図に示されるように、画素電極に印加されたVpは、ゲート信号の立ち下がり時にΔVp分引き下げられる。
図6は、画素電極に、共通電極218に印加された電圧より負極側の電位が印加される場合における、画素電極の電圧降下について示すタイミングチャートである。この場合においても
図5と同様に、画素電極に印加されたVpは、ゲート信号の立ち下がり時にΔVp分引き下げられる。
【0020】
図5及び
図6のような正極側の電圧の印加及び負極側の電圧の印加が周期的に行われる反転駆動により画像表示が行われることを考慮すると、これらの電圧降下が同じ画素に生じても共通電極218の電位との電位差が所望の電位差となるように共通電極218の電位を定める必要がある。しかしながら、本実施形態の液晶表示装置100では、B画素電極213及びW画素電極214の面積は、R画素電極211及びG画素電極212の面積より大きくなっており、数1の容量Cstは、これらの面積に比例するため電圧降下の電位差ΔVpは一様とならない。電位差ΔVpを一様とできない場合には、一定の共通電極218の電位を定めることができないため、表示画像にちらつきが生じることとなってしまう。
【0021】
そこで、本実施形態では、
図3に示したように、走査信号線206に沿って一様な面積の画素が並んでいることから、走査信号線206に印加されるゲートの導通電圧であるゲート導通電圧をB画素電極213及びW画素電極214と、R画素電極211及びG画素電極212とで異ならせることにより、共通電極218に印加される電圧が一定になるようにしている。
【0022】
図7には、B画素電極213及びW画素電極214に対して延びる走査信号線206に印加されるゲート導通電圧を、R画素電極211及びG画素電極212のそれより上昇させた場合について示すタイミングチャートである。これにより、ゲート信号の立ち下がりの際の降下電圧ΔVpをすべての画素電極であるR画素電極211、G画素電極212、B画素電極213及びW画素電極214で均一化することができる。したがって、一つの共通電極218の電位を定めることができるため、画面のフリッカ等を抑え、安定した画像を表示させることができる。
【0023】
図8には、R画素電極211及びG画素電極212に対して延びる走査信号線206に印加されるゲート導通電圧を、B画素電極213及びW画素電極214のそれより低下させた場合について示すタイミングチャートである。このようにした場合であっても、各画素電極における、ゲート信号の立ち下がりの際の降下電圧ΔVpを均一化することができ、
図7の場合と同様に、一つの共通電極218の電位を定めることができるため、画面のフリッカ等を抑え、安定した画像を表示させることができる。
【0024】
図9は、走査信号線に印加されるゲート導通電圧の生成回路250の一例について示す図である。この図の回路に示されるように、周知のチャージポンプ回路251を用い、参照電圧Vrefの切り替えにより、ゲート導通電圧Vghを切り替えることができる。
【0025】
[比較例1]
画素電極の大きさが異なる場合において、数1のΔVpを一定にするための別の実施形態である比較例1について示す。
図10には、R画素電極211(又はG画素電極212)のレイアウトが示されている。この図には、ゲート信号がゲート導通電圧の場合にドレイン線209とR画素電極211を電気的に接続するソース線208が示されており、本比較例ではその幅Wを7.5μmとしている。
図11には、B画素電極213(又はW画素電極214)のレイアウトが示されている。ここでは、ソース線208の幅Wは9.0μmとしている。このように大きな画素電極であるB画素電極213のソース線208の幅Wを、小さな画素電極であるR画素電極211のソース線208の幅Wより大きくすることにより、上記数1のCgs/(Cst+Cgs)を調整することができるため、ΔVpを各副画素で揃えることが可能である。しかしながら、この方法の場合には、リーク電流の発生が懸念される他、製造ばらつきによってCgs/(Cst+Cgs)を揃えるのが困難となる恐れがある。
【0026】
[比較例2]
上述の実施形態では、走査信号線206に印加される電圧を調整することとしたが、ドレイン線に印加する映像信号を調整することにより、画素電極の電圧降下時の電位を調整することとしてもよい。この場合には、階調値に基づく映像信号の電圧に加えて、予め降下電圧ΔVpに応じた階調信号電圧をドレイン線209に印加するものであり、降下電圧ΔVpの違いを許容してドレイン線209に階調信号電圧が印加されるため、この場合にも一つの共通電極218の電位を定めることができる。特にRGBが走査信号線206に沿って順に並び、ドレイン線209に沿って同じ色の画素又は同じ大きさの画素が並んでいる場合には有効であるが、複雑な処理が必要となる。
【0027】
なお、上述の実施形態においては、表示装置として液晶表示装置を用いることとしたが、有機EL表示装置等の画素毎に配置されたトランジスタを用いて電位が印加される表示装置であれば本発明を適用することができる。
【0028】
また、本実施形態においては画素にn型のトランジスタを用いて説明したが、p型のトランジスタを用いることも可能であり、その場合には、ソース及びドレインの語は逆に読み替えることになり、ゲート信号の立ち下がりは立ち上がりと読み替えることにより適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
100 液晶表示装置、110 上フレーム、120 下フレーム、200 液晶パネル、201 薄膜トランジスタ基板、203 カラーフィルタ基板、206 走査信号線、207 表示領域、208 ソース線、209 ドレイン線、210 画素電極、211 R画素電極、212 G画素電極、213 B画素電極、214 W画素電極、218 共通電極、250 生成回路、251 チャージポンプ回路。