特許第6099377号(P6099377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099377
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】建物養生枠
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20170313BHJP
   E04G 3/28 20060101ALI20170313BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   E04G21/32 B
   E04G3/28 301A
   E04G21/16
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-266567(P2012-266567)
(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公開番号】特開2014-111867(P2014-111867A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】水谷 健一
(72)【発明者】
【氏名】中島 正人
(72)【発明者】
【氏名】板谷 真司
(72)【発明者】
【氏名】西松 愛三
(72)【発明者】
【氏名】永野 浩一
(72)【発明者】
【氏名】林 誠
(72)【発明者】
【氏名】西口 正人
(72)【発明者】
【氏名】穐山 和生
(72)【発明者】
【氏名】星隈 憲二
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−296610(JP,A)
【文献】 特開2009−161999(JP,A)
【文献】 特開2012−210103(JP,A)
【文献】 特公昭55−030094(JP,B1)
【文献】 特開昭63−051568(JP,A)
【文献】 特開平02−030851(JP,A)
【文献】 実開平07−006401(JP,U)
【文献】 特許第3468243(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G21/32
E04G3/28
E04G21/14−21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の外周側に、上下移動自在な状態に取付可能な養生枠体を設け、
前記養生枠体の下端部に、下方での揚重作業に使用自在な揚重装置と、前記揚重装置を前記養生枠体の幅方向に沿って移動自在に支持する支持レールとを設け、
前記養生枠体を上方に移動自在な油圧ジャッキを装備し、
前記養生枠体の支持レールと、隣接させる養生枠体の支持レールとの隙間に挿入されて、両方の前記支持レールの端部どうしの間に位置して前記隙間を埋めると共に、両方の前記支持レールどうしを連続する状態に連結する連結部材を備えてある建物養生枠。
【請求項2】
建物躯体の外周側に、上下移動自在な状態に取付可能な養生枠体を設け、
前記養生枠体の下端部に、下方での揚重作業に使用自在な揚重装置と、前記揚重装置を前記養生枠体の幅方向に沿って移動自在に支持する支持レールとを設け、
前記養生枠体を上方に移動自在な油圧ジャッキを装備し
前記養生枠体の支持レールと、隣接させる養生枠体の支持レールとにわたってボルトナットで取り付けることで、両支持レールを連結する連結部材が設けてあり、
前記連結部材と前記支持レールとの一方には、前記連結部材と前記支持レールとの他方に、予め、取り付けられた前記ボルトナットのボルト軸部に対してボルト径方向に沿って係入自在なボルト穴部を備えてある建物養生枠。
【請求項3】
前記養生枠体から建物躯体側へ突出自在で、その突出状態において、前記養生枠体と前記建物躯体との隙間を遮蔽する遮蔽部材が、前記養生枠体に備えてある請求項1又は2に記載の建物養生枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物躯体の外周側に、上下移動自在な状態に取付可能な養生枠体を設けて構成された建物養生枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の建物養生枠としては、建設中の建物躯体の外周に設置して、建物躯体への外壁ユニットの取付作業に使用する防風作業足場として構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
建物養生枠は、建物躯体に対して上下移動自在な状態に取り付けてあり、設置階層での外壁ユニットの取り付けの際に、その外方に位置させて使用される。また、設置階層での外壁ユニットの取り付けが終了したら、建物躯体に設置されているクライミングジブクレーンを使用して、次の工程である上の階層に建物養生枠のブロックを吊り上げて固定し直し、その階層において同様の形態で使用される。
また、建物養生枠の上端には、建物躯体の外周に外壁ユニットを取り付けるために、建物養生枠と建物躯体との隙間に外壁ユニットを吊り下げて支持する揚重装置(天井クレーン)が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−232898号公報(図1〜3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建物の建設にあたっては、各工種毎に多数の工程が並行して実施されるわけであるが、それらの実施手順を規定する工程計画は、工期短縮やコストダウンを実現する上で極めて重要とされる。
中でも、建設現場においては、クライミングジブクレーン等の主となるクレーンは、多くの工程において必要とされることから、無駄なく効果的に使用することが全体工程の短縮を図る上で好ましい。
【0006】
鉄骨構造を例に挙げて説明すると、例えば、鉄骨製の柱部材や梁部材を吊り上げながら組み上げていく躯体構築工程は、他の付随工程(例えば、建物養生枠の移動や、外壁ユニットの吊込みや取り付け等)より先行する工程であるから、この工程に、クレーンの優先度を高く設定するのが好ましい。
しかしながら、上述した従来の建物養生枠によれば、上の階層に建物養生枠を移動させる養生枠移動工程に、クライミングジブクレーンが使用されるから、その養生枠移動工程中は、躯体構築工程を中断せざるを得なくなり、結果的には、建物建設を遅延させる虞がある。
【0007】
また、上述した従来の建物養生枠によれば、建物養生枠の上端に揚重装置を設けてあるから、最上階部分での躯体構築工程の実施時に、その施工範囲の外方を建物養生枠で覆いながら作業を進める場合、直近で実施される躯体構築工程の作業と、揚重装置を使用した外壁ユニットの揚重作業とが干渉する虞があり、近傍での躯体構築工程が終了するまで、揚重装置を使用した作業を停止する必要がある。即ち、躯体構築工程と、揚重装置を使用した揚重工程とを同時進行させることができず、工程短縮が図り難い問題点がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、効率的に建物建設を実施できる建物養生枠を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の直腸構成は、建物躯体の外周側に、上下移動自在な状態に取付可能な養生枠体を設け、
前記養生枠体の下端部に、下方での揚重作業に使用自在な揚重装置と、前記揚重装置を前記養生枠体の幅方向に沿って移動自在に支持する支持レールとを設け、
前記養生枠体を上方に移動自在な油圧ジャッキを装備し、
前記養生枠体の支持レールと、隣接させる養生枠体の支持レールとの隙間に挿入されて、両方の前記支持レールの端部どうしの間に位置して前記隙間を埋めると共に、両方の前記支持レールどうしを連続する状態に連結する連結部材を備えてあるところにある。
本発明の第の特徴構成は、建物躯体の外周側に、上下移動自在な状態に取付可能な養生枠体を設け、前記養生枠体の下端部に、下方での揚重作業に使用自在な揚重装置と、前記揚重装置を前記養生枠体の幅方向に沿って移動自在に支持する支持レールとを設け、前記養生枠体を上方に移動自在な油圧ジャッキを装備し、
前記養生枠体の支持レールと、隣接させる養生枠体の支持レールとにわたってボルトナットで取り付けることで、両支持レールを連結する連結部材が設けてあり、
前記連結部材と前記支持レールとの一方には、前記連結部材と前記支持レールとの他方に、予め、取り付けられた前記ボルトナットのボルト軸部に対してボルト径方向に沿って係入自在なボルト穴部を備えてあるところにある。
【0010】
本発明の第の特徴構成によれば、養生枠体の下端部に、下方での揚重作業に使用自在な揚重装置と、揚重装置を養生枠体の幅方向に沿って移動自在に支持する支持レールとを設けてあるから、養生枠体によって覆っている上下範囲内で実施される作業と、養生枠体の下方で実施される作業との施工範囲が分離でき、それぞれの作業を同時進行させることができる。従って、例えば、建物の最上層階部分を覆う状態に、当該建物養生枠体を設置して、その階層で、鉄骨製の柱部材や梁部材を吊り込んで組み上げていく躯体構築工程を実施しながら、養生枠体の下方での揚重作業(例えば、カーテンウォール部材等の建物躯体への取り付け作業)を並行して実施でき、建物建設を効率的に実施することができる。
【0011】
また、養生枠体を上方に移動自在な油圧ジャッキを装備しているので、その油圧ジャッキを使用して、建物養生枠そのもののクライミングを実施することができる。
従って、クライミングジブクレーン等の主となるクレーンを使用せずに上の階層に養生枠体を移動できるようになり、従来は拘束していたクレーンを、建物養生枠の移動工程から開放することができる。
その結果、クレーンによる例えば躯体構築工程等の作業を遅延させることなく進めることができ、建物建設を更に効率的に実施することができるようになる。
また、隣接する一対の支持レールにわたって連結部材を取り付ける際に、予め、連結部材か支持レールに取り付けてあるボルトナットに対して、支持レールか連結部材に備えられたボルト穴部に、ボルト軸部がボルト径方向に係入するように、支持レールと連結部材とを相対的に近接させてボルトナットを締め付けることで、一からボルトナットを取り付ける操作をせずに支持レールどうしを連結することができる。
具体例を挙げて説明すると、例えば、支持レールに予めボルトナットを取り付けておくと共に、前記ボルトナットに対応したボルト穴部を連結部材に形成しておき、支持レールのボルトナットに対して、ボルト穴部がボルト軸部の径方向に沿って係入するように連結部材を取り付け、ボルト穴部に係入したボルトナットを締め付けることで、支持レールと連結部材とを一体に連結することができる。
この連結操作を、隣接するそれぞれの支持レールに連結部材がわたるようにして行うことで、一対の支持レールどうしを連結部材で連結することができる。
また、その際、ボルトに対してナットを取り付けるような操作を実施する必要がないので、取付操作を誤ってボルトやナットを落下させるといったことを防止できる。
更には、予め、ボルトナットを取り付けておくから、現場での連結操作をより少なくして、効率的に支持レールどうしの連結を行うことができる。
【0012】
本発明の第の特徴構成は、前記養生枠体から建物躯体側へ突出自在で、その突出状態において、前記養生枠体と前記建物躯体との隙間を遮蔽する遮蔽部材が、前記養生枠体に備えてあるところにある。
【0013】
建物建設に伴って、部材どうしの接合に、ボルトやナット等を使用するのは、極めて一般的であるが、これらの部材を、もし誤って落下させてしまった場合、下方への落下被害を招く虞がある。また、建物が高層建物の場合、重力加速度の作用で、より大きな落下被害となる虞がある。
【0014】
本発明の第の特徴構成によれば、遮蔽部材を設けてあることで、養生枠体と建物躯体との隙間から部材が直接落下するのを防止することができる。
即ち、遮蔽部材を、養生枠体から建物躯体側へ突出させておくことで、平面視において、養生枠体と建物躯体との間に、遮蔽部材が位置するから、落下物は落下進路を遮蔽部材によって遮られ、下方へ直接落下するのを防止できる。
従って、例えば、ボルトナットの着脱操作に、必要以上の注意を払う必要が無く、効率的に着脱操作を実施できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】養生枠の設置状況を示す側面図
図2】養生枠の設置状況を示す側面図
図3】養生枠の設置状況を示す要部詳細側面図
図4】養生枠を示す要部斜視図
図5】養生枠体どうしの繋ぎ目を示す詳細平面図
図6】支持レールどうしの連結箇所を示すレール側面図
図7】連結プレートの設置状況を示すレール平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の建物養生枠の一実施形態品(以後、単に養生枠Yという)を、建物躯体1に設置してある状態を示している。
【0021】
建設される建物は、例えば、鉄骨造の高層建物であり、当該養生枠Yは、建物躯体1の建ち上がりに追従して上方にクライミングさせながら、最上階近傍の複数階層部分を覆う状態に設置されている。
【0022】
当該実施形態においては、養生枠Yは、上部の5階層分を、建物躯体1の外周側で覆う状態に形成してあり、上から順に、第1層部F1、第2層部F2、第3層部F3は、先行して鉄骨材の建て方が実施される階層部を覆い、第4層部F4、第5層部F5は、スラブの配筋やコンクリート打設が実施される階層部を覆う。尚、鉄骨材は、第2層部F2と第3層部F3とで覆われる階層部において組み上げられるが、その上の第1層部F1は、鉄骨材の吊込みや建て方の際の風の影響を少なくすると共に、建物躯体1側から外方へ、物品が飛散するのを防止できるように設けてある。
【0023】
養生枠Yは、建物の周方向に沿って連設される複数のエレメントから構成され、一つのエレメントとなる養生枠体Fは、上述のとおり、第1層部F1〜第5層部F5を備えた高さ寸法に設定してあると共に、幅方向については、定尺寸法が設定してある。
建物の外周方向の寸法に対応させて、所定数の養生枠体Fを連設させることで、建物躯体1の周方向に続く広い範囲を覆えるように構成されている。
そして、各養生枠体Fは、建物躯体1に対して、個別に、上下移動自在な状態に取り付けられている。
【0024】
尚、各養生枠体Fどうしの間には、図5に示すように、個別に上下移動させる際の干渉を避けるために、例えば、10cm程度の隙間V1が空けてある。また、養生枠体Fの表面枠2においては、この隙間V1から外方へ物品が漏出するのを防止するために、養生枠体Fの隣接方向での一端部から、隣接する養生枠体Fの表面枠2裏側に突出する「L」字形状の金属製隙間カバー3が取り付けてある。隙間カバー3の先端部には、対向する隣接表面枠2側に突出した「I」字形状のゴム突片3aが取り付けてある。また、隣接養生枠体Fの表面枠2裏側には、隙間カバー3側に突出した「I」字形状のゴム突片4が取り付けてある。これら隙間カバー3とゴム突片3aとゴム突片4とによって、隣接する養生枠体Fどうしの個別の上下移動を許容しながら、隙間V1を塞ぐことができる。
【0025】
養生枠体Fの構造について説明する。
養生枠体Fは、図2に示すように、トラス形状の左右一対の縦枠5と、両縦枠5の表面側に取り付けられた表面枠2と、縦枠5を、建物躯体1に対して上下移動自在に取り付ける取付部材6とを設けて構成してある。
また、養生枠体Fの下端部に、下方での揚重作業(例えば、カーテンウォール部材等の建物躯体1への取付作業等)に使用自在なホイストクレーン(揚重装置に相当)7と、ホイストクレーン7を養生枠体Fの幅方向に沿って移動自在に支持する支持レール8とを設けてある。
【0026】
更には、養生枠体Fには、縦枠5を建物躯体1に対して上方に移動自在な油圧ジャッキ9を着脱自在に設けてある。
油圧ジャッキ9は、図3に示すように、縦枠5の長手方向に所定間隔ピッチで設けられた多数のジャッキポイントPの一つと、前記取付部材6とにわたって設置され、伸長させることで、取付部材6を介して建物躯体1に支持反力を確保しながら、縦枠5を上昇させることができる。
【0027】
尚、図には示さないが、建物躯体1に取付固定される取付部材6には、縦枠5の上昇を許容しながら、下降を阻止する支持機構が備えてある。従って、油圧ジャッキ9を伸長させて縦枠5が建物躯体1に対して上昇することは許容でき、その状態から油圧ジャッキ9を伸縮させても、縦枠5が下降するのを支持機構によって阻止できる。
よって、縦枠5を油圧ジャッキ9のストローク分上昇させた後、油圧ジャッキ9を伸縮させると、前記支持機構によって縦枠5が下降しないように支持される。その支持状態で、ジャッキポイントPから油圧ジャッキ9の上端部を外し、さらに油圧ジャッキ9を収縮させ、上昇操作の時に取り付けたジャッキポイントPより低い位置のジャッキポイントPに油圧ジャッキの上端部を取り付け直し、再度、油圧ジャッキ9を伸長させることで、更に縦枠5を上昇させることができる。以下、その繰り返しによって、所定高さにわたって縦枠5を上昇させることができる。
複数の縦枠5にそれぞれ設置した各油圧ジャッキ9を同期させて伸長操作することで、養生枠体Fをまっすぐクライミングさせることができる。
【0028】
次に、縦枠5は、図4に示すように、トラス形状における建物躯体1側に近接する位置に配置されている近接側トラス部材5Aと、トラス形状における建物躯体1と離間する位置に配置されている離間側トラス部材5Bと、近接側トラス部材5Aと離間側トラス部材5Bとにわたって取り付けられた複数の斜めトラス部材5Cとを設けて構成してある。
近接側トラス部材5Aと離間側トラス部材5Bとは、何れも、図5に示すように、一対のチャンネル部材11を、間隔をあけて背中合わせに配置して、複数の連結ボルト12によって一体に構成されている。これらの連結ボルト12は、前記ジャッキポイントPを兼ねている。
【0029】
また、各斜めトラス部材5Cは、背中合わせの一対のチャンネル部材11の間に、端部を位置させてあり(図4参照)、前記ボルト12によって近接側トラス部材5Aと離間側トラス部材5Bとに取り付けられている。
【0030】
養生枠体Fの幅方向に間隔をあけて位置する左右一対の離間側トラス部材5Bには、上述のとおり、表面枠2が取り付けてある。表面枠2は、矩形形状のフレーム材2Aと、フレーム材2Aの開口に張設された養生金網2Bとを設けて構成してある。
【0031】
また、近接側トラス部材5Aと離間側トラス部材5Bとには、斜めトラス部材5Cとは別に、両部材5A,5Bにわたる状態に複数の水平ビーム部材5Dが、上下に間隔をあけて取り付けられている(図3〜5参照)。
隣接する縦枠5の同じ高さに位置するそれぞれの水平ビーム部材5Dにわたって、図3に示すように、板部材で構成された遮蔽部材10が取り付けてあり、この遮蔽部材10によって、養生枠体Fと建物躯体1との隙間V2を遮蔽してある。
【0032】
遮蔽部材10は、養生枠体Fの厚み内にわたる寸法の基端部材10aと、基端部材10aに上下揺動自在に取り付けられた揺動部材10bとを備えて構成してある。
【0033】
揺動部材10bは、上下に揺動させることで、基端部材10aの上方側に揺動させた退避状態と、基端部材10aの延長線上に突出する突出状態とに切り替えることができる。一般的には、養生枠体Fのクライミングの時には、図2(a)に示すように、建物躯体1との干渉を避けるために揺動部材10bは退避状態に揺動操作し、それ以外の時には、突出状態に揺動操作しておく。突出状態においては、図2(b)に示すように、建物躯体1と養生枠体Fとの隙間V2に上方から落下物wが落下しても、必ず、揺動部材10bによって鉛直進路が阻まれるから、落下防止を図ることができる。
【0034】
最下端部に配置されている左右一対の水平ビーム部材5Dには、前記支持レール8が取り付けてあり、その支持レール8に、前記ホイストクレーン7がセットされている。
支持レール8は、例えば、I形鋼やH形鋼で構成してあり、長さ寸法は、養生枠体Fの幅寸法と同じ寸法に設定されている。
【0035】
隣接される養生枠体Fどうしの間には、前述のとおり、隙間V1が形成されているが、隣接する支持レール8間には、図4〜7に示すように、この隙間V1を埋める繋ぎピース(連結部材Jの一例)13が上方から挿入され、両支持レール8を連続させることができるように構成されている。
また、隣接させる支持レール8どうしは、この繋ぎピース13によって連結されていることに加えて、支持レール8のウェブ8aどうしにわたって設けられる連結プレート(連結部材Jの一例)14によっても連結固定されている。
【0036】
繋ぎピース13は、図6に示すように、支持レール8と同様の鋼材を上下に積層させて、正面形状が「T」字形状となるように形成してある。「T」字の上辺部分13Aは、隣接支持レール8の上面にわたって当接させ、「T」字の垂下辺部分13Bは、支持レール8の端面間に位置させるように形成されている。
また、前記上辺部分13Aの下フランジ部13Aaと、支持レール8の上フランジ部8bとは、複数のボルトナット15によって連結してある。
【0037】
前記ボルトナット15は、支持レール8の上フランジ部8bに形成されたボルト穴16に、予め、取り付けてある。このボルト穴16は、図4に示すように、支持レール8の長手方向に沿った長穴であり、ボルトナット15は、この長穴に沿って移動自在な状態に取り付けられている。ボルトナット15を予め取り付けておくことで、ボルトとナットとの取付操作を、高所で実施しなくてよくなり、不用意に落下させてしまうことを防止できる。
【0038】
また、上辺部分13Aの下フランジ部13Aaには、ボルトナット15の拡径部を挿通自在な大穴部17aと、それに連続して、ボルトナット15のボルト軸部15aに対してボルト径方向に沿って係入自在な長穴部17bとを備えたボルト穴部17が形成してある。
【0039】
従って、支持レール8に取り付けてあるボルトナット15の配置を、繋ぎピース13の下フランジ部13Aaにおける大穴部17aに対応させて位置させた状態で、上から繋ぎピース13を被せ、大穴部17aに各ボルトナット15の拡径部が下方から突出するようにし、各ボルトナット15を、長穴部17b側に移動させた状態で締め込むことで、支持レール8に繋ぎピース13をネジ連結することができる(図5図6参照)。
尚、繋ぎピース13は、一方の支持レール8に対して、予め、ワイヤーで落下防止状態に繋げてある。
【0040】
連結プレート14は、図6図7に示すように、支持レール8のウェブ8aの表裏両面側にそれぞれ設けてある。連結プレート14は、帯板状に形成してあり、一方の支持レール8のウェブ8aに固着してある。固着部の近傍には、他端部が厚み方向に沿って揺動自在なヒンジ部14aが設けてある。
連結プレート14と、支持レール8のウェブ8aと、繋ぎピース13の垂下辺部分13Bのウェブ13Baとは、複数のボルトナット18によって連結してある。
【0041】
前記ボルトナット18は、支持レール8のウェブ8aと繋ぎピース13のウェブ13Baに形成されたボルト穴19に、予め、取り付けてある。このボルト穴19は、図6に示すように、支持レール8の長手方向に沿った長穴であり、ボルトナット18は、この長穴に沿って移動自在な状態に取り付けられている。このボルトナット18についても、前記ボルトナット15と同様に、予め取り付けておくことで不用意に落下させてしまうことを防止できる。
【0042】
また、連結プレート14には、ボルトナット18の拡径部を挿通自在な大穴部20aと、それに連続して、ボルトナット18のボルト軸部18aに対してボルト径方向に沿って係入自在な長穴部20bとを備えたボルト穴部20が形成してある。
【0043】
従って、支持レール8、及び、繋ぎピース13に取り付けてあるボルトナット18の配置を、連結プレート14の大穴部20aに対応させて位置させた状態で、連結プレート14をヒンジ部14a周りに揺動させて上から被せ、大穴部20aに各ボルトナット18の拡径部が突出するようにし、各ボルトナット18を、長穴部20b側に移動させた状態で締め込むことで、支持レール8と繋ぎピース13とに、連結プレート14をネジ連結することができる。
【0044】
次に、当該養生枠Yの使用形態について説明する。
〔1〕 養生枠Yは、図1に示すように、鉄骨の建て方が実施される層を含んで3階層に、第1層部F1〜第3層部F3が対応する状態で、第4層部F4と第5層部F5とを建物躯体1に取り付けてある。第3層部F3と第4層部F4との境目に対応する建物躯体1のスラブ、及び、第5層部F5の下部に対応する建物躯体1のスラブに、それぞれ取付部材6が固定してあり、それらの取付部材6を支持部として、養生枠Yが設置されている。また、隣接する養生枠体Fどうしは、支持レール8どうしが連続する状態に連結してある。
この状況では、第1層部F1〜第3層部F3が対応する階層では、鉄骨の建て方が実施され、第4層部F4と第5層部F5とでは、スラブの配筋やコンクリートの打設等が実施される。また、第5層部F5より下方の階層では、ホイストクレーン7を使用しながら、更に下方の階層に仮置きされたカーテンウォール部材の吊り上げ、及び、建物躯体1への取付作業が実施される。
【0045】
〔2〕 第2層部F2と第3層部F3が対応する階層での鉄骨建て方が終了すると、図2に示すように、取付部材6を、第1層部F1と第2層部F2との境目に対応する建物躯体1のスラブにも取り付け、上下三ヵ所で養生枠Yを支持した状態で、油圧ジャッキ9を使用してクライミングを行う。一回のクライミングは、二階層分の高さにわたって実施する。尚、隣接する養生枠体Fどうしを別々にクライミングさせる場合は、支持レール8どうしの連結を、一時解除する。
【0046】
〔3〕 以後、〔1〕、〔2〕の繰り返しによって、建物建設を進める。
【0047】
当該実施形態の養生枠Yによれば、鉄骨の建て方作業と、配筋及びコンクリート打設作業と、カーテンウォールの取付作業とを、上下の階層で並行してそれぞれ実施することができ、建物建設を効率的に実施することができる。
また、クライミングジブクレーン等の主となるクレーンは、鉄骨建て方の作業に優先させて使用することができ、建物建設を更に効率的に実施することができるようになる。
また、養生枠Yの設営や移動時に、ボルトとナットとの着脱操作を行う必要がないことから、誤って落下させてしまうことを防止できる。
更には、養生枠体と建物躯体との隙間V2も、遮蔽部材10によって落下防止を図ってあるので、例えば、鉄骨建て方時等のボルトナットの着脱操作に、必要以上の注意を払う必要が無く、効率的に着脱操作を実施できるようになる。
【0048】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0049】
〈1〉 養生枠Yは、複数の養生枠体Fを連設して構成されたものを先の実施形態で説明したが、例えば、単一の養生枠体Fによって構成してあってもよい。
また、養生枠体Fは、第1層部〜第5層部を備えた構造に限るものではない。
【0050】
〈2〉 連結部材Jは、先の実施形態で説明した繋ぎピース13と連結プレート14とからなる構成に限るものではなく、何れか一方のみの構成であったり、別の公知の連結部材で構成するものであってもよい。
また、先の実施形態で、予め、ボルトナットを取り付けておく先は、支持レール8に限るものではなく、繋ぎピース13や、連結プレート14に固定しておくものであってもよい。
【0051】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1 建物躯体
7 ホイストクレーン(揚重装置に相当)
8 支持レール
9 油圧ジャッキ
10 遮蔽部材
13 繋ぎピース(連結部材Jの一例)
14 連結プレート(連結部材Jの一例)
15 ボルトナット
15a ボルト軸部
17 ボルト穴部
18 ボルトナット
18a ボルト軸部
20 ボルト穴部
F 養生枠体
V2 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7