(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099391
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】横桟取り付け構造
(51)【国際特許分類】
E04H 17/16 20060101AFI20170313BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20170313BHJP
E04C 3/30 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
E04H17/16 102Z
E04B1/58 508Z
E04C3/30
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-285081(P2012-285081)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-125848(P2014-125848A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 慎也
【審査官】
坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−087419(JP,U)
【文献】
特開2000−352225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00−17/26
E04B 1/58
E04C 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱材に横桟を取り付けるための横桟取り付け構造であって、
前記柱材は、長尺の柱本体と縦枠材とを組み合わせることで中空部を形成する略四角柱状であり、
2本の前記縦枠材の間に複数の前記横桟を固定して形成したパネル体を前記柱本体に取り付け可能であり、
前記柱本体は、前記縦枠材の方向へ突出する一対の突出片を設けた取付部を備え、
前記縦枠材は、前記柱本体の方向へ突出する一対の係合片を備え、
前記一対の突出片と前記一対の係合片とを互い違いに重合させ、重合した前記突出片と前記係合片とをネジで固定することで、前記柱本体に前記縦枠材を取り付け可能であり、前記柱本体と前記縦枠材との接続部及び前記ネジを隠すように装着されるカバー材を備えることを特徴とする、横桟取り付け構造。
【請求項2】
前記柱本体は、両側に前記取付部を備えることを特徴とする、請求項1記載の横桟取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、間仕切り状に横桟を設置するための横桟取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
間仕切り状に横桟を設置するための横桟の取付方法としては、例えば、設置面に立設した支柱の長手方向に沿って複数の横桟を順に固定する方法が知られている。しかしながら、このように複数の横桟を順に固定することとすると、横桟を水平状態に保持した状態で一本ずつビス止め等する必要があるので、施工性が悪いという問題があった。
【0003】
こうした問題を解決する方法として、例えば特許文献1には、左右の縦材に横格子を等間隔に取り付けて複数の格子ユニットを形成し、この格子ユニットの縦材を支柱の側面にビス止め固定した発明が提案されている。このよう構成によれば、現場で格子を一本ずつ組みつけるのではなく、ユニット化された格子ユニットを取り付けることにより格子フェンスを組み立てることができるので、施工性が非常によく、簡単、迅速かつ確実に取り付けることができるという効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−068270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した特許文献1記載の発明のように、格子ユニットの縦材を支柱の側面にビス止め固定する構成の場合、ビス止めする箇所の柱強度が確保される必要があるため、縦材と支柱との重なり合う部分に肉厚を持たせる必要があった。このような制限は、構造を簡素化する妨げとなるものであった。
【0006】
そこで、本発明は、横桟をユニット化して取り付けることができて施工性が良いことに加えて、部品形状の簡素化を図ることができる横桟取り付け構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0008】
(請求項1)
請求項1に記載の横桟取り付け構造は、柱材に横桟を取り付けるための横桟取り付け構造であって、前記柱材は、長尺の柱本体と縦枠材とを組み合わせることで中空部を形成する略四角柱状であり、2本の前記縦枠材の間に複数の前記横桟を固定して形成したパネル体を前記柱本体に取り付け可能であり、前記柱本体は、前記縦枠材の方向へ突出する一対の突出片を設けた取付部を備え、前記縦枠材は、前記柱本体の方向へ突出する一対の係合片を備え、前記一対の突出片と前記一対の係合片とを
互い違いに重合させ
、重合した前記突出片と前記係合片とをネジで固定することで、前記柱本体に前記縦枠材を取り付け可能であ
り、前記柱本体と前記縦枠材との接続部及び前記ネジを隠すように装着されるカバー材を備えることを特徴とする。
【0009】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0010】
すなわち、前記柱本体は、両側に前記取付部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、2本の縦枠材の間に複数の横桟を固定することでパネル体を形成して取り付け可能であるので、横桟をユニット化して取り付けることができるので、施工性が良い。
【0012】
また、柱材は長尺の柱本体と縦枠材とを組み合わせることで中空部を形成する略四角柱状である。すなわち、柱本体と縦枠材とが結合して中空柱形状の見かけとなることで柱材自体の強度を確保しているので、横桟をユニット化するための縦枠材が柱材の強度を負担する構成となっており、柱本体の部品形状を簡素化することができる。
【0013】
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】縦枠材に横桟を取り付ける様子を示す平面図である。
【
図5】パネル体を柱本体に取り付ける様子を示す正面図である。
【
図6】パネル体及びカバー材を柱本体に取り付ける様子を示す平面図である。
【
図7】柵の中間柱付近の(a)分解平面図、(b)平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、本発明に係る横桟取り付け構造を備えた柵10を例にして、図を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態に係る柵10は、
図1に示すように、地上面に立設した柱材の間に複数の横桟45が略水平に取り付けられて構成されている。柱材は、柵10の両端に配置された端部柱11と、柵10の中間に配置された中間柱12と、の2種類からなっている。
【0017】
図2は、柵10の端部柱11付近の分解斜視図である。この
図2が示すように、端部柱11は、柱本体20と、縦枠材30と、カバー材40と、を備えている。
【0018】
柱本体20は、金属製(例えばアルミ製の押し型材)の長尺部材であり、下端部が埋設されることで地上面に立設して固定されるものである。
【0019】
この柱本体20は、
図3に示すように、側部に縦枠材30を取り付けるための取付部22を備えている。この取付部22は、柱本体20の中間に設けられた仕切部21の両側から第1突出片23と第2突出片24とが略直角に突出した略コ字状で形成されている。第2突出片24は第1突出片23よりもやや長く形成されており、第2突出片24の先端付近には内向きの突起25が設けられている。この第1突出片23及び第2突出片24は、縦枠材30と係合するようになっており、取付部22の略コ字状を覆うように縦枠材30が取り付けられることで後述する中空部11aが形成されるようになっている。
【0020】
また、柱本体20の正面には、カバー材40を取り付けるための一対のカバー材挟持部26が長手方向に筋状に突出形成されている。
【0021】
縦枠材30は、金属製(例えばアルミ製の押し型材)の長尺部材であり、柱本体20よりもやや短く形成されている。詳しくは、柱本体20は埋設される下端部を含むが、縦枠材30は埋設されないため、少なくともこの下端部の分だけ短く形成されている。この縦枠材30は、
図3に示すように、平板な基部31の両側に第1係合片32と第2係合片33とを形成した形状となっている。柱本体20に縦枠材30を取り付ける際には、第1係合片32を柱本体20の第1突出片23に係合させ、第2係合片33を柱本体20の第2突出片24に係合させる。なお、第2係合片33には凹部34が形成されており、第2係合片33を柱本体20の第2突出片24に係合させたときに、この凹部34と第2突出片24の突起25とが掛止されるようになっている。
【0022】
カバー材40は、金属製(例えばアルミ製の押し型材)の長尺板部材であり、柱本体20と縦枠材30との接続部を覆うものである。このカバー材40は、
図3に示すように、平板なカバー部41の裏側に一対の挿入爪部42が突出形成された形状となっている。このカバー材40は、挿入爪部42が柱本体20のカバー材挟持部26の間に嵌入されることで、柱本体20に取り付けられ、柱本体20の正面側を覆うものである。
【0023】
本実施形態において柱材に横桟45を取り付ける手順は以下の通りである。
【0024】
まず、
図4に示すように、縦枠材30に横桟45を取り付ける。具体的には、縦枠材30の基部31の外側に横桟45の端部を当接させ、基部31の貫通孔(図示せず)を貫通するように横桟固定ネジ47を差し込む。そして、基部31を貫通した横桟固定ネジ47を横桟45の内部に形成したビスホール(図示せず)に螺合させることで、縦枠材30と横桟45とを結合する。なお、横桟45は、縦枠材30の長手方向に沿って複数取り付けられる。また、縦枠材30は横桟45の両端部に取り付けられる。
【0025】
このように2本の縦枠材30の間に複数の横桟45を固定することで、
図5に示すようなパネル体46が形成される。このパネル体46を、予め地上面に立設して設けられた柱本体20に取り付ける。具体的には、
図6に示すように、柱本体20と縦枠材30とを結合することでパネル体46が取り付けられる。柱本体20に縦枠材30を取り付ける際には、第1突出片23の側から縦枠材30を差し込み、第1係合片32を第1突出片23に重合させるとともに、第2係合片33を第2突出片24に重合させる。このとき、凹部34と突起25とを係合させるが、この係合箇所は端部柱11の内部に隠れるようになっている。
【0026】
柱本体20と縦枠材30とを組み合わせたら、第1係合片32の貫通孔(図示せず)を貫通するように縦枠材固定ネジ48を差し込む。そして、第1係合片32を貫通した縦枠材固定ネジ48を第1突出片23に形成したネジ孔(図示せず)に螺合させることで、柱本体20と縦枠材30とを結合する。なお、第2係合片33側では凹部34と突起25とが係合しているため、第1係合片32側のみ縦枠材固定ネジ48で固定すれば、柱本体20と縦枠材30とが外れることなく固定されるようになっている。
【0027】
そして、柱本体20と縦枠材30との接続部及び縦枠材固定ネジ48を隠すようにカバー材40を装着すれば、横桟45の取り付けが完了する。
【0028】
このように横桟45の取り付けることで、
図6(b)に示すように、柱本体20と縦枠材30との間に中空部11aが形成され、端部柱11は中空略四角柱状となる。そして、横桟固定ネジ47の頭部47aはこの中空部11aに収容された状態となる。
【0029】
なお、上記した説明においては、端部柱11について説明したが、中間柱12においても同様の手順にて取り付けることができる。すなわち、
図7に示すように、中間柱12においては、片側に取付部22を備えた柱本体20の代わりに、両側に取付部22を備えた柱本体20を使用しており、この柱本体20の両側に縦枠材30を取り付ける。なお、中間柱12においては、柱本体20と縦枠材30とで形成される中空部12aは、仕切部21を挟んで両側に形成されることとなる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、2本の縦枠材30の間に複数の横桟45を固定することでパネル体46を形成して取り付け可能であるので、横桟45をユニット化して取り付けることができるので、施工性が良い。
【0031】
また、柱材11,12は長尺の柱本体20と縦枠材30とを組み合わせることで中空部11a,12aを形成する略四角柱状である。すなわち、柱本体20と縦枠材30とが結合して中空柱形状の見かけとなることで柱材11,12自体の強度を確保しているので、横桟45をユニット化するための縦枠材30が柱材11,12の強度を負担する構成となっており、柱本体20の部品形状を簡素化することができる。
【0032】
また、前記横桟45は前記縦枠材30に横桟固定ネジ47で固定され、前記横桟固定ネジ47の頭部47aを前記中空部11a,12aに収容したので、中空部11a,12aを利用してネジ頭部を隠すことができ、意匠性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0033】
10 柵
11 端部柱(柱材)
11a 中空部
12 中間柱(柱材)
12a 中空部
20 柱本体
21 仕切部
22 取付部
23 第1突出片
24 第2突出片
25 突起
26 カバー材挟持部
30 縦枠材
31 基部
32 第1係合片
33 第2係合片
34 凹部
40 カバー材
41 カバー部
42 挿入爪部
45 横桟
46 パネル体
47 横桟固定ネジ
47a 頭部
48 縦枠材固定ネジ