【文献】
Yamazaki,Polyureas and polythioureas from carbon dioxide and disulfide bwith diamines under mild conditions,Journal of Polymer Science part C:polymer,1974年12月,12,517-521
【文献】
Charles F. Cooper, Samuel J. Falcone,A Simple One-pot Procedure for Preparing Symmetrical Diarylureas from Carbon Dioxide and Aromatic Amines,Synthetic Communications,1995年,25,16,2467-2474
【文献】
Scott L,Parallel Synthesis Ureas and Carbamates from Amines and CO2 under Mild Condition,Organic Letters,米国,2010年12月,Vol.12 No.6,1340-1343
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ポリ尿素は、電気特性、防食性、着色性に優れていることから、接着剤や電気材料の成形材料等に広く用いられている。
【0003】
ポリ尿素の製造方法としては、ジイソシアネート化合物とジアミン化合物を原料として重合する方法が一般的に知られている。この製造方法ではジイソシアネート化合物の反応性の高さから高分子量のポリ尿素が得られるものの、その反応性の高さゆえに重合を制御することが困難であり、得られる重合体に分枝が生じるという問題があった。
【0004】
また、ポリ尿素の製造方法として、ジアミン化合物と二酸化炭素を重合させる方法も知られている。この製造方法では、反応性の高いジイソシアネート化合物を用いることがないため、分枝が生じる問題点を回避できる。しかしながら、二酸化炭素そのものの反応性が低いため、高温・高圧下での反応が必要とされるという問題がある。
【0005】
例えば、特許文献1には、100気圧以上で、ジアミン化合物と二酸化炭素からポリ尿素を製造する方法が開示されている。しかしながら、特許文献1の製造方法は、二酸化炭素を100気圧以上の高圧下で反応させるため、大掛かりな設備が必要であり工業的には不利であるという問題があった。
【0006】
また、非特許文献1に、40〜60℃、5MPa程度の圧力下、ジアミン化合物と二酸化炭素とを重合させてポリ尿素を製造する方法が開示されている。しかしながら、非特許文献1の製造方法は、ジアミン化合物と等モルのリン系化合物を使用するため、反応後に重合体とリン系化合物の分離、除去に特別な装置が必要となり、工業的には不利であるという問題があった。
【0007】
さらに、特許文献2に、ジアミン化合物と二酸化炭素を原料とするポリ尿素の製造方法として、圧力1〜10MPa、温度160〜260℃の条件下で、ジアミン化合物と二酸化炭素を重合させる重合工程を含むポリ尿素の製造方法が開示されている。無溶媒、無触媒で反応させるため、触媒の除去の必要がないという点で、前記非特許文献1の課題を克服しているが、反応温度が160〜260℃と非常に高く、エネルギー負荷という観点からコスト的に優れた方法とは言えない。
【0008】
さらに尿素化合物に限れば、触媒量のジアザビシクロウンデセン(DBU)を用いて、低温低圧下、モノアミン化合物と二酸化炭素から尿素化合物を得る手法が知られているが(非特許文献2)、当該技術を用いたポリ尿素の合成方法は知られていない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、溶媒中で求核性が低くかつ強塩基性化合物を重合触媒として多価アミン化合物と二酸化炭素を重合させるポリ尿素の製造方法である。詳細には、多価アミン化合物と前記塩基性重合触媒及び溶媒を共存させた状態で、二酸化炭素を導入し、反応温度30〜80℃、0.1〜5MPaの圧力下で反応させるポリ尿素の製造方法である。
【0017】
多価アミン化合物と前記塩基性重合触媒及び溶媒を共存させた状態とは、懸濁状態もしくは均一な溶液状態を示すが、効率的に反応を行うために、多価アミン化合物と前記塩基性重合触媒が溶媒に均一に溶解していることが好ましい。
【0018】
本発明における反応は、多価アミン化合物と塩基性触媒及び溶媒を共存させた状態に二酸化炭素を導入できれば設備上の制約はないが、圧力をかける場合は、効率的に反応させるために、多価アミン化合物と塩基性触媒及び溶媒を共存させた後、オートクレーヴなどの密閉容器に二酸化炭素を所定圧力まで導入することが好ましい。また、常圧で反応させる場合は、効率的に反応させるために、溶媒中に二酸化炭素をバブリングすることが好ましい。
【0019】
多価アミン化合物としては、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン、脂環族ジアミンなどのジアミン化合物が挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等が挙げられる。芳香族ジアミンとしては、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ビフェニレンジアミン、ジアミノビフェニル、ジアミノジフェニルメタン、ナフタレンジアミン等が挙げられ、芳香環上の置換位置は問わない。脂環族ジアミンとしては、シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビスアミノメチルシクロペンタン等が挙げられる。その他の多価アミン化合物としては、ジエチレントリアミン、ポリエチレンイミン、メラミンなどが挙げられる。多価アミン化合物は単独で使用してもよいし、複数を組み合わせてもよい。得られるポリ尿素の融点、機械特性等に応じて、使用する多価アミン化合物種類を選択することが出来る。
【0020】
本発明で使用する二酸化炭素は、市販の精製ガスや空気に含まれる二酸化炭素を分離・精製したものが挙げられ、中でも、市販の精製ガスが好ましい。
【0021】
二酸化炭素の純度は、90%以上とすることが好ましく、100%とすることがより好
ましい。二酸化炭素の純度を90%以上とすることで、低圧下、二酸化炭素と多価アミン化合物を効率よく重合させることができる。二酸化炭素の純度が、100%でない場合に残りのガスは、窒素、アルゴン等の不活性ガスが好ましい。
【0022】
本発明で使用される塩基性触媒は、求核性が低くかつ塩基性が強い化合物であり、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
前記塩基性触媒の求核性が低いとは、前記塩基性触媒そのものが多価アミン化合物の炭素原子との反応性が低くポリ尿素の収率に影響を与えないことであり、好ましくは、前記塩基性触媒と多価アミン化合物がほとんど反応しないことであり、最も好ましくは、前記塩基性触媒と多価アミン化合物が反応しないことである。また、塩基性が強いとは、酸解離定数pKaの値が10以上であることを示し、12以上が好ましく、20以上がより好ましい。
前記塩基性触媒を具体的に示すと、ジアザビシクロウンデセン(DBU),ジアザビシクロノネン(DBN)、ヒドラジン、エタノールアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられ、特にDBUやDBNが好ましい。塩基性触媒の使用量は特に限定しないが、効率的に反応を行う観点から、ジアミン化合物に対して0.01〜20mol%であり、0.05〜10mol%が好ましく、0.1〜5mol%がより好ましい。
上記の反応では、常温および/または常圧下では二酸化炭素とアミノ基との反応で生成するカルバミン酸と多価アミン化合物との塩(以降、本明細書中では「ポリ塩」とする)形成が副反応として起こる。特に多価アミン化合物のアミノ基に対して塩基性触媒が0.01mol%より少ない場合は、ポリ塩の割合が多いポリ尿素とポリ塩との混合物となって、ポリ尿素を分離し難くなる。
【0023】
DBUやDBNを塩基触媒として使用する場合、そのまま用いてもよいし、あらかじめ炭酸塩とした後、それを使用してもよい。
【0024】
本発明で使用される溶媒は、原料である多価アミン及び塩基性触媒を溶解させるものであり、かつ多価アミンと反応しないものを選ぶことが出来る。水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリンなどのプロトン性溶媒、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルー2−ピロリドンなどの非プロトン性溶媒のいずれを用いてもよいが、強い水素結合を形成するポリ尿素を溶解させるために、プロトン性溶媒が特に好ましい。またこれらの溶媒は単独で使用してもよいし、複数を混合して用いてもよい。
【0025】
次に、本発明の製造方法について説明する。
【0026】
重合圧力は、0.1〜5MPaであることが必要であり、設備上の観点から、0.1〜3MPaが好ましく、0.1〜1MPaよりが好ましい。重合圧力が5MPaを超えると、反応装置が大がかりとなり好ましくない。また、高圧下では二酸化炭素によるステンレス製反応容器の腐食が起こりやすく、結果反応生成物に着色が生じるため好ましくない。重合圧力の下限を0.1MPaとしたのは、常圧において本発明を実施するためであり、減圧下で本発明の実施を妨げるものではない。
【0027】
重合圧力は、反応に伴う圧力低下が生じた場合、重合速度が低下し反応が進行しづらくなるため、所定圧力を維持することが好ましい。所定圧力を維持する方法としては、オートクレーヴなどの密閉容器に封入し、圧力低下のたびに二酸化炭素を補充してもよい。また常圧で反応を行う場合は、反応性を向上させるために二酸化炭素を反応溶媒中にバブリングさせる方が好ましい。
【0028】
重合温度は、30〜80℃であり、30〜60℃が好ましく、30〜50℃がより好ましい。100℃以上になると、前記反応圧力では二酸化炭素が溶媒に溶解しにくくなり、反応性が低下し、ひいては分子量低下を招く。
【0029】
重合時間は、所定の重合温度に達してから10分以上であり、30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。
【0030】
本発明の製造方法では、必要に応じて、末端封鎖剤を用いることができる。末端封鎖としては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミンなどの脂肪族モノアミン、アニリン、ジベンジルアミンなどの芳香族モノアミン、酢酸、ラウリン酸、安息香酸等のモノカルボン酸が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。末端封鎖剤の添加量は特に限定されないが、ジアミン化合物に対して1〜5モル%以下が好ましい。
【0031】
末端封鎖剤は、反応系に最初から混合してもよいし、重合反応終了後に添加してもよい。
【0032】
本発明の製造方法では、助触媒を使用してもよい。助触媒としてはトリメチルホスフィン、トリ―n−ブチルホスフィン、トリ−tert―ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
本発明の製造方法において、多価アミン化合物のアミノ基に対して塩基性触媒を等モル以上用いた場合、常温および/または常圧下では二酸化炭素とアミノ基との反応で生成するカルバミン酸が塩基性触媒と安定な塩(以降本明細書中では、適宜「カルバミン酸塩基性触媒塩」とする)を形成する。この場合の多価アミン化合物は、前記した多価アミン化合物と同様の化合物を用いることができる。
【0034】
そして、本発明の他の製造方法では、多価アミン化合物と二酸化炭素から生成するカルバミン酸と塩基性触媒との塩(カルバミン酸塩基性触媒塩)を生成させた後、これを反応性モノマーとして追加の多価アミン化合物と反応させることによりポリ尿素を得ることができる。
【0035】
すなわち、本発明の他のポリ尿素の製造方法は、多価アミン化合物のアミノ基に対して等モル以上の塩基性触媒を溶媒中で混合し、前記混合溶液中に二酸化炭素を導入することにより得られるカルバミン酸と塩基性触媒との塩を生成させた後、多価アミン化合物と反応させることを特徴とする。
【0036】
さらには、多価アミン化合物のアミノ基に対して等モル以上の塩基性触媒を溶媒中で混合し、前記混合溶液中に二酸化炭素を導入することにより得られるカルバミン酸と塩基性触媒との塩を生成させた後、反応後の溶媒から二酸化炭素を除去した後に、前記反応溶媒に多価アミン化合物を加えて反応させることを特徴とする。
【0037】
カルバミン酸塩基性触媒塩は、多価アミン化合物のアミノ基に対して等モル以上、好ましくは等モル〜10モル、より好ましくは等モル〜2モルの塩基性触媒を両者が溶解する溶媒中で混合して、この溶液に二酸化炭素を導入することにより得られる。塩基性触媒が等モルより少ない場合は、カルバミン酸と多価アミン化合物との塩が副生する。
【0038】
溶媒としては、多価アミン化合物と塩基性触媒を溶解する溶媒であれば特に限定されないが、二酸化炭素の溶解性が高ければなおよい。溶媒の一例としては、アセトニトリル、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、N−メチルピロリドン、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどの極性溶媒、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレンなどの非極性溶媒を挙げることができる。多価アミン化合物と塩基性触媒との混合液中のそれぞれの濃度は、特に限定されない。
【0039】
多価アミン化合物と塩基性触媒との混合液に二酸化炭素を導入する時の温度としては、−30〜150℃、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは室温〜80℃である。−30℃より低い場合、溶液の凍結や溶解物の析出が起こる場合があるので現実的でない。150℃より高くなるとカルバミン酸塩基性触媒塩の生成量が減る。多価アミン化合物と塩基性触媒との混合液を収めた反応容器に二酸化炭素を導入する時の反応容器内の圧力としては、大気圧〜10MP、好ましくは大気圧〜5MP、より好ましくは大気圧〜3MPである。10MPより大きくしてもカルバミン酸塩基性触媒塩の生成速度や生成量にはあまり影響がない。大気圧より小さい場合は、カルバミン酸塩基性触媒塩の生成速度や生成量が下がる。二酸化炭素の導入方法としては、多価アミン化合物と塩基性触媒との混合液にドライアイスを投入するような方法、多価アミン化合物と塩基性触媒との混合液に二酸化炭素をバブリングする方法、多価アミン化合物と塩基性触媒との混合液を収めた容器内に二酸化炭素を充填する方法などを用いることができる。
【0040】
カルバミン酸塩基性触媒塩と追加の多価アミン化合物との反応は、両者が溶解する溶媒中で両者を混合することで遂行される。混合する順序は特に限定されない。なお、カルバミン酸塩基性触媒塩を単離することなく生成後に多価アミン化合物と反応させる場合は、カルバミン酸塩基性触媒塩の溶液と多価アミン化合物を混合する前に、カルバミン酸塩基性触媒塩の溶液から、例えば溶液に不活性気体を導入する、溶液を減圧する等の方法で残存二酸化炭素を除くとポリ尿素の生成量が増す。
【0041】
カルバミン酸塩基性触媒塩と反応させる追加の多価アミン化合物は、カルバミン酸塩基性触媒塩を構成する多価アミン化合物と同じであっても異なっていてもよい。異なっている場合は共重合体が得られる。カルバミン酸塩基性触媒塩に対する追加の多価アミン化合物の使用量は、アミノ基の価数が両者で同じ場合は、1:0.5〜1:1.5モル、好ましくは1:0.7〜1:1.3モル、より好ましくは1:0.9〜1:1.1モルである。アミノ基の価数が両者で異なる場合は一方が架橋モノマーとして作用するため、生成するポリ尿素において所望の架橋度に応じて使用量を選択することができる。
【0042】
カルバミン酸塩基性触媒塩と追加の多価アミン化合物とを反応させる溶媒としては、多価アミン化合物とカルバミン酸塩基性触媒塩を溶解する溶媒であれば特に限定されないが、生成するポリ尿素が溶解する溶媒であればなおよい。溶媒の一例としては、アセトニトリル、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、N−メチルピロリドン、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどの極性溶媒、酢酸エチル、トルエンなどの非極性溶媒を挙げることができる。
【0043】
また、互いに混和しない溶媒にカルバミン酸塩基性触媒塩と追加の多価アミン化合物を別々に溶解させた後、両者を接触させて界面でカルバミン酸塩基性触媒塩と追加の多価アミン化合物との反応を行うことによりポリ尿素を得ることができる。溶媒としては、例えば、アセトニトリル、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、N−メチルピロリドン、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトンなどの極性溶媒、酢酸エチル、トルエン、シクロヘキサンなどの非極性溶媒から互いに混和しない組み合わせ選択して用いることができる。カルバミン酸塩基性触媒塩と追加の多価アミン化合物の溶液中のそれぞれの濃度は、特に限定されない。
【0044】
カルバミン酸塩基性触媒塩と追加の多価アミン化合物を反応させる時の温度としては、−30〜200℃、好ましくは−10〜150℃、より好ましくは室温〜100℃である。−30℃より低い場合、溶液の凍結や溶解物の析出が起こる場合があるので現実的でない。200℃より高くなるとカルバミン酸塩基性触媒塩の分解が起こる。反応させる時の圧力としては、カルバミン酸塩基性触媒塩と追加の多価アミン化合物を含む溶液を収めた反応容器内の圧力として、大気圧〜5MP、好ましくは大気圧〜3MP、より好ましくは大気圧〜2MPである。
【実施例】
【0045】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0046】
実施例において用いた測定方法は、以下のとおりである。
(1)ポリ尿素の同定
全反射(ATR)法赤外分光測定により、ポリ尿素由来の吸収スペクトルの有無により、ポリ尿素生成を確認した。1618cm
−1,1575cm
−1付近にポリ尿素特有の吸収スペクトルが現れた場合にポリ尿素が生成したと判断した。また、
1H−NMRにおいて尿素結合のプロトンのシグナル(5〜7ppm)、
13C−NMRにおいてカルボニル炭素のシグナル(150〜170ppm)の有無も判断指標とした。
【0047】
(2)数平均分子量、重量平均分子量
ポリ尿素の数平均分子量および重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリメチルメタクリレート(ポリマーラボラトリーズ社製)換算で測定した。測定条件を以下に示す。
<測定条件>
屈折率計:東ソー社製RI−8010
カラム:東ソー社製TSKgel GMHHR−H 1本
溶媒:10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール
流速:0.4ml/分
測定温度:40℃
【0048】
〔実施例1〕
p−キシレンジアミン6.81g(0.5モル)、DBU0.76g(0.05モル)、N−メチルー2−ピロリドン100mLを500mLの高圧容器に入れ、容器内の二酸化炭素の圧力を5Paとした。この高圧容器を攪拌下、密閉したまま加熱し、内温80℃で24時間保持し、重合反応を進行させた。得られた反応生成物について、ATR法赤外分光測定により、1622cm
−1,1573cm
−1に吸収を確認したことから(
図1)、ポリ尿素が生成していると判断した。GPCにより測定した数平均分子量は4500、重量平均分子量は7200であった。
【0049】
〔比較例〕
重合触媒としてピリジンを用いた以外は、実施例1と同じである。
得られた反応生成物について、ATR法赤外分光測定を行なったが、ほぼ原料のp−キシレンジアミンと同様のスペクトルでポリ尿素特有のピークは認められなかった。
【0050】
〔エチレンジカルバミン酸−DB∪塩の生成〕
エチレンジアミン0.60g(0.01モル)、DBU3.06g(0.02モル)、アセトニトリル30mLを50mLのシュレンク管に入れ、撹拌しながら室温で二酸化炭素を10分間バブリングした(100mL/min)。溶媒を留去することで、薄黄色オイル2.64g(収率92%)を得た。得られた反応生成物について、ATR法赤外分光測定では1640cm
−1にカルバミン酸C=Oに帰属される吸収が観測された。また、
13C−NMRでは165.9ppmにカルボニル炭素に帰属されるシグナルが観測されたことからジカルバミン酸-DBU塩が生成していると判断される。
以下にNMRのケミカルシフトを示す。
1H−NMR(270MHz、CD
3CN): δ1.5−1.69(br、12H),1.84(p、4H),1.90−1.96(m、2H)、2.63−2.67(m、4H),2.95(br、4H),3.22(t、4H),3.31−3.39(m、8H)、5.60(br)、10.9(br、2H)
13C−NMR(67.5MHz、CD
3CN): δ21.6、25.9、28.4、30.5、33.9、40.6、44.1、49.6、54.7、163.9、165.9
【0051】
〔実施例2〕
エチレンジアミン0.30g(0.005モル)、DBU1.53g(0.01モル)、アセトニトリル15mLを50mLのシュレンク管に入れ、撹拌しながら室温で二酸化炭素を10分間バブリングし(100mL/min)、上記エチレンジカルバミン酸−DB∪塩を生成させた。次いでアルゴンガスを約10分間バブリングして系中の二酸化炭素を除去した。この溶液に、エチレンジアミン0.30g(0.005モル)のアセトニトリル溶液5mLを室温で滴下した。滴下直後から白色固体が析出した。5分間撹拌後、アセトニトリルを除き、アセトンで洗浄後、減圧乾燥することで白色固体0.78g(収率54%)を得た。得られた反応生成物について、ATR法赤外分光測定により、1657cm
−1に尿素結合のC=Oに帰属される吸収、そして3300cm
−1に尿素結合のNHに帰属される吸収が観測された。また、
13C−NMRから164.9にカルボニル炭素に帰属されるシグナルが観測されたことよりポリ尿素が生成していると判断される。
以下にNMRのケミカルシフトを示す。
1H−NMR(270MHz、D
2O): δ2.80(br、4H),2.87(t、16H),3.11(t、16H)
13C−NMR(67.5MHz、DMSO−d6): δ40.2、41.1、41.8、164.9
【0052】
〔実施例3〕
エチレンジアミン0.30g(0.005モル)、DBU 0.0153g(0.0001モル)、アセトニトリル15mLを50mLのシュレンク管に入れ、撹拌しながら室温で二酸化炭素を10分間バブリングし(100mL/min)すると白色固体が析出した。5分間撹拌後、アセトニトリルを除き、アセトンで洗浄後、減圧乾燥することで白色固体0.27gを得た。得られた反応生成物について、ATR法赤外分光測定では1640cm
−1にカルバミン酸C=Oに帰属される吸収と1657cm
−1に尿素結合のC=Oに帰属される吸収、そして3300cm
−1に尿素結合のNHに帰属される吸収が観測された。
この生成物をフタル酸ジブチルに入れ、140℃で加熱したところ気泡が発生した。気泡の発生がなくなったところで残留物を取り出し、アセトンで洗浄後、乾燥させた。残留物は、ATR法赤外分光測定により、1657cm
−1に尿素結合のC=Oに帰属される吸収、そして3300cm
−1に尿素結合のNHに帰属される吸収が観測された。また、
13C−NMRから164.9にカルボニル炭素に帰属されるシグナルが観測されたことよりポリ尿素であると判断される。
以上より、最初の生成物は、ポリ尿素とポリ塩との混合物であると考えられる。