(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099450
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】口栓の溶着判定手段を備えた充填包装機械
(51)【国際特許分類】
B65B 57/02 20060101AFI20170313BHJP
B29C 65/08 20060101ALI20170313BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20170313BHJP
B31B 50/74 20170101ALI20170313BHJP
【FI】
B65B57/02 B
B29C65/08
B65B57/00 D
B31B1/90 301
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-62666(P2013-62666)
(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-184981(P2014-184981A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000180298
【氏名又は名称】四国化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(72)【発明者】
【氏名】角田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】野口 富弘
(72)【発明者】
【氏名】藤守 訓睦
【審査官】
小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−086250(JP,A)
【文献】
特開昭60−204423(JP,A)
【文献】
特開2005−271029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/02
B29C 65/08
B31B 50/74
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を口栓シールステーションに搬送してくる容器搬送コンベアと、口栓超音波シール装置と、口栓溶着判定手段とを備えた充填包装機械であって、
前記口栓超音波シール装置が、口栓が装着された容器に、口栓を超音波振動で溶着するホーンと、該ホーンのシール圧を容器の口栓溶着予定部と口栓のフランジ部を介して受け止めるアンビルとを備え;
前記口栓溶着判定手段が、口栓超音波シール装置から取得した出力電力の波形データに基づく溶着判定プログラムを有し;
該波形データに基づく溶着判定プログラムが、波形データにおけるピークパワー値の数値、及び、そのピークパワー値の付近でピークパワー値から所定パワー値の間にあるパワー値をもつ出力点数の個数の数値が、正常な設定範囲外となったときに異常な超音波溶着と判断する溶着判定プログラムであり;
溶着判定プログラムで異常と判断した容器を特定しうることを特徴とする充填包装機械。
【請求項2】
溶着時の電力出力値[%]を1msec毎に測定する溶着判定プログラムであることを特徴とする請求項1記載の充填包装機械。
【請求項3】
ピークパワー値の数値が、正常な超音波溶着時のピークパワー値(n≧10)の最低値から0〜25[%]以上低い場合、異常な超音波溶着と判断する溶着判定プログラムであることを特徴とする請求項1又は2記載の充填包装機械。
【請求項4】
ピークパワー値から20〜30[%]低いパワー値以上をもつ出力点数の個数が、正常な超音波溶着時のピークパワー値(n≧10)から20〜30[%]低いパワー値以上をもつ出力点数の個数の中での最大個数に0〜50個増やした個数より大きい場合、異常な超音波溶着と判断する溶着判定プログラムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の充填包装機械。
【請求項5】
容器搬送コンベアが、予め口栓が装着された容器を口栓シールステーションに搬送してくる容器搬送コンベアであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の充填包装機械。
【請求項6】
異常と判断した容器の特定が、充填を行わずに空容器として製品ライン外に排出するインターロックであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の充填包装機械。
【請求項7】
異常と判断した容器が、口栓潰れの容器であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の充填包装機械。
【請求項8】
容器が、カートンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の充填包装機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波シール装置によるカートン等の容器への口栓の溶着異常(不良)を判定する手段を備えた充填包装機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日本酒等を充填するための板紙を主体とするカートンの注出口縁部に熱溶着性プラスチックの口栓を、超音波シールにより取付ける容器口栓取付装置が知られている。
【0003】
例えば、一端を開口しかつ開口縁部にフランジを有する筒状口栓を容器注出口縁部に取付ける装置であって、シール時に、同注出口縁部にフランジを押し当てた状態で、両者を挟み付けるアンビルおよびシール部材を備えている容器口栓取付装置において、少なくとも1つのアンビルが、回転軸に半径方向に突出させられるように取付けられ、回転軸が、アンビルをアンビルの数と同数のシール姿勢で停止させるように駆動手段によって間欠的に駆動され、アンビルの数と同数のシール部材が、シール姿勢で停止させたアンビルの挟み付面と相対するように配置されている容器口栓取付装置(特許文献1)や、容器注出口縁部にフランジ付口栓を取付ける装置であって、シール時に、同注出口縁部にフランジを押し当てた状態で、両者を挟み付けるアンビルおよびシール部材を備えている容器口栓取付装置において、アンビルの挟み付面に口栓保持用バキューム孔が開口させられていることを特徴とする容器口栓取付装置(特許文献2)や、カートン容器を1個ずつ連続的に搬送するエンドレスバケット搬送手段に沿って、その搬送方向上流側から順に、第1ステーションと第2ステーションとを設け、第1ステーションには容器の内側から外側に向かって内付け口栓を容器の口栓取付孔に整合供給して差し込む内付け口栓供給手段を備え、第2ステーションには容器の外側から外付け口栓を容器の口栓取付孔に整合供給する外付け口栓供給手段を備え、該第2ステーションには前記内付け口栓又は/及び前記外付け口栓を容器に加熱溶着する口栓溶着手段を備えたことを特徴とする液体包装用紙製容器製函充填機における注出口栓取付装置(特許文献3)等が提案されている。
【0004】
また、電力信号(VUS)を発生するように作動可能である電力信号源と、該電力信号源に電気的に接続されて該電力信号源から電力信号(VUS)を受け取り且つ該電力信号(VUS)に応答してシート状パッケージ材を熱シールする超音波トランスジューサと、超音波シール機の超音波シールサイクルをカウントするように作動できる電子カウンタとを備えている、熱シート状パッケージ材によって作られたパッケージを製造するように作動可能な包装装置(特許文献4)や、駆動電流を検出することによりシール不良を判定する装置を付帯的に備えた、内容液を充填したチューブのシール予定部の内面を加熱する工程と、チューブの加熱されたシール予定部を挟圧して圧着する工程と、チューブの圧着されたシール予定部の先端部をトリミングする工程と、チューブのトリミングされたシール予定部を超音波シールする工程とを有してなるチューブ容器の超音波シール装置(特許文献5)や、適切なる補強リブ、溶着リブを有する舟型フランジ部を主構成とした注出栓及び溶着性に適したホーンを使用し、注出栓のシール面に直交する軸線上に対向する超音波アクチェーターとアンビルもしくは超音波アクチェーターを設置し、この軸線上を相互に同期して開閉駆動させると共に、発振制御性に優れた超音波発振器により注出栓を超音波シールする方法(特許文献6)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−219756号公報
【特許文献2】特開2002−103481号公報
【特許文献3】特開2001−335011号公報
【特許文献4】特表2012−528045号公報
【特許文献5】特開2000−168735号公報
【特許文献6】特開平7−323478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、超音波シールによるカートンへの口栓の溶着制御は、市販の超音波発信器ユニットで行われており、口栓の溶着データを活用した詳細かつ多様な溶着判定の試みは行われていなかった。例えば、カートン押上の上昇端到達とホーンの進出のタイミングがずれたことにより、ホーンが口栓に乗った状態で溶着し、
図5に示すように口栓の潰れが生じる。また、非常に硬い包材(カートン)の場合、バックリングにより包材が変形してカートン押上げ時に一時的にホーンと口栓との距離が短くなる可能性があり、この場合も同様にホーンが口栓に乗った状態で溶着してしまう可能性がある。
【0007】
そして、口栓の潰れ検出を実際に試みるには、充填機排出後のコンベア搬送上に高性能カメラ等を設置し検出する方法があるが、口栓種類が多様なこともあり非常に高価で設定が複雑化する傾向がある。また、包材と口栓が同色という組み合わせで識別困難な場合がある。本発明の課題は、口栓溶着制御(条件設定を含む)を充填機本体で行うことで、溶着データを取り込み、これを利用した溶着判定プログラムを用いて口栓潰れ等の溶着異常(不良)を判定し、溶着異常(不良)のあったカートン等の容器を特定することができる充填包装機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、カートンを口栓シールステーションに搬送してくる容器搬送コンベアと、口栓超音波シール装置とを備える充填包装機械に、口栓超音波シール装置から取得した出力電力の波形データに基づく溶着判定プログラムを有する口栓溶着判定手段を設けることにより、口栓シール不良のカートンを特定しうることを見いだした。また、波形データにおけるピークパワー値の数値、あるいは、そのピークパワー値の付近でピークパワー値から所定パワー値の間にあるパワー値をもつ出力点数の個数の数値が、正常な設定範囲外となったときに口栓潰れと判断できることがわかった。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち本発明は以下の通りである。
(1)容器を口栓シールステーションに搬送してくる容器搬送コンベアと、口栓超音波シール装置と、口栓溶着判定手段とを備えた充填包装機械であって、記口栓超音波シール装置が、口栓が装着された容器に、口栓を超音波振動で溶着するホーンと、該ホーンのシール圧を容器の口栓溶着予定部と口栓のフランジ部を介して受け止めるアンビルとを備え;
前記口栓溶着判定手段が、口栓超音波シール装置から取得した出力電力の波形データに基づく溶着判定プログラムを有し;溶着判定プログラムで異常と判断した容器を特定しうることを特徴とする充填包装機械。
(2)波形データに基づく溶着判定プログラムが、波形データにおけるピークパワー値の数値、又は、そのピークパワー値の付近でピークパワー値から所定パワー値の間にあるパワー値をもつ出力点数の個数の数値が、正常な設定範囲外となったときに異常な超音波溶着と判断する溶着判定プログラムであることを特徴とする上記(1)記載の充填包装機械。
(3)溶着時の電力出力値[%]を1msec毎に測定する溶着判定プログラムであることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の充填包装機械。
(4)ピークパワー値の数値が、正常な超音波溶着時のピークパワー値(n≧10)の最低値から0〜25[%]以上低い場合、異常な超音波溶着と判断する溶着判定プログラムであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の充填包装機械。
(5)ピークパワー値から20〜30[%]低いパワー値以上をもつ出力点数の個数が、正常な超音波溶着時のピークパワー値(n≧10)から20〜30[%]低いパワー値以上をもつ出力点数の個数の中での最大個数に0〜50個増やした個数より大きい場合、異常な超音波溶着と判断する溶着判定プログラムであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の充填包装機械。
(6)容器搬送コンベアが、予め口栓が装着された容器を口栓シールステーションに搬送してくる容器搬送コンベアであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載の充填包装機械。
(7)異常と判断した容器の特定が、充填を行わずに空容器として製品ライン外に排出するインターロックであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載の充填包装機械。
(8)異常と判断した容器が、口栓潰れの容器であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか記載の充填包装機械。
(9)容器が、カートンであることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか記載の充填包装機械。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、口栓溶着における危害分析に有用であることから、充填機の安定稼動に繋がる上に、溶着エネルギーや溶着時間データを複合的に分析することによって、高性能カメラ等を設置する必要がなく、容易に口栓潰れを検出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明における口栓超音波シール装置の縦断面図である。
【
図2】
図1に示される口栓超音波シール装置のシール動作の説明図である。
【
図3】口栓超音波シール時の制御フローを示す図である。
【
図4】口栓超音波シール装置の出力電力の波形データを示す図である。 縦軸:電力出力値(%) 目盛りは、0〜100 定格出力を1.5Kwとした場合、目盛値100で1.5Kwとなる。 横軸:時間(msec) 超音波シール装置の発振時間
【
図5】口栓超音波シールでの口栓の潰れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の充填包装機械としては、カートン等の容器を口栓シールステーションに搬送してくる容器搬送コンベアと、口栓超音波シール装置と、口栓溶着判定手段とを備え、前記口栓超音波シール装置が、口栓が装着された容器に、口栓を超音波振動で溶着するホーンと、該ホーンのシール圧を容器の口栓溶着予定部と口栓のフランジ部を介して受け止めるアンビルとを備え、前記口栓溶着判定手段が、口栓超音波シール装置から取得した出力電力の波形データに基づく溶着判定プログラムを有しており、溶着判定プログラムで異常と判断した容器を特定しうる機構を具備しているものであれば特に制限されないが、この種の充填包装機械に通常具備されるカートン等の容器の整形装置、カートン等の容器の殺菌装置、液体充填装置、カートン等の容器のシール(トップシール)装置等を配設しておくことができる。
【0013】
カートン等の容器に口栓が溶着される前の、口栓が装着された容器は、口栓シールステーションで口栓をカートン等の容器に装着する公知の方法により、あるいは、口栓シールステーションの上流で公知の方法により予め口栓をカートン等の容器に装着することにより、準備することができる。
【0014】
次に、
図1及び2により、本発明における口栓超音波シール装置の一態様について説明する。口栓超音波シール装置は、予め口栓Sが装着されたカートンCに、口栓Sを超音波振動で溶着するホーン1と、ホーン1のシール圧を、カートンCの口栓S溶着予定部と口栓Sのフランジ部を介して受け止めるアンビル2の他、予め口栓Sが装着されたカートンCを口栓シールステーションに搬送してくる容器搬送コンベア3とを備えている。容器搬送コンベア3は、カートンCのホルダ31、チェーン32、レール33等で構成されている。
【0015】
ホーン1は、スプラインシャフト4に左右方向に移動自在に設けられているスリーブ42に固定されている。アンビル2は、スプラインシャフト4に左右方向位置調節自在に固定されているカラー41に固定されている。スプラインシャフト4は、その両端に取り付けられたブラケット43を介して左右一対のスタンド5上の載置プレート51に左右方向位置調節自在に固定されている。左右一対のスタンド5は、図示しない充填機本体フレームに取り付けられている。
【0016】
ホーン1には、ホーン1及びスリーブ42を左右方向に駆動する第一ロッド53の一端が取り付けられている。第一ロッド53の他端は、右側スタンド5に揺動軸56を軸として揺動する揺動レバー52に取り付けられている。揺動レバー52には他端が図示しない駆動源に取り付けられた第二ロッド54の一端が取り付けられている。
【0017】
コンベア3は、有底角筒状カートンCの角部を挟持するホルダ31と、カートンCの底部を受けてカートンCをコンベア3の搬送方向に案内するレール33と、口栓シール装置に搬送されてきたカートンCを、搬送位置と口栓溶着位置(
図1中鎖線で示す)の間で昇降させる押上げロッド34及びプッシャー35とを備えている。ホルダ31は、カートンCの搬送経路に沿って設けられたチェーン32に所定間隔で取り付けられている。
【0018】
次に、シール動作について説明する。予め口栓Sが装着されたカートンCが口栓シール装置に搬送されてくると、押上げロッド34によりカートンCは口栓溶着位置(
図1中鎖線で示す)まで押上げられ、アンビル2に嵌め被せられる。
【0019】
続いて、図示しない駆動源からの駆動力が、第二ロッド54、揺動レバー52、第一ロッド53を介してホーンに伝えられ、ホーン1が、カートンCの口栓S溶着予定部と口栓Sのフランジ部を介してアンビル2に押圧させられる(
図1の鎖線の位置)(
図2の(b)の位置)。ホーン1の超音波振動により口栓SがカートンCに溶着された後、ホーン1は上記駆動源からの駆動力により退避位置まで後退させられる(
図1の実線の位置)(
図2の(a)の位置)。
【0020】
口栓SのカートンCへの溶着が完了すると、押上げロッド34及びプッシャー35が下降し、カートンCは口栓溶着位置(図中鎖線で示す)から搬送位置まで押し下げられる。搬送位置に戻ったカートンCは、コンベア3の動作により充填機の次のセクションに送られて行く。
【0021】
しかし、カートンCの押上げ動作のタイミングと、ホーン1のシール動作のタイミングが狂ってしまった場合(カートンCが完全に押し上げられる前にホーン1がシール動作を始めてしまった場合)、
図2(C)に示すように、ホーンが口栓に乗った状態で溶着し、
図5に示すように、口栓Sを押し潰してしまうような異常シールとなる。
【0022】
上記口栓超音波シール装置からの出力電力は、発振器から出力電力(装置定格に対する100〜0%)をDC10〜0Vに換算して信号として出力されているので、それをシーケンサユニットに取り込むことにより取得することができる。また、かかる出力電力の波形データは、発振指令ONの時点から、例えば1msec間隔で出力電力を確認し、発振指令OFFまでのデータを時系列で蓄積し、そのデータに基づき、縦軸を電力出力値(100〜0%で表示、本発明においてはこの%表示を[%]で表す。)、横軸を時間のグラフで表示することにより作成することができる。
【0023】
上記出力電力の波形データに基づく溶着判定プログラムとしては、波形データにおけるピークパワー値(最大電力出力値)の数値、又は、そのピークパワー値の付近でピークパワー値から所定パワー値の間にあるパワー値をもつ出力点数の個数の数値が、正常な設定範囲外となったときに異常と判断するプログラムを挙げることができるが、溶着時の電力出力値[%]を1msec毎に測定する条件設定がなされたプログラムや、ピークパワー値の数値が、サンプリング(n≧10)で得られた正常な超音波溶着時のピークパワー値(n≧10)の中での最低値から0〜25[%]以上低い場合、異常な超音波溶着と判断するプログラムや、ピークパワー値から20〜30[%]低いパワー値以上をもつ出力点数の個数が、正常な超音波溶着時のピークパワー値(n≧10)から20〜30[%]低いパワー値以上をもつ出力点数の個数の中での最大個数に0〜50個増やした個数より大きい場合、異常な超音波溶着と判断するプログラムをより好適に挙げることができる。また、上記出力点数の個数とは、発振時間単位、例えば1msec単位で取得される電力出力値[%]のデータの点の個数を意味する。
【0024】
口栓超音波シール時の制御フローを
図3に示す。また、電力出力値[%]を縦軸、発振時間(msec)を横軸とする波形データの例を
図4に示す。
図4からもわかるように、口栓潰れ時の異常波形は、ピークパワー値が低く、かつ突出していない傾向となる波形の特徴を有することから、ピークパワー値の数値の検出はシール異常を判断する上で重要である。
【0025】
シールするためのエネルギー制御としては、電力(w)を発振時間(msec)の時間幅で積分した値が電力量(ジュール)となることから、発振開始から、超音波シールしている間の超音波発振器の電力量が、予め設定した電力量に到達した時点で、超音波発振を終了させる方法と、予め設定した時間に到達した時点で、超音波発振を終了させる方法を挙げることができる。
【0026】
次に、溶着状態の判定を行う際の数値の決定方法としては以下の方法を例示することができる。
(1)10本程度(n≧10)のカートンをサンプルとして供給し、口栓の正常な超音波溶着を行う。
(2)溶着時の電力出力値[%]を1msec毎に測定する。1msec毎に測定することから、出力点数は、超音波シール装置の発振時間(msec)となる。
(3)カートン1本毎に測定した電力出力値[%]において、口栓溶着時のピークパワー値[%]と、そのピーク付近でピークパワー値から20〜30[%](設定値b)低いパワー値以上をもつ出力点数を出力させ、そのピークパワー値と出力点数をサンプリング値とする。例えば、
図4(正常時の波形)では、ピークパワー値80[%]、設定値b=20[%]であり、そのときの出力点数は37(113〜150)と表示されることになる。さらに、溶着開始から50msecの間に対象となるパワー値があった場合は、溶着の立ち上がりで安定していないので、出力点数としてカウントしないことが好ましい。
(4)得られた個々のサンプリング値の中で、最も小さいピークパワー値から0〜25[%]程度低い値(設定値a)を正常な口栓溶着であると判断できるピークパワー値とする。例えば、最も小さいピークパワー値が75[%]の場合、設定値a=75〜50[%]となる。例えば、
図4(正常時の波形)には、設定値a=55[%]が図示されている。
(5)得られた個々のサンプリング値の中で、最大の出力点数の個数に0〜50個程増やした個数(設定値c)を正常な口栓溶着であると判断できるピーク付近での出力点数の個数とする。例えば、設定値cを最大の出力点数の個数に30個増やした個数とする場合、最大の出力点数が100のとき、設定値c=130となる。
【0027】
カートンの材質等の条件により、設定値a〜cの数値は変化するが、口栓潰れ異常に関する設定値として、設定値a:50〜60[%]、設定値b:20〜30[%]、設定値c:120〜160個を例示することができる。しかし、装置の設置環境が変化すれば、数値は変化するため、その時点・その場所において上記サンプリングを行い、設定値を算出することが望ましい。例えば、設定値a:60[%]、設定値b:20[%]、設定値c:150個とした場合、
図4(正常時の波形)において、ピークパワー値は80[%]であり、設定値a=60[%]より大きいこと[
図3において、ピークパワー値が設定値a以下;NO]から正常な口栓溶着であると判断でき、設定値b=20[%]の出力点数37個は設定値c=150より小さいこと[
図3において、ピークパワー値から設定値bまでの幅の中に測定した出力点数の数が設定値c以上;NO]から正常な口栓溶着であると判断できる。他方、
図4(異常時の波形)において、ピークパワー値は40[%]程度であり、設定値a=60[%]より小さいこと[
図3において、ピークパワー値が設定値a以下;YES]からピークパワー不足により口栓潰れの異常な口栓溶着であると判断でき、設定値b=20[%]の出力点数220個(240−20)は設定値c=150より大きいこと[
図3において、ピークパワー値から設定値bまでの幅の中に測定した出力点数の数が設定値c以上;YES]から口栓潰れ時の溶着波形として異常な口栓溶着であると判断できる。
【0028】
同様に波形データを活用し、以下のような口栓溶着に関する警報出しが可能となる。
1)溶着弱の警報
溶着波形上のパワー値が最大となる箇所が発振終盤(発振終了前20〜30msec)となる場合には、溶着が弱い可能性が高い。これは口栓のフランジ厚みが増したり、フランジ材質PE硬度が高い場合に発生する可能性が高い。
2)前発振の警報
溶着波形において発振後20〜30msec程度の箇所でいわゆる「踊り場」が存在する場合、前発振の可能性が高い。前発振は安定した溶着が得られにくいため、警報出しを行い注意喚起を促すことが必要となる。ここで「前発振」とは、ホーンがカートンに到達する前に発振を開始する溶着のことをいう。
3)2段発振の警報
溶着波形においてピーク最大となる箇所が2箇所以上の場合には、明らかに溶着不良であり、警報出しが必要となる。発生原因として超音波発振器ユニットの異常等を挙げることができる。
【0029】
波形データに基づく溶着判定プログラムにより、異常と判断されたカートンは、通常充填を行わずに空カートン(トップシール有り)として充填機排出直後に製品ライン外に排出するインターロックとすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、日本酒等の液体の充填包装の分野で有用である。
【符号の説明】
【0031】
C カートン
S 口栓
1 ホーン
2 アンビル
3 コンベア
4 スプラインシャフト
5 スタンド
31 ホルダ
32 チェーン
33 レール
34 押上ロッド
35 プッシャー
41 カラー
42 スリーブ
43 ブラケット
51 載置プレート
52 揺動レバー
53 第一ロッド
54 第二ロッド
55 支持プレート
56 揺動軸