特許第6099454号(P6099454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099454
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】ゴッグル弁の粉塵除去装置
(51)【国際特許分類】
   F23J 15/00 20060101AFI20170313BHJP
   F16K 25/02 20060101ALN20170313BHJP
   F16K 3/20 20060101ALN20170313BHJP
   F16K 31/54 20060101ALN20170313BHJP
【FI】
   F23J15/00 Z
   !F16K25/02
   !F16K3/20
   !F16K31/54
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-68848(P2013-68848)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-190663(P2014-190663A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(73)【特許権者】
【識別番号】714003416
【氏名又は名称】日新製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】大音 憲司
(72)【発明者】
【氏名】藤井 博文
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−038572(JP,U)
【文献】 実公平02−019664(JP,Y2)
【文献】 実公平03−029651(JP,Y2)
【文献】 実開昭56−113282(JP,U)
【文献】 特開昭57−028791(JP,A)
【文献】 特公昭54−028125(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0242316(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 15/00 − 15/08
F16K 3/00 − 3/24
F16K 25/00 − 25/04
F16K 31/44 − 31/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁箱(1)内の流路を横切る方向に弁体(2)をスライド自在に懸垂支持したゴッグル弁に備えられ、駆動用ピニオン(10)と、多数のピン(12)が並ぶラック(11)とが噛合したスライド機構に付帯して、ラック(11)へ向けて不活性ガスを吹き付けることにより、ラック(11)への粉塵の堆積を防止するゴッグル弁の粉塵除去装置において、
前記ラック(11)を、スペーサー(19)で弁体(2)の上辺部から持ち上げた状態に支持することにより、ラック(11)の下方に、その両側面及びラック(11)の内部に連通する空間(20)を形成し、ラック(11)の片方の側面及び上方向から不活性ガスを空間(20)へ吹き込むノズル(22,23)を設け、このノズル(22,23)を、ピニオン(10)に対して、弁体(2)のスライド方向の両側に、ピニオン(10)とラック(11)の噛合部から同じ距離だけ離れて配置したことを特徴とするゴッグル弁の粉塵除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製銑設備における高炉の排ガスの遮断用等として、粉塵の多い環境下で使用されるゴッグル弁の粉塵除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製銑設備における高炉の排ガス配管には、気密性に優れたゴッグル弁が使用されることがある。このゴッグル弁は、図5に示すように、弁箱1とその内部で横方向にスライドする弁体2とを備え、弁体2には、弁箱1の流路筒3に対応して、貫通口を有する開放部4と、塞がれた閉鎖部5とをフレーム6に設け、弁箱1に対する弁体2のスライドに伴い、流路筒3の流路を開閉する構成とされている。
【0003】
例示した弁体2は、上辺部の支持梁7を弁箱1側のローラー8に乗せて、懸垂状態で支持されている。そして、弁箱1の上部に位置する駆動装置9により回転駆動されるピニオン10と、支持梁7の上面に設けられたラック11とが噛合し、ピニオン10の回転に伴い、弁体2がスライドするようになっている。ラック11は、多数のピン12が横桟13の間に並ぶものとされ、ピニオン10は、スプロケット状とされている。
【0004】
このようなスライド機構を弁箱1の上部に設けたゴッグル弁(特許文献1〜3参照)では、弁箱1の下部に通常の歯車式のラック及びピニオンから成るスライド機構を設けた場合に比べて、ラックに粉塵が溜まりにくくなるので、ピニオンとラックの噛合部に粉塵が噛み込んでスライド機構が破損する危険性が減少する。
【0005】
また、信頼性をより向上させるため、図6に示すように、上記のようなスライド機構に付帯して、ピニオン10の歯とラック11のピン12との噛合部へ向けて、斜めに延びるノズル51から窒素ガス等の不活性ガスを吹き付けることにより、ラック11への粉塵の堆積を防止するゴッグル弁の粉塵除去装置を設けることが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平3−29651号公報
【特許文献2】実公平2−19664号公報
【特許文献3】実開平2−38572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような粉塵除去装置では、粉塵がラック11の外側へ吹き飛ばされることなく、舞い上がって再びラック11へ落下する等の現象により、効率よく粉塵を除去できないという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、ゴッグル弁のスライド機構から粉塵を確実に除去し、スライド機構の破損を防止して、開閉動作の信頼性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するため、この発明では、弁箱内の流路を横切る方向に弁体をスライド自在に懸垂支持したゴッグル弁に備えられ、駆動用ピニオンと、多数のピンが並ぶラックとが噛合したスライド機構に付帯して、ラックへ向けて不活性ガスを吹き付けることにより、ラックへの粉塵の堆積を防止するゴッグル弁の粉塵除去装置において、前記ラックを、スペーサーで弁体の上辺部から持ち上げた状態に支持することにより、ラックの下方に、その両側面及びラックの内部に連通する空間を形成し、ラックの片方の側面及び上方向から不活性ガスを空間へ吹き込むノズルを設け、このノズルを、ピニオンに対して、弁体のスライド方向の両側に、ピニオンとラックの噛合部から同じ距離だけ離れて配置したのである。
【0010】
このように構成すると、ラックに落下した粉塵が強制的にピンの下方の空間へ送られ、ラックの片方の側面から吹き込まれた不活性ガスにより、他方の側面から外部へ吹き飛ばされるので、ラックの内部に粉塵が溜まることがない。
【0011】
また、前記ノズルを、ピニオンに対して、弁体のスライド方向の両側に配置したので、弁体がいずれの方向へスライドする場合でも、ピニオンが噛合する直前の部分でラックから粉塵が除去され、ピニオンとラックの間への粉塵の噛み込みが確実に防止される。
【0012】
さらに、前記ラックを、スペーサーで弁体の上辺部から持ち上げた状態に支持して、ラックの下方に不活性ガスを吹き込む空間を形成したので、既存のゴッグル弁にも簡単に適用することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係るゴッグル弁の粉塵除去装置では、上記のように、ラックの支持部に形成した空間へノズルから不活性ガスを吹き込み、空間から粉塵を外部へ吹き飛ばすようにしたので、粉塵がラックの内部に溜まることがなく、スライド機構の破損を防止して、開閉動作の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明に係る粉塵除去装置を備えたゴッグル弁の一部切断縦断側面図
図2】同上の粉塵除去装置の斜視図
図3】同上の粉塵除去装置の概略正面図
図4】同上の粉塵除去装置の概略側面図
図5】同上の粉塵除去装置の適用対象となるゴッグル弁の全体正面図
図6】従来の粉塵除去装置の概略正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
この粉塵除去装置が適用されるゴッグル弁は、図5に示すように、弁箱1とその内部で横方向にスライドする弁体2とを備え、弁箱1の上部に、弁体2をスライドさせるスライド機構を設けたものである。
【0017】
詳述すると、図1に示すように、弁箱1には、高炉の排ガスの流路となる流路筒3が両面に対向して同心に配置され、一方の流路筒3側に固定弁座14が、他方の流路筒3側に可動弁座15がそれぞれ設けられて、その間に弁体2が配置されている。
【0018】
可動弁座15は、流路筒3の周囲に配置された油圧シリンダ16により弁体2に接離する方向へ移動する。可動弁座15に付属する筒状部15aと流路筒3とは、ベローズ17で連結されている。
【0019】
そして、ゴッグル弁の全開時及び全閉時には、弁体2が可動弁座15に押圧されて、固定弁座14と可動弁座15に密着することにより気密性が保たれ、開閉動作時には、固定弁座14に対する弁体2の押圧が解除されて、弁体2のスライドが可能となる。
【0020】
弁体2には、弁箱1の流路筒3に対応して、貫通口を有する開放部4と、塞がれた閉鎖部5とがフレーム6に設けられ、弁箱1に対する弁体2のスライドに伴い、流路筒3の流路が開閉される。
【0021】
弁体2は、上辺部の支持梁7を弁箱1側のローラー8に乗せて、懸垂状態で支持されている。そして、弁箱1の上部に設けられた駆動装置9により回転駆動されるピニオン10と、支持梁7の上面に設けられたラック11とが噛合し、ピニオン10の回転に伴い、弁体2がスライドするようになっている。ラック11は、多数のピン12が横桟13の間に並ぶものとされ、ピニオン10は、スプロケット状とされている。
【0022】
このような弁体2のスライド機構に付帯する粉塵除去装置において、図2図4に示すように、ラック11は、横桟13の下部から側方へ張り出した取付片18と支持梁7との間にスペーサー19を介在させ、これらに挿通したボルトで固定することにより、支持梁7から持ち上げた状態に支持されている。
【0023】
これにより、ラック11の下方には、その両側面及びラック11の内部に連通する空間20が形成される。
【0024】
また、窒素ガス等の不活性ガスを供給する本管21がラック11の上方に沿って配置され、本管21から分岐してコ字状に下方へ曲げられた枝管21aと、垂直下方へ向かう枝管21bの先端に、それぞれノズル22,23が設けられている。ノズル22,23は、ピニオン10に対して、弁体2のスライド方向の両側に、ピニオン10とラック11の噛合部から同じ距離だけ離れて配置されている。
【0025】
そして、ノズル22は、ラック11の片方の側面方向から空間20に不活性ガスを吹き込むように向けられ、ノズル23は、ラック11の上方向から横桟13の間を介し不活性ガスを空間20へ吹き込むように向けられている。
【0026】
このように構成すると、ラック11に落下した粉塵がノズル23から噴出した不活性ガスによりピン12の下方の空間20へ送られ、ノズル22から噴出してラック11の片方の側面方向から空間20へ吹き込まれた不活性ガスにより、他方の側面方向へ吹き飛ばされて、空間20から飛び出すので、ラック11の内部に粉塵が溜まることがない。
【0027】
また、ノズル22,23を、ピニオン10に対して、ラック11が延びる方向の両側に配置したので、弁体2がいずれの方向へスライドする場合でも、ピニオン10が噛合する直前の部分でラック11から粉塵が除去され、ピニオン10の歯とラック11のピン12の間への粉塵の噛み込みが確実に防止される。
【0028】
さらに、ラック11を、スペーサー19で弁体2の上辺部の支持梁7から持ち上げた状態に支持することにより、ラック11と支持梁7との間に不活性ガスを吹き込む空間20を形成したので、既存のゴッグル弁にも簡単に適用することができ、多大なコストを要することもない。
【0029】
なお、このゴッグル弁には、上記のような弁体2の駆動部の粉塵除去装置に加えて、弁体2と固定弁座14及び可動弁座15の弁座面との間の粉塵を除去するため、弁座面で開口する噴出口24及びこれに連通するチャンバー25が設けられ、チャンバー25に不活性ガスを供給する供給管26が接続されている。
【0030】
また、ベローズ17の湾曲部分への粉塵の侵入を防止するため、流路全周に亘るパージ空間27が設けられ、これに不活性ガスを供給する供給管28が接続されている。
【0031】
これらにより、ゴッグル弁の可動各部への粉塵の影響が防止されるので、このゴッグル弁は、信頼性の高いものとなる。
【符号の説明】
【0032】
1 弁箱
2 弁体
3 流路筒
4 開放部
5 閉鎖部
6 フレーム
7 支持梁
8 ローラー
9 駆動装置
10 ピニオン
11 ラック
12 ピン
13 横桟
14 固定弁座
15 可動弁座
15a 筒状部
16 油圧シリンダ
17 ベローズ
18 取付片
19 スペーサー
20 空間
21 本管
21a,21b 枝管
22,23 ノズル
24 噴出口
25 チャンバー
26 供給管
27 パージ空間
28 供給管
図1
図2
図3
図4
図5
図6