【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のガスコンロは、コンロ本体の前部側を形成する本体前面部を覆う状態で前面パネルが設けられたものであって、その第1特徴構成は、
前記前面パネルが、前記本体前面部のコンロ横幅方向の全幅に亘る状態に形成され、
前記前面パネルの下端側におけるコンロ横幅方向の複数箇所に、前記本体前面部の係合部に対して上方への移動を阻止される状態で係合する被係合部が設けられ、
前記前面パネルの上端部におけるコンロ横幅方向の複数箇所に、前記コンロ本体の上部に装着される天板に設けた操作部にて押圧操作されることによって、前記前面パネルの上端部を上方に付勢する上方付勢部が設けられている点を特徴とする。
【0011】
すなわち、前面パネルが、コンロ本体における本体前面部のコンロ横幅方向の全幅に亘る状態に形成されて、本体前面部の全体を覆うことになるため、グリルを装備しない形態のガスコンロの場合において、コンロ本体の前面側箇所の外観を美麗な状態にすることができるものとなる。
【0012】
そして、前面パネルの下端側におけるコンロ横幅方向の複数箇所に設けた被係合部を、本体前面部の係合部に対して上方への移動を阻止される状態で係合させた状態で、コンロ本体の上部に天板を装着すると、前面パネルの上端部におけるコンロ横幅方向の複数箇所に設けた上方付勢部が、天板に設けた操作部にて押圧操作されることによって、前面パネルの上端部を上方に付勢することになり、その結果、前面パネルは上下方向に引っ張られた状態となる。
【0013】
上下方向に引っ張られた状態となった前面パネルは、その肉厚が薄くても、保形強度の増加によりゆがみ難くなるのであり、その結果、コンロ本体の前面側箇所の外観が美麗となる状態を、適切に維持できるものとなる。
つまり、前面パネルの肉厚を薄くして、製造コストの低下を図るようにしても、前面パネルのゆがみを抑制して、コンロ本体の前面側箇所の外観が美麗となる状態を、適切に維持できるのである。
【0014】
ちなみに、コンロ本体の上部に装着される天板を有効利用して、上方付勢部を、コンロ本体の上部に装着される天板に設けた操作部にて押圧操作するものであるから、換言すれば、コンロ本体の上部に天板を装着することによって上方付勢部を押圧操作するものであるから、上方付勢部を押圧操作するための特別な作業工程を必要としないため、前面パネルの製造コストの低下を図るようにするために、ガスコンロ全体の製造コストが上昇する不都合を回避できる。
【0015】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、前面パネルを本体前面部のコンロ横幅方向の全体に亘る状態に形成する場合において、前面パネルの製造コストの低下を図るようにしながらも、コンロ本体の前面側箇所の外観を美麗な状態にできるガスコンロを提供できる。
【0016】
本発明のガスコンロの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記上方付勢部が、前記操作部にて後方側に押圧操作される被操作部と、その被操作部よりも後方側でかつ下方側に位置し且つ後方側及び下方側の移動が前記本体前面部との接当により規制された支点形成部とを備えて、前記操作部にて後方側に押圧操作された前記被操作部が前記支点形成部を中心として上方側へ移動することにより、前記前面パネルの上端部を上方に付勢するように構成されている点を特徴とする。
【0017】
すなわち、前面パネルの下端側の被係合部を、本体前面部の係合部に対して上方への移動を阻止される状態で係合させた状態で、コンロ本体の上部に天板を装着して、前面パネルの上端部に設けた上方付勢部における被操作部を、天板に設けた操作部にて後方側に押圧操作すると、被操作部が上方付勢部における支点形成部を中心として上方側に移動することになり、この被操作部の上方側への移動により、前面パネルの上端部が上方に付勢されることになる。
【0018】
つまり、天板に設けた操作部にて後方側に押圧操作される被操作部が支点形成部を中心として上方側に移動するモーメントを利用して、前面パネルの上端部を上方に付勢するものである。その結果、モーメントを用いた大きな力で、前面パネルの上端部を上方に付勢することができるため、前面パネルのゆがみを適切に抑制できるものとなる。
【0019】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、モーメントを利用した大きな力で、前面パネルの上端部を上方に付勢して、前面パネルのゆがみを適切に抑制できるガスコンロを提供できる。
【0020】
本発明のガスコンロの第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記前面パネルの下端部及び上端部の夫々に、前記前面パネルを前記本体前面部に密着させた状態で下方側にスライドさせることにより、前記本体前面部に設けた係止部に対して、前方側及び下方側への移動を阻止された状態に係止される被係止部が設けられ、
前記被係合部が、適正係合姿勢から前後方向に弾性変形自在に形成されて、前記前面パネルを前記本体前面部に密着させた状態で下方側にスライドさせて、前記被係止部を前記係止部に係止させる際に、前記係合部との接当により前記適正係合姿勢から前後方向に弾性変形しながら前記係合部に係合するように構成されている点を特徴とする。
【0021】
すなわち、前面パネルの下端部及び上端部の夫々に設けた被係止部が、前面パネルを本体前面部に密着させた状態で下方側にスライドさせることにより、本体前面部に設けた係止部に対して、前方側及び下方側への移動を阻止された状態に係止されることになる。
つまり、前面パネルの下端部及び上端部の夫々に設けた被係止部を本体前面部に設けた係止部に係止させることによって、前面パネルが本体前面部に装着されることになる。
【0022】
そして、前面パネルを本体前面部に密着させた状態で下方側にスライドさせて、被係止部を係止部に係止させる際に、前面パネルの下端側に設ける被係合部が、係合部との接当により適正係合姿勢から前後方向に弾性変形しながら、本体前面部に設けた係合部に係合することになる。
つまり、前面パネルの被係止部を本体前面部に設けた係止部に係止させること、及び、前面パネルの下端側に設ける被係合部を本体前面部に設けた係合部に係合させることを、前面パネルを本体前面部に密着させた状態で下方側にスライドさせることによって、一挙に行うことができるのであり、前面パネルの装着性の向上を図ることができる。
【0023】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第1又は第2特徴構成による作用効果に加えて、前面パネルの装着性の向上を図ることができるガスコンロを提供できる。
【0024】
本発明のガスコンロ用バーナの第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、
前記前面パネルの左右両端部に、後方側に伸びる後方延出部が設けられ、
前記前面パネルの左右両端部に位置する一対の前記後方延出部の夫々に、前記被係止部を前記係止部に係止させるために、前記前面パネルを前記本体前面部に密着させた状態で下方側にスライドさせることにより、前記コンロ本体に設けた本体側係止部に対して、前方側及び下方側への移動を阻止された状態に係止される端部側被係止部が設けられている点を特徴とする。
【0025】
すなわち、前面パネルの左右両端部に、後方側に伸びる後方延出部が設けられているから、後方延出部によって、本体前面部を横外方側からも覆うことができるため、コンロ本体の前面側箇所を横外方側から見る場合の外観をも美麗な状態にすることができる。
【0026】
そして、前面パネルを本体前面部に密着させた状態で下方側にスライドさせて、被係止部を係止部に係止させる際に、前面パネルの左右両端部に位置する一対の後方延出部の夫々に設けた端部側被係止部が、コンロ本体に設けた本体側係止部に対して、前方側及び下方側への移動を阻止された状態に係止されることになる。
【0027】
つまり、端部側被係止部がコンロ本体の本体側係止部に係止されることによって、前面パネルの左右両端部に位置する一対の後方延出部のコンロ本体に対する姿勢を適正姿勢に維持させて、コンロ本体の前面側箇所を横外方側から見る場合の外観を美麗な状態に適切に維持することができる。
【0028】
そして、端部側係止部をコンロ本体の本体側係止部に係止させることを、前面パネルを本体前面部に密着させた状態で下方側にスライドさせて、前面パネルの被係止部を本体前面部に設けた係止部に係止させる際に一挙に行うことができるため、前面パネルの装着性の低下を回避できる。
【0029】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第3特徴構成による作用効果に加えて、前面パネルの装着性の低下を回避する形態で、コンロ本体の前面側箇所を横外方側から見る場合の外観をも美麗な状態にすることができるガスコンロを提供できる。
【0030】
本発明のガスコンロの第5特徴構成は、上記第3又は第4特徴構成に加えて、
前面パネルの左右両横側部の夫々に、コンロ操作部を挿通するコンロ操作部用開口が形成され、
前記コンロ操作部を装着する樹脂製の左右一対の操作部装着枠が、前記前面パネルの背部に装着され、
前記被係合部が、前記操作部装着枠の下端側部分に一体形成されている点を特徴とする。
【0031】
すなわち、前面パネルの左右両横側部の夫々に、コンロ操作部を挿通するコンロ操作部用開口が形成され、コンロ操作部を装着する樹脂製の左右一対の操作部装着枠が、前面パネルの背部に装着される。
尚、コンロ操作部とは、例えば、コンロ本体の内部に装備した器具栓を操作する点消火具等、コンロ本体の内部に装備した燃焼用機器類を操作するものである。
【0032】
このように、コンロ操作部を装着する樹脂製の左右一対の操作部装着枠が、前面パネルの背部に装着されているから、前面パネルをコンロ本体の本体前面部に装着する際に、左右一対の操作部装着枠をも装着できるため、操作部装着枠の組付性を向上できることになる。
【0033】
そして、樹脂製の左右一対の操作部装着枠が前面パネルの背部に装着されていることを利用して、適正係合姿勢から前後方向に弾性変形自在な被係合部が、操作部装着枠の下端側部分に一体形成されているから、被係合部の製作の容易化を図ることができる。
【0034】
つまり、樹脂製の操作部装着枠に一体形成された被係合部は、操作部装着枠を成型する際に、一挙に形成することができ、そして、操作部装着枠に一体形成された被係合部は、操作部装着枠を前面パネルに装着することによって、前面パネルに設けられることになるから、被係合部の製作の容易化を図ることができるのである。
ちなみに、樹脂製の操作部装着枠に一体形成された被係合部は、樹脂の弾性変形性を利用して弾性変形させることができるものとなる。
【0035】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第3又は第4特徴構成による作用効果に加えて、操作部装着枠の組付性を向上し、しかも、被係合部の製作の容易化を図ることができるガスコンロを提供できる。
【0036】
本発明のガスコンロ用バーナの第6特徴構成は、上記第5特徴構成に加えて、
前記操作部装着枠に、前記被係止部を前記係止部に係止させるために、前記前面パネルを前記本体前面部に密着させた状態で下方側にスライドさせることにより、前記本体前面部に設けた装着枠係止部に対して、前方側及び下方側への移動を阻止された状態に係止される装着枠被係止部が設けられている点を特徴とする。
【0037】
すなわち、前面パネルを本体前面部に密着させた状態で下方側にスライドさせて、前面パネルの下端部や上端部に設けた被係止部を、本体前面部に設けた係止部に係止させる際に、操作部装着枠に設けた装着枠被係止部が、本体前面部の装着枠係止部に対して、前方側及び下方側への移動を阻止された状態に係止されることになる。
【0038】
このように、操作部装着枠に設けた装着枠被係止部を本体前面部の装着枠係止部に係止させることにより、前面パネルの操作部装着枠を装着する部分を、本体前面部に対して支持させることができるため、前面パネルを本体前面部に対して一層的確に装着することができる。
【0039】
しかも、操作部装着枠に設けた装着枠被係止部を本体前面部の装着枠係止部に係止させることを、前面パネルを本体前面部に密着させた状態で下方側にスライドさせて、前面パネルの被係止部を本体前面部に設けた係止部に係止させる際に一挙に行うことができるため、前面パネルの装着性の低下を回避できる。
【0040】
要するに、本発明の第6特徴構成によれば、上記第5特徴構成による作用効果に加えて、前面パネルの装着性の低下を回避する形態で、前面パネルを本体前面部に対して一層的確に装着することができるガスコンロを提供できる。
【0041】
本発明のガスコンロの第7特徴構成は、上記第5又は第6特徴構成に加えて、
前記前面パネルの横幅方向の中央側部分に、前後方向に膨出する膨出部が、横幅方向に伸びる状態で形成されている点を特徴とする。
【0042】
すなわち、前後方向に膨出する膨出部が、横幅方向に伸びる状態で、前面パネルの横幅方向の中央側部分に形成されているから、膨出部の補強作用によって、前面パネルが前後方向に撓むことを抑制できるものとなる。
このように、前面パネルが前後方向に撓むことを抑制できるため、前面パネルを本体前面部に装着する作業が行い易いものとなる。
【0043】
しかも、前面パネルの横幅方向の中央側部分に位置する膨出部は、前面パネルの横幅方向の中央側部分に上下方向に伸びる力が作用したときに、その伸びを許容するために変形し易いものであって、コンロ横幅方向の複数箇所に位置する上方付勢部によって前面パネルの上端部が上方に付勢されても、前面パネルに応力が集中することを抑制できる。
【0044】
説明を加えると、コンロ操作部用開口が形成されている前面パネルの両横側部は、上下方向に伸びる力が作用したときに、コンロ操作部用開口が形成されているために、上方に伸び易いものであるが、前面パネルにおける左右のコンロ操作部用開口の間に位置する中央側部分も、膨出部の存在によって、上下方向に伸びる力が作用したときに、その伸びを許容するように変形し易いものとなり、その結果、コンロ横幅方向の複数箇所に位置する上方付勢部によって前面パネルの上端部が上方に付勢されても、前面パネルに応力が集中することを抑制できるのである。
【0045】
要するに、本発明の第7特徴構成によれば、上記第5又は第6特徴構成による作用効果に加えて、前面パネルを本体前面部対して装着する作業の作業性を向上し、しかも、コンロ横幅方向の複数箇所に位置する上方付勢部によって前面パネルの上端部が上方に付勢されても、前面パネルに応力が集中することを抑制できるガスコンロを提供できる。
【0046】
本発明のガスコンロの第8特徴構成は、上記第7特徴構成に加えて、
前記膨出部が、前方側に膨出する状態で形成されている点を特徴とする。
【0047】
すなわち、膨出部が、前方側に膨出する状態で形成されているから、膨出部の上部に埃等の異物が堆積し難く、また、膨出部の上部に異物が付着しても、その清掃を良好に行い易いため、前面パネルを美麗な状態に維持し易いものとなる。
【0048】
つまり、膨出部が、後方側に膨出する状態で形成されていると、後方側に凹入する状態となる膨出部の内部に、埃等の異物が堆積し易いものとなり、また、膨出部が後方側に凹入する状態となっているために、膨出部の内部に堆積した異物を除去する清掃作業が行い難いものとなる。
【0049】
これに対して、膨出部が前方側に膨出する状態で形成されているから、膨出部の上部に埃等の異物が堆積し難く、また、膨出部の上部に異物が付着しても、その異物を拭き取る等の清掃が良好に行い易いのであり、その結果、膨出部を設けるようにしながらも、前面パネルを美麗な状態に維持し易いものとなるのである。
【0050】
要するに、本発明の第8特徴構成によれば、上記第7特徴構成による作用効果に加えて、前面パネルを美麗な状態に維持し易いガスコンロを提供できる。