特許第6099509号(P6099509)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099509
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】易開封段ボール箱及びその抜型
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20170313BHJP
   B65D 5/42 20060101ALI20170313BHJP
   B31B 50/88 20170101ALI20170313BHJP
【FI】
   B65D5/54 F
   B65D5/42 Z
   B31B1/88 301
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-150343(P2013-150343)
(22)【出願日】2013年7月19日
(65)【公開番号】特開2015-20783(P2015-20783A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100151024
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 幸嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】上原 英明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友和
(72)【発明者】
【氏名】古田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】立松 正隆
(72)【発明者】
【氏名】小作 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】山下 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】権田 和広
(72)【発明者】
【氏名】村上 達哉
(72)【発明者】
【氏名】石井 英樹
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−254821(JP,A)
【文献】 特開2008−247477(JP,A)
【文献】 特開2008−247476(JP,A)
【文献】 実開平04−041825(JP,U)
【文献】 特開平11−171172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00− 5/76
B31B50/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールに並行するライナーカットの切目線(11)を入れて、切目線(11)に挟まれた引裂帯(12)を形成し、引裂帯(12)を切始部(13)から引っ張って段ボールを切断することにより開封する段ボール箱において、前記引裂帯(12)の上下に並んだ切目線(11)のうち、下方に位置する切目線(11)のみに沿って、その上下に亘り段ボールの中芯を押し潰した段潰部(14)を断続的に配設し、各段潰部(14)の周囲をなす端辺のうち、引裂帯(12)の終端側に位置する端辺(14a)は、引裂帯(12)の始端側から終端側へかけて、当該切目線(11)の上方から斜め下方へ向かうものとしたことを特徴とする段ボール箱。
【請求項2】
請求項1に記載の段ボール箱のブランクを打ち抜いて製造する抜型において、前記段潰部(14)を形成するため、引裂帯(12)の下方となる切目線(11)に対応して、当該切目線(11)の延びる仮想的な方向に沿って、段ボールを押圧する押圧部材(26)を断続的に設け、各押圧部材(26)は、引裂帯(12)の終端側に位置する端辺(14a)に対応した端面(26a)が、当該切目線(11)の延びる仮想的な方向に対して、斜めに向くように配置したことを特徴とする段ボール箱の抜型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ライナーカットの切目線により形成した引裂帯を引っ張って、容易に開封できるようにした段ボール箱及びその抜型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1には、図8に示すように、飲料缶等の物品を包装する段ボール箱として、立面板51と平面板52とを連設し、これを稜部の罫線に沿って折り曲げることにより物品を包み込み、立面板51の端辺から延びる内フラップ53に、平面板52の端辺から延びる外フラップ54を重ねて貼り合わせることにより封緘するラップラウンド式のものが記載されている。
【0003】
この段ボール箱には、立面板51から内フラップ53へかけて、材料の段ボールの裏面側となるライナーを切断するライナーカット加工により、水平方向へ並行する2本の切目線55を入れて、切目線55に挟まれた開封用の引裂帯56が形成され、立面板51の中央部に横向きH字状に切込を入れて、引裂帯56の切始部57が設けられている。
【0004】
そして、段ボールの中芯を裏面側から押し潰した段潰部58が引裂帯56に沿って連続的に設けられ、段潰部58は、上下の切目線55を含むように引裂帯56より幅広いものとされている。
【0005】
上記段ボール箱では、引裂帯56の部分で段潰部58により段ボールの中芯がほぐされているため、引裂帯56を切始部57から引っ張って段ボールを切断することにより開封する際、段ボールを切目線55に沿って引き裂きやすくなり、引裂帯56が途中で千切れる現象が防止され、開封が困難となる事態が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−254821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、環境に配慮して、段ボール箱の材料に従来の段ボールよりも波状をなす中芯の段高が低く、原紙の坪量も小さい段ボールが使用される等、包装の軽量化が進んでおり、軽量の段ボールを材料とする段ボール箱に上記のような段潰部を設けると、段積み荷重に対する耐圧強度が低下し、胴膨れが生じやすくなるおそれがある。
【0008】
また、軽量の段ボールは、中芯の単位長さ当たりの段数が多いことに起因して、中芯の段頂とライナーとの接着面積が大きくなっており、中芯の原紙として硬いものが使用されることもあるため、段潰部を廃すると、引裂帯の引張抵抗が大きくなり、段ボールを切断することが困難となるおそれもある。
【0009】
そこで、この発明は、段ボール箱の耐圧強度を確保しつつ、引裂帯の引っ張りによる開封を容易にできるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するため、この発明は、段ボールに並行するライナーカットの切目線を入れて、切目線に挟まれた引裂帯を形成し、引裂帯を切始部から引っ張って段ボールを切断することにより開封する段ボール箱において、前記引裂帯の上下に並んだ切目線のうち、下方に位置する切目線のみに沿って、その上下に亘り段ボールの中芯を押し潰した段潰部を断続的に配設し、各段潰部の周囲をなす端辺のうち、引裂帯の終端側に位置する端辺は、引裂帯の始端側から終端側へかけて、当該切目線の上方から斜め下方へ向かうものとしたのである。
【0011】
また、このような段ボール箱のブランクを打ち抜いて製造する抜型において、前記段潰部を形成するため、引裂帯の下方となる切目線に対応して、当該切目線の延びる仮想的な方向に沿って、段ボールを押圧する押圧部材を断続的に設け、各押圧部材は、引裂帯の終端側に位置する端辺に対応した端面が、当該切目線の延びる仮想的な方向に対して、斜めに向くように配置したのである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る段ボール箱では、物品包装状態で引裂帯の上下に並んだ切目線のうち、下方に位置する切目線のみに沿って、その上下に亘り段ボールの中芯を押し潰した段潰部を断続的に配設しているので、段潰部の間の部分がリブとなって、段積み荷重に対する耐圧強度が確保される。
【0013】
また、各段潰部は、引裂帯の終端側の端辺が、引裂帯の始端側から終端側へかけて、当該切目線の上方から斜め下方へ向かうものとしたので、開封に際し、段ボール箱を床等に置いた状態で、引裂帯を斜め上方向へ引っ張ったときなどにおいて、引裂帯の下側の引裂方向が下方の切目線から斜め上方向へ逸れようとしても、引裂帯の終端側に位置する段潰部の傾斜した端辺が引裂方向を下方向へ補正し、引裂帯の千切れが防止される。
【0014】
さらに、段ボールの表面のライナーが引裂帯の下方の切目線から逸れて捲れる表層剥離が防止されるので、引裂帯による切断部よりも下方の部分を、店頭での物品陳列時にトレイとして利用する場合、美しい外観で陳列することができる。
【0015】
また、この段ボール箱のブランクを製造する抜型は、従来の抜型に段潰部の形成用として、コルク等から成る小片の押圧部材を追加するだけでよいので、従来の段ボール箱の抜型に比較して、製造コストが問題となるほど増大することもなく、段ボール箱の製造コストの増大も抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明に係る易開封段ボール箱のブランクの裏面図
図2】同上の引裂帯及び段潰部を示す部分拡大図
図3】同上の段ボール箱のブランクを製造する抜型を示す斜視図
図4】同上の段ボール箱の組立状態を示す斜視図
図5】同上の開封過程を示す斜視図
図6】同上の引裂帯による段ボール切断過程を示す部分拡大図及びジッパー型切目線の切断軌道を示す参考図
図7】同上の段潰部を(a)台形状、(b)三角形状とした形態を示す部分拡大図
図8】従来の易開封段ボール箱を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に示すこの易開封段ボール箱のブランクは、厚さが約2mmで、中芯の段山数が30cm当たり60段を基準とし、その−2段+2段の範囲内にある段ボール(レンゴー株式会社においてデルタフルートと称呼)を材料とするものである。
【0019】
このブランクでは、立面板1と平面板2とが各一対交互に連設され、その一端に位置する立面板1の外側辺に継代片3が連設されている。立面板1の両端には内端板4が、平面板2の両端には外端板5がそれぞれ連設されている。
【0020】
立面板1及び内端板4には、組立時に裏面側となる段ボールのライナーに、高さ方向の中間下部で水平方向へ延びるように、並行する2本のライナーカットの切目線11を入れて、切目線11に挟まれた引裂帯12が形成され、その中央部付近には、段ボールの表裏に貫通するH字状の切目を入れて、引裂帯12の切始部13が設けられている。
【0021】
立面板1において、引裂帯12をなす2本の切目線のうち、物品包装状態で下方に位置する切目線11のみに沿って、その上下に亘り段ボールの中芯を裏面側から押し潰す段潰し加工により、段潰部14が断続的に配設されている(図2に拡大して図示)。
【0022】
これらの段潰部14は、長方形状とされ、その周囲をなす端辺のうち、引裂帯12の終端側に位置する端辺14aが、引裂帯12の始端側である切始部13から終端側である内端板4の方向へかけて、当該切目線11の上方から斜め下方へ向かうように傾斜したものとされている。
【0023】
また、当該切目線11の立面板1と内端板4の境界部には、この部分の折曲状態での引裂抵抗を軽減して切断を誘導するため、山形状に段ボールの表裏に貫通する切目15を入れると共に、段潰し加工が施されている。
【0024】
さらに、継代片3及び組立状態でこれに重なる一方の平面板2の端部には、天面における厚さの部分的な増大を抑制して、段積み状態での安定性の向上等を図るため、段潰し加工が施されている。
【0025】
このようなブランクは、図3に示すような抜型を装着したダイカッタで段ボールシートを打ち抜くことにより製造される。なお、引裂帯12をなすライナーカットの切目線11は、コルゲーターによる段ボールシートの製造時に、予め入れられている。
【0026】
この抜型では、木製の基板21にブランクの輪郭を打ち抜く切刃22が植設されると共に、折目線を入れる押罫部材23が植設され、また、引裂帯12の切始部13を形成する切刃24及び立面板1と内端板4の稜部の切目15を入れる切刃25が植設されている。
【0027】
そして、段潰部14を形成するため、引裂帯12の下方となる切目線11に対応して、当該切目線11の延びる仮想的な方向に沿って、段ボールを押圧する直方体の押圧部材26が断続的に設けられ、各押圧部材26は、引裂帯12の終端側の端辺14aに対応する端面26aが、当該切目線11の延びる仮想的な方向に対して、斜めに向くように配置されている。
【0028】
押圧部材26は、スポンジにコルクを混入した材料から成り、弾力があるが硬いものとされ、中芯の強度の強い段ボールでも押し潰せるようになっている。なお、押圧部材26の材料には、段潰し加工の対象となる段ボールの性質に応じて、硬質のスポンジやプラスチックを使用してもよい。
【0029】
このような抜型は、従来の抜型に段潰部14の形成用として、コルクやスポンジ、プラスチック等から成る小片の押圧部材26を追加するだけでよいので、従来の段ボール箱の抜型に比較して、製造コストが問題となるほど増大することもなく、段ボール箱の製造コストの増大も抑制される。
【0030】
上記のような抜型で製造したブランクを組み立てて物品を包装する際には、図4に示すように、各一対の立面板1及び平面板2を角筒状に折り曲げて物品を包み込み、継代片3と一方の平面板2の端部とを貼り合わせ、内端板4及び外端板5を順次折り曲げて貼り合わせることにより封緘する。
【0031】
このように組み立てて物品を包装した段ボール箱では、引裂帯12の上下に並んだ切目線11のうち、下方に位置する切目線11のみに沿って、その上下に亘り段ボールの中芯を押し潰した段潰部14を断続的に配設しているので、段潰部14の間の部分がリブとなって、流通過程での段積み荷重に対する耐圧強度が確保される。
【0032】
一方、この段ボール箱を開封する際には、図5及び図6に示すように、引裂帯12を始端側となる切始部13から引っ張って、立面板1の段ボールを切断し、続けて、終端側となる内端板4の段ボールを切断する。
【0033】
この開封に際し、段ボール箱を床等に置いた状態で、立面板1において、引裂帯12を斜め上方向へ引っ張ったときなどにおいて、引裂帯12の下側の引裂方向が下方の切目線11から斜め上方向へ逸れようとしても、図6に参考例として示した鉤状の切目が断続するジッパー型切目線の場合と同様、引裂帯12の終端側に位置する段潰部14の傾斜した端辺14aが引裂方向を下方向へ補正し、引裂帯12の千切れが防止される。
【0034】
さらに、段ボールの表面のライナーが引裂帯12の下方の切目線11から逸れて捲れる表層剥離が防止されるので、引裂帯12による切断部よりも下方の部分を、店頭での物品陳列時にトレイとして利用する場合、美しい外観で陳列することができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、長方形状の段潰部14が引裂帯12の下側の切目線11に沿って斜めに並んだものを例示したが、段潰部14は、例えば、図7(a)、(b)に示すように、台形状又は三角形状等、種々の形状として、引裂帯12の終端側に位置する端辺14aが、引裂帯12の始端側から終端側へかけて、当該切目線11の上方から斜め下方へ向かうものとしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 立面板
2 平面板
3 継代片
4 内端板
5 外端板
11 切目線
12 引裂帯
13 切始部
14 段潰部
14a 端辺
15 切目
21 基板
22 切刃
23 押罫部材
24,25 切刃
26 押圧部材
26a 端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8