特許第6099559号(P6099559)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許60995591種以上のチアゾール誘導体を含む美容的または皮膚科学的調製物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099559
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】1種以上のチアゾール誘導体を含む美容的または皮膚科学的調製物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20170313BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61Q19/02
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-500410(P2013-500410)
(86)(22)【出願日】2011年2月21日
(65)【公表番号】特表2013-530927(P2013-530927A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】EP2011052479
(87)【国際公開番号】WO2011117034
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2013年11月29日
(31)【優先権主張番号】102010012594.6
(32)【優先日】2010年3月23日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】398042277
【氏名又は名称】バイエルスドルフ・アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Beiersdorf AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】コルベ,ルトガー
(72)【発明者】
【氏名】シエルナー,カトリン
【審査官】 松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/099195(WO,A1)
【文献】 特開2005−179341(JP,A)
【文献】 特開平08−231520(JP,A)
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2007年10月12日,17(2007),p.6871-6875
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
【化2】
から選択される1種以上のチアゾールの有効量を含む、美容的または皮膚科学的調製物であって、
前記チアゾールが遊離塩基として、または美容的および皮膚科学的に有用な塩としてのいずれかとして存在することができる、調製物。
【請求項2】
1種または複数のチアゾールがハロゲン化物、カーボネート、アスコルベート、アセテートまたはフォスフェートとして存在することを特徴とする、請求項1に請求される調製物。
【請求項3】
調製物の総重量に基づいて0.00001重量%〜10重量%の1種以上のチアゾールを含むことを特徴とする、請求項1−2のいずれか1項に請求される調製物。
【請求項4】
調製物の総重量に基づいて0.001重量%〜3.0重量%の1種以上のチアゾールを含むことを特徴とする、請求項1−2のいずれか1項に請求される調製物。
【請求項5】
調製物の総重量に基づいて0.005〜1.0重量%の1種以上のチアゾールを含むことを特徴とする、請求項1−2のいずれか1項に請求される調製物。
【請求項6】
望ましくない皮膚色素沈着の状態を有する患者に投与することにより該状態の処置および/または予防をするための投与物を製造するための、請求項1−5のいずれか1項に定義された1種以上のチアゾール、あるいは1種以上のこれらのチアゾールを含む調製物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の望ましくない色素沈着に対する1種以上のチアゾールを含む美容的(cosmetic)または皮膚科学的調製物に関する。
【背景技術】
【0002】
メラニン細胞は皮膚の色素沈着の原因であり、色素形成細胞―単独にまたは多少とも統合された(aggregated)いずれかで、皮膚のタイプに応じて存在する−として基底細胞に加えて表皮の最下層、基底層中に認めることができる。
【0003】
メラニン細胞は、特徴的な細胞の細胞小器官として、その中でメラニンが形成されるメラノソームを含む。メラニンはとりわけ、UV光線により励起されると増加して形成される。メラニンは表皮の生存層(ケラチン生成細胞)を通って最終的には角質層(角質細胞)中に運搬され、多少とも顕著な褐色から褐色−黒色の皮膚の色を誘発する。
【0004】
メラニンは、酵素のチロシナーゼの参加により、チロシンが複数の中間体を経過して褐色から褐色−黒色のユーメラニン(DHICAとDHIメラニン)に転化されるか、または硫黄化合物の参加により、赤みがかったフェオメラニンを形成する、酸化過程の最終過程として形成される。DHICAとDHIメラニンは共有される中間体のドパキノンとドパクロムを介して形成される。後者は、一部は、更なる酵素の参加によりインドール−5,6−キノンカルボン酸またはインドール−5,6−キノンのいずれかに転化され、それらから、前記の2種のユーメラニンが形成される。
【0005】
フェオメラニンの形成はなかでも、中間体のドパキノンとシステイニルドパを介して進行する。メラニン合成酵素の発現は特定の転写調節因子(小眼球症関連の転写調節因子、MITF)により調節される。メラニン形成に対しては、メラノソーム中のメラニン合成の前記の酵素による過程に加えて、また更なるタンパク質が重要である。ここでは、その正確な機能はまだ不明であるが、p−タンパク質と呼ばれるものに重要な役割が指定されるように見える。皮膚の色素沈着において、メラニン細胞中のメラニン合成の前記の過程とは別に、メラノソームの移動、表皮中のメラノソームの残留および更にその分解およびメラニンの分解もまた、決定的に重要である。メラニン細胞からケラチン生成細胞へのメラノソームの運搬のためにはPAR−2受容体が重要であることが見出された(非特許文献1)。
【0006】
更に、メラノソームのサイズと形状がそれらの光線散乱性、および従って皮膚の色の外観に影響をもつ。従って、アフリカの黒人においては、単に大型の球状のメラノソームが大量認められ、他方、白色人種においては、群で存在する幾らか小型のメラノソームが認められる。
【0007】
皮膚の色素沈着昂進の問題は様々な原因を有するか、あるいは多数の生物学的過程、例えば、UV光線(例えば、そばかす、Ephelides)、遺伝的性質、創傷治癒または瘢痕形成(炎症後色素沈着昂進)または皮膚の老化(例えば、老人性黒子)時の皮膚の色素沈着障害の関連した症状である。
【0008】
炎症反応後、皮膚の色素沈着システムは時々相反する反応を伴って反応する。炎症後色素沈着昂進および更に色素沈着低下、の双方が起り得る。炎症後のメラニン減少症はしばしば、とりわけアトピー、紅斑性狼瘡および乾癬と組み合わせて起る。炎症性症状の結果としてヒトの皮膚の色素沈着システムの反応の様々な形態の理解は極めて不完全である。
【0009】
炎症後色素沈着昂進を伴う問題はしばしば、色の比較的濃い皮膚のタイプで起る。特に皮膚の黒い男性において、美容的に望ましくない色素沈着障害を伴う、またはそれの後に起る、疑似鬚髯毛胞炎(Pseudofollikulitis barbae)の問題が知られている。更にまた、特にアジア系の女性の顔面および肩、襟首領域(decollete regions)に起る黒皮症(melasma)の形態および更に種々のタイプの皮膚の異常な色素沈着が炎症後の色素沈着昂進に含まれる。更に、目の周りの黒い輪も、基礎になる炎症が通常、無症状に進行する、炎症後色素沈着昂進の一タイプであると考えられる。多数の場合に、このような炎症後色素沈着障害はUV−誘発炎症(日焼け)を起こさずに、日光(UV光線)の作用により更に増強される。
【0010】
皮膚の色素沈着に拮抗する有効な成分および調製物は知られている。実際に使用されているものは、実質的に、ヒドロキノンに基づく調合物であるが、それらの幾つかは数週間の適用後に初めてそれらの作用を示し、他方でそれらの過剰に長い適用が毒性学的理由のために心配事である。Albert Kligman等は、0.1%のトレチノイン、5.0%のヒドロキノン、0.1%のデキサメタゾンの組み合わせ物である「トライフォーミュラ(triformula)」と呼ばれるものを開発した(非特許文献2)。しかし、この調合物もまた、皮膚の色素沈着系の可能な不可逆的変化のために極めて議論の的である。
【0011】
更に、皮膚剥離法(化学的および機械的剥離)が使用されるが、それはしばしば炎症反応がその後に起り、そしてその後に起る炎症後色素沈着昂進のために、色素沈着減少よりむしろ昂進をもたらすことさえ可能である。炎症後の色素沈着昂進を処置するためにも使用されるこれらの繁用される方法はすべて、実質的な副作用が顕著である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】M.Seiberg et al.,2000,J.Cell.Sci.,113:3093−101
【非特許文献2】A.Kligman,1975,Arch.Dermatol.,111:40−48
【発明の概要】
【0013】
従って、不都合な先行技術に対する是正策を提供することが以下の本発明の目的であった。
【0014】
本発明の目的は、一般式
【0015】
【化1】
【0016】
[式中、
A=−N(R、−S−R、−C−(R、−O−R、−CO−R、−モルホリノ、−モルホリノ誘導体;
、XおよびYは異なっても、一部同一でもまたは完全に同一でもよく、かつ相互に
独立であってもよい:
=−H、−C−C24−アルキル(線状および分枝)、−C−C24−アルケニル(線状および分枝)、−C−C24−ヒドロキシアルキル(線状および分枝)、−C−C−シクロアルキル、−C−C24−アリール、−C−C24−ヘテロアリール、−C−C24−アルキルアリール(線状および分枝)、−C−C24−アルキルヘテロアリール(線状および分枝)、−アリール、−2−ヒドロキシフェニル、−3−ヒドロキシフェニル、−4−ヒドロキシフェニル、−ピリジン−2−イル、−ピリジン−3−イル、−ピリジン−4−イル、ピリジン−1(2H)−イル、−ピリミジン−2−イル、−ピラジン−2−イル、−ピリミジン−4−イル、−ピリダジン−3−イル、−ピリダジン−4−イル、−ピリミジン−2−イル、−ピリミジン−5−イル、−1,2,4−トリアジン−3−イル、−1,3,5−トリアジン−2−イル、−1,2,3−トリアジン−4−イル、−1,2,3−トリアジン−5−イル、−1,2,3,4−テトラジン−5−イル、−1,2,3,5−テトラジン−4−イル、−1,2,4,5−テトラジン−3−イル、−ペンタジン−6−イル、−モルホリノ、−チアゾール、−C=O−アルキル(線状および分枝)、−C=O−アルケニル(線状および分枝)、−C=O−C−C−シクロアルキル、−C=O−アリール、−C=O−ヘテロアリール、−C=O−アルキルアリール(線状および分枝)、−C=O−アルキルヘテロアリール(線状および分枝)、−C=O−NH−アルキル(線状および分枝)、−C=O−NH−アルケニル(線状および分枝)、−C=O−NH−シクロアルキル、−C=O−NH−アリール、−C=O−NH−ヘテロアリール、−C=O−NH−アルキルアリール(線状および分枝)、−C=O−NH−アルキルヘテロアリール(線状および分枝);
X=−H、−C−C24−アルキル(線状および分枝)、−C−C24−アルケニル(線状および分枝)、−C−C−シクロアルキル、−C−C24−アリール、−C−C24−ヘテロアリール、−C−C24−アルキルアリール(線状および分枝)、−C−C24−アルキルヘテロアリール(線状および分枝)、−アリール、−フェニル、−2,4−ジヒドロキシフェニル、−2,3−ジヒドロキシフェニル、−2,4−ジメトキシフェニル、−2,3−ジメトキシフェニル;
Y=H、−C−C24−アルキル(線状および分枝)、−C−C24−アルケニル(線状および分枝)、−C−C−シクロアルキル、−C−C24−アリール、−C−C24−ヘテロアリール、−C−C24−アルキルアリール(線状および分枝)、−C−C24−アルキルヘテロアリール(線状および分枝)、−アリール、−フェニル、−2,4−ジヒドロキシフェニル、−2,3−ジヒドロキシフェニル、−2,4−ジメトキシフェニル、−2,3−ジメトキシフェニル、−COO−アルキル、−COO−アルケニル、−COO−シクロアルキル、−COO−アリール、−COO−ヘテロアリール;
X,Y=縮合芳香族化合物、ここでXとYは一緒に、n個までの環形成原子をもつ芳香族または脂肪族の同素環式または複素環式環系を形成することができ、また、数字nは5から8の値をもつことができ、そして各環系は順次、n〜1個までのアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトリル官能基、硫黄含有置換基、エステル基および/またはエーテル基により置換されることができる]
の1種以上のチアゾールの有効量を含む、美容的または皮膚科学的調製物により達成される。
【0017】
前記チアゾールは遊離塩基として、または塩として、例えば弗化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルフェート、カーボネート、アスコルベート、アセテートまたはフォスフェートとしての、いずれとしてでも存在することができる。とりわけ、例えば塩化物および臭化物のようなハロゲン塩として存在することができる。
【0018】
同様に、望ましくない皮膚の色素沈着の処置および/または予防のための前記のチアゾールの使用は本発明に従う。
【0019】
Xは有利には、1個以上のヒドロキシル基により置換されたフェニル基の群から選択され、そこでそのRとRが前記に規定された特性をもつことができる以下の一般構造が好適である。
【0020】
【化2】
【0021】
とりわけ、以下の物質が好都合である:
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】
化合物1〜化合物7および化合物20〜化合物28は本発明に従って好適なものである。
【0028】
チアゾールの合成は化学文献に非常に詳細に記載されており、従って物質を合成することは当該技術分野で訓練された化学者には問題なく可能である。我々により記載された多数の物質はCAS No.により明白に特徴を示され、精製化学製品の様々な製造会社から入手することができる。
【0029】
チアゾールの効果は、ヒトチロシナーゼによるL−DOPAのL−ドパキノンへの転化を測定することによる酵素試験を使用して証明されている。文献(Winder,A.J.and Harris H.,New assays for the tyrosine hydroxylase and dopa oxidase activities of tyrosinase.(チロシンのヒドロキシラーゼおよびチロシナーゼ
のドパオキシダーゼ活性の新アッセイ法)Eur.J.Biochem.(1991),198,317−26)から知られるこの方法において、反応生成物のL−ドパキノンはMBTH(3−メチル−2−ベンゾチアゾリン・ヒドラゾン)と反応され、それが転化されて、ピンク色の物質を形成し、その増加が経時的に490nmにおける吸収により測定される。表1に、幾つかの請求物質の効果のデータが実施例により示される。それから、本発明に従う物質が極めて有効な色素沈着阻害物質であることを結論することができる。
【0030】
【表1】
【0031】
チアゾール誘導体を含む美容的または皮膚科学的調製物並びに望ましくない皮膚の色素沈着の処置および/または予防のためのそれらの使用は、同様に本発明の好都合な態様である。
【0032】
とりわけ、これらの調製物が、調製物の総重量に基づいて0.00001〜10重量%、とりわけ0.001〜3重量%、極めてとりわけ0.005〜1重量%の、本発明に従って使用される1種以上のチアゾール誘導体を含む時に、それは好都合である。
【0033】
本発明に従う美容的および皮膚科学的調製物は様々な形態で存在することができる。従って、それらは例えば、溶液、無水調製物、油中水(W/O)型または水中油(O/W)型のエマルションまたはミクロエマルション、例えば水中油中水(W/O/W)型の多型エマルション、ゲル、固形スチック、軟膏またはエアゾールであることができる。更に、カプセル封入された状態で、例えば、コラーゲンマトリックス中のカプセル封入物、及び、他の通常のカプセル封入物、例えば、セルロースカプセル封入物、ゼラチン中のカプセル封入物、又は、リポソームとしての封入物の状態で、本発明に従って使用される物質および/またはそれらの誘導体を投与することは、本発明にとって好都合である。
【0034】
更に皮膚および毛髪を洗浄するための水性系または界面活性調製物に、本発明に従って使用される物質および/またはそれらの誘導体を添加することは、本発明の範疇内で可能であり、好都合である。
【0035】
本発明に従う美容的および皮膚科学的調製物は、このような調製物中に通常使用されるような美容的補助剤、例えば保存剤、殺菌剤、香料、発泡防止物質、染料、着色作用をもつ顔料、増粘剤、界面活性物質、乳化剤、柔軟剤、湿潤化剤および/または保湿物質、脂肪、油、ワックスまたは、美容的もしくは皮膚科学的調合物のその他の通常の成分(例えば、アルコール、ポリオール、重合体、発泡安定剤、電解質、有機溶媒またはシリコーン誘導体)、を含むことができる。
【0036】
脂質相は好都合には、以下の物質の群から選択することができる:
− 鉱油、鉱物ワックス、
− 油、例えばカプリン酸もしくはカプリル酸のトリグリセリド、更に天然の油、例
えばヒマシ油;
− 脂肪、ワックス並びにその他の天然および合成脂肪物体、好適には低炭素数のア
ルコール、例えばイソプロパノール、プロピレングリコールもしくはグリセロー
ルとの脂肪酸のエステル、あるいは低炭素数のアルカン酸または脂肪酸との脂肪
アルコールのエステル;
− 安息香酸アルキル;
− シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフ
ェニルポリシロキサンおよびそれらの混合形態。
【0037】
本発明の範疇内のエマルション、オレオゲルまたはヒドロ分散物またはリポ分散物の油相は好都合には、3〜30C原子の鎖長の飽和および/または不飽和の、分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸と、3〜30C原子の鎖長の飽和および/または不飽和の、分枝および/または非分枝アルコールとのエステルの群から、芳香族カルボン酸と3〜30C原子の鎖長の飽和および/または不飽和の、分枝および/または非分枝アルコールとのエステルの群から選択される。次にこのようなエステル油は好都合には、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソプロピルオレエート、n−ブチルステアレート、n−ヘキシルラウレート、n−デシルオレエート、イソオクチルステアレート、イソノニルステアレート、イソノニルイソノナノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−エチルヘキシルラウレート、2−ヘキシルデシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、オレイルオレエート、オレイルエルケート、エルシルオレエート、エルシルエルケート並びにこれらのエステルの合成の、半合成のおよび天然の混合物、例えばホホバ油、の群から選択することができる。
【0038】
本発明に従う調製物の水相は、場合により、好都合には、それぞれの場合に個別にまたは組み合わせた、例えば、プロピレングリコールまたはパンテノール(panthenol)のような保湿剤、および更に、とりわけ、二酸化珪素、珪酸アルミニウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの群から好都合に選択することができる1種以上の増粘剤、特に好都合には例えばCarbopoleタイプ980のようなポリアクリレートを含む。
【0039】
とりわけ、前記の溶媒の混合物を使用することができる。アルコール性溶媒の場合には、水は更なる成分であることができる。
【0040】
本発明に従うエマルションは好都合であり、例えば、このようなタイプの調合物に通常使用されるような前記の脂肪、油、ワックスおよびその他の脂肪物体、並びに更に水および乳化剤を含む。
【0041】
本発明に従うゲルは、増粘剤存在下の、通常低炭素数のアルコール、例えばエタノール、プロピレングリコール、および、水または前記の油を含み、油性−アルコール性ゲルの場合、好適な増粘剤は二酸化珪素または珪酸アルミニウムであり、水性−アルコール性もしくはアルコール性ゲルの場合、好適な増粘剤はポリアクリレートである。
【0042】
エアゾール容器から噴霧できる本発明に従う調製物のための噴射剤としては、通常知られた、容易に揮発性の液化噴射剤、例えば炭化水素(プロパン、ブタン、イソブタン)が適切であり、単独でまたは相互との混合物中で使用することができる。圧縮空気も好都合に使用することができる。
【0043】
本発明に従う調製物は好都合には、更に、UVB領域のUV光線を吸収する物質を含むことができ、そこでフィルター物質の総量は、全領域の紫外線から毛髪または皮膚を保護する美容的調製物を提供するためには、調製物の総重量に基づいて、例えば、0.1〜30重量%、好適には0.5〜10重量%、とりわけ1.0〜6.0重量%である。それらはまた、毛髪または皮膚に対する日光防護剤を含むことができる。
【実施例】
【0044】
以下の実施例は本発明を限定せずに具体的に示すことを意図される。すべての量、割合および百分率は別記されない限り、調製物の重量および総量または総重量に基づいた重量百分率である。
【0045】
【表2】