(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弾性部材は、前記傾斜片と共に、前記傾斜片よりも前記カバー部材の基端側に位置して前記カバー部材の前記天井板と対向する面から立ち上がり形成された支持片と、前記傾斜片の先端と前記支持片の先端との間を連結する連結片とを有することを特徴とする請求項5に記載の見切縁。
前記固定部は、前記取付部材側に設けられた一方の係合部と、前記カバー部材側に設けられた他方の係合部とを互いに係合させることによって、前記取付部材に対して前記カバー部材を固定することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の見切縁。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0024】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1〜
図7に示す見切縁1及びその取付構造について説明する。
なお、
図1は、見切縁1の固定前の状態を示す斜視図である。
図2は、見切縁1の固定後の状態を示す斜視図である。
図3は、
図1に示す見切縁1のX1−X1’断面図である。
図4は、
図2に示す見切縁1のX2−X2’断面図である。
図5は、見切縁1の取付構造を説明するための構成図である。
図6は、
図5に示す見切縁1が壁面Hに取り付けられた状態を示す断面図である。
図7は、
図5に示す見切縁1が壁面Hに取り付けられ、且つ、天井板Tに当接された状態を示す断面図である。
【0025】
見切縁1は、例えば建物等において、壁面Hと天井板Tとの間の入隅部Sに沿った位置に取り付けられるものである。また、見切縁1は、壁面Hと天井板Tとの間に設けられた間隙(クリアランス)Cを覆う構造を有している。なお、天井板Tは、吊り下げ天井板であり、建物の天井(図示せず。)から吊り金具Kを介して吊り下げられた状態で支持されている。
【0026】
具体的に、この見切縁1は、
図1〜
図5に示すように、取付部材2と、カバー部材3と、ヒンジ部4と、固定部5とを備え、これらが樹脂成形により一体に形成されたものからなる。また、見切縁1は、所定の厚みを有して入隅部Sに沿った方向に所定の幅及び長さで長尺板状に形成されている。
【0027】
見切縁1の材質については、従来より一般的に使用されている樹脂成形材料を用いることができ、その中でも、取付部材2、カバー部材3及び固定部5には、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、PET樹脂などを好適に用いることができる。一方、ヒンジ部4には、上述した樹脂よりも柔軟な軟質塩化ビニル樹脂、熱可塑性エラストマーなどを好適に用いることができる。また、見切縁1の成形方法についても、従来より一般的に使用されている樹脂成形方法を用いることができ、その中でも、押出成形法などを好適に用いることができる。また、見切縁1の板厚については、特に限定されないものの、軽量化を図るためには、なるべく薄く形成することが好ましい。なお、本実施形態では、塩化ビニル樹脂及び軟質塩化ビニル樹脂を共押出成形することによって、板厚が1mm程度の見切縁1を形成している。また、見切縁1の幅及び長さについては、入隅部Sや間隙Cの寸法に合わせて適宜変更することが可能である。
【0028】
取付部材2は、矩形平板状の第1の板部6により構成されている。また、取付部材2には、取付部7が設けられている。取付部7は、例えばビスや釘等を用いて壁面Hに取り付けられる部分である。具体的に、この取付部7は、取付部材2(第1の板部6)の壁面Hと対向する面(外面)2aとは反対側の面(内面)2bに設けられた溝部7aからなる。溝部7aは、取付部材2(第1の板部6)の短手方向の略中間部において、その長手方向に沿って切り欠き形成されている。なお、溝部7aの断面形状については、特に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、断面略V字状の溝部7aが設けられている。
【0029】
取付部材2の内面2bには、リブ壁8a,8bが設けられている。リブ壁8a,8bは、取付部材2(第1の板部6)の剛性を高めるためのものであり、第1の板部6の先端部及びその幅方向の中途部において、それぞれ長手方向に沿って突出形成されている。なお、リブ壁8a,8bの断面形状については、特に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、断面略I字状のリブ壁8a,8bが設けられている。また、リブ壁8a,8bの配置や数等については適宜変更を加えることが可能である。さらに、リブ壁8a,8bについては場合によって省略することも可能である。
【0030】
カバー部材3は、ヒンジ部4側から順に、矩形平板状の第2の板部9と第3の板部10と第4の板部11とを有して構成されている。このうち、第2の板部9は、ヒンジ部4を介して第1の板部6と連結されている。第3の板部10は、第2の板部9と第4の板部11との間で天井板Tと対向する側に傾斜している。第4の板部11は、第2の板部9と平行となっている。
【0031】
また、カバー部材3には、当接部12が設けられている。当接部12は、天井板Tに当接される部分である。具体的に、この当接部12は、カバー部材3(第4の板部11)の天井板Tと対向する面(内面)3bに設けられたリブ壁12aからなる。リブ壁12aは、カバー部材3(第4の板部11)の先端部において、その長手方向に沿って突出形成されている。そして、リブ壁12aの天井板Tと対向する面が天井板Tと当接される当接面12bとなっている。
【0032】
カバー部材3(第4の板部11)の内面3bには、リブ壁13が設けられている。リブ壁13は、上述したリブ壁12aと共に、カバー部材3(第2の板部9及び第4の板部11)の剛性を高めるためのものであり、第2の板部9の幅方向の中途部において、その長手方向に沿って突出形成されている。
【0033】
なお、リブ壁12a,13の断面形状については、特に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、カバー部材3(第4の板部11)の先端部から天井板Tと対向する側に向かって突出し、その途中でカバー部材3の基端側に向かって折れ曲がった断面略L字状のリブ壁12aと、カバー部材3(第2の板部9)の幅方向の中途部から天井板Tと対向する側に向かって突出し、その途中でカバー部材3の先端側に向かって折れ曲がった断面略L字状のリブ壁13とが設けられている。なお、リブ壁12a,13の断面形状については、特に限定されるものではなく、また、その配置や数等については適宜変更を加えることが可能である。さらに、リブ壁13については場合によって省略することも可能である。
【0034】
カバー部材3には、弾性変形部14が設けられている。弾性変形部14は、ヒンジ部4と当接部12との間で弾性変形可能な部分である。具体的に、この弾性変形部14は、カバー部材3に形成された段差部14aからなる。すなわち、この段差部14aは、上述した第2の板部9と第4の板部11との間で、第3の板部10を天井板Tと対向する側に傾斜させることよって形成されている。
【0035】
ヒンジ部4は、取付部材2(第1の板部6)とカバー部材3(第2の板部9)との間を回動自在に連結する部分である。具体的に、このヒンジ部4は、上述した軟質な樹脂を用いて取付部材2及びカバー部材3と一体に形成されると共に、取付部材2(第1の板部6)とカバー部材3(第2の板部9)との間で折り曲げ自在とされた薄肉部4aを形成している。
【0036】
固定部5は、取付部材2に対してカバー部材3を固定する部分である。具体的に、この固定部5は、取付部材2側に設けられた一方の係合部15と、カバー部材3側に設けられた他方の係合部16とを有している。
【0037】
一方の係合部15は、取付部材2(第1の板部6)の内面2bに形成された係合凹部15aからなる。この係合凹部15aは、第1の板部6のヒンジ部4の近傍において、その長手方向に沿って形成されている。また、係合凹部15aの開口端部には、一対の係止爪15b,15bが突出形成されている。
【0038】
他方の係合部16は、カバー部材3(第2の板部9)の内面3bに形成された係合凸部16aからなる。この係合凸部16aは、第2の板部9のヒンジ部4の近傍において、その長手方向に沿って形成されている。また、係合凸部16aの両側面には、一対の係止爪16b,16bが突出形成されている。
【0039】
固定部5では、一方の係合部15(係合凹部15a)と他方の係合部16(係合凸部16a)とを互いに係合させることによって、係合凹部15aの一対の係止爪15bの間で、係合凸部16aの一対の係止爪16bが係止される。これにより、取付部材2に対してカバー部材3を所定の角度αで回動させた(折り曲げた)状態まま固定することが可能である。なお、固定部5では、一方の係合部15(係合凹部15a)と他方の係合部16(係合凸部16a)との係合状態を解除することによって、取付部材2に対してカバー部材3を再び回動(折り曲げ)自在な状態とすることが可能である。
【0040】
また、取付部材2に対してカバー部材3が固定された状態では、当接部12がヒンジ部4よりも天井板Tと対向する側(上方)に位置している。さらに、当接部12が取付部7よりも天井板Tと対向する側(上方)に位置している。
【0041】
ここで、所定の角度αは、取付部材2に対してカバー部材3が固定された状態における、取付部材2の壁面Hに取り付けられる面(外面2a)と、カバー部材3の天井板Tに当接される面(当接面12b)との為す角度を表す。
【0042】
この角度αについては、壁面Hと天井板Tとの為す角度βと同じ角度(α=β)とする、若しくは、この角度βよりも小さい角度(α<β)とすることが好ましい。例えば、角度βが90°(直角)である場合、角度αは90°(α=90°)、若しくは90°よりも小さい角度(α<90°)とすることが好ましい。なお、角度αの下限については、カバー部材3の幅(短手方向の寸法)にもよるが、概ねβ−5°程度(85°≦α)とすることが好ましい。なお、本実施形態では、角度αが角度βよりも若干小さい角度に設定されている。
【0043】
以上のような構成を有する見切縁1は、壁面Hと天井板Tとの間の入隅部Sに沿った位置に取り付けられる。具体的に、この見切縁1を入隅部Sに沿った位置に取り付ける際は、先ず、
図5及び
図6に示すように、壁面Hに取付部材2の外面2aを接触させた状態で、取付部材2の内面3b側から、例えばビスBを用いて取付部材2を壁面Hに取り付ける。
【0044】
このとき、取付部7(溝部7a)は、天井板Tの下面と同じ高さか、若しくは、天井板Tの下面よりも下方に位置することが好ましい。これにより、ビスBの打ち込み(ねじ込み)作業が容易となる。一方、取付部7(溝部7a)の位置については、天井板Tの下面よりも上方に位置してもよく、また、天井板Tの上面よりも下方に位置してもよい。すなわち、取付部7(溝部7a)については、天井板Tの厚みの範囲内に位置させることも可能である。
【0045】
本実施形態の見切縁1では、このような位置に取付部材2が取り付けられるように、取付部7(溝部7a)の位置が設定されている。また、取付部材2を壁面Hに取り付ける際は、取付部7の長手方向に所定の間隔を空けながら、複数のビスBを打ち込むことになる。
【0046】
次に、
図5及び
図7に示すように、壁面Hに取り付けられた取付部材2に対してカバー部材3を天井板Tに向けて回動させた後、固定部5を介してカバー部材3を取付部材2に固定する。これにより、カバー部材3の当接部12(当接面12b)が天井板Tの下面に当接された状態となる。また、カバー部材3は、壁面Hと天井板Tとの間に設けられた間隙(クリアランス)Cを覆うことになる。
【0047】
このとき、カバー部材3の弾性変形部14(段差部14a)が弾性変形しながら、カバー部材3の当接部12(当接面12b)が天井板Tに押し付けられた状態となっている。これにより、カバー部材3と天井板Tとの間に隙間が生じることが防ぐことができ、入隅部Sの仕上がり(見栄え)を良好に保つことが可能である。また、壁面Hに対する取付部材2の取付位置が高さ方向にずれた場合でも、天井板Tにカバー部材3を当接させることができるため、天井板Tと見切縁1との位置合わせがし易く、施工も容易である。
【0048】
すなわち、本実施形態の見切縁1では、上述した
図4に示す取付部材2にカバー部材3を固定した状態において、当接部12がヒンジ部4又は取付部7よりも天井板Tと対向する側(上方)に位置している。また、角度αが角度βよりも若干小さい角度(α<β)となっている。
【0049】
一方、
図7に示すように、取付部材2が壁面Hに取り付けられ、且つ、カバー部材3が天井板Tに当接された状態においては、角度αと角度βとが一致した角度(α=β)となるように、カバー部材3の弾性変形部14(段差部14a)が弾性変形する。これにより、カバー部材3の当接部12(当接面12b)を天井板Tに押し付けた状態とすることができる。
【0050】
以上のように、本実施形態では、簡便な構造を有し、且つ、施工が容易な見切縁1を用いることによって、入隅部Sの仕上がり(見栄え)が良い意匠性に優れた見切縁1の取付構造を得ることが可能である。
【0051】
また、本実施形態では、壁面Hと天井板Tとの間に間隙Cを設けて、地震の際に天井板Tの揺れを許容しつつ、天井板Tの損傷を防ぐといった耐震化技術に適した見切縁1の取付構造とすることが可能である。
【0052】
なお、本実施形態における見切縁1の取付構造では、入隅部Sに沿って複数の見切縁1が並んで取り付けられた構成としてもよい。また、この構成の場合、隣り合う見切縁1の各間を覆うカバー部材(図示せず。)を設けた構成としてもよい。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
具体的に、上記取付部7については、上述した溝部7aにより構成されたものに限らず、第1の板部6の長手方向に沿って複数の孔部や凹部などを設けた構成としてもよい。例えば、
図8に示す取付部7Aのように、上記溝部7aと共に、第1の板部6の長手方向に沿って複数の長孔7bが並んで設けられた構成としてもよい。
【0054】
また、上記弾性変形部14については、上述した段差部14aにより構成されたものに限らず、その形状等に適宜変更を加えることが可能である。例えば、第3の板部10については、第2の板部9と第4の板部11との間で外側に湾曲した形状を有していてよい。
【0055】
また、上記カバー部材3については、上記見切縁1が入隅部Sに沿った位置に取り付けられた後、天井板Tと対向する面(内面)3bとは反対側の面(外面)3aが室内側に露出した面となるため、この外面3aに対して装飾(意匠)等を施した構成としてもよい。
【0056】
また、上記ヒンジ部4については、上述した軟質な樹脂を用いて取付部材2及びカバー部材3と一体に形成された構成に限らず、取付部材2及びカバー部材3と同じ樹脂材料を用いて、取付部材2とカバー部材3との間で折り曲げ自在とされた薄肉部4aを形成した構成としてもよい。
【0057】
また、上記固定部5については、上述した一方の係合部15及び他方の係合部16(係合凹部15a及び係合凸部16a)が見切縁1の全長方向に亘って設けられた構成に限らず、見切縁1の長手方向に部分的に設けられた構成であってもよい。
【0058】
また、上記固定部5については、一方の係合部15が係合凹部15aにより構成され、他方の係合部16が係合凸部16aにより構成されているが、このような構成に限らず、一方の係合部15が係合凸部により構成され、他方の係合部16が係合凹部により構成されていてもよい。さらに、係合凸部15a及び係合凹部16aの形状についても適宜変更を加えることが可能である。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図9に示す見切縁1A及びその取付構造について説明する。
なお、
図9は、見切縁1Aの構成を示す断面図である。また、以下の説明では、上記見切縁1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0060】
見切縁1Aは、
図9に示すように、取付部材2Aとカバー部材3Aとが別体に形成された構成を有し、これら取付部材2Aとカバー部材3Aとを回動自在に連結するヒンジ部4Aの構造が上記見切縁1とは異なっている。それ以外の構成については、上記見切縁1とは基本的に同じ構成を有している。また、上記見切縁1と同様の変更を適宜加えることが可能である。
【0061】
取付部材2Aとカバー部材3Aとが別体に形成された構成の場合、取付部材2A及びカバー部材3Aの材質については、上述した樹脂成形材料に限らず、例えばアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。また、取付部材2Aとカバー部材3Aとは、互いに異なる材料を用いて形成してもよい。
【0062】
ヒンジ部4Aは、取付部材2Aに対してカバー部材3Aを所定の角度α(
図9において図示せず。)で固定する固定部5Aとしての機能を有している。具体的に、このヒンジ部4A(固定部5A)は、取付部材2A側に設けられた一方の係合部21と、カバー部材3A側に設けられた他方の係合部22とを有している。
【0063】
一方の係合部21は、取付部材2A(第1の板部6A)の基端部において、その長手方向に沿って形成された断面略J字形状のフック部21aと、断面略I字状のストッパー部21bとを有している。
【0064】
具体的に、フック部21aは、取付部材2A(第1の板部6A)の基端部から壁面Hと対向する側とは反対側に向かって突出し、その途中で取付部材2Aの先端側に向かって折れ曲がった後、取付部材2A(第1の板部6A)の壁面Hと対向する面とは反対側の面に向かって折れ曲がった断面形状を有している。
【0065】
一方、ストッパー部21bは、取付部材2A(第1の板部6A)の基端部から取付部材2Aの先端側に向かって他方の係合部22に対応した大きさ分だけずれた位置から、取付部材2A(第1の板部6A)の壁面Hと対向する側とは反対側に向かって突出した断面形状を有している。
【0066】
これに対して、他方の係合部22は、カバー部材3A(第2の板部9A)の基端部において、その長手方向に沿って形成された断面略J字形状のフック部22aを有している。
【0067】
具体的に、フック部22aは、カバー部材3A(第2の板部9A)の基端部から天井板Tと対向する側とは反対側に向かって突出し、その途中でカバー部材3Aの先端側に向かって折れ曲がった断面形状を有している。
【0068】
ヒンジ部4Aでは、一方の係合部21と他方の係合部22とを互いに係合させる。具体的には、一方の係合部21を構成するフック部21aと、他方の係合部22を構成するフック部22aとを係合させる。これにより、取付部材2A(第1の板部6A)とカバー部材3A(第2の板部9A)との間を回動自在に連結することができる。
【0069】
固定部5Aでは、一方の係合部21を構成するフック部21aとストッパー部21bとの間に、他方の係合部22を構成するフック部22aを嵌合させる。これにより、取付部材2Aに対してカバー部材3Aを所定の角度αで回動させた状態まま固定することが可能である。なお、固定部5Aでは、一方の係合部21と他方の係合部22との嵌合状態を解除することによって、取付部材2Aに対してカバー部材3Aを再び回動自在な状態とし、更に、その係合状態を解除することによって取り外すことが可能である。
【0070】
以上のような構成する見切縁1Aは、上記見切縁1と同様に、壁面Hと天井板Tとの間の入隅部Sに沿った位置に取り付けられることによって、上記見切縁1の取付構造と同じ作用効果を得ることができる。すなわち、この見切縁1Aの取付構造では、図示を省略するものの、カバー部材3Aの弾性変形部14(段差部14a)が弾性変形しながら、カバー部材3Aの当接部12(当接面12b)が天井板Tに押し付けられた状態となる。これにより、カバー部材3Aと天井板Tとの間に隙間が生じることが防ぐことができ、入隅部Sの仕上がり(見栄え)を良好に保つことが可能である。また、壁面Hに対する取付部材2Aの取付位置が高さ方向にずれた場合でも、天井板Tにカバー部材3Aを当接させることができるため、天井板Tと見切縁1Aとの位置合わせがし易く、施工も容易である。
【0071】
以上のように、本実施形態では、簡便な構造を有し、且つ、施工が容易な見切縁1Aを用いることによって、上記見切縁1と同様に、入隅部Sの仕上がり(見栄え)が良い意匠性に優れた見切縁1Aの取付構造を得ることが可能である。
【0072】
また、本実施形態では、壁面Hと天井板Tとの間に間隙Cを設けて、地震の際に天井板Tの揺れを許容しつつ、天井板Tの損傷を防ぐといった耐震化技術に適した見切縁1Aの取付構造とすることが可能である。
【0073】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば
図10(A)〜(C)に示す見切縁1B及びその取付構造について説明する。
なお、
図10(A)は、見切縁1Bの構成を示す断面図である。
図10(B)は、見切縁1Bの固定前の状態を示す要部断面図である。
図10(C)は、見切縁1Bの固定後の状態を示す要部断面図である。
また、以下の説明では、上記見切縁1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0074】
見切縁1Bは、
図10(A)〜(C)に示すように、取付部材2Bとカバー部材3Bとが別体に形成された構成を有し、これら取付部材2Bとカバー部材3Bとを回動自在に連結するヒンジ部4Bの構造が上記見切縁1,1Aとは異なっている。それ以外の構成については、上記見切縁1とは基本的に同じ構成を有している。また、上記見切縁1と同様の変更を適宜加えることが可能である。
【0075】
取付部材2Bとカバー部材3Bとが別体に形成された構成の場合、取付部材2B及びカバー部材3Bの材質については、上述した樹脂成形材料に限らず、例えばアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。また、取付部材2Bとカバー部材3Bとは、互いに異なる材料を用いて形成してもよい。
【0076】
ヒンジ部4Bは、取付部材2Bに対してカバー部材3Bを所定の角度α(
図10において図示せず。)で固定する固定部5Bとしての機能を有している。具体的に、このヒンジ部4B(固定部5B)は、取付部材2B側に設けられた一方の係合部31と、カバー部材3B側に設けられた他方の係合部32とを有している。
【0077】
一方の係合部31は、取付部材2B(第1の板部6B)の基端部において、その長手方向に沿って形成された断面略L字形状のフック部31aと、断面略I字状のストッパー部31bとを有している。
【0078】
具体的に、フック部31aは、取付部材2B(第1の板部6B)の基端部から壁面Hと対向する側とは反対側に向かって突出し、その途中で取付部材2Bの先端側に向かって折れ曲がった断面形状を有している。
【0079】
一方、ストッパー部31bは、フック部31aの先端部よりも取付部材2Bの先端側に向かって他方の係合部32に対応した分だけずれた位置から、取付部材2B(第1の板部6B)の壁面Hと対向する側とは反対側に向かって突出した断面形状を有している。
【0080】
これに対して、カバー部材3B(第2の板部9B)の基端部において、その長手方向に沿って形成された断面略L字形状のフック部32aを有している。
【0081】
具体的に、フック部32aは、カバー部材3B(第2の板部9B)の基端部から天井板Tと対向する側とは反対側に向かって突出し、その途中でカバー部材3Bの先端側に向かって折れ曲がった断面形状を有している。また、フック部31aとストッパー部31bとの間には、フック部32aの湾曲した形状に合わせた湾曲部31cが設けられている。
【0082】
ヒンジ部4Bでは、一方の係合部31と他方の係合部32とを互いに係合させる。具体的には、一方の係合部31を構成するフック部31aと、他方の係合部32を構成するフック部32aとを係合させる。これにより、取付部材2B(第1の板部6B)とカバー部材3B(第2の板部9B)との間を回動自在に連結することができる。
【0083】
固定部5Bでは、一方の係合部31を構成するフック部31aとストッパー部31bとの間に、他方の係合部32を構成するフック部32aを嵌合させる。これにより、取付部材2Bに対してカバー部材3Bを所定の角度αで回動させた状態まま固定することが可能である。なお、固定部5Bでは、一方の係合部31と他方の係合部32との嵌合状態を解除することによって、取付部材2Bに対してカバー部材3Bを再び回動自在な状態とし、更に、その係合状態を解除することによって取り外すことが可能である。
【0084】
以上のような構成する見切縁1Bは、上記見切縁1と同様に、壁面Hと天井板Tとの間の入隅部Sに沿った位置に取り付けられることによって、上記見切縁1の取付構造と同じ作用効果を得ることができる。すなわち、この見切縁1Bの取付構造では、図示を省略するものの、カバー部材3Bの弾性変形部14(段差部14a)が弾性変形しながら、カバー部材3Bの当接部12(当接面12b)が天井板Tに押し付けられた状態となる。これにより、カバー部材3Bと天井板Tとの間に隙間が生じることが防ぐことができ、入隅部Sの仕上がり(見栄え)を良好に保つことが可能である。また、壁面Hに対する取付部材2Bの取付位置が高さ方向にずれた場合でも、天井板Tにカバー部材3Bを当接させることができるため、天井板Tと見切縁1Bとの位置合わせがし易く、施工も容易である。
【0085】
以上のように、本実施形態では、簡便な構造を有し、且つ、施工が容易な見切縁1Bを用いることによって、上記見切縁1と同様に、入隅部Sの仕上がり(見栄え)が良い意匠性に優れた見切縁1Bの取付構造を得ることが可能である。
【0086】
また、本実施形態では、壁面Hと天井板Tとの間に間隙Cを設けて、地震の際に天井板Tの揺れを許容しつつ、天井板Tの損傷を防ぐといった耐震化技術に適した見切縁1Bの取付構造とすることが可能である。
【0087】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態として、例えば
図11に示す見切縁1C及びその取付構造について説明する。
なお、
図11は、見切縁1Cの構成を示す断面図である。また、以下の説明では、上記見切縁1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0088】
見切縁1Cは、
図11に示すように、カバー部材3に設けられた当接部12Aの構造が上記見切縁1とは異なっている。それ以外の構成については、上記見切縁1とは基本的に同じ構成を有している。なお、
図11に示す見切縁1Cでは、上記見切縁1が備えるリブ壁13が省略されている。また、上記見切縁1と同様の変更を適宜加えることが可能である。
【0089】
当接部12Aは、カバー部材3と一体に形成された弾性部材41からなる。弾性部材41には、上述したヒンジ部4と同様に、カバー部材3を形成する樹脂よりも柔軟な軟質塩化ビニル樹脂、熱可塑性エラストマーなどを好適に用いることができる。
【0090】
弾性部材41は、カバー部材3(第4の板部11)の天井板Tと対向する面(内面)3bの先端側において、その長手方向に沿って突出して設けられている。また、弾性部材41は、弾性変形可能な傾斜片42と、支持片43と、連結片44とを有して、カバー部材3(第4の板部11)の天井板Tと対向する面(内面)3bにおいて薄肉中空状に形成されている。
【0091】
傾斜片42は、カバー部材3の基端側に向かって傾斜した部分であり、カバー部材3(第4の板部11)の天井板Tと対向する面(内面)3bからカバー部材3の基端側に向かって斜めに立ち上がり形成されている。そして、この傾斜片42の天井板Tと対向する面が所定の角度で傾斜した傾斜面42aを形成している。傾斜面42aの角度については、カバー部材3(第4の板部11)の天井板Tと対向する面(内面)3bに対して30°〜70°程度であればよい。なお、本実施形態では、傾斜面42aの角度が約45°に設定されている。
【0092】
支持片43は、傾斜片42の倒れ込みを支持する部分であり、傾斜片42よりもカバー部材3の基端側に位置して、カバー部材3(第4の板部11)の天井板Tと対向する面(内面)3bから略垂直に立ち上がり形成されている。
【0093】
連結片44は、傾斜片42の先端と支持片43の先端との間を連結する部分であり、傾斜片42と支持片43との間で角度を変えながら湾曲凸状に形成されている。そして、この連結片44の天井板Tと対向する面の頂部付近が天井板Tと当接される当接面44aとなっている。また、当接面44aについては、天井板Tとの接触性を良くするため、平坦面で形成されていてもよい。
【0094】
また、連結片44は、基端側から先端側に向かって薄肉となるように形成された傾斜片42と支持片43との間で薄肉状に形成されている。すなわち、連結片44は、天井板Tに接触した際に、傾斜片42と支持片43とに支持された状態で天井板Tに沿って弾性変形し易くなっている。これにより、見切縁1Cでは、当接部12Aが天井板Tに押し付けられたときの天井板Tと当接部12Aとの密着性を向上させることができる。
【0095】
以上のような構成する見切縁1Cは、上記見切縁1と同様に、壁面Hと天井板Tとの間の入隅部Sに沿った位置に取り付けられることによって、上記見切縁1の取付構造と同じ作用効果を得ることができる。すなわち、この見切縁1Cの取付構造では、
図12に示すように、カバー部材3の弾性変形部14(段差部14a)が弾性変形しながら、カバー部材3の当接部12A(当接面44a)が天井板Tに押し付けられた状態となる。これにより、カバー部材3と天井板Tとの間に隙間が生じることが防ぐことができ、入隅部Sの仕上がり(見栄え)を良好に保つことが可能である。また、壁面Hに対する取付部材2の取付位置が高さ方向にずれた場合でも、天井板Tにカバー部材3を当接させることができるため、天井板Tと見切縁1Cとの位置合わせがし易く、施工も容易である。さらに、壁面Hに対する取付部材2の取付位置を弾性部材の41の高さ分だけ天井板Tの下面よりも下方に位置させることができる。これにより、ビスBの打ち込み(ねじ込み)作業が更に容易となる。
【0096】
ここで、見切縁1Cの取付構造では、
図13(A)に示すように、地震の際に天井板Tが大きく揺れることによって、壁面Hと天井板Tとの間の間隙Cが拡大し、この間隙Cにカバー部材3の先端部が入り込むことが考えられる。さらに、カバー部材3の先端部が間隙Cに入り込んだまま、天井板Tが大きく揺れた場合、壁面Hと天井板Tとの間の間隙Cが縮小したときに、カバー部材3が天井版Tに押し潰されることも考えられる。
【0097】
これに対して、見切縁1Cの取付構造では、
図13(B)に示すように、カバー部材3の先端部が間隙Cに入り込んだとしても、傾斜片42の傾斜面42aに接触した天井板Tの端部が、この傾斜片42の傾斜面42aに沿って相対移動することになる。これにより、天井板Tの揺れが収まった後に、上述した
図12に示すカバー部材3の当接部12A(当接面44a)が天井板Tに接触した元の状態へと復帰することができる。
【0098】
なお、上記当接部12Aについては、上記弾性部材41からなる構成に必ずしも限定されるものではなく、上記当接部12Aの代わりに、例えば
図14(A)に示す当接部12Bや、
図14(B)に示す当接部12Cを備えた構成とすることも可能である。
【0099】
具体的に、
図14(A)に示す当接部12Bは、カバー部材3(第4の板部11)の天井板Tと対向する面(内面)3bの先端側において、カバー部材3の基端側に向かって傾斜した傾斜片42Aを有している。この傾斜片42Aは、上記傾斜片42と基本的に同じ機能を有し、上記リブ壁12aの当接面12b上に取り付けられている。なお、傾斜片42Aには、上記弾性部材41よりも硬質の塩化ビニル樹脂等を用いることができる。
【0100】
一方、
図14(B)に示す当接部12Cは、上記弾性部材41から支持片43を省略した弾性部材41Aを有している。すなわち、上記弾性部材41は、上述した傾斜片42と支持片43と連結片44とを有した構成に限らず、支持片43を省略した構成とすることも可能である。
【0101】
図14(A),(B)に示す当接部12B,12Cは、何れも地震の際に天井板Tの揺れによって、カバー部材3の先端部が間隙Cに入り込んだ場合でも、上記当接部12Aと同様の機能によって、天井板Tの揺れが収まった後に、当接部12B,12Cが天井板Tに接触した状態まで復帰させることが可能である。
【0102】
なお、上記弾性部材41については、上述した薄肉中空状に形成されたものに限らず、例えば発泡樹脂等の弾性変形可能な材料を用いて中実状に形成された弾性部材(図示せず。)であってもよい。この場合、カバー部材3とは別体に形成された弾性部材をカバー部材3(第4の板部11)の天井板Tと対向する面(内面)3bに両面テープ等により貼り付けて使用することが可能である。