【文献】
CALBO ESTHER,SYSTEMIC EXPRESSION OF CYTOKINE PRODUCTION IN PATIENTS WITH SEVERE PNEUMOCOCCAL PNEUMONIA: 以下備考,ANTIMICROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY,2008年 7月,V52 N7,P2395-2402,EFFECTS OF TREATMENT WITH A BETA-LACTAM VERSUS A FLUOROQUINOLONE
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
抗炎症薬、抗生物質、気管支拡張剤、抗コリン作用薬、グルココルチコイド、エイコサノイド阻害剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される追加の活性薬剤を同時投与するための、請求項1または5に記載のエアロゾル。
前記抗生物質が、トブラマイシン、アズトレオナム、シプロフロキサシン、アジスロマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、キヌプリスチン、リネゾリド、バンコマイシン、およびクロラムフェニコール、コリシチンおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項22または23に記載のエアロゾル。
前記気管支拡張剤が、サルブタモール、レボサルブテロール、テルブタリン、フェノテロール、テルブトライン、ピルブテロール、プロカテロール、ビトルテロール、リミテロール、カルブテロール、ツロブテロール、レプロテロール、サルメテロール、フォルモテロール、アルフォルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、インダクテロール、テオフィリン、ロフルミラスト、シロミラスト、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項22または23に記載のエアロゾル。
前記グルココルチコイドが、プレドニゾン、フルチカゾン、ブデソニド、モメタゾン、シクレソニド、ベクロメタゾン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項22または23に記載のエアロゾル。
前記エイコサノイドが、モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルルカスト、ジレウトン、ラマトロバン、セラトロダスト、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項22または23に記載のエアロゾル。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、肺炎症と関連した障害および疾患を治療するための方法および組成物に関する。特に、二価または三価の陽イオンを配合した、レボフロキサシンまたはオフロキサシンのエアロゾルを用いて炎症を低減するための方法および組成物が提供される。ある種の実施形態は、二価または三価の陽イオンを配合した、レボフロキサシンまたはオフロキサシンのエアロゾルを炎症部位に直接、局所投与することによって肺または上気道の急性または慢性炎症を治療することを含む。
【0016】
慢性炎症において生じる肺の損傷および肺機能のその後の低下は、主として、様々な加水分解酵素および酸化酵素の放出を介してその後の損傷を誘導する好中球の組織浸潤によって媒介される。粘膜面でのこの炎症カスケードは、リポ多糖(LPS)を産生する細菌によって媒介され、LPSはマクロファージからの、または肺の上皮表面への直接のTNFα放出を誘導する。TNFα、ならびに炎症性サイトカイン、例えばIL-8およびIL-6の両方の放出は、好中球の活性化および走化性をもたらす。細菌感染が炎症プロセスにおいて多大な役割を果たす一方で、嚢胞性線維症または他の疾患における塩化物分泌の障害もサイトカインレベルの増加に部分的に関与するとも考えられている(Perez A.ら、Am J. Physiol. Lung Cell Mol Physiol (2007) 292: 383〜395頁、参照により全体として援用される)。
【0017】
二価または三価の陽イオンを配合したレボフロキサシンの局所投与は、インビトロおよびインビボにおいてサイトカインおよびケモカインの産生のレベルを有意に低減し得ることが発見された。炎症性サイトカインのレベルのこのような低減は、好中球を媒介とした炎症の低減を生じさせる可能性がある。炎症性サイトカインの例には、IL-1、IL-6、IL-7、およびIL-8が含まれる。高濃度のレボフロキサシンは、吸入によって肺および上気道に投与することができる。驚くべきことに、二価または三価の陽イオンを含むレボフロキサシンの製剤は、レボフロキサシン単独の製剤と比較して肺における有効性が高い。したがって、本発明は、Mg
2+などの二価または三価の陽イオンを配合した、レボフロキサシンなどのエアロゾル化されたフルオロキノロンの投与によって肺および上気道における炎症を低減するための方法および組成物に関する。
【0018】
慢性炎症を低減するための治療的アプローチは、CFおよびCOPD患者における肺機能を改善するための実施可能な戦略である。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(例えば、イブプロフェン)およびアジスロマイシンの抗炎症特性は、ある種のCF患者亜群において有益であると関連付けられている(Flume PAら、Cystic fibrosis pulmonary guidelines: chronic medications for maintenance of lung health. Am J Respir Crit Care Med 2007; 176: 957〜969頁、参照により全体として援用される)。さらに、抗生物質のエリスロマイシンは、COPD患者における肺憎悪の発生率を低減する(Seemungal TAら、Long-term erythromycin therapy is associated with decreased chronic obstructive pulmonary disease exacerbations. Am J Respir Crit Care Med 2008; 178: 1139〜1147頁、参照により全体として援用される)。これらの状況におけるアジスロマイシンおよびエリスロマイシンの有効性は、抗菌作用というよりはむしろ、免疫調節作用および抗炎症作用に主に起因している可能性がある。
【0019】
ある種のフルオロキノロンは、免疫調節活性および抗菌活性を有する可能性がある。これらの活性は、区別され、細胞毒性でもある濃度でしかインビボにおいて明らかにならない可能性がある。ある種のフルオロキノロンは、様々なサイトカインおよびケモカインの産生および分泌に関連する種々のシグナル経路を介したフルオロキノロンの免疫調節活性に影響を及ぼす場合がある。しかしながら、全てのフルオロキノロンが免疫調節活性を示すわけではない。さらに、異なるフルオロキノロンは、特定のサイトカインおよびケモカインの誘導または阻害などの異なる応答を生じさせる(illicit)。また、免疫調節活性は、細胞型、免疫刺激物質、およびフルオロキノロンの濃度に依存することがある。例えば、シプロフロキサシンではなく、モキシフロキサシンおよびグレパフロキサシンなどのフルオロキノロンは、ヒトの肺上皮細胞においてIL-8、IL-6、ERK1/2、JNK、およびNFκBなどの炎症性因子の分泌を阻害することができる(Blau, H.,K.ら、2007. Moxifloxacin but not ciprofloxacin or azithromycin selectively inhibits IL-8, IL-6, ERK1/2, JNK, and NF-kappaB activation in a cystic fibrosis epithelial cell line. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 292: L343〜52頁; Donnarumma, G., I.ら、2007. Anti-inflammatory effects of moxifloxacin and human beta-defensin 2 association in human lung epithelial cell line (A549) stimulated with lipopolysaccharide. Peptides 28: 2286〜92頁; Hashimoto, S.,K.ら、2000. Grepafloxacin inhibits tumor necrosis factor-alpha-induced interleukin-8 expression in human airway epithelial cells. Life Sci 66: PL 77〜82頁、参照により全体として援用される)。しかしながら、全ての研究において、全身投薬後に達成され得る血清薬物濃度に対応する50μg/ml未満の抗生物質濃度で細胞を処理した。
【0020】
レボフロキサシンは、50mg/Lでへんとうリンパ球におけるTNF-αおよびIFNγ産生を阻害し、5mg/LでIL-8産生を阻害する。さらに、レボフロキサシンは、鼻ポリープの患者由来の鼻上皮細胞におけるRANTES放出を阻害する。しかしながら、炎症性因子の産生に対するレボフロキサシンの阻害活性は、シプロフロキサシンおよびモキシフロキサシンなどの他のフルオロキノロンの阻害活性よりも非常に低い。例えば、TNF-α、IL-1およびIL-8などの炎症性因子の産生に対するレボフロキサシンの阻害活性は、100mg/Lのレボフロキサシンを必要とする。
【0021】
本明細書に記載されるように、不死化されたヒト気道上皮細胞は、気道上皮のある種の特徴を保持し、他の抗生物質の免疫調節作用を特徴付けるために幅広く使用されている
(Blau Hら、Moxifloxacin but not ciprofloxacin or azithromycin selectively inhibits IL-8, IL-6, ERK1/2, JNK, and NF-kappaB activation in a cystic fibrosis epithelial cell line. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2007; 292: L343〜352頁;およびDonnarumma Gら、Anti-inflammatory effects of moxifloxacin and human beta-defensin 2 association in human lung epithelial cell line (A549) stimulated with lipopolysaccharide. Peptides 2007; 28: 2286〜2292頁、参照により全体として援用される)。それらの細胞におけるIL-6およびIL-8産生は、CFおよびCOPD患者の肺液において高濃度で存在するTNFαによってまたは細菌LPSによって強力に誘導され得る(Sagel SDら、Sputum biomarkers of inflammation in cystic fibrosis lung disease. Proc Am Thorac Soc 2007; 4: 406〜417頁、参照により全体として援用される)。IL-6およびIL-8はともに、CF肺における炎症応答の制御に非常に重要であり、後者は好中球の走化性を誘導する最も高い潜在能力を有する(Strieter RM. Interleukin-8: a very important chemokine of the human airway epithelium. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2002; 283: L688〜689頁、参照により全体として援用される)。レボフロキサシンは、培養されたヒト気道上皮細胞において、TNFαおよびLPSによって誘導されたIL-6およびIL-8レベルの投薬量に依存した低減を生じさせることが発見された。また、レボフロキサシンは、ヒト単球細胞にお
いて、LPSによって誘導されたIL-1β、IL-6およびIL-8の産生を低減する。さらに、レボフロキサシンはインビボにおいてIL-6およびIL-8の産生を低減する。
【0022】
定義
用語「投与」または「投与すること」とは、ある投薬量の抗炎症医薬組成物を脊椎動物に与える方法を意味する。投与の好ましい方法は、様々な因子、例えば、医薬組成物の成分、炎症の部位、および実際の炎症の重症度に依存して変化させることができる。
【0023】
「担体」または「賦形剤」は、化合物の投与を促進するため、例えば、化合物の溶解性を増加させるために使用される化合物または物質である。固体担体には、例えば、スターチ、ラクトース、リン酸二カルシウム、スクロース、およびカオリンが挙げられる。液体担体には、例えば、減菌水、生理食塩水、緩衝液、非イオン性界面活性剤、ならびに油、ピーナッツ油およびゴマ油などの食用油が挙げられる。さらに、当技術分野において通常使用されるものなどの様々なアジュバントを含んでもよい。これらの化合物および他のこのような化合物は、例えば、Merck Index, Merck & Company, Rahway, NJ.などの文献に記載されている。医薬組成物における様々な成分を含めることに関する考察は、例えば、Gilmanら、(Eds.) (1990); Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Ed., Pergamon Pressに記載され、これは参照により全体として本明細書中に援用される。
【0024】
用語「哺乳動物」は、その通常の生物学的意味において使用される。したがって、それには、具体的にヒト、ウシ、ウマ、イヌ、およびネコなどが含まれ、また多くの他の種も含まれる。
【0025】
用語「医薬として許容される担体」または「医薬として許容される賦形剤」には、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。医薬として活性な物質に対するこのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が有効成分と混合できない範囲を除いて、治療用組成物におけるその使用が意図される。また、補助的な有効成分を組成物に組み込むこともできる。
【0026】
用語「医薬として許容される塩」とは、本発明の化合物の生物学的な有効性および特性を保持する塩を意味し、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない。多くの場合、本発明の化合物は、アミノ基および/もしくはカルボキシル基またはそれらに類似した基の存在によって、酸および/または塩基の塩を形成することができる。医薬として許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸を用いて形成することができる。塩を誘導できる無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。塩を誘導できる有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、ナフトエ酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモン(エンボン)酸、ステアリン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコヘプタン酸、グルクロン酸、乳酸、ラクトビオン酸、酒石酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが含まれる。医薬として許容される塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基を用いて形成することができる。塩を誘導できる無機塩基には、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが含まれる;特に、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウムの塩が好ましい。塩を誘導できる有機塩基には、例えば、1級、2級および3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが含まれ、具体的にはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、ベネタミン、N-メチルグルカミン、およびエタノールアミンなどが挙げられる。他の酸には、ドデシル硫酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、およびサッカリンなどが含まれる。
【0027】
「溶媒和物」とは、溶媒およびフルオロキノロン抗菌剤、その代謝産物もしくは塩の相互作用によって形成される化合物を意味する。適切な溶媒和物は、水和物を含む医薬として許容される溶媒和物である。
【0028】
「治療有効量」または「医薬的有効量」とは、本発明について開示されるような治療効果を有するフルオロキノロン抗炎症薬を意味する。治療に有用であるフルオロキノロン抗炎症薬の投薬量は治療有効量である。したがって、本明細書で使用するとき、治療有効量は、臨床試験結果および/またはモデル動物抗炎症試験によって判断されるような所望の治療効果を生じさせる、フルオロキノロン抗炎症薬の量を意味する。特定の実施形態では、フルオロキノロン抗炎症薬は所定の投薬量で投与され、したがって、治療有効量は投与される投薬量である。この量およびフルオロキノロン抗炎症薬の量は当業者によって日常的に決定することができ、関与する特定の炎症、例えば、炎症の部位、炎症の重症度などのいくつかの因子に依存して変化する。さらに、この量は、患者の身長、体重、性別、年齢および病歴に依存し得る。予防的治療について、治療有効量は、特定の炎症を予防するのに有効なその量である。
【0029】
「治療効果」は、ある程度、炎症の症状の1つまたは複数を緩和し、炎症を治癒させることを含む。「治癒」は、炎症の症状が排除させることを意味する。しかしながら、炎症のある種の長期または永続する影響は、治癒が得られた後でさえ存在する場合がある(過剰な組織損傷など)。本明細書で使用するとき、「治療効果」は、炎症の統計的に有意な低減、炎症の出現、またはヒトの臨床結果もしくは動物試験によって測定される炎症症状の改善として定義される。
【0030】
「治療する」、「治療」、または「治療すること」は、本明細書で使用するとき、予防的および/または治療的目的のための医薬組成物を投与することを意味する。用語「予防的治療」とは、まだ炎症を患っていないが、特定の炎症に罹り易いあるいはその危険性にある患者を治療して、その結果、炎症の開始が遅延していることを意味する。用語「治療処置」とは、すでに炎症を患っている患者に対して治療を施すことを意味する。このようにして、好ましい実施形態では、治療することは、哺乳動物への(治療的または予防的目的で)フルオロキノロン抗炎症薬の治療有効量を投与することである。
【0031】
用語「投薬間隔」とは、多数回の投薬処方計画中の医薬の2つの順次的投薬の投与間の時間を意味する。例えば、1日2回(1日2回の400mgの伝統的な処方計画)で経口投与されるシプロフロキサシン、および1日1回(1日1回の500mgまたは750mg)で経口投与されるレボフロキサシンの場合、投与間隔は、それぞれ12時間および24時間である。
【0032】
本明細書で使用するとき、医薬のインビボ濃度の「ピーク時間」は、医薬濃度がその血漿または炎症の部位の最大濃度の50%以上である場合の医薬の投薬間隔のその時間として定義される。ある種の実施形態では、「ピーク時間」は、抗炎症投薬の間隔を説明するために使用される。
【0033】
「呼吸に適した送達投薬量」は、吸気と呼気の比1:1を有する、1分間あたり15回の呼吸の欧州標準パターンにプログラムされたシミュレーターを用いて、5ミクロン以下である、呼吸シミュレーターの吸気段階中に吸入される薬剤量である。
【0034】
本明細書で使用するとき、「肺濃度」には、対象の肺における物質の濃度、対象の痰における物質の濃度、および/または対象の気管支肺胞洗浄における物質の濃度が含まれ得る。理解されるように、「肺濃度」は様々な方法によって測定可能である。
【0035】
治療または予防のための方法
ある種の実施形態では、炎症を患っている動物を二価または三価の陽イオンを配合し、肺で有効性を改善したフルオロキノロン抗炎症薬を用いて治療することによって、具体的には哺乳動物を含む動物における炎症を治療するための方法が提供される。ある種の実施形態では、エアロゾル形成および吸入に続けて、フルオロキノロン抗炎症薬を投与しもよい。したがって、この治療の方法は、高い非経口投薬レベル(望ましくない副作用を引き起こす可能性がある)の必要性により、またはいずれの臨床的に有効な抗炎症薬の欠如により、非経口で送達される抗炎症薬を用いて治療することが困難である肺炎症の治療に特に適している。このような1つの実施形態では、この方法は、フルオロキノロン抗炎症薬を炎症の部位に直接投与するために用いられてもよい。このような方法は、全身曝露を低減することができ、炎症の部位への抗炎症薬の量を最大にすることができる。
【0036】
ある種の実施形態では、エアロゾルフルオロキノロン治療薬は、他のエアロゾル、経口用もしくは非経口用抗生物質と併用してもしくはこれと治療順番を入れ替えて治療または予防として投与されてもよい。非限定的な例では、これにはエアロゾルトブラマイシンおよび/または他のアミノグリコシド、エアロゾルアズトレオナムおよび/または他のベータ-もしくはモノ-バクタム、カルバペネム、エアロゾルシプロフロキサシンおよび/または他のフルオロキノロン、エアロゾルアジスロマイシンおよび/または他のマクロライドもしくはケトライド、テトラサイクリンおよび/または他のテトラサイクリン、キヌプリスチンおよび/または他のストレプトグラミン、リネゾリドおよび/または他のオキサゾリジノン、バンコマイシンおよび/または他の糖ペプチド、エリスロマイシン、ならびにクロラムフェニコールおよび/または他のフェニコール、ならびにコリシチンおよび/または他のポリミキシンが含まれてもよい。
【0037】
さらに、本明細書において提供される組成物および方法は、追加の活性薬剤と併用してもしくはこれと治療順番を入れ替えて治療または予防として投与されるエアロゾルフルオロキノロン治療薬を含むことができる。上記で検討されたように、ある種のこのような追加の薬剤には抗生物質が含まれ得る。さらに追加の薬剤は、気管支拡張剤、抗コリン作用薬、グルココルチコイド、エイコサノイド阻害剤、およびそれらの組合せを含むことができる。気管支拡張剤の例には、サルブタモール、レボサルブテロール、テルブタリン、フェノテロール、テルブトライン、ピルブテロール、プロカテロール、ビトルテロール、リミテロール、カルブテロール、ツロブテロール、レプロテロール、サルメテロール、フォルモテロール、アルフォルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、インダクテロール、テオフィリン、ロフルミラスト、シロミラストが挙げられる。抗コリン作用薬の例には、イプラトロピウムおよびチオトロピウムが挙げられる。グルココルチコイドの例には、プレドニゾン、フルチカゾン、ブデソニド、モメタゾン、シクレソニド、およびベクロメタゾンが挙げられる。エイコサノイドの例には、モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルルカスト、ジレウトン、ラマトロバン、およびセラトロダストが挙げられる。さらに追加の薬剤は、パルモザイム、高張食塩水、CFにおける塩化物チャネル機能を回復させる薬剤、吸入性β作用薬、吸入性抗ムスカリン作用薬、吸入性コルチコステロイド、および吸入性または経口用ホスホジエステラーゼ阻害剤を含むことができる。さらに追加の薬剤は、CFTR調節剤、例えば、VX-770、アトルレン(atluren)、VX-809を含むことができる。さらに追加の薬剤は、気道表面液を回復させるための薬剤、例えば、デヌホソル、マンニトール、GS-9411、およびSPI-8811を含むことができる。さらに追加の薬剤は、抗炎症薬、例えば、イブプロフェン、シルデナフィル、およびシマバスタチン(simavastatin)を含むことができる。さらに追加の薬剤には、抗炎症薬が含まれる。抗炎症薬の例には、ステロイド性および非ステロイド性の抗炎症薬が挙げられる。ステロイド性抗炎症薬の例には、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベー
タメタゾン、クロロプレドニゾン、シクレソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコルト、デスシクレソニド、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フククロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロンアセテート、フルプレドニデンアセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルチカゾンプロピオネート、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロベタゾールプロピオネート、ハロメタゾン、ハロプレドンアセテート、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニソロン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チクソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、任意のそれらの誘導体、類似体、ならびにそれらの組合せが挙げられる。非ステロイド性抗炎症薬の例には、COX阻害剤(COX-1またはCOX非特異的阻害剤)(例えば、サリチル酸誘導体、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サルサレート、ジフルニサル、スルファサラジンおよびオルサラジン;パラ-アミノフェノール誘導体、例えば、アセトアミノフェン;インドールおよびインデン酢酸、例えば、インドメタシンおよびスリンダク;ヘテロアリール酢酸、例えば、トルメチン、ジクロフェナクおよびケトロラク;アリールプロピオン酸、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、フルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェンおよびオキサプロジン;アントラニル酸(フェナメート)、例えば、メフェナム酸およびメロキシカム;エノール酸、例えば、オキシカム(ピロキシカム、メロキシカム)およびアルカノン、例えば、ナブメトン)および選択的COX-2阻害剤(例えば、ジアリール置換フラノン、例えば、ロフェコキシブ;ジアリール置換ピラゾール、例えば、セレコキシブ;インドール酢酸、例えば、エトドラク、およびスルホンアニリド、例えば、ニメスリド)が挙げられる。
【0038】
医薬組成物
本明細書に記載される方法の目的で、二価または三価の陽イオンを配合し、肺での有効性を改善したフルオロキノロン抗炎症薬は、吸入器を用いて投与されてもよい。ある種の実施形態では、本明細書に開示されたフルオロキノロン抗炎症薬は、エアロゾル形成、良好な風味、保存安定性、ならびに患者の安全性および耐容性に適した医薬組成物として製造される。ある種の実施形態では、製造されたフルオロキノロンのアイソフォーム含量は、耐容性、抗炎症活性および安定性について最適化されてもよい。
【0039】
製剤には二価または三価の陽イオンを含むことができる。二価または三価の陽イオンには、例えば、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、アルミニウム、および鉄を含むことができる。ある種の実施形態では、溶液は、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化亜鉛、または塩化銅を含む。ある種の実施形態では、二価または三価の陽イオン濃度は、約25mM〜約400mM、約50mM〜約400mM、約100mM〜約300mM、約100mM〜約250mM、約125mM〜約250mM、約150mM〜約250mM、約175mM〜約225mM、約180mM〜約220mM、および約190mM〜約210mMであり得る。ある種の実施形態では、塩化物濃度は、約25mM〜約800mM、約50mM〜約400mM、約100mM〜約300mM、約100mM〜約250mM、約125mM〜約250mM、約150mM〜約250mM、約175mM〜約225mM、約180mM〜約220mM、および約190mM〜約210mMであり得る。ある種の実施形態では、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化亜鉛、または塩化銅は、約5%〜約25%、約10%〜約20%、および約15%〜約20%の濃度を有することができる。ある種の実施形態では、フルオロキノロンと二価または三価の陽イオンの比は1:1〜2:1または1:1〜1:2であり得る。
【0040】
本明細書に記載された使用のための非限定的なフルオロキノロンには、レボフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、ペフロキサシン、スパルフロキサシン、ガレノキサシン、シタフロキサシン、およびDX-619が挙げられる。
【0041】
製剤は、フルオロキノロン濃度、例えば、約50mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約110mg/ml、約120mg/ml、約130mg/ml、約140mg/ml、約150mg/ml、約160mg/ml、約170mg/ml、約180mg/ml、約190mg/ml、および約200mg/mlを超えるレボフロキサシンまたはオフロキサシンを有することができる。ある種の実施形態では、製剤は、フルオロキノロン濃度、例えば、約50mg/ml〜約200mg/ml、約75mg/ml〜約150mg/ml、約80mg/ml〜約125mg/ml、約80mg/ml〜約120mg/ml、約90mg/ml〜約125mg/ml、約90mg/ml〜約120mg/ml、および約90mg/ml〜約110mg/mlのレボフロキサシンまたはオフロキサシンを有することができる。
【0042】
製剤は、約300mOsmol/kg〜約500mOsmol/kg、約325mOsmol/kg〜約450mOsmol/kg、約350mOsmol/kg〜約425mOsmol/kg、および約350mOsmol/kg〜約400mOsmol/kgのオスモル濃度を有することができる。ある種の実施形態では、製剤のオスモル濃度は、約300mOsmol/kg、約325mOsmol/kg、約350mOsmol/kg、約375mOsmol/kg、約400mOsmol/kg、約425mOsmol/kg、約450mOsmol/kg、約475mOsmol/kg、および約500mOsmol/kgを超える。
【0043】
製剤は、約4.5〜約8.5、約5.0〜約8.0、約5.0〜約7.0、約5.0〜約6.5、約5.5〜約6.5、および約6.0〜約6.5のpHを有することができる。
【0044】
製剤は、従来の医薬担体、賦形剤など(例えば、マンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなど)、または補助物質、例えば、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤など(例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンラウリン酸モノエステル、酢酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミンなど)を含んでもよい。ある種の実施形態では、製剤は、従来の医薬担体、賦形剤などを含まなくてもよい。ある種の実施形態には、ラクトースを含まない製剤が挙げられる。ある種の実施形態は、約10%、5%、1%、または0.1%未満の濃度でラクトースを含む。ある種の実施形態では、製剤は、レボフロキサシンまたはオフロキサシンおよび二価または三価の陽イオンから本質的になっていてもよい。
【0045】
ある種の実施形態では、製剤は、約75mg/ml〜約150mg/mlのレボフロキサシン濃度、約150mM〜約250mMの塩化マグネシウム濃度、約5〜約7のpH;約300mOsmol/kg〜約500mOsmol/kgのオスモル濃度を含むことができ、ラクトースを欠いてもよい。
【0046】
ある種の実施形態では、製剤は、約100mg/mlのレボフロキサシン濃度、約200mMの塩化マグネシウム濃度、約6.2のpH、約383mOsmol/kgのオスモル濃度を含み、ラクトースを含まない。ある種の実施形態では、製剤は、約100mg/mlのレボフロキサシン濃度、約200mMの塩化マグネシウム濃度、約6.2のpH、約383mOsmol/kgのオスモル濃度から本質的になり、ラクトースを含まない。ある種の実施形態では、製剤は、約100mg/mlのレボフロキサシン濃度、約200mMの塩化マグネシウム濃度、約6.2のpH、約383mOsmol/kgのオスモル濃度からなり、ラクトースを含まない。
【0047】
投与
二価または三価の陽イオンを配合し、肺での有効性を改善したフルオロキノロン抗炎症薬は、治療的有効投薬量、例えば、前述の疾患状態に対する治療をもたらすのに十分な投薬量で投与されてもよい。投与される活性化合物の量は、当然に、治療されるべき対象および疾患状態、炎症の重症度、投与の方法およびスケジュール、処方医師の判断に依存する;例えば、レボフロキサシンのエアロゾル投与のための可能な投薬量範囲は、約20〜300mg/日であり、活性薬剤は、それぞれ長期または短期の肺の半減期のために選択される。ある種の実施形態では、レボフロキサシンのエアロゾル投与のための可能な投薬量範囲は約20〜300mgのBID(1日2回)である。
【0048】
本明細書に開示されたフルオロキノロン抗菌剤または医薬として許容されるその塩の投与は、限定されないが、エアロゾル吸入を含む、類似の実用性を果たす、薬剤のための投与の許容された様式のいずれかを介してもよい。送達のための方法、デバイスおよび組成物は、参照に全体として援用される米国特許出願公開第2006/0276,483号に記載されている。
【0049】
医薬として許容される組成物には、固体、半固体、液体およびエアロゾル剤形、例えば、粉末、液体、懸濁液、錯体形成、リポソーム、微粒子などが含まれる。好ましくは、組成物は、正確な投薬量の単回投与に適した単位剤形において提供される。
【0050】
フルオロキノロン抗炎症薬は、単独でまたはいくつかの代替形態において、従来の医薬担体、賦形剤など(例えば、マンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなど)と組み合わせて投与できる。必要に応じて、医薬組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤など(例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンラウリン酸モノエステル、酢酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミンなど)の非毒性補助物質の少量を含むことができる。一般に、意図される投与の様式に応じて、医薬製剤は、約0.005重量%〜95重量%、好ましくは約0.5重量%〜50重量%の本発明の化合物を含む。このような剤形を調製するための実際の方法は、知られているかまたは当業者に明らかである;例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaを参照されたい。
【0051】
1つの好ましい実施形態では、組成物は、液体、懸濁されるべき固体、乾燥粉末、凍結乾燥物、または他の組成を含むバイアルなどの単位剤形の形態をとり、したがって、組成物は、有効成分とともに、希釈剤、例えば、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムなど;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムなど;および結合剤、例えば、スターチ、アカシアゴム、ポリビニルピロリジン、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体などを含んでもよい。
【0052】
液体の医薬的に投与可能な組成物は、例えば、上記で定義された活性化合物および任意選択の医薬アジュバントを担体(例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなど)中に溶解、分散などして、溶液または懸濁液を形成することによって調製され得る。エアロゾル化されるべき溶液は、従来の形態で、例えば、液体溶液もしくは懸濁液として、エマルジョンとして、またはエアロゾル製造および吸入前の液体中の溶解もしくは懸濁に適した固体形態で調製されてもよい。このようなエアロゾル組成物に含まれる活性化合物の割合は、その特定の性質、ならびに化合物の活性および対象の必要性に非常に依存する。しかしながら、溶液中の0.01%〜90%の有効成分の割合は使用可能であり、組成物が、後に上記割合に希釈される固体である場合にはより高くなる。ある種の実施形態では、組成物は溶液中に1.0%〜50.0%の活性薬剤を含む。
【0053】
本明細書に記載された組成物は、1日に約1、2、3、4またはそれよりも多い回数、1週間に1、2、3、4、5、6、7またはそれよりも多い回数で、1カ月に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれよりも多い回数で投与されてもよい。特定の実施形態では、組成物に1日2回投与される。
【0054】
エアロゾル送達
肺投与について、上気道は、中気道および下気道に有利になるように避けられる。肺の薬剤送達は、口腔および咽喉を通してエアロゾルの吸入によって達成されてもよい。一般に、約5ミクロンより大きい空気動力学的中央粒子径(MMAD)を有する粒子は肺に到達しない;その代わりに、この粒子は咽喉背面に衝突し、飲み込まれ、恐らくは経口吸収される傾向にある。約2〜約5ミクロンの直径を有する粒子は、上部から中部の肺領域(誘導気道)に到達するのに十分小さいが、肺胞に到達するには大き過ぎる。より小さい粒子、すなわち、約0.5〜約2ミクロンの粒子は、肺胞領域に到達することができる。また、約0.5ミクロンよりも小さい直径を有する粒子は、堆積によって肺胞領域に沈着され得るが、非常に小さい粒子は吐き出されることがある。
【0055】
一実施形態では、噴霧器は、主に約2〜約5ミクロンのMMADを有する、本明細書に開示されたフルオロキノロン抗炎症薬のエアロゾルの形成を可能にすることに基づいて選択される。一実施形態では、フルオロキノロン抗炎症薬の送達量は、呼吸器感染に対して治療効果を与える。噴霧器は、約2.5ミクロン以下の幾何標準偏差を有する約2ミクロン〜約5ミクロンの空気動力学的中央粒子径、約1.8ミクロン以下の幾何標準偏差を有する約2.5ミクロン〜約4.5ミクロンの空気動力学的中央粒子径、約2ミクロン以下の幾何標準偏差を有する約2.8ミクロン〜約4.3ミクロンの空気動力学的中央粒子径を含むエアロゾルを送達することができる。ある種の実施形態では、エアロゾルはジェット噴霧器を用いて生成され得る。ある種の実施形態では、エアロゾルは振動メッシュ噴霧器を用いて生成され得る。振動メッシュ噴霧器の例には、PARI E-FLOW(登録商標)噴霧器が挙げられる。噴霧器のさらなる例は、米国特許第4,268,460号;同第4,253,468号;同第4,046,146号;同第3,826,255号;同第4,649,911号;同第4,510,929号;同第4,624,251号;同第5,164,740号;同第5,586,550号;同第5,758,637号;同第6,644,304号;同第6,338,443号;同第5,906,202号;同第5,934,272号;同第5,960,792号;同第5,971,951号;同第6,070,575号;同第6,192,876号;同第6,230,706号;同第6,349,719号;同第6,367,470号;同第6,543,442号;同第6,584,971号;同第6,601,581号;同第4,263,907号;同第5,709,202号;同第5,823,179号;同第6,192,876号;同第6,644,304号;同第5,549,102号;同第6,083,922号;同第6,161,536号;同第6,264,922号;同第6,557,549号;および同第6,612,303号に記載され、これらの全てが参照により全体として本明細書に援用される。本明細書に記載された製剤とともに使用することができる噴霧器のさらなる市販例には、Aerogen社によって製造されるRespirgard II(登録商標)、Aeroneb(登録商標)、Aeroneb(登録商標)Pro、およびAeroneb(登録商標)Go;Aradigm社によって製造されるAERx(登録商標)およびAERx Essence(商標); Respironics社によって製造されるPorta-Neb(登録商標)、Freeway Freedom(商標)、Sidestream、VentstreamおよびI-neb;およびPARI, GmbH社によって製造されるPARI LC-Plus(登録商標)、PARI LC-Star(登録商標)が挙げられる。さらなる非限定的な例としては、米国特許第6,196,219号が参照により全体として本明細書に援用される。
【0056】
肺に投与され得るレボフロキサシンまたはオフロキサシンの量は、少なくとも約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約125mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、約700mg、約710mg、約720mg、約730mg、約740mg、約750mg、約760mg、約770mg、約780mg、約790mg、および約800mgを含むことができる。
【0057】
エアロゾルは、約120分、約100分、約90分、約80分、約70分、約60分、約20分、約10分、約5分、約4分、約3分、約2分、および約1分未満で肺に投与され得る。
【0058】
適応症
本明細書に記載された方法および組成物のある種の実施形態は、炎症に関連した特定の障害および疾患の治療に関する。特定の実施形態では、炎症は、肺もしくは上気道の急性または慢性炎症であってもよい。本明細書で使用するとき、「肺炎症」とは、呼吸器の少なくとも一部、例えば、肺および上気道の急性または慢性炎症を意味し得る。肺炎症に関連したこのような障害および疾患の例には、喘息、嚢胞性線維症、肺線維症、慢性気管支炎、気管支拡張症、慢性肉芽腫症、静脈洞炎、慢性閉塞性肺疾患、および肺炎が含まれ得る。
【0059】
ある種の実施形態は、肺炎症の低減を達成するための方法を含む。低減は、肺炎症の兆候および症状を低減することを含むことができる。ある種の実施形態では、方法は、肺における炎症性サイトカインのレベルの低減を達成することを含む。肺における炎症性サイトカインのレベルの低減は、様々な方法、例えば、痰および/またはBAL中の炎症性サイトカインのレベルの低減によって測定することができる。ある種の実施形態では、方法は、肺におけるIL-1β、IL-6、およびIL-8のレベルの低減を達成することを含む。
【0060】
(実施例)
(実施例1)
IL-6およびIL-8の産生に対する低濃度のレボフロキサシン、シプロフロキサシンおよびモキシフロキサシンのインビトロ活性
NL20細胞およびHBE135細胞は、気道上皮のある種の特徴を保持する不死化されたヒト気道上皮細胞であり、他の抗生物質の免疫調節作用を特徴付けるために幅広く使用されている(Blau Hら、Moxifloxacin but not ciprofloxacin or azithromycin selectively inhibits IL-8, IL-6, ERK1/2, JNK, and NF-kappaB activation in a cystic fibrosis epithelial cell line. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2007; 292: L343〜352頁;およびDonnarumma Gら、Anti-inflammatory effects of moxifloxacin and human beta-defensin 2 association in human lung epithelial cell line (A549) stimulated with lipopolysaccharide. Peptides 2007; 28: 2286〜2292頁、参照により全体として援用される)。NL20細胞およびHBE135細胞におけるIL-6およびIL-8の産生は、それぞれ緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来のTNFαまたはリポ多糖(LPS)の添加によって誘導された。サイトカインレベルに対する抗生物質の効果をELISAアッセイによって評価した。
【0061】
2mMのL-グルタミン、0.1mMの非必須アミノ酸、5μg/mlのインスリン、10ng/mlの上皮細胞増殖因子、1μg/mlのトランスフェリン、500ng/mlのヒドロコルチゾンおよび4%FBSを含むHam's F12培地にNL20細胞を維持した。5ng/mlのヒト組換えEGFおよび0.05mg/mlのウシ下垂体抽出物(Invitrogen社、カリフォルニア州サンディエゴ)を含み、5μg/mlのインスリンおよび500ng/mlのヒドロコルチゾンを補足した角化細胞用の血清不含培地中でHBE135細胞を日常的に増殖させた。
【0062】
NL20細胞を24ウェル組織培養プレート上に2×10
4個の細胞/mlで播種した。播種の翌日、細胞は、血清を含まない通常の増殖培地にさらに24時間受けた。同じ血清不含培地は、NL20細胞のその後の全ての処理のために使用された。NL20単層におけるIL-6およびIL-8の産生は、10ng/mlのTNFαによる処理によって誘導された。HBE135細胞は、1×10
5個の細胞/mlで24ウェルの組織培養プレートに分注され、さらに培地交換せずに播種の約24時間後にサイトカイン産生実験のために使用された。HBE135細胞におけるIL-6およびIL-8の産生は、緑膿菌由来の5μg/mlのLPSのよる処置によって誘導された。48時間後、細胞培地を回収し、浄化し、培地中に放出されたIL-6およびIL-8の量をQuantiGloケミルミネッセンスELISAキット(R&D社、ミネソタ州ミネアポリス)を用いて定量した。IL-6およびIL-8の分泌に対する抗生物質の効果を試験するために、抗生物質をLPSまたはTNF-αとともに培養培地に添加され、上記のように処理した。
【0063】
TNF-αは、NL20細胞におけるIL-6およびIL-8の産生の数倍の増加を誘導した(
図1Aおよび1B)。LPSは、HBE135細胞におけるIL-8レベルの増加を誘導した(
図2B)。10μg/mlおよび30μg/mlのレボフロキサシン、モキシフロキサシンまたはシプロフロキサシンを用いて処理されたNL20細胞において、IL-8レベルは約20〜30%低減した(
図1Aおよび1B)。レボフロキサシンまたはシプロフロキサシンを用いて処理された細胞においては、IL-6レベルの有意な変化は観察されなかった。しかしながら、30μg/mlシプロフロキサシンを用いて処理されたNL20細胞において、IL-6レベルの増加が観察された。
図2Aおよび2Bは、細胞におけるIL-6およびIL-8のレベルを示す。10μg/mlおよび30μg/mlのレボフロキサシン、モキシフロキサシンまたはシプロフロキサシンを用いて処理されたHBE135細胞において。この実験は、低濃度のレボフロキサシンが、LPSにより刺激されたHBE135細胞におけるIL-8のレベルを低減し得ることを示す。
【0064】
(実施例2)
レボフロキサシン、シプロフロキサシンおよびモキシフロキサシンのインビトロにおける細胞毒性
NL20細胞株およびHBE135細胞株に対するレボフロキサシン、モキシフロキサシンおよびシプロフロキサシンの細胞毒性をAlamar Blueアッセイを用いて測定した。抗生物質を用いて48時間のインキュベーション後、5%のAlamar Blue色素を含む新鮮な増殖培地中で細胞をインキュベートし、0時間目と4時間目で蛍光を記録し、抗生物質の細胞毒性を評価した。より高いレボフロキサシン濃度は、モキシフロキサシンおよびシプロフロキサシンと比較して、NL20細胞またはHBE135細胞のいずれかに対する細胞毒性が小さかった(
図3Aおよび3B)。モキシフロキサシンおよびシプロフロキサシンは、NL20細胞に対して300μg/mlで有意に細胞毒性を示した。
【0065】
(実施例3)
IL-6およびIL-8の産生に対するレボフロキサシンのインビトロ活性
TNFαにより誘導されたNL20細胞およびLPSにより誘導されたHBE135細胞は、300μg/mlのレボフロキサシン、またはMgCl
2が配合された300μg/mlのレボフロキサシンを用いて処理された。IL-6およびIL-8レベルのそれぞれ約10倍および5倍の低減が、300μg/mlのレボフロキサシン、またはMgCl
2が配合された300μg/mlのレボフロキサシンを用いて処理されたNL20細胞において観察された(
図4Aおよび4B)。さらに、IL-6およびIL-8レベルの低減が、300μg/mlのレボフロキサシン、またはMgCl
2が配合された300μg/mlのレボフロキサシンを用いて処理されたHBE細胞において観察された(
図4Cおよび4D)。レボフロキサシン、およびMgCl
2が配合されたレボフロキサシンは、インビトロにおいて類似した活性を有した。
【0066】
(実施例5)
レボフロキサシンおよびトブラマイシンのインビトロ活性
TNFαにより誘導されたNL20細胞およびLPSにより誘導されたHBE135細胞を10〜300μg/mlのレボフロキサシン、またはトブラマイシンにより処理した。いずれの処理間でも細胞毒性アッセイにおける細胞生存性に有意な変化が観察されなかった(データ示さず)。
【0067】
10ng/mlのTNFαにより処理されたNL20細胞においては、3.4±0.2pg/mlから40.3±2.3pg/mlのIL-6産生の増加が観察された(
図5A)。IL-8産生は3.3±0.2pg/mlから197.3±28.9pg/mlに増加した(
図5B)。5μg/mlのLPSを用いたNL20細胞のインキュベーションでは、IL-6およびIL-8産生にいずれにおいても有意な増加を生じさせなかった(データ示さず)。10μg/mlまたは30μg/mlのレボフロキサシンの添加は、NL20細胞によって産生されたIL-6およびIL-8のレベルを有意に変化させなかった。しかしながら、100μg/mlおよび300μg/mlのレボフロキサシンは、それぞれIL-6レベルにおいて2〜4倍の低減をもたらした(p<0.005)(
図5A)。IL-8のレベルは、100μg/mlおよび300μg/mlのレボフロキサシンを用いて処理されたNL20細胞においてそれぞれ50%および60%低減した(p<0.005)(
図5B)。10μg/ml〜100μg/mlのトブラマイシンは、IL-6またはIL-8の産生に有意に影響を及ぼさなかった(
図5Aおよび5B)。しかしながら、300μg/mlのトブラマイシンは、IL-6産生の増加を生じさせた(
図5A)。したがって、レボフロキサシンは、NL20細胞において、インビトロでの炎症性サイトカイン産生を低減する能力を示す。
【0068】
5μg/mlのLPSを用いたHBE135細胞のインキュベーションは、IL-6産生を46.1±6.4pg/mlから86.3±6.4pg/mlに増加させ、IL-8産生を280.7±54.9pg/mlから541.9±54.8pg/mlに増加させた。10または30μg/mlのレボフロキサシンおよびLPSを用いたHBE135細胞のインキュベーションは、IL-6およびIL-8レベルを有意に変化させなかった。しかしながら、100μg/mlおよび300μg/mlのレボフロキサシンは、IL-6レベルにおいてそれぞれ45%および40%の低減をもたらした(
図6)。IL-8のレベルは、100μg/mlおよび300μg/mlのレボフロキサシンを用いて処理されたHBE135細胞においてそれぞれ30%および20%低減した(
図6)。10μg/ml、30μg/ml、または100μg/mlのトブラマイシンを用いた細胞のインキュベーションはIL-6のレベルに影響を及ぼさなかったが、300μg/mlのトブラマイシンはIL-6のレベルを30%増加させた。30μg/mlから300μg/mlのトブラマイシンによる処理は、IL-8産生を20%から30%増加させた(p<0.005)。
【0069】
これらのインビトロでの研究は、レボフロキサシンが、培養されたヒト肺上皮細胞株において、炎症性サイトカインであるIL-6およびIL-8の産生において、投薬量に関連した低減を誘導し得ることを示した。300μg/mlのレボフロキサシンは、IL-6のレベルを4倍、およびIL-8のレベルを2倍低減した(p<0.05);対照的に、トブラマイシンは、IL-6レベルを50%増加させたが、IL-8に対しては効果がなかった。これらの所見は、MgCl
2が配合されたエアロゾルレボフロキサシンによる処理後に肺組織に得られた高濃度のレボフロキサシンは、慢性肺感染の患者において抗炎症の恩恵を与えることを示唆している。
【0070】
(実施例6)
ヒト単球細胞におけるレボフロキサシンのインビトロ活性
ヒト単球細胞株のTHP-1は、ヒト単球細胞の確立されたインビトロモデルであり、NL20細胞およびHBE135細胞と比較して、非常に様々なサイトカインを分泌することができる。10%FBS、0.05mMの2-メルカプトエタノールを含むRPMI-1640培地中でTHP-1細胞を培養した。血清を含まない増殖培地中で1×10
6個の細胞/mlでTHP-1細胞を24ウェル組織培養プレート上に播種した。翌日、緑膿菌由来の100ng/mlのLPSおよび抗生物質を添加し、培地を回収する前に24時間、細胞をインキュベートし、その後、サイトカイン産生を評価した。IL-6、IL-8、IL-1βおよびTNFα産生の定量化は、NL20細胞について上記の通りに行われた。
【0071】
10ng/mlのLPSによるTHP-1の刺激は、IL-1β、TNFα、IL-6およびIL-8レベルをそれぞれ60倍、200倍、30倍および600倍増加させた(
図7A、7B、7C、および7D)。LPSと100μg/mlおよび300μg/mlのレボフロキサシンの同時インキュベーションは、それぞれ40%および70%のIL-1βレベルの低減をもたらした(
図7A)。300μg/mlのレボフロキサシンはTNFα産生を増加させた(
図7B)。濃度増加させたレボフロキサシンを用いたインキュベーションは、投薬量に依存したIL-6産生の低減を引き起こし、300μg/mlのレボフロキサシンはIL-6レベルを5倍低減した(
図7C)。IL-8のレベルは、100μg/mlおよび300μg/mlのレボフロキサシンによって有意に低減した(
図7D)。
【0072】
(実施例7)
IL-8のmRNA発現に対するレボフロキサシンのインビトロ活性
ヒト単球細胞株のTHP-1は、ヒト単球細胞の確立されたインビトロモデルであり、NL20細胞およびHBE135細胞と比較して、非常に様々なサイトカインを分泌することができる。NL20単層におけるIL-8のmRNA発現は、10ng/mlのTNFαによる処理によって誘導された。レボフロキサシンをTNFαと同時に添加した。24時間のインキュベーション後、細胞の単層をPBSで洗浄し、全細胞のmRNAを調製し、ヒトIL-8に特異的なプライマーおよびAmbion社(テキサス州オースティン)の「Cells-to-cDNA」キットを用いて逆転写を行った。PowerSYBR Green PCRマスタミックスおよびGeneAmp 5700機器(Applied Biosystems社;ウォリントン、英国)を用いてcDNAをリアルタイムPCR分析に供した。全てのデータは、ハウスキーピング遺伝子のβ-アクチンに対して標準化された。TNFαによるNL-20細胞の刺激は、IL-8のmRNAレベルの統計学的に有意に(p<0.005)20倍の増加を生じさせた(
図8)。この増加は、TNFαによって誘導されたIL-8タンパク質の増加レベルと相関している。100μg/mlおよび300μg/mlのレボフロキサシンの添加は、IL-8のmRNA発現のレベルに有意な効果を与えなかった(
図4)。これらの結果は、レボフロキサシンが、タンパク質翻訳および/またはタンパク質分泌を含むプロセスを調節することによってIL-8分泌タンパク質のレベルを低減することを示唆している。
【0073】
(実施例8)
NFκB活性に対するレボフロキサシンのインビトロ活性
NFκBおよびAP-1は、ある種の炎症性サイトカインの転写活性における重要な調節因子である。この実施例は、NFκBの転写調節活性に対するレボフロキサシンの効果に関する。
【0074】
ヒト単球細胞株のTHP-1は、ヒト単球細胞の確立されたインビトロモデルであり、NL20細胞およびHBE135細胞と比較して、非常に様々なサイトカインを分泌することができる。96ウェルプレート上に3×10
4個の細胞/ウェルで細胞を播種し、翌日、NFκBによって調節されるプロモーターの調節下で分泌ルシフェラーゼタンパク質をコードするpMetLuc-NFκBレポータープラスミド(Clontech社)を用いてトランスフェクトした。トランスフェクション効率を標準化するために、強力な構成的プロモーターの調節下で分泌アルカリホスファターゼをコードするpSEAP-コントロールプラスミド(Clontech社)を用いて細胞を同時トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、10ng/mlのTNF-αおよびレボフロキサシンを含む新鮮な血清不含培地と培地交換した。インキュベーションの8時間後、細胞上清を回収し、ルシフェラーゼ活性およびアルカリホスファターゼ活性を「Ready-to-Glow Dual Screted Reporter assay」(Clontech社、カリフォルニア州マウンテンビュー)を用いて測定した。NFκB転写因子の調節下にあるルシフェラーゼ遺伝子をコードするレポータープラスミドを用いてトランスフェクトされた細胞は、低い基底レベルのルシフェラーゼ活性を生じさせた。NFκB経路の既知の活性化因子であるTNFαによる刺激は、プロモーター活性のほぼ20倍の増加をもたらした(
図9)。100μg/mlおよび300μg/mlのレボフロキサシンの添加は、レポーター遺伝子活性のレベルに対して有意な効果を生じさせなかった。これは、レボフロキサシンが、NFκBのTNFα刺激による転写活性に影響を及ぼさなかったことを示唆している。
【0075】
(実施例9)
MgCl
2を配合したレボフロキサシンのインビボ抗炎症活性
マウス(n=4)に50μgのLPSを腹腔内経路によって注射した。LPS処理の30分後、60mg/kgの生理食塩水対照、MgCl
2を配合したレボフロキサシン、またはトブラマイシンを含むマイクロスプレーエアロゾルデバイス(フィラデルフィア州ペンセンチュリー)を用いてマウスを処理した。エアロゾル化された処理の6時間後にマウスを屠殺し、1mlの生理食塩水を用いた洗浄により気管支肺胞洗浄(BAL)液を回収した。IL-6およびMIP-2(ヒトIL-8のマウスホモログ)レベルをELISAによって決定した。
【0076】
生理食塩水、MgCl
2を配合したレボフロキサシン、およびトブラマイシンを用いた処理は、それぞれ515pg/ml、233pg/ml、および502pg/mlの平均MIP-2レベルをもたらした(
図10A)。MgCl
2が配合されたレボフロキサシンを用いた処理は、生理食塩水対照と比較して、MIP-2レベルにおいて2倍を超える低減をもたらした。さらに、この低減は、生理食塩水処理されたマウスおよびトブラマイシン処理されたマウスの両方よりも有意に高かった(p<0.05)。同様の傾向がIL-6レベルにおいて観察された(
図10B)。レボフロキサシンによる処理は、生理食塩水対照におけるIL-6レベルよりも2倍を超えて低いIL-6レベルを生じさせた(p<0.05)。トブラマイシンを用いた処理は、生理食塩水対照と比較してIL-6レベルの増加をもたらした。このインビボのデータは、実施例5のインビトロのデータと一致し、レボフロキサシンによる処理はIL-6およびIL-8のレベルを低減し、一方、トブラマイシンはIL-8レベルに有意な効果はなく、IL-6レベルを増加させる傾向であった。
【0077】
このインビボ研究は、MgCl
2が配合された高濃度のレボフロキサシンによる処理がIL-6およびIL-8を含む炎症性サイトカインを低減し得ることを示す。したがって、これらの所見は、強力な抗菌作用に加えて、高濃度のレボフロキサシンが、急性および慢性炎症に罹り易い患者、例えば、CFおよびCOPDの患者に抗炎症の恩恵を有する場合があることを示唆している。
【0078】
(実施例10)
CF患者におけるMgCl
2を配合したレボフロキサシンの抗炎症活性
急性または慢性の肺炎症を患っているCF患者は、MgCl
2を配合したエアロゾルレボフロキサシンが投与される。処置後、急性炎症の低減が観察される。炎症性サイトカインのレベルの低減が観察される。肺におけるIL-1β、IL-6、およびIL-8のレベルの低減が観察される。痰および/またはBALにおけるIL-1β、IL-6、およびIL-8のレベルの低減が観察される。
【0079】
(実施例11)
COPD患者におけるMgCl
2を配合したレボフロキサシンの抗炎症活性
急性または慢性の肺炎症を患っているCOPD患者は、MgCl
2を配合したエアロゾルレボフロキサシンが投与される。処置後、急性炎症の低減が観察される。炎症性サイトカインのレベルの低減が観察される。肺におけるIL-1β、IL-6、およびIL-8のレベルの低減が観察される。痰および/またはBALにおけるIL-1β、IL-6、およびIL-8のレベルの低減が観察される。
【0080】
(実施例12)
慢性気管支炎患者におけるMgCl
2を配合したレボフロキサシンの抗炎症活性
急性または慢性の肺炎症を患っている慢性気管支炎患者は、MgCl
2を配合したエアロゾルレボフロキサシンが投与される。処置後、急性炎症の低減が観察される。炎症性サイトカインのレベルの低減が観察される。肺におけるIL-1β、IL-6、およびIL-8のレベルの低減が観察される。痰および/またはBALにおけるIL-1β、IL-6、およびIL-8のレベルの低減が観察される。
【0081】
(実施例13)
気管支拡張症患者におけるMgCl
2を配合したレボフロキサシンの抗炎症活性
急性または慢性の肺炎症を患っている気管支拡張症の患者は、MgCl
2を配合したエアロゾルレボフロキサシンが投与される。処置後、急性炎症の低減が観察される。炎症性サイトカインのレベルの低減が観察される。肺におけるIL-1β、IL-6、およびIL-8のレベルの低減が観察される。痰および/またはBALにおけるIL-1β、IL-6、およびIL-8のレベルの低減が観察される。
【0082】
(実施例14)
非CF気管支拡張症患者におけるMgCl
2を配合したレボフロキサシンの抗炎症活性
急性または慢性の肺炎症を患っている非CF気管支拡張症の患者は、MgCl
2を配合したエアロゾルレボフロキサシンが投与される。処置後、急性炎症の低減が観察される。炎症性サイトカインのレベルの低減が観察される。肺におけるIL-1β、IL-6、およびIL-8のレベルの低減が観察される。痰および/またはBALにおけるIL-1β、IL-6、およびIL-8のレベルの低減が観察される。
【0083】
参照により本明細書に援用される刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示に矛盾する範囲では、本明細書は任意のそのような矛盾事項に取って代わりおよび/または優先することが意図される。
【0084】
他に定義がなければ、全ての用語(技術科学的用語を含む)は、当業者にとって通常の慣習的なそれらの意味が与えられるべきであり、本明細書において明示的にそのように定義されていなければ、特定または特別の意味に限定されてはならない。
【0085】
本出願において使用される用語および語句、ならびにその変形は、他に明示的に記載がなければ、限定とは対照的に、制限のないものとして解釈すべきである。前述の例として、用語「含むこと(including)」は、「限定なしに含むこと」等と意味するように読むべきであり;用語「含む(comprising)」は、本明細書において使用するとき、「含むこと(including)」、「含むこと(containing)」、または「を特徴とする」と同義であり、包括的でありまたは制限がなく、さらなる列挙されていない要素または方法の工程を排除しない;用語「例」は、検討中の項目の例示を与えるように使用され、網羅的なまたは制限されたそのリストではなく;形容詞、例えば、「知られている」、「通常の」、「標準的な」、および類似の意味の用語は、記載された項目を所与の期間または所与の時間において利用可能な項目に限定するものとして解釈すべきでなく、代わりに、現在もしくは将来のいずれかの時期に利用可能であるまたは知られていてもよい、知られている、通常の、または標準的な技術を包含するように読むべきであり;「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、または「望ましい」のような用語、および類似の意味の単語の使用は、ある種の特徴が本発明の構造または機能に重大であり、本質的であり、または重要でもある意味を含むものとして理解すべきでなく、代わりに、本発明の特定の実施形態において利用されてもよくまたは利用されなくてもよい代替のまたは追加の特徴を強調するように単に意図されるように理解すべきである。同様に、接続詞「および」で連結された項目のグループは、それらの項目の1つ1つがそのグループに存在することを要するように読むべきでなく、むしろ、明示的に他に記載がなければ、「および/または」として読むべきである。同様に、接続詞「または」で連結された項目のグループは、そのグループ内で相互排他性を要するものとして読むべきでなく、むしろ、明示的に他に記載がなければ、「および/または」として読むべきである。さらに、本出願で使用するとき、冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、この冠詞の文法的な目的物の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)に言及するように解釈すべきである。例として、「1つの要素」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味
する。
【0086】
「1つまたは複数の」、「少なくとも」、「限定されないが」、または他の同様の語句などの、意味を拡大する単語および語句の、ある場合における存在は、このような意味を拡大する語句が存在し得る場合において、より狭い場合が意図されまたは必要とされることを意味するものとして読むべきではない。
【0087】
本明細書において使用される成分、反応条件などの量を表す全ての数値は、用語「約」によって全ての場合において変更されることが理解されるべきである。したがって、対照的に指示がなければ、本明細書に記載される数的パラメータは、得ようとされる所望の特性に応じて変化されてもよい概算値である。少なくとも、本出願に対して優先権を主張するいずれの出願における特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとする試みとしてではなく、各数的パラメータは、有効数字の数および普通の四捨五入のアプローチを考慮して解釈すべきである。
【0088】
さらに、上記は、明確化および理解のために説明および例によって幾分詳細に記載してきたが、ある種の変更および修正を実施してもよいことは当業者に明らかである。したがって、説明および実施例は、本発明の範囲を本明細書に記載された特定の実施態様および実施例に限定するものとして解釈すべきでなく、本発明の真の範囲および精神によってもたらされる全ての修正および代替も覆うように解釈すべきである。