特許第6099636号(P6099636)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6099636改良したレイアウトおよび形状を有する電極を備える有機構成部品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099636
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】改良したレイアウトおよび形状を有する電極を備える有機構成部品
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20170313BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20170313BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20170313BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20170313BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   H01L29/78 616T
   H01L31/10 A
   H01L29/78 618B
   H01L21/28 301B
   H01L29/44 S
   H01L29/50 M
   H01L29/44 P
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-513174(P2014-513174)
(86)(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公表番号】特表2014-517526(P2014-517526A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】EP2012060144
(87)【国際公開番号】WO2012163965
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2015年5月18日
(31)【優先権主張番号】1154828
(32)【優先日】2011年6月1日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(73)【特許権者】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・ベンワディ
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−111870(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/052058(WO,A1)
【文献】 特開2007−109733(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/117021(WO,A1)
【文献】 特開2010−232645(JP,A)
【文献】 特開2005−166744(JP,A)
【文献】 特開2004−158530(JP,A)
【文献】 特開2003−318437(JP,A)
【文献】 特開2006−189780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/28
H01L 29/41
H01L 29/417
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の電極と、少なくとも1つの第2の電極とを備えたマイクロエレクトロニクス構成部品であって前記第1の電極がソース電極であり、前記第2の電極がドレイン電極であり、前記第1の電極および前記第2の電極が、少なくとも1つの半導体高分子材料をベースとした活性層の領域によって隔離され、前記電極を隔離する前記活性層の前記領域が、可変の電極間距離を有し、前記ソース電極および前記ドレイン電極が三角柱の形状を有しており前記三角柱の底面が前記活性の主平面に垂直であり前記マイクロエレクトロニクス構成部品がソース電極およびドレイン電極の少なくとも一部に対向するゲート電極をさらに備え、前記電極間距離が、前記ゲート電極に接近するにつれて長くなり、前記ゲート電極が、上に置かれ、前記ソース電極の所与の一部および前記ドレイン電極の所与の一部に対向して位置し、前記ソース電極および前記ドレイン電極の他の部分が、前記ゲート電極に対向しないところに位置する、マイクロエレクトロニクス構成部品。
【請求項2】
前記ソース電極または前記ドレイン電極またはソース電極とドレイン電極の両方が、前記活性層の前記主平面と非ゼロ角度をなす少なくとも1つの傾斜した側面を備える、請求項に記載のマイクロエレクトロニクス構成部品
【請求項3】
前記ソース電極および前記ドレイン電極が、前記第1の電極と前記第2の電極とを隔離する前記距離が線形的に変化するような形状を有する、請求項またはに記載のマイクロエレクトロニクス構成部品
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの電極間に位置する半導体高分子材料をベースとした活性エリアを備える構成部品の分野に関し、詳細には、いわゆる「有機」トランジスタおよび光ダイオードの分野に関する。
【0002】
本発明は、マイクロエレクトロニクス構成部品を提供し、このマイクロエレクトロニクス構成部品の電極は、特に、ON状態すなわちその作動状態のその電流と、OFF状態すなわちその非動作状態のその電流との比に関して、その性能を改良した形状および構成を有する。
【背景技術】
【0003】
従来技術に従って使用される電界効果有機トランジスタの一例を図1A図1Bに示す。
【0004】
トランジスタは、支持体1に支えられ、2つのソース電極4およびドレイン電極6を覆う活性層2を備える。
【0005】
活性層2は、半導体特性を有する有機高分子型の材料で形成される。このトランジスタは、そのゲート電極10が、ソース電極4およびドレイン電極6の上に置かれるように構成される(図1A)。
【0006】
電極4および電極6は、平行六面体状のブロックの形状であり、したがって、チャネルエリア3の中へまたはそこから電荷を輸送する2つの注入面Si1およびSi2を備え、第1の注入面Si1が、活性層2の主平面に対して平行でチャネルエリア3と接触している電極ブロックの表面と、活性層2の主平面に対して垂直でチャネルエリア3と接触している電極ブロックの別の表面とに対応する。
【0007】
Ion/Ioffの比は、トランジスタのON状態とOFF状態を特徴付ける比である。Ioff電流は、最小化することが求められるリーク電流であり、一方Ion電流は、最大化することが求められる所与のゲート電圧での飽和電流である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
概括的に言えば、ON状態すなわちアクティブ状態の電流と、OFF状態すなわち非アクティブ状態の電流との間の、可能な限り高い比を有する有機構成部品を使用することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
始めに、本発明は、少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極とを備える、特に有機の、マイクロエレクトロニクス構成部品に関係し、第1の電極および第2の電極は、特に半導体性の、少なくとも1つの高分子材料をベースとした活性層の領域によって隔離され、第1の電極および第2の電極は、これらを隔離する距離が変化するように設計された形状および構成を有する。
【0010】
このように、第1の電極と第2の電極とを隔離する活性層の領域は、可変である「限界寸法」Dとも呼ばれる長さを有する。
【0011】
ここでは、「限界寸法」とは、その厚さを除いた、層または積層の最小寸法を意味する。
【0012】
本発明の第1の態様に従って、構成部品は、トランジスタ、特に、有機トランジスタとすることができる。
【0013】
この場合には、前記第1の電極は、ソース電極とすることができ、一方第2の電極はドレイン電極とすることができ、トランジスタは、前記第1の電極と前記第2の電極とを隔離する高分子材料の前記領域ならびにソース電極とドレイン電極の少なくとも一部に対向するゲート電極も備える。
【0014】
ソース電極および/またはドレイン電極は、活性層の主平面と非ゼロ角度を作る傾斜した側面をそれぞれ備える。
【0015】
ソース電極およびドレイン電極は、基板上に配置されてよく、ゲート電極が上に置かれてよい。特定の構成に従って、ゲート電極は、有利にはソース電極およびドレイン電極の一部のみに対向して位置することができる。
【0016】
このように、トランジスタのチャネルエリアの近くに位置するソース電極およびドレイン電極の一部は、ゲート電極に対向して配置されてよく、ソース電極およびドレイン電極の他のエリアは、ゲート電極が真上に置かれてなく、ゲート電極に対向しないところに位置する。
【0017】
一構成の可能性に従って、ソース電極およびドレイン電極は、第1の電極と第2の電極とを隔離する距離が、線形的にまたは実質上線形的に変化するような形状を有することができる。
【0018】
ソース電極およびドレイン電極の構成は、ソース電極とドレイン電極とを隔離する距離が、前記ゲート電極に接近するにつれて長くなるようにも設計されうる。
【0019】
この構成は、低減したリーク電流Ioffを有すると同時に飽和電流Ionに関してトランジスタを改良する。
【0020】
ソース電極およびドレイン電極は、三角形の底面をもつ角柱の形状を有することができ、この三角形の底面は、活性層に対してすなわち活性層の主平面に対して垂直であることができる。
【0021】
別の実施可能性に従って、トランジスタは、ソース電極とドレイン電極とを隔離する距離は、ゲート電極および活性層に対して平行な方向に長くなるように、形成されうる。
【0022】
ソース電極およびドレイン電極は、活性層の主平面に対して平行な三角形の底面をもつ角柱の形状を有することができる。
【0023】
本発明の第2の態様に従って、構成部品は、ダイオード、特に光ダイオードとすることができる。
【0024】
一実施可能性に従って、第1の電極および/または第2の電極は、活性層の主平面と角度をなす傾斜した側面を備えることができる。
【0025】
第1の電極および第2の電極は、第1の電極と第2の電極とを隔離する距離が線形的に変化するような形状を有することができる。
【0026】
一実施可能性に従って、第1の電極および第2の電極は、三角形の底面をもつ角柱の形状を有することができ、この三角形の底面は、活性層の主平面と非ゼロ角度をなす。
【0027】
一実施可能性に従って、第1の電極および第2の電極は、活性層の主平面と非ゼロ角度をなす第1の傾斜した側面、ならびに、前記第1の側面に対向し活性層の主平面と非ゼロ角度をなす第2の傾斜した側面とをそれぞれ備えることができ、第1の側面および第2の側面が、光放射を反射する面を備える。
【0028】
本発明は、単に指標としてのみでありいかなる限定もしない与えられた例示的実施形態の説明を読み、添付の図面を参照することによってより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】従来技術による、電界効果有機トランジスタを示す図である。
図1B】従来技術による、電界効果有機トランジスタを示す図である。
図2A】電極の構成および形状が改良された、本発明に従って実施された電界効果有機トランジスタの一例を示す図である。
図2B】電極の構成および形状が改良された、本発明に従って実施された電界効果有機トランジスタの一例を示す図である。
図2C】電極の構成および形状が改良された、本発明に従って実施された電界効果有機トランジスタの一例を示す図である。
図2D】電極の構成および形状が改良された、本発明に従って実施された電界効果有機トランジスタの一例を示す図である。
図3】電極の構成および形状が改良された、本発明に従って実施された電界効果有機トランジスタの別の例を示す図である。
図4】改良された構成および形状をもつ電極を備える、本発明に従って実施された有機光ダイオードを示す図である。
図5A】本発明に従って実施された有機構成部品の電極を製作するための方法を示す図である。
図5B】本発明に従って実施された有機構成部品の電極を製作するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
様々な図面中の同一、同様または同等の部品は、1つの図面から別の図面まで通して見ることを容易にするために同じ参照番号を表す。
【0031】
図面中に示す様々な部品は、図面をより見やすくするために、必ずしも均一の縮尺で示されていない。
【0032】
ここで、本発明によるマイクロエレクトロニクス構成部品の一例について、図2A〜図図2Dに関連させて説明する。
【0033】
この例では、マイクロエレクトロニクス構成部品は、支持体100上に形成され、例えばポリエチレンナフタレートをベースとした、例えば50μm〜200μmの厚さであり有利には100μm〜150μmである電界効果有機トランジスタである。
【0034】
例えばTIPS(トリイソプロピルシリルペンタセン)、例えば20nm〜200nmの厚さなどの、少なくとも1つの半導体高分子材料に基づく活性層102が、基板100に支えられている。
【0035】
この活性層102は、チャネルを形成し2つのソース電極104とドレイン電極106との間に位置しゲート電極110に対向するエリア103、を備える。
【0036】
ソース電極104およびドレイン電極106は、支持体100に支えられ、活性層102に覆われる。ソース電極104およびドレイン電極106は、20nmから200nmまで変化する厚さを有することができる。
【0037】
この例示的実施形態では、電極104、106の上に、厚さのある活性層102が置かれ、この厚さのある活性層102それ自体の上に、ゲート絶縁層107が置かれており、このゲート絶縁層は、例えばフッ素化重合体またはポリスチレン、例えばAGC旭硝子のCytop(登録商標)などをベースとした層であり、例えば厚さ400nm〜1μmである。一方、ゲート電極110は、絶縁体の層107に支えられて、ソース102およびドレイン104の電極の上に置かれている。
【0038】
ゲート電極110は、活性層の領域103、ソース電極104の一部104aおよびドレイン電極106の一部106aに対向して配置される。
【0039】
このように、この例では、ソース電極の一部104aおよびドレイン電極の一部106aのみが、その真上にゲート電極110が置かれており、ゲート電極110に対向する。電極の一部104a、106aよりトランジスタのチャネルエリアから遠く離れ、電極の一部104a、106aよりゲート絶縁エリア107に近い電極104、106の他のエリア104b、106bは、ゲート電極110に対向しないところに配置される電極104、106の部分として存在する。
【0040】
このゲート電極110は、例えば、Agで形成され、例えば厚さ100nm〜5μmで形成されうる(図2A)。
【0041】
このトランジスタでは、ソース電極104とドレイン電極106とを隔離する距離Dは、電極間に位置する領域内に位置するものに応じて可変となるように設計される。
【0042】
これら電極の構成は、特に、ソース電極104とドレイン電極106とを隔離する距離Dが線形的に変化するように設計されうる。
【0043】
図2Bの例では、トランジスタの電極、例えばそのソース電極104は、活性層102の主平面に垂直な方向で測定した可変の厚さeを有する(活性層102の主平面とは、この層を通過すると画定され、図2A図2Dの直交参照系
【0044】
【数1】
【0045】
の平面
【0046】
【数2】
【0047】
に平行な平面である)。
【0048】
このように、このソース電極104からゲート電極110を隔離する(直交参照系
【0049】
【数3】
【0050】
のベクトル
【0051】
【数4】
【0052】
に平行な方向で測定された)距離Dは、可変であり、ソース電極104とドレイン電極106との間に位置する領域103の中心(図2B)が接近するにつれて長くなる。
【0053】
図2C中の例では、2つのソース電極104およびドレイン電極106が可変の厚さを有し、また、これらの電極104と106とを隔離する(直交参照系
【0054】
【数5】
【0055】
のベクトル
【0056】
【数6】
【0057】
に平行な方向で測定された)距離Dが、可変であり、ゲート電極110に接近するにつれて長くなるように構成される。
【0058】
この例示的実施形態では、電極104および106は、傾斜した側面を備えており、第1の傾斜した側面114と、第1の側面114に対向して位置する第2の傾斜した側面116とをそれぞれ備える。
【0059】
側面114および116のそれぞれは、基板100もしくは活性層102の主平面に対して垂直な方向nと非ゼロ角度をなし、または、基板100もしくは活性層102の主平面に対して平行な面と90°より小さい角度αをなす。
【0060】
側面114および116のそれぞれと基板100もしくは活性層102の主平面とがなす角度αは、例えば15°〜85°、特に30°〜60°、例えば45°とすることができる。
【0061】
このように、この例では、ソース電極104およびドレイン電極106は、基板100もしくは活性層102の主平面と非ゼロ角度、例えば90°を形成する三角形の底面を備えた角柱の形状を有する。
【0062】
この例示的実施形態では、ゲート110が、ゲート電位Vgにバイアスをかけるとき、層102の半導体材料が、空乏層化して一定の深さになる。次いで、電荷は、ドレイン−ソース電圧VDSの印加によって、電極104と電極106との間に作られた電界にさらされ、電流としてトランジスタの応答を形成する。
【0063】
低いゲート電位Vg=Vg1の場合、半導体高分子をベースとした活性層の上側部分のみが空乏層化される。この活性層の上側部分は、電極104と電極106との間の距離Dが、最長になる箇所に対応する。
【0064】
したがって、与えられたドレイン−ソース電圧VDSに対して、作られた電界は弱く、その結果、収集される電荷はわずかであり、そのため、電流Ioffが非常に低く、すなわちトランジスタがOFF状態となる。
【0065】
他方では、高いゲート電位Vg=Vg4の場合、空乏層化する範囲はより深く、電極間の距離Dは最小となる。次いで、電界が最も強くなり、ON状態の電流Ionがより大きくなるので、最大の電荷量が収集される(図2D)。
【0066】
このように、構造体を備えるトランジスタは、従来型構成の電極を有する有機トランジスタ構造体と比較して、ON状態の増大した電流IonとOFF状態の減少した電流Ioffとの双方を有する。
【0067】
本発明による電界効果有機トランジスタの別の例が、図3に与えられる(トランジスタは、この図面中では平面図で示される)。
【0068】
このトランジスタは、可変距離DLによって隔離されたソース電極204およびドレイン電極206を備え、また、そのソース電極204およびドレイン電極206の形状により先に説明したものとは異なる。
【0069】
この例では、ソース電極204およびドレイン電極206が、三角形の底面をもつ角柱の形状のプレートであり、角柱の底面は、活性層102または支持層100の主平面に平行である(活性層102の主平面は、図3に与えられた平面
【0070】
【数7】
【0071】
に平行な平面である)。
【0072】
ソース電極204およびドレイン電極206は、これらソース電極204とドレイン電極206とを隔離する(直交参照系
【0073】
【数8】
【0074】
のベクトル
【0075】
【数9】
【0076】
に平行な方向で測定された)距離Dが、線形的に変化するように構成され、その結果、電圧が、電極204と206の間に印加されるとき、電極間の電界は、(直交参照系
【0077】
【数10】
【0078】
のベクトル
【0079】
【数11】
【0080】
に平行な方向で)ゲートに沿って変化する。
【0081】
この例では、ゲート電極210からソース電極204またはドレイン電極206をそれぞれ隔離する(ベクトル
【0082】
【数12】
【0083】
に平行な方向で測定され、図3に示さない)距離Dは、一定とすることができる。
【0084】
この例では、ゲート210に印加される電圧がいくらでも、電極間に位置する半導体有機材料の同一体積が、空乏層化する。ただし、ソースとドレインの間の電圧VDSによって作られる電界は、トランジスタの全体の長さにわたってすなわちゲートに沿って(直交参照系
【0085】
【数13】
【0086】
のベクトル
【0087】
【数14】
【0088】
に平行な方向で)一定ではない。
【0089】
ソース−ドレイン電圧VDS=VDS2は、電極のスパイク217、218が互いの間の距離DL−DLminで互いに対向して位置するエリア内で使用されうるが、一方、より低い電圧VDS=VD1は、電極204と206の間に位置するエリア内で使用され、電極204と206との間の間隔は最大になる。
【0090】
トランジスタの長さ方向での電極204と206との間の間隔が可変であるため、これら電極204と206は、一般に有機トランジスタの電極のために設けられた最小の間隔より短くなりうる極小距離DLminの間隔をあけることができる。
【0091】
このように、電極204と206との間の間隔が可変であると、トンネル効果を制限し、電極を共に接近させることが可能になる。
【0092】
電極のスパイク同士が対向する点での最小間隔は、少なくとも10μmより短く、例えば約5μmとなりうる。電極204および206は、最大距離DLmaxの間隔をあけることができ、例えば、約55μmとなりうる。こうした構成により、電極が一定の間隔例えば約30μmで構成された従来型トランジスタのON状態の電流より大きい、ON状態の電流Ionを得ることが可能になる。
【0093】
高分子をベースとした活性エリアを備えた本発明によるマイクロエレクトロニクス構成部品の別の例が、図4に与えられる。
【0094】
この例では、構成部品は、支持体300に支えられた電極304および306と、電極間に位置する活性層302とを備える有機光ダイオードである。
【0095】
活性層302は、n型半導体高分子材料とp型半導体高分子材料とを備える高分子材料の混合物をベースとすることができる。
【0096】
活性層302の高分子材料は、例えば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)または通例「P3HT」と呼ばれるポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)などのp型半導体高分子と、例えば通例「PCBM」と呼ばれるメチル[6,6]−フェニル−C61−ブタン酸などのn型半導体高分子の混合物とすることができる。
【0097】
活性層302は、例えば、50nm〜400nmの厚さを有することができる。
【0098】
この例では、電極304および306は、三角形の底面をもつ角柱の形状であり、この三角形の底面は、支持層の主平面または活性層302の主平面と非ゼロ角度、例えば90°の角度をなす(活性層302の主平面は、図4に与えられた平面
【0099】
【数15】
【0100】
に平行な平面である)。
【0101】
ソース電極304およびドレイン電極306は、これら電極304と電極306とを隔離する(直交参照系
【0102】
【数16】
【0103】
のベクトル
【0104】
【数17】
【0105】
に平行な方向で測定された)距離Dが、可変であり、支持体300から離れていくと同時に、特に線形的に長くなるように構成される。
【0106】
この例示的実施形態では、光ダイオードの電極304および306は、反射面をもつ傾斜した側面を備えており、反射面をもつ第1の傾斜した側面314と、第1の傾斜した側面314に対向して位置する反射面をもつ第2の傾斜した側面316とをそれぞれ備える。
【0107】
側面314および316は、支持体300または活性層302の主平面と非ゼロ角度a、例えば30°〜60°、例えば45°の角度をなし、活性層302を通過した光放射を反射するものである。この方式では、活性層302の材料中で発生する励起子の量を、増大することができる。
【0108】
電極304および306は、例えば、金をベースとし、20nmから200nmまで変化する厚さを有する。
【0109】
低い照度の下では、電荷は、活性層302の上側エリア中で生じることができ、この領域では、電極304と電極306の間の空間DLが、最大となり、DLmaxに等しく、例えば約10μmから500μmまでとなる。
【0110】
強い照度の下では、励起子が、活性エリア302の厚さ全体に形成されうる。
【0111】
幅が小さい活性エリア302の領域では、はるかに多くの電荷が収集され、照度はより高くなる。
【0112】
反射面314、316も備えることによって、電極は、光学反射部としての役割を果たすことができ、収集する電荷の数量を増大させるために、活性エリア302の内部へ光子の向きを変えることができる。
【0113】
電極304および306は、例えば、Auで形成され、Agの層をベースとした反射面で覆われうる。
【0114】
ここで、傾斜した側面をもち、有機活性材料をもつマイクロエレクトロニクス構成部品内での集積化を意図した電極の例示的実施形態が、図5A図5Bに関連して与えられる。
【0115】
これらの電極は、マスク400から製作され、マスク400は、例えば、ポリエチレンナフタレートとすることができる。
【0116】
浅くなっていく異なる深さをもつ一連の凹み401a、401b、401cは、この支持体中で形成され、これらは、例えば、金または銀のナノ粒子を含むインクなどの導電インクで満たされる。
【0117】
この方法は、押圧シリンダ501および彫刻シリンダを備え、凹み401a、401b、401cを形成するために印刷するべきマスク400をこれらシリンダの間を通し、この彫刻シリンダが導電インクで満たされたインクダクト504を通過するような装置、を用いてグラビア印刷で実施されうる。このグラビア印刷装置は、余剰のインクを取り除く手段を備えることができる。次いで、形成されたパターンは、鋳型から取り出され最終的に電極支持体へ移送される。
【0118】
別の方法に従えば、次に鋳型から取り出され導電層を蒸着するための支持体として働く高分子で、マスクは満たされうる。
【符号の説明】
【0119】
1 支持体
2 活性層
3 チャネルエリア
4 ソース電極
6 ドレイン電極
10 ゲート電極
100 基板
102 活性層
103 エリア、領域
104 ソース電極
104a ソース電極の一部
104b ソース電極の他のエリア
106 ドレイン電極
106a ドレイン電極の一部
106b ソース電極の他のエリア
107 絶縁ゲート層
110 ゲート電極
114 第1の傾斜した側面
116 第2の傾斜した側面
204 ソース電極
206 ドレイン電極
217 スパイク
218 スパイク
300 支持体
302 活性層
304 電極
306 電極
314 第1の傾斜した側面
316 第2の傾斜した側面
401a 凹み
401b 凹み
401c 凹み
501 押圧シリンダ
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B