特許第6099647号(P6099647)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6099647カウンターパルセーション及び血流導管の結合のための装置、方法、およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099647
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】カウンターパルセーション及び血流導管の結合のための装置、方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/12 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   A61M1/12
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-525200(P2014-525200)
(86)(22)【出願日】2012年8月13日
(65)【公表番号】特表2014-528762(P2014-528762A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】US2012050604
(87)【国際公開番号】WO2013043276
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年8月12日
(31)【優先権主張番号】61/522,401
(32)【優先日】2011年8月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ダウリング ロブ
(72)【発明者】
【氏名】クン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】スペンス ポール
(72)【発明者】
【氏名】ザイス トーステン
(72)【発明者】
【氏名】シュパニアー ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】グラッツ エリック
(72)【発明者】
【氏名】ヘイスティー ケイトリン
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05084064(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0095210(US,A1)
【文献】 米国特許第04240409(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔の第一の部分を画定する第一の導管部分であって、該第一の導管部分が膨らんだ領域と該膨らんだ領域から伸びている内腔延長部とを含み、該膨らんだ領域の少なくとも一部は、内腔延長部の断面積より広い断面積を有する、第一の導管部分と、
内腔の第二の部分を画定する第二の導管部分と
を含む血流導管であって、
二の導管部分先端部分を含み、
腔を通って血液が流れる時に該先端部分と膨らんだ領域の内部壁とが接触しないように設計された様式で、該先端部分が少なくとも部分的に、膨らんだ領域内に伸びている、および
該膨らんだ領域が該内腔延長部と第二の導管部分の一部との間に位置する、血流導管。
【請求項2】
先端部分が、膨らんだ領域の内壁の表面粗さを下回る表面粗さを有する内壁を含む、請求項1記載の血流導管。
【請求項3】
先端部分が、金属またはポリマーからなる群より選択される少なくとも一つの材料から形成され、膨らんだ領域が、組織または細胞の内稙を促進する材料から形成されている、請求項2記載の血流導管。
【請求項4】
先端部分が、少なくとも部分的にシリコンから形成されており、膨らんだ領域が、繊維または織物から形成されている、請求項2記載の血流導管。
【請求項5】
膨らんだ領域が、外科的処置中に一緒に装着されるよう適合された少なくとも二つの部品で形成されている、請求項1記載の血流導管。
【請求項6】
先端部分が、血液ポンプの一部である、請求項1記載の血流導管。
【請求項7】
第一及び第二の導管部分が、外科的処置中に一緒に装着されるように構成されている、請求項1記載の血流導管。
【請求項8】
第一及び第二の導管部分が、外科的処置中に一緒にかつポンプに装着されるように構成されている、請求項1記載の血流導管。
【請求項9】
先端部分の周りに装着するワッシャーをさらに含む、請求項1記載の血流導管。
【請求項10】
血液ポンプと、
前記請求項のいずれか一項に記載の血流導管と
を含む、血流補助システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
カウンターパルセーションは、心臓の機械的補助の周知の形態である。毎年世界中で100,000人以上の患者に使用されており、心機能不全が短期である多くの患者が救われうる。これらの患者のほとんどすべては、現在では動脈内バルーンポンプ(IABP)を用いた治療を受けており、この動脈内バルーンポンプは、患者の下行大動脈に置かれたカテーテルに取り付けられたバルーンから構成され、心臓の機能を向上させるために、バルーンが膨らんだりしぼんだりする。バルーンカテーテルは、通常、鼠径部の動脈に挿入され、このカテーテルは、患者のベッドのわきに置かれた制御装置につながれている。制御装置は、細いカテーテルを通して、ヘリウムのような軽い気体を、バルーンに入れたり出したりする。バルーンは、心臓が脈打つのにあわせて非常に早く空になり、大動脈内の圧力を下げ、心臓が血液を押し出すのを容易にする。心臓が弛緩するとバルーンはふくらみ、血液が心臓の動脈及び体の他の部分を通って押し出される。心臓の負荷を減らすことと、心臓への血流を増大させることの組み合わせは、心機能に関して非常に有益な効果を有する。
【0002】
患者にとって残念なことに、カテーテルは鼠径部に挿入され、患者はベッドにあおむけに寝たままにならなくてはならない。患者は身動きできず弱ってくるので、この状態をずっと維持することはできない。また、時々病原体がカテーテルを伝わって血流内に入り、重篤な状態を引き起こす。
【0003】
カウンターパルセーションの別の形態が、図1に示される。ここでは、ポンプ10が、患者の右側のペースメーカーポケットに埋め込まれている。血液が、一方の側でポンプ10を満たし、空気または他の液体が、ポンプ10のもう一方の側の嚢または袋(図示されていない)を満たす。空気送達ライン12が、ペースメーカーポケットから皮膚出口部14まで通り抜けており、かくして、ポンプ10全体は皮膚下にあり、長期間そこにあり続け得る。送達ライン12は皮膚を出た後、圧縮された空気をポンプ10に定期的に出し入れするように制御する小さな空気駆動ユニット16に取り付けられる。ポンプ10の隙間は、嚢または袋で形成され得る。隙間は、心臓が脈打つに従って空気で満たされ(血液を排出するのにより少ない心仕事量)、血液を循環中に戻すために空になる(患者に対してより多くの流量)。ポンプ10は、導管20で循環器に取り付けられる。導管20は、患者の循環器系とポンプ10との間で血液を出し入れする。この状況によって患者は、十分に移動でき永続的なカウンターパルセーションを有することが可能になる。深刻な、かつ潜在的に不可逆性の心機能不全の患者にとって、これは非常に優れた点であり、小さい電池式駆動制御装置16を持ち運ぶ必要があること以外は、比較的通常の生活を送ることができる。
【0004】
上述のように、血液は、循環器に結合した導管20で、ポンプ10に定期的に出し入れされる。この導管20の埋め込みおよび使用に関連して、いくつかの考慮すべき事柄がある。第一に、ほとんどすべての導管は血液を一方向に流すが、この導管20では、各心周期でポンプ10が満たされたり空になったりするのにつれて、各心拍に対して二回、血液の流れる方向が変わる。これは、下記に述べるいくつかの重要な事項をもたらす。この状態において導管を用いる潜在的困難性として二番目のものは、導管は鎖骨下動脈22または腋窩動脈に典型的に縫合されるが、これらの血管は、鎖骨の下、しばしばかなり深いところに位置しているため、外科医が、導管20の端部を動脈22に縫合するのが技術的に困難であることである。
【0005】
二方向に流れる導管の問題は、血液と組織の、合成された材料の境界線との反応に関連しており、この反応は血流の方向に依存する。例えば、血液ポンプのような多くの医療装置は、患者の循環器に、組織または細胞の内稙を促進する材料、例えば、Dacron(登録商標)、または、進展した多孔性Teflon(登録商標)(ePTFE)のようなポリエステル材料等の人工移植用材料で結合される。血液ポンプの内側は、概してなめらかであり、金属またはプラスチックで構成される。血液が、滑らかな金属またはプラスチックの血液ポンプから、人工血管(例えばポリエステル)へ流れる場合、ポンプが導管と交わる境界部(プラスチックまたは金属から人工血管へ)は固定的な接合部であり、この接合部を介して血液が前方へ流出するときには、ほとんど問題がない。
【0006】
残念ながら、経験からいうと、血液が逆に、ポリエステルのような人工血管から、滑らかな表面を備える血液ポンプに向かって流れる場合は、血小板およびフィブリンを含む血液成分の沈殿物が、二つの材料の接合部、主に人工血管の上に沈殿し、ポンプへの流入を妨害する。これらの沈殿物、特に血小板は、さらに多くの血液要素を誘因し、大きくてしばしばもろい沈殿物が、この接合部に現れる。これらの沈殿物は、接合部から剥がれ落ちて血液ポンプに入り、患者の循環器を通って送達されうる。これらの沈殿物は、どこにでも流れ得るが、脳への動脈に到達した場合脳梗塞を起こし得る。このため、多くの成功した血液ポンプは、ポンプに血液を流入させるための滑らかな合成導管(例えばシリコンまたはウレタン)を採用している。
【0007】
カウンターパルセーションの問題は、血液が、交互に二方向に流れることである。一つの解決法としては滑らかなシリコンまたはウレタン導管を用いることが挙げられ、この方法によって、ポンプに血液が入る箇所である、ポンプと導管の間の固定的な接合部を形成し得る。これは、ポンプへの流入における問題を解決する。しかしながら、シリコン材料が動脈に吻合される(縫合される)とき、接合部には、血液材料(フィブリンおよび血小板)による多量の沈殿物が生じる。したがって、単に流入用導管をシリコン表面で置き換えただけでは十分ではない。単にシリコン導管を有しかつ繊維製の延長部分を加えることが魅力的であるが、これは、単に、グラフトの粗く織られた表面とポンプとの接合部に起きる問題を、グラフトとシリコンチューブまたはシリコンカニューレとの間の接合部に移すにすぎない。
【発明の概要】
【0008】
[本発明1001]
内腔の第一の部分を画定する第一の導管部分と、
内腔の第二の部分を画定する第二の導管部分と
を含む血流導管であって、
第一または第二の導管部分のうち少なくとも一方が先端部分を含み、
第一または第二の導管部分のうちもう一方が膨らんだ領域を含み、
内腔を通って血液が流れる時に該先端部分と膨らんだ領域の内部壁とが接触しないように設計された様式で、該先端部分が少なくとも部分的に、膨らんだ部分内に伸びている、血流導管。
[本発明1002]
先端部分が、膨らんだ領域の内壁の表面粗さを下回る表面粗さを有する内壁を含む、本発明1001の血流導管。
[本発明1003]
先端部分が、金属またはポリマーからなる群より選択される少なくとも一つの材料から形成され、膨らんだ領域が、組織または細胞の内稙を促進する材料から形成されている、本発明1002の血流導管。
[本発明1004]
先端部分が、少なくとも部分的にシリコンから形成されており、膨らんだ領域が、繊維または織物から形成されている、本発明1002の血流導管。
[本発明1005]
膨らんだ領域が、外科的処置中に一緒に装着されるよう適合された少なくとも二つの部品で形成されている、本発明1001の血流導管。
[本発明1006]
先端部分が、血液ポンプの一部である、本発明1001の血流導管。
[本発明1007]
第一及び第二の導管部分が、外科的処置中に一緒に装着されるように構成されている、本発明1001の血流導管。
[本発明1008]
第一及び第二の導管部分が、外科的処置中に一緒にかつポンプに装着されるように構成されている、本発明1001の血流導管。
[本発明1009]
先端部分の周りに装着するワッシャーをさらに含む、本発明1001の血流導管。
[本発明1010]
血液ポンプと、
前記本発明のいずれかの血流導管と
を含む、血流補助システム。
[本発明1011]
本明細書に示され、及び/または、記載された、血流導管。
[本発明1012]
本明細書に示され、及び/または、記載された、血流導管を埋め込む方法。
[本発明1013]
本明細書に示され、及び/または、記載された、血流補助システム。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
図8は、可能性のある一つの解決法についてその断面図を示している。鎖骨下動脈22が、図の上の方に示されている。ダクロン(登録商標)、テフロン(登録商標)、または他の材料の「泡型部」または膨らんだ領域24が、動脈22に縫合される。シリコンまたは他の滑らかな材料の導管部分26が、膨らんだ領域24のもう一方の側に結合されている。直接的な接合部というよりはむしろ、特別な境界部が設けられている。滑らかなシリコン表面部分26は、繊維または他の材料で形成された膨らんだ領域24の内側に数ミリメーター、先端部分26aで伸びている。シリコン先端部分26aの壁は、膨らんだ領域または泡型部24の、繊維または材料には接触していない。これは、シリコンと繊維(または、滑らかな部分と粗い部分)が接触する箇所が生じるのを回避している。
【0011】
繊維表面と滑らかな表面との間の連続的な結合が無いように、段差を作ることによって、弁内への組織の内稙を回避する配置で心臓弁を構成した。この段差は、組織が接合箇所を超えて伸び、血小板およびフィブリンが沈殿する箇所を作るのを妨げる。小さいワッシャー材料を使用することも有用であるかもしれない。図8は、先端26aの根元の周囲にある、血液成分の付着を阻止し得る小さいワッシャー28を示している。
【0012】
図9は、グラフト材料の「泡型部」または膨らんだ領域24aが、吻合部から離れて設置されている配置を示している。特に膨らんだ領域24aは、動脈22に吻合されている延長部24bと連結されているか、または延長部24bを含む。他の特徴は、以前に記載した通りであり得る。
【0013】
図10A及び図10Bは、類似の配置が、ポンプ10の接合部になされうることを示している。ここで、プラスチック、金属または他の滑らかな表面の接合部またはポンプ10の先端部分10aは、泡型部境界部24aによって、膨らんだグラフト材料の粗い表面から分離されている。グラフト材料の延長部24bは、前述のように動脈22に縫合されている(図9)。反対側の端部にある別の延長部24cは、好適なコネクター28と協同して、ポンプ境界部または先端部分10aに対する連結を容易にし得る。連結部または境界部10aは、使用しているグラフト材料24a中に延びて入口/出口として働くが、通常は接触しない。
【0014】
泡型部または膨らんだ部分を有するこれらの装置は、一体で作製され得る。前述のように、鎖骨下動脈22はかなり深くに位置し、切開は小さい。したがって、泡型部または膨らんだ部分を有するグラフトを縫合しようとする外科医は、深い穴の中で作業していることになる。グラフトの端部における泡型部または膨らんだ部分は、動脈への視界を覆い隠す。この問題を回避し、かつ滑らかな表面と粗い表面が、直接直線上で接触しない配置を維持する必要性も満足させることが有用であろう。
【0015】
かかる解決法を図2及び図3に示す。ここで、上述のような素材で形成されたグラフト要素が、動脈に縫合される。グラフト要素30は一端にフランジ32を有する。要素30は小さくて動かすのが容易であり、したがって外科医の視界を覆い隠さない。図3は、動脈22の開口22aの周囲にこの要素30を縫合するのが容易であることを示している。
【0016】
図4は、例えば導管部分26の、縫合材料またはグラフト材料の縁もしくはフランジ34が、動脈22にすでに吻合された要素30のフランジ32に装着されるとき、導管20のシリコン材料部分26と、グラフト要素30との間の接合が、どのように再形成されるかを示している。
【0017】
図5は、二つのフランジ32と34がどのように縫合されるかを示している。これは、行うのが非常に容易な吻合である。
【0018】
これらのフランジ32と34は、単に縫合糸によってのみではなく、ステープル、クリップ、のり、クランプ等によって連結されうることを理解されたい。
【0019】
図6Aは、二つのフランジ32と34を一体化する際の垂直断面図を示している。
【0020】
図6Bは、泡型部または膨らんだコネクター30が、平らである必要がない、すなわち斜めであってもよいことを示している。またコネクター30は、本明細書中他の箇所に示したような、概して球状の泡型である必要はない。要点は、使用中に接合部において、膨らんだ領域が、シリコンとグラフト表面(すなわち、滑らかな流面と粗い流面)との直接的な接触を回避させることだけである。
【0021】
泡型部または膨らんだ領域36は、それがグラフトを泡型部36内で動かすかまたは「旋回」させ、依然として泡型部36の壁には接触させないことが可能であるので、非常に有用である。
【0022】
図6Bはまた、クリップまたはステープル38が、コネクター30を動脈22に取り付けており、かつフランジ32、34を一緒に取り付けていることを示している。
【0023】
導管部分26は、全部がシリコンである必要はない。曝露される血液と適合し得る表面を提供する任意の内側コアを有し得る。例えば、内部は金属であってもよく、金属スパイラル補強等を有してもよい。また、ePTFEまたは他のポリエステルのようなグラフト材料を、内部に有してもよい。
【0024】
滑らかな表面は、シリコンである必要はない。これは、滑らかな表面の代表として使用されている。表面は、(図10A及び図10Bに示されたポンプ接続における場合のように)金属またはプラスチックであってもよい。
【0025】
図7は、半球の中央で泡型部を「割って」製造された、泡型部または膨らんだ領域40を示している。接合部42をこの配置のどこにでも形成することが、同様に可能である。半球におけるこの場所は単なる例である。
【0026】
あるいは、さらに完全な泡型部が製造されてもよいし、同様の機能を実行するために、最後にシリコンカニューレを欠損部に挿入してもよい。
【0027】
使用される用語は、基本的になめらかな表面(シリコン、プラスチック、金属)、及び粗いまたは織り目加工された表面(ダクロン、テフロン、ePTFE)であることに留意すべきである。また、通常織物と呼ばれるが滑らかな表面として機能し得る、密に織ったまたは編まれた材料を有することも可能である。
【0028】
また、滑らかな表面のように作用する、密に織ったポリエステルを作製することも可能である。密に織られた縫合可能なグラフトを、障害となる泡型部または段差なしにシリコン表面に直接接触させることも可能である。
【0029】
導管は皮膚の下に設置され、患者がその上に横たわると破裂され得るので、これらの導管が崩壊するのを回避することも重要である。この場合、プラスチックまたはワイヤースパイラルまたはリングでの、導管の補強を使用することができる。さらに、これらをより強くするためにポリマーまたはプラスチックのさらなる厚みを加えることができる。
【0030】
本発明は、幾つかの好ましい態様の記載によって説明され、これらの態様は、いくらか詳細に記載されている一方、出願人は、そのような詳細な記載が、添付の特許請求の範囲の範囲を制限するか、またはいかなる様にも限定することを意図しない。さらなる利点及び改良が、当業者には簡単に明らかあろう。本明細書で論じた、いくつかの特徴は、単独で、または、利用者のニーズや好みに応じていかなる組み合わせで使用されてもよい。これは、本発明を現在公知のように実行する好ましい方法と共に、本発明の実例となる局面及び態様の記載である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10