特許第6099652号(P6099652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099652
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】撮像装置及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/222 20060101AFI20170313BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20170313BHJP
   G06T 3/00 20060101ALI20170313BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20170313BHJP
   G03B 17/56 20060101ALI20170313BHJP
   G03B 17/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   H04N5/222 Z
   H04N5/232 Z
   G06T3/00 775
   H04N1/387
   G03B17/56 E
   G03B17/00 Q
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-534076(P2014-534076)
(86)(22)【出願日】2012年9月5日
(86)【国際出願番号】JP2012072591
(87)【国際公開番号】WO2014038007
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2015年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】黒田 和男
(72)【発明者】
【氏名】吉田 綾子
【審査官】 榎 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−134303(JP,A)
【文献】 特開2002−262180(JP,A)
【文献】 特開2009−206577(JP,A)
【文献】 特開2004−023359(JP,A)
【文献】 特開2004−030589(JP,A)
【文献】 特開2007−110239(JP,A)
【文献】 特開2005−099708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222〜257
G03B 17/00
G03B 17/56
G06T 3/00
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物にマークを照射するマーク照射部と、
前記対象物を撮像して画像データを生成する撮像部と、
前記画像データ内における前記マークの位置を認識し、当該位置に基づいて、前記画像データの一部である撮像エリアデータを切り出す撮像エリアデータ生成部と、
前記撮像部を基準としたときの前記対象物の方向、及び前記対象物から前記撮像部までの距離を用いて、前記マークの照射角度を制御する制御部と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
請求項に記載の撮像装置において、
前記撮像部を保持する保持部材と、
前記保持部材が移動可能かつ回転可能に設置されたガイド部材と、
前記ガイド部材が設置された台座と、
前記ガイド部材に対する前記保持部材の角度を検出する角度検出部と、
前記ガイド部材における前記保持部材の位置を検出する位置検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記角度検出部の検出結果から前記撮像部を基準としたときの前記対象物の方向を算出し、かつ、前記位置検出部の検出結果から前記対象物に対する前記撮像部の距離を算出する撮像装置。
【請求項3】
請求項に記載の撮像装置において、
前記撮像エリアデータ生成部は、前記撮像部の画角、前記マーク照射部による照射方向、並びに前記対象物から前記撮像部及び前記マーク照射部までの距離に基づいて、前記画像データ内における前記マークの位置を算出する撮像装置。
【請求項4】
請求項に記載の撮像装置において、
前記撮像エリアデータ生成部は、前記撮像エリアデータ内における前記マークの位置又
は形状に基づいて、前記撮像エリアデータの歪みを補正する撮像装置。
【請求項5】
請求項に記載の撮像装置において、
前記撮像エリアデータ生成部は、前記撮像部及び前記マーク照射部の少なくとも一方の
個体差に起因した前記撮像エリアデータの歪を補正するための補正パラメータを記憶して
おり、前記補正パラメータを用いて前記撮像エリアデータを補正する撮像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記対象物に照明光を照射する照明部を備える撮像装置。
【請求項7】
請求項に記載の撮像装置において、
前記照明部は、前記照明光として複数色の光を照射する撮像装置。
【請求項8】
請求項に記載の撮像装置において、
前記複数色の光の強度を互いに独立して制御する照明制御部を備え、
前記撮像エリアデータ生成部は、前記照明制御部から前記複数色の光のそれぞれの強度
を示す照明パラメータを受信し、前記照明パラメータを用いて前記撮像エリアデータを補
正する撮像装置。
【請求項9】
請求項に記載の撮像装置において、
前記マーク照射部は、前記撮像部が前記画像データを生成するときに、文字情報を前記
対象物のうち前記撮像エリアデータに対応する領域に照射し、
前記文字情報は、前記照明部の制御に用いられる照明パラメータを示す撮像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記マーク照射部は、前記撮像部が前記画像データを生成するときに、文字情報を前記対象物のうち前記撮像エリアデータに対応する領域に照射する撮像装置。
【請求項11】
対象物にマークを照射した状態で、撮像部が前記対象物を撮像して画像データを生成し、
コンピュータが、前記画像データ内における前記マークの位置に基づいて、前記画像データから撮像エリアデータを切り出し、かつ、前記マークの位置又は形状に基づいて、前記撮像エリアデータの歪みを補正し、
前記対象物に前記マークを照射するときに、制御部が、前記撮像部を基準としたときの前記対象物の方向、及び前記対象物から前記撮像部までの距離を用いて、前記マークの照射角度を制御する画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データの媒体としては紙が一般的であった。これに対して近年では、データの媒体として電子データが普及している。このため、紙に印刷されているデータを画像データとして保存する機会が増えている。
【0003】
紙に印刷されているデータを画像データとして保存するための技術としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、矩形の用紙に位置決めシンボルを印刷しておき、この位置決めシンボルに基づいて、用紙を撮像した撮像データから保存すべき領域を切り出すものである。さらに特許文献1には、切り出された領域を台形補正することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−068746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術によれば、画像データのうち必要な部分のみを切り出して保存できる。しかし、特許文献1に記載の技術は、処理対象となる対象物(例えば紙)には、予め位置決めシンボルが印刷されている必要がある。このため、位置決めシンボルが印刷されていない対象物に印刷されているデータのうち必要な部分のみを電子化することはできなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、画像データとして保存されるべき対象物に位置決めシンボルが印刷されていなくても、画像データのうち必要な部分のみを切り出せるようにすることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、対象物にマークを照射するマーク照射部と、
前記対象物を撮像して画像データを生成する撮像部と、
前記画像データ内における前記マークの位置を認識し、当該位置に基づいて、前記画像データの一部である撮像エリアデータを切り出す撮像エリアデータ生成部と、
を備える撮像装置である。
【0008】
請求項12に記載の発明は、対象物にマークを照射した状態で、前記対象物を撮像して画像データを生成し、
コンピュータが、前記画像データ内における前記マークの位置を認識し、当該マークに基づいて、前記画像データの一部である撮像エリアデータを切り出す画像処理方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0010】
図1】第1の実施形態に係る撮像装置の構成を示す斜視図である。
図2】撮像装置の機能構成を示すブロック図である。
図3図2に示した撮像装置のハード構成を示す図である。
図4】照明パネルとしての有機ELパネルが有する有機EL素子の構造を示す断面図である。
図5】マーク照射部によるマークの照射の第1例を示す図である。
図6】マーク照射部によるマークの照射の他の例を示す図である。
図7】制御部がマーク照射部による照射範囲を補正してマークを所望の形状にする方法の一例を示す図である。
図8】マーク照射部が有する別の機能を説明するための図である。
図9】撮像装置の動作の第1例を示すフローチャートである。
図10】撮像装置の動作の第2例を示すフローチャートである。
図11】撮像装置の動作の第3例を示すフローチャートである。
図12】第2の実施形態におけるマークの推定位置の演算方法を説明するための図である。
図13】第3の実施形態に係る撮像装置の構成を示す図である。
図14】画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図15】画像処理装置が行う処理の第1例を説明するためのフローチャートである。
図16】画像処理装置が行う処理の第2例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る撮像装置10の構成を示す斜視図である。図2は、撮像装置10の機能構成を示すブロック図である。撮像装置10は、マーク照射部130、撮像部140、及び撮像エリアデータ生成部230(図2に図示)を備えている。マーク照射部130は、対象物にマークを照射する。対象物は、シート状の物、例えばデータが印刷された紙であるが、他のもの、例えば展示用の商品であってもよい。撮像部140は、対象物を撮像して画像データを生成する。撮像エリアデータ生成部230は、画像データ内におけるマークを認識し、当該マークに基づいて、画像データの一部である撮像エリアデータを切り出す。本実施形態によれば、マーク照射部130が対象物にマークを照射するため、画像データとして保存されるべき対象物に位置決めシンボルが印刷されていなくても、画像データのうち必要な部分のみを切り出せる。以下、詳細に説明する。
【0013】
まず、図1を用いて、撮像装置10の構造的な構成について説明する。図1に示すように、マーク照射部130及び撮像部140は、保持部材150の縁部155に内蔵されている。縁部155は、保持部材150に対して回転可能に取り付けられている。保持部材150を基準としたときの縁部155の向き、すなわち保持部材150に対する縁部155の角度は、位置角度検出部135によって検出されている。
【0014】
保持部材150は、さらに照明部170を保持している。照明部170は、対象物を照明して、撮像データが示す画像を明るくする。保持部材150は、一端が取付部160を介してガイド部材120に取り付けられている。なお、縁部155は、保持部材150の他端側、すなわち照明部170を介して取付部160とは反対側に取り付けられている。
【0015】
照明部170は、例えば光源として有機EL(Electroluminescence)パネルを有している。この有機ELパネルは、互いに異なるスペクトル特性を有する複数種類の有機ELを有している。これら有機EL素子は、例えば互いに異なる色の光を発光する。照明部170が発光する色の組み合わせは任意であるが、RGB(赤、緑、及び青)、又はRYB(赤、黄色、及び青)が例示される。これら複数の色の強度は、図2に示す制御部220によって制御される。このため、撮像装置10のユーザは、対象物の照明光を所望する色に調整することができる。特に照明部170が有機EL素子を有している場合、照明部170が発光する光のスペクトルをブロードにすることができる。この場合、人は、照明部170による光を自然な光と同じく、柔らかく感じることができる。なお、照明部170が有する光源は、有機ELパネルに限定されず、例えばLED(Light Emitting Diode)であってもよい。
【0016】
照明部170は、複数の有機ELパネルを備えていても良い。この場合、複数の有機ELパネルは、互いに同じ色(複数の色の組み合わせも含む)の光を発光してもよい。また、少なくとも一つの有機ELパネルは、他の有機ELパネルとは異なる色の光を発光する有機EL素子を有していてもよい。また、少なくとも一つの有機ELパネルは、他の有機ELパネルとはスペクトルの広さが異なっていても良い。この場合、照明部170は、発光している有機ELパネルを切り替えても良い。
【0017】
本実施形態において、保持部材150の平面形状は矩形である。取付部160は、保持部材150の一辺をガイド部材120に取り付けている。さらに取付部160は、保持部材150を、取付部160を支点として回転可能にガイド部材120に取り付けている。マーク照射部130及び撮像部140は、保持部材150のうちガイド部材120に取り付けられている辺とは反対側の辺に取り付けられている。
【0018】
ガイド部材120は、台座110に取り付けられており、台座110から上方に延伸している。保持部材150は、ガイド部材120に沿って上下方向に移動できるように、ガイド部材120に取り付けられている。取付部160は、ストッパーを内蔵している。このストッパーは、保持部材150の上下方向の位置を固定し、かつ取付部160の角度を固定するために設けられている。このため、撮像装置10のユーザは、保持部材150を所望の高さに移動させ、かつ所望の角度まで回転させた後、その高さ及び角度で固定することができる。
【0019】
さらに取付部160には、角度検出部162及び位置検出部164が内蔵されている。
【0020】
角度検出部162は、ガイド部材120を基準としたときの保持部材150の向き、すなわちガイド部材120に対する保持部材150の角度を検出する。台座110は、処理の対象物(例えばデータが印刷された紙)と同じ場所(例えば机の上)におかれる。また、台座110に対するガイド部材120の角度は固定(例えば90度)である。このため、撮像装置10は、角度検出部162の検出結果に基づいて、対象物のうちマークが照射される面に対するマーク照射部130及び撮像部140の角度を算出することができる。
【0021】
位置検出部164は、ガイド部材120に沿う方向における取付部160の位置を検出する。ガイド部材120は、台座110に固定されている。このため、撮像エリアデータ生成部230(図2に図示)は、位置検出部164の検出結果に基づいて、対象物に対するマーク照射部130及び撮像部140の距離(又は高さ)を算出することができる。
【0022】
台座110の内部には、制御用の電子部品が内蔵されている。これら電子部品によって、撮像装置10の制御系が構成されている。
【0023】
なお、マーク照射部130は、マークで示される撮像エリアの中心が、撮像部140による撮像エリアの中心と一致するように制御される。また、照明部170による照明領域の中心も、これらの中心と一致している。
【0024】
次に、図2を用いて、撮像装置10の機能について説明する。撮像装置10は、撮像部140、角度検出部162、位置検出部164、及び照明部170の他に、入力部210、制御部220、撮像エリアデータ生成部230、及びデータ記憶部240を有している。
【0025】
入力部210は、撮像装置10のユーザからの入力情報を取得する。この入力情報は、例えば、マーク照射部130によるマークで示される撮像エリアを指示する情報、照明部170による光の強度及び色調を指示する情報、及び撮像部140による画像データの生成タイミングを指示する情報である。制御部220は、入力部210から入力された情報に従って、マーク照射部130、撮像部140、及び照明部170を制御する。
【0026】
本実施形態において、撮像エリアデータ生成部230は、画像処理によって画像データ内のマークを認識し、当該マークに基づいて撮像エリアデータを切り出す。このため、高い精度で撮像エリアデータを切り出すことができる。また撮像エリアデータ生成部230は、角度検出部162及び位置検出部164の検出結果に基づいて、撮像エリアデータの歪を補正する。この補正は、例えば台形補正といわれる処理である。
【0027】
撮像エリアデータ生成部230は、撮像部140が生成した画像データ内のマークの位置(後述する図6(b)に示す例)又は形状(後述する図5又は図6(a)に示す例)に基づいて、撮像エリアデータの台形補正を行う。
【0028】
具体的には、マーク照射部130は、撮像エリアが予め決められた形状、例えば正方形又は長方形となるように、マークを描く。そして撮像エリアデータ生成部230は、撮像エリアデータが示す形状が、上記した予め定められた形状(例えば正方形や長方形)となるように、撮像エリアデータを台形補正する。これにより、撮像エリアデータを表示したとき、表示された情報は見やすくなる。
【0029】
なお、制御部220は、角度検出部162、位置検出部164、及び位置角度検出部135の検出結果に基づいて、マーク照射部130が照射するマークの照射角度を変更し、対象物上でマークが所望の撮像エリア(例えば正方形や長方形)を示すようにする。この処理の詳細は、後述する。
【0030】
また、マーク照射部130及び撮像部140は、いずれもレンズなどの光学系を有している。これらの光学系は必ず個体差を有している。このため、撮像エリアデータは、これらの個体差に起因した歪を有している。
【0031】
これに対して本実施形態では、撮像エリアデータ生成部230は、予め撮像部140及びマーク照射部130の少なくとも一方の個体差に起因した撮像エリアデータの歪を補正するための補正パラメータを記憶している。そして撮像エリアデータ生成部230は、この補正パラメータを用いて、撮像エリアデータを補正する。この補正パラメータは、例えば以下のようにして生成される。
【0032】
まず、撮像装置10の保持部材150の位置及び角度、並びに縁部155の角度は、角度検出部162,位置検出部164、及び位置角度検出部135の検出値が予め定められた値になるように調整される。次いで撮像部140は、予め定められた形状を有する対象物(例えば予め定められたマークが印刷されたシート)を撮像して撮像データを生成する。撮像エリアデータ生成部230は、この撮像データが示す対象物の形状(又はマークによって定義されるエリアの形状)が予め定められた形状となるように補正パラメータを設定する。この方法によって得られる補正パラメータを用いると、撮像エリアデータ生成部230は、マーク照射部130及び撮像部140の双方の個体差に起因した撮像エリアデータの歪を補正することができる。なお、この補正パラメータの生成は、任意のタイミングで行うことができる。
【0033】
データ記憶部240は、撮像エリアデータ生成部230によって補正された後の撮像エリアデータを記憶する。データ記憶部240は、揮発メモリ又は不揮発メモリであってもよいし、ハードディスクであっても良い。データ記憶部240は、撮像装置10に対して外付けの記憶装置(例えば外付けのハードディスクや不揮発メモリなど)であってもよいし、撮像装置10の台座110に内蔵されていても良い。
【0034】
また照明部170が複数の色を発光しており、かつこれら複数の色の強度が互いに独立して制御できる場合、撮像エリアデータ生成部230は、制御部220から、照明部170が照射している複数の色それぞれの強度を示す照明パラメータを取得する。そして撮像エリアデータ生成部230は、取得した照明パラメータを用いて、撮像エリアデータの色補正を行う。これにより、撮像エリアデータが示す対象物の色は、照明光の色に起因して本来の色からずれていても、本来の色に近づく。
【0035】
特に本実施形態では、マーク照射部130と撮像部140の組み合わせは固定されている。このため、色補正のためのパラメータを予め調整して固定することができる。従って、高い精度で色を補正することができる。
【0036】
なお、図2に示す説明において、撮像装置10の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。撮像装置10の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0037】
図3は、図2に示した撮像装置10のハード構成を示す図である。本図に示す例において、マーク照射部130は、半導体レーザ131、レーザーコントローラ132、レーザドライバー133、MEMSミラー134、位置角度検出部135、ミラーコントローラ136、及びミラードライバー137を備えている。半導体レーザ131は、マークを描くためのレーザ光を発光する。レーザ光は、例えば可視光である。レーザーコントローラ132及びレーザドライバー133は、半導体レーザ131を制御する。MEMSミラー134は、半導体レーザ131が出射した光を反射する。MEMSミラー134が光の反射方向を変えることにより、マークが描かれる。MEMSミラー134による光の反射方向は、ミラーコントローラ136及びミラードライバー137によって制御される。詳細には、位置角度検出部135は、MEMSミラー134が向いている方向を検出する。そしてミラーコントローラ136は、位置角度検出部135の検出結果を用いて、ミラードライバー137を介してMEMSミラー134を制御する。
【0038】
照明部170は、照明パネル171、照明ドライバー172、及び照明コントローラー173を備えている。照明パネル171は、例えば上記した有機ELパネルである。照明コントローラー173及び照明ドライバー172は、照明パネル171を制御する。
【0039】
また、撮像装置10は、CPU222、メモリ242、I/Oコントローラ250、及び無線通信部252を備えている。CPU222は、図2における制御部220及び撮像エリアデータ生成部230に対応している。これらと、入力部210、レーザーコントローラ132、ミラーコントローラ136、及び照明コントローラー173は、互いに接続している。
【0040】
なお、図3に示した入力部210、CPU222、メモリ242、I/Oコントローラ250、及び無線通信部252は、台座110の中に組み込まれている。ただし、入力部210は、台座110の外部に設けられていても良い。また、図2に示した撮像エリアデータ生成部230及びデータ記憶部240は、撮像装置10の外部の装置に設けられていても良い。この場合、撮像エリアデータ生成部230及びデータ記憶部240は、通信回線、例えばインターネット等のデータ通信網を介して撮像装置10に接続しても良いし、撮像装置10に対して、例えばケーブルを用いて取り外し可能に設けられても良い。
【0041】
図4は、照明パネル171としての有機ELパネルが有する有機EL素子の構造を示す断面図である。この有機EL素子は、基板410上に、陽極420、正孔注入層422、正孔輸送層424、発光層426、電子輸送層428と、電子注入層430、及び陰極432をこの順に積層した積層構造を有している。基板410は、例えば石英、ガラス、金属、またはプラスチックなどの樹脂である。
【0042】
発光層426に用いられる燐光性の有機化合物としては、イリジウム錯体であるBis (3,5-difluoro-2- (2-pyridyl) phenyl- (2-carboxypyridyl) iridium (III)、Tris (2-phenylpyridine) iridium(III)、Bis (2-phenylbenzothiazolato) (acetylacetonate) iridium(III)、オスミウム錯体であるOsmium(II) bis(3-trifluoromethyl -5-(2-pyridyl) -pyrazolate)dimethylphenylphosphine、希土類化合物のTris (dibenzoylmethane) phenanthroline europium(III)、白金錯体である2,3,7,8,12,13,17,18-Octaethyl-21H, 23H- porphine,platinum(II)等を例示することができる。
【0043】
また、発光層426、電子輸送層428、及び電子注入層430の主成分となる電子輸送性を有する有機化合物としては、p−テルフェニルやクアテルフェニル等の多環化合物およびそれらの誘導体、ナフタレン、テトラセン、ピレン、コロネン、クリセン、アントラセン、ジフェニルアントラセン、ナフタセン、フェナントレン等の縮合多環炭化水素化合物及びそれらの誘導体、フェナントロリン、バソフェナントロリン、フェナントリジン、アクリジン、キノリン、キノキサリン、フェナジン等の縮合複素環化合物およびそれらの誘導体や、フルオロセイン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、オキシン、アミノキノリン、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、キナクリドン、ルブレン等およびそれらの誘導体等を例示することができる。
【0044】
さらに、電子輸送性を有する有機化合物として、金属キレート錯体化合物、特に金属キレート化オキサノイド化合物では、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム、ビス[ベンゾ(f)−8−キノリノラト]亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニル−フェノラト)アルミニウム、トリス(8−キノリノラト)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラト)カルシウム等の8−キノリノラト或いはその誘導体を配位子として少なくとも一つ有する金属錯体も例示することができる。
【0045】
また、電子輸送性を有する有機化合物として、オキサジアゾール類、トリアジン類、スチルベン誘導体およびジスチリルアリーレン誘導体、スチリル誘導体、ジオレフィン誘導体も好適に使用され得る。
【0046】
さらに、電子輸送性を有する有機化合物として使用できる有機化合物として、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ベンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアゾール、4,4'−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4'−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]スチルベン、2,5−ビス(5.7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス[5−(α,α−ジメチルベンジル)−2−ベンゾオキサゾリル]チオフェン、2,5−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4'−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ビフェニル、5−メチル−2−{2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル}ベンゾオキサゾール、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト(1,2−d)オキサゾール等のベンゾオキサゾール系、2,2'−(p−フェニレンジピニレン)−ビスベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系、2−{2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル〕ビニル}ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等も挙げられる。
【0047】
さらに、電子輸送性を有する有機化合物として、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等も挙げられる。
【0048】
また、さらに、電子輸送性を有する有機化合物として、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ナフチル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(4−ビフェニル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ピレニル)ビニル]ピラジン等が挙げられる。
【0049】
その他、さらに、電子輸送性を有する有機化合物として、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4'−フェニレンジメチリディン、2,5−キシリレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、9,10−アントラセンジイルジメチリディン、4,4'−(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4'−(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、従来有機EL素子の作製に使用されている公知のものを適宜用いることができる。
【0050】
一方、正孔輸送層424や正孔輸送性の発光層に用いられ、正孔輸送性を有する有機化合物としては、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノフェニル、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(3−メチルフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、N,N,N',N'−テトラ−p−トリル−4,4'−ジアミノビフェニル、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4'−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4'−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、N,N,N',N'−テトラ−p−トリル−4,4'−ジアミノ−ビフェニル、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノ−ビフェニルN−フェニルカルバゾール、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4''−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]p−ターフェニル、4,4'−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ナフタレン、4,4'−ビス[N−(9−アントリル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4''−ビス[N−(1−アントリル)−N−フェニル−アミノ]p−ターフェニル、4,4'−ビス[N−(2−フェナントリル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(8−フルオランテニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−コロネニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、2,6−ビス(ジ−p−トリルアミノ)ナフタレン、2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン、2,6−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン、4.4''−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]ターフェニル、4.4'−ビス{N−フェニル−N−[4−(1−ナフチル)フェニル]アミノ}ビフェニル、4,4'−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)−アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]フルオレン、4,4''−ビス(N,N−ジ−p−トリルアミノ)ターフェニル、ビス(N−1−ナフチル)(N−2−ナフチル)アミン等を例示することができる。
【0051】
さらに、正孔輸送性を有する有機化合物としては、上述の有機化合物をポリマ中に分散したものや、ポリマ化したものも使用できる。ポリパラフェニレンビニレンやその誘導体等のいわゆるπ共役ポリマ、ポリ(N−ビニルカルバゾール)に代表される正孔輸送性非共役ポリマ、ポリシラン類のシグマ共役ポリマも用いることができる。
【0052】
正孔注入層422としては、特に限定はないが、銅フタロシアニン(CuPc:Copper Phthalocyanine)等の金属フタロシアニン類および無金属フタロシアニン類、カーボン膜、ポリアニリン等の導電性ポリマが好適に使用できる。
【0053】
そして、基板410上に積層された各層の厚さや材料を調節することにより、照明パネル171が発光する光のスペクトルのシャープさを調節することができる。
【0054】
図5は、マーク照射部130によるマークMの照射の第1例を示す図である。本図に示す例において、マーク照射部130は、撮像エリアFの全域をスキャンするように、レーザ光を照射する。
【0055】
図6(a)は、マーク照射部130によるマークMの照射の第2例を示す図である。本図に示す例において、マーク照射部130は、撮像エリアFの縁を描くように、レーザ光を照射する。
【0056】
図6(b)は、マーク照射部130によるマークMの照射の第3例を示す図である。本図に示す例において、撮像エリアFは矩形である。そしてマーク照射部130は、撮像エリアFの4つの角それぞれを示すマークを、レーザ光によって描く。
【0057】
なお、マーク照射部130によるマークMの形状およびスキャン方法は、上記した例に限定されない。
【0058】
図7は、制御部220がマーク照射部130による光の照射範囲を補正してマークを所望の形状にする方法の一例を示す図である。制御部220は、撮像部140を基準としたときの対象物の方向、及び対象物から撮像部140までの距離を用いて、マーク照射部130が照射する光の照射角度を制御する。以下、具体的に説明する。
【0059】
上記したように、角度検出部162は、ガイド部材120に対する保持部材150の角度、すなわちガイド部材120に対するマーク照射部130の角度を検出する。制御部220は、角度検出部162の検出結果から、対象物が載置されている載置部40(例えば机)の表面に対するマーク照射部130の角度θを算出する。なお、角度検出部162は、載置部40の表面に対するマーク照射部130の角度θを直接検出するように構成されていても良い。
【0060】
また、位置角度検出部135は、保持部材150に対するマーク照射部130の基準位置(例えば中心)の角度を検出している。また制御部220は、マーク照射部130の制御パラメータの一部として、マーク照射部130が照射している光の、マーク照射部130の基準軸(例えば中心を通る垂直な軸)に対する角度を示すデータを保持している。このため、制御部220は、マーク照射部130が照射している光の、保持部材150に対する角度θを算出することができる。角度θは、撮像部140を基準としたときの対象物の方向に相当している。
【0061】
また、保持部材150の長さは固定値である。このため、制御部220は、保持部材150の長さ、及び角度θを用いることにより、載置部40に対して平行な面内でのガイド部材120からマーク照射部130までの距離(図中x方向の距離)を算出することができる。さらに制御部220は、位置検出部164による検出結果h、保持部材150の長さ、及び角度θを用いることにより、載置部40の表面を基準にしたときのマーク照射部130の高さ(図中y方向の距離)を算出することができる。この高さは、撮像部140から対象物までの距離に相当している。そして、これらの距離と、角度θ,θを用いることにより、制御部220は、ガイド部材120から光の照射位置までの距離dを算出することができる。
【0062】
そして、制御部220は、距離d1と、角度θ,θを用いることにより、マーク照射部130による光の照射位置を認識することができる。そしてこの照射位置を認識することにより、制御部220は、マークが示す撮像エリアが所望の形状になるように、マーク照射部130を制御することができる。
【0063】
図8は、マーク照射部130が有する別の機能を説明するための図である。マーク照射部130は、撮像エリアを示すマークを照射する機能のほかに、文字などの情報を描く機能も有する。マーク照射部130が描く情報は、例えば図2に示した入力部210から入力されてもよいし、制御部220が保持している情報であってもよい。マーク照射部130が描く情報は、例えば、照明パネル171の制御に用いられる照明パラメータ、又はCPU222(制御部220)などが有するカレンダーなどからの日時情報である。照明パラメータは、上記したように、照明部170が照射している複数色の光のそれぞれの強度を示す情報であるが、これに限定されない。このようにすると、撮像エリアデータに、文字情報が含まれるため、撮像エリアデータと文字情報とを一体で保存することができる。
【0064】
特に対象物が商品であり、撮像装置10の照明部170が商品を照らす照明として用いられる場合、商品の照明の照明パラメータを、商品を撮像した画像データと一体で保存することができる。このようにすると、商品の照明条件を容易に再現することができる。
【0065】
また、対象物が商品であり、撮像装置10が商品の展示場所で使用される場合、マーク照射部130が描く情報は、対象物の説明であってもよい。この場合、撮像装置10の照明部170は、商品を照らす照明として用いられる。
【0066】
なお、マーク照射部130が文字などの情報を描くレーザは、マークを描くためのレーザとは別に設けられていても良い。この場合、文字などの情報を描くレーザを赤外線レーザにした上で、撮像部140が、可視光及び赤外光の双方を検出できるようにしてもよい。このようにすると、商品の展示場所において照明パラメータを描画しても、照明パラメータは人には見えないため、商品の展示のデザインに影響を与えない。
【0067】
図9は、撮像装置10の動作の第1例を示すフローチャートである。まず撮像装置10のユーザは、マーク照射部130にマークを照射させつつ、保持部材150の高さ及び角度、並びに保持部材150に対する縁部155の角度を調整する。このとき、ユーザは、入力部210に入力を行うことにより、光の照射範囲を調節しても良い。これにより、ユーザは、マークが示す撮像エリアが所望の範囲になるように調整できる(ステップS10)。
【0068】
次いで撮像部140は、ユーザから撮像指令が入力されたタイミングで画像データを生成する(ステップS20)。
【0069】
次いで撮像エリアデータ生成部230は、撮像部140が生成した画像データ内におけるマークの位置を認識し、認識したマークの位置に基づいて、画像データから撮像エリアデータを切り出す(ステップS30)。次いで撮像エリアデータ生成部230は、生成した撮像エリアデータに対して台形補正を行う(ステップS40)。その後、撮像エリアデータ生成部230は、台形補正後の撮像エリアデータを、データ記憶部240に記憶させる(ステップS50)。
【0070】
図10は、撮像装置10の動作の第2例を示すフローチャートである。まず撮像装置10のユーザは、照明部170の照明パラメータを調整し、照明部170による照明の色や強度を調整する(ステップS5)。次いでユーザは、保持部材150の高さ及び角度、並びに保持部材150に対する縁部155の角度を調整し、マークが示す撮像エリアが所望の範囲になるようにする(ステップS10)。
【0071】
次いで撮像部140は、ユーザからの入力に従って画像データを生成する。このとき制御部220は、照明パラメータをデータ記憶部240に記憶させる(ステップS22)。
【0072】
その後の処理(ステップS30〜ステップS50)は、第1例と同様である。ただし、撮像エリアデータ生成部230は、ステップS50において、撮像エリアデータを、ステップS22で記憶された照明パラメータに対応付ける。
【0073】
図11は、撮像装置10の動作の第3例を示すフローチャートである。ステップS5及びステップS10に示す処理は、第2例と同様である。ステップS10の後、制御部220は、対象物に描くべき文字データを取得し、取得した文字データをマークと共に対象物に描く(ステップS12)。撮像部140は、この状態で対象物を撮像して撮像データを生成する(ステップS20)。文字データが示す情報は、図8を用いて説明した通りである。
【0074】
ステップS30及びステップS40に示す処理は、第2例と同様である。撮像エリアデータ生成部230は、撮像エリアデータの台形補正を行った(ステップS40)後、照明パラメータを用いて撮像エリアデータの色を補正する(ステップS42)。その後、撮像エリアデータ生成部230は、撮像エリアデータをデータ記憶部240に記憶させる(ステップS50)。
【0075】
以上、本実施形態によれば、マーク照射部130は、対象物にマークを照射する。撮像部140は、対象物を撮像して画像データを生成する。そして、撮像エリアデータ生成部230は、対象物におけるマークの位置を認識し、当該マークに基づいて、画像データの一部である撮像エリアデータを切り出す。このため、マーク照射部130が対象物にマークを照射するため、画像データとして保存されるべき対象物に位置決めシンボルが印刷されていなくても、画像データのうち必要な部分のみを切り出せる。
【0076】
また本実施形態では、撮像エリアデータ生成部230は、画像データ内におけるマークの位置を認識することにより、撮像エリアデータを切り出している。このため、撮像エリアデータを生成するための演算量は少なくてすむ。
【0077】
また、制御部220は、撮像部140を基準としたときの対象物の方向、及び対象物から撮像部140までの距離を用いて、マーク照射部130が照射するマークの角度を制御し、マーク照射部130によって示される撮像エリアが所望の形状(例えば正方形や長方形)となるようにしている。このため、撮像エリアデータ生成部230による台形補正の演算量は少なくてすむ。
【0078】
また、保持部材150は、ガイド部材120に沿って上下に移動可能になっており、かつ、取付部160を中心として回転可能に取り付けられている。このため、撮像装置10のユーザは、保持部材150の高さ及び角度を調整することにより、マークが示す撮像エリアの範囲を、容易に所望の大きさに設定することができる。
【0079】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る撮像装置10は、以下の点を除いて、第1の実施形態に係る撮像装置10と同様の構成である。
【0080】
まず、マーク照射部130は、撮像部140が画像データを生成するとき、マークの照射を行わない。例えば制御部220は、撮像部140に対する撮像命令が入力部210から入力されると、そのタイミングでマーク照射部130によるマークの照射を終了する。そして制御部220及び撮像エリアデータ生成部230は、撮像部140の画角、マーク照射部130によるマークの照射方向、ならびに対象物からマーク照射部130及び撮像部140までの距離に基づいて、画像データ内においてマークが存在していたと推定される位置を演算する。具体的には、制御部220及び撮像エリアデータ生成部230は、角度検出部162、位置検出部164、及び位置角度検出部135の検出結果、マーク照射部130によるマークの照射方向、並びに撮像部140の画角を用いて、画像データ内においてマークが存在していたと推定される位置を演算する。そして撮像エリアデータ生成部230は、この推定位置を用いて、撮像エリアデータを生成する。
【0081】
図12は、撮像エリアデータ生成部230によるマークの推定位置の演算方法を説明するための図である。マーク照射部130は、マークで示される撮像エリアの中心が、撮像部140による撮像エリアの中心と一致するように制御される。
【0082】
第1の実施形態で説明したように、制御部220は、角度検出部162の検出結果から、対象物が載置されている載置部40(例えば机)の表面に対するマーク照射部130の角度θを算出する。また、位置角度検出部135は、保持部材150に対するマーク照射部130の中心の角度θを検出する。また、制御部220は、マーク照射部130が撮像エリアを示すマークを照射しているときの照射範囲の角度αを取得することができる。このため、制御部220は、角度α,θ,θを用いて、マークが示す撮像エリアの上端に対する撮像部140の角度βを算出することができ、かつ、マークが示す撮像エリアの下端に対する撮像部140の角度βを算出することができる。
【0083】
また、第1の実施形態で説明したように、制御部220は、ガイド部材120からマーク照射部130までの距離(図中x方向の距離)、及び載置部40の表面を基準にしたときのマーク照射部130の高さ(図中y方向の距離)を算出することができる。制御部220は、これらの距離及び高さ、並びに角度βを用いることによりガイド部材120から撮像エリアの下端までの距離dを算出することができ、かつ、これらの距離及び高さ、並びに角度βを用いることによりガイド部材120から撮像エリアの上端までの距離(d+d)を算出することができる。距離d,(d+d)は、撮像エリアを示すマークの位置を示している。
【0084】
また、制御部220は、撮像部140の画角を記憶している。このため、制御部220は、マークの位置を算出する方法と同様の方法を用いることにより、撮像部140が生成した画像データが、載置部40の表面のどの領域を示しているかを算出することができる。さらに、保持部材150に対するマーク照射部130の中心の角度θと、撮像部140の画角の位置関係は固定である。このため、撮像エリアデータ生成部230は、制御部220が算出したデータを用いることにより、画像データ内においてマークが存在していたと推定される位置を演算することができる。
【0085】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、マーク照射部130は、撮像部140が画像データを生成するとき、マークの照射を行わない。このため、画像エリアデータに、マーク照射部130によるマークが入り込むことを抑制できる。
(第3の実施形態)
図13は、第3の実施形態に係る撮像装置10の構成を示す図であり、第1の実施形態における図1に対応している。本実施形態に係る撮像装置10は、画像処理装置30を備えている点を除いて、第1又は第2の実施形態に係る撮像装置10と同様の構成である。画像処理装置30は、第1の実施形態において撮像エリアデータ生成部230が行っていた画像処理の少なくとも一部を行う。
【0086】
図14は、画像処理装置30の機能構成を示すブロック図である。画像処理装置30は、画像取得部310、画像処理部320、表示部325、入力部330、及びデータ記憶部340を備える。画像取得部310は、撮像装置10から、撮像エリアデータ生成部230が生成した画像エリアデータを受信する。画像取得部310は、撮像装置10のI/Oコントローラ250又は無線通信部252を介して、画像エリアデータを受信する。画像処理部320は、画像取得部310が受信した画像データを処理する。表示部325は、画像処理部320が処理した後の画像データを表示する。入力部330は、撮像装置10のユーザから入力される情報を受信する。入力される情報は、画像処理部320による画像処理のパラメータを示している。データ記憶部340は、画像処理部320が処理した後の画像データを記憶する。データ記憶部340は、不揮発メモリであってもよいし、ハードディスクであっても良い。
【0087】
図15は、画像処理装置30が行う処理の第1例を説明するためのフローチャートである。ステップS5〜ステップS40までの処理は、第1の実施形態において図11を用いて説明した処理と同様である。撮像エリアデータ生成部230は、画像エリアデータに対して台形補正を行う(ステップS40)と、補正後の撮像エリアデータを画像処理装置30に送信する。このとき、撮像エリアデータ生成部230は、照明部170で用いた照明パラメータも合わせて画像処理装置30に送信する(ステップS41)。
【0088】
画像処理装置30の画像取得部310は、画像処理装置30が送信してきた撮像エリアデータ及び照明パラメータを受信する。画像処理部320は、画像取得部310が受信した照明パラメータを用いて、撮像エリアデータの色の補正を行う。画像処理部320は、補正後の撮像エリアデータを表示部325に表示させる。その後、撮像装置10のユーザは、表示部325に表示された画像を見た上で、必要に応じて、入力部330に対して補正の修正指示を入力する。画像処理部320は、入力された修正指示に従って、撮像エリアデータの色の補正を修正する(ステップS45)。
【0089】
その後、画像処理部320は、補正後の画像エリアデータをデータ記憶部340に記憶させる(ステップS52)
【0090】
図16は、画像処理装置30が行う処理の第2例を説明するためのフローチャートである。本図に示す例は、台形補正も画像処理装置30が行う(ステップS43)点を除いて、図14に示した第1例と同様である。
【0091】
ステップS5〜ステップS30までの処理は、図15を用いて説明した処理と同様である。撮像エリアデータ生成部230は、台形補正前の画像エリアデータを、角度検出部162、位置検出部164、及び位置角度検出部135の検出結果、ならびに照明パラメータに対応付けて画像処理装置30に送信する(ステップS31)。
【0092】
画像処理装置30の画像取得部310は、画像処理装置30が送信してきたデータを受信する。そして画像処理部320は、台形補正を行う(ステップS43)。ここで行われる処理は、図15のステップS40で行われる処理と同様である。
【0093】
その後の処理(ステップS45,S52)は、図15に示した第1例と同様である。
【0094】
本実施形態によっても、第1又は第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、画像処理装置30を用いて画像処理を行っているため、画像エリアデータに対して演算量が多い画像処理を行うことができる。また、画像処理部320は、ユーザの入力に従って画像処理の修正を行う。このため、画像エリアデータに対して、ユーザの好みに合わせた補正を行うことができる。
【0095】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16