特許第6099658号(P6099658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6099658巻上機の含浸マンドレル上に繊維組織を保持する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099658
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】巻上機の含浸マンドレル上に繊維組織を保持する装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/16 20060101AFI20170313BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20170313BHJP
   B29L 22/00 20060101ALN20170313BHJP
   B29L 31/30 20060101ALN20170313BHJP
【FI】
   B29C67/14 C
   B29K105:08
   B29L22:00
   B29L31:30
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-537692(P2014-537692)
(86)(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公表番号】特表2015-501242(P2015-501242A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】FR2012052423
(87)【国際公開番号】WO2013060978
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年9月17日
(31)【優先権主張番号】1159713
(32)【優先日】2011年10月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マトン,リシャール
(72)【発明者】
【氏名】パトリジョン,オリビエ
(72)【発明者】
【氏名】ガメル,マイカ
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−538261(JP,A)
【文献】 特開平9−226011(JP,A)
【文献】 特開2011−98523(JP,A)
【文献】 米国特許第5597435(US,A)
【文献】 米国特許第4388263(US,A)
【文献】 国際公開第2011/039484(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00−70/68
B29B 11/16
F01D 13/00−15/12,23/00−25/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻上機(10)の含浸マンドレル(16)上に繊維組織を保持するための装置(100、100’)であって、
末端を有する支持体を形成する横材(102)であって、末端はそれぞれ、マンドレルのチークプレート(26)のうちの1つに締結するためのものである、横材(102)と、
横材上に実装されて、マンドレル上に巻き付けられた繊維組織層(18)に対して押圧するためのパッド(112)が設けられた、中央パッド担体(110)と、
横材上に実装されて、マンドレル上に巻き付けられた繊維組織層に対して押圧するための主パッド(132)と、マンドレル上に巻き付けられた繊維組織層の側方マージン(18a)に対して押圧するための側方パッド(134)とが各々設けられた、2つの側方パッド担体(130)と、
マンドレル上に巻き付けられた繊維組織層に対してパッドを押しつけるクランプ力を印加する手段と、を含む装置。
【請求項2】
パッドとマンドレル上に巻き付けられた繊維組織層との間に介在させるための圧力分散プレート(150)をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
圧力分散プレート(150)が、マンドレルの外面のプロファイルに密着させることを可能にするような可撓領域(152)を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
圧力分散プレート(150)がプラスチック材料で作られており、可撓領域(152)はプレートの厚みに形成された溝(154)を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
各パッド(112、132、134)が、マンドレル上に巻き付けられた繊維組織層に対して前記パッドをクランピングする力を印加するように、クランプハンドル(120、144、148)によって作動されることが可能なネジナットシステムによってパッド担体に締結される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
含浸マンドレル上に繊維組織を巻き付けるための機械(10)であって、
三次元織りによって得られた繊維組織(18)を保管するための巻き取りマンドレル(14)であって、実質的に水平な回転軸(20)を有する巻き取りマンドレルと、
巻き取りマンドレル上に保管された繊維組織が重畳層として巻き付けられる含浸マンドレル(16)であって、実質的に水平かつ巻き取りマンドレルの回転軸と平行な回転軸(28)を有する含浸マンドレルと、
それぞれの回転軸を中心にマンドレルを回転駆動させるための電気モータ(22、30)と、
マンドレルを回転駆動させる電気モータを制御するための制御装置(32)と、
繊維組織を含浸マンドレル上に保持するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置(100、100’)と、を含む機械。
【請求項7】
繊維組織を含浸マンドレル上に保持するための2つの装置(100、100’)を含み、前記装置は含浸マンドレルの回転軸を中心に互いに角度的に離間している、請求項6に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料で作られたケースタービンケーシングの一般的な分野に関し、より具体的には航空エンジン用のガスタービンファン保持ケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン航空エンジンにおいて、ファンケーシングはいくつかの機能を果たす。これはエンジンに空気を入れるための通路を画定し、ファンの羽根の先端と一致して摩耗性材料を支持し、エンジンへの入口で音響処理を実行するための音響吸引用の任意の構造を支持し、保持シールドを組み込むかまたは支持する。シールドは、たとえば吸い込まれたアイテムまたは損傷羽根の断片など、遠心力によって投げ出された破片が、ケーシングを通過して航空機のその他の部品に到達するのを防止する目的のために、これらを保持するためのトラップを含む。
【0003】
ファン保持ケーシングは、第一に、空気流入通路を画定してファンの羽根の先端に続く経路と一致して摩耗性材料を支持し、もしあれば音響処理被膜も支持する、比較的薄い壁で、第二にファンの回りの、外側で前記壁に固定されたシールド構造で作られることが、一般的な方法である。
【0004】
複合材料からファン保持ケーシングを作成する提案は、すでになされてきた。一例として、繊維組織の重畳層から繊維強化材を形成し、マトリクスで繊維強化材を緻密化することによる、異なる厚みの複合材料からのケーシングの製造を記載する、欧州特許第1961923号明細書が、参照されてもよい。より正確には、この文献は、繊維組織の三次元織りの間に巻き取りマンドレルを使用し、次に組織が重畳層として、ケーシングのファスナフランジに対応する2つのチークプレートとともに製造されるケーシングの中央部のプロファイルに対応するプロファイルの外面を有する含浸マンドレル上に巻き付けられることを、提供している。このようにして得られた繊維プリフォームは含浸マンドレル上に保持され、樹脂の重合に先立って樹脂を含浸させられる。
【0005】
この方法の実際の実施は、巻き取りマンドレルから含浸マンドレルに繊維組織を移動させるという問題を生じる。この問題を解決するために、本出願人は、フランス特許第11/53212号明細書(未公開)において、繊維組織を巻き取りマンドレルから含浸マンドレルに移動させる間に、繊維組織を含浸マンドレル上に正確に配置し、かつ適切な巻き張力を印加することを可能にする、巻上機の提案を行った。
【0006】
このような機械を用いると、巻き取りを開始するときに繊維組織を含浸マンドレル上に保持する問題が生じる。巻き取りは、樹脂を含浸させるときに使用されるマンドレル上に直接行われるので、マンドレルは平滑であり、したがってその表面上にいかなる取付手段も有していない。繊維組織を含浸マンドレル上に保持するというこの問題は、繊維プリフォームの最終的な長さへの切断に先立って、巻き付けられている間に組織に印加された張力を失わない間に繊維プリフォームを保持する必要のある、巻き取りの終了時にも生じる。
【0007】
結果的に、巻き取りの開始時および巻き取りの終了時に繊維組織を含浸マンドレル上に保持できるようにするツーリングの必要性が、存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1961923号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主要な目的は、巻上機の含浸マンドレル上に繊維組織を保持する装置を提供することによって、このような要求を緩和する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
装置は、マンドレルのチークプレートのうちの1つに締結するためのその末端の各々を有する支持体を形成する横材と、
横材上に実装されて、マンドレル上に巻き付けられた繊維組織層に対して押圧するためのパッドが設けられた、中央パッド担体と、
横材上に実装されて、マンドレル上に巻き付けられた繊維組織層に対して押圧するための主パッドと、マンドレル上に巻き付けられた繊維組織層の側方マージンに対して押圧するための側方パッドとが各々設けられた、2つの側方パッド担体と、
マンドレル上に巻き付けられた繊維組織層に対してパッドを押しつけるクランプ力を印加する手段と、を含む。
【0011】
本発明の装置は、クランピング(または挟持)することによって巻上機の含浸マンドレル上に巻き付けられた繊維組織を保持できるようにする点で、卓越している。このため装置は、繊維組織中に十分な巻き張力を保持しながら、巻き取りの開始時および巻き取りの終了時に繊維プリフォームを含浸マンドレル上に保持するのに、役立つ。
【0012】
さらに、中央パッドおよび2つの側方パッドの存在は、その全幅にわたってのみならず、(ケーシングのフランジに対応する)その角部においても、繊維組織に対するクランプ力を印加することを可能にする。
【0013】
最後に、本発明の装置は、含浸マンドレルのチークプレートに締結されることが可能であり、それによって容易に取り外しできるようにするという利点を有する。
【0014】
好ましくは、装置は、パッドとマンドレル上に巻き付けられた繊維組織層との間に介在させるための圧力分散プレートを、さらに含む。このプレートの存在は、パッドによって印加されたクランプ力を、繊維組織層の全幅にわたって分散させることを可能にする。
【0015】
有利なことに、この圧力分散プレートは、マンドレルの外面のプロファイルに密着させることを可能にするような、可撓領域を有する。たとえば、圧力分散プレートはプラスチック材料で作られてもよく、可撓領域はプレートの厚みに形成された溝を有してもよい。
【0016】
各パッドは、マンドレル上に巻き付けられた繊維組織層に対して前記パッドをクランピングするための力を印加するように、クランプハンドルによって作動されることが可能なネジナットシステムによって、パッド担体に締結されてもよい。
【0017】
本発明はまた、含浸マンドレル上に繊維組織を巻き付けるための機械も提供し、機械は、三次元織りによって得られた繊維組織を保管するための巻き取りマンドレルであって、実質的に水平な回転軸を有する巻き取りマンドレルと、巻き取りマンドレル上に保管された繊維組織が重畳層として巻き付けられる含浸マンドレルであって、実質的に水平かつ巻き取りマンドレルの回転軸と平行な回転軸を有する含浸マンドレルと、それぞれの回転軸を中心にマンドレルを回転駆動させるための電気モータと、マンドレルを回転駆動させる電気モータを制御するための制御装置と、繊維組織を含浸マンドレル上に保持するための、先に定義されたような少なくとも1つのホルダ装置と、を含む。
【0018】
好ましくは、巻上機は繊維組織を含浸マンドレル上に保持するための2つのホルダ装置を含み、前記装置は含浸マンドレルの回転軸を中心に互いに角度的に離間している。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、いかなる限定的特徴も有していない実施形態を示す、添付図面を参照する以下の説明より、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】繊維組織を含浸マンドレル上に巻き付けるための、本発明のホルダ装置を含む機械の、側面図である。
図2図1ホルダ装置の図である。
図3図1ホルダ装置の図である。
図4A】本発明のホルダ装置の可能な位置を示す、図1巻上機の含浸マンドレルの略図である。
図4B】本発明のホルダ装置の可能な位置を示す、図1巻上機の含浸マンドレルの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ガスタービン航空エンジン用のファンケーシングを製造することへの適用の文脈において、以下に記載される。
【0022】
このようなファンケーシングを製造する方法の一例は、参照されてもよい欧州特許第1961923号明細書に記載されている。
【0023】
ケーシングは、マトリクスによって緻密化された繊維強化材を含む複合材料で作られる。一例として、繊維強化材は、炭素、ガラス、アラミド、またはセラミック繊維で作られてもよく、マトリクスは、エポキシ、ビスマレイミド、またはポリイミド樹脂などのポリマーで作られる。
【0024】
簡潔には、この文献に記載される製造方法は、製造されるケーシングのプロファイルに応じて決定されるプロファイルを有するドラム(以下、巻き取りマンドレルと称される)上への経糸巻き取りを伴う、三次元織りによって繊維組織を作成するステップからなる。
【0025】
このようにして作られた繊維組織はその後、製造されるケーシングの内側プロファイルに対応する外側プロファイルの樹脂注入金型のマンドレル(以下、含浸マンドレルと称される)上に移動させられる。
【0026】
プリフォームが含浸マンドレル上に保持された状態で、次に樹脂を用いて含浸が行われる。この目的のため、プリフォームにエンベロープが適用されてこの方法で構成されるように金型に樹脂が注入される。含浸は、プリフォームを収容する金型の内側と外側との間に圧力差を確立することによって、支援されてもよい。含浸の後、樹脂重合ステップが実行される。
【0027】
本発明は、図1に示されるように、巻き取りマンドレル上に保管された繊維組織が樹脂注入金型の含浸マンドレルまで自動的に移動させられることを可能にする機能を有する、いずれのタイプの巻上機にも適用される。
【0028】
このような機械の構造および動作を詳細に記載した、フランス特許第11/53212号明細書(未公開)が、参照されてもよい。
【0029】
簡潔に、巻上機10は、特に巻き取りマンドレル14および含浸マンドレル16を支持するのに役立つ、支持構造12を含む。これらのマンドレルは取り外し可能であり、すなわちこれらは支持構造から分離されてもよい。
【0030】
巻き取りマンドレル14は、たとえば三次元織りによって得られた繊維組織18を受け取る。これは、一端が巻上機の支持構造12上に回転可能に実装され、他端がたとえば交流電流(AC)電気歯車モータなどの電気モータ22の出力シャフトに結合された、水平軸シャフト20によって担持されている。
【0031】
巻き取りマンドレル14、その軸シャフト20、およびその電気モータ22によって構成されるアセンブリは、巻き取りマンドレルの回転軸に沿って支持構造に対して並進することができる。巻き取りマンドレルが並進するこの自由度は、含浸マンドレル上への繊維組織の巻き取りに先立って、このマンドレルを含浸マンドレルと一致させることができるようにする。
【0032】
巻上機の含浸マンドレル16は、巻き取りマンドレル上に保管された繊維組織の重畳層を受け取るためのものである。これは、作成されるケーシングの内面のプロファイルに対応する外面24のプロファイルと、ケーシングが他の要素に関連して実装されることを可能にするために、その上流および下流末端においてケーシングの外フランジのプロファイルに対応する2つのチークプレート26のプロファイルとを、有する。
【0033】
含浸マンドレルは、巻き取りマンドレルの回転軸20と平行であって、その一端は巻上機の支持構造12上に回転可能に実装され、その他端はたとえばAC電気歯車モータなどの電気モータ30の出力シャフトに結合された、水平軸シャフト28によって担持されている。
【0034】
制御装置32は、2つのマンドレルの電気モータ22および30に接続され、各マンドレルの回転速度を制御および監視するのに役立つ。より一般的には、この制御装置は、巻上機の全ての運転パラメータ、および特に運動がモータ駆動されているときの巻き取りマンドレルの並進運動を調節するのに、役立つ。
【0035】
このような機械を用いて、繊維組織は以下のように含浸マンドレル上に巻き取られる:まず、巻き取りマンドレル上の繊維組織の自由端が、以下に記載される1つ以上のホルダ装置によって含浸マンドレル上に締結され、次に繊維組織に適切な巻き張力を印加するように、マンドレルを回転駆動するモータが制御装置の制御の下で始動される。
【0036】
図1において、巻上機10は、巻き取りの開始時に含浸マンドレル上の異なる角度位置に位置する2つのホルダ装置100および100’を有する。当然ながら、単一の装置でも十分である。
【0037】
本発明のホルダ装置100は、図2および図3により詳細に示されている。これは、巻き取りの開始時に繊維組織の自由端を含浸マンドレル上に保持するのに役立つ。巻き取りの終了時、これは組織がその最終的な長さに切断される前に繊維組織を含浸マンドレル上に保持するためにも、使用される。
【0038】
ホルダ装置100は具体的には、その2つの末端がたとえばネジ104によって、含浸マンドレルのチークプレート26に締結されている支持体を形成する、横材102を含む。このためホルダ装置は取り外し可能となっている。
【0039】
横材102は3つのパッド担体、すなわち中央パッド担体110と、2つの側方パッド担体130とを支持する。
【0040】
中央パッド担体110は、より具体的には含浸マンドレルの2つのチークプレート26から実質的に等しい距離に位置している。これは、それ自体が横材に締結されたパッド支持体116にピボット接続114を介して実装された、タブ112を有する。パッドは、含浸マンドレル上に巻き付けられた繊維組織の層18に対して押圧するためのものである。
【0041】
中央パッド担体110はまた、クランプハンドル120によって作動されることが可能であってパッド支持体116に固定された、ワームスクリュー118で作られたネジナットシステムも有する。このためハンドル120を回すことによって、横材に対してパッド112を上げ下げすること、したがって繊維組織層に対してパッドをより大きいまたは少ない程度に押圧することが、可能である。
【0042】
側方パッド担体130は、含浸マンドレルの外面24とチークプレート26との間に形成された角部に位置している。
【0043】
各側方パッド担体は、含浸マンドレル上に巻き付けられた繊維組織層18に対して押圧するための主パッド132と、繊維組織層18の側方マージン18aに対して押圧するための側方パッド134と、を有する。これら2つのパッド132および134は、それ自体が横材102に締結されたパッド支持体140上に、参照番号136および138それぞれが付されたピボット接続を介して、実装されている。
【0044】
各側方パッド担体はまた、クランプハンドル144によって作動可能であり、パッド支持体140に固定されている、ワームスクリュー142で作られたネジナットシステムも有する。このためハンドル144を回すことによって、横材に対して主パッド132を上げ下げすること、したがって繊維組織層に対してパッドをより大きいまたは少ない程度にクランピングすることが、可能である。
【0045】
側方パッド134はまた、側方クランプハンドル148によって作動可能であり、パッド支持体140に固定された、ワームスクリュー146で作られたネジナットシステムによって調整可能である。このためこのハンドル148を回すことによって、含浸マンドレルのチークプレートに対して横方向に側方パッド134を移動させること、したがって繊維組織層の側方マージン18aに対して側方パッドをより大きいまたは少ない程度にクランピングすることが、可能である。
【0046】
図2に示されるように、パッド112、132と、含浸マンドレル上に巻き付けられた繊維組織層18との間に、圧力分散プレート150が有利に介在している。このプレートの存在は、パッドによって印加されたクランプ圧を繊維組織層の全幅にわたって分散させることを可能にする。
【0047】
プレート150は、たとえばポリアミドまたはポリテトラフルオロエチレンなどのプラスチック材料で作られており、これはその剛性の結果として、パッド112、132によって被覆されていない繊維組織層の領域にクランプ圧が伝達されることを保証するのに十分な厚みを有する。一例として、この厚みはおよそ10ミリメートル(mm)程度であってもよい。
【0048】
さらに、含浸マンドレルの外面のプロファイルにプレートを密着させることを可能にするように、含浸マンドレルの外面のプロファイルが直線的ではない領域において、プレートがある程度の可撓性を有するように保証することも、適切である。
【0049】
この目的のため、圧力分散プレート150はパッド112、132の間に画定された可撓領域152を有し、これらの領域は、たとえばプレートの厚みに溝154を形成することによって、可撓性になっている。一例として、約10mmの厚みを有するプレートについて、これらの溝は1mmの幅および3mmの深さを有してもよい。さらに、これらの溝はプレートの片側または両側に形成されてもよい。
【0050】
図4Aおよび図4Bを参照すると、マンドレル上への繊維組織の巻き取りの異なる段階の間、本発明による2つのホルダ装置100および100’が巻上機の含浸マンドレル16上にどのように位置決めされるかの記載が続く。
【0051】
これらの図において、マンドレル16の回転方向は矢印Fによって表され、仕様に準拠する厚みのケーシングプリフォームを得るために、繊維組織はマンドレル上に4と1/8回転巻き付けられる必要がある。
【0052】
図4Aは、巻き取りの開始時における構成を示す。予め、繊維組織層の自由端18bはマンドレル16上の+1/16の目盛に位置しており、これは角度的に12時の位置である。すると本発明による第一ホルダ装置100はマンドレルに対してこの同じ+1/16目盛に位置し、するとその後マンドレルはこれを図4Aに示される角度位置に持って行くために、矢印Fの方向に回される。すると本発明による第二ホルダ装置100’は、マンドレル上で1/4の目盛に位置決めされる。この構成は、巻き取りを開始できるようにするために、繊維組織の張力を最適化することができるようにする。すると、4回転を少し越える繊維組織の巻き取りが開始可能となる(当然ながら、ホルダ装置100および100’は、2回転目の前に取り外される)。
【0053】
有利なことに、マンドレル上の繊維組織層の接着を最適化するために、繊維組織層の自由端の載置に先立って、マンドレルの外面上に接着剤が付着されてもよい。たとえば、この接着剤は、エポキシ樹脂(触媒を含まない)および溶媒によって構成されてもよい。
【0054】
図4Bは、巻き取りの終了時における構成を示す。繊維プリフォームがまだ巻き取りマンドレル(図示せず)と含浸マンドレル16との間で張力下にある間に、本発明による第一および第二ホルダ装置100および100’はマンドレル上で、それぞれ1/16の目盛および−1/16の目盛に位置決めされる。すると繊維組織が切断可能となる(参照符号18cが繊維組織の巻き取りの末端に対応する、1/8目盛において)。
【0055】
この構成は、含浸マンドレル上に樹脂注入金型を閉鎖するための第一角度セクタ200を所定位置に配置するために、第一ホルダ装置100を取り外す必要があるときに、第二ホルダ装置100’によってプリフォームを張力下状態で維持することができるようにする。一旦この角度セクタがマンドレル上の所定位置に配置されると、第二ホルダ装置100’が取り外され、金型を閉鎖するため別の角度セクタが同様に所定位置に配置されることが可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B