(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アルコールが、メタノール、エタノール、又はこれらのアルコールのいずれか若しくは双方を含有する混合物であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の製造方法。
オレフィン官能化シロキサンオリゴマーを含有する前記組成物が、前記工程(v)に続いて、塔底生成物として得られることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の製造方法。
前記オレフィン官能化シロキサンオリゴマーにおけるケイ素原子の合計に対して、前記シロキサンオリゴマーにおけるケイ素原子の1%以上がT構造として得られるか、及び/又は
式II、III、及び/又はIV、又はその加水分解生成物のモノマー性アルコキシシランのケイ素原子含分が、全てのケイ素原子に対して3%以下で得られることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の製造方法。
一般式IIのオレフィン官能化アルコキシシランにおいて、xが0であり、かつ/又は飽和炭化水素基で官能化された式IIIのアルコキシシランにおいて、yが0であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の製造方法。
使用する式II及び/又は式IIIのアルコキシシランのケイ素原子1molあたり、0.60以上〜1.48molという規定量の水を添加することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の製造方法。
式II、III及び/又はIVのアルコキシシランを、酸性触媒の存在下、少なくとも部分的に加水分解及び縮合し、任意でアルコールを完全に除去することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の製造方法。
工程(iii)において規定量の水により、アルコキシシラン1体積単位当たり0.05〜2.5体積単位というアルコール量の存在下で反応させることを特徴とする、請求項12に記載の製造方法。
前記工程(vii)において、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーを有する組成物が得られ、前記オリゴマーの分子量Mwは、全組成物に対して85%以上(面積%、GPC)が、250以上〜750g/molであることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の製造方法。
前記工程(vii)において、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーを有する組成物が得られ、前記オリゴマーの分子量Mwは、全組成物に対して95%以上(面積%、GPC)が、250以上〜1000g/molであることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載の製造方法。
前記組成物において、全組成物に対して、分子量Mwが250以上〜500g/molであるオレフィン系シロキサンオリゴマーが45%以上であり(面積%、GPC)、分子量Mwが500以上〜750g/molであるオレフィン系シロキサンオリゴマーが20%以上であり、かつ分子量Mwが1000g/mol以上であるオレフィン系シロキサンオリゴマーが10%以下であることを特徴とする、請求項18に記載の製造方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーの選択された組成物に関し、当該組成物は、オレフィン官能化アルコキシシランから誘導されており、前記組成物は、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーの混合物として存在していてよく、ケイ素原子1個あたり最大1個のオレフィン基を有し、規定の分子量を有し、その塩化物含分は特に低い。本発明はさらに、前記組成物の製造方法と、その使用に関する。
【0002】
熱可塑性樹脂及びエラストマーを製造する際に、鎖状及び環状のシロキサンオリゴマーの混合物を用いることは公知である。しかしながら昨今、できる限りVOCを下げて作業することがますます望まれており、それは例えば熱可塑性樹脂及びエラストマーを架橋する場合(特に、ケーブル製造の場合)である(VOC=「揮発性有機化合物(Voltaile Organic Compounds)」)。
【0003】
また、ビニルトリエトキシシラン(混合物でもよい)を、アルキルトリエトキシシラン及び/又はテトラエトキシシランと、酸性のHCl接触加水分解と縮合によりアルコール中で、算出した量の水の存在下で反応させることは公知である。続いて、アルコールを分離する。
【0004】
使用する酸は生成物中に留まるか、又は塩化水素(HCl)の場合には、コストを掛けて有機官能性アルコキシシランの反応後に再度、製造した粗生成物から除去しなければならない。加工機械の金属表面の腐食を防止するためである。これは、シロキサン粗生成物の蒸留により行われる。
【0005】
適用時、例えば充填されたケーブル化合物を製造する際、オリゴマーは通常、コンパウンド化機器において、ポリマー及び官能性充填剤と一緒に用いられる。これは非連続的な方法の場合、均質混合機又は混合ローラで、また連続的なコンパウンド化法では二軸押出機又は共軸混練機で行われる。ここで典型的な加工温度は、130〜270℃の範囲にある。これはすなわち、シラン化合物の供給箇所において、方法によってはコンパウンド化機器の導入部、又はポリマー溶融物において、モノマーのシラン及び蒸留可能なオリゴマーの沸点を超える温度が存在するということである。この経験からは、不所望の作用物質損失に加えてさらに、遊離シラン化合物がジャケット内壁又は脱気ゾーンにますます堆積することがわかっている。これらの堆積物は、蒸発したシラン又は蒸留可能なオリゴマーの分解生成物が主成分である。アルコールが含まれることもあるこれらの蒸気によって、危機的な状況が発生することがあり、こうした蒸気は逆方向への脱気の際に導入部に到達する可能性があり、熱せられた表面と接触しうる。これらの困難はまた、コンパウンド化装置の一部領域、又はその脱気領域にも当てはまる。これらの理由から総体的に、使用する化合物の発火点ができるだけ高いことが必要である。充填されたポリマー化合物の場合には、シラン若しくはシランオリゴマーのケイ素官能基のエステル基が加水分解反応する際に生じて放出される加水分解アルコールもまた、考慮すべきである。よって総体的に、VOC(揮発性有機化合物)の減少は、これらの技術において非常に重要な基準である。
【0006】
既に述べたように、コンパウンド化法における通常の可動温度は、たいてい101℃を超えており、混練はしばしば、例えば170〜180℃で行われる。よってさらに、VOCが低減され、かつ腐蝕性の低いオリゴマーに対する需要が存在し、このオリゴマーは酸性化合物(例えばギ酸、HCl若しくはClを含有する化合物)を含まない。これらの化合物の量が非常に少なくても、上記加工温度では腐食、ひいては短時間での機械部材の摩耗につながる。そこでステンレス鋼、ニッケル基合金、及び銅ベースの合金が記載されているが、これらは腐食により、ギ酸又はHClに対して耐性がない(例えば「Handbuch der Metallbelaege」、Fa. Witzemann著、Stand Januar 2010, Kapitel 7.2 Korrosionsbestaendigkeit, p.200-238参照)。ThyssenKruppはパンフレット(Chemische Bestaendigkeit der Nirosta(登録商標)-Staehle、ThyssenKrupp Nirosta GmbH、第3版、Stand 01/2008)において、様々な腐食類型を記載しており、穴状の、亀裂状の、又は応力腐食の形で剥離性腐食面の典型的なきっかけとして、例えば酸及び塩化物イオンの存在を挙げている。このような酸及び塩化物イオンの腐食作用は、高温により明らかに上昇する。合金化されていない鋼では、空気中の湿分が高い(相対湿度で80〜100%)と、ギ酸10g/cm
2、及び最大105g/m
2の塩化物の存在下では、材料腐食量が14日後に起こり得る。従って、本発明により製造されるオリゴマーにおける加水分解触媒及び縮合触媒の含量は、質量ppm〜質量pptの範囲、又は検出限界までできるだけ低減させるのが望ましい。
【0007】
加工の間の腐食に加えてまた、塩化物/塩化物イオン、又は酸が最終的な適用(例えばケーブル絶縁体)において存在することは重要である。絶縁されたコンダクタにおいて腐食があり得ること、またケーブル絶縁性の電気特性に否定的な影響があり得ることに加えて、ハロゲン不含の、難燃性コンパウンドの場合には、腐蝕性、及びハロゲン含有燃焼性ガスを必ず避けなければならない。このような要求はもちろん、これらのコンパウンドにおいて使用される原料にも当てはまる。
【0008】
上述のように本発明におけるシロキサンオリゴマーにおける塩化物含分と酸含分を回避又は低減することによって、これらの要求は完全に満たすことができる。
【0009】
さらに、有機溶剤の含有量がより少なく、このため環境に優しいシラン系に対して、ますます興味が持たれている。この理由から、予備縮合させたVOC含分が低いシラン系が提供される傾向があるが、これは安定化されていなければならない。なぜならばこのシラン系は、さらに触媒を含有しなければならず、またここから、触媒を高コストで分離しなければならないからである。
【0010】
EP 0 518 057 B1又はUS 5,282,998は、鎖状及び環状シロキサンオリゴマー混合物の製造方法を開示している。実施例1及び6によれば、各生成物の混合物は、ビニルトリアルコキシシラン又はビニルトリアルコキシシランとアルキルトリアルコキシシランとの混合物を加水分解及び縮合することによって製造され、ここで、使用されるシランのケイ素1molあたり、水が0.63mol、加水分解と縮合のために使用される。さらにHCl触媒は、そこに開示された方法によって完全には分離できず、腐蝕性に作用する残留含分は、HClが約50〜約230ppm、生成物それ自体の中に残存し、これは開示された方法によれば蒸留される。湿分が侵入するか、又はオリゴマー混合物中にHClが存在することによって縮合がさらに進むことにより、アルコールが放出されることがある。このようにオリゴマー混合物を貯蔵する間のアルコールの放出が起こる場合、これは通常発火点の低下につながり、このことは望ましくない。この理由からEP 0 5180 57B1によれば、既にエネルギーが高く、コストの高い方法における後処理において、HCl含分を低下させるため、真空中で再蒸留しなければならない。上述のオリゴマー混合物は、グラフト重合及び加水分解による縮合によって熱可塑性ポリオレフィン用の架橋剤として適用される。
【0011】
US 6,395,856 B1が開示しているのは、有機官能性ケイ素を含有するオリゴマーのヒドロシリル化であり、これは例えば、ギ酸の存在下、保護ガス化で希釈剤を用いずに、ビニルトリメトキシシランを反応させる、ビニルメトキシシリコネートのヒドロシリル化である。
【0012】
CN 10034331 1 Cが記載しているのは、ビニルトリメトキシシランを接触加水分解及び縮合することにより得られるシランオリゴマーである。金属塩触媒(例えば水酸化銅)を、酸と組み合わせて用いることが必須である。触媒の分離にはコストがかかるため、触媒の残量又は中和生成物が生成物中に留まり、このことは多くの適用で不利に作用することを考慮する必要がある。そのため酸の分離は、炭酸カルシウムを用いた中和と、その際に生じるカルシウム塩の濾過によって行われている。
【0013】
従来技術において幾つかのシロキサンオリゴマーの場合、発火点は数日中に貯蔵の経過につれて50℃未満に低下する。と言うのも、触媒の残量が、組成物中に高濃度で残っていることがあるからである。従来技術から得られる他の組成物はここでも、150℃で最大25質量%という大きな質量損失を示し、200℃では50〜90質量%という大きな質量損失になる。
【0014】
10,000g/molという範囲の高分子を有するシロキサンがJP10-298289 Aに記載されており、ここでこのシロキサンは、ビニル官能性若しくはフェニル官能性のアルコキシシランを、酸触媒の存在下で加水分解及び予備縮合若しくは縮合することにより製造され、この触媒は続いて水不含のアニオン性イオン交換体によって生成物混合体から除去される。このような高分子材料は粘度が高く、また反応性が低いため、たいていの適用において使用できない。
【0015】
JP2004-099872には、あり得る多数の官能基を有するオルガノシロキサンオリゴマーであって、平均分子量Mnが350〜2,500g/molであり、多分散性(D=Mw/Mn)が1.0〜1.3のものが記載されている。この製造は、塩基性触媒の存在下、著しく希釈された水溶液から、非常に僅かな、経済的には目標とするに値しない空時収率で行われる。こうして1lの溶液から、1mlの生成物が単離される。JP2004-099872Aの教示は、開示されたようには後処理できない。よって実施例1は複数回、記載されたようには後処理できなかった。
【0016】
本発明の課題は、別種の、特に塩素含分の低い純粋なオレフィン系シロキサンオリゴマーの混合物、特にアルケニルアルコキシシランをベースとするもの、又は特に塩素含分が低い、オレフィン及びアルキルにより官能化されたシロキサンオリゴマー、特にアルケニル/アルキルアルコキシシランをベースとするもの、またこのような混合物を製造するための方法を提供することであった。さらに、本発明により変性されたシロキサンオリゴマーによって、熱可塑性樹脂又はエラストマーによる加工性の改善、またこれにより製造される熱可塑性樹脂又はエラストマーの性能の改善を達成することも、関心の対象であった。加工時に重要になるのはまた、押出機適用内の規定の温度において、可能な限り少ない質量損失と組み合わされた、熱可塑性樹脂におけるシロキサンオリゴマーの迅速な加工性である。本発明によれば、塩素含分、特に全ての塩化物含分、及び/又は加水分解可能な塩化物の含分もまた、本発明による方法によりさらに明らかに低下すべきであった。さらに、本発明により製造されたシロキサンオリゴマーは、発火点が非常に高く、高温下でもVOCが少なく、さらなる安全措置無しで適用技術において高温下で使用可能であるのが望ましかった。またシロキサンオリゴマー自体は、高温下、例えば押出成形機内で、質量損失が少ないのが望ましい。さらなる課題としては、オレフィン系シロキサンオリゴマーは、良好な貯蔵安定性を、比較的長時間にわたる貯蔵時間で有し、好適にはまた、混合物の粘度上昇(例えば混合物のゲル形成、凝集、又は後縮合による粘度上昇)が、長時間にわたって回避されるように条件付けするのが望ましかった。
【0017】
上記課題が独立請求項の態様により解決され、好ましい実施態様は、サブクレームと明細書中に詳細に説明されている。
【0018】
意外なことに、オレフィン官能化アルコキシシラン、及び任意でアルキルアルコキシシラン、及び任意でテトラアルコキシシランを、容易かつ経済的な方法で規定量の水、特に使用するアルコキシシランのケイ素原子1モルあたり、水0.5〜1.5molと、任意で溶剤(好適にはアルコール)の存在下で反応させて、特に塩素含分が低いオレフィン系シロキサンオリゴマー組成物にすることができる。これは、加水分解アルコール、及び任意で存在する溶剤を実質的に分離し、特に溶剤及び/又は加水分解アルコールを蒸留により除去し、蒸留による後処理の間、又は蒸留による後処理に続いて少なくとも1度、それぞれ規定量のアルコールを追加供給、分離し、特にアルコールを留去することにより可能になる。
【0019】
意外なことに、このようにして得られるシロキサンオリゴマーは既に、塔底生生物として非常に塩化物含分又は総塩化物含分が非常に低かった。このようにして得られる組成物は、本発明により特に塩素含分が低く、特にモノマー含分が低く、好適にはモノマー含分は全く検出できない。本発明による方法は、低沸点溶剤のみを留去でき、特に添加したアルコール及び/又は加水分解アルコールを留去できるため、特に経済的である。高沸点の塔底生生物自体は有利には、もはや蒸留しない。さらに本発明による組成物において、T構造の含分と、分子量を増大させることができた。また、上記組成物の安定性、特に品質安定性を、さらに改善できた。
【0020】
本発明による組成物、及び本発明による方法により製造されたオレフィン官能化シロキサンオリゴマーの組成物は、公知のオリゴマーとは異なり、例えばシロキサンオリゴマー組成物の蒸留のようなさらなる後処理を必要としない。本発明の方法により製造された組成物(オリゴマーの塔底生生物)は、公知の、ただし蒸留により精製されたオレフィン系シロキサンオリゴマーより優れた性能を示す。従って本発明により得られるシロキサンオリゴマーは、もはやそれ自体蒸留する必要がなく、純粋に塔底生生物として得られ、かつ使用できる。
【0021】
さらに本発明によれば、加水分解触媒及び/又は縮合触媒として通常の条件下で、気体状の酸性触媒(水相又はアルコール層に可溶性のもの)、特にHClを用いる。よって反応は、均質接触条件下で行う。本発明による方法によって、気体状の触媒がほぼ完全に組成物から分離可能なことは、意外な利点であった。
【0022】
本発明の対象は、本発明による組成物の製造方法、及び当該方法により得られる、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーを含有する組成物であって、前記オリゴマーは、ケイ素原子のところにオレフィン基を最大一個有し、かつオレフィン官能化シロキサンオリゴマーは、Si−O−架橋された構造要素を有し、当該構造要素は、鎖状、環状、架橋された、及び/又は三次元的に架橋された構造を形成し、ここで少なくとも1個の構造は、一般式Iの理想化された形態に相当し、
【化1】
上記式中、構造要素はアルコキシシランから誘導されており、かつ
前記構造要素においてAは、オレフィン基、特に炭素数2〜16のオレフィン基であり、
前記構造要素においてBは、特に直鎖状、分枝鎖状、又は環状の飽和炭化水素基であって、炭素数が1〜16のもの、好ましくは直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基であって、炭素数が1〜16のものであり、
Yは、OR
3に相当するか、又は架橋された構造において相互に独立して、OR
3又はO
1/2に相当し、Yは三次元架橋した構造において、相互に独立して又はO
1/2に相当し、
ここでR
1は相互に独立して、直鎖状、分枝鎖状、及び/又は環状のアルキル基であって、炭素数が1〜4のもの、及び場合によりHに相当し、
R
3はそれぞれ相互に独立して、直鎖状、分枝鎖状、及び/又は環状のアルキル基であって、炭素数が1〜4のもの、及び場合によりHに相当し、R
2はそれぞれ相互に独立して、直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基であって、炭素数が1〜15のものに相当し、R
4はそれぞれ相互に独立して、直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基であって、炭素数が1〜15のものに相当し、
a、b、c、x、及びyは独立して整数に相当するが、ただし、1≦a、0≦b、0≦cであり、xは相互に独立して0又は1であり、yは相互に独立して0又は1であり、(a+b+c)≧2であり、特に好ましくはx=0、y=0であり、
特に、塩化物の合計含分は、100mg/kg以下から場合によっては0mg/kg、特に75mg/kg以下、好適には50mg/kg以下、さらに好適には45mg/kg以下、特に好ましくは40mg/kg以下、好適には20mg/kg以下、好適には10mg/kg以下、さらに好適には5mg/kg以下〜0mg/kgであり、さらに特に、加水分解可能な塩化物の含分は、20mg/kg未満、特に10mg/kg以下、好適には5mg/kg以下〜0mg/kgであり、特に組成物中において塔底生生物として、また特に、
分子量(Mw)の質量平均は、410g/mol〜580g/molであり、分子量(Mn)の数平均は、370〜470g/molであり、ここで多分散性(Mw/Mnの商)は1.00〜1.25であり、
ここで、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーの構造要素[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
a、[Si(B)(R
4)
y(OR
3)
1-yO]
b、及び[Si(Y)
2O]
cであり、一般式I中、一般式Iの全てのケイ素原子に対して、3%以上がT構造として、かつ好適には10%未満がT構造として存在する。
【0023】
特に好ましい実施態様によれば、分子量(Mw)の質量平均は、430以上〜550g/mol、特に450〜530g/molであり、さらに数値を挙げれば、415、420、425、435、440、445、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、535、540、545、555、560、565、570、及び575g/molであり、同様に特に好ましくは、分子量(Mn)の数平均は、390g/mol〜450g/molの範囲、特に400g/mol〜435g/molの範囲であり、さらに数値を挙げれば、375、380、385、395、405、410、415、420、425、430、440、445、455、460、及び465g/molであり、ここでMw/Mnの商としての多分散性は、好適には1.00〜1.25である。全ての中間の数値を含む多分散性が1.01〜1.24の範囲であれば(特に、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23)、さらに好ましい。
【0024】
分子量の質量平均(Mw)
【数1】
及び分子量の数平均(Mn)
【数2】
各式中、n
iは、iマーの物質量(質量)であり、M
iは、iマーの分子量である。質量平均と数平均についての詳細な定義は、当業者に公知であり、読者にはまた特にインターネットの「http://de.wikipedia.org/wiki/ Molmassenverteilung」の項目、又は数学の標準的な著作物から読み取ることができる。一般的には、ジシロキサン、トリシロキサン、テトラシロキサン、ペンタシロキサンという呼称が、それぞれ直鎖状及び/又は分枝鎖状のシロキサンを表し、シクロトリシロキサン、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、又はシクロヘプタシロキサンが、環状のシロキサンを表す。
【0025】
さらに本発明の対象は、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーを含有する組成物であり、当該シロキサンオリゴマー中、構造要素
[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
a、[Si(B)(R
4)
y(OR
3)
1-yO]
b、及び[Si(Y)
2O]
cが、一般式Iのケイ素原子全てに対して、好適には4%以上、特に好ましくは5%以上存在し、それは例えば5〜10%、特に好ましくは7.5%以上、さらに好適には10%以上、11%以上、13%以上、15%以上、代替的には20%以上、又はさらに代替的には、25%以上である。
【0026】
代替的には、構造要素[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
a、[Si(B)(R
4)
y(OR
3)
1-yO]
b、及び[Si(Y)
2O]
cが全体で、すなわち合計で、一般式Iにおいて一般式Iのケイ素原子全てに対して、5%以上がT構造として存在するが、ただし、1≦a、0≦b、0≦c、及び(a+b+c)≧2であるか、又は代替的に、合計で構造要素[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
aが、一般式Iにおけるケイ素原子全てに対して、5%以上がT構造で存在し、例えば5〜10%、特に7.5%以上、好適には10%以上、特に好ましくは11%以上、さらに好ましくは13%以上、15%以上、代替的には20%以上、さらなる変法によれば25%以上で存在する。
【0027】
同様に本発明の対象はまた、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーを含有する組成物であり、前記シロキサンオリゴマーにおけるモノマーのアルコキシシランのケイ素原子含分は、シロキサンオリゴマーのケイ素原子全てに対して3%以下、特に検出限界まで、又は0.0%であり、特に一般式Iのケイ素原子全てに対して、ただし、1≦a、0≦b、0≦c、かつ(a+b+c)≧2であり、好適にはモノマー含分は2%以下、さらに好適には1%以下、特に好ましくは前記含分は、0.75質量%〜0質量%、同様に好適には0.5%以下である。
【0028】
さらに本発明の対象は、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーを含有する組成物であり、当該シロキサンオリゴマー中、一般式Iにおける構造要素
[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
a、[Si(B)(R
4)
y(OR
3)
1-yO]
b、及び[Si(Y)
2O]
cは、一般式Iのケイ素原子全てに対して、1%以上、特に2%以上、好適には3%以上、好適には4%以上、特に好ましくは5%以上がT構造として存在し、それは例えば5〜10%、特に好ましくは7.5%以上、さらに好適には10%以上、11%以上、13%以上、15%以上、代替的には20%以上、又はさらに代替的には、25%以上である。
【0029】
代替的には、構造要素[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
a、[Si(B)(R
4)
y(OR
3)
1-yO]
b、及び[Si(Y)
2O]
cが全体で、すなわち合計で、一般式Iにおいて一般式Iのケイ素原子全てに対して、5%以上がT構造として存在するが、ただし、1≦a、0≦b、0≦c、及び(a+b+c)≧2であるか、又は代替的に、合計で構造要素[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
aが、一般式Iにおけるケイ素原子全てに対して、5%以上がT構造で存在し、それは例えば5〜10%、特に7.5%以上、好適には10%以上、特に好ましくは11%以上、さらに好ましくは13%以上、15%以上、代替的には20%以上、又はさらに代替的には、25%以上である。
【0030】
本発明の対象は、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーを含有する組成物であって、前記オリゴマーは、ケイ素原子のところにオレフィン基を最大一個有し、かつオレフィン官能化シロキサンオリゴマーは、Si−O−架橋された構造要素を有し、当該構造要素は、鎖状、環状、架橋された、及び/又は三次元的に架橋された構造を形成し、ここで少なくとも1個の構造は、一般式Iの理想化された形態に相当し、ここでシロキサンオリゴマーは、少なくとも1種のアルコキシシランから誘導される構造要素を有し、
(i)一般式IIのオレフィン官能化アルコキシシランから
【化2】
[上記式中、Aはオレフィン基であり、R
2及びxは、先に定義の通りであり、好適にはxは0であり、R
1は独立して、直鎖状、分枝鎖状、及び/又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜4のものに相当するか、又は場合によって、式IIのアルコキシシランの混合物に相当する]、かつ
(i.1)任意で、(少なくとも1つの)飽和炭化水素基によって官能化された式IIIのアルコキシシランから、
【化3】
[上記式中、Bは非置換の炭化水素基であり、R
3、R
4、及びyは、先に定義の通りであり、yは好ましくは0であるか、又は場合によっては式IIIのアルコキシシランの混合物である]、かつ
(i.2)任意で、一般式IV、すなわちSi(OR
3)
4の(少なくとも1つの)テトラアルコキシシランから、ここでR
3は相互に独立して、前述の通りであり、好ましくは塩素の含分、特に塩化物の合計は、100mg/kg以下であり、特に75mg/kg〜0mg/kgであり、さらに好ましくは50mg/kg以下であり、好適には構造要素は、シロキサンオリゴマーのケイ素原子全てに対して一緒に、1%以上がT構造として存在し、好適には2%以上、3%以上、5%以上、例えば5〜10%、特に7.5%以上、好適には10%以上、特に好ましくは11%以上、さらに好ましくは13%以上、15%以上、代替的には20%以上、又はさらなる変法では、25%以上である。特に好ましくは、x=0、及びy=0である。
【0031】
炭素数が1〜4である全てのアルキル基、例えばR
1、R
2、R
3、R
4は、それぞれ相互に独立して、好適にはメチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソ−プロピル、ブチル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、及び/又は2−メチルブチルであり得る。ここでアルキル基R
2及び/又はR
4はそれぞれ相互に独立して、直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基であって、炭素数が1〜15のものに相当し、例えばメチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソ−プロピル、ブチル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、又は炭素数が5の2−メチルブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−のニル、n−デシル、n−ウンデシルなど、並びにアルキル置換されたシクロペンチル、及びシクロヘキシル基である。ここで、アルキル基R
2及びR
4はそれぞれ相互に独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−ペンチル基、ヘキシル基、i−ヘキシル基、ネオ−ヘキシル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、オクチル基、n−オクチル基、イソ−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、C
13H
27基、C
14H
29基、C
15H
31基から選択できる。
【0032】
シロキサンオリゴマーと、式II、III、及びIVのアルコキシシランは、エステル交換生成物として、使用又は単離できる。その例は、メトキシジエトキシアルキルシラン、又はメトキシジエトキシビニルシランである。
【0033】
特に好ましい実施態様によれば、オレフィン基Aは、式I及び/又はII中において、非加水分解性のオレフィン基、特に直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルケニルアルキレン官能基又はシクロアルケニルアルキレン官能基であって、炭素数がそれぞれ2〜16のもの、好ましくは2〜8のもの、特に好ましくはビニル基、アリル基、ブテニル基、例えば3−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、エチルヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、シクロヘキセニル−C
1〜C
8アルキレン基、好適にはシクロヘキセニル−2−エチレン基、例えば3’−シクロヘキセニル−2−エチレン基、及び/又はシクロヘキサジエニルC
1〜C
8アルキレン基、好適にはシクロヘキサジエニル−2−エチレン基に相当する。
【0034】
同様に、非置換炭化水素基Bは、式I及び/又はIII中で独立して、直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基であって、炭素数が1〜16のもの、特にメチル基、エチル基、プロピル基、i−ブチル基、オクチル基、又はヘキサデシル基に相当し得る。
【0035】
1つの変法によれば、オレフィン官能化シロキサンオリゴマー、特に式Iのものは、好適にはケイ素原子の、基A及びBに対する比が、aが1以上、bが0以上、cが0以上、(a+b+c)が2以上という条件で、Si:(基A+B)の比が、1:1から約1.22:1、好適には1:1から1.15:1である。
【0036】
同様に本発明の対象は、シロキサンオリゴマーを含有する組成物及びオレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーを含有する組成物が得られる方法であって、前記シロキサンオリゴマーは、ケイ素原子のところにオレフィン基を最大で1個有し、かつ特にそれぞれ独立して
(i)一般式Iにおける構造要素[(R
1O)
1-x(R
2)Si(A)O]
aが、一般式Iのケイ素原子全てに対して、1%以上がT構造として製造され、特に2%以上、3%以上、好適には4%以上、特に好ましくは5%以上、代替的には7.5%以上、又はさらに代替的には、8%以上、好適には10%未満、好適には9.5%未満、及び任意で、
(ii)構造要素[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
a、及び[Si(B)(R
4)
y(OR
3)
1-yO]
b、及び[Si(Y)
2O]
cは、一般式I中で相互に独立して、一般式Iのケイ素原子全てに対して、20%以上がD構造として製造され、その割合は特に25%以上、好適には30%以上、特に好ましくは35%以上、40%以上、又は45%以上であり、かつ好適には55%未満であり、特にaは1以上であり、bは0以上であり、cは0以上であり、好適にはaは1以上であり、b=0、c=0であるか、又はaは1以上、bは1以上、cは0であるか、又はa、b、cはそれぞれ独立して、1以上であり、任意で
(iii)一般式Iにおける構造要素[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
aは、一般式Iのケイ素原子全てに対して、60%以下がM構造として製造され、その割合は特に55%以下、好適には50%以下、特に好ましくは45%以下であり、好適には30%超であり、任意で、
(iv.a)一般式Iにおける構造要素[Si(B)(R
4)
y(OR
3)
1-yO]
bは、一般式Iのケイ素原子全てに対して、45%以下がM構造として製造され、その割合は特に40%以下、好適には38%以下であり、好適には30%超、かつ/又は任意で、
(iv.b)一般式Iにおける構造要素[Si(B)(R
4)
y(OR
3)
1-yO]
bは、10%以上がM構造として製造されており、その割合は特に、20%以上、特に25%以上、好ましくは30%以上であり、かつ/又は任意で
(v)一般式Iにおける構造要素[Si(Y)
2O]
cは、好ましくは15〜52%がD構造として製造されているか、又は主にD構造として製造され、代替的には、一般式Iにおける構造要素[Si(Y)
2O]
cは20%超が、D構造として存在し、その割合は特に25%超、好ましくは30%超、特に好ましくは35%超である。
【0037】
特に好ましい変法によれば、製造される純粋なオレフィン系シロキサンオリゴマー(特に構造要素[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
aにより製造されたもの)は、一般式I中、M構造を38〜60%、D構造を35〜55%、かつT構造を3%以上、特にT構造を3.5%以上有する。
【0038】
M構造、D構造、T構造、又はQ構造の割合は、当業者に公知の方法、例えば好適には
29Si−NMRにより測定する。
【0039】
M構造、D構造、T構造、及びQ構造の定義は通常、シロキサン結合中で結合された酸素の数に関連し、以下ではアルコキシシリル単位によって例示的に説明する:それぞれ独立してRは、OR
1、OR
3、基A、又は基Bであり、これらの定義は上述の通りである。Mは、[−O
1/2−Si(R)
3]であり、Dは、[−O
1/2−Si(R)
2−O
1/2−]であり、Tは、[RSi(−O
1/2−)
3]であり、Qは、[Si(−O
1/2−)
4]である。−O
1/2−は常に、シロキサン結合における酸素原子である。そこで、シリコーンと、シロキサン若しくはシランオリゴマーをよりわかりやすく記載するため、理想化された式による記載に代えて、M構造、D構造、T構造(架橋)、及びQ構造(三次元架橋)を用いることもできる。このようなシロキサン構造の呼称分類については、「Roempp Chemielexikon」の、「Silicone」の項目を指摘しておく。例えば構造単位Mのみから、二量体M
2(例えばヘキサアルコキシシラン)を形成できる。鎖状構造を構築するために、構造単位D及びMの合成が必要になり、これにより三量体(M
2D、オクタアルコキシトリシロキサン)、四量体(M
2D
2)、及び直鎖状オリゴマーのM
2D
nまで構築できる。環状オリゴマーを形成するためには、構造単位Dが必要となる。このようにして例えば、D
3、D
4、D
5、又はより高次のものが構築できる。分枝鎖状又は架橋した構造要素(スピロ化合物についても考慮される)は、構造単位T及び/又はQが一緒に存在することによって得られる。考えられる架橋構造は、T
n(n≧4)、D
nT
m(n<m)、D
nT
m(n>>m)、D
3T
2、M
4Q、D
4Qとして存在することができ、これらはあり得る可能性のうち、幾つかを挙げたに過ぎない。構造単位Mはまた、ストッパー又は調節剤とも呼ばれ、D単位は連鎖形成剤又は環形成剤と呼ばれ、またT構造、場合によってはQ構造も、架橋形成剤と呼ばれる。4個の加水分解基に基づくテトラアルコキシシランの使用、及び水若しくは湿分の存在が、構造単位Qに、ひいては網目構造の形成(三次元架橋)に影響を与え得る。これに対して、完全に加水分解されたトリアルコキシシランは分岐部、すなわちT単位[−Si−(−O−)
3/2]を有することができ、この構造単位中では、MD
3TM
2が、オリゴマー度nが7のオリゴマーであり、ここで前記構造の説明中、各官能性は、シロキサン単位の自由な価数によって定義される。
【0040】
M構造、D構造、T構造、及びQ構造の命名法の詳細、並びにこれに関連した試験方法を理解するためには、特に以下の文献が挙げられる:
・「Strukturuntersuchungen von oligomeren und polymeren Siloxanen durch hochaufloesende
29Si-Kernresonanz」、H.-G. Horn、H. Ch. Marsmann著、Die Markromolekulare Chemie 162 (1972年), 255-267p、
・「Ueber die
1H-,
13C- und
29Si-NMR chemischen Verschiebungen einiger linearer, verzweigter und cyclischer Methyl-Siloxan-Verbindungen」、G. Engelhardt, H. Jancke著、J. Organometal. Chem. 28 (1971年), 293-300p、
・「Chapter 8 - NMR spectroscopy of organosilicon Compounds」、Elizabeth A. Williams著、The Chemistry of Organic Silicon Compounds, 1989 John Wiley & Sons Ltd, 511-533p。
【0041】
本発明の方法によれば、オレフィンシロキサンオリゴマー中におけるM構造:D構造の比が、好適には1:2から3.5:1、特に1:2から2.5:1、代替的には1:2から1.5:1である組成物が得られ、当該組成物中、特にモノマーのアルコキシシランの割合は、3%以下〜0%、好適には2%以下、特に好ましくは1%以下であり、ここで好適にはT構造の割合は、合計で1%以上、好適には3%以上である。
【0042】
上記構造を有する組成物は、モノマーのアルコキシシラン含分が低減されているため、安定的な架橋度を有し、特に塩素含分が僅少である。本発明による方法の優れた利点は、製造されるオレフィン系シロキサンオリゴマー、特にビニルオリゴマーが、公知のオリゴマーとは異なり、さらなる後処理(例えばシロキサンオリゴマー組成物の蒸留)を必要としないことである。製造されるオリゴマーの塔底生生物は、公知のものと同等以上の性能を示すが、公知のものは、蒸留により精製されたシロキサンオリゴマーである。
【0043】
本発明により製造されるオレフィン官能化シロキサンオリゴマーの特別な利点は、塩素の含分が低下していること、またシロキサンオリゴマーのT構造の割合が増大していること、シロキサンオリゴマーの加工性(例えば混練又はコンパウンド化の際の加工性)がポリマーにより直接改善されていることである。具体的には溶融指数が改善しており、これにより加工の際のエネルギーコストが低下する。さらに、鉄製機械の腐食性が低減する。と言うのも塩素含分がさらに低下できたからである。さらに、本発明によるシロキサンオリゴマーによってコンパウンド化されたポリマーの水吸収性が減少し、しばしばその破断点伸びに加えて、たいていは引張強度も改善されている。吸水性が低くなっていることは、後の適用領域において利点となり、例えば地中に埋設され、継続的に湿分にさらされる、充填されたケーブル材料、特にケーブルを製造する際に、利点となる。
【0044】
組成物及び/又はシロキサンオリゴマーが、例えばオリゴマー化度を調整するためにアルコキシトリアルコキシシランを添加することによって、さらにトリアルキルシラン基(例えばトリメチルシラン基又はトリエチルシラン基)を有することが、有利であり得る。
【0045】
設定された課題を解決するため、本発明の方法によってオレフィン系シロキサンオリゴマー混合物の組成物を得るのだが、ここで特にシロキサンオリゴマーの20%超が、4以上のオリゴマー化度、任意で8以上のオリゴマー化度を有する、すなわち、ケイ素原子の数(n)がオリゴマー1つあたり、4以上、任意で8以上(n≧8)、さらに好ましくは、T構造を有するシロキサンオリゴマーの数は同時に、1%以上(≧1%)、特に2%以上(≧2%)、好ましくは3%以上(≧3%)、例えば3〜10%であり、ここで同時に粘度は好ましくは3,000mPa s以下、特に1,000mPa s以下で、好適には5mPa s以上、特に好ましくは500mPa s以下で、特に10mPa s以上である。代替的には、オレフィン官能化されたシロキサンを含有する組成物の粘度が3,000mPa s以下で7mPa s以上、特に好ましくは2,500Pa s以下、特に500mPa s以下、10mPa s以上、代替的に好適には1,000mPa s以下、特に500mPa s以下で、12mPa s以上である。このような組成物は、エラストマー又は熱可塑性樹脂によって優れてコンパウンド化することができ、前述の優れた特性を有する。
【0046】
一般的にシロキサンオリゴマーは、M構造、D構造、及びT構造を有する直鎖状及び/又は環状のオリゴマーであり得る。製造の間、又はオリゴマー加工前にテトラアルコキシシランを添加して初めて、M構造、D構造、Q構造、及び任意でT構造を有するシロキサンオリゴマーが形成される。本発明による組成物は、(a+b)の合計が2以上の整数、特に4以上〜30の整数、好適には6以上〜30の整数、場合によっては8以上〜30の整数であり、cは場合によっては1以上、例えば1〜20、特に2〜15であるシロキサンオリゴマーを有する。オリゴマー分岐度が高過ぎる場合、シロキサンオリゴマーにおいて均質で再現可能な生成物特性が得られないことがある。そこで組成物製造の間、オリゴマー化度を調整するために、所望の時点での連鎖停止にとって、アルコキシトリアルキルシラン(例えば好適にはエトキシトリメチルシラン若しくはメトキシトリメチルシラン)を、製造すべき組成物に添加するのが好ましいことがある。
【0047】
本発明による方法により得られる組成物は、シロキサンオリゴマーを少なくとも20質量%有することができ、ここでオリゴマー化度は、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーについて4以上、特に6超、場合によっては8超である。ここでさらに、オリゴマーの少なくとも20質量%、特に式Iのものであって、(a+b)の合計が4以上の整数のもの、代替的には5以上の整数のもの、特に(a+b)の合計が6以上の整数のもの、場合によっては8以上の整数のものが好ましく、aが1以上であり、bが0以上、又はbが1以上であり、好適にはaとbはそれぞれ相互に独立して2以上、好適には3以上、特に独立して4以上であり、場合によってcは(a+b+c)中、1以上である。好ましい態様によれば、又は前述の特徴に加えて、シロキサンオリゴマーの95〜100%が、2〜20のオリゴマー化度を有し、このオリゴマー化度は好適には2〜6、代替的には2〜7、好適には3〜10である。
【0048】
好ましい変法によれば、bは1以上、特に2以上、好適には4以上である。さらに好ましくは、オレフィン官能化シロキサンオリゴマー(特に式Iのもの)の少なくとも20%が、オリゴマー化度(a+b+c)が4以上、場合によっては8以上であり、ここでaは1以上、bは1以上、場合によってcは1以上であり、T構造を有するシロキサンオリゴマーの割合は、1%以上(≧1%)であり、好適には粘度は1,000mPa s以下で、特に5mPa s超である。さらに好ましくは、シロキサンオリゴマーのT構造の割合は、3%以上、代替的には1〜10%であり、ここで粘度は同時に500mPa s以下である。
【0049】
代替的な方法実施により得られる組成物はさらに、又は1つ以上の前記特徴に代えて、好適には全てのアルコキシ基が完全に加水分解された後、アルコール含分が20質量%以下、特に18質量%以下、好適には16質量%以下、さらに好適には16質量%以下であり、さらに好適には15質量%以下〜0.1質量%以下であり、同様に好適には12質量%以下〜1質量%以下だが、ただしこれは、加水分解のために必要な量の水のみを添加した場合である。測定のためのさらなる希釈は、行わない。
【0050】
さらに、又は1つ以上の上記特徴に代えて、本発明による方法により得られる組成物は好適には、基Aの、基Bに対するモル比が、1:0から1:8、好適には約1:0から1:4であり、特に好ましくは前記比は、1:0から1:2、好適には1:0から1:1、好適には1:1である。
【0051】
ここで、本方法により得られる組成物が、オレフィンシロキサンオリゴマーを有するとさらに好ましく、
(i)オレフィン官能化されたケイ素原子から、また飽和炭化水素により官能化されたケイ素原子から選択されるケイ素原子の、シロキサンオリゴマーにおける、又は場合によっては式I中におけるアルコキシ基に対する比が、1:0.3から1:3.5、特に1:0.3から1:2.0、特に好ましくは1:1.0から1:1.8、同様に好ましくは1:0.4から1:1.8、1:0.4から1:1.6、好ましくは1:0.4から1:1.5であり、代替的により多くの水を添加した場合には、1:0.4から1:0.9、特に1:0.4から1:08、同様に好ましくは1:0.4から1:0.7であるが、ここでオレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーは、一般式II及びIIIのアルコキシシランから誘導されており、
(ii)オレフィン官能化されたケイ素原子から、また飽和炭化水素により官能化されたケイ素原子から選択されるケイ素原子の、シロキサンオリゴマーにおける、又は場合によっては式I中におけるアルコキシ基に対する比は、1:0.9から1:2.5、特に1:0.9〜1:1.5、特に1:1.0〜1:1.4、代替的により多くの水を添加した場合には、1:1.0から1:1.3、好ましくは1:1.0から1:1.2であるが、ここでオレフィン官能化シロキサンオリゴマーは、一般式II及びIVのアルコキシシラン、並びに式IIIのアルコキシシランのアルコキシシランから誘導されている。
【0052】
1つの変法によれば、オレフィン置換された純粋なシロキサンオリゴマー組成物を製造し、これは特に式Iのシロキサンオリゴマーであって、aが2以上の整数であり、ここで好ましくはシロキサンオリゴマーの少なくとも20質量%は、aが4以上、場合によっては8以上で存在する。好ましいオレフィン基は、直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルケニル−アルキレン官能基若しくはシクロアルケニル−アルキレン官能基であって、炭素数が2〜16のもの、特に炭素数が2〜8のものであり、好ましくはビニル基、アリル基、ブテニル基、例えば3−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、エチルヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、シクロヘキセニル−C
1〜C
8アルキレン基、好適にはシクロヘキセニル−2−エチレン基、例えば3’−シクロヘキセニル−2−エチレン基、及び/又はシクロヘキサジエニルC
1〜C
8アルキレン基、好適にはシクロヘキサジエニル−2−エチレン基である。特に好ましいのは、ビニル基である。場合によって前記組成物は、テトラアルコキシシランの存在下で製造されたシロキサンオリゴマーをベースとしていてよい。第二の好ましい変法に相応して、オレフィン及びアルキルで置換されたシロキサンオリゴマー組成物が製造され、これは特に式Iのものであって、aが1以上、bが1以上であり、特にシロキサンオリゴマー(特に式Iのもの)の少なくとも20質量%が、(a+b)が4以上の整数、場合によっては8以上の整数を有するものである。これらの組成物において、基Aと基Bのモル比が、1:0から1:8であればさらに好ましく、特にa:bの比が1:0から1:8、特に1:0又は1:1から1:8であれば、好ましい。場合によって前記組成物は、テトラアルコキシシランの存在下で製造されたシロキサンオリゴマーをベースとしていてよい。
【0053】
さらなる好ましい変法に相応して、ビニル及びアルキルで置換されたシロキサンオリゴマー組成物が製造され、これは特に式Iのものであって、aが1以上、bが1以上であり、特にシロキサンの少なくとも20質量%は、(a+b)が4以上の整数、場合によっては8以上の整数を有するものであり、好適には基Aの、基Bに対するモル比が、1:0から1:8、特にa:bが1:0から1:8、特に1:0又は1:1から1:8である。場合によって前記組成物は、テトラアルコキシシランの存在下で製造されたシロキサンオリゴマーをベースとしていてよい。
【0054】
前記組成物はさらに好適には、構造要素を有するオレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーを有し、前記構造要素は、一般式IIのオレフィン官能化アルコキシシランから、また任意でアルキル官能化された式IIIのアルコキシシランから、また任意で一般式IVのアルコキシシラン(Si(OR
3)
4)のテトラアルコキシシランから得られる又は誘導され、ここで好適にはモノマーのアルコキシシランのケイ素原子含分は、1%未満〜0%であり、T構造を有するシロキサンオリゴマー構造要素の割合は、1%以上、特に1〜10%であり、さらにシロキサンオリゴマーの少なくとも20質量%は、オリゴマー化度(a+b+c)が4以上、場合によっては8以上であり得る。
【0055】
構造要素(モノマーのシロキサン単位)とは一貫して、各構成単位M、D、T、又はQであると理解される。すなわち、アルコキシ置換されたシランから誘導される構成単位であって、少なくとも部分的な加水分解から場合によっては完全な加水分解により、縮合物において少なくとも部分的に縮合が形成されるものである。本発明によれば特に、以下の構造要素を有するシロキサンオリゴマーが形成される:
(R
1O)[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
aR
1、(R
1O)[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
a、[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
a、[(R
1O)
1-x(R
2)
xSi(A)O]
aR
1、(R
3O)[Si(Y)
2O]
c、[Si(Y)
2O]
cR
3、(R
3O)[Si(Y)
2O]
cR
3、[Si(Y)
2O]
c、(R
3O)[Si(B)(R
4)
y(OR
3)
1-yO]
bR
3、[Si(B)(R
4)
y(OR
3)
1-yO]
bR
3、[Si(B)(R
4)y(OR
3)
1-yO]
b、(R
3O)[Si(B)(R
4)
y(OR
3)
1-yO]
bR
3、これらは鎖状、環状、及び/又は架橋された構造を形成し得るものであり、テトラアルコキシシランの存在下、又はその加水分解生成物及び/又は縮合生成物の存在下、三次元架橋された構造も形成しうるものである。ケイ素原子の所に遊離価数を有する構造要素は、−O−Siによる共有結合によって、また遊離価数は酸素原子のところで、−Si結合により架橋された別の構造要素、アルキル基又は場合によっては水素で飽和されている。ここで構造要素は、縮合物において規則性の無い、又はランダムな配置を受け入れることができ、これは当業者に公知のように、添加の順序によって、また加水分解条件及び/又は縮合条件により制御できる。一般式Iは、実際に存在する構造又は組成物を提示していない。これは、理想化された説明の方法に相当する。
【0056】
組成物は好ましくは、上記構造要素(本発明による基A又は基Bで置換された、式II、III、及び/又はIVのアルコキシシランをベースとするもの)のランダム及び/又は不規則な単一加水分解又は共加水分解、及び/又は単一縮合又は共縮合、及び/又はブロック縮合によって生じる、かつ/又は選択された試験条件下で形成されるシロキサンオリゴマーを含有する。
【0057】
これに相応して構造要素の置換パターンは、理想化された形態では記載されていない、組成物中で鎖状、環状、架橋された、及び/又は三次元架橋されたシロキサンオリゴマーに当てはまり、ここでシロキサンオリゴマーのシリル基は独立して、例えば以下のように置換されていてよい:Yは、OR
3に、又は架橋された及び/又は三次元架橋された構造内で、相互に独立して、OR
3若しくはO
1/2に相当し、シロキサン結合において、基A及び/又はBは先に定義の通りであり、R
3は、R
3について先に定義のようにシロキサンオリゴマー内で実質的にアルキル基に相当し、ここで架橋された、及び/又は三次元架橋された構造において、基OR
3からそれぞれ相互に独立して、O
1/2を有するシロキサン結合を形成できるか、又は、これらの基は相互に独立して、O
1/2として存在できるか、場合によっては独立してR
2及び/又はR
4は、先に規定の通り炭素数が1〜15のアルキル基に相当し、−OR
1、R
1は、同様に先に規定の通り炭素数1〜4のアルキル基である。
【0058】
本発明の対象はまた、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーを含有する組成物であり、これは特に、理想化された式Iに記載の少なくとも1種のシロキサンオリゴマーであり、さらなる成分として、少なくとも1種の有機溶剤、有機ポリマー、水、塩、充填材、添加剤、顔料、又はこれらの成分の少なくとも2種の混合物を含有するものである。これらの成分は、組成物製造の間に、また後の時点でも、組成物に添加できる。
【0059】
本発明による組成物の特別な利点は、製造条件により非常に塩素含分が低く、このためケーブル材料へと加工する際に、防炎性が著しく改善することにつながることにある。このため本組成物の重要な利点は、当該組成物を塔底生成物として、場合によっては加水分解アルコールを分離した後、また場合によっては添加した溶剤を分離した後に、経済的な方法で直接、本発明により使用可能なことである。本発明による組成物のさらなる利点は、T構造の割合が増加することにより、押出成形機内での良好な加工性により、加工される熱可塑性樹脂とエラストマーの破断点伸びが改善され、また引張強度も改善できたことである。
【0060】
本発明による、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマー組成物は、アルコール含分、好ましくは遊離アルコール含分が、組成物に対して2質量%未満〜0.0001質量%であり、特に1.8質量%未満、好ましくは1.5質量%未満、さらに好ましくは1.0質量%未満、特に好ましくは0.5質量%未満〜検出限界である。ここで組成物は、このように僅少なアルコール含分、好適には遊離アルコール含分を少なくとも3ヶ月にわたって、好適には6ヶ月にわたって有する。本発明による方法ではこのようにVOC含分が低いことにより、特に塩素含分が低く、アルコキシ含分も低いシロキサンが提供される。
【0061】
本発明の対象は、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーを含有する組成物の製造方法、また特に本方法により得られる組成物であって、少なくとも
(i)一般式IIのオレフィン官能化アルコキシシランを、
【化4】
[上記式II中、Aはオレフィン基に相当し、
当該オレフィン基は、それぞれ炭素数が2〜16の直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のアルケニル−アルキレン官能基又はシクロアルケニル−アルキレン官能基から選択され、
R
2は独立して、炭素数が1〜15の直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のアルキル基であり、xは、0又は1であり、
R
1は独立して、炭素数が1〜4の直鎖状、分枝鎖状、及び/又は環状のアルキル基に相当する]、
(ii)加水分解触媒及び/又は縮合触媒の存在下で、
特に、HCl、飽和若しくは不飽和の有機酸、例えばギ酸若しくは酢酸、及び/又は有機酸、例えばミリスチン酸、及び/又は有機ポリ酸、例えばクエン酸、フマル酸の存在下で、
(i.I)任意で、(少なくとも1種の)式IIIのアルコキシシランと
【化5】
[上記式IIIにおいてBは、飽和炭化水素基、特に炭素数が1〜16の直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基から選択され、R
3はそれぞれ相互に独立して、直鎖状、分枝鎖状、及び/又は環状の、炭素数1〜4のアルキル基に相当し、
R
4は、直鎖状、分枝鎖状、又は環状の、炭素数1〜15の飽和炭化水素基に相当し、yは0又は1である]、
(i.2)任意で、式IVの(少なくとも1種の)テトラアルコキシシランと、
【化6】
[上記式IV中、R
3はそれぞれ相互に独立して、直鎖状、分枝鎖状、及び/又は環状の、炭素数1〜4のアルキル基である]、
(iii)使用するアルコキシシランのケイ素原子1モルあたり、0.5〜1.5mol、特に0.70〜1.5mol、好ましくは0.75〜1.5mol、特に好ましくは1.0〜1.5mol、代替的に好ましくは0.75〜1.0molという規定量の水により、任意で溶剤、好適にはアルコールの存在下で、特にアルコキシシランの体積単位当たり0.001〜5.0というアルコールの体積単位で反応させて、シロキサンオリゴマーにし、
(iv)加水分解アルコールと、場合によって存在する溶剤を、実質的に分離し、
(v)工程(iv)の間に、又は工程(iv)に続いて、それぞれ規定量のアルコールを追加供給、及び分離し、好適には蒸留によって、特にアルコキシシランの体積単位当たり0.001〜5.0体積単位のアルコールを計量供給し、特に1種又は複数のシロキサンオリゴマーを含有する組成物を製造し、
(vi)特に、その塩素含分、特に塩化物の全含分が、組成物中で100mg/kg以下〜0mg/kgのものが得られ、その含分は特に70mg/kg以下、好適には50mg/kg以下であり、
ここでさらに好ましくは、加水分解可能な塩化物の含分は、20mg/kg以下〜0mg/kgであり、好ましくは10mg/kg以下、さらに好ましくは5mg/kg以下であり、
(vii)分子量の質量平均(Mw)が410g/molのものが得られ、特に分子量(Mw)の質量平均は、410g/mol以下であり、分子量(Mn)の数平均は、370g/mol以上であり、ここでMw/Mnの商として定義される多分散性は、1.00〜1.25であり、
任意で(ix)シロキサンオリゴマーにおけるケイ素原子の全量に対して、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーにおけるケイ素原子の1%以上がT構造として存在し、その割合は、好適には3%以上〜10%未満、好適には4%以上〜10%である。
【0062】
本発明によれば、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーを含有する組成物が、特に工程(v)においてアルコールの分離後、又は工程(v)の終了後、特に工程(v)に続いて、塔底生成物として得られる。
【0063】
特に好ましい実施態様によれば、溶剤としてアルコールを使用し、当該アルコールは好適には、メタノール、エタノール、又はこれらのいずれか、若しくは双方のアルコールを含有する混合物である。
【0064】
本発明による方法によれば特に好ましくは、工程(iii)において規定量の水を、アルコキシシランの体積単位当たり0.001〜5.0体積単位のアルコールの存在下で反応させ、かつ/又は工程(v)において、工程(iv)の間、又はその後に少なくとも一度、規定量のアルコールを追加供給し、そして分離し、特にアルコールを蒸留により分離する。好適には、1〜6倍、好適には2〜6倍のアルコールを、上記量で計量供給する。このアルコールは好適には、形成された加水分解アルコールに相当する。
【0065】
溶剤(好適にはアルコール)の添加及び/又は添加量によって、水の量と一緒に分子量及び分子量分布を最適なように調整でき、このようにして、高分子オリゴマーの形成が、充分に回避できる。不所望の高分子オリゴマーは、僅かな量でしか形成されない。
【0066】
好適には工程(vii)、工程(v)でアルコールの除去後、又は工程(v)に続いて、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーを有する組成物が得られ、その分子量Mwは、全組成物に対して85%以上(面積%、GPC)が、250以上〜750g/molである。
【0067】
さらに好ましくは、特に工程(vii)、工程(v)でアルコールの除去後、又は工程(v)に続いて、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーを有する組成物が得られ、その分子量Mwは、全組成物に対して95%以上(面積%、GPC)が、250以上〜1000g/molである。
【0068】
特に好ましい方法によれば、工程(iii)において規定量の水を、アルコキシシランの体積単位当たり0.05〜2.5体積単位というアルコール量の存在下で反応させ、特にアルコキシシラン体積単位当たり0.1〜2.0アルコール体積単位と、好ましくは0.2〜1.5、特に,0.2〜1.0、又は0.2〜0.9という量で反応させる。好適なのは、アルコキシシラン体積単位あたり0.5±0.4体積単位のアルコールである。
【0069】
ここで好適には、VTMO又はVTEOを反応させる際に、希釈のためにさらに0.5〜2.5、又は0.5〜2.0という供給量を、及び/又は工程(v)において工程(iv)の前、又はその後に少なくとも一度、規定量のアルコールを追加供給し、分離する。追加供給のために(v)、(iv)、又はその後に、複数回同様に、アルコキシシランの体積単位当たり0.001〜5体積単位、特に0.1〜2.5体積単位のアルコールを、追加供給する。これらの措置は任意で繰り返すことができ、好適には1〜10回繰り返す。この際、事前に留去し、精製したアルコールを、再度使用することができる。本発明による方法によれば、容易かつ経済的な方法で、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーを含有する組成物を製造することができ、当該組成物中、シロキサンオリゴマー中のケイ素原子の全量に対して、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーにおけるケイ素原子の1%以上がT構造として得られ、その割合は特に0.5〜10%、好適には1.0〜10%である。
【0070】
同様に本発明による方法によれば、容易かつ経済的な方法でオレフィン官能化シロキサンオリゴマーを含有する組成物を製造することができ、モノマーのアルコキシシラン(特に式II、III、及び/又はIVのもの)若しくはその加水分解生成物のケイ素原子含分は、得られる全てのケイ素原子に対して3%以下、特に検出限界又は0%まで、特に好ましくは2%以下、さらに好適には1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
【0071】
本発明による方法によれば特に好ましくは、工程(v)において規定量の水を、アルコキシシランの体積単位当たり0.001〜5.0体積単位のアルコールの存在下で反応させ、かつ/又は工程(vii)において、工程(vi)の間、又はその後に少なくとも一度、規定量のアルコールを追加供給し、そして分離し、特にアルコールを蒸留により分離する。好適には、1〜6倍、好適には2〜6倍のアルコールを、上記量で計量供給する。このアルコールは好適には、形成された加水分解アルコールに相当する。
【0072】
工程(iii)におけるアルコールの、工程(v)におけるアルコールに対する比は、1:5から5:1、好適には1:2から2:1、特に好ましくは1:1である。さらに、本発明による方法において好ましくは、工程viの間、又はその後に少なくとも1度、アルコキシシランの体積単位当たり0.0001〜5.0体積単位という規定量のアルコールを計量供給し、続いて分離し、特にこのアルコールを蒸留により除去する。このために、減圧下、及び高温下で蒸留を行い、特に300mbar未満の圧力、好ましくは180mbar未満の圧力、特に好ましくは120mbar未満の圧力で行い、ここで圧力は好適には、塔底生生物の温度負荷が、90℃又はより低い温度、特に0〜90℃の温度、好適には20〜90℃の温度にあるように調節する。
【0073】
好ましくは、本発明による方法の工程(v)の意味合いにおいて、一度より多く規定量のアルコールを追加供給又は計量供給することができ、好ましくは2〜5回、特に2回、3回、又は4回行うことができる。この供給はそれぞれ、一度で、又はその都度連続的に行うことができ、ここで連続的な供給はそれぞれ、有利には1分間〜1時間にわたって行うことができる。さらに、アルコールの供給又は追加供給は、反応生成物の液面下で塔底において行う。この際に塔底は、例えば撹拌によって、さらに完全混合することができる。好ましくは、事前に工程(iii)における反応の間に使用したのとほぼ同じ体積のアルコールを追加供給する。有利には、トリアルコキシシラン体積単位当たり、それぞれ0.001〜5体積単位のアルコールが使用できる。
【0074】
本発明において好ましくは、式II、III、及び/又はIVのアルコキシシランを、酸触媒の存在下、特に塩化水素の存在下で、少なくとも部分的に加水分解、及び縮合し、好適にはアルコール、特に工程vで使用されるアルコール(加水分解アルコール)を含むアルコール、また添加されたアルコールを、工程viiから実質的に完全に除去する。
【0075】
好ましい態様において、アルキル官能化された式IIのアルコキシシランを、場合によって式IIIのアルコキシシランと一緒に、縮合触媒の存在下で反応させる。さらに好ましくはその都度、アルケニルトリアルコキシシラン、及び任意でアルキルトリアルコキシシランを反応させる。この反応は、任意で溶剤の存在下で行うことができ、好適にはアルコキシシランの対応するアルコールを使用する。特に有利には、本発明による方法においてアルコキシシラン(特にトリアルコキシシラン)体積当たり、対応するアルコールを0.001〜5体積単位で使用できる。さらに好ましくは、トリアルコキシシラン体積単位当たり、0.1〜4、特に0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5の体積単位を使用する。
【0076】
使用する溶剤及び/又は使用するアルコールは水不含であり、特に溶剤又はアルコールを1質量ppm未満の水含分で使用する。水含分を有する溶剤の場合、この水含分は、反応の際に考慮すべきである。
【0077】
好適には、オレフィン官能化アルコキシシランとして、一般式IIのシランを使用し、
【化7】
上記式中、Aは直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のアルケニル−アルキレン官能基又はシクロアルキル−アルキレン官能基であって、それぞれ炭素数が2〜18のもの、特に炭素数が2〜16のもの、好ましくは炭素数が2〜8のものであり、さらに好ましくは1〜2個の二重結合を有するアルケニル基、好ましくはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、エチルヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、シクロヘキセニルC
1〜C
8アルキレン基、好適にはシクロヘキセニル−2−エチレン基、例えば3’−シクロヘキセニル−2−エチレン基、及び/又はシクロヘキサジエニルC
1〜C
8アルキレン基、特に好適にはシクロヘキサジエニル−2−エチレン基であり、Aは特に好適には、ビニル基、特にxが0であり、R
1は独立して、炭素数が1〜4の直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状のアルキル基、特にメチル基、エチル基、又はプロピル基である。
【0078】
式IIIのアルコキシシランとして好適には、非置換の炭化水素基Bを有するアルコキシシランを使用し、
【化8】
上記式中、基Bはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−ペンチル基、ヘキシル基、i−ヘキシル基、ネオ−ヘキシル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、オクチル基、n−オクチル基、イソ−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、C
13H
27基、C
14H
29基、C
15H
31基、及びヘキサデシル基から選択され、R
3はメチル、エチル、又はプロピル基から選択され、yは0又は1である。
【0079】
R
2とR
4は式II及びIII中で相互に独立して、好適にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、またさらなる当業者に公知のアルキル基、及びこれらの異性体である。代替的な好ましい実施態様によれば基Bとして、炭素数が3〜16の分枝鎖状及び/又は環状のアルキル基を有する、非置換の炭化水素基を使用する。本発明のさらなる好ましい変法によれば、炭素数が1〜7の直鎖状のアルキル基を、非置換の炭化水素基Bとして使用する。
【0080】
少なくとも部分的に加水分解され、特に少なくとも部分的に共縮合され、好ましくは縮合可能な部分的に加水分解されたアルコキシシランは、実質的に完全に縮合される。特に好ましくは、好ましいオリゴマー化度のオリゴマーの製造に望まれる程度で、部分的な加水分解及び縮合が起こる。
【0081】
本発明によれば加水分解アルコールは、好適には蒸留によって完全に除去され、本発明による組成物が得られる。加水分解アルコール及び/又は溶剤の特に穏やかな蒸留は、真空下で行われる。それぞれの方法によって、特に経済的な方法が、溶剤を添加せずに実施できる。本発明によれば、このように製造された組成物は、加水分解アルコール及び存在する場合には溶剤を除去後、本発明による使用のためにそれ自体さらに精製せず、特に蒸留しない。各後処理後に組成物は、加水分解アルコールの除去後、任意で濾過又はデカンタできる。従って本発明による方法は、公知の方法よりも明らかに経済的であり、オリゴマーを蒸留により精製する必要があるさらなる適用に適している。
【0082】
同様に好ましくは本方法において、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及び任意で式IIIのアルコキシシランから選択される少なくとも1種のオレフィン官能化された式IIのアルコキシシランが使用でき、ここで式IIIのアルコキシシランは、以下のものから選択される:メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、イソ−ヘキシルトリエトキシシラン、イソ−ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、イソ−オクチルトリエトキシシラン、イソ−オクチルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ノナデシルトリエトキシシラン、ノナデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、C
13H
27トリエトキシシラン、C
13H
27トリメトキシシラン、C
14C
29トリエトキシシラン、C
14C
29トリメトキシシラン、C
15H
31トリメトキシシラン、C
15H
31トリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、及びヘキサデシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン(DMDMO)、ジメチルジエトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシラン、n−オクチル−メチル−ジメトキシシラン、n−ヘキシル−メチル−ジメトキシシラン、n−ヘキシル−メチル−ジエトキシシラン、プロピル−メチル−ジエトキシシラン、プロピル−メチル−ジエトキシシラン、シクロヘキシル−トリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、及び/又はヘキサデシルメチルジエトキシシラン、並びにこれらのシランの混合物、又はこれらのシランのうち少なくとも2種を含有する混合物、並びにこれらのエステル交換生成物である。
【0083】
本発明による方法によれば、シロキサンオリゴマーを含有する組成物が得られ、これは好適には塔底生成物として、好ましくは工程(v)の実施後に得られ、工程i、iii、iv、及びvを行った後に、また場合によっては工程i.1及び/又はi.2を行った後に、既に好適には本発明により僅少な塩素含分、特に塩化物総含分が、100mg/kg以下〜0mg/kg、特に75mg/kg以下、好ましくは50mg/kg以下であり、ここで好適には加水分解性塩化物の含分が5mg/kg未満〜0mg/kg、好適には4mg/kg以下であり、好適にはシロキサンオリゴマーにおけるケイ素原子の全量に対して、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーにおけるケイ素原子の3%以上が、T構造として存在する。
【0084】
反応は好適には、使用する式II及び/又はIII、任意で式IVの使用アルコキシシランのケイ素原子1molあたり0.60〜1.48molという規定量の水の存在下、式II及び/又はIII、場合によっては式IVのアルコキシシランのケイ素原子1molあたり特に0.70〜1.45molの水、好ましくは0.75〜1.43molの水、特に好ましくは1.2mol以上〜1.43molの水、好適には1.25〜1.4molの水の存在下で行う。同様に、水のmol数について開示された領域に含まれる全ての数値が、特に小数点第二桁まで通用し、その数値は例えば0.61、0.62、0.63,0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.70〜1.05であり、またその間の全ての数値、すなわち1.06;1.07;1.08;1.09;1.11;1.12;1.13;1.14;1.15;1.16;1.17;1.18;1.19;1.21;1.22;1.23;1.24;1.26;1.27;1.28;1.29;1.30;1.31;1.32;1.33;1.34;1.35;1.36;1.37;1.38;1.39;1.40;1.41;1.42;1.43;1.44;1.45;1.46;1.47である。水は好適には、完全脱塩されている。ここで当業者には、水を何回かに分けて、連続的に、又は1種若しくは全てのシランと一緒に、方法に添加可能なことは明らかである。好ましくは水は連続的に、又は1分未満〜100分間にわたる少なくとも1回の中断によって供給し、アルコキシシランの反応は好適には、室温で好適には40〜80℃の範囲で、さらに好適には50〜80℃の範囲で、特にpH7未満で行う。
【0085】
一般的に水又は水量は、方法a)のポイントvによれば、連続的に、又は1分〜1000分間にわたる少なくとも1回の中断によって計量供給し、反応混合物における温度は5〜90℃、特に37〜90℃、好適には40〜90℃に調節し、特に好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは50〜80℃に調節し、ここでpH値は好ましくは7未満であり、任意で水を触媒と一緒に、また任意で溶剤(特にアルコール)と一緒に、添加する。それからこの反応は好適には、b)混合物を反応混合物a)から、任意で少なくとも10分〜36時間、特に10分〜8時間(h)、好適には5〜80℃、さらに好適には40〜80℃で、好ましくは完全混合下で処理又はさらに反応させ、任意でこの反応混合物は冷却の際にも追加反応させることができる。分子量調節のために、この方法にアルコキシトリアルコキシシラン、特にアルコキシトリメチルシランを添加することができる。こうして得られる組成物を、それからデカンタするか、又はアルコール(例えば加水分解アルコール)を蒸留によって除去するために、加熱できる。好適にはこの粗生成物から、アルコール(場合により触媒、特にHClを含む)を加熱、及び減圧下で、蒸留により除去する。
【0086】
好ましい態様によれば、本方法においてポイントviにより加水分解アルコールと、場合によって存在する溶剤、特に添加したアルコールを蒸留により分離し、好適には(15.i、請求項15参照)少なくとも1回、好適には2回〜6回、蒸留による後処理の間、特に工程iv又はvにおいて、又は引き続き規定量のアルコールを添加し、特にアルコキシシランの体積単位当たり、0.001〜5.0体積単位のアルコールを計量供給し、かつ/又は(15.ii、請求項15参照)加水分解アルコールの蒸留分離の前、又はその間、特に工程iv又はvにおいて、場合により溶剤を還元剤(例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、金属水素化物)の規定量、又は塩基(例えば好適にはHMDS、アミン、若しくはアルカリ金属アルコラート)の規定量を添加し、続いて特に、塔底生生物として存在するオレフィン官能化シロキサンオリゴマーを濾過又はデカンタして、代替的に若しくはさらに、イオン交換体と接触させる。濾過及び/又はデカンタにより形成された沈殿物又は凝塊物を、シロキサンオリゴマーを含有する組成物から実質的に除去できる。好ましくは、規定量の還元剤、特に無機還元剤、特に好ましくは金属性還元剤(例えばアルカリ金属、好ましくはナトリウム)、又はアルカリ土類金属(好ましくはマグネシウム、カルシウム、又はアルミニウム)として、また金属水素化物(好ましくはリチウムアルミニウム水素化物、水素化アルミニウム)として、又は塩基として好適にはアンモニアガス、LDA(リチウムジイソプロピルアミド)、リチウムイソプロピルヘキシルアミド、カリウムヘキサメチルシラザン、ヘキサメチルジシラザン、アルカリ金属アルコラート、特にナトリウムメタノラート若しくはカリウムメタノラート、又はナトリウムエタノラート若しくはカリウムエタノラート、アルカリ金属アルキレート(例えばブチルリチウム)が使用される。当業者に公知の金属水素化物(例えばNaH、又は水素化リチウムアルミニウム)、又は塩化水素と難溶性沈殿物を形成可能な塩基が、組成物の塩素(塩化物)含分を低下させるために使用できる。方法に適した塩基では、触媒(HCl)との反応の際、又は有機結合された塩素(例えばCl−Si)との反応の際に、水が形成されない。
【0087】
既に存在する及び/又は反応の際に生じるアルコールは、全ての本発明による方法の変法において、実質的に、好ましくは完全に反応混合物から除去され、これにより遊離アルコールの含分は好適には、最大1.0質量%、特に0.8%未満から0.0001質量%となる。アルコールの蒸留による分離は好適には、減圧下で行う。アルコールの蒸留による除去は、塔頂において水の沸点、又は好ましくは100mbarの真空、特に100mbar以下であり、かつ0.01mbar以上の真空が、持続的に調整可能な温度が得られるように行う。通常、本発明により生成する組成物は、実質的に溶剤不含であり、特にアルコール不含である。こうして得られる組成物は好ましくは、本発明による組成物に直接相当し、好適にはそれ自体さらに生成する必要がない。
【0088】
アルコールの除去前、又は除去後でも、組成物に少なくとも1種の加工助剤、例えばシリコーンオイル(例えばポリジメチルシロキサン、パラフィン、パラフィン油)又はこれらの加工助剤を含有する混合物を添加することができる。
【0089】
本方法の好ましい変法によれば、一般式II、III、及び/又はIVのアルコキシシランを、酸触媒の存在下、特に塩化水素により、少なくとも部分的に加水分解及び縮合する。加水分解及び縮合は必要に応じて、HClと補助触媒の存在下で行うこともできる。補助触媒として、脂肪酸が考慮される。代替的にはまた、HCl、及び飽和若しくは不飽和の有機酸(例えばギ酸又は酢酸)、及び/又は脂肪酸(例えばミリスチン酸)、及び/又は有機ポリ酸(例えばクエン酸、フマル酸)が、触媒として、又はHClとの補助触媒として使用できる。
【0090】
さらに、本方法によれば好ましくは、式IIのシランと、式IIIのシランを1:0から1:8の比で使用し、かつ/又は式IIのシランを、式IVのシランと、1:0から1:0.22の比、好適には1:0から1:0.20、特に1:0から1:0.15、好ましくは1:0から0.10、特に好ましくは1:0〜1:0.005の比で使用し、好適には式IIのシランと、式IIIのシランを、約1:0の比、又は約1:1の比、又は1:0から1:2の比、好適には1:0から1:1の比で使用する。代替的に好ましくはまた、本方法において式IIのシラン、及び式IIIのシランを、1:0から1:2、好適には1:1で使用し、かつ/又は式IIのシランを、式IVのシランに対して1:0から1:0.20の比、好ましくは1:0から1:0.10、特に好ましくは1:0から1:0.5の比で使用し、好ましくは1:0.10から1:0.05の比、又は1:0.1の比で使用できる。上述の比率で製造されるシロキサンオリゴマーは、適用技術的に特に均質な特性を示し、式IVのシランは好適には、オリゴマーにおけるより高度な架橋、又はオリゴマーのより高度な架橋に、基材とともに使用される。
【0091】
変法によれば特に好ましくは、式IIのシラン、及び式IIIのシランを約1:1の比で使用し、さらなる好ましい変法によれば、式IIのシラン、及び式IVのアルコキシシランのシランを、約1:0.1の比で使用し、ここでさらに好適には式IIのシラン、及び式IIIのシランは、約1:1の比で存在する。好ましいアルコールは、少なくとも部分的な加水分解及び/又は縮合により生じる加水分解アルコールに相当する。これには、エタノール又はメタノールが挙げられる。反応を他の通常の溶剤の存在下で行えることは当業者に明らかであり、このような溶剤は、容易に、かつ好適には完全に留去可能なあらゆるものが好ましく、例えばエーテル、ケトン、炭化水素、又はエステルである。目的に応じて溶剤はまた、酢酸エステル、THF、ケトン、エーテル、又は炭化水素であり得る。経済面及び経済効率の理由から、加水分解アルコールを形成するアルコールを溶剤として用いることは、当業者には明らかである。よってアルコール混合物も、基本的に使用できる。全ての方法の変法において好適には、溶剤、及び反応の際に生じるアルコールを、蒸留によって反応混合物から除去する。
【0092】
さらに好ましい変法によれば、シロキサンオリゴマーの少なくとも20質量%は、オリゴマー化度が、nをケイ素原子の数とすると、nが8以上であるように調整されている。さらに好ましくは、本発明による方法によれば特に、オレフィン官能化ケイ素原子の1%超がT構造として得られ、好適にはこの割合は2%超、好適には3%以上、特に好ましくは4%以上、又は5%以上であり、また7.5%以上から10%であり得、さらに、又は代替的に好ましくは、シロキサンオリゴマー中で、飽和炭化水素で官能化されたケイ素原子の0.3%超がT構造として存在し、その割合は特に0.3〜2%である。
【0093】
本発明による方法において好適には、組成物の動的粘度を1,000mPa s以下、好適には740mPa s以下、特に好ましくは500mPa s以下から1mPa s以上に調節する。
【0094】
さらに、本方法において組成物、特に塔底生成物、好適には溶剤及び/又はアルコールを蒸留により除去した後にイオン交換体(特にアニオン交換体、好適にはアミン官能性イオン交換体)と接触させ、塩化物含分をさらに低下させる。この方法工程において有利なのは、この手法が蒸留とは異なり、生成物のオリゴマー化度及び/又は分岐度を変えないことである。蒸留の際は必然的に、シロキサンオリゴマーが低沸点成分、中沸点成分、及び高沸点成分(塔底物)に分別される。本発明のようにイオン交換体を用いることにより、シロキサンオリゴマーのオリゴマー化度は、一定に留まり、塩化物含分をさらに低下させることができる。本発明による方法においてはまた、イオン交換体との接触を、規定量のアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、金属水素化物、又は塩基を添加する手法と組み合わせることができる。
【0095】
イオン交換体と接触させることにより好ましくは、オレフィンシロキサンオリゴマーの塩化物含分若しくは塩素含分(質量%ppm)を、イオン交換体に導入されたシロキサンオリゴマーに対して少なくとも80%低下させることができる。さらに好ましくは、オレフィンシロキサンオリゴマーの塩素含分(質量%ppm)を、導入されたシロキサンオリゴマーに対して、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも92%、同様に好ましくは、少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%低下させる。それぞれのオレフィン官能化シロキサンオリゴマーに応じて、また塩素の出発濃度、流速、及びアニオン交換体との接触時間次第で、塩素含分を好適には100mg/kgに低下させることができ、好適には50mg/kg以下、さらに好適には25mg/kg以下に低下できる。
【0096】
塩素(すなわち、加水分解性塩素)含分を有するオレフィン官能化シロキサンオリゴマーの場合、特に塩素で官能化されたアルキルアルコキシシラン、及び/又はHClを有するアルキルアルコキシシランでは、加水分解性塩化物の含分を、好適には流速0.01m/h〜15m/h、好適には最大5m/h、特に最大2.5m/hで、少なくとも80%、特に少なくとも85%、好適には少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも92%、同様に好ましくは少なくとも95%、さらに好適には少なくとも98%、減少させることができ、ここで特に、オレフィン官能化シロキサンオリゴマーはさらに縮合せず、また好適にはアニオン交換カラムは直径3cm、高さ15cmである。加水分解性塩素低減に関する非常に良好な結果は、流速が最大10m/hの場合にも達成される。
【0097】
本発明による方法においてアニオン交換体は、第四級アルキルアンモニウム基及び/又は第四級ジアルキルアミノ基を有する担体ポリマーを有し、ここで特に第四級アルキルアンモニウム基は、実質的に水酸化物イオンを対イオンとして有し、かつ/又は第三級ジアルキルアミノ基は、遊離塩基の形で存在する。この際に特に好ましくは、塩基性アニオン交換体が、トリアルキルアンモニウム基を、特にOHの形で有するスチレン−ジビニルベンゼンのコポリマーであり、かつ/又はジアルキルアミノ基を遊離塩基の形で有するスチレン−ジビニルベンゼンのコポリマーである。トリアルキルアンモニウム基を塩化物の形で有するスチレン−ジビニルベンゼンのコポリマーを有する塩基性アニオン交換体を用いる場合、使用前に塩化物をOH形態に移行し、それは例えばアルカリ金属水酸化物溶液によって行う。アルカリ金属水酸化物溶液として好適には、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム溶液、又は他の水若しくは水とアルコールに溶解性の塩基、例えばアンモニア又はアルカリ金属炭酸塩(例えばNa
2CO
3)を使用する。ここでアニオン交換体をオレフィンシロキサンオリゴマーと接触させる前に、アニオン交換体をOH形態に移行させ、アルコールで洗浄して、特に過剰な水を排除する。アルコールとしては、各アルコキシ基の加水分解によって形成されるであろうアルコールを使用する。メトキシ基の場合にはメタノールが、エトキシ基の場合にはエタノールが、アルコキシシラン中で生じる。
【0098】
第四級アンモニウム基としては、アルキルアンモニウム基が、またN−アルキル−イミン官能基、例えばN−アルキル−ピリジニウム基が考慮される。適切なアルキル基は、炭素数が1〜20、好適には1〜4であり、好適にはメチル基又はエチル基である。本発明によれば、弱塩基性のアニオン交換体には、水酸化物イオンが負荷され、特に窒素含有基を有する。
【0099】
本発明によればさらに好ましくは、式II、III、及び/又はIVのアルコキシシランを、規定量の水の存在下、また加水分解触媒及び縮合触媒(例えば、HClのような鉱酸)、有機の飽和若しくは飽和のカルボン酸(例えばギ酸)、及び/又は脂肪酸の存在下で、少なくとも部分的に加水分解及び縮合し、好適にはアルコール、特に加水分解アルコールも、任意で添加されるアルコールも除去する。加水分解アルコール及び/又は添加したアルコールは、遊離アルコールに相当する。特に好ましくは、全組成物における遊離アルコール含分は、2質量%以下から0.001質量%、特に2質量%以下から0.01質量%、特に好ましくは1質量%以下〜0.01質量%から検出限界までである。
【0100】
意外なことに、塩素含分のさらなる低減に基づき、本発明による方法により得られる官能性シロキサンオリゴマーは、従来とは異なりコストを掛けて蒸留する必要がないにも拘わらず、加水分解に対して明らかに安定である。これによって、本発明によるシロキサンオリゴマーは、公知のオリゴマーよりも安定的であり、同時にそのモノマーのアルコキシシラン含分は、従来技術のオリゴマーの塔底生生物に比べて低減されている。
【0101】
3〜6ヶ月の間安定的な溶剤含分(例えばVOC)、特に遊離アルコール含分は、全組成物に対して、好ましくは2質量%未満、特に1質量%以下、特に好ましくは0.4質量%以下、好適には0.3質量%以下である。本発明により使用可能な式IIの化合物は、以下のものである:ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、ブテニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニル−アルキレン−トリメトキシシラン、特にシクロヘキセニル−2−エチレン−トリメトキシシラン、シクロヘキセニル−2−エチレントリエトキシシラン、さらに好適には3’−シクロヘキセニル−2−エチレン−トリエトキシシラン、及び/又は3’−シクロヘキセニル−2−エチレン−トリメトキシシラン、シクロヘキセンジエニル−アルキレントリエトキシシラン、ヘキセニルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、エチルヘキセニルトリメトキシシラン、エチルヘキセニルトリエトキシシラン、オクテニルトリエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、このうち、メトキシ置換されたものが特に好ましい。同様に、エトキシ基とメトキシ基を有する混合型の官能化アルコキシシランが使用できる。
【0102】
使用可能な式IIIのアルキルアルコキシシラン化合物は、以下のものである:
式IIIの化合物であって、y=0又は1であり、Bが直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であって、炭素数が1〜18のもの、特に炭素数が1〜8のもの、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはn−プロピル基、イソ−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ヘキサデシル基、又はオクタデシル基であり、R
4は直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基であって、炭素数が1〜15のもの、特に炭素数が1〜8のもの、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはn−プロピル基、イソ−プロピル基、及び/又はオクチル基であり、R
3は直鎖状及び/又は分枝鎖状のアルキル基であって、炭素数が1〜3のもの、特に好ましくはメチル基、エチル基、及び/又はイソプロピル基、又はn−プロピル基に相当する。Bは特に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、ヘキサデシル基、又はオクタデシル基であり、R
4はメチル基又はエチル基であり、R
1はメチル基又はエチル基であり、ここでメトキシ置換されたものが特に好ましい。
【0103】
同様に、非置換炭化水素基Bは、式I及び/又はIII中で独立して、直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基であって、炭素数が1〜16のもの、特にメチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−オクチル基、イソ−オクチル基、オクチル基、又はヘキサデシル基であり得る。 同様に好ましくは、基Bは独立して、t−ブチル基、ペンチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、i−ヘキシル基、ネオヘキシル基、ヘプチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、ネオオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、2,2−ジメチルヘキシル基、2,3−ジメチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、3,3’−ジメチルヘキシル基、3,4−ジメチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、2,2,3−トリメチルペンチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、2,3,3−トリメチルペンチル基、2,3,4−トリメチルペンチル基、3−エチル−2−メチルペンチル基、3−エチル−3−メチルペンチル基、2,2,3,3−テトラメチルブチル基、C
13H
27基、C
14H
29基、及びC
15H
31基である。変法によればアルキル基は、炭素数が3〜16の分枝鎖状又は環状であり得るか、又は炭素数が2〜7の直鎖状であり得る。
【0104】
特に好ましくは、式I及び/又はII中、オレフィン基Aがビニル基であり、これとは独立して式I及び/又は式III中、非置換の炭化水素基Bは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−ペンチル基、ヘキシル基、i−ヘキシル基、ネオ−ヘキシル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、n−オクチル基、イソ−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、C
13H
27基、C
14H
29基、C
15H
31基、及びヘキサデシル基から選択され、R
1はそれぞれ相互に独立して、メチル基、エチル基、又はプロピル基から選択され、R
3は独立して、メチル基、エチル基、又はプロピル基である。
【0105】
式IIIの上記化合物の好ましい例は、以下のものである:メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン(METS)、プロピルトリメトキシシラン(PTMO)、ジメチルジメトキシシラン(DMDMO)、ジメチルジエトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−オクチル−メチル−ジメトキシシラン、n−ヘキシル−メチル−ジエトキシシラン、プロピル−メチル−ジエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、i−オクチルトリメトキシシラン、i−オクチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、n−プロピル−トリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピル−トリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、及び/又はヘキサデシルメチルジエトキシシラン、並びにこれらのシランの混合物、又はこれらのシランのうち少なくとも2種を含有する混合物である。式IIIの化合物は同様に、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、n−へキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、イソ−ヘキシルトリエトキシシラン、イソ−ヘキシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ノナデシルトリエトキシシラン、ノナデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、C
13H
27トリエトキシシラン、C
13H
27トリメトキシシラン、C
14H
29トリエトキシシラン、C
14H
29トリメトキシシラン、C
15H
31トリメトキシシラン、C
15H
31トリエトキシシラン、並びにこれらのエステル交換生成物である。
【0106】
特に好ましくは本方法において、ビニルトリエトキシシラン、及びビニルトリメトキシシランから選択されるオレフィン官能化された一般式IIのアルコキシシランを使用する。変法によれば、ビニルトリエトキシシラン、及びビニルトリメトキシシランから選択されるオレフィン官能化された一般式IIのアルコキシシランと、上記群から選択される式IIIのアルコキシシランを使用する。
【0107】
オレフィン官能化シロキサンオリゴマー、又は当該シロキサンオリゴマーから得られるオレフィン官能化シロキサンオリゴマーを製造するための、式II、III、及び/又はIVの化合物の特に好ましい組み合わせは、以下の通りである:
ビニルトリエトキシシランとテトラエトキシシラン;ビニルトリメトキシシランとテトラメトキシシラン;ビニルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシラン;ビニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシランと、テトラエトキシシラン;ビニルトリメトキシシランと、メチルトリメトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシランと、テトラエトキシシラン若しくはテトラメトキシシラン;ビニルトリエトキシシランと、エチルトリエトキシシラン;ビニルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシランと、テトラエトキシシラン;ビニルトリメトキシシランと、エチルトリメトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシランと、テトラエトキシシラン若しくはテトラメトキシシラン;ビニルトリエトキシシランとプロピルトリエトキシシラン;ビニルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシランと、テトラエトキシシラン;ビニルトリメトキシシランと、プロピルトリメトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシランと、テトラエトキシシラン若しくはテトラメトキシシラン;ビニルトリエトキシシランと、イソブチルトリエトキシシラン;ビニルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシランと、テトラエトキシシラン;ビニルトリメトキシシランと、イソブチルトリメトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランと、テトラメトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランと、テトラメトキシシラン;ビニルトリエトキシシランと、オクチルトリエトキシシラン;ビニルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランと、テトラエトキシシラン;特に、ビニルトリエトキシシランと、テトラエトキシシランを、1:0.20から1:0の比で、ビニルトリメトキシシランと、オクチルトリメトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシランと、テトラメトキシシラン;特にビニルトリメトキシシランと、テトラメトキシシランを1:0.20から1:0の比で。
【0108】
本発明による組成物、及び本発明による方法のさらなる態様は、塩基性触媒を用いること無く、特に窒素含有化合物を使用せずに、又は酸性の硫黄を含有するイオン交換体を使用せずに、方法を行うことである。これらの触媒はいずれも、不均一触媒作用の条件付けにつながる。よって例えば、エマルションを形成するための水性アンモニア、またスルホン酸基又は硫黄基を有するイオン交換体による反応は、不均一触媒作用の条件付けにつながる。不均一触媒作用の条件付けは、シロキサンオリゴマーについて所望の狭い質量分布を作成するためには、適していないことが確認された。従って本発明による組成物は、酸性の硫黄を含有する基(特に硫酸基若しくはスルホン酸基)を含まず、かつ/又は窒素を含有する化合物(特に、塩基性触媒により導入される窒素含有化合物)含まない。同様に本発明による方法においては、金属酸化物を酸と組み合わせて使用することが省略され、これにより本発明による組成物は、金属酸化物(例えば特に酸化銅、酸化鉄、酸化アルミニウム、ハロゲン化銅、ハロゲン化鉄、水酸化銅、水酸化鉄、水酸化アルミニウム)の添加により導入される金属残渣を含まない。よって本発明による組成物は好適には、内在的に存在する金属のみを含有し、その金属含分は好ましくは、0.001質量%未満〜0.1質量ppmである。相応して本発明による方法において、中和のための塩基性化合物(例えば炭酸カルシウム)の添加を省略できる。従って、本発明による組成物は、さらに添加されたカルシウムを含まず、好適にはカルシウムを1質量%以下、特に0.1質量%以下〜0.1質量ppmしか含有しない。よって本発明による組成物と方法は、窒素含有化合物、及びカルシウム含有化合物を含まず、金属含有化合物、特に金属酸化物を含まず、また硫黄含有化合物、特に酸性の硫黄含有化合物を含有しない。
【0109】
上述の特徴に加えてさらに、又は代替的に、本方法においてまた、加工助剤として、少なくとも1種のシリコーンオイル(例えばポリジメチルシロキサン、パラフィン、パラフィン油)、又はこれらの加工助剤を含有する混合物が使用できる。特に好ましい加工助剤は、ポリジメチルシロキサンであり、動的粘度が約150〜400mm
2/sのものが好ましく、代替的に、動的粘度が200mm
2/s〜350mm
2/sのものが特に好ましい。
【0110】
本発明の対象はまた、組成物を製造するための以下の方法、また当該方法によって得られる組成物であって、特に塩素含分がとりわけ低く、好適にはモノマーのアルコキシシランのケイ素原子に対する%での含分が特に低く、その割合は特に1.5%未満、好適には1.0%〜0.0%であり、好適には以下の各工程を有する:
1)式IIの少なくとも1種のオレフィン官能化アルコキシシラン、任意で式IIIのアルコキシシラン、及び/又は式IVのアルコキシシラン、任意で混合物として、好適にはこれを装入し、任意で希釈するために溶剤を添加し、例えば加水分解アルコールに相当するアルコールを添加し、
2)少なくとも1種の酸性加水分解触媒又は縮合触媒(例えばHCl)、有機の飽和若しくは不飽和カルボン酸であって、規定量の水に溶解されたものを添加する。この際に好適には、pH値を7未満、好適には1〜6、さらに好ましくは3〜5に調整する。
【0111】
代替的には任意で、式II、III、及び/又はIVのシラン少なくとも1種を、式II、III、及び/又はIVのシランに対して、アルコキシシランの体積単位当たり規定量のアルコール(0.001〜5.0体積単位、好ましくは0.25〜1、特にメタノール又はエタノール)とともに、使用するアルコキシシランに応じて任意で含有し、また規定量の水を含有する混合物を製造でき(1+2)、ここで好適には、酸性加水分解触媒又は縮合触媒の少なくとも1種(例えばHCl、有機の飽和若しくは不飽和カルボン酸)が、規定量の水の中に溶解されている。ここで好適には、pH値が7未満、好適には1〜6、さらに好ましくは3〜5に調整する。このために、好ましくは受け器、例えば撹拌槽内で完全混合のもと、規定量の水と同じか、またそれより多い水0.5〜1.5molを添加する。規定量の水は連続的に、又は1〜1,000分にわたる少なくとも1回の中断で添加できる。反応混合物の温度は好適には、反応のためには5〜90℃であり、好適には20〜55℃、好ましくは30〜40℃、又は約35℃である。混合物に添加後、形成された反応混合物の温度をさらに上昇させ、特にアルコールの還流温度に調節する。例えば40〜80℃の温度、好ましくは50〜80℃、特に好ましくは55〜80℃に反応混合物を加熱することによって、本発明によればほぼアルコールの沸点にする。少なくとも10分〜36時間にわたって、好ましくは1時間〜8時間にわたって、5〜80℃、好適には40〜80℃の反応温度で、好ましくは完全混合下で、例えば撹拌下で、反応混合物を後反応させることができ、
3)反応終了後にアルコールを分離する。好ましくは数時間、例えば約2〜10時間、好適には3〜5時間、特に好ましくは3.5時間、還流下で加熱し、続いて
4)加水分解アルコールと使用したアルコールを含有するアルコール、並びに場合により水を留去し、好適には真空下、高温下で反応混合物又は得られる組成物が実質的に溶剤不含になるまで、特にアルコール不含になるまで留去する。アルコールの蒸留は好適には、塔底温度0〜90℃で、圧力500bar〜1mbarで行い、この際に同時にHClがいくらか留去され、さらに好適には90〜10℃、圧力300bar〜10mbar、好適には150mbar〜50mbarで行われる。
5)続いて常圧に調整し、規定量のアルコールを追加供給し、特にアルコキシシランの体積単位当たりアルコールを0.001〜5.0、任意で規定量の還元剤、例えばアルカリ金属(好ましくはナトリウム)、アルカリ土類金属(好適にはマグネシウム又はカルシウム、アルミニウム)、金属水素化物(好ましくはリチウムアルミニウム水素化物、水素化アルミニウム)、又は規定量の塩基(特にアンモニアガス)を添加し、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムイソプロピルヘキシルアミド、ヘキサメチレンジシラザン、アルカリ金属アルコラート(例えばナトリウムメタノラート若しくはカリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート若しくはカリウムエタノラート)、アルキルアルキレート(例えばブチルリチウム)を添加する。場合により再度、300〜10mbarの圧力で蒸留し、ここでアルカリ金属の添加の際に、混合物を反応させる。塔底生成物は蒸留に引き続き濾過又はデカンタすることができる。代替的に又はさらに、イオン交換体と接触させることができる。オレフィン官能化シロキサンオリゴマーの本発明による組成物が得られ、組成物に対してその遊離アルコール含分は2質量%未満、塩素含分は100mg/kg以下であり、粘度は1,000mPa s以下である。
【0112】
同様に本発明の対象は、本発明による方法により得られる、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマー含有組成物であって、前記シロキサンオリゴマーは、ケイ素原子の所に最大1個のオレフィン基を有し、前記オレフィン官能化シロキサンオリゴマーは、鎖状、環状、架橋された、及び/又は三次元架橋された構造を形成するSi−O架橋された構造要素を有し、ここで前記構造要素は、式IIのアルコキシシランから誘導されており、また任意でさらに式III及びIVのシランのアルコキシシランから選択され、任意で少なくとも1種の一般式Iのシロキサンオリゴマーに相当し、前記シロキサンオリゴマーの質量平均分子量(Mw)は、410g/mol以上〜580g/molであり、その数平均分子量(Mn)は、370g/mol以上〜470g/molであり、Mw/Mnの商である多分散性は、1.00〜1.25であり、前記構造要素は合計で、シロキサンオリゴマーの全ケイ素原子に対して、3%以上がT構造として存在している。
【0113】
特に好ましくは、シロキサンオリゴマー分子量の質量平均(Mn)が430g/mol以上〜550g/molであり、その数平均分子量(Mn)は、400g/mol以上〜450g/molであり、ここでMw/Mnの商である多分散性は、1.00〜1.25、1.00〜1.20、好ましくは1.00〜1.19であり、特に前記構造要素は合計で、シロキサンオリゴマーの全ケイ素原子に対して、3%以上がT構造として存在している。
【0114】
本発明のさらなる対象は、本発明による方法により得られる、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマー含有組成物であって、前記シロキサンオリゴマーは、ケイ素原子の所に最大1個のオレフィン基を有し、前記オレフィン官能化シロキサンオリゴマーは、鎖状、環状、架橋された、及び/又は三次元架橋された構造を形成するSi−O架橋された構造要素を有し、ここで前記構造要素は、式IIのアルコキシシランから誘導されており、また任意でさらに式III及びIVのシランのアルコキシシランから選択され、好適には少なくとも1種のシロキサンオリゴマーは、一般式Iの構造を有し、ここで全組成物中85%以上(面積%、GPC)、特に90%以上が、250g/mol以上〜750g/molの分子量Mwで(Mwに対して)存在している。代替的に、又はさらに好ましくは、Mwの95%以上が、250g/mol以上〜1000g/mol以下である。
【0115】
さらなる変法に相応して、又は上記パラメータに加えて、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーは好適には、全組成物中、全組成物に対して85%以上(面積%)は、分子量が250以上〜750g/molである。
【0116】
さらに好ましくは全組成物中、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーは、全組成物に対して95%以上(面積%)は、分子量が250以上〜1000g/molである。面積%は常に、全組成物の面積%に対する。さらに本発明による組成物は、分子量が最大2500g/mol未満、好ましくは2200g/mol未満、さらに好ましくは2100g/mol未満であり、これはすなわち、組成物の100%が、2100g/mol以下の分子量を有するということである。
【0117】
同時にまた好適には組成物中に、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーが、75%以上(面積%、GPC)、ジシロキサン、トリシロキサン、テトラシロキサン、ペンタシロキサン、シクロトリシロキサン、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、及び/又はシクロヘキサシロキサンとして存在し、その割合は特に85%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
【0118】
同様に組成物中で、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーは、5%以上〜50%以下(面積%、GPC)、特に20%以上〜40%以下が、ジシロキサン及び/又はシクロトリシロキサンとして存在し、20%以上〜50%以下(面積%、GPC)、特に20%以上〜45%以下が、トリシロキサン及び/又はシクロテトラシロキサンとして存在し、また10%以上〜30%以下(面積%、GPC)、特に10%以上〜25%以下が、テトラシロキサン及び/又はシクロペンタシロキサンとして存在し、また0%以上〜20%以下、好ましくは20%以下、好適には5%〜20%、5〜17%、特に好ましくは5〜10%が、ペンタシロキサンとして存在し、かつ/又はシクロヘキサシロキサンは、0〜20%以下、特に5%以上〜20%以下、特に5%以上〜10%以下、全組成物中に存在する。特に、直鎖状又は分枝鎖状のヘキサシロキサン、シクロヘプタシロキサン、及び高分子のシロキサンオリゴマーは、全組成物中で10面積%未満、好適には9%以下で存在する。ここで最大分子量は、2000g/mol以下である。
【0119】
特に好ましくは、組成物中でシロキサンオリゴマーの70%以上が、ジシロキサン、トリシロキサン、シクロテトラシロキサン、テトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、ペンタシロキサン、及び/又はシクロヘキサシロキサンとして存在し、その割合は好適には75%以上、特に好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。代替的に好適には、シロキサンオリゴマーの90%以上が、ジシロキサン〜シクロヘキサシロキサンとして存在するが、しかしながら直鎖状及び/又は分枝鎖状のヘキサシロキサン、シクロヘキサシロキサン及び高分子状のものとしては存在しない。
【0120】
本発明のさらなる対象は、本発明による方法により得られる、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマー含有組成物であって、前記シロキサンオリゴマーは、ケイ素原子の所に最大1個のオレフィン基を有し、前記オレフィン官能化シロキサンオリゴマーは、鎖状、環状、架橋された、及び/又は三次元架橋された構造を形成するSi−O架橋された構造要素を有し、ここで前記構造要素は、式IIのアルコキシシランから誘導されており、また任意でさらに式III及びIVのシランのアルコキシシランから選択され、好適には少なくとも1種のシロキサンオリゴマーは、一般式Iの構造を有し、ここで、250以上〜500g/molの分子量Mwを有するオレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーは40%以上、特に45%以上、好ましくは40〜70%(面積%、GPC)であり、500〜750g/mol以上の分子量Mwを有するものは20%以上、特に25%以上、好ましくは20%以上〜35%以下、存在し、1000g/molの分子量Mwを有するものは、全組成物に対して12%以下、特に10%以下、特に好ましくは7%以下、存在する。750〜1000g/mol未満の分子量は例えば、最大15%の範囲、特に最大12%(面積、GPC)の範囲に存在し得る。
【0121】
エステル交換生成物は、様々なアルコキシ基を有するアルコキシシランを包含することができ、その例は、メトキシ基及び/又はエトキシ基で官能化された、式II、III、IV、又は式Iのアルコキシシランである。シロキサンオリゴマーは、式II、III、及びIVのアルコキシシランとしても、またエステル交換生成物としても存在し得る。
【0122】
こうして製造された官能性のシロキサンオリゴマーは、所望の適用に応じて、希釈剤で希釈するか、又はポリマー、例えば熱可塑性ベースポリマー(例えばPE、PP)、又はエラストマー(例えばEVA)を加えるか、又はコンパウンド化できることは、当業者に明らかである。さらなる熱可塑性ベースポリマー及びエラストマーを以下に例示的に挙げるが、当業者には、一般的に全ての熱可塑性ベースポリマー、又はポリマー若しくはエラストマーが適切であることは、当業者に知られている。アルコキシシラン用の慣用の希釈剤は当業者に公知であり、それは例えば、アルコール、エーテル、ケトン、炭化水素、又はこれらの混合物である。よって官能性アルコキシシランの組成物は、所望の適用に応じて濃縮物として、又は希釈された組成物としても、全組成物における官能性シロキサンオリゴマーに対して99.9〜0.001質量%で、またその間の全ての数値において、製造できる。好ましい希釈度は、官能性シロキサンオリゴマーに対して10〜90質量%、特に好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%である。
【0123】
高熱の押出成形機内における大量の質量損失を起こすことなく、押出成形機内での迅速な分布を可能にするため、TGA温度についての分子量Mwの秤量比が、5%又は50%の質量損失で現れることを保つべきである。前述の化合物は通常、50%の質量損失を、200℃超の温度、特に220℃超の温度で示す。従って本発明による組成物は、押出機内での適用のために非常に良好に適しており、同時にその狭く調整された分子量により、シロキサンオリゴマーを熱可塑性樹脂に迅速に分布させることができる。この良好な分布のためにはまた、シロキサン中においてやや多いT構造も貢献する。と言うのも、分子がより密だからである。
【0124】
本発明の意味合いにおける熱可塑性ベースポリマーとしては、特にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、例えばLDPE、LLD−PE、m−PE、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、クロロプレン、並びにエチレン単位ベースのポリマーであるエチレン−酢酸ビニルのコポリマー(EVA)、EPDM、又はEPM、及び/又はセルロイド、又はシラン共重合されたポリマーであると理解され、例えばシランを含む飽和官能性モノマーからのもの、例えばVTMO、VTEO、及びモノマー、例えばエチレン、及び他のオレフィンから製造されるベースポリマー、モノマー、及び/又はプレポリマー、これらのベースポリマーの前駆体化合物、例えばエチレン、プロピレンである。さらなる好ましいエラストマーは、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、アクリレートコポリマーゴム(ACM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、及び/又はポリブタジエンゴム(BR)から選択できる。
【0125】
本発明の対象はまた、本発明による組成物、又は本発明による方法によって製造される組成物を、接着剤として、公知の方法におけるグラフト重合及び/又は加水分解縮合による架橋剤として、オレフィン官能化されたシロキサンオリゴマーでグラフトされたポリマー、プレポリマー、及び/又は無機物が充填されたポリマー(コンパウンド)、特に熱可塑性樹脂又はエラストマーを製造する際のコンパウンド、好ましくは無機物が充填された熱可塑性樹脂、エラストマー、又はこれらのプレポリマーを製造する際のコンパウンドを製造するため、熱可塑性ポリオレフィンをグラフトするため、又は熱可塑性ポリオレフィンを重合させる際に、乾燥剤として、特にシリコーン封止剤用の水補足剤として、ケーブル製造のための架橋性ポリマーにおいて、架橋性ポリマーを製造するため、エマルションにおける油相として、及び/又はオルガノシラン又はオルガノポリシロキサンと一緒に、用いる使用である。本発明による組成物を、オルガノシラン又はオルガノシロキサンとともに本発明により併用するために、EP 1 205 481 B1の開示内容が完全に引用され、特に段落[0039]の開示内容と、そこに開示されたオルガノシラン及びオルガノシロキサンに関するリストが引用される。
【0126】
さらに、本発明による組成物は有利には、充填物変性(充填物被覆)、樹脂変性(添加剤)、表面変性剤(官能化、疎水化)のために、被覆系における成分として(特にゾル−ゲル系、又はハイブリッド系として)、カソード変性のため、バッテリーにおけるアノード材料として、電解質液として、電解質液における添加剤として、繊維(特にガラス繊維と天然繊維)変性のため、またテキスタイル変性のため、人造石工業用の充填物変性のため、構造物保護剤として、又は構造物保護剤における成分として、無機物硬化性材料用の添加物として、木材、木質繊維、及びセルロース変性のために、使用できる。さらに、2011年11月22日にドイツ特許商標庁に提出された(出願日)DE 10 201 1 086 865.8の開示内容全体が、本願発明の内容に援用される。
【0127】
以下の実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に制限されることはない。
【0128】
実施例:
分子量の特定:モル質量又は分子量の特定、並びに質量分布の測定は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって行うことができる。このGPC分析法は特に、”Modern Size-Exclusion Liquid Chromatography”, Andre Striegel et al著、Verlag Wiley & Sons, 2. Aufl. 2009年に、詳細に記載されている。ここで、シロキサン分析のために方法を較正するため、標準として例えばジビニルテトラメトキシジシロキサン、又はジビニルテトラエトキシシロキサンを、使用する。この文書におけるオレフィンシロキサンオリゴマーに対するパーセントの記載は、GPC分析から測定可能な面積%である。
【0129】
使用したカラムはMZ-Analysetechnikである:カラム:50×8.0mm、MZ-Gel SDplus(架橋度が高く、球状の粒子形状を有するスチレン/ジビニルベンゼン−コポリマー)、多孔性は50A(オングストローム、Å)、5μm(マイクロメーター)(前カラム)、300×8.0mm、MZ-Gel SDplus、多孔性は50A(オングストローム、Å)、5μm、300×8.0mm、MZ-Gel SDplus、多孔性は500A(オングストローム、Å)、5μm、300×8.0mm、MZ-Gel SDplus、多孔性は500A(オングストローム、Å)、5μm;溶離剤及び給送流:メチルケトン(MEK)1ml/分、基準物質:内部基準−1%の試料溶液中、1lあたり1gのエチルベンゼン。この測定装置は、事前にそれぞれの物質に対して較正する(モノマー、ダイマー、トリシロキサンなど)。Agilent社の測定装置::1100 Series isotaktische Pumpe G1310A、1100 Series Sauulenofen G1316A、1100 Series RID Detektor G1362A、Manueller Injektor G1328A、Vakuum Degasser G1322A、GPC-Software (PSS WinGPC Unity)。
【0130】
塩素含分値又は総塩素含分値の測定:熱量計ボンベ内で、シランを酸素により分解し、続いて酢酸とフッ化水素で加水分解する。得られた溶液中で塩化物含分を、厳密に規定した硝酸銀溶液を用いた滴定により特定する。
【0131】
塩化物含分の特定、また加水分解性塩化物の特定:酢酸による加水分解後、厳密に規定した硝酸銀溶液を用いた滴定により特定する。
【0132】
SiO
2含分の特定、るつぼ法:SiO
2含分は、濃硫酸を用いた酸溶解によって、また後続のフッ素化による蒸発によって特定する。
【0133】
GC分析:当業者に公知のGC標準分析の範囲において、モノマー含分は適切な較正によって、また場合によっては内部基準により特定する。
【0134】
29Si−NMRスペクトル分析:モノマー含分を特定するため、またM構造、D構造、及びT構造を特定するためさらに、当業者に公知の
29Si−NMRスペクトル分析が使用できる。
【0135】
動的粘度の測定:動的粘度の測定は、DIN 53015によって行った。
【0136】
1.合成
1.1 アルコールを添加したVTMOオリゴマー:V082
実施:2lの装置内に、VTMO(ビニルトリメトキシシラン)401.2gを装入し、そしてメタノールで希釈する。続いてメタノール、二度蒸留した水、及び塩酸(37%)を25℃、周辺圧力で撹拌しながら計量供給した。発熱性反応が始まる。温度が45℃超に上がったら、供給を中断する。総反応時間は、H
2O/HCl/メタノール混合物の供給に始まり、五時間である。反応時間後に、ロータリーエバポレータでアルコールを最大90℃、100mbarで蒸留する。100mbarに到達後、この圧力を15分間維持してから、装置を放圧する。こうして得られる蒸気は、VTMO−シロキサンオリゴマー組成物であり、これを「塔底物1」と呼ぶ。そこで、試料の採取を行う。塔底物1を新たに、メタノール256.91gと混合し、30分間、25℃で撹拌する。引き続き、ロータリーエバポレータで最大90℃、100mbarで、メタノール蒸留を行う。100mbarに到達後、この圧力を15分間維持してから、装置を放圧する。こうして得られる蒸気は、VTMOがベースのVTMO−シロキサンオリゴマー組成物であり、これを「塔底物2」と呼ぶ。
【0137】
【表1】
【0138】
1.2 アルコールを添加したVTEOシロキサンオリゴマー:V083
実施:2lの装置内に、VTEO400.0gを装入する。続いてエタノール、二度蒸留した水、及び塩酸(37%)を35℃、周辺圧力で撹拌しながら計量供給した。発熱性反応が始まる。温度が60℃超に上がったら、供給を中断する。総反応時間は、77℃で、H
2O/EtOH/HCl混合物を完全に供給してから五時間である。反応時間後に、ロータリーエバポレータでアルコールを最大100℃、100mbarで蒸留する。100mbarに到達後、この圧力をさらに15分間維持してから、装置を放圧する。こうして得られる蒸気は、VTEO−シロキサンオリゴマー組成物であり、これを「塔底物1」と呼ぶ。試料の採取を行う。塔底物1を新たに、エタノール190.46gと混合し、30分間、35℃で撹拌する。引き続き、ロータリーエバポレータで最大100℃、100mbarで、エタノール蒸留を行う。100mbarに到達後、この圧力を15分間維持してから、装置を放圧する。こうして得られる蒸気は、VTEO−シロキサンオリゴマー組成物であり、これを「塔底物2」と呼ぶ。
【0139】
【表2】
【0140】
1.3 アルコールを添加したVTEO/PTEOシロキサンオリゴマー:V084
実施:2lの装置内に、ビニルトリエトキシシラン(VTEO)211.7g、及びプロピルトリエトキシシラン(PTEO)216.5gを装入する。続いてエタノール、二度蒸留した水、及び塩酸(37%)を35℃、周辺圧力で撹拌しながら計量供給した。発熱性反応が始まる。温度が60℃超に上がったら、供給を中断する。総反応時間は、79℃で、H
2O/EtOH/HCl混合物を完全に供給してから五時間である。反応時間後に、ロータリーエバポレータでアルコールを最大100℃、100mbarで蒸留する。100mbarに到達後、この圧力をさらに15分間維持してから、装置を放圧する。こうして得られる蒸気は、VTEO/PTEOシロキサンオリゴマー組成物であり、これを「塔底物1」と呼ぶ。試料を取り出す。塔底物1を新たに、エタノール189.50gと混合し、30分間、25℃で撹拌する。引き続き、ロータリーエバポレータで最大100℃、100mbarで、エタノール蒸留を行う。100mbarに到達後、この圧力を15分間維持してから、装置を放圧する。こうして得られる蒸気は、VTEO/PTEOシロキサンオリゴマー組成物であり、これを「塔底物2」と呼ぶ。
【0141】
【表3】
【0142】
2.イオン交換体 本発明による方法において統合可能
例2.1:ビニル/アルキル官能性のシロキサンコオリゴマー150g(加水分解性の塩化物含分が255質量ppm、すなわち255mg/kgのもの)を、流速2.01m/hでLewatit MP 62というイオン交換体(Lanxess社から市販)を介して、OH
-形態にした。後処理後に、加水分解性塩化物含分が32質量ppmのビニル/アルキル官能性のシロキサンコオリゴマー140.1gが得られた。溶離後に得られる無臭の生成物のエタノール含分は、EtOHが18質量%であった。EtOHは、ロータリーエバポレータで除去できた。
【0143】
例2.2:ビニル/アルキル官能性のシロキサンコオリゴマー150g(加水分解性の塩化物含分が110質量ppmのもの)を、流速2.05m/hでLewatit MP 62というイオン交換体(Lanxess社から市販)を介して、OH
-形態にした。後処理後に、加水分解性塩化物含分が4質量ppmのビニル/アルキル官能性のシロキサンコオリゴマー142.8gが得られた。
【0144】
3.分析
3.1 一般的な分析
【表4】
【0145】
3.2. GPC分析
【表5】
【0146】
【表6】
【0147】
【表7】
【0148】
【表8】
【0149】
【表9】
【0150】
【表10】
【0151】
【表11】
【0152】
4.比較例
比較例1:V078
EP0518057 B1からの例1、ビニルトリメトキシシランと、メチルトリメトキシシランからの共縮合物の製造(ビニル基とメトキシ基のモル比は、約1:3)。
【0153】
実施:水冷器とマグネチックスターラとを備える2lの4つ首装置に、ビニルトリメトキシシラン(VTMO)397.6g、及びメチルトリメトキシシラン244.6gを、20℃で装入した。この混合物に、塩化水素2400ppmを含有する、蒸留水49.9gを、332.8gのメタノールに入れた溶液を加えた。このために、500mlの漏斗を用いた。合計で16時間後に、メタノールを全てHClと一緒に約300mbarで留去した。その後、こうして得られたオリゴマー混合物を、最大約1mbarの圧力、113℃の沸騰領域で蒸留した。透明な生成物が170g得られた。
【0154】
【表12】
【0155】
比較例2:V081
EP0518057 B1からの例6:ビニルトリメトキシシランからの縮合物の製造(ビニル基とメトキシ基のモル比は、約1:1.75)
実施:水冷器とマグネチックスターラとを備える2lの4つ首装置に、ビニルトリメトキシシラン(VTMO)693.83gを、20℃で装入した。この混合物に、塩化水素1100ppmを含有する、蒸留水52.82gを、351.53gのメタノールに入れた溶液を加えた。このために、500mlの漏斗を用いた。温度は、26分以内に約36℃に上がった。合計で13時間後に、メタノールを全て塩酸と一緒に2〜3時間以内に約300mbarで留去した。その後、こうして得られたオリゴマー混合物を、最大約1mbarの圧力、100℃の沸騰領域で蒸留した。透明な生成物が240g得られた。
【0156】
【表13】
【0157】
比較試験についての分析結果:
【表14】
【0158】
【表15】
【0159】
【表16】
【0160】
【表17】
【0161】
5.適用技術試験
【表18】
【0162】
5.1:混練試験
以下の混練は、「3分140℃、2分で140℃〜170℃、170℃で5分、HAAKE混練機により回転数30回転/分」という温度プロフィールで加工した。続いて各バッチごとに、プレート二枚を190℃、20tの負荷圧力をかけた。過酸化物の添加を容易にするため、シラン/過酸化物溶液を加えた。
【0163】
5.2:測定体の予備調製
製造された試料について、温度調整室内で23℃、相対湿度50%で貯蔵後、試験体を引っ張り試験、吸湿性測定、又は溶融指数測定した。
【表19】
【0164】
【表20】
【0165】
【表21】
【0166】
5.3:メルトフローレート(MFR)、及びメルトボリュームレート(MVR)の測定
作業と評価は、DIN ISO 1133(方法B)を用いて行い、その内容は完全に引用され、本願の内容に組み込まれる。試験装置は、Zwick社の流速試験装置4106である。メルトフローレート(MFR)又はメルトボリュームレート(MVR)は、標準的なノズルを用いてプラスチック溶融物について、規定の剪断速度と規定の温度(T
PT)、規定の負荷(m
nom)で行った。時間に伴うプレス機の道筋の変化を測定し、これにより当業者に公知の式によってMVRとMRFを算出する。各試料のうち最大7gを小さく切断し、温度160℃、負荷21.6kgで、メルトフローレート(MFR)を測定した。
【0167】
【表22】
【0168】
【表23】
【0169】
5.4:吸水性
5.4.1:吸水性の測定
規定の形状の試験体を、規定の条件(温度、時間)で水浴中に貯蔵した。この際に得られた試料の質量変化を、貯蔵前、貯蔵の間、そして乾燥工程の後に測定する。吸水性は、製造された試料体によって24時間後に、三回測定することによって特定され、これは前述の時間、水浴中、70℃で貯蔵したものである。
【0170】
【表24】
【0171】
5.5:引張特性の測定
引張特性の測定は、EN ISO 527-1、527-2、527-3を用いて行い、その内容は完全に引用され、本願の内容に組み込まれる。このために、規定の形状を有する試料片を、引張試験機で引っ張り、破断するまで単軸応力負荷をかける(規定の延伸速度における単軸応力延伸)。この際に、試料片における応力変化を、試料体の延び、引張強度、及び破断点伸びについて測定する。試験装置は、Zwick社の汎用試験装置4115である。製造された試験体又は引張体(ボーン(Bone))によって、24時間の貯蔵後に、温度調整室内で23℃、相対湿度50%で試料の引張特性(破断点伸びと引張強度)、200mm/分の試験速度、及び0.2MPaの初期負荷で、五回測定したものである。
【0172】
【表25】