(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記圧電層(350)が第1の圧電層(350a)であり、前記変形可能膜(310)が、第3の導電層(320b)と第4の導電層(340b)との間にはさまれた第2の圧電層(350b)をさらに含む、請求項1に記載の電気機械マイクロスピーカー。
装置の寸法が、約1ミクロンと5ミクロンとの間のスピーカーキャビティ厚さ、約1ミクロンと10ミクロンとの間の誘電体層厚さ、または約1ミクロンと3ミクロンとの間の第1の圧電層厚さ、のうちの1つまたは複数を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の電気機械マイクロスピーカー。
前記変形可能膜(310)が、可聴周波数で発振する駆動電圧を前記圧電層(350)の両端間に印加すると、音を生成するように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載の電気機械マイクロスピーカー。
前記画像データを前記プロセッサ(21)に送るように構成された画像ソースモジュールであって、受信機、トランシーバ(47)および送信機のうちの少なくとも1つを含む画像ソースモジュール
をさらに備える、請求項16または17に記載の音響−視覚装置。
第1の結合ガラス基板と第2の結合ガラス基板(102、106)との間に形成された、請求項1から19のいずれか一項に記載の電気機械マイクロスピーカーのアレイ(108)
を備え、前記第2のガラス基板(102)が、前記アレイの上に配置された1つまたは複数の音響ポート(114)を含む装置。
前記第1のガラス基板と第2のガラス基板(102、106)との間のキャビティ内に配置された集積回路デバイス(104)であって、圧電駆動マイクロスピーカー要素を駆動するように構成された集積回路デバイス(104)をさらに備える、請求項20に記載の装置。
前記犠牲層の上に前記第1の圧電アクチュエータ(330)を形成するステップが、前記犠牲層の上に第1の導電層(320)を形成するステップ、前記第1の導電層(320)の上に第1の圧電層(350)を形成するステップ、および前記第1の圧電層(350)の上に第2の導電層(340)を形成するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
様々な図面における同様の参照番号および名称は同様の要素を示す。
【0018】
以下の説明は、本開示の革新的態様について説明する目的で、いくつかの特定の実施態様を対象としている。しかしながら、本明細書における教示は、多くの異なる方法で適用することができることは当業者には容易に認識されよう。説明する実施態様は、動いていようと(たとえば、ビデオ)、静止していようと(たとえば、静止画像)、およびテキストであろうと、グラフィックであろうと、絵であろうと、画像を表示するように構成され得る任意のデバイスまたはシステムにおいて実施され得る。より具体的には、説明する実施態様は、限定はしないが、携帯電話、マルチメディアインターネット対応セルラー電話、モバイルテレビジョン受信機、ワイヤレスデバイス、スマートフォン、Bluetooth(登録商標)デバイス、携帯情報端末(PDA)、ワイヤレス電子メール受信機、ハンドヘルドまたはポータブルコンピュータ、ネットブック、ノートブック、スマートブック、タブレット、プリンタ、コピー機、スキャナ、ファクシミリデバイス、GPS受信機/ナビゲータ、カメラ、MP3プレーヤ、カムコーダ、ゲーム機、腕時計、クロック、計算器、テレビジョンモニタ、フラットパネルディスプレイ、電子リーディングデバイス(すなわち、電子リーダー)、コンピュータモニタ、自動車ディスプレイ(オドメータディスプレイおよびスピードメータディスプレイなどを含む)、コックピットコントロールおよび/またはディスプレイ、カメラビューディスプレイ(車両における後部ビューカメラのディスプレイなど)、電子写真、電子ビルボードまたは標示、プロジェクタ、アーキテクチャ構造物、電子レンジ、冷蔵庫、ステレオシステム、カセットレコーダーまたはプレーヤ、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、VCR、ラジオ、ポータブルメモリチップ、洗濯機、乾燥機、洗濯機/乾燥機、パーキングメーター、パッケージング(電気機械システム(EMS)、マイクロ電気機械システム(MEMS)および非MEMS適用例におけるものなど)、審美構造物(たとえば、1つの宝飾品上の画像のディスプレイ)、ならびに様々なEMSデバイスなど、様々な電子デバイス中に含まれるかまたはそれらに関連付けられ得ると考えられる。また、本明細書の教示は、限定はしないが、電子スイッチングデバイス、無線周波フィルタ、センサー、加速度計、ジャイロスコープ、運動感知デバイス、磁力計、コンシューマーエレクトロニクスのための慣性構成要素、コンシューマーエレクトロニクス製品の部品、バラクタ、液晶デバイス、電気泳動デバイス、駆動方式、製造プロセス、および電子テスト機器など、非ディスプレイ適用例において使用され得る。したがって、本教示は、単に図に示す実施態様に限定されるものではなく、代わりに、当業者に直ちに明らかになるであろう広い適用性を有する。
【0019】
本明細書において説明されるいくつかの実施態様は、電気機械マイクロスピーカー要素に関する。いくつかの実施態様では、マイクロスピーカー要素は、基板と変形可能誘電体膜との間に配置されたスピーカーキャビティを含む。変形可能誘電体膜は、誘電体層および1つまたは複数の圧電アクチュエータを含むことができる。個々の圧電アクチュエータは、少なくとも1つの圧電層および駆動信号を印加することができる電極を含むことができる。駆動信号によって圧電層をひずませることができ、このひずみによって誘電体層がひずみ、それにより音が生成される。
【0020】
本明細書において説明されるいくつかの実施態様は、ガラスカプセル化マイクロスピーカーに関する。いくつかの実施態様では、ガラスカプセル化マイクロスピーカーは、ガラス基板、ガラス基板の上に配置された電気機械マイクロスピーカー要素のアレイおよびカバーガラスを含む。カバーガラスは、エポキシ、ガラスフリットまたは金属ボンドリングなどの接着剤を使用してガラス基板に結合することができる。カバーガラスは、カバーガラスがガラス基板の表面に結合されるとキャビティを形成する凹部を含むことができる。また、カバーガラスは、マイクロスピーカー要素のアレイの上に配置されたスピーカーグリルを含むことも可能であり、このスピーカーグリルにより、マイクロスピーカー要素のアレイから音波を放出することができる。
【0021】
本開示で説明される主題の特定の実施態様は、以下の複数の可能な利点のうちの1つまたは複数を実現するために実施することができる。いくつかの実施態様では、低コスト、小型、ロープロファイル、および低消費電力のマイクロスピーカーが提供される。さらに、マイクロスピーカーは、他のデバイスと共に製造することも、あるいは個別のデバイスとして取り付けることも可能であるため、ガラス基板の上に製造されるマイクロスピーカーは、同じくガラス基板の上に製造されるディスプレイおよび他のデバイスと両立することができ、この組合せは、良好に整合した熱膨張特性を有している。使用される材料は、デバイスを印刷回路基板に取り付けるためのリフローはんだ付けまたはウェーブはんだ付けを可能にする高いサーマルバジェットをもたらすことができる。
【0022】
結合されたマイクロスピーカーのガラス蓋およびガラス基板は、熱的に良好に整合させることができる。頂部、側部または底部の1つまたは複数の音響ポートは、センサーを取り付ける際の柔軟性を提供し、たとえばスピーカーとして働かせるために携帯電話の中に取り付け、あるいはスピーカーアレイの中に取り付ける際の柔軟性を提供する。いくつかの実施態様では、スルーガラスビアにより、マイクロスピーカーを印刷回路または配線基板に直接接続することができる。いくつかの実施態様では、フレキシブルコネクタをマイクロスピーカーに取り付けることができ、それによりPCBへの電気接続を可能にする一方で、携帯電話ケースなどのエンクロージャの外壁または外面の近傍へのマイクロスピーカーの配置を可能にしている。
【0023】
説明する実施態様が適用され得る好適なEMSまたはMEMSデバイスの一例は、反射型ディスプレイデバイスである。反射型ディスプレイデバイスは、光学干渉の原理を使用してそれに入射する光を選択的に吸収および/または反射するために干渉変調器(IMOD)を組み込むことができる。IMODは、吸収器、吸収器に対して可動である反射体、ならびに吸収器と反射体との間に画定された光共振キャビティを含むことができる。反射体は、2つ以上の異なる位置に移動され得、これは、光共振キャビティのサイズを変化させ、それによりIMODの反射率に影響を及ぼすことがある。IMODの反射スペクトルは、かなり広いスペクトルバンドをもたらすことができ、そのスペクトルバンドは、異なる色を生成するために可視波長にわたってシフトされ得る。スペクトルバンドの位置は、光共振キャビティの厚さを変更することによって調節され得る。光共振キャビティを変更する1つの方法は、反射体の位置を変更することによるものである。
【0024】
図1は、干渉変調器(IMOD)ディスプレイデバイスの一連のピクセル中の2つの隣接ピクセルを示す等角図の一例を示す。IMODディスプレイデバイスは、1つまたは複数の干渉MEMSディスプレイ要素を含む。これらのデバイスでは、MEMSディスプレイ要素のピクセルが、明状態または暗状態のいずれかにあることがある。明(「緩和」、「開」または「オン」)状態では、ディスプレイ要素は、たとえば、ユーザに、入射可視光の大部分を反射する。逆に、暗(「作動」、「閉」または「オフ」)状態では、ディスプレイ要素は入射可視光をほとんど反射しない。いくつかの実施態様では、オン状態の光反射特性とオフ状態の光反射特性は逆にされ得る。MEMSピクセルは、黒および白に加えて、主に、カラーディスプレイを可能にする特定の波長において、反射するように構成され得る。
【0025】
IMODディスプレイデバイスは、IMODの行/列アレイを含むことができる。各IMODは、(光ギャップまたはキャビティとも呼ばれる)エアギャップを形成するように互いから可変で制御可能な距離をおいて配置された反射層のペア、すなわち、可動反射層と固定部分反射層とを含むことができる。可動反射層は、少なくとも2つの位置の間で移動され得る。第1の位置、すなわち、緩和位置では、可動反射層は、固定部分反射層から比較的大きい距離をおいて配置され得る。第2の位置、すなわち、作動位置では、可動反射層は、部分反射層により近接して配置され得る。それら2つの層から反射する入射光は、可動反射層の位置に応じて、強め合うようにまたは弱め合うように干渉し、各ピクセルについて全反射状態または無反射状態のいずれかを引き起こすことがある。いくつかの実施態様では、IMODは、作動していないときに反射状態にあり、可視スペクトル内の光を反射し得、また、作動していないときに暗状態にあり、可視範囲外の光(たとえば、赤外光)を反射し得る。ただし、いくつかの他の実施態様では、IMODは、作動していないときに暗状態にあり、作動しているときに反射状態にあり得る。いくつかの実施態様では、印加電圧の導入が、状態を変更するようにピクセルを駆動することができる。いくつかの他の実施態様では、印加電荷が、状態を変更するようにピクセルを駆動することができる。
【0026】
図1中のピクセルアレイの図示の部分は、2つの隣接するIMOD12を含む。(図示のような)左側のIMOD12では、可動反射層14が、部分反射層を含む光学スタック16からの所定の距離における緩和位置に示されている。左側のIMOD12に印加された電圧V
0は、可動反射層14の作動を引き起こすには不十分である。右側のIMOD12では、可動反射層14は、光学スタック16の近くの、またはそれに隣接する作動位置に示されている。右側のIMOD12に印加された電圧V
biasは、可動反射層14を作動位置に維持するのに十分である。
【0027】
図1では、ピクセル12の反射特性が、概して、ピクセル12に入射する光を示す矢印13と、左側のピクセル12から反射する光15とを用いて示されている。詳細に示していないが、ピクセル12に入射する光13の大部分は透明基板20を透過され、光学スタック16に向かうことになることを、当業者なら理解されよう。光学スタック16に入射する光の一部分は光学スタック16の部分反射層を透過されることになり、一部分は反射され、透明基板20を通って戻ることになる。光学スタック16を透過された光13の部分は、可動反射層14において反射され、透明基板20に向かって(およびそれを通って)戻ることになる。光学スタック16の部分反射層から反射された光と可動反射層14から反射された光との間の(強め合うまたは弱め合う)干渉が、ピクセル12から反射される光15の(1つまたは複数の)波長を決定することになる。
【0028】
光学スタック16は、単一の層またはいくつかの層を含むことができる。その(1つまたは複数の)層は、電極層と、部分反射および部分透過層と、透明な誘電体層とのうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施態様では、光学スタック16は、電気伝導性であり、部分的に透明で、部分的に反射性であり、たとえば、透明基板20上に上記の層のうちの1つまたは複数を堆積させることによって、作製され得る。電極層は、様々な金属、たとえば酸化インジウムスズ(ITO)など、様々な材料から形成され得る。部分反射層は、クロム(Cr)などの様々な金属、半導体、および誘電体など、部分的に反射性である様々な材料から形成され得る。部分反射層は、材料の1つまたは複数の層から形成され得、それらの層の各々は、単一の材料または材料の組合せから形成され得る。いくつかの実施態様では、光学スタック16は、光吸収体と導体の両方として働く、金属または半導体の単一の半透明の膜(thickness)を含むことができるが、(たとえば、光学スタック16の、またはIMODの他の構造の)異なる、より伝導性の高い層または部分が、IMODピクセル間で信号をバスで運ぶ(bus)ように働くことができる。光学スタック16は、1つまたは複数の伝導性層または伝導性/吸収層をカバーする、1つまたは複数の絶縁層または誘電体層をも含むことができる。
【0029】
いくつかの実施態様では、光学スタック16の(1つまたは複数の)層は、以下でさらに説明するように、平行ストリップにパターニングされ得、ディスプレイデバイスにおける行電極を形成し得る。当業者によって理解されるように、「パターニング」という用語は、本明細書では、マスキングプロセスならびにエッチングプロセスを指すために使用される。いくつかの実施態様では、アルミニウム(Al)などの高伝導性および反射性材料が可動反射層14のために使用され得、これらのストリップはディスプレイデバイスにおける列電極を形成し得る。可動反射層14は、(光学スタック16の行電極に直交する)1つまたは複数の堆積された金属層の一連の平行ストリップとして形成されて、ポスト18の上に堆積された列とポスト18間に堆積された介在する犠牲材料とを形成し得る。犠牲材料がエッチング除去されると、画定されたギャップ19または光キャビティが可動反射層14と光学スタック16との間に形成され得る。いくつかの実施態様では、ポスト18間の間隔は約1〜1000μmであり得、ギャップ19は約10,000オングストローム(Å)未満であり得る。
【0030】
いくつかの実施態様では、IMODの各ピクセルは、作動状態にあろうと緩和状態にあろうと、本質的に、固定反射層および可動反射層によって形成されるキャパシタである。電圧が印加されないとき、可動反射層14は、
図1中の左側のピクセル12によって示されるように、機械的に緩和した状態にとどまり、可動反射層14と光学スタック16との間のギャップ19がある。しかしながら、電位差、たとえば、電圧が、選択された行および列のうちの少なくとも1つに印加されたとき、対応するピクセルにおける行電極と列電極との交差部に形成されたキャパシタは帯電し、静電力がそれらの電極を引き合わせる。印加された電圧がしきい値を超える場合、可動反射層14は、変形し、光学スタック16の近くにまたはそれに対して移動することができる。光学スタック16内の誘電体層(図示せず)が、
図1中の右側の作動ピクセル12によって示されるように、短絡を防ぎ、層14と層16との間の分離距離を制御し得る。その挙動は、印加電位差の極性にかかわらず同じである。いくつかの事例ではアレイ中の一連のピクセルが「行」または「列」と呼ばれることがあるが、ある方向を「行」と呼び、別の方向を「列」と呼ぶことは恣意的であることを、当業者は容易に理解されよう。言い換えれば、いくつかの配向では、行は列と見なされ得、列は行であると見なされ得る。さらに、ディスプレイ要素は、直交する行および列に一様に配置されるか(「アレイ」)、または、たとえば、互いに対して一定の位置オフセットを有する、非線形構成で配置され得る(「モザイク」)。「アレイ」および「モザイク」という用語は、いずれかの構成を指し得る。したがって、ディスプレイは、「アレイ」または「モザイク」を含むものとして言及されるが、その要素自体は、いかなる事例においても、互いに直交して配置される必要がなく、または一様な分布で配設される必要がなく、非対称形状および不均等に分布された要素を有する配置を含み得る。
【0031】
図2は、3×3 IMODディスプレイを組み込んだ電子デバイスを示すシステムブロック図の一例を示す。電子デバイスは、1つまたは複数のソフトウェアモジュールを実行するように構成され得るプロセッサ21を含む。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサ21は、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、電子メールプログラム、または任意の他のソフトウェアアプリケーションを含む、1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され得る。
【0032】
プロセッサ21は、アレイドライバ22と通信するように構成され得る。アレイドライバ22は、たとえば、ディスプレイアレイまたはパネル30に、信号を与える行ドライバ回路24と列ドライバ回路26とを含むことができる。
図2には、
図1に示したIMODディスプレイデバイスの断面が線1−1によって示されている。
図2は明快のためにIMODの3×3アレイを示しているが、ディスプレイアレイ30は、極めて多数のIMODを含んでいることがあり、列におけるIMODの数とは異なる数のIMODを行において有し得、その逆も同様である。
【0033】
図3は、
図1のIMODについての可動反射層位置対印加電圧を示す図の一例を示す。MEMS IMODの場合、行/列(すなわち、コモン/セグメント)書込みプロシージャが、
図3に示すこれらのデバイスのヒステリシス特性を利用し得る。IMODは、可動反射層またはミラーに緩和状態から作動状態に変更させるために、たとえば、約10ボルトの電位差を使用し得る。電圧がその値から低減されると、電圧が低下して、たとえば、10ボルトより下に戻ったとき、可動反射層はそれの状態を維持するが、電圧が2ボルトより下に低下するまで、可動反射層は完全には緩和しない。したがって、
図3に示すように、印加電圧のウィンドウがある電圧の範囲、約3〜7ボルトが存在し、そのウィンドウ内でデバイスは緩和状態または作動状態のいずれかで安定している。これは、本明細書では「ヒステリシスウィンドウ」または「安定性ウィンドウ」と呼ばれる。
図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイ30の場合、行/列書込みプロシージャは、一度に1つまたは複数の行をアドレス指定するように設計され得、その結果、所与の行のアドレス指定中に、作動されるべきアドレス指定された行におけるピクセルは、約10ボルトの電圧差にさらされ、緩和されるべきピクセルは、ほぼ0ボルトの電圧差にさらされる。アドレス指定後に、それらのピクセルは、それらが前のストローブ状態にとどまるような、約5ボルトの定常状態またはバイアス電圧差にさらされる。この例では、アドレス指定された後に、各ピクセルは、約3〜7ボルトの「安定性ウィンドウ」内の電位差を経験する。このヒステリシス特性の特徴は、たとえば、
図1に示した、ピクセル設計が、同じ印加電圧条件下で作動または緩和のいずれかの既存の状態で安定したままであることを可能にする。各IMODピクセルは、作動状態にあろうと緩和状態にあろうと、本質的に、固定反射層および可動反射層によって形成されるキャパシタであるので、この安定状態は、電力を実質的に消費するかまたは失うことなしに、ヒステリシスウィンドウ内の定常電圧において保持され得る。その上、印加電圧電位が実質的に固定のままである場合、電流は本質的にほとんどまたはまったくIMODピクセルに流れ込まない。
【0034】
いくつかの実施態様では、所与の行におけるピクセルの状態の所望の変化(もしあれば)に従って、列電極のセットに沿って「セグメント」電圧の形態のデータ信号を印加することによって、画像のフレームが作成され得る。次に、フレームが一度に1行書き込まれるように、アレイの各行がアドレス指定され得る。第1の行におけるピクセルに所望のデータを書き込むために、第1の行におけるピクセルの所望の状態に対応するセグメント電圧が列電極上に印加され得、特定の「コモン」電圧または信号の形態の第1の行パルスが第1の行電極に印加され得る。次いで、セグメント電圧のセットは、第2の行におけるピクセルの状態の所望の変化(もしあれば)に対応するように変更され得、第2のコモン電圧が第2の行電極に印加され得る。いくつかの実施態様では、第1の行におけるピクセルは、列電極に沿って印加されたセグメント電圧の変化による影響を受けず、第1のコモン電圧行パルス中にそれらのピクセルが設定された状態にとどまる。このプロセスは、画像フレームを生成するために、一連の行全体、または代替的に、一連の列全体について、連続方式で繰り返され得る。フレームは、何らかの所望の数のフレーム毎秒でこのプロセスを断続的に反復することによって、新しい画像データでリフレッシュおよび/または更新され得る。
【0035】
各ピクセルに印加されるセグメント信号とコモン信号の組合せ(すなわち、各ピクセルに電位差)は、各ピクセルの得られる状態を決定する。
図4は、様々なコモン電圧およびセグメント電圧が印加されたときのIMODの様々な状態を示す表の一例を示している。当業者によって容易に理解されるように、「セグメント」電圧は、列電極または行電極のいずれかに印加され得、「コモン」電圧は、列電極または行電極のうちの他方に印加され得る。
【0036】
図4に(ならびに
図5Bに示すタイミング図に)示すように、開放電圧(release voltage)VC
RELがコモンラインに沿って印加されたとき、コモンラインに沿ったすべてのIMOD要素は、セグメントラインに沿って印加された電圧、すなわち、高いセグメント電圧VS
Hおよび低いセグメント電圧VS
Lにかかわらず、代替的に開放または非作動状態と呼ばれる、緩和状態に入れられることになる。特に、開放電圧VC
RELがコモンラインに沿って印加されると、そのピクセルのための対応するセグメントラインに沿って高いセグメント電圧VS
Hが印加されたときも、低いセグメント電圧VS
Lが印加されたときも、変調器の潜在的な電圧(代替的にピクセル電圧と呼ばれる)は緩和ウィンドウ(
図3参照。開放ウィンドウとも呼ばれる)内にある。
【0037】
高い保持電圧VC
HOLD_Hまたは低い保持電圧VC
HOLD_Lなどの保持電圧がコモンライン上に印加されたとき、IMODの状態は一定のままであることになる。たとえば、緩和IMODは緩和位置にとどまることになり、作動IMODは作動位置にとどまることになる。保持電圧は、対応するセグメントラインに沿って高いセグメント電圧VS
Hが印加されたときも、低いセグメント電圧VS
Lが印加されたときも、ピクセル電圧が安定性ウィンドウ内にとどまることになるように、選択され得る。したがって、セグメント電圧スイング(voltage swing)、すなわち、高いVS
Hと低いセグメント電圧VS
Lとの間の差は、正または負のいずれかの安定性ウィンドウの幅よりも小さい。
【0038】
高いアドレス指定電圧VC
ADD_Hまたは低いアドレス指定電圧VC
ADD_Lなどのアドレス指定または作動電圧がコモンライン上に印加されたとき、それぞれのセグメントラインに沿ったセグメント電圧の印加によって、データがそのコモンラインに沿った変調器に選択的に書き込まれ得る。セグメント電圧は、作動が印加されたセグメント電圧に依存するように選択され得る。アドレス指定電圧がコモンラインに沿って印加されたとき、一方のセグメント電圧の印加は、安定性ウィンドウ内のピクセル電圧をもたらし、ピクセルが非作動のままであることを引き起こすことになる。対照的に、他方のセグメント電圧の印加は、安定性ウィンドウを越えるピクセル電圧をもたらし、ピクセルの作動をもたらすことになる。作動を引き起こす特定のセグメント電圧は、どのアドレス指定電圧が使用されるかに応じて変動することができる。いくつかの実施態様では、高いアドレス指定電圧VC
ADD_Hがコモンラインに沿って印加されたとき、高いセグメント電圧VS
Hの印加は、変調器がそれの現在位置にとどまることを引き起こすことがあり、低いセグメント電圧VS
Lの印加は、変調器の作動を引き起こすことがある。当然の結果として、低いアドレス指定電圧VC
ADD_Lが印加されたとき、セグメント電圧の影響は反対であり、高いセグメント電圧VS
Hは変調器の作動を引き起こし、低いセグメント電圧VS
Lは変調器の状態に影響しない(すなわち、安定したままである)ことがある。
【0039】
いくつかの実施態様では、変調器に同じ極性電位差を引き起こす保持電圧、アドレス電圧、およびセグメント電圧が使用され得る。いくつかの他の実施態様では、変調器の電位差の極性を交番する信号が使用され得る。変調器に極性の交番(すなわち、書込みプロシージャの極性の交番)は、単一の極性の反復書込み動作後に起こることがある電荷蓄積を低減または抑止し得る。
【0040】
図5Aは、
図2の3×3 IMODディスプレイにおけるディスプレイデータのフレームを示す図の一例を示す。
図5Bは、
図5Aに示すディスプレイデータのフレームを書き込むために使用され得るコモン信号およびセグメント信号についてのタイミング図の一例を示す。それらの信号は、たとえば、
図2の3×3アレイに印加され得、これは、
図5Aに示すライン時間60eディスプレイ配置を最終的にもたらすことになる。
図5A中の作動変調器は暗状態にあり、すなわち、その状態では、反射光の実質的部分が、たとえば、閲覧者に、暗いアピアランスをもたらすように可視スペクトルの外にある。
図5Aに示すフレームを書き込むより前に、ピクセルは任意の状態にあることがあるが、
図5Bのタイミング図に示す書込みプロシージャは、各変調器が、第1のライン時間60aの前に、開放されており、非作動状態に属すると仮定する。
【0041】
第1のライン時間60a中に、開放電圧70がコモンライン1上に印加され、コモンライン2上に印加される電圧が、高い保持電圧72において始まり、開放電圧70に移動し、低い保持電圧76がコモンライン3に沿って印加される。したがって、コモンライン1に沿った変調器(コモン1,セグメント1)、(1,2)および(1,3)は、第1のライン時間60aの持続時間の間、緩和または非作動状態にとどまり、コモンライン2に沿った変調器(2,1)、(2,2)および(2,3)は、緩和状態に移動することになり、コモンライン3に沿った変調器(3,1)、(3,2)および(3,3)は、それらの前の状態にとどまることになる。
図4を参照すると、コモンライン1、2または3のいずれも、ライン時間60a中に作動を引き起こす電圧レベルにさらされていないので(すなわち、VC
REL−緩和、およびVC
HOLD_L−安定)、セグメントライン1、2および3に沿って印加されたセグメント電圧は、IMODの状態に影響しないことになる。
【0042】
第2のライン時間60b中に、コモンライン1上の電圧は高い保持電圧72に移動し、コモンライン1に沿ったすべての変調器は、アドレス指定または作動電圧がコモンライン1上に印加されなかったので、印加されたセグメント電圧にかかわらず、緩和状態にとどまる。コモンライン2に沿った変調器は、開放電圧70の印加により、緩和状態にとどまり、コモンライン3に沿った変調器(3,1)、(3,2)および(3,3)は、コモンライン3に沿った電圧が開放電圧70に移動するとき、緩和することになる。
【0043】
第3のライン時間60c中に、コモンライン1は、コモンライン1上に高いアドレス電圧74を印加することによってアドレス指定される。このアドレス電圧の印加中に低いセグメント電圧64がセグメントライン1および2に沿って印加されるので、変調器(1,1)および(1,2)のピクセル電圧は変調器の正の安定性ウィンドウの上端よりも大きく(すなわち、電圧差は、あらかじめ定義されたしきい値を超えた)、変調器(1,1)および(1,2)は作動される。逆に、高いセグメント電圧62がセグメントライン3に沿って印加されるので、変調器(1,3)のピクセル電圧は、変調器(1,1)および(1,2)のピクセル電圧よりも小さく、変調器の正の安定性ウィンドウ内にとどまり、したがって変調器(1,3)は緩和したままである。また、ライン時間60c中に、コモンライン2に沿った電圧は低い保持電圧76に減少し、コモンライン3に沿った電圧は開放電圧70にとどまり、コモンライン2および3に沿った変調器を緩和位置のままにする。
【0044】
第4のライン時間60d中に、コモンライン1上の電圧は、高い保持電圧72に戻り、コモンライン1に沿った変調器を、それらのそれぞれのアドレス指定された状態のままにする。コモンライン2上の電圧は低いアドレス電圧78に減少される。高いセグメント電圧62がセグメントライン2に沿って印加されるので、変調器(2,2)のピクセル電圧は、変調器の負の安定性ウィンドウの下側端部(lower end)を下回り、変調器(2,2)が作動することを引き起こす。逆に、低いセグメント電圧64がセグメントライン1および3に沿って印加されるので、変調器(2,1)および(2,3)は緩和位置にとどまる。コモンライン3上の電圧は、高い保持電圧72に増加し、コモンライン3に沿った変調器を緩和状態のままにする。
【0045】
最後に、第5のライン時間60e中に、コモンライン1上の電圧は高い保持電圧72にとどまり、コモンライン2上の電圧は低い保持電圧76にとどまり、コモンライン1および2に沿った変調器を、それらのそれぞれのアドレス指定された状態のままにする。コモンライン3上の電圧は、コモンライン3に沿った変調器をアドレス指定するために、高いアドレス電圧74に増加する。低いセグメント電圧64がセグメントライン2および3上に印加されるので、変調器(3,2)および(3,3)は作動するが、セグメントライン1に沿って印加された高いセグメント電圧62は、変調器(3,1)が緩和位置にとどまることを引き起こす。したがって、第5のライン時間60eの終わりに、3×3ピクセルアレイは、
図5Aに示す状態にあり、他のコモンライン(図示せず)に沿った変調器がアドレス指定されているときに起こり得るセグメント電圧の変動にかかわらず、保持電圧がコモンラインに沿って印加される限り、その状態にとどまることになる。
【0046】
図5Bのタイミング図では、所与の書込みプロシージャ(すなわち、ライン時間60a〜60e)は、高い保持およびアドレス電圧、または低い保持およびアドレス電圧のいずれかの使用を含むことができる。書込みプロシージャが所与のコモンラインについて完了されると(また、コモン電圧が、作動電圧と同じ極性を有する保持電圧に設定されると)、ピクセル電圧は、所与の安定性ウィンドウ内にとどまり、開放電圧がそのコモンライン上に印加されるまで、緩和ウィンドウを通過しない。さらに、各変調器が、変調器をアドレス指定するより前に書込みプロシージャの一部として開放されるので、開放時間ではなく変調器の作動時間が、必要なライン時間を決定し得る。詳細には、変調器の開放時間が作動時間よりも大きい実施態様では、開放電圧は、
図5Bに示すように、単一のライン時間よりも長く印加され得る。いくつかの他の実施態様では、コモンラインまたはセグメントラインに沿って印加される電圧が、異なる色の変調器など、異なる変調器の作動電圧および開放電圧の変動を相殺するように変動し得る。
【0047】
上記に記載した原理に従って動作するIMODの構造の詳細は大きく異なり得る。たとえば、
図6A〜
図6Eは、可動反射層14とそれの支持構造とを含む、IMODの異なる実施態様の断面図の例を示している。
図6Aは、金属材料のストリップ、すなわち、可動反射層14が、基板20から直角に延在する支持体18上に堆積される、
図1のIMODディスプレイの部分断面図の一例を示している。
図6Bでは、各IMODの可動反射層14は、概して形状が正方形または長方形であり、コーナーにおいてまたはその近くでテザー32に接して支持体に取り付けられる。
図6Cでは、可動反射層14は、概して形状が正方形または長方形であり、フレキシブルな金属を含み得る変形可能層34から吊るされる。変形可能層34は、可動反射層14の外周の周りで基板20に直接または間接的に接続することがある。これらの接続は、本明細書では支持ポストと呼ばれる。
図6Cに示す実施態様は、変形可能層34によって行われる可動反射層14の機械的機能からのそれの光学的機能の分離から派生する追加の利益を有する。この分離は、反射層14のために使用される構造設計および材料と、変形可能層34のために使用される構造設計および材料とが、互いとは無関係に最適化されることを可能にする。
【0048】
図6Dは、可動反射層14が反射副層(reflective sub−layer)14aを含む、IMODの別の例を示している。可動反射層14は、支持ポスト18などの支持構造上に載る。支持ポスト18は、たとえば、可動反射層14が緩和位置にあるとき、可動反射層14と光学スタック16との間にギャップ19が形成されるように、下側静止電極(すなわち、図示のIMODにおける光学スタック16の一部)からの可動反射層14の分離を可能にする。可動反射層14は、電極として働くように構成され得る伝導性層14cと、支持層14bとをも含むことができる。この例では、伝導性層14cは、基板20から遠位にある支持層14bの一方の面に配設され、反射副層14aは、基板20の近位にある支持層14bの他方の面に配設される。いくつかの実施態様では、反射副層14aは、伝導性であることがあり、支持層14bと光学スタック16との間に配設され得る。支持層14bは、誘電材料、たとえば、酸窒化ケイ素(SiON)または二酸化ケイ素(SiO
2)の、1つまたは複数の層を含むことができる。いくつかの実施態様では、支持層14bは、たとえば、SiO
2/SiON/SiO
23層スタックなど、複数の層のスタックであり得る。反射副層14aと伝導性層14cのいずれかまたは両方は、たとえば、約0.5%の銅(Cu)または別の反射金属材料を用いた、アルミニウム(Al)合金を含むことができる。誘電支持層14bの上および下で伝導性層14a、14cを採用することは、応力のバランスをとり、伝導の向上を与えることができる。いくつかの実施態様では、反射副層14aおよび伝導性層14cは、可動反射層14内の特定の応力プロファイルを達成することなど、様々な設計目的で、異なる材料から形成され得る。
【0049】
図6Dに示すように、いくつかの実施態様はブラックマスク構造23をも含むことができる。ブラックマスク構造23は、周辺光または迷光を吸収するために、光学不活性領域において(たとえば、ピクセル間にまたはポスト18の下に)形成され得る。ブラックマスク構造23はまた、光がディスプレイの不活性部分から反射されることまたはそれを透過されることを抑止し、それによりコントラスト比を増加させることによって、ディスプレイデバイスの光学的特性を改善することができる。さらに、ブラックマスク構造23は、伝導性であり、電気的バス層として機能するように構成され得る。いくつかの実施態様では、行電極は、接続された行電極の抵抗を低減するために、ブラックマスク構造23に接続され得る。ブラックマスク構造23は、堆積およびパターニング技法を含む様々な方法を使用して形成され得る。ブラックマスク構造23は1つまたは複数の層を含むことができる。たとえば、いくつかの実施態様では、ブラックマスク構造23は、光吸収器として働くモリブデンクロム(MoCr)層と、SiO
2層と、反射体およびバス層として働く、アルミニウム合金とを含み、それぞれ、約30〜80Å、500〜1000Å、および500〜6000Åの範囲内の厚さである。1つまたは複数の層は、たとえば、MoCr層およびSiO
2層の場合は、四フッ化炭素(CF
4)および/または酸素(O
2)、ならびにアルミニウム合金層の場合は、塩素(Cl
2)および/または三塩化ホウ素(BCl
3)を含む、フォトリソグラフィおよびドライエッチングを含む、様々な技法を使用してパターニングされ得る。いくつかの実施態様では、ブラックマスク23はエタロンまたは干渉スタック構造であり得る。そのような干渉スタックブラックマスク構造23では、伝導性吸収体は、各行または列の光学スタック16における下側静止電極間で信号を送信するかまたは信号をバスで運ぶために使用され得る。いくつかの実施態様では、スペーサ層35が、ブラックマスク23中の伝導性層から吸収層16aを概して電気的に絶縁するのに、役立つことができる。
【0050】
図6Eは、可動反射層14が自立している、IMODの別の例を示している。
図6Dとは対照的に、
図6Eの実施態様は支持ポスト18を含まない。代わりに、可動反射層14は、複数のロケーションにおいて、下にある光学スタック16に接触し、可動反射層14の湾曲は、IMODの電圧が作動を引き起こすには不十分であるとき、可動反射層14が
図6Eの非作動位置に戻るという、十分な支持を与える。複数のいくつかの異なる層を含んでいることがある光学スタック16は、ここでは明快のために、光吸収体16aと誘電体16bとを含む状態で示されている。いくつかの実施態様では、光吸収体16aは、固定電極としても、部分反射層としても働き得る。
【0051】
図6A〜
図6Eに示す実施態様などの実施態様では、IMODは直視型デバイスとして機能し、直視型デバイスでは、画像が、透明基板20の正面、すなわち、変調器が配置された面の反対の面から、閲覧される。これらの実施態様では、デバイスの背面部分(すなわち、たとえば、
図6Cに示す変形可能層34を含む、可動反射層14の背後のディスプレイデバイスの任意の部分)は、反射層14がデバイスのそれらの部分を光学的に遮蔽するので、ディスプレイデバイスの画質に影響を及ぼすことまたは悪影響を及ぼすことなしに、構成され、作用され得る。たとえば、いくつかの実施態様では、バス構造(図示せず)が可動反射層14の背後に含まれ得、これは、電圧アドレス指定およびそのようなアドレス指定に起因する移動など、変調器の電気機械的特性から変調器の光学的特性を分離する能力を与える。さらに、
図6A〜
図6Eの実施態様は、パターニングなどの処理を簡略化することができる。
【0052】
図7は、IMODのための製造プロセス80を示す流れ図の一例を示しており、
図8A〜
図8Eは、そのような製造プロセス80の対応する段階の断面概略図の例を示している。いくつかの実施態様では、製造プロセス80は、
図7に示されていない他のブロックに加えて、たとえば、
図1および
図6に示す一般的なタイプのIMODを製造するために実施され得る。
図1、
図6および
図7を参照すると、プロセス80はブロック82において開始し、基板20上への光学スタック16の形成を伴う。
図8Aは、基板20上で形成されたそのような光学スタック16を示している。基板20は、ガラスまたはプラスチックなどの透明基板であり得、それは、フレキシブルであるかまたは比較的固く曲がらないことがあり、光学スタック16の効率的な形成を可能にするために、事前準備プロセス、たとえば、洗浄にかけられていることがある。上記で説明したように、光学スタック16は、電気伝導性であり、部分的に透明で、部分的に反射性であることがあり、たとえば、透明基板20上に、所望の特性を有する1つまたは複数の層を堆積させることによって、作製され得る。
図8Aでは、光学スタック16は、副層16aおよび16bを有する多層構造を含むが、いくつかの他の実施態様では、より多いまたはより少ない副層が含まれ得る。いくつかの実施態様では、副層16a、16bのうちの1つは、組み合わせられた導体/吸収体副層16aなど、光吸収特性と伝導特性の両方で構成され得る。さらに、副層16a、16bのうちの1つまたは複数は、平行ストリップにパターニングされ得、ディスプレイデバイスにおける行電極を形成し得る。そのようなパターニングは、当技術分野で知られているマスキングおよびエッチングプロセスまたは別の好適なプロセスによって実行され得る。いくつかの実施態様では、副層16a、16bのうちの1つは、1つまたは複数の金属層(たとえば、1つまたは複数の反射層および/または伝導性層)上に堆積された副層16bなど、絶縁層または誘電体層であり得る。さらに、光学スタック16は、ディスプレイの行を形成する個々の平行ストリップにパターニングされ得る。
【0053】
プロセス80はブロック84において続き、光学スタック16上への犠牲層25の形成を伴う。犠牲層25は、キャビティ19を形成するために後で(たとえば、ブロック90において)除去され、したがって、犠牲層25は、
図1に示した得られたIMOD12には示されていない。
図8Bは、光学スタック16上で形成された犠牲層25を含む、部分的に作製されたデバイスを示している。光学スタック16上での犠牲層25の形成は、後続の除去後に、所望の設計サイズを有するギャップまたはキャビティ19(
図1および
図8Eも参照)を与えるように選択された厚さの、モリブデン(Mo)またはアモルファスシリコン(Si)など、フッ化キセノン(XeF
2)エッチング可能材料の堆積を含み得る。犠牲材料の堆積は、物理堆積(PVD、たとえば、スパッタリング)、プラズマ強化化学堆積(PECVD)、熱化学堆積(熱CVD)、またはスピンコーティングなど、堆積技法を使用して行われ得る。
【0054】
プロセス80はブロック86において続き、支持構造、たとえば、
図1、
図6および
図8Cに示すポスト18の形成を伴う。ポスト18の形成は、支持構造開口を形成するために犠牲層25をパターニングすることと、次いで、PVD、PECVD、熱CVD、またはスピンコーティングなど、堆積方法を使用して、ポスト18を形成するために開口中に材料(たとえば、ポリマーまたは無機材料、たとえば、酸化ケイ素)を堆積させることとを含み得る。いくつかの実施態様では、犠牲層中に形成された支持構造開口は、ポスト18の下側端部が
図6Aに示すように基板20に接触するように、犠牲層25と光学スタック16の両方を通って、下にある基板20まで延在することがある。代替的に、
図8Cに示すように、犠牲層25中に形成された開口は、犠牲層25は通るが、光学スタック16は通らないで、延在することがある。たとえば、
図8Eは、光学スタック16の上側表面(upper surface)と接触している支持ポスト18の下側端部を示している。ポスト18、または他の支持構造は、犠牲層25上に支持構造材料の層を堆積させることと、犠牲層25中の開口から離れて配置された支持構造材料の部分をパターニングすることとによって形成され得る。支持構造は、
図8Cに示すように開口内に配置され得るが、少なくとも部分的に、犠牲層25の一部分の上で延在することもある。上述のように、犠牲層25および/または支持ポスト18のパターニングは、パターニングおよびエッチングプロセスによって実行され得るが、代替エッチング方法によっても実行され得る。
【0055】
プロセス80はブロック88において続き、
図1、
図6および
図8Dに示す可動反射層14などの可動反射層または膜の形成を伴う。可動反射層14は、1つまたは複数のパターニング、マスキング、および/またはエッチングステップとともに、1つまたは複数の堆積ステップ、たとえば、反射層(たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金)堆積を採用することによって、形成され得る。可動反射層14は、電気伝導性であり、電気伝導性層(electrically conductive layer)と呼ばれることがある。いくつかの実施態様では、可動反射層14は、
図8Dに示すように複数の副層14a、14b、14cを含み得る。いくつかの実施態様では、副層14a、14cなど、副層のうちの1つまたは複数は、それらの光学的特性のために選択された高反射性副層を含み得、別の副層14bは、それの機械的特性のために選択された機械的副層を含み得る。犠牲層25は、ブロック88において形成された部分的に作製されたIMOD中に依然として存在するので、可動反射層14は、一般にこの段階では可動でない。犠牲層25を含んでいる部分的に作製されたIMODは、本明細書では「非開放(unreleased)」IMODと呼ばれることもある。
図1に関して上記で説明したように、可動反射層14は、ディスプレイの列を形成する個々の平行ストリップにパターニングされ得る。
【0056】
プロセス80はブロック90において続き、キャビティ、たとえば、
図1、
図6および
図8Eに示すキャビティ19の形成を伴う。キャビティ19は、(ブロック84において堆積された)犠牲材料25をエッチャントにさらすことによって形成され得る。たとえば、MoまたはアモルファスSiなどのエッチング可能犠牲材料が、ドライ化学エッチングによって、たとえば、一般に、キャビティ19を囲む構造に対して選択的に除去される、所望の量の材料を除去するのに有効である期間の間、固体XeF
2から派生した蒸気などの気体または蒸気エッチャントに犠牲層25をさらすことによって、除去され得る。ウェットエッチングおよび/またはプラズマエッチングなどの他のエッチング方法も使用され得る。犠牲層25がブロック90中に除去されるので、可動反射層14は、一般に、この段階後に可動となる。犠牲材料25の除去後に、得られた完全にまたは部分的に作製されたIMODは、本明細書では「開放」IMODと呼ばれることがある。
【0057】
EMSデバイスの別の例は、マイクロスピーカーである。いくつかの実施態様では、1つ、2つ、または複数のマイクロスピーカーが、IMODディスプレイデバイスなど、1つまたは複数のEMSデバイスに搭載、接合、または場合によっては接続され得る。いくつかの実施態様では、1つ、2つ、または複数のマイクロスピーカーが、IMODディスプレイデバイスの一部として作製され得る。
【0058】
図9Aおよび
図9Bは、カバーガラスとともにガラス基板上にマイクロスピーカーアレイを含む、ガラスカプセル化マイクロスピーカーの例を示す。
図9Aは、ガラスカプセル化マイクロスピーカーの分解図の一例を示す。
図9Bは、
図9Aに示すガラスカプセル化マイクロスピーカーの概略等角図の一例を示す。明快のために、
図9Aに示すいくつかの構成要素が、
図9Bに示されていない。
【0059】
図9Aおよび
図9Bの例に示されているガラスカプセル化マイクロスピーカー100は、カバーガラス102、集積回路デバイス104、ガラス基板106、マイクロスピーカーアレイ108および接合リング110を含む。カバーガラス102およびガラス基板106は、
図9Aおよび
図9B、ならびにいくつかの他の図では透明なカバーガラスおよびガラス基板として描かれているが、カバーガラスおよびガラス基板は、透明であっても、不透明であってもよい。たとえばカバーガラスおよびガラス基板は、つや消しにし、コーティングし、ペイントし、さもなければそれ以外の方法で不透明にすることも可能である。
【0060】
カバーガラスは、2つの大きい実質的に平行な表面、および1つまたは複数の凹部を有する平らな基板であってもよい。カバーガラス102は、
図9Aに示されているように凹部112を含む。カバーガラス102がガラス基板106に結合されると、
図9Bに示されているようにキャビティ113が形成される。キャビティ113は、ガラスカプセル化マイクロスピーカー100の異なる構成要素を収容することができる容積である。
図9Aおよび
図9Bの例では、キャビティ113は、集積回路デバイス104およびマイクロスピーカーアレイ108を収容している。
【0061】
いくつかの実施態様では、カバーガラス102の長さおよび幅は、ガラス基板106の長さおよび幅と同じか、またはほぼ同じにすることができる。たとえばカバーガラスの長さは約1〜5mmにすることができ、また、カバーガラスの幅も約1〜5mmにすることができる。いくつかの実施態様では、カバーガラスおよびガラス基板は、ほぼ同じ寸法を有することができ、また、長方形または正方形にすることができる。いくつかの実施態様では、カバーガラスおよびガラス基板は、ほぼ同じ寸法を有することができ、また、円形、楕円形または別の形にすることができる。様々な実施態様では、カバーガラスは、約50〜700ミクロンの厚さ、たとえば約100〜300ミクロンの厚さ、約300〜500ミクロンの厚さ、または約500ミクロンの厚さにすることができる。
【0062】
集積回路デバイス104は、マイクロスピーカーアレイ108に入力を提供するように構成することができ、また、ガラス基板106の上に配置することができる。いくつかの実施態様では、集積回路デバイス104は、特定用途向け集積回路(ASIC)であってもよい。
図9Aおよび
図9Bの例では、集積回路デバイス104は、ガラス基板106上の上側ボンドパッド127aにフリップチップ結合される。いくつかの実施態様では、集積回路デバイス104は、ボンドパッドにワイヤボンドすることができ、あるいはガラス基板106の表面に製造することができる。
【0063】
ガラス基板106は、一般に、2つの実質的に平行な表面である上面126aおよび底面126bを有する平らな基板である。スルーガラスビア122は、ガラス基板106を介して上面126aの一部と底面126b一部との間に導電経路を提供する。上面126aの上側導電トレース124は、スルーガラスビア122を上側ボンドパッド127aに接続し、それにより集積回路デバイス104への電気接続が提供される。底面126bの下側ボンドパッド127bは、スルーガラスビア122への下側の電気接続を提供する。マイクロスピーカーアレイ108および集積回路デバイス104は、ガラス基板106上の上側導電トレース124によって、複数のスルーガラスビア122のうちの1つまたは複数に直接または間接的に電気接続することができる。図に示されている例では、上側導電トレース128は、マイクロスピーカーアレイ108をボンドパッド129に接続し、このボンドパッド129を使用して集積回路デバイス104に接続することができる。したがってスルーガラスビア122は、ガラス基板106の一方の面の1つまたは複数のトレース、ボンドパッド、集積回路デバイス、マイクロスピーカー要素および/または他の構成要素から、反対側の面の1つまたは複数のトレース、ボンドパッドおよび/または他の構成要素への直接的な電気接続を提供する。ガラス基板106に関連するスルーガラスビア122、上側導電トレース124ならびに上側ボンドパッド127aおよび下側ボンドパッド127bのこの特定の配置は、1つの可能な配置の一例であり、所望の実施態様に従って他の配置が可能である。
【0064】
図9Aおよび
図9Bに示されている例では、接合リング110は、スルーガラスビア122、上側導電トレース124および上側ボンドパッド127aを取り囲んでいる。いくつかの実施態様では、接合リング110は、上側導電トレース124および/またはスルーガラスビア122のいくつかを覆うことができる。ガラス基板および導電スルーガラスビアのさらなる説明は、参照により本明細書に組み込まれる、2011年3月15日に出願された、「THIN FILM THROUGH−GLASS VIA AND METHODS FOR FORMING SAME」という名称の米国特許出願第13/048,768号、および2011年8月30日に出願された、「DIE−CUT THROUGH−GLASS VIA AND METHODS FOR FORMING SAME」という名称の米国特許出願第13/221,677号に見出すことができる。
【0065】
いくつかの実施態様では、外部環境に露出される上面126aの上側導電トレース124の部分をパッシベーションすることができる。たとえば上側導電トレースは、酸化物または窒化物のコーティングなどのパッシベーション層でパッシベーションすることができる。パッシベーション層は、上側導電トレースの酸化を防止することができ、また、場合によってはガラスカプセル化マイクロスピーカー100の破損を防止することができる。パッシベーション層は、CVDプロセスまたはPVDプロセス、あるいは他の適切な堆積技法を使用して堆積させることができる。さらに、ガラスカプセル化マイクロスピーカー100の他の露出金属表面も同じくパッシベーションすることができる。
【0066】
いくつかの実施態様では、ガラス基板106の長さは約1〜5mmであり得、ガラス基板106の幅は約1〜5mmであり得る。様々な実施態様では、ガラス基板106は、約50〜700ミクロンの厚さ、たとえば、約100〜300ミクロンの厚さ、約300〜500ミクロンの厚さ、または約500ミクロンの厚さであり得る。
【0067】
接合リング110は、カバーガラス102をガラス基板106に結合する。接合リング110は、任意の適切な方法で成形され得、一般に、接合されるべきカバーガラス102およびガラス基板106に対応するように成形かつサイズ決定される。接合リング110は、任意の数の様々な結合材料を含み得る。いくつかの実施態様では、接合リング110は、接着剤であり得る。たとえば、接合リング110は、紫外線(UV)硬化性エポキシまたは熱硬化性エポキシを含む、エポキシであり得る。いくつかの実施態様では、接合リング110は、ガラスフリットボンドリング(glass frit bond ring)であり得る。いくつかの他の実施態様では、接合リング110は、金属ボンドリングであり得る。金属ボンドリングは、はんだ付け可能冶金(solderable metallurgy)、共晶冶金(eutectic metallurgy)、はんだペーストなどを含み得る。はんだ付け可能冶金の例には、ニッケル/金(Ni/Au)、ニッケル/パラジウム(Ni/Pd)、ニッケル/パラジウム/金(Ni/Pd/Au)、銅(Cu)、および金(Au)が含まれる。共晶金属結合(eutectic metal bonding)は、カバーガラス102とガラス基板106との間に共晶合金層を形成することを含む。使用され得る共晶合金の例には、インジウム/ビスマス(InBi)、銅/スズ(CuSn)、および金/スズ(AuSn)が含まれる。これらの共晶合金の融解温度は、InBi共晶合金で約150℃、CuSn共晶合金で約225℃、AuSn共晶合金で約305℃である。
【0068】
マイクロスピーカーアレイ108は、ガラス基板106の上に形成することができ、あるいはガラス基板106に取り付けることができる。マイクロスピーカーアレイ108は、任意の数の個別のマイクロスピーカー要素を含むことができる。たとえばマイクロスピーカーアレイ108は、1×1個、1×2個、2×2個、10×10個または10×20個のアレイの個別のマイクロスピーカー要素を含むことができる。いくつかの実施態様では、個々のマイクロスピーカー要素は、たとえば集積回路デバイス104から駆動信号を受け取るとひずむ変形可能誘電体膜を含む。マイクロスピーカー要素の実施態様のさらなる詳細については、
図12A〜
図17に関連して以下で説明する。変形した膜は、カバーガラス102内のスピーカーグリル115を介して放出される音波を生成する。スピーカーグリル115は、カバーガラス102を貫通して延在している複数の音響ポート114を含み、この音響ポート114を介して音波をたとえばユーザに送信することができる。いくつかの実施態様では、変形した膜は、約20Hzと20,000Hzとの間の周波数またはその一部を有する音を生成することができる。いくつかの実施態様では、マイクロスピーカーまたはマイクロスピーカーアレイは、最大40,000Hz以上の超音波を生成するようにサイズ化することができ、かつ、そのように駆動することができる。
【0069】
スピーカーグリル115により、音波をマイクロスピーカーアレイ108から通過させることができ、また、このスピーカーグリル115により、カバーガラス102は、ガラスカプセル化マイクロスピーカー100の内部構成要素を保護することができる。スピーカーグリル115内の音響ポート114は、たとえば単一の孔、または六角形のアレイ、円形のアレイあるいは正方形のアレイに配置された複数の孔を始めとする多くの異なる構成にすることができる。また、音響ポート114は、たとえば円形、長方形または三角形の形を始めとする任意の多くの異なる形にすることも可能である。いくつかの実施態様では、音響ポート114は、それらが、ガラスカプセル化マイクロスピーカー100によって放出される周波数レンジ内の音波に対する音響遮断として作用しないように設計される。たとえば低周波数の音波をロールオフしつつ、適度な低、中、および高周波音の通過を可能にするために、音響ポート114の各々の直径は十分に大きくすることができ、また、音響ポート114の各々の深さは十分に浅くすることができる。孔の直径の例は、低周波側の約10〜30ミクロンから、高周波側の500ミクロンを超える範囲に及ぶ。いくつかの実施態様では、音響ポート114は、疎水性材料でコーティングすることができる。疎水性コーティング材の例には、ポリテトラフルオロエチレンおよび他のフルオロポリマーがある。
【0070】
図10Aおよび
図10Bは、カバーガラスと共にガラス基板の上にマイクロスピーカーアレイを含むガラスカプセル化マイクロスピーカーの別の例を示したものである。
図10Aは、ガラスカプセル化マイクロスピーカーの分解図の一例を示したものである。
図10Bは、
図10Aに示されているガラスカプセル化マイクロスピーカーの等角図の一例を示したものである。
【0071】
図10Aおよび
図10Bに示されているガラスカプセル化マイクロスピーカー100は、カバーガラス102、集積回路デバイス104、ガラス基板106、マイクロスピーカーアレイ108および接合リング110を含む。カバーガラス102は、凹部112、およびスルーガラス音響ポート114を含んだスピーカーグリル115を含む。カバーガラス102がガラス基板106に結合されると、凹部112によってキャビティ113が形成される。
【0072】
ガラス基板106は、2つの実質的に平行な表面である上面126aおよび底面126bを有する実質的に平らな基板である。レッジ132は、カバーガラス102によって囲まれた上面126aの部分への電気接続を可能にする。上面126aの上側導電トレース124は、上側ボンドパッド127aをレッジパッド127cに接続する。上側ボンドパッド127aは、集積回路デバイス104への接続のために使用することができる。マイクロスピーカーアレイ108および集積回路デバイス104は、ガラス基板106上の上側導電トレース124によって直接または間接的に複数のレッジパッド127cのうちの1つまたは複数に電気的に接続することができる。図に示されている例では、上側導電トレース128は、マイクロスピーカーアレイ108をボンドパッド129に接続し、ボンドパッド129は、マイクロスピーカーアレイ108を集積回路104に接続する。したがって上側導電トレース124および128は、1つまたは複数のボンドパッド127aおよび129、集積回路デバイス104、マイクロスピーカーアレイ108、またはカバーガラス102によって囲むことができる他の構成要素から、1つまたは複数のレッジパッド127cまたは他の構成要素への電気接続を提供する。ガラス基板106に関連する導電トレース、ボンドパッドおよびレッジパッドのこの特定の配置は、1つの可能な配置の一例であり、所望の実施態様に従って他の配置が可能である。
【0073】
いくつかの実施態様では、外部環境に露出される上面126aの上側導電トレース124および/または128の部分をパッシベーションすることができる。たとえば上側導電トレース124および/または128は、酸化物または窒化物のコーティングなどのパッシベーション層でパッシベーションすることができる。
【0074】
接合リング110は、カバーガラス102をガラス基板106に結合する。接合リング110は、
図9Aおよび
図9Bに関連して上で説明したように、任意の数の異なる結合材料を含むことができる。いくつかの実施態様では、接合リング110が、カバーガラス102をガラス基板106に結合する金属ボンドリングである場合、上側ボンドパッド127aをレッジパッド127cに電気接続する上側導電トレース124は、金属ボンドリングから電気的に絶縁することができる。たとえば上側導電トレース124は、上で説明したようにパッシベーション層によって電気絶縁することができる。
【0075】
図10Aおよび
図10Bに示されているガラスカプセル化マイクロスピーカー100は、リボンケーブル、フレキシブルフラットケーブルまたはフレックステープとも呼ばれるフレキシブルコネクタ140をさらに含むことができる。フレキシブルコネクタ140は、同じ平らな平面上で互いに平行に走る、導電ワイヤまたはトレースなどの埋込み型電気接続を有するポリマーフィルムを含むことができる。また、フレキシブルコネクタ140は、その一端にフレックスパッドを含み、また、他端にコンタクトを含むことも可能であり、導電ワイヤまたはトレースは、個々のフレックスパッドを個々のコンタクトに電気接続する。フレックスパッドは、フレキシブルコネクタ140の底面に存在させることができ、
図10Aまたは
図10Bには図示されない。フレックスパッドは、レッジパッド127cと接触するように構成することができる。いくつかの実施態様では、フレキシブルコネクタ140のフレックスパッドは、異方性導電膜(ACF)を使用してガラスカプセル化マイクロスピーカー100のレッジパッド127cに結合することができる。いくつかの実施態様では、フレキシブルコネクタ140のフレックスパッドは、はんだを使用してガラスカプセル化マイクロスピーカー100のレッジパッド127cに結合することができる。フレキシブルコネクタ140のコンタクトは、たとえば印刷回路基板(PCB)または他の電子構成要素への接続のために、ソケットまたは他のコネクタの中でアセンブルすることができる。
【0076】
いくつかの実施態様では、フレキシブルコネクタ140への接続のためのレッジ132を有するこのガラスカプセル化マイクロスピーカー100を使用することにより、ガラスカプセル化マイクロスピーカー100をPCBまたは他の電子構成要素から離れた位置に配置することができる。ガラスカプセル化マイクロスピーカー100がPCBまたは他の電子構成要素から離れた位置に配置されると、PCBを耐水エンクロージャ内に密閉することができ、ガラスカプセル化マイクロスピーカーおよびPCBを組み込んだ電子デバイスの信頼性が向上する。さらに、このフレキシブルコネクタ140を使用することにより、イン−イヤーヘッドホンまたはセル電話などの携帯デバイスの周囲などの音の生成が望ましい場所の近傍にガラスカプセル化マイクロスピーカー100を取り付けることができる。たとえばガラスカプセル化マイクロスピーカー100は、耳の外側に配置されるICデバイス内の関連する制御電子機器の一部またはすべてと共に、ユーザのイン−イヤーヘッドホンの中に配置することができる。また、フレキシブルコネクタを使用することにより、ガラス基板を貫通する電気ビアの必要性を除去することも可能であり、したがってガラスカプセル化マイクロスピーカー100のための製造プロセスを単純にすることができる。
【0077】
図9A〜
図10Bを参照して説明したガラスカプセル化マイクロスピーカーの例には様々な修正を加えることができる。いくつかの実施態様では、たとえばガラスカプセル化マイクロスピーカーのカバーガラスは、カバーガラスがガラス基板に結合されると、2つのキャビティが形成されるよう、2つの凹部を含むことができる。いくつかの実施態様では、これらの2つのキャビティのうちの一方は集積回路デバイスを収容することができ、もう一方はマイクロスピーカーアレイを収容することができる。いくつかの実施態様では、接合リングは、集積回路デバイスをマイクロスピーカーアレイから分離することができる。いくつかの実施態様では、ガラスカプセル化マイクロスピーカーは、場合によってはカバーガラスとガラス基板との間に配置された集積回路デバイスを含んでいない。いくつかの実施態様では、マイクロスピーカーアレイは、たとえばフレキシブルコネクタまたはPCBに取り付けられた外部集積回路デバイスによって駆動することができる。いくつかの実施態様では、スルーガラスビア、導電トレースおよびパッドなどの構成要素は、ガラス基板の上のこのような構成要素、またはガラス基板を貫通するこのような構成要素の代わりに、あるいはこのような構成要素に追加して、カバーガラスの上、またはカバーガラスを貫通して含むことができる。いくつかの実施態様では、ガラスカプセル化マイクロスピーカーは、スピーカーグリルの代わりにカバーガラスの中に大型サイドポートを含むことができる。参照により本明細書に組み込まれる、2011年8月30に出願された、それぞれ「GLASS AS A SUBSTRATE MATERIAL AND A FINAL PACKAGE FOR MEMS AND IC DEVICES」という名称の同時係属米国特許出願第13/221,701号、第13/221,717号および第13/221,744号に、本明細書において説明されているガラスカプセル化マイクロスピーカーを使用して実施することができるガラスパッケージの他の特徴が記載されている。
【0078】
図11は、ガラスカプセル化マイクロスピーカーのための製造プロセスを示す流れ図の一例を示したものである。プロセス200のブロック202で、ガラス基板の表面に電気機械マイクロスピーカーアレイを有するガラス基板が提供される。マイクロスピーカーアレイの他に、接合リング、導電トレース、パッド、ビア、レッジパッド、等々などの任意の数の他の構成要素をガラス基板の任意の表面に存在させることができ、あるいはガラス基板を貫通して存在させることができる。以下、ガラス基板の表面にマイクロスピーカー要素を形成するための製造プロセスの一例について、
図18に関連して説明する。ガラス基板は、ガラス基板の表面上に配置された集積回路デバイスを有することも可能である。たとえば集積回路デバイスは、ガラス基板の表面に直接製造することができ、あるいは個別の構成要素として追加し、ガラス基板に取り付けることができる。存在する場合、集積回路デバイスは、マイクロスピーカーアレイを駆動するように構成することができる。ブロック204で、凹部およびスピーカーグリルを含んだカバーガラスがガラス基板の表面に結合される。凹部およびスピーカーグリルは、たとえば化学エッチングプロセス、反応性イオンエッチングプロセスまたはサンドブラストプロセスを使用して事前に形成することができる。いくつかの実施態様では、たとえば紫外線レーザまたはエキシマレーザを使用したレーザ穿孔プロセスによってスピーカーグリルのポートを形成することができる。いくつかの実施態様では、音響ポートは、凹部が形成された後に形成することができる。たとえば凹部は、エッチングプロセスによってカバーガラスの中に形成することができ、結果として得られる、カバーガラスのエッチ除去された部分の厚さの例は、約200ミクロンと300ミクロンとの間である。カバーガラスのエッチ除去された部分を貫通して延在するポートは、レーザ穿孔によって形成することができる。レーザ穿孔されたポートの直径の例は、約10ミクロンと30ミクロンとの間にすることができる。上記で説明したように、カバーガラスは、任意の数の様々な結合材料を含み得る接合リングを用いて、ガラス基板に結合され得る。いくつかの実施態様では、カバーガラスは、接着剤でガラス基板に結合される。いくつかの実施態様では、カバーガラスは、UV硬化性エポキシまたは熱硬化性エポキシでガラス基板に結合される。カバーガラスをガラス基板に結合するためにエポキシが使用されるとき、エポキシは、カバーガラスまたはガラス基板の縁部の周囲にスクリーンまたはディスペンスされ得る。次いで、カバーガラスおよびガラス基板が整合され、一緒にプレスされ得、エポキシを硬化させるためにUV光または熱がエポキシに印加され得る。
【0079】
いくつかの実施態様では、カバーガラスは、ガラスフリットボンドリングでガラス基板に結合される。ガラスフリットは、ディスペンシング、シャドウマスキング、または他の適切な技法を使用して、ガラス基板、カバーガラス、または両方に塗布され得る。カバーガラスをガラス基板に結合するためにガラスフリットボンドリングが使用されるとき、ガラスフリットボンドリングが溶融して2つのガラス片を結合するように、カバーガラス、ガラス基板、およびガラスフリットボンドリングが互いに接触しているとき、熱および圧力がこれらの構成要素に印加され得る。
【0080】
いくつかの実施態様では、カバーガラスは、金属ボンドリングでガラス基板に結合される。カバーガラスをガラス基板に結合するために金属ボンドリングが使用されるとき、金属ボンドリングが溶融して2つのガラス片をともに結合するように、カバーガラス、ガラス基板、および金属ボンドリングが互いに接触しているとき、熱がこれらの構成要素に印加され得る。
【0081】
プロセス200は、1つのガラスカプセル化マイクロスピーカーのための製造プロセスの一例を説明したものであるが、プロセス200を変更し、あるいは変更することなく、複数のガラスカプセル化マイクロスピーカーを製造することができる。たとえば数十個、数百個、数千個またはそれ以上のマイクロスピーカーアレイを単一のガラス基板パネルの上に提供することができる。同様に、数十個、数百個、数千個またはそれ以上の凹部およびスピーカーグリルを単一のカバーガラスパネルの中に提供することができる。カバーガラスパネルは、ガラス基板パネルの表面に結合することができ、個々にパッケージされたガラスカプセル化マイクロスピーカーのシートを形成することができる。次に、たとえばダイヤモンドブレードまたはレーザを使用したダイシングによって、またはスクライブおよびブレークプロセスによって、あるいは結合されたカバーガラスおよびガラス基板パネルを切断するための他の適切な技法によって、ガラスカプセル化マイクロスピーカーを互いに切り離すことができる。
【0082】
上で言及したように、マイクロスピーカーアレイは、任意の数の個別のマイクロスピーカー要素を含むことができる。アレイ内の個別のマイクロスピーカー要素は、アレイ全体が多角形、円形、フレーム、環状の形または別の形になるよう、行および列で配置し、あるいは不規則に配置することができる。いくつかの実施態様では、個々のマイクロスピーカー要素は、駆動電圧信号を受け取るとひずむことができる変形可能誘電体膜を含む。
図12A〜
図17は、変形可能誘電体膜を含んだ電気機械マイクロスピーカー要素の例を示したものである。
図12Aおよび
図12Bは、電気機械マイクロスピーカー要素の例を示したものである。
図12Aには、マイクロスピーカー要素300の上面図の一例が示されている。
図12Bには、
図12Aの線1−1に沿ったマイクロスピーカー要素300の略横断面図の一例が示されている。
図12Aおよび
図12Bに示されているマイクロスピーカー要素300は、基板305および変形可能誘電体膜310を含み、変形可能誘電体膜310は、誘電体層325および1つまたは複数の圧電アクチュエータ330を含む。圧電アクチュエータ330は、第1の電極320と第2の電極340との間にはさまれた圧電材料350を含むことができる。スピーカーキャビティ304は、基板305と変形可能誘電体膜310との間に配置されている。動作中、第1の電極320と第2の電極340との間の駆動電圧を印加することができ、それにより圧電材料350がひずむ。圧電材料350がひずむと誘電体層325がひずんで音を発生する。導電トレース335は、基板305に配置することも、基板305の外部に配置することもできるドライバ回路(図示せず)に第1および第2の電極320および340を接続することができる。マイクロスピーカー要素300が複数のマイクロスピーカー要素のアレイのうちの1つである実施態様では、マイクロスピーカー要素300は、アレイの他のマイクロスピーカー要素と並列に接続することができ、たとえば下部電極に電気接続された第1の電極320、および他のマイクロスピーカー要素の圧電アクチュエータの上部電極に電気接続された第2の電極340と並列に接続することができる。さらに、マイクロスピーカー要素300が複数のマイクロスピーカー要素のアレイのうちの1つである実施態様では、個々のマイクロスピーカー要素300は、同相または位相遅れで、かつ、同じ振幅または異なる振幅で駆動することができる。
【0083】
いくつかの実施態様では、基板305は、
図9A〜
図10Bを参照して上で説明したガラス基板106であってもよい。つまり、マイクロスピーカー要素300は、上で説明したガラスカプセル化マイクロスピーカーの部分を形成しているガラス基板の上に製造することができる。いくつかの実施態様では、マイクロスピーカー要素300は、ガラス基板の上に製造することができ、そのガラス基板は、上で説明したガラスカプセル化マイクロスピーカーに組み込まれるか、さもなければパッケージされる。いくつかの実施態様では、基板305は、プラスチック、セラミック、シリコンまたは導電性基板などの非ガラス基板であってもよく、その非ガラス基板は、上で説明したガラスカプセル化マイクロスピーカーに組み込まれるか、さもなければパッケージされる。いくつかの実施態様では、基板305の少なくともスピーカーキャビティ304を画定している部分は実質的に平らであり、また、エッチングすることができなくてもよい。別法としては、基板305の一部は、エッチングが可能であるか、さもなければ変形可能誘電体膜310の下方に音響キャビティを形成する形状にすることができる。
【0084】
図12Aに示されている例では、変形可能誘電体膜310は円形であるが、いくつかの他の実施態様では、変形可能誘電体膜310は、長方形、三角形、正方形または楕円形を始めとする任意の適切な形にすることができる。使用することができる誘電材料の例には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンオキシナイトライド、窒化アルミニウムおよび酸化アルミニウムがある。誘電体層325の厚さは、たとえば1ミクロンと10ミクロンとの間にすることができる。スピーカーキャビティ304の厚さは、たとえば約1ミクロンと5ミクロンとの間にすることができる。変形可能誘電体膜310のスパンとも呼ばれている、変形可能誘電体膜310がスピーカーキャビティ304の上を延在する距離は、いくつかの実施態様では約100ミクロンと3000ミクロンとの間にすることができる。変形可能誘電体膜310の周囲の環状領域336は、基板305に固定することができる。いくつかの実施態様では、周囲の環状領域336は、変形可能誘電体膜310の周囲全体にわたって固定される。いくつかの実施態様では、変形可能誘電体膜310は、その周囲の間隔を隔てた位置で固定することができる。
【0085】
スピーカーキャビティ304は、所望の実施態様に従って周囲状態から密閉し、あるいは周囲状態に開放することができる。いくつかの実施態様では、スピーカーキャビティ304は、粘性減衰を防止するために密閉される。スピーカーキャビティ304は、所望の実施態様に従って、真空圧、準大気圧または大気圧にすることができる。いくつかの実施態様では、スピーカーキャビティ304は、スピーカーキャビティ304が実質的に閉じた体積になるよう、実質的にすべての面で囲まれる。たとえば密閉されたスピーカーキャビティ304は、スピーカーキャビティ304がすべての面で囲まれるように、基板305および変形可能誘電体膜310によって画定することができる。別の例では、周囲に開放されたスピーカーキャビティ304は、スピーカーキャビティ304が実質的にすべての面で囲まれるように、基板305および変形可能誘電体膜310によって画定することができる。たとえば変形可能誘電体膜310と基板305との間に、実質的にすべての面で囲まれているスピーカーキャビティ304の圧力平衡を許容するための1つまたは複数の通気孔を存在させることができる。通気孔は、変形可能誘電体膜310および/または基板305の中に形成することも可能である。
【0086】
第1の電極320および第2の電極340は、多くの異なる導電材料のうちの1つまたは複数、およびそれらの組合せを含むことができる。たとえば様々な実施態様では、第1および第2の電極320および340は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)および/または金(Au)などの金属を含むことができる。いくつかの実施態様では、第1の電極320および第2の電極340の厚さは、それぞれ約100〜3000オングストロームであってもよい。導電トレース335は、第1の電極320および第2の電極340と同じ材料から形成することができる。圧電材料350は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)またはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの任意の適切な材料であってもよい。圧電材料の厚さの例は、約1ミクロンと3ミクロンとの間であってもよい。
【0087】
図12Aの例では、圧電アクチュエータ330は、スピーカーキャビティ304全体に及ぶ変形可能誘電体膜310の部分の周辺領域またはその近傍の環状リングとして示されている。いくつかの実施態様では、圧電アクチュエータは、たとえば長方形のリング、三角形のリング、正方形のリングまたは楕円形のリングを始めとする任意の適切な形にすることができる。
図12Bの例では、寸法Sは変形可能誘電体膜310のスパンを表しており、寸法D1は、スピーカーキャビティ304の縁から圧電アクチュエータ330の内径までの距離を表している。いくつかの実施態様では、D1は、寸法Sの約6分の1に等しくすることができるが、他の比率、たとえばもっと大きい比率ともっと小さい比率の両方を使用することも可能である。圧電アクチュエータ330の幅は、所望の実施態様に応じてD1にほぼ等しくすることができるが、必ずしもその必要はない。圧電アクチュエータ330の幅の例は、数ミクロンから数百ミクロンまたはそれ以上に及ぶ。圧電アクチュエータ330は、圧電材料350ならびに関連する電極320および340の1つまたは複数のセグメントを含むことができる。
【0088】
図12Bおよび他の図に示されている圧電アクチュエータ330はユニモルフ圧電アクチュエータであるが、本明細書において説明されているマイクロスピーカー要素の圧電アクチュエータは、別法としてバイモルフ圧電アクチュエータであってもよい。バイモルフ圧電アクチュエータは、弾性層によって分離された2つの電極/圧電/電極スタックを含むことができる。弾性層の例には、窒化ケイ素、シリコンオキシナイトライド、酸化ケイ素および窒化アルミニウムがある。
【0089】
いくつかの実施態様では、本明細書において説明されているマイクロスピーカー要素は、誘電体層が駆動信号に応答して収縮および膨張することができるよう、露出した誘電体層の領域を残している。たとえば
図12Aおよび
図12Bに示されている圧電アクチュエータ330などの環状圧電アクチュエータは、露出した誘電体層325の中央領域を残している。
図13Aおよび
図13Bは、変形可能誘電体膜の中央領域を占有している圧電アクチュエータを含んだ電気機械マイクロスピーカー要素の例を示したものである。
図13Aには、マイクロスピーカー要素300の上面図の一例が示されている。
図13Bには、
図13Aの線1−1に沿ったマイクロスピーカー要素300の略横断面図の一例が示されている。
図13Aおよび
図13Bに示されているマイクロスピーカー要素300は、
図12Aおよび
図12Bに関連して上で説明した基板305、スピーカーキャビティ304、変形可能誘電体膜310、および1つまたは複数の導電トレース335を含む。変形可能誘電体膜310は、圧電アクチュエータ330および誘電体層325を含む。圧電アクチュエータ330は、変形可能誘電体膜310の中央領域を占有し、圧電アクチュエータ330によって覆われていない誘電体層325の周辺領域を残している。圧電アクチュエータ330は、第1の電極320と第2の電極340との間にはさまれた圧電材料350を含む。
【0090】
図13Aに示されている例では、圧電アクチュエータ330は円形であるが、いくつかの他の実施態様では、圧電アクチュエータ330は、長方形、三角形、正方形または楕円形を始めとする任意の適切な形にすることができる。
図13Bの例では、寸法Sは変形可能誘電体膜のスパンを表しており、寸法D2は、スピーカーキャビティ304の縁から圧電アクチュエータ330の外径までの距離を表している。いくつかの実施態様では、D2は、寸法Sの約6分の1に等しくすることができるが、他の比率、たとえばもっと大きい比率ともっと小さい比率の両方を使用することも可能である。
【0091】
図14Aおよび
図14Bは、「埋設された」圧電アクチュエータを含んだ電気機械マイクロスピーカー要素の例を示したものである。
図14Aには、マイクロスピーカー要素300の上面図の一例が示されている。
図14Bには、
図14Aの線1−1に沿ったマイクロスピーカー要素300の略横断面図の一例が示されている。
図14Aおよび
図14Bに示されているマイクロスピーカー要素300は、
図12Aおよび
図12Bに関連して上で説明した基板305、スピーカーキャビティ304、変形可能誘電体膜310、および1つまたは複数の導電トレース335を含む。変形可能誘電体膜310は、誘電体層325および中央に配置された圧電アクチュエータ330を含む。圧電アクチュエータ330は、第1の電極320と第2の電極340との間にはさまれた圧電材料350を含む。
図14Aおよび
図14Bの例では、圧電アクチュエータ330は、スピーカーキャビティ304と誘電体層325との間に配置されている。いくつかの実施態様では、圧電アクチュエータ330を埋設することにより、誘電体層325は、圧電アクチュエータ330を湿気および他の環境条件から保護することができる。また、
図12Aおよび
図12Bに示されている圧電アクチュエータのように、キャビティの周辺またはその近傍に配置される圧電アクチュエータも同じく埋設することができる。
【0092】
いくつかの実施態様では、マイクロスピーカー要素は、駆動信号に対するスピーカー応答、とりわけ低周波数における応答を改善することができる音響キャビティを含むことができる。
図15は、音響キャビティに接続された電気機械マイクロスピーカー要素の一例を示したものである。マイクロスピーカー要素300は、基板305、変形可能誘電体膜310およびスピーカーキャビティ304を含み、変形可能誘電体膜310は、誘電体層325および圧電アクチュエータ330を含む。スピーカーキャビティ304は、基板305の中に形成され、かつ、基板305を貫通して延在する音響キャビティ311に接続される。
【0093】
いくつかの実施態様では、マイクロスピーカー要素は、誘電体層の両側に圧電アクチュエータを含むことができる。
図16A〜
図16Cは、変形可能誘電体層の誘電体層の両側に圧電アクチュエータを含んだ電気機械マイクロスピーカー要素の例を示したものである。
図16Aには、マイクロスピーカー要素300の上面図の一例が示されている。
図16Bおよび
図16Cには、
図16Aの線1−1に沿ったマイクロスピーカー要素300の略横断面図の例が示されている。
図16A〜
図16Cに示されているマイクロスピーカー要素300は、基板305、スピーカーキャビティ304および変形可能誘電体膜310を含む。変形可能誘電体膜310は、誘電体層325、第1の圧電アクチュエータ330aおよび第2の圧電アクチュエータ330bを含む。第1の圧電アクチュエータ330aは、第1の電極320a、第1の圧電層350aおよび第2の電極340aを含む。第2の圧電アクチュエータ330bは、第3の電極320b、第2の圧電層350bおよび第4の電極340bを含む。導電トレース335aおよび335bは、第1の圧電アクチュエータ330aおよび第2の圧電アクチュエータ330bをそれぞれドライバ回路(図示せず)に接続することができる。いくつかの実施態様では、第1の圧電アクチュエータ330aおよび第2の圧電アクチュエータ330bは、それぞれ個別に駆動することができる。いくつかの実施態様では、第1の圧電アクチュエータ330aおよび第2の圧電アクチュエータ330bは、プッシュ/プルモードにあってもよく、駆動信号に対して等しく、かつ、逆に応答する。いくつかの実施態様では、1つまたは複数の電極が接地に接続される。たとえば内部電極すなわち第1の電極320aおよび第4の電極340bを接地に接続することができる。
【0094】
第1および第2の圧電アクチュエータは、変形可能誘電体膜の中央または周辺に独立して配置することができる。
図16Bの例では、第1の圧電アクチュエータ330aおよび第2の圧電アクチュエータ330bは、いずれも変形可能誘電体膜310の中央領域を占有している。
図16Cの例では、第1の圧電アクチュエータ330aは中央に位置しており、一方、第2の圧電アクチュエータ330bは、スピーカーキャビティ304全体に及んでいる変形可能誘電体膜310の部分の周辺またはその近傍に配置されている。
【0095】
いくつかの実施態様では、マイクロスピーカーは、マイクロスピーカーのキャビティ全体に及ぶ圧電アクチュエータを含むことができる。
図17は、基板305の上に変形可能誘電体膜310を含んだ電気機械マイクロスピーカー要素300の一例を示したものである。変形可能誘電体膜は、誘電体層325および圧電アクチュエータ330を含む。圧電アクチュエータ330は、第1の電極320、圧電層350および第2の電極340を含む。誘電体層325と圧電アクチュエータ330の部分の両方は、スピーカーキャビティ304全体に及んでいる。第1の電極320および第2の電極340は、変形可能誘電体膜310の周囲を延在している。別法としては、第1の電極320および第2の電極340は、変形可能誘電体膜310の中央に、一方を圧電層350の上に、また、もう一方を圧電層350の下に配置することも可能である。
図17の圧電アクチュエータ330は、誘電体層325の下に埋設されている。他の実施態様では、誘電体層がスピーカーキャビティと圧電アクチュエータとの間に配置されるよう、誘電体層の上に圧電アクチュエータを配置することができる。
【0096】
図18は、マイクロスピーカー要素のための製造プロセスを示す流れ図の一例を示したものである。方法400の操作は、本明細書において開示されている任意のマイクロスピーカー要素を形成するために組み合わせることができ、および/または順序を入れ換えることができることに留意されたい。また、以下で説明するように、異なる層のパターニングおよびエッチングを実施し、それによりマイクロスピーカー要素の異なる領域の層の異なるパターンを達成することができることに留意されたい。方法400の操作は、ほぼ室温から400℃までの温度で実施することができる(つまりこの方法のプロセスは、約400℃以下の温度で実施することができる)ため、方法400は、ガラスおよびフラットパネルディスプレイガラス技術と両立する。
【0097】
ブロック402で基板の上に犠牲層が形成される。上で説明したように、基板は、ガラスカプセル化マイクロスピーカーを形成するガラス基板であっても、あるいはガラスカプセル化マイクロスピーカーを形成するガラス基板に結合することができるか、さもなければパッケージされるガラスまたは非ガラス基板であってもよい。ガラス基板の上に犠牲層を形成する前に、基板を金属化してスルーガラスビア、導電トレース、ボンドパッド、レッジパッド、等々を形成することができる。いくつかの実施態様では、酸化物または窒化物を堆積させて金属をパッシベーションすることができる。
【0098】
犠牲層の形成は、スパッタリング、蒸着またはCVDなどの適切な堆積技法による犠牲材料の堆積を含むことができる。犠牲材料の例には、Mo、MoCr、非晶質Siまたは多結晶Siなどのガスエッチングが可能な材料がある。犠牲層は、
図14Bのスピーカーキャビティ304などのスピーカーキャビティを形成するために、後続する処理で除去されるため、犠牲層は、スピーカーキャビティの所望のサイズの厚さまで堆積され、この厚さは約1〜5ミクロンであってもよい。犠牲層の形成は、堆積後における、所望の形状のキャビティを形成するための犠牲材料のパターニングをさらに含むことができる。たとえば
図14Bのマイクロスピーカー要素300を形成するためには、円形の形が形成されるように犠牲材料をパターニングすることができる。いくつかの実施態様では、マイクロスピーカー要素の1つのアレイのための犠牲層の形成、あるいはマイクロスピーカー要素の複数のアレイのための犠牲層の形成は、基板全体または基板の一部に犠牲材料の膜を堆積させ、かつ、それをパターニングすることによって同時に実施することができる。犠牲材料は、当業者に知られているように、集積回路の製造に使用されるリソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスを使用してパターニングすることができる。
【0099】
ブロック404で犠牲層の上に圧電アクチュエータが形成される。いくつかの実施態様では、圧電アクチュエータの形成は、所望の形状の圧電アクチュエータを形成するための、犠牲層上への第1の電極層/圧電層/第2の電極層スタックの堆積、およびそのパターニングを含むことができる。たとえば
図14Bに示されている圧電アクチュエータ330を形成するためには、円形の形が形成されるように第1の電極/圧電層/第2の電極スタックをパターニングすることができる。関連する電極を堆積させ、かつ、パターニングしている間に、第1および第2の電極の各々のための1つまたは複数の導電トレースを堆積させ、かつ、パターニングすることができる。当業者に知られているリソグラフィおよびエッチングを含むパターニングは、所望の実施態様に従って個々の層を堆積させた後、または単に第1の電極層/圧電層/第2の電極層スタックを堆積させた後に実施することができる。いくつかの実施態様では、第1の電極層および第2の電極層の形成は、スパッタリングまたは蒸着などの適切な堆積プロセスによるCu、Ni、Ru、W、Pt、Mo、Al、Tiおよび/またはAuなどの金属の堆積を含むことができる。
【0100】
いくつかの実施態様では、圧電層の形成は、反応性イオンスパッタリングプロセス、直流(DC)スパッタリングプロセスまたは他の適切なプロセスによる、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb[Zr
xTi
1−x]O
3、0≦x≦1)、ヒ化ガリウム(GaAs)、酸化亜鉛(ZnO)または他の適切な材料の堆積を含むことができる。いくつかの実施態様では、マイクロスピーカー要素の1つのアレイのための圧電アクチュエータの形成、あるいはマイクロスピーカー要素の複数のアレイのための圧電アクチュエータの形成は、基板全体または基板の一部に犠牲材料の膜を堆積させ、かつ、それをパターニングすることによって同時に実施することができる。
【0101】
ブロック406で犠牲層の上に誘電体層が形成される。誘電材料の例には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンオキシナイトライド、窒化アルミニウムおよび酸化アルミニウムがある。誘電体層の形成は、熱CVD、PECVD技法または他の適切な堆積技法による誘電材料の堆積を含むことができる。誘電体層の形成は、堆積した誘電材料のパターニングをさらに含むことができる。誘電体層の一部は、犠牲層の上に形成される誘電体層の部分を支持するためにガラス基板の上に形成することができる。犠牲層および圧電アクチュエータの場合と同様、マイクロスピーカー要素の1つのアレイのための誘電体層の形成、あるいはマイクロスピーカー要素の複数のアレイのための誘電体層の形成は、同時に実施することができる。
【0102】
様々な実施態様によれば、ブロック404は、ブロック406の前または後に実施することができる。たとえば
図12Bの例に示されているマイクロスピーカー要素300を形成するためには、ブロック404は、誘電体層の上に圧電アクチュエータが形成されるよう、ブロック406の後に実施することができる。いくつかの実施態様では、ブロック404は、ブロック406の前および後に実施することができる。
【0103】
ブロック408で犠牲層が除去される。いくつかの実施態様では、犠牲層の除去は、エッチング用試薬への犠牲層の露出を含む。たとえばMoまたは非晶質Siなどのガスエッチングが可能な材料は、固体XeF2から派生した蒸気または他のフッ素系エッチング試薬を使用したドライ化学エッチングによって除去することができる。ウェットエッチングおよび/またはプラズマエッチングなどの、エッチング可能な犠牲材料およびエッチング方法の他の組合せを使用することも可能である。
【0104】
上で示したように、方法400には、本明細書において説明されている任意のマイクロスピーカー要素を形成するために様々な修正を加えることができる。非圧電弾性層を含んだマイクロスピーカー要素の実施態様では、たとえば窒化ケイ素(SiN)、シリコンオキシナイトライド(SiON)、酸化ケイ素(SiO
2)、ケイ素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、金属またはポリマーを含んだ弾性層は、当業者に知られている適切な処理技法を使用して形成することができる。たとえば弾性層は、スパッタリングプロセス、化学堆積(CVD)プロセス、物理堆積(PVD)プロセスまたは電気めっきプロセスを使用して形成することができる。
【0105】
上で示したように、いくつかの実施態様では、本明細書において説明されているガラスパッケージは、ディスプレイデバイスの一部であってもよい。いくつかの他の実施態様では、ガラス基板の上に製造される非ディスプレイデバイスは、同じくガラス基板の上に製造されるディスプレイおよび他のデバイスと両立することができ、この非ディスプレイデバイスはディスプレイデバイスと共に製造されるか、あるいは個別のデバイスとして取り付けられ、この組合せは、良好に整合した熱膨張特性を有している。いくつかの実施態様では、1つまたは複数のマイクロスピーカー要素は、テレビジョン、タブレット、ポータブルメディアプレーヤまたは他のディスプレイデバイスのような音響−視覚装置の中で実施することができる。
【0106】
図19Aおよび
図19Bは、複数のIMODを含むディスプレイデバイス40を示すシステムブロック図の例を示している。ディスプレイデバイス40は、たとえば、スマートフォン、セルラー電話または携帯電話であり得る。ただし、ディスプレイデバイス40の同じ構成要素またはディスプレイデバイス40の軽微な変形も、テレビジョン、タブレット、電子リーダー、ハンドヘルドデバイスおよびポータブルメディアプレーヤなど、様々なタイプのディスプレイデバイスを示す。
【0107】
ディスプレイデバイス40は、ハウジング41と、ディスプレイ30と、アンテナ43と、スピーカー45と、入力デバイス48と、マイクロフォン46とを含む。ハウジング41は、射出成形および真空成形を含む様々な製造プロセスのうちのいずれかから形成され得る。さらに、ハウジング41は、限定はしないが、プラスチック、金属、ガラス、ゴム、およびセラミック、またはそれらの組合せを含む、様々な材料のうちのいずれかから製作され得る。ハウジング41は、異なる色の、または異なるロゴ、ピクチャ、もしくはシンボルを含んでいる、他の取外し可能な部分と交換され得る、取外し可能な部分(図示せず)を含むことができる。
【0108】
ディスプレイ30は、本明細書で説明する、双安定またはアナログディスプレイを含む様々なディスプレイのうちのいずれかであり得る。ディスプレイ30はまた、プラズマ、EL、OLED、STN LCD、またはTFT LCDなど、フラットパネルディスプレイ、あるいはCRTまたは他の管デバイスなど、非フラットパネルディスプレイを含むように構成され得る。さらに、ディスプレイ30は、本明細書で説明するIMODディスプレイを含むことができる。
【0109】
ディスプレイデバイス40の構成要素は
図19Bに概略的に示されている。ディスプレイデバイス40は、ハウジング41を含み、それの中に少なくとも部分的に密閉された追加の構成要素を含むことができる。たとえば、ディスプレイデバイス40は、トランシーバ47に結合されたアンテナ43を含むネットワークインターフェース27を含む。トランシーバ47はプロセッサ21に接続され、プロセッサ21は調整ハードウェア52に接続される。調整ハードウェア52は、信号を調整する(たとえば、信号をフィルタ処理する)ように構成され得る。調整ハードウェア52は、スピーカー45およびマイクロフォン46に接続される。プロセッサ21は、入力デバイス48およびドライバコントローラ29にも接続される。ドライバコントローラ29は、フレームバッファ28に、およびアレイドライバ22に結合され、アレイドライバ22は次にディスプレイアレイ30に結合される。いくつかの実施態様では、電源50は、特定のディスプレイデバイス40設計では、実質的にすべての構成要素に電力を提供することができる。スピーカー45は、上で説明した電気機械マイクロスピーカーまたは電気機械マイクロスピーカーのアレイであってもよい。
【0110】
ネットワークインターフェース27は、ディスプレイデバイス40がネットワークを介して1つまたは複数のデバイスと通信することができるように、アンテナ43とトランシーバ47とを含む。ネットワークインターフェース27はまた、たとえば、プロセッサ21のデータ処理要件を軽減するための、何らかの処理能力を有し得る。アンテナ43は信号を送信および受信することができる。いくつかの実施態様では、アンテナ43は、IEEE16.11(a)、(b)、または(g)を含むIEEE16.11規格、あるいはIEEE802.11a、b、gまたはnを含むIEEE802.11規格、およびこれらのさらなる実施態様に従って、RF信号を送信および受信する。いくつかの他の実施態様では、アンテナ43は、BLUETOOTH規格に従ってRF信号を送信および受信する。セルラー電話の場合、アンテナ43は、3Gまたは4G技術を利用するシステムなどのワイヤレスネットワーク内で通信するために使用される、符号分割多元接続(CDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Global System for Mobile communications(GSM(登録商標))、GSM/General Packet Radio Service(GPRS)、Enhanced Data GSM Environment(EDGE)、Terrestrial Trunked Radio(TETRA)、広帯域CDMA(W−CDMA(登録商標))、Evolution Data Optimized(EV−DO)、1xEV−DO、EV−DO Rev A、EV−DO Rev B、高速パケットアクセス(HSPA)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)、発展型高速パケットアクセス(HSPA+)、Long Term Evolution(LTE)、AMPS、または他の知られている信号を受信するように設計される。トランシーバ47は、アンテナ43から受信された信号がプロセッサ21によって受信され、プロセッサ21によってさらに操作され得るように、その信号を前処理することができる。トランシーバ47はまた、プロセッサ21から受信された信号がアンテナ43を介してディスプレイデバイス40から送信され得るように、その信号を処理することができる。
【0111】
いくつかの実施態様では、トランシーバ47は受信機によって置き換えられ得る。さらに、いくつかの実施態様では、ネットワークインターフェース27は、プロセッサ21に送られるべき画像データを記憶または生成することができる画像ソースによって置き換えられ得る。プロセッサ21は、ディスプレイデバイス40の全体的な動作を制御することができる。プロセッサ21は、ネットワークインターフェース27または画像ソースから圧縮された画像データなどのデータを受信し、そのデータを生画像データに、または生画像データに容易に処理されるフォーマットに、処理する。プロセッサ21は、処理されたデータをドライバコントローラ29に、または記憶のためにフレームバッファ28に送ることができる。生データは、一般に、画像内の各ロケーションにおける画像特性を識別する情報を指す。たとえば、そのような画像特性は、色、飽和、およびグレースケールレベルを含むことができる。
【0112】
プロセッサ21は、ディスプレイデバイス40の動作を制御するためのマイクロコントローラ、CPU、または論理ユニットを含むことができる。調整ハードウェア52は、スピーカー45に信号を送信するための、およびマイクロフォン46から信号を受信するための、増幅器およびフィルタを含み得る。調整ハードウェア52は、ディスプレイデバイス40内の個別構成要素であり得、あるいはプロセッサ21または他の構成要素内に組み込まれ得る。
【0113】
ドライバコントローラ29は、プロセッサ21によって生成された生画像データをプロセッサ21から直接、またはフレームバッファ28から取ることができ、アレイドライバ22への高速送信のために適宜に生画像データを再フォーマットすることができる。いくつかの実施態様では、ドライバコントローラ29は、生画像データを、ラスタ様フォーマットを有するデータフローに再フォーマットすることができ、その結果、そのデータフローは、ディスプレイアレイ30にわたって走査するのに好適な時間順序を有する。次いで、ドライバコントローラ29は、フォーマットされた情報をアレイドライバ22に送る。LCDコントローラなどのドライバコントローラ29は、しばしば、スタンドアロン集積回路(IC)としてシステムプロセッサ21に関連付けられるが、そのようなコントローラは多くの方法で実施され得る。たとえば、コントローラは、ハードウェアとしてプロセッサ21中に埋め込まれるか、ソフトウェアとしてプロセッサ21中に埋め込まれるか、またはハードウェアにおいてアレイドライバ22と完全に一体化され得る。
【0114】
アレイドライバ22は、ドライバコントローラ29からフォーマットされた情報を受信することができ、ビデオデータを波形の並列セットに再フォーマットすることができ、波形の並列セットは、ディスプレイのピクセルのx−y行列から来る、数百の、および時には数千の(またはより多くの)リード線に毎秒何回も適用される。
【0115】
いくつかの実施態様では、ドライバコントローラ29、アレイドライバ22、およびディスプレイアレイ30は、本明細書で説明するディスプレイのタイプのうちのいずれにも適している。たとえば、ドライバコントローラ29は、従来のディスプレイコントローラまたは双安定ディスプレイコントローラ(IMODコントローラなど)であり得る。さらに、アレイドライバ22は、従来のドライバまたは双安定ディスプレイドライバ(IMODディスプレイドライバなど)であり得る。その上、ディスプレイアレイ30は、従来のディスプレイアレイまたは双安定ディスプレイアレイ(IMODのアレイを含むディスプレイなど)であり得る。いくつかの実施態様では、ドライバコントローラ29は、アレイドライバ22と統合することができる。このような実施態様は、高集積システム、たとえば携帯電話、ポータブル電子デバイス、ウォッチまたは他の小面積ディスプレイでは有用である。
【0116】
いくつかの実施態様では、入力デバイス48は、たとえばユーザがディスプレイデバイス40の動作を制御することができるように構成することができる。入力デバイス48は、QWERTYキーボードまたは電話キーパッドなどのキーパッド、ボタン、スイッチ、ロッカー、タッチセンシティブスクリーン、ディスプレイアレイ30と共に統合されたタッチセンシティブスクリーン、あるいは感圧膜または感熱膜を含むことができる。マイクロフォン46は、ディスプレイデバイス40のための入力デバイスとして構成することができる。いくつかの実施態様では、マイクロフォン46を介したボイスコマンドを使用してディスプレイデバイス40の動作を制御することができる。
【0117】
電源50は、様々なエネルギー蓄積デバイスを含むことができる。たとえば電源50は、ニッケルカドミウムバッテリーまたはリチウムイオンバッテリーなどの充電式バッテリーであってもよい。充電式バッテリーを使用している実施態様では、充電式バッテリーは、たとえばコンセントまたは光起電力デバイスあるいはアレイからの電力を使用して充電することができる。別法としては、充電式バッテリーはワイヤレス充電も可能である。電源50はまた、再生可能エネルギー源、キャパシタ、あるいはプラスチック太陽電池または太陽電池塗料を含む太陽電池であり得る。電源50はまた、壁コンセントから電力を受け取るように構成され得る。
【0118】
いくつかの実施態様では、制御プログラマビリティがドライバコントローラ29中に存在し、これは電子ディスプレイシステム中のいくつかの場所に配置され得る。いくつかの他の実施態様では、制御プログラマビリティがアレイドライバ22中に存在する。上記で説明した最適化は、任意の数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素において、ならびに様々な構成において実施され得る。
【0119】
本明細書で開示する実施態様に関して説明した様々な例示的な論理、論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組合せとして実施され得る。ハードウェアとソフトウェアの互換性が、概して機能に関して説明され、上記で説明した様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路およびステップにおいて示された。そのような機能がハードウェアで実施されるか、ソフトウェアで実施されるかは、特定の適用例および全体的なシステムに課された設計制約に依存する。
【0120】
本明細書で開示する態様に関して説明した様々な例示的な論理、論理ブロック、モジュール、および回路を実施するために使用される、ハードウェアおよびデータ処理装置は、汎用シングルチップまたはマルチチッププロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートまたはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、あるいは本明細書で説明した機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せを用いて実施または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサ、あるいは任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であり得る。プロセッサは、DSPとマイクロプロセッサとの組合せなどのコンピューティングデバイスの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のそのような構成として実施することもできる。いくつかの実施態様では、特定のステップおよび方法が、所与の機能に固有である回路によって実行され得る。
【0121】
1つまたは複数の態様では、説明した機能は、本明細書で開示する構造を含むハードウェア、デジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、およびそれらの上記構造の構造的等価物において、またはそれらの任意の組合せにおいて実施され得る。また、本明細書で説明した主題の実施態様は、1つまたは複数のコンピュータプログラムとして、すなわち、データ処理装置が実行するためにコンピュータ記憶媒体上に符号化された、またはデータ処理装置の動作を制御するための、コンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして、実施され得る。
【0122】
ソフトウェアで実施される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして記憶することができ、あるいは送信することができる。本明細書において開示されている方法またはアルゴリズムのステップは、コンピュータ可読媒体上に常駐させることができるプロセッサ実行可能ソフトウェアモジュールの中で実施することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、ある場所から別の場所へコンピュータプログラムを転送することができる任意の媒体を含んだ通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータがアクセスすることができる任意の利用可能媒体であってもよい。非制限の一例として、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、もしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、または他の磁気記憶デバイス、あるいは所望のプログラムコードを命令またはデータ構造の形で記憶するために使用することができ、かつ、コンピュータがアクセスすることができる任意の他の媒体を含むことができる。また、すべての接続は、コンピュータ可読媒体と適切に呼ぶことができる。本明細書において使用されているディスク(diskおよびdisc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザディスク(disc)、光ディスク(disc)、デジタル汎用ディスク(disc)(DVD)、フロッピーディスク(disk)およびブルーレイディスク(disc)を含み、diskは、通常、磁気的にデータを再生し、一方、discは、レーザを使用して光学的にデータを再生する。これらの組合せを同じくコンピュータ可読媒体の範囲内に含めることも可能である。さらに、方法またはアルゴリズムの動作は、コンピュータプログラム製品に組み込むことができるコードおよび命令の1つまたは任意の組合せ、あるいはセットとして、機械可読媒体上およびコンピュータ可読媒体上に常駐させることができる。
【0123】
本開示で説明した実施態様への様々な修正は当業者には容易に明らかであり得、本明細書で定義した一般原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく他の実施態様に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書で示した実施態様に限定されるものではなく、本開示と、本明細書で開示する原理および新規の特徴とに一致する、最も広い範囲を与られるべきである。「例示的」という単語は、本明細書ではもっぱら「例、事例、または例示の働きをすること」を意味するために使用される。本明細書に「例示的」と記載されたいかなる実施態様も、必ずしも他の可能態様または実施態様よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。さらに、「上側」および「下側」という用語は、図の説明を簡単にするために時々使用され、適切に配向されたページ上の図の配向に対応する相対位置を示すが、実施されたIMODの適切な配向を反映しないことがあることを、当業者は容易に諒解されよう。
【0124】
また、別個の実施態様に関して本明細書で説明されたいくつかの特徴は、単一の実施態様において組合せで実施され得る。また、逆に、単一の実施態様に関して説明した様々な特徴は、複数の実施態様において別個に、あるいは任意の好適な部分組合せで実施され得る。その上、特徴は、いくつかの組合せで働くものとして上記で説明され、初めにそのように請求されることさえあるが、請求される組合せからの1つまたは複数の特徴は、場合によってはその組合せから削除され得、請求される組合せは、部分組合せ、または部分組合せの変形形態を対象とし得る。
【0125】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、望ましい結果を達成するために、そのような動作が、示される特定の順序でまたは順番に実行されることを、あるいはすべての図示の動作が実行されることを必要としないことを、当業者なら容易に認識されよう。さらに、図面は、流れ図の形態でもう1つの例示的なプロセスを概略的に示し得る。ただし、図示されていない他の動作が、概略的に示される例示的なプロセスに組み込まれ得る。たとえば、1つまたは複数の追加の動作が、図示の動作のうちのいずれかの前に、後に、同時に、またはそれの間で、実行され得る。いくつかの状況では、マルチタスキングおよび並列処理が有利であり得る。その上、上記で説明した実施態様における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施態様においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきでなく、説明するプログラム構成要素およびシステムは、概して、単一のソフトウェア製品において互いに一体化されるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージングされ得ることを理解されたい。さらに、他の実施態様が以下の特許請求の範囲内に入る。場合によっては、特許請求の範囲に記載の行為は、異なる順序で実行され、依然として望ましい結果を達成することができる。