(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099693
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】広帯域送信ユニット及び広帯域送信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/04 20090101AFI20170313BHJP
H04W 4/00 20090101ALI20170313BHJP
H04N 5/28 20060101ALI20170313BHJP
H04N 7/06 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
H04W72/04 111
H04W4/00 111
H04N5/28
H04N7/06
【請求項の数】20
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-101920(P2015-101920)
(22)【出願日】2015年5月19日
(62)【分割の表示】特願2013-191799(P2013-191799)の分割
【原出願日】2007年8月26日
(65)【公開番号】特開2015-173494(P2015-173494A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2015年6月18日
(31)【優先権主張番号】60/847,148
(32)【優先日】2006年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509084482
【氏名又は名称】ライブユー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】オハヨン ロニー ハイム
(72)【発明者】
【氏名】コーエン アヴィチャイ
【審査官】
伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−344965(JP,A)
【文献】
特開2005−341310(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/055524(WO,A1)
【文献】
特開2000−216815(JP,A)
【文献】
特開平10−041954(JP,A)
【文献】
特開2000−333231(JP,A)
【文献】
特開2002−152310(JP,A)
【文献】
特表2007−529127(JP,A)
【文献】
特開2002−208954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
H04N 5/262−5/28
H04N 7/06
H04N 19/00−19/98
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオカメラに関連付けられ、メディアデータをリアルタイムで遠隔地から単一の受信装置に送信する広帯域送信ユニットであって、
セルラーネットワーク、WiFiネットワーク、WiMaxネットワーク及び衛星ネットワークのうち、2以上の無線通信ネットワークに関連付けられている複数の無線モデムと、
前記遠隔地から前記単一の受信装置への広帯域送信用の前記メディアデータをバッファする1つ以上の出力バッファからデータを取得したデータストリームを前記複数の無線モデムに送出するモデムマネージャと、
前記無線通信ネットワークの少なくとも2つ以上の無線通信ネットワークを通じた前記データストリームの送信を制御する送信制御手段と、
を有し、
前記送信制御手段は、前記無線通信ネットワークの通信品質に応じて、前記メディアデータの送信レート及び圧縮率の少なくとも1つを可変制御するトラフィック制御部を有し、
前記トラフィック制御部は、前記データストリーム全体のスループットの低下を回避するよう前記複数の無線モデムの送信レートを個別に増減するとともに、前記通信品質が更に低下した場合に前記メディアデータの圧縮率を高めることにより、前記メディアデータの連続的なリアルタイム送信を可能にする、
広帯域送信ユニット。
【請求項2】
前記広帯域送信ユニットは、前記遠隔地から前記単一の受信装置への生のリアルタイム広帯域ビデオ送信として送信されることが意図されたリアルタイムビデオを取得する前記カメラに直接接続される、請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項3】
前記広帯域送信ユニットは、前記複数の無線モデムを用いて、前記少なくとも2つ以上の無線通信ネットワークを通じて一斉に前記メディアデータを送信し、前記少なくとも2つ以上の無線通信ネットワークは、
(A) セルラーネットワークである第1の無線通信ネットワークと、
(B) (B1)別の異なるセルラーネットワーク、(B2)WiFiネットワーク及び(B3)衛星ネットワークからなるグループから選択された無線通信ネットワークである第2の無線通信ネットワークと、
を含む、請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項4】
前記複数の無線モデムのアップロード容量の合計は、前記遠隔地から前記単一の受信装置への生のメディア送信に十分な連結帯域幅となる、請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項5】
前記複数の無線モデムは、前記メディアデータのパケットを、その時点の優勢な条件下における最適なレートで送信し、
前記複数の無線モデムはそれぞれ、個別の論理チャネルを生成し、前記個別の論理チャネルは、広帯域アップロード接続を構成し、
前記広帯域アップロード接続は、1つ又は複数の無線通信ネットワークをそれぞれ運営する1つ又は複数のネットワーク事業者に一斉送信される複数の論理チャネルから構成され、
前記複数の無線モデムは、前記パケットを、前記少なくとも2つ以上の無線通信ネットワークを通じて1つ又は複数の経路を経由して前記単一の受信装置に送信し、前記複数の無線モデムは、少なくとも、(I)瞬時的な遅延、(II)瞬時的な誤り率、(III)瞬時的な帯域幅が互いに異なる、
請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項6】
前記データストリームに前方誤り訂正(FEC)符号を提供するFECプロセッサと、
前記データストリームから番号付きデータパケットを生成するパケットエンカプスレータと、
前記送信制御手段から前記データパケットを受け取るキューバッファと、
をさらに有する、請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項7】
前記データストリームの適時性及び品質のうちの少なくとも一方に関するフィードバックを前記単一の受信装置から受信するためのバックチャネルをさらに有し、
前記フィードバックは、欠落パケット、再構築されたデータパケット、受信されたパケットのシリアル番号及びタイムスタンプ、データの再送の要求、のうちの少なくとも1つを示し、
前記送信制御手段は、前記トラフィック制御部に関連付けられ、前記トラフィック制御部は、(I)前記フィードバックを分析し、(II)前記送信制御手段の構成要素の設定を前記フィードバックの分析に応じて調整し、前記構成要素は、ビデオエンコーダ、前方誤り訂正(FEC)プロセッサ、パケットエンカプスレータ、インターリーバ、キューバッファ、のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項8】
前記データストリームの適時性及び品質のうちの少なくとも一方に関するフィードバックを前記単一の受信装置から受信するためのバックチャネルをさらに有し、
前記フィードバックは、欠落パケット、再構築されたデータパケット、受信されたパケットのシリアル番号及びタイムスタンプ、データの再送の要求、のうちの少なくとも1つを示し、
前記送信制御手段は、前記トラフィック制御部に関連付けられ、前記トラフィック制御部は、(I)前記フィードバックを分析し、(II)全体的な誤りの度合いが高いことを検出し、(III)前記広帯域送信ユニットの前方誤り訂正(FEC)プロセッサに、送信パケットのFECオーバーヘッドを増大させることを指示する、
請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項9】
前記データストリームの適時性及び品質のうちの少なくとも一方に関するフィードバックを前記単一の受信装置から受信するためのバックチャネルをさらに有し、
前記フィードバックは、欠落パケット、再構築されたデータパケット、受信されたパケットのシリアル番号及びタイムスタンプ、データの再送の要求、のうちの少なくとも1つを示し、
前記送信制御手段は、前記トラフィック制御部に関連付けられ、前記トラフィック制御部は、(I)前記フィードバックを分析し、(II)全体的な誤りの度合いが高いことを検出し、(III)前方誤り訂正(FEC)プロセッサに、前記カメラに関連付けられたビデオエンコーダにおけるビデオデータの圧縮率を変更させることを指示する、
請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項10】
前記複数の無線モデムは、前記メディアデータのパケットを、前記少なくとも2つ以上の無線通信ネットワークを通じて1つ又は複数の経路を経由して前記単一の受信装置に送信し、前記複数の無線モデムは、少なくとも、(I)瞬時的な遅延、(II)瞬時的な誤り率、(III)瞬時的な帯域幅が互いに異なる、
請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項11】
前記広帯域送信ユニットは、前記データストリームを符号化するビデオエンコーダに関連付けられており、
前記ビデオエンコーダのビデオ符号化パラメータは、前記複数の無線モデムの瞬時的なパフォーマンス特性の組合せに基づいて変更される、
請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項12】
前記送信制御手段は、前記複数の無線モデムを介するアップロード用のパケットを、フィードバックチャネルを介する前記単一の受信装置からのフィードバックに基づいて不均等に分散させ、
前記フィードバックは、欠落パケット、再構築されたデータパケット、受信されたパケットのシリアル番号及びタイムスタンプ、データの再送の要求、のうちの少なくとも1つを示す、
請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項13】
前記複数の無線モデムは、(I)第1のセルラーネットワークを通じて送信を行う第1のセルラーモデムと、(II)第2の異なるセルラーネットワークを通じて送信を行う第2のセルラーモデムと、を少なくとも含み、
前記メディアデータの少なくとも幾つかのパケットは、前記第1のセルラーモデムによって前記第1のセルラーネットワークを通じて前記単一の受信装置に送信され、
前記メディアデータの少なくとも他の幾つかのパケットは、前記第2のセルラーモデムによって前記第2の異なるセルラーネットワークを通じて前記単一の受信装置に送信される、
請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項14】
前記複数の無線モデムは、(I)セルラーネットワークを通じて送信を行うセルラーモデムと、(II)WiFiネットワークを通じて送信を行うWiFiモデムと、を少なくとも含み、
前記メディアデータの少なくとも幾つかのパケットは、前記セルラーモデムによって前記セルラーネットワークを通じて前記単一の受信装置に送信され、
前記メディアデータの少なくとも他の幾つかのパケットは、前記WiFiモデムによって前記WiFiネットワークを通じて前記単一の受信装置に送信される、
請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項15】
前記複数の無線モデムは、(I)セルラーネットワークを通じて送信を行うセルラーモデムと、(II)衛星ネットワークを通じて送信を行う衛星モデムと、を少なくとも含み、
前記メディアデータの少なくとも幾つかのパケットは、前記セルラーモデムによって前記セルラーネットワークを通じて前記単一の受信装置に送信され、
前記メディアデータの少なくとも他の幾つかのパケットは、前記衛星モデムによって前記衛星ネットワークを通じて前記単一の受信装置に送信される、
請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項16】
前記複数の無線モデムは、(I)セルラーネットワークを通じて送信を行う第1のセルラーモデムと、(II)前記第1のセルラーモデムと同じセルラーネットワークを通じて送信を行う第2のセルラーモデムと、を少なくとも含み、
前記メディアデータの少なくとも幾つかのパケットは、前記第1のセルラーモデムによって前記セルラーネットワークを通じて前記単一の受信装置に送信され、
前記メディアデータの少なくとも他の幾つかのパケットは、前記第2のセルラーモデムによって前記セルラーネットワークを通じて前記単一の受信装置に送信される、
請求項1に記載の広帯域送信ユニット。
【請求項17】
ビデオカメラに関連付けられ、メディアデータをリアルタイムで遠隔地から単一の受信装置に送信する広帯域送信ユニットによって実行される、広帯域送信方法であって、
前記送信は、セルラーネットワーク、WiFiネットワーク、WiMaxネットワーク及び衛星ネットワークのうち、2以上の無線通信ネットワークに関連付けられている複数の無線モデムを介して実行され、
前記方法は、
前記広帯域送信ユニットのモデムマネージャにおいて、前記遠隔地から前記単一の受信装置への広帯域送信用の前記メディアデータをバッファする1つ以上の出力バッファからデータを取得したデータストリームを前記複数の無線モデムに送出するステップと、
前記広帯域送信ユニットの送信制御手段において、前記無線通信ネットワークの少なくとも2つ以上の無線通信ネットワークを通じた前記データストリームの送信を制御するステップと、
前記広帯域送信ユニットのトラフィック制御部において、前記無線通信ネットワークの通信品質に応じて、前記メディアデータの送信レート及び圧縮率の少なくとも1つを可変制御するステップと、
前記トラフィック制御部において、前記データストリーム全体のスループットの低下を回避するよう前記複数の無線モデムの送信レートを個別に増減するとともに、前記通信品質が更に低下した場合に前記メディアデータの圧縮率を高めることにより、前記メディアデータの連続的なリアルタイム送信を可能にするステップと、
前記データストリームの適時性及び品質のうちの少なくとも一方に関するフィードバックであって、欠落パケット、再構築されたデータパケット、受信されたパケットのシリアル番号及びタイムスタンプ、データの再送の要求、のうちの少なくとも1つを示すフィードバックを、バックチャネルを介して前記単一の受信装置から受信するステップと、
前記トラフィック制御部において、(I)前記フィードバックを分析し、(II)全体的な誤りの度合いが高いことを検出し、(III)前記カメラに関連付けられたビデオエンコーダにおけるビデオデータの圧縮率を変更させるステップと、
を含む、広帯域送信方法。
【請求項18】
前記トラフィック制御部において、(I)前記フィードバックを分析し、(II)全体的な誤りの度合いが高いことを検出し、(III)前記広帯域送信ユニットの前方誤り訂正(FEC)プロセッサに、送信パケットのFECオーバーヘッドを増大させることを指示するステップをさらに含む、
請求項17に記載の広帯域送信方法。
【請求項19】
前記トラフィック制御部において、(I)前記フィードバックを分析し、(II)前記送信制御手段の構成要素の設定を前記フィードバックの分析に応じて調整するステップをさらに含み、前記構成要素は、パケットエンカプスレータ、インターリーバ、キューバッファ、のうちの少なくとも1つを含む、
請求項17に記載の広帯域送信方法。
【請求項20】
前記トラフィック制御部において、(I)前記フィードバックを分析し、(II)前記カメラに関連付けられたビデオエンコーダのパラメータを、前記複数の無線モデムの瞬時的なパフォーマンス特性の組合せに基づいて調整するステップをさらに含む、
請求項17に記載の広帯域送信方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第60/847,148号明細書(出願日:2006年9月26日)の利益を享受し、この文書は、参照によりその内容全体を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、メディアコンテンツを遠隔地にアップロードすることに関し、詳細には、無線通信ネットワークを通じてメディアコンテンツを遠隔地にアップロードすることに関する。
【背景技術】
【0003】
メディアコンテンツを遠隔地にアップロードすることは、この技術分野において公知である。このようなアップロードは、一般には、設備の整っているテレビスタジオの外側において発生するニュース/スポーツイベントをリアルタイムまたはほぼリアルタイムで報道するために使用される。さまざまな場所における生の出来事を撮影するため、しばしば撮影班が送られ、映像(ビデオ)/音声データがスタジオに送信されて、スタジオにおいて放送される。
【0004】
ニュース/スポーツ班は、無線広帯域接続を使用して、生のメディアコンテンツをスタジオに送り返す。
図1Aおよび
図1Bを参照すると、これらの図は、リアルタイムの遠隔放送を提供する目的で現在使用されている技術を示している。
【0005】
図1Aは、遠隔地においてニュースイベントを撮影するために使用されるビデオカメラ5を示している。カメラ5は、サテライトニュースギャザリング(SNG:Satellite News Gathering)車15にケーブル10によって接続されている。SNG車15はルーフにアンテナ20を備えており、このアンテナ20は、地球の周りの軌道上の通信衛星25に放送データを送信する。次いで、通信衛星25が、テレビスタジオ35における受信パラボラアンテナ30にそのデータを送信する。
【0006】
SNG車15は、一般には、さまざまな機器(図示していない)、例えば、ビデオエンコーダ、衛星モデム、編集ステーションを含んでいる。これらの機器は、データを処理して通信衛星25に送信するために使用される。SNG車15は、広帯域接続を使用し、このデータをアンテナ20を介して衛星25にアップロードする。次いで、スタジオ35においてデータをダウンロードし、スタジオ35では、一般には編集して放送する。
【0007】
図1Bは、マイクロ波技術を使用して生の遠隔放送を行う方法を示している。エレクトロニックニュースギャザリング(ENG)車16(機能的には
図1AにおけるSNG 15に似ている)は、カメラ5からのデータを、送信する前に処理する。しかしながら、アンテナ40は、マイクロ波送信を使用してデータをアップロードし、この場合、通信衛星25の代わりに比較的近くのマイクロ波中継局45にデータをアップロードする。次いで、データをインターネット46または無線回線接続48を介してスタジオ35に中継する。
【0008】
衛星技術およびマイクロ波技術には、動作上の類似する制約がある。例えば、いずれの技術も、「LOS(ラインオブサイト)」接続が要求される。放送データをアップロードするためには、アンテナ20と通信衛星25との間に、遮られていない回線が存在していなければならない。同様に、マイクロ波技術を使用するためには、アンテナ40とマイクロ波中継局45との間に、遮られていない回線が存在していなければならない。したがって、場所によっては、これらの技術を使用することは適切ではない。例えば、いずれの技術も、地下駐車場の中から使用することはできない。高い建物やその他の地勢は、マイクロ波技術の有用性に影響し、衛星技術の有用性にも、程度は小さいが影響する。
【0009】
もう1つの制約として、いずれの技術も、中継設備を提供する事業者との事前合意が要求される。いずれの技術も、事業者による専用リソースの提供なしでは使用することができない。
【0010】
さらに、SNG車15およびENG車16は、遠隔の放送地に到達するための使用可能な道路を必要とする。SNG車15およびENG車16の代替として、「フライアウェイ」として知られている、より小型の「可搬型」ユニットが利用可能である。フライアウェイは、別の輸送形態、例えば、飛行機、ヘリコプター、または全地形対応車などを使用して、遠隔地に運ぶことができる。しかしながら、これらは依然として大型であり、遠くまで持ち運ぶことが難しい。フライアウェイは、一般には2つの個別のユニットに分割され、それぞれの重さは約40kgである。
【0011】
英国のInmarsat社からは、BGAN(Broadband Global Area Network)製品シリーズが販売されており、これらはフライアウェイよりも相当に軽量かつコンパクトである。しかしながら、これらの製品は、アップロード帯域幅がわずかに256Kbps〜512Kbpsに限られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の好ましい実施形態によると、仮想広帯域送信ユニットであって、入力されるメディアデータストリームから複数のデータストリームを生成するストリーム生成器と、少なくとも1つの無線通信ネットワークへの複数の送信チャネルに沿っての、複数のデータストリームのアップロードを制御する送信制御手段と、を含んでいる、仮想広帯域送信ユニット、を提供する。
【0013】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、入力されるメディアデータストリームは、映像データと音声データのうちの少なくとも一方を含んでいる。
【0014】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、ユニットは、メディアデータストリームをエンコードするビデオエンコーダをさらに含んでいる。
【0015】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、少なくとも1つの無線ネットワークは、モバイルセルラーネットワーク、WiFiネットワーク、WiMaxネットワーク、衛星ネットワーク、のうちの少なくとも1つである。
【0016】
さらには、本発明の好ましい実施形態によると、ストリーム生成器は、データパケット生成器を含んでおり、このデータパケット生成器は、データストリームにFEC符号を提供する前方誤り訂正(FEC)プロセッサと、データストリームから番号付きデータパケットを生成するパケットエンカプスレータ(packet encapsulator)と、データパケットをシャッフルするインターリーバ、のうちの少なくとも1つを含んでいる。
【0017】
さらには、本発明の好ましい実施形態によると、ストリーム生成器は、パケット生成器からデータパケットを受け取るキューバッファと、再送できるようにパケットのコピーを格納する再送キューと、をさらに含んでいる。
【0018】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、ストリーム生成器は、複数のデータストリームを送信するための複数のモデムを含んでいる。
【0019】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、モデムのそれぞれは、関連するモデムマネージャを含んでおり、関連するモデムマネージャのそれぞれは、モデムを介して送信できるように、データパケット生成器から次のデータパケットを取り出す手段、を含んでいる。
【0020】
さらには、本発明の好ましい実施形態によると、ユニットは、複数のデータストリームの適時性(timeliness)および品質のうちの少なくとも一方に関するフィードバックを受信するためのバックチャネル、をさらに含んでいる。
【0021】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、フィードバックは、欠落データパケット、再構築されたデータパケット、受信されたパケットのシリアル番号およびタイムスタンプ、データの再送の要求、のうちの少なくとも1つを含んでいる。
【0022】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、送信制御手段は、フィードバックを分析し、ストリーム生成器の構成要素の設定を分析に応じて調整するトラフィック分析器、を含んでいる。
【0023】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、送信制御手段は、再送キューを検索して、少なくとも1つの欠落データパケットのコピーの場所を特定し、再送できるように、検出されたコピーを転送する手段、を含んでいる。
【0024】
さらには、本発明の好ましい実施形態によると、構成要素は、ビデオエンコーダ、FEC(前方誤り訂正)プロセッサ、パケットエンカプスレータ、インターリーバ、キューバッファ、モデムマネージャ、のうちの少なくとも1つを含んでいる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によると、仮想広帯域受信機であって、複数のデータ接続から複数のメディアデータストリームを受信する手段と、データストリームを1つのメディアストリームに組み立てるエンジンと、を含んでいる、仮想広帯域受信機、をさらに提供する。
【0026】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、メディアデータストリームは、映像データと音声データのうちの少なくとも一方を含んでいる。
【0027】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、データストリームは、シリアル番号を有し、一般的には連続していない順序において到着する一連のデータパケット、を含んでいる。
【0028】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、組立てエンジンは、データパケットをシリアル番号に従って論理的な順序に挿入するための格納空間を含んでいるジッタバッファ、を含んでいる。
【0029】
さらには、本発明の好ましい実施形態によると、ジッタバッファは、おおむね最近に発行されたシリアル番号を保持しているデータパケットに関連付けられている、ジッタバッファの領域、を備えている論理上の受信ウィンドウ、を参照確認する手段と、論理上の受信ウィンドウに関連付けられているシリアル番号よりも過去に発行されたシリアル番号を保持しているデータパケットに関連付けられている、ジッタバッファの領域、を備えている論理上の再送ウィンドウ、を参照確認する手段と、論理上の受信ウィンドウに関連付けられているシリアル番号より過去に発行されたシリアル番号を保持しているデータパケットに関連付けられている、ジッタバッファの領域、を備えている論理上の出力ウィンドウ、を参照確認する手段と、をさらに含んでいる。
【0030】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、データパケットは、FECパケットをさらに含んでいる。
【0031】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、組立てエンジンは、不適切に受信されたデータパケットを、FECデータを使用して再構築し、再構築されたデータパケットを、それぞれの関連するシリアル番号に従ってスマートジッタバッファに挿入する、FECデコーダ、をさらに含んでいる。
【0032】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、組立てエンジンは、不適切に受信されており、関連するシリアル番号が再送ウィンドウ内に論理上位置しているデータパケット、の再送を要求する再送要求器、をさらに含んでいる。
【0033】
さらには、本発明の好ましい実施形態によると、受信機は、再送要求を送信することができるバックチャネル(back channel)と、バックチャネルの動作を制御するバックチャネルマネージャと、をさらに含んでいる。
【0034】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、受信機は、スマートジッタバッファの動作から統計情報を収集する統計情報収集器、を含んでいる。
【0035】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、統計情報は、データパケット、空の空間、再構築されたデータパケット、再送要求、のうちの少なくとも1つに関連付けられているタイムスタンプおよびシリアル番号を含んでいる。
【0036】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、受信機は、データパケットが出力ウィンドウから送り出されるレートを制御する出力レートコントローラ、をさらに含んでいる。
【0037】
さらには、本発明の好ましい実施形態によると、受信機は、データパケットに含まれているビデオデータをデコードするビデオデコーダ、をさらに含んでいる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によると、遠隔地報道の方法であって、遠隔の報道場所において生成されたビデオデータをデータパケットに編成するステップと、データパケットを、複数のモデムを介して少なくとも1つの無線ネットワークを通じて放送局にアップロードするステップと、を含んでいる、方法、を提供する。
【0039】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、少なくとも1つの無線ネットワークは、セルラーネットワーク、WiFi、WiMax、衛星、のうちの少なくとも1つである。
【0040】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、少なくとも1つの無線ネットワークは、少なくとも2つの個別のセルラーネットワークである。
【0041】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、少なくとも2つの個別のセルラーネットワークは、少なくとも2つの異なる携帯電話技術を使用する。
【0042】
さらには、本発明の好ましい実施形態によると、本方法は、アップロードの成功に関するフィードバックを受信するステップと、フィードバックを分析するステップと、編成および複数のモデムの動作設定を、分析の結果に応じて調整するステップと、をさらに含んでいる。
【0043】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、本方法は、FEC符号を有するパケットを生成するステップ、をさらに含んでいる。
【0044】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、本方法は、送信の前にパケットの順序をインターリーブするステップ、をさらに含んでいる。
【0045】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、本方法は、少なくとも1つの欠落データパケットの再送要求を受信するステップと、少なくとも1つの欠落データパケットを再送するステップと、をさらに含んでいる。
【0046】
本発明の好ましい実施形態によると、遠隔の報道場所から複数のチャネルに沿ってデータパケットを受信するステップと、データパケットからビデオストリームを組み立てるステップと、を含んでいる、方法、をさらに提供する。
【0047】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、組み立てるステップは、ジッタバッファを使用してデータパケットを論理的な順序に編成するステップ、を含んでいる。
【0048】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、ジッタバッファは、以下の論理上のウィンドウ、すなわち、受信ウィンドウ、再送ウィンドウ、および出力ウィンドウを含んでいる。
【0049】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、本方法は、再送ウィンドウに論理的に関連付けられている欠落データパケットの再送の要求を送るステップ、をさらに含んでいる。
【0050】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、本方法は、組立てのパフォーマンス統計情報を追跡するステップと、パフォーマンス統計情報を遠隔の報道場所に送信するステップと、をさらに含んでいる。
【0051】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、パフォーマンス統計情報は、遠隔の報道場所からデータパケットをアップロードするために使用されるモデムのパフォーマンス詳細情報を含んでいる。
【0052】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、パフォーマンス詳細情報は、欠落データパケット、無効なデータパケット、データパケットの再送要求、データパケットの送信時間の長さ、のうちの少なくとも1つ、を含んでいる。
【0053】
さらに、本発明の好ましい実施形態によると、本方法は、パフォーマンス統計情報を分析するステップと、動作設定に要求される変更を分析に従って決定するステップと、要求される変更を遠隔の報道場所に送信するステップと、をさらに含んでいる。
【0054】
本発明としてみなされる主題は、具体的に指摘してあり、本明細書の結論部分に明確に記載してある。しかしながら、本発明は、システム構成および動作方法の両方と、本発明の目的、特徴、および利点とに関して、以下の詳細な説明を、添付の図面と合わせて読み進めることによって最も良く理解することができる。
【0055】
図を単純かつ明瞭にする目的で、図に示した要素は、必ずしも正しい縮尺では描いていないことが理解されるであろう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明瞭さのため他の要素よりも大きくしてある。さらに、適切と考えられる場合、対応または類似する要素は、複数の図において同じ参照数字を使用して示してある。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1A】遠隔放送のための従来技術のシステムの概略図である。
【
図1B】遠隔放送のための従来技術のシステムの概略図である。
【
図2】本発明に従って構築されており動作する、新規の仮想広帯域システムの概略図である。
【
図3】本発明に従って構築されており動作する、仮想広帯域送信ユニットの概略図である。
【
図4】本発明に従って構築されており動作する、パケットインターリーバの入力および出力の概略図である。
【
図5】
図2のシステムの一部として構築されており動作する、複数のモデムを通じてのデータパケットのフロー(流れ)の概略図である。
【
図6】本発明に従って構築されており動作する、仮想広帯域受信ユニットの概略図である。
【
図7】本発明に従って構築されており動作する、スマートジッタバッファに格納されるときの、到着するデータパケットの概略図である。
【
図8A】本発明に従って構築されており動作する、スマートジッタバッファの概略図である。
【
図8B】本発明に従って構築されており動作する、スマートジッタバッファの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下の詳細な説明においては、本発明を完全に理解できるようにする目的で、膨大な具体的な細部を記載してある。しかしながら、本発明は、これらの具体的な細部を使用せずに実施できることが、当業者には理解されるであろう。さらには、周知の方法、手順、および構成要素については、本説明が曖昧になることがないように、詳しくは説明していない。
【0058】
出願人は、遠隔地にメディアをアップロードすることを目的として、携帯電話ネットワークがいくつかの利点を有することを認識した。例えば、このようなネットワークは、LOS(ラインオブサイト)接続を必要とせず、例えば、建物内、地下駐車場、裏通り、その他の場所において使用することができる。
【0059】
モバイルネットワーク事業者によって提供されるブロードバンド(広帯域)サービスは、一般には非対称であることが理解されるであろう。これらのサービスは、一般的には、データのダウンロードのための広い帯域幅と、データのアップロードのための限られた帯域幅とを提供する。例えば、データのダウンロードには1メガビット/秒が提供されるのに対して、データのアップロードにはわずか64キロビット/秒が提供されることがある。出願人は、「仮想広帯域」アップロード接続を作成する目的で、複数のセルラーデバイスを協働して使用することができることを認識した。このような仮想広帯域アップロード接続(仮想広帯域接続)においては、デバイスのアップロード容量の合計は、一般的な生のメディア送信を円滑に行ううえで十分な連結帯域幅となりうる。
【0060】
次に
図2を参照すると、この図は、生のメディアデータをセルラーネットワークを通じて遠隔地に伝えるための、本発明に従って構築されており動作する新規の仮想広帯域システム100を示している。従来技術と同様に、ビデオカメラ5を使用して、遠隔地におけるニュースを撮影することができる。ケーブル10は、カメラ5を仮想広帯域アップロードユニット110に接続することができ、このユニット110は、いくつかのセルラーモデム112を動作させて、1つまたは複数のセルラーコアネットワーク120を通じてメディアデータを送信することができる。モデム112のそれぞれが個別の論理チャネル115を生成することができ、複数のチャネル115が仮想広帯域接続118を構成することができる。
【0061】
チャネル115の数に応じて、仮想広帯域接続118の連結アップロード容量を、1つのLOS衛星接続またはLOSマイクロ波接続のアップロード容量に近づけることができることが理解されるであろう。
【0062】
ネットワーク120からは、インターネット接続122、専用回線接続124、セルラーネットワーク接続126、またはこれらの接続の任意の組合せを介して、データを仮想広帯域受信機130に伝えることができる。仮想広帯域受信機130は、スタジオ35の中に位置していることができ、スタジオ35が、データをテレビやインターネットなどに放送することができる。
【0063】
ネットワーク120は、遠隔地からアクセス可能である1つまたは複数のセルラーネットワークとすることができる。1つまたは複数の事業者がこのようなネットワークを提供することができ、ネットワーク120は複数の技術を使用できることが理解されるであろう。したがって、仮想広帯域接続118は、1つまたは複数のネットワーク事業者に送信される複数のチャネル115から構成することができ、事業者のそれぞれが、場合によっては異なる技術の1つまたは複数のネットワークを運営しうることが理解されるであろう。
【0064】
チャネル115は、複数の経路、例えば、インターネット接続122、専用回線接続124、およびセルラーネットワーク接続126を介して、仮想広帯域受信機130に伝えることができる。後から説明するように、仮想広帯域受信機130は、複数の送信元からデータを受理して処理することができる。
【0065】
既存のセルラー通信システムは、モバイル接続を提供するように設計されていることが理解されるであろう。したがって、仮想広帯域ユニット110は、従来技術の衛星システムおよびマイクロ波システムよりも大幅に軽量であり、ずっと容易に輸送できる。
【0066】
次に、
図3を参照すると、この図は、例示的な仮想広帯域ユニット110を詳しく示している。仮想広帯域アップロードユニット110は、ビデオエンコーダ131と、設定可能なストリームプロセッサ140と、トラフィック分析器150とを備えていることができる。後から説明するように、設定可能なストリームプロセッサ140は、ビデオエンコーダ131から入力されるビデオストリーム135を処理して、複数のアップロードストリーム195(モデム112(
図2)あたり1つのストリーム)を提供する。トラフィック分析器150は、設定可能なストリームプロセッサ140の設定を、1つまたは複数のバックチャネル190を介して受け取る現在の統計情報のフィードバックに基づいて決定することができる。さらに、モバイル電源を提供するためのバッテリー(図示していない)を含めることができる。
【0067】
設定可能なストリームプロセッサ140は、前方誤り訂正(FEC)モジュール155と、パケットエンカプスレータ160と、インターリーバ165と、キュー生成器170と、複数のモデムマネージャ175と、複数のモデムドライバ180と、再送メカニズム185とを備えていることができる。ビデオストリーム135(設定可能なストリームプロセッサ140に入力される)は、例えば、H.264エンコードによってエンコードすることができ、またはエンコードしなくてもよい。
【0068】
FECプロセッサ155は、最初にビデオストリーム135のデータをパケットに分割することができ、さらに、FEC符号を有する余分なパケットを追加することができる。FEC符号は、必要が生じた場合に欠落パケットあるいは不適切なパケットを再構築するために使用できる情報によって構成されている。例示的なFEC方式においては、FECプロセッサ155は、10%余分なパケットをストリームに追加することができる。いくつかのパケットが消失している、または不適切に受信された場合、FEC符号を使用して、欠落パケットを再構築することができる。FECの割合と、FECグルーピング(FEC grouping)におけるパケットの数は、設定可能とすることができることが理解されるであろう。設定は、一般的には、新しいチャネル115(
図2)を開くときに実行することができる。したがって、再設定は、新しいチャネルを開くとき、または既存のチャネルを変更するときに実行することができる。FECプロセッサ155には、任意の適切なアルゴリズム、例えば、リードソロモンを使用することができる。
【0069】
パケットエンカプスレータ160は、ビデオパケットおよびFECパケットのそれぞれにシリアル番号およびタイムスタンプを追加することができる。
【0070】
次いで、パケットをインターリーバ165に転送することができる。インターリーブは、送信が中断する結果としてのパケット消失の影響を最小化することを試みることができる。パケットを「シャッフル」することができ、その結果としての出力順序は、1つの送信誤りに起因する、連続するパケットの消失の発生を低減することができる。次に、
図4を簡潔に参照すると、この図は、インターリーバ165の動作を示している。入力パケットキュー166は、連続する順序1,2,3,4,など(パケットエンカプスレータ160によって割り当てられるパケット番号によって決まる)において受信されるパケットを有することができる。出力パケット167は、「インターリーブ」されており、すなわち、連続するパケット番号が互いに隣り合うことがないように、順序がランダム化されている。
図4において、出力パケット167は、順序4,7,12,1,5,などを有する。
【0071】
図3に戻り、次いで、インターリーブされたパケット167をキュー生成器170に転送し、キュー生成器170においては、これらのパケットは、複数のモデムマネージャ175のうちの1つによってキューから取り出されるまでは、キュー内に存在したままである。一般には、モデム112(
図2)それぞれに1つのモデムマネージャ175を配置することができる。モデムマネージャ175それぞれに、関連するモデムドライバ180を配置することができる。モデムドライバ180は、パケットを送信するために使用される個々のモデム112を管理することができる。
【0072】
パケットがモデムマネージャ175によって取り出された後、その物理データのコピーを再送キューに転送することができ、再送キューにおいては、このコピーは、新しいパケットのための空間が必要となるまで、所定の位置に存在したままとすることができる。したがって、そのパケットは、モデムマネージャ175のうちの1つによって最初に取り出された後、ある期間にわたり依然として再送用に利用可能である。再送メカニズム185は、再送に必要であるパケットについて、再送キューを検索することができる。必要なパケットが見つかると、そのパケットをキューの先頭に進めることができ、従って、関連するモデムマネージャ175はできるかぎり迅速にそのパケットを再送できる。
【0073】
次に、
図5を簡潔に参照すると、この図は、モデムマネージャ175がキュー生成器170からパケットを取り出し、それらをモデムドライバ180に転送する方法を示している。キュー生成器170は、出力バッファ171とバッファコントローラ172とを備えている。図示したように、出力バッファ171は、モデムマネージャ175によって取り出されることを待機している、インターリーブされたパケット173を含んでいることができる。4つのモデムマネージャ175A、175B、175C、175Dを示してある。モデムマネージャ175(A,B,C,D)のそれぞれに1つのモデムドライバ180(A,B,C,D)を関連付けることができ、モデムドライバ180(A,B,C,D)は、1つの関連するモデム112(A,B,C,D)を管理する。
【0074】
モデム112のそれぞれは、異なるパフォーマンス特性を有することができる。例えば、モデム112Bは、最高の接続速度を提供できる。モデム112Cは、それに類似する速度を提供できるが、検出される誤り率が高い。モデム112Dは、比較的遅いが、発生する誤りが非常に少ない。モデム112Aは、高品質の最新のモデムであるが、その時点において誤り率の最も高いコアネットワーク120(
図2)に接続されている。このように、1つのモデム112の実際のパフォーマンスにはさまざまな要因が影響しうることが理解されるであろう。このような要因としては、例えば、モデムの速度、モデムの信頼性、接続品質、運用ライセンスの制限、ネットワークの輻輳が挙げられる。さらには、このような要因は一定ではなく、1つのモデム112は、短期間において動作レベルが変化しうることが理解されるであろう。
【0075】
したがって、モデムマネージャ175のそれぞれは、その時点の優勢な条件下において最適なレートに従って、関連するモデムドライバ180に「パケットを供給する」ように構成することができる。したがって、
図5に示した例によると、モデムマネージャ175Bに極めて高いレートを割り当てて、図示した17個のパケット173のうち7個のパケットをモデムドライバ180Bを通じて転送する。モデムマネージャ175Cおよび175Dには、より低いレートを割り当てて、それぞれ、4つのみのパケット173をモデムドライバ180Cおよび180Dに渡す。モデムマネージャ175Aには、さらに低いレートを割り当てる。モデムマネージャ175Aは、2つのパケット173のみをモデムドライバ180Aに渡す。
【0076】
したがって、モデムマネージャ175のそれぞれは、次の利用可能なパケット173について、異なるレートにおいてバッファコントローラ172を照会することができる。このような方式においては、すでにインターリーブされたパケット173がモデム112の間で不公平に分散され、したがって、第2のインターリーブプロセスが効果的に行われることが理解されるであろう。
【0077】
モデムマネージャ175によってパケット173が取り出されるにつれて、バッファコントローラは、パケット番号と、そのパケットを送信する目的で渡したモデムマネージャ175とを、取り出し済みパケットテーブル174に記録することができる。後から説明するように、テーブル174は、個々のモデム112のパフォーマンスを分析する目的に使用することができる。
【0078】
さらに、上述したように、各モデム112のパフォーマンスは、与えられたアップロードセッションの過程において変化しうることが理解されるであろう。さらに、関与するモデム112すべての全体的なパフォーマンス傾向も、アップロードセッションの過程において変化しうることが理解されるであろう。したがって、本発明の好ましい実施形態によると、トラフィック分析器150(
図3)は、設定可能なIPストリームプロセッサ140の設定を向上させる目的で、進行中のアップロードセッションから実際のパフォーマンス統計情報を分析することができる。
【0079】
図3に戻り、複数のバックチャネル190は、仮想広帯域受信機130(
図2)からのパフォーマンスデータをトラフィック分析器150に渡すことができる。このようなデータとしては、例えば、パケットの到着のタイムスタンプ、欠落パケットの番号、誤りのあるパケットの番号、パケット再送要求が挙げられる。
【0080】
トラフィック分析器150は、このような再送要求を再送メカニズム185に転送することができる。重複するデータが、複数のバックチャネル190のそれぞれを介して送信されうるため、再送メカニズム185が、このような再送要求の複数のコピーを受け取ることがあることが理解されるであろう。したがって、再送メカニズム185は、このような要求の受け取りを追跡し、重複があればそれを無視することができる。次いで、メカニズム185は、このような要求を、すでに上述したように処理することができる。
【0081】
さらに、トラフィック分析器150は、キュー生成器170の取り出し済みパケットテーブル174を照会して、バックチャネル190を介して受け取ったパケット番号を、元のパケットを処理したモデムマネージャ175に関連付けることができる。トラフィック分析器150は、この情報を分析し、モデム112の間のパフォーマンス傾向を検出することができる。あるモデム112において、誤り率が高いかまたは上昇している、あるいは欠落パケットまたは遅延が生じている場合、トラフィック分析器150は、関連するモデムマネージャ175に、そのレートを下げるように、場合によっては、そのモデムマネージャ175に関連するモデム112を停止するように、指示することができる。同様に、トラフィック分析器150は、誤り、欠落パケット、遅延のうちの少なくとも1つの減少に応じて、関連するモデムマネージャ175に、それに関連するモデム112の送信レートを高めるように指示することができる。
【0082】
さらに、トラフィック分析器150は、一連のモデムマネージャ175の間でレートのバランスをとるように試みることができる。例えば、いくつかのモデムマネージャ175にレートを下げるように指示する場合、全体的なスループットの予測される低下を埋め合わせるため、別のモデムマネージャ175にレートを高めるように指示することができる。
【0083】
さらに、トラフィック分析器150は、全体的なパフォーマンス傾向を識別することができる。例えば、現在の統計情報において、パケットの消失が、発生したとしても少ないことが示されることがある。このような場合、トラフィック分析器150は、インターリーブのレベルを下げるようにインターリーバ165に指示することができる。別の例示的な傾向としては、検出される全体的な誤りの度合いが高いことが挙げられる。そのような場合、トラフィック分析器150は、FECオーバーヘッドを増大させるように、または、エンコーダ131から受け取るビデオデータの圧縮率を変化させるように、FECプロセッサ155に指示することができる。
【0084】
全体的な誤りの度合いおよび欠落パケットの度合いが高いと、結果として、すべてのビデオストリーム135を時間的に間に合うように送信するには、すべてのモデムマネージャ175の連結レートが不十分である状況となることがある。このような場合、トラフィック分析器150は、処理後にビデオストリーム135を送信するために要求される帯域幅を低減する目的で圧縮率を高めるように、フィードバックチャネル198を使用してビデオエンコーダ131(
図3)に指示することができる。
【0085】
次に
図6を参照すると、この図は、本発明の好ましい実施形態に従って構築されており動作する、仮想広帯域受信機130を詳しく示している。受信機130は、組立てエンジン200と、出力レートコントローラ220と、パケットデカプスレータ(packet decapsulator)225と、フィードバックマネージャ250とを備えていることができる。
【0086】
組立てエンジン200は、複数のストリーム201を、接続122,124,126のうちの少なくとも1つを介して受信して処理することができる。次いで、組み立てられたストリーム(参照番号206)を出力レートコントローラ220に転送することができ、出力レートコントローラ220は、そのストリームを、余分なパケット情報を除去するパケットデカプスレータ225に転送する。次いで、その結果のメディアデータストリーム230を、仮想広帯域受信機130からテレビ局35(
図2)に出力することができる。フィードバックマネージャ250は、組立てエンジン200から再送要求を受け取ることができ、入力されるストリーム201の統計情報を集めることができる。さらに、フィードバックマネージャ250は、再送要求および統計情報をバックチャネル190に沿ってトラフィック分析器150(
図3)に提供することができる。
【0087】
上述したように、いくつかの異なる接続、例えば、インターネット接続122、専用回線接続124、セルラーネットワーク接続126のうちの少なくとも1つから、複数のストリーム201を受信することができる。ストリーム201におけるパケットは、送信に使用される接続には関係なく、それらの到着順序に従って、組立てエンジン200に入力することができる。
【0088】
組立てエンジン200は、スマートジッタバッファ205と、FECデコーダ215と、再送要求器210とを備えていることができる。FECデコーダ215は、任意の適切なFECデコーダ、例えば、この技術分野において公知であり、仮想広帯域アップロードユニット110において使用されるFECと互換性のあるFECデコーダとすることができる。スマートジッタバッファ205は、2つの目的を果たすことができる。すなわち、スマートジッタバッファ205は、ストリーム201のパケットを「デインターリーブする」領域とすることができ、さらに、欠落パケットを解決するときの、FECデコーダ215および再送メカニズム210によって使用される枠組み構造を提供することができる。
【0089】
次に
図7を簡潔に参照すると、この図は、ストリーム201からのパケット203をスマートジッタバッファ205に格納する方法を示している。スマートジッタバッファの例示的なサイズは、100〜1000msecとすることができる。4つの入力ストリーム201A,201B,201C,201Dを、0〜24のタイムスタンプに対応して示してある(0が右端のタイムスタンプ)。したがって、タイムスタンプ0において到着するパケット#3を、処理する最初のパケット203とすることができる。
【0090】
スマートジッタバッファ205は、連続する番号を付されたビン(格納空間)(bin)を有することができ、
図7においては、ビンには1〜17のラベルを付してある。各パケット203が受信されるにつれて、これらのパケットを、そのパケット番号に従って、関連するビンに入れることができる。したがって、最初に到着するパケット#3をビン3に入れることができる。したがって、たとえ、到着順序が3,5,8,4,7であった場合でも、バッファ205に格納されているパケットは、それらの元の順序におけるパケット203を表している。
【0091】
図7の例においては、パケット1,2,6は依然として欠落している。したがって、バッファ205は、どのパケットが到着していないかを示すことができる。
【0092】
次に、
図8Aおよび
図8Bを参照すると、これらの図は、FECデコーダ215および再送要求器210がスマートジッタバッファ205を利用する方法を示している。
図8Aは、再送要求器210がバッファ205を3つのウィンドウ、すなわち、出力ウィンドウ211と、再送ウィンドウ212と、受信ウィンドウ213とに論理的に分割する方式を示している。出力ウィンドウ211は、送信するデータをシリアルパケットストリーム206として格納することができる。
【0093】
ウィンドウ211,212,213は、スマートジッタバッファ205内における静的な位置に固定しなくてもよいことが理解されるであろう。これらのウィンドウは、スマートジッタバッファ205から最もすぐに出力されるパケットからのオフセットに基づいて動的に定義することができる。したがって、
図8Aは、出力ウィンドウ211が、出力されるのを待機している例示的な6個のパケット(パケット#1が先頭である)を格納している時点におけるスナップショットを表している。パケット#1がシリアルパケットストリーム206に追加されると、出力ウィンドウ211は、パケット#2〜#7を含むようにシフトする。
【0094】
したがって、一連のパケット203は、スマートジッタバッファ205にいったん入ると、物理的ポジションを変更しないことも理解されたい。実際には、ウィンドウ211,212,213が一定にシフトする結果として、見かけ上、バッファに沿って「移動する」。したがって、以下において、スマートジッタバッファ205内でのパケット203による移動または前進に関する説明は、ウィンドウ211,212,213がシフトすることによって定義される論理上の移動を意味するのみであることが理解されるであろう。
【0095】
上述したように、パケット203は、特に、送信前にインターリーブされていることがあり、複数の接続およびチャネルを介して送信される、もしくは受信される、またはその両方であるため、連続的な順序で到着しないことがある。したがって、パケット203が受信されるにつれて、それらのパケット番号に従った順序において受信ウィンドウ213に入れることができる。受信ウィンドウ213の例示的なサイズは、50〜400msecとすることができる。この段階においては、欠落パケット203を置き換えるための措置をとならなくてよい。追加の処理を行わなくても欠落パケットが以降に到着するであろうことは、妥当な想定である。例えば、
図8Aにおいて、パケット#17はまだ到着しておらず、なぜなら、このパケットは(例えば、インターリーブによって)パケット16〜23の後に送信されたためである。これを目的として、受信ウィンドウ213を大きくする、例えば、200〜1000msecとすることができる。
【0096】
次いで、パケット203は再送ウィンドウ212に進むことができる。このウィンドウは、欠落パケット203の再送を要求する機会のウィンドウを定義することができる。上述したように、この段階の前においては再送を要求する必要はなく、なぜなら、ともかくも欠落パケットが到着する可能性が依然として高いためである。逆に、この段階の後では、再送を要求することは遅すぎることがあり、なぜなら、再送要求には、完了するまでの特定のターンアラウンドタイムが必要であるためである。すなわち、その要求は最初に仮想広帯域ユニット110(
図2)に到着しなければならず、次いで、再送されたパケット203が、シリアルパケットストリーム206に追加されるのに間に合うように到着しなければならないためである。したがって、再送しきい値214は、特定のパケット203について、再送要求がもはや有効なオプションではなくなる時点を定義することができる。
【0097】
図8Aにおける例示的なデータによると、パケット#10が再送ウィンドウ212から欠落している。したがって、再送要求器210(再送ウィンドウ212を参照確認することができる)は、再送要求をフィードバックマネージャ250に発行することができる。再送要求器210は、再送ウィンドウ212内に欠落パケット#10が長い時間「存在している」とき、1つまたは複数の再送要求を発行することができる。このような要求のタイミングは、設定可能とすることができる。
【0098】
再送ウィンドウ212のサイズおよび位置は、設定可能とすることができることが理解されるであろう。例えば、欠落パケットの割合が低いときには、小さなウィンドウ212(例えば、わずか200msec)を使用することが可能である。仮想広帯域ユニット110が高速モデムを有する場合、再送のターンアラウンドタイムを短くできることを考慮すれば、出力ウィンドウ211のサイズを低減することが可能である。したがって、再送ウィンドウ212のサイズおよび位置によって、ウィンドウ211および213のサイズおよび位置を効果的に決定できることも理解されたい。
【0099】
次いで、パケット203は出力ウィンドウ211に進むことができる。上述したように、欠落パケット203が出力ウィンドウ211に達した時点では、そのための再送要求を送らなくてもよい。しかしながら、欠落パケット203が以降に到着し、出力ウィンドウ211に入りうることが理解されるであろう。例えば、パケット#2の再送要求が、以前に再送ウィンドウ212から発行されているとする。パケット#2が間に合って到着するならば、このパケットをその連続的な順序に従って出力ウィンドウ211に入れることができる。
【0100】
図8Bは、FECデコーダ215が、再送要求器210によって使用されるウィンドウに類似する3つのウィンドウ、すなわち、出力ウィンドウ216と、アクティブ化ウィンドウ217と、受信ウィンドウ218とに、バッファ205を分割する方式を示している。出力ウィンドウ216は、FECしきい値219から開始するものとして定義することができ、シリアルパケットストリーム206を生成することができる。この場合にも、以下において、スマートジッタバッファ205内でのパケット203による移動または前進に関する説明は、ウィンドウ216,217,218がシフトすることによって定義される論理上の移動を意味するのみであることが理解されるであろう。
【0101】
機能的には、出力ウィンドウ216および受信ウィンドウ218は、それぞれ、再送要求器210において定義されているウィンドウ211およびウィンドウ213と同等とすることができる。欠落パケット203については、受信ウィンドウ218内に存在している間は対処せず、FECしきい値219を過ぎて出力ウィンドウ216に入った欠落パケット203については、さらなる処理を開始しない。しかしながら、ウィンドウ212と、ウィンドウ211および213との間の関係に似て、ウィンドウ216および218のサイズおよび位置は、アクティブ化ウィンドウ217のサイズおよび位置によって決定することができる。したがって、ウィンドウ216および218は、機能的にはウィンドウ211および213に類似していても、それぞれのサイズおよび位置は異なりうる。
【0102】
アクティブ化ウィンドウ217内の欠落パケットは、すでに到着してスマートジッタバッファ205に入っている別のパケット203のFEC符号を使用して再構築することができる。したがって、アクティブ化ウィンドウ217のサイズおよび位置は、使用するFEC率と、与えられたパケット203を再構築するのに必要な時間長との関数とすることができる。
【0103】
例えば、
図8Bでは、ウィンドウ217を、そのサイズとして例示的な10個のパケット203として示している。これは、10番目のパケット、例えば、欠落パケット#10を再構築するためには9個の受信パケット203が必要であるものと、FEC率が定義されている場合を示している。さらに、
図8Bは、出力ウィンドウ216の例示的なサイズとして5個のパケット203を示している。このことは、欠落パケットを再構築するために必要である時間が、5個のパケット203を出力するのに要する時間に近い場合を示している。
【0104】
再送ウィンドウ212およびアクティブ化ウィンドウ217のサイズおよび位置は、例示的なものであることが理解されるであろう。特定の要求条件もしくはその時点における状態、またはその両方に従って、別のサイズおよび位置を設定することができる。さらに、変化する状態もしくは誤り率、またはその両方を埋め合わせる目的で、サイズおよび位置を動作中に再設定できることが理解されるであろう。さらには、再送要求器210およびFECデコーダ215の両方が、同じスマートジッタバッファ205を同時に使用できることが理解されるであろう。したがって、メカニズム210および215は、動作の衝突もしくは冗長な動作、またはその両方を回避する目的で、優先度に関して設定可能とすることができる。
【0105】
図6に戻り、組立てエンジン200からのシリアルパケットストリーム206を出力レートコントローラ220に転送することができる。シリアルパケットストリーム206は、最終的にはテレビを通じての生放送を目的としていることが理解されるであろう。したがって、出力レートコントローラ220は、適切な放送レートを維持する目的でシリアルパケットストリーム206を送り出すレートを制御することができる。
【0106】
次いで、コントローラ220の出力をパケットデカプスレータ225に転送することができ、パケットデカプスレータ225においては、パケットのオーバーヘッド、例えば、パケットの番号およびタイムスタンプを除去することができる。次いで、結果のメディアストリーム230を放送する、もしくは、後から使用できるように保存しておく、またはその両方を行うことができる。
【0107】
フィードバックマネージャ250は、統計情報収集器255とバックチャネルマネージャ260とを備えていることができる。統計情報収集器255は、スマートジッタバッファ205からパケット統計情報の一定のストリームを受け取ることができる。このような統計情報としては、例えば、欠落パケット/再構築されたパケットの数、受信したパケットのタイムスタンプおよびパケット番号が挙げられる。次いで、統計情報収集器255は、これらの統計情報をバックチャネルマネージャ260に転送することができる。このような統計情報は、前処理をほとんど、またはまったく行わない生の状態において転送することができる。このような統計情報は、最終的にはトラフィック分析器150(
図3)によって処理および分析することができる。しかしながら、本発明の好ましい代替実施形態によると、このような処理をフィードバックマネージャ250に含めることもできる。
【0108】
さらに、バックチャネルマネージャ260は、再送要求器210から再送要求を受け取ることができる。次いで、バックチャネルマネージャ260は、このような統計情報および再送要求を、バックチャネル190を介して仮想広帯域ユニット110(
図3)に送信することができる。バックチャネル190は、仮想広帯域ユニット110との任意の適切な接続とすることができる。
【0109】
上述したように、トラフィック分析器150は、このようなパケット統計情報を使用することによって、複数の接続115(
図2)の品質およびフローを最適化することができ、これによって、仮想広帯域接続118を作成することができる。このような最適化と、仮想広帯域受信機130の誤り検出および訂正機能とを組み合わせることによって、システム100におけるサービスの、高いエンドツーエンド品質を提供できることが理解されるであろう。
【0110】
本発明の代替実施形態においては、セルラー無線以外の技術を接続115に使用することもできる。例えば、WiFi技術、WiMax技術、衛星(例:BGAN)技術のうちの1つ以上を、セルラーネットワークの代わりに、またはセルラーネットワークに加えて使用し、仮想広帯域ユニット110をインターネットに接続することもできる。同様に、WiFi技術、WiMax技術、衛星技術のうちの1つ以上を、仮想広帯域受信機130によって使用してストリーム201(
図6)を受信することができる。
【0111】
本発明の別の代替実施形態においては、仮想広帯域受信機130は、遠隔地におけるモバイルユニットとすることができる。このモバイルユニットは、送信に使用される技術と同じ技術、例えば、セルラーネットワーク、WiFi、WiMaxのうちの少なくとも1つを介して、ストリーム201を受信することができる。
【0112】
本発明の別の代替実施形態においては、仮想広帯域ユニット110および仮想広帯域受信機130は、無線リソースを共有する、もしくは、同じ物理ユニットに格納する、またはその両方とすることができる。
【0113】
本明細書においては、本発明の特定の特徴について図示および説明してきたが、この技術分野における通常の技能を有する者には、数多くの修正形態、置換形態、変更形態、および等価形態が明らかであろう。したがって、添付の請求項は、本発明の真の概念の範囲内であるそのような修正形態および変更形態のすべてを含んでいることが理解されるであろう。