(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透液性トップシート(2)と、不透液性バックシート(4)と、トップシート(2)とバックシート(4)との間に封入された吸収コア(6)と、トップシート(2)とバックシート(4)との間に配置された流体流動制御部材(24)とを備えた、使い捨て身体衛生物品(1)である、吸収性物品(1)であって、
前記流体流動制御部材(24)が、150〜300gsmの坪量を有しかつ上部層(28)と、底部層(29)と、上部層(28)と底部層(29)との間に位置するパイル繊維(33)の相互接続層(30)とを備えるスペーサー布(27)であり、パイル繊維(33)が80〜130dtexの繊度を有し、パイル繊維(33)結合部の密度が50〜150/cm2であり、スペーサー布(27)が熱可塑性ポリマー繊維を含むことを特徴とする、吸収性物品。
前記スペーサー布(27)の前記上部層(28)における開口部(31)が3.0〜4.5mmの長手方向寸法および1.5〜3.0mmの横方向寸法を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記スペーサー布(27)の前記底部層(29)が、平方センチメートル当たり50〜150の開口部(32)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記吸収コア(6)が、第1の吸収コア層(23)と、第2の吸収コア層(22)とを備え、前記スペーサー布(27)が、前記第1の吸収コア層(23)と前記第2の吸収コア層(22)との間に位置している、請求項1から13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記第1の吸収コア層(23)が、前記トップシート(2)と前記第2の吸収コア層(22)との間に配置され、前記第1の吸収コア層(23)が、層(23)を貫通する開口部(25)を有する、請求項15に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0012】
身体衛生物品である本発明の吸収性物品は、失禁プロテクター、生理用ナプキン、パンティライナー、テープ型おむつ、パンツ型おむつ、またはベルト付きおむつなどの任意の種類の使い捨て吸収性身体衛生物品であり得る。
【0013】
本明細書中で使用される用語「使い捨て」とは、限られた使用の後に廃棄されるよう意図され、洗濯したり再使用のために復元することを意図しない物品に言及する。
【0014】
吸収性物品は、透液性トップシートと、不透液性バックシートと、トップシートとバックシートとの間に封入された吸収コアと、トップシートとバックシートとの間に配置された流体流動制御部材とを備える。流体流動制御部材は、上部層と、底部層と、上部層と底部層との間に位置するパイル繊維の相互接続層とを備えたスペーサ布である。液体の流れる速度を管理するために、スペーサー布の上部層および底部層は異なる構造を有し得る。
【0015】
本発明の流体流動制御部材は、使い捨て吸収性物品における流体流動制御のためにこれまで使用されてきた部材よりも耐圧性が高いだけでなく、同時にその構造に起因して比較的低い表面重量を有する。これにより、吸収性物品を使用する間に圧力がかかったときにその構造および流体流動制御性能を維持する薄型で優れた流体流動制御部材がもたらされる。スペーサー布は、本明細書中に記載したMecano法に従って測定した15kPaでの厚さと坪量の比率が少なくとも1.5×10
−5m/gsmかつ2.5×10
−5m/gsm未満、好ましくは2.0×10
−5m/gsm未満である。本明細書中で、「gsm」はg/m
2として使用される。本発明のスペーサー布は、20kPa未満の圧力での厚さと坪量の比率が少なくとも1.5×10
−5m/gsmであり得る。
【0016】
スペーサー布は、坪量150〜300gsm、好ましくは150〜250gsm、より好ましくは200〜230gsmを有する。
【0017】
本発明によるパイル繊維結合部の密度およびその寸法(dtex)は、材料を柔軟にするが、使用の間に加わる圧力に耐えることができるように特に適したものである。本発明によるスペーサー布は、使用の間に加わる圧縮力が取り除かれた後すぐに、ほぼ完全に広がる。本明細書中では、「密度」は、平方センチメートル当たりのパイル繊維結合部の量の単位として使用される。
【0018】
本発明によるスペーサー布の上部層と底部層との間のパイル繊維の相互接続層は、繊度80〜130dtex、好ましくは90〜120dtexを有し、パイル繊維結合部の密度は50〜150/cm
2、好ましくは70〜100/cm
2である。
【0019】
パイル繊維は、吸収性物品において液体を効率的に分配するために、布を通して好ましくは斜め方向にチャネルを形成し得る。
【0020】
本発明の流体流動制御部材の材料、すなわちスペーサー布のパラメータは、高い耐圧縮性のために、装着者が物品を装着することによって吸収性物品に圧力が加わるときに、自由体積が存在する多孔質材料であることを保証する。自由体積に起因して、スペーサー布は、比較的多量の液体を収容し、一時的に保持することができる。したがって、排出された体液は、スペーサー布に有効に収容され、体液が吸収される吸収コアの別々の部分へと流れることができるため、漏れのリスクが最小化される。
【0021】
液体の急速な流入および有効な分配を確実にするために、スペーサー布の上部層は、開放構造を有し得る。上部層の開口部は、長手方向寸法3.0〜4.5mm、および横方向寸法1.5〜3.0mmを有し得る。開口部の形状は、円または楕円であってよいが、楕円が好ましい。上部層は、3〜8、好ましくは4〜6/cm
2の開口部を有し得る。スペーサー布の底部層は、比較的小さな開口部がより密集した構造を有し得る。底部層は、50〜150/cm
2の開口部を有し得る。
【0022】
適切には、漏れを確実に防ぐために、本発明によるスペーサー布は、少なくとも20mlの総自由体積を有する。有利には、スペーサー布は、DIN EN ISO 5084に従って測定した1kPaの厚さが3〜6mm、好ましくは3.5〜5mmである。スペーサー布は、40mm未満、例えば30〜40mmの幅を有し得る。部材の長さは、150mm未満、例えば120〜150mmであり得る。
【0023】
例えば、スペーサー布は、股領域に適当に収まるように、約30×120×5mmの寸法を有し得る。
好ましくは、スペーサー布は、吸収繊維および超吸収材料を実質的に含まない。
【0024】
好ましくは、スペーサー布は、それらに限定されるわけではないが、ポリエステルと、ポリアミドと、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンと、から選択され、それらの混合物を含み得る、熱可塑性ポリマー繊維を含む。材料はさらに、液体を素早く排出し、保持しないことによって液体の次の噴出のための自由体積容量を維持するために、液体透過を促進するための界面活性剤を含み得る。好ましいスペーサー布としては、第1および第2の層の糸、ならびにパイル繊維はポリエステルである。
【0025】
スペーサー布は、布の生産方向に5〜15、好ましくは8〜12コース/cm、布の幅方向に6〜12、好ましくは7〜10ウェール/cmを有し得る。スペーサー布の上部層の糸は、繊度60〜100dtexを有し得る。スペーサー布の底部層の糸は、繊度90〜130dtexを有し得る。パイル繊維は、繊度80〜130dtex、好ましくは90〜120dtexを有し得る。
【0026】
使い捨て吸収物品へと有利に変換するために、スペーサー布は、Edana試験法WSP110.4(05)破断荷重および伸びNWに従って測定した伸びが生産方向に10Nで25%未満、好ましくは15%未満、最も好ましくは10%未満、好ましくは5Nで15%未満であり得る
【0027】
スペーサー布は、吸収性製品において、スペーサー布の上部層がトップシートの方向に面し、スペーサー布の底部層がバックシートの方向に面するように配置される。
【0028】
吸収性物品のトップシートおよびバックシートは、吸収コアの全周囲に沿って吸収コアの側方外側に互いに広がり、吸収コアの周囲の縁部結合部において互いに接続され得る。好ましくは、バックシートはトップシートの一部を覆って縁部バリアを形成することができる。縁部結合部は、接着剤、超音波接着、熱接着、スティッチングなどの当技術分野で知られている任意の適切な方法で形成され得る。巻き型カバーなどの代替のカバー構造もまた本発明の範囲内に入るものと想定される。
【0029】
トップシートは、目的に適した、すなわち柔軟かつ透液性を有する任意の材料から構成され得る。一般的に見られるトップシート材料の例には、不織材料、有孔プラスチックフィルム、プラスチックまたは織物メッシュ、および流体透過発泡層がある。2つまたは複数のトップシート材料からなる積層体、流体透過の装着者側表面の別々の部分が異なる材料からなるトップシートもまた一般的に採用される。
【0030】
バックシートは、流体不透過性である。しかしながら、特に、比較的少量の尿が吸収されると予測される場合には、単に防水性であるバックシート材料を使用することができる。バックシートは一般的に、薄く、柔軟性があり、流体不透過性のプラスチックフィルムによって構成されるが、流体不透過性不織材料、流体不透過性発泡材料、および流体不透過性積層体もまた本発明の範囲内に入るものと考えられる。好ましくは、バックシートは、空気および水蒸気が通過することができることを意味する、通気性を有し得る。さらに、バックシートは、不織布などの織物材料の外側の衣類側表面を有し得る。
【0031】
吸収コアは、当技術分野で知られているセルロースフラッフパルプ、発泡材料、繊維詰め綿などの1つまたは複数の層などの任意の適切な吸収性または流体取り込み材料で作製され得る。吸収コアは、ハイドロゲルを形成することによって、多量の流体を吸収および保持する能力を有する材料である超吸収材料として一般的に知られている吸収性の高いポリマー材料の繊維または粒子を含み得る。超吸収材料は、セルロースフラッフパルプと混合してよく、かつ/または吸収コアのポケットまたは層内に配置され得る。繊維はパルプ繊維とすることができ、超吸収材料はポリアクリレート系粒子とすることができる。吸収構造体は、40〜80%の超吸収材料と60〜20%のパルプ繊維とを含み得る。
【0032】
吸収コアは、吸収コアの性能を向上させるための成分をさらに含み得る。そのような成分の例には、当技術分野で知られているように、バインダー繊維、流体分散材料、濡れインジケータなどがある。
【0033】
吸収性物品は典型的に、パッドまたは生理用ナプキンの場合、全方向に完全に広げた場合に、一般に長方形の細長い形状を有する。本文脈において、一般に長方形の形状とは、例えば吸収性物品の角が丸くてよく、または吸収性物品の縁部が完全に直線状でなくてもよいことを包含することを意図している。したがって、砂時計形、台形、三角形、および楕円形など、吸収性物品に適した任意の形状を使用することができる。本発明の物品の形状は、物品の横中心線に対して対称であってよく、または異なる形状および/または異なる寸法を有する端部と非対称であってもよい。
【0034】
吸収性物品は、等しい長さを有し、吸収性物品を通る長手方向中心線と概して同一方向に広がる2つの長手方向側縁部を有し得る。前後端部は典型的に、吸収性物品の端部で、長手方向中心線に対して横方向に広がる。後端部は、吸収性物品を使用する際に後方に向けられ、前端部は装着者の腹部に向けられるように意図されている。
【0035】
吸収性物品は、前端部と、後端部と、両端部の中間に位置する股部とを備えることができ、股部は、物品を使用する間に装着者の股に対して配置され、吸収性物品に到達する体液の主要取り込み領域を構成するよう意図された部分である。
【0036】
吸収性物品は、アンダーパンツなどのサポートパンツ衣類の内部に吸収性物品を固定するための固定手段をさらに備え得る。固定手段は、バックシートの衣類側表面上に配置された2つの長手方向に伸びたバンドの形態の感圧性接着剤であり得る。固定手段は、当技術分野で知られているように、例えばシリコン加工紙、不織布、または任意のその他の剥離可能な材料などの剥離型保護層によって覆うことができる。吸収性物品をサポートパンツ衣類に配置する前に、固定手段から保護層が取り除かれて接着剤が露出され、パンツ衣類に固定することが可能となる。
【0037】
吸収コアの側方外側の側縁部に沿って弾性要素が配置され得る。弾性要素は、弾性材料のバンドであり得る。弾性要素は、本発明の吸収性物品の任意選択的な構成要素であり、省略してもよい。
【0038】
固定手段は、本発明に任意であり、望ましい場合には省略してもよい。接着性固定手段を使用する場合、バックシートの全面塗布、1つまたは複数の長手方向接着バンド、横方向バンド、ドット、円、曲線、星などの任意の適切な接着パターンを使用することができる。さらに、固定手段は、ホック型固定具、クリップ、スナップなどの機械的固定具であってよく、摩擦塗膜または連続気泡発泡体などの摩擦固定具であってもよい。異なる種類の固定具の組み合わせもまた想定される。
【0039】
流体制御部材は、吸収コアの上または下に配置され得るが、好ましくは吸収コアの上に配置される。吸収性物品の吸収コアは、好ましくは、第1の吸収層と、第2の吸収層とを備える。流体流動制御部材は、吸収性物品における第1の吸収層と第2の吸収層との間に配置され得る。第1の吸収層は、トップシートの下に直接接触して配置され得るか、または代替として不織布層または追加の吸収層などの1つまたは複数の介在部材を通じてトップシートと間接的に接触して配置され得る。同様に、第2の吸収層は、流体流動制御部材のすぐ下に流体流動制御部材およびバックシートと直接接触して配置され得るか、または介在部材によって、それらの部材の一方または両方と間接的に接触して配置され得る。流体流動制御部材を第1の吸収層と第2の吸収層との間に配置することによって、吸収性物品にチャネルを形成し、物品の後方および前方に流体を導く。流体流動制御部材と吸収コアとの間の接触領域が増加し、物品における液体の分配および高速吸収が促進される。
【0040】
吸収層は、均一な構造であってよく、または同種もしくは異種の材料の吸収積層体などの積層構造であってもよい。吸収層は、均一な厚さを有してよく、または層の異なる部分で異なる厚さを有してもよい。同様に、坪量および成分は、吸収層内で異なってよい。例として、吸収層は、吸収性および/または非吸収性繊維、ならびに超吸収材料の混合物であって、超吸収材料と繊維の比率が層内で変化し得る混合物を含み得る。
【0041】
第1および第2の吸収層は、端部が広がり股部が狭くなった砂時計形、または長方形などの任意の適切な形状を有し得る。第2の吸収層は、第1の吸収層の下に配置することでき、第1の吸収層よりいくらか小さくてよい。第1の吸収層は、吸収性物品において第2の吸収層よりさらに前方および後方に伸び得る。さらに、第2の吸収層は、本発明による吸収性物品において省略してよく、物品は1つまたは複数のさらなる吸収層を備えてもよい。
【0042】
有利には、第1の吸収層は、吸収性物品の股部において、層を完全に貫通して伸びる開口部を有し、それにより物品に空洞を形成する。好ましくは、開口部は、吸収層の形状にほぼ類似した細長い形状を有する。
【0043】
吸収層における開口部の場合、トップシートは、第1の吸収層における開口部によって画定された空洞の内部およびトップシートに面する流体流動制御構造体の表面まで伸び得る。したがって、空洞は、トップシートの材料で覆われ、外側の体に面する吸収性物品の表面から到達可能である。有利には、空洞は、吸収性物品の濡れ領域に配置され、使用の際に、尿道および女性の膣口の直下に位置するようになる。したがって、吸収性物品に排出されるいかなる体液も、空洞に流れ込み、吸収コアへとすみずみまでさらに分配され得る。空洞に集められた流体の一部は、空洞の壁面を通して第1の吸収層によって吸収され得る。しかしながら、流体の大部分は吸収性物品において、空洞の底部を通じて、そこで流動制御部材に沿って長手方向および横方向に分配される流体流動制御部材へと下方へ流れ続け得る。
【0044】
流体流動制御部材は、長方形であってよく、長手方向および横方向において吸収コアの部分によって囲まれ得る。流体流動制御構造体に、その他の形状および構造を使用してもよい。しかしながら、一般的には、流体流動制御部材が吸収コアよりも幅が狭く長さが短いと、吸収コアの広い領域への分配を促進するため有利である。
【0045】
ここで、
図1〜3を参照して実施例を用いて本発明を説明する。本実施例では、吸収性物品は、生理用ナプキンまたはパッドの形態の尿失禁プロテクター1である。
図1は、装着したときに装着者に向かって面するように意図された吸収性物品の側から吸収性物品を見た図である。
図2では、
図1の線II−IIに沿った横断面が見られる。吸収性物品1は、吸収性物品1の装着者に面するように意図された吸収性物品の上部表面に配置された流体透過性トップシート2と、装着者の下着に面するように意図された失禁プロテクター1の下側に配置された流体不透過性バックシート4と、トップシート2とバックシート4との間に封入された吸収コア6と、を備える。
【0046】
失禁プロテクター1のトップシート2およびバックシート4は、吸収コア6の全周囲に沿って吸収コア6の側方外側に互いに広がり、吸収コア6の周囲の縁部結合部7において互いに接続されている。吸収性物品の2つの長手方向側縁部8、9は、等しい長さを有し、吸収性物品1を通して長手方向中心線10と同一の方向に全体的に伸びている。前縁部11および後縁部12は、失禁プロテクターの端部で長手方向中心線10に対して横方向に伸びている。失禁プロテクター1は、前端部13と、後端部14と、端部13、14の中間に位置する股部15とを有し、股部15は、使用の間に装着者の股に対して配置され、吸収性物品1に到達する体液の主要取り込み領域を構成するよう意図されている。
【0047】
失禁プロテクター1は、パンツなどのサポートパンツ衣類内部に失禁プロテクター1を固定するための固定手段16をさらに備え得る。固定手段16は、バックシート4の衣類に面する表面に配置された2つの長手方向に伸びたバンドの形態の感圧性接着剤である。
図2では、固定手段16は、剥離型保護層17によって覆われているのが見られる。失禁プロテクターの身体構造に対するフィット性を向上させるために、吸収コア6の側方外側に広がるトップシート2およびバックシート4の部分によって形成されたサイドフラップ20、21における側縁部8、9に沿って弾性材料のバンドの形態の弾性要素18、19が配置され得る。
【0048】
吸収コア6は、第1の吸収層23と、第2吸収層22とを備える。流体流動制御部材24は、第1の吸収層23と第2の吸収層22との間に配置されている。本実施例では、第1の吸収層23は、トップシート2の下に直接接触して配置されている。
【0049】
第1の吸収層23は、失禁プロテクター1の股部15において吸収層23を完全に貫通して広がる開口部25を有する。開口部25は、細長い形状を有する。トップシート2は、第1の吸収層23における開口部25および流体流動制御部材24のトップシートに面する表面によって画定される空洞26の中まで広がる。空洞26は、失禁プロテクター1の濡れ領域に位置し、使用の際に尿道および女性装着者の膣口の直下に位置するようになる。失禁プロテクター1に放出されるいかなる流体も空洞26へと直接流れ込み、流体制御部材24を介して吸収コア6全体へとさらに分配される。
【0050】
図3に、スペーサー布27の形態の流体流動制御部材が示されている。スペーサー布27は、上部層28と、底部層29と、上部層28と底部層29との間に位置するパイル繊維33の接続層30とを備える。上部層28は、比較的小さな開口部32を有する底部層29よりも大きな開口部31を有する。
【0051】
本発明のスペーサー布の例は、以下の特徴を有し得る:スペーサー布の表面重量約250gsm、厚さ約0.5cm、上部層の織糸(yarn)約76dtex、底部層の織糸約110dtex、パイル繊維108dtex、パイル結合部約72〜95/cm
2、上部層の開口部約5/cm
2、約10コース/cm、および約8ウェール/cm。
【実施例】
【0052】
一般的に使用される高ロフトの通気性ボンド不織布である液体取り込み分配材料の張力と本発明の流体流動制御部材に使用される材料を比較するために、いくつかの異なる材料に対して圧縮試験を行った。これらの試験は、以下に記載する方法によって実施した。
【0053】
[張力(Mecano法)]
手順:
本方法の原理は、材料の厚さを連続的に測定しながら金属ロッドで5Nの力まで材料をゆっくりと圧縮するものである。結果は、力と伸長のデータ点から構成される。力は、ロッドの接触面積に与えられる圧力に変換される。金属ロッドは円柱状で、10mmの直径を有し、7cm超の直径を有する平らな底部を備える。ロッドは、インストロン試験機の上部取付具における10Nロードセルに搭載される。底部取付具に平板を搭載し、ロッドの下の中央に配置することにより、サンプルを板の上に配置し、板を移動させずに圧縮することができる。ロッドの移動速度は5mm/minである。これらの設定は、「New Mechano 5N」と称されるインストロンBluehillプログラムに予めプログラムされるが、試験を開始する前に、全ての範囲が確実に適切な値に設定されるようにプログラム設定を確認すべきである。変更されたバージョンで運転すると、装置、特に精密なロードセルに損傷を与え得る。
【0054】
試験の実行:
1回目は、サンプルなしの空の運転である。この運転を使用して、鋼板がロッドを停止するゼロ厚さ位置を見つける。空の運転では典型的に、ロッドが金属に衝撃を与えるときに生じる力が急速に増加し、装置が十分に速く埋め合わせることができないことに起因して、ロッドが停止する前に、設定した最大限度より高い力が発生する。ロードセルが損傷を受けずに衝撃に耐えることができるように注意しなければならない。限界最大力およびロッドの速度を低下させる特殊な設定を空の運転のために使用することができる。
【0055】
ロッドが停止すると、インストロン装置はユーザーの入力を待つ。次いで、伸びを手動でゼロに再設定する。これにより、ロッドが土台に接触する正確な点で伸びをゼロに設定し、伸びが底部板に対して測定されるようにすることができる。その後、サンプルを下部板上に配置することができるようにロッドを手動で持ち上げることができる。
【0056】
サンプルを試験するために、サンプル表面の上にロッドが位置するようにロッドを手動で移動し、プログラムを開始する。ロッドは制限した力に到達するまで5mm/minの速度で下方に移動する。
【0057】
サンプル:
サンプルは、試験した材料から打ち抜いた50mm辺の正方形である。材料の厚さが不均一な場合、材料の最も厚い部分からサンプルをとった。ロッドをサンプルの中央にプレスし、各サンプルは運転と運転の間に移動させずに3回試験する。各試験材料の10サンプルを使用して、空の運転を含めて合計30回の測定を行い、各試験材料に31の試験運転を実施する。
試験材料は以下の通りである。
【0058】
【表1】
【0059】
結果:
結果は、力対伸長のデータ点一式である。力は、Mecano法で測定した力(N)をロッドの底部面積(m
2)で割ることによって圧力に再計算する。
【0060】
Mecano法で測定した厚さ(m)を使用した材料の表面重量(gsm)で割ることによって、厚さと坪量の比率m/gsmを計算した。
【0061】
図4に示すように、異なるサンプルでの計算した圧力の値(kPa)および厚さと坪量の比率(m/gsm)をグラフにプロットする。図は、本発明の流体流動制御部材では、異なる圧力で高比率が維持されることを示している。本発明のスペーサー布は、20kPa未満の圧力で、少なくとも1.5×10
−5m/gsmの厚さと坪量の比率を有する。
【0062】
[引張試験]
手順:
Edana試験方法WSP110.4(05)破断荷重およびおよび伸びNWまたは米国標準方法ASTMD 882(これに準ずる方法)に従って、本発明によるスペーサー布およびサンプルBの引張試験測定を実施した。使用したINSTRON機は、id:100180;cell 100N id:100182であった。試験サンプルは、25mm幅であり、インストロンで使用した引張速度は100mm/minであった。
【0063】
結果:
図5に示すように、2つのサンプルの引張強度(N)および伸び(%)の値をグラフにプロットする。本発明によるスペーサー布は、製造装置での使い捨て吸収性物品への変換を好都合にする低い伸び(%)を示す。