特許第6099763号(P6099763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099763
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20170313BHJP
   F16K 1/48 20060101ALI20170313BHJP
   F16K 1/32 20060101ALI20170313BHJP
   F02B 37/12 20060101ALI20170313BHJP
   F02B 37/16 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   F16K31/06 305L
   F16K1/48 Z
   F16K1/32 C
   F02B37/12 302C
   F02B37/16 B
【請求項の数】11
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-548347(P2015-548347)
(86)(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公表番号】特表2016-502051(P2016-502051A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】EP2013075681
(87)【国際公開番号】WO2014095396
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年7月27日
(31)【優先権主張番号】102012224130.2
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ロザリオ ボナンノ
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−512124(JP,A)
【文献】 特開平10−122411(JP,A)
【文献】 米国特許第04790346(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06−31/11
F16K 1/32
F16K 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、該ハウジング内に配置されたソレノイドと、該ソレノイドによって運動可能なピンと、該ピンに結合されたピストンと、シールとを備えた弁において、 前記ピストン(17)がポット形に形成されており、該ピストン(17)の底部(18)が1つの開口(22)を有し、前記底部(18)の外側にアーチ形のブラケット(23)が前記開口(22)に跨がるように設けられており、前記ピン(16)が、前記底部(18)に設けられた前記開口(22)を貫通しており、前記ピン(16)が、アーチ形の前記ブラケット(23)に係止結合部(25)によって結合されていることを特徴とする、弁。
【請求項2】
前記ピン(16)の、前記ソレノイド(14)とは反対の側の端部(21’)が、スリット(24)を有している、請求項1記載の弁。
【請求項3】
前記スリット(24)が、前記ブラケット(23)の横断面に相当して、係止段部(25)を有している、請求項2記載の弁。
【請求項4】
アーチ形の前記ブラケット(23)が、円形の横断面を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の弁。
【請求項5】
前記ブラケット(23)の、前記底部(18)とは反対の側が、スリット(29)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の弁。
【請求項6】
アーチ形の前記ブラケット(23)が、前記ピストン(17)から離れる方向に曲げられている、請求項1から5までのいずれか1項記載の弁。
【請求項7】
前記ピン(16)の、ポット形の前記ピストン(17)の内部に位置する範囲(21)が、前記開口(22)よりも大きな直径を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の弁。
【請求項8】
前記ピン(16)が、一貫して延びる長手方向孔(26)を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の弁。
【請求項9】
前記ピン(16)が、長手方向軸線に対して直角に該ピン(16)を貫通する横方向孔(27)を有しており、該横方向孔(27)が、前記長手方向孔(26)に接続されている、請求項8記載の弁。
【請求項10】
前記ピストン(17)がプラスチックから成っている、請求項1から9までのいずれか1項記載の弁。
【請求項11】
前記ピストン(17)が、前記底部(18)に複数の開口(28)をさらに有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、ハウジングと、該ハウジング内に配置されたソレノイドと、該ソレノイドによって運動可能なピンと、該ピンに結合されたピストンとを備えた弁である。
【0002】
このような弁は、自動車内のターボチャージャにおいて、スロットルが閉じられた際のいわゆるエンジンブレーキ運転において吸気側に対するバイパスを解放するためにブローオフ弁として使用され、したがって公知である。ターボチャージャの過度に強力な制動を阻止すると同時に迅速な始動をも保証するためには、弁の迅速な開閉が1つの重要な前提条件である。特に閉鎖時には、弁座へのピストンの当接によって直ちに閉弁が行われる。弁座は、ターボチャージャのハウジングによって形成され、このハウジングに弁がフランジ締結される。その結果、弁座はピストンに対して十分に平行に位置しているとは云えない。このことは、本来ならば迅速でかつ特に密な閉鎖のためには必要である。それにもかかわらず確実な閉鎖を保証するためには、ピストンが弁座に適合しなければならない。そのためには、ピンの、ピストン寄りの端部にボールヘッドを形成し、かつピストンにおける対応する収容部をボールソケットとして形成することが知られている。この場合に不都合となるのは、手間のかかる構成である。ピストンをピンに枢着結合することによって、比較的大きな旋回が可能となるが、大きな旋回角度は迅速な閉鎖動作の妨げとなる。
【0003】
したがって本発明の根底を成す課題は、単純な構造を有し、かつ迅速で確実な閉鎖を可能にする弁を提供することである。
【0004】
この課題は、ピストンがポット形に形成されており、ピストンの底部が開口を有し、前記底部の外側にアーチ形のブラケットが前記開口に跨がるように設けられており、前記ピンが、前記底部に設けられた前記開口を貫通しており、前記ピンが、アーチ形の前記ブラケットに係止結合部によって結合されていることにより解決される。
【0005】
アーチ形のブラケットによって、ブラケットがピンに対して移動することにより、ピストンがピンに対して相対的に旋回可能になることが保証される。使用事例に応じて、数度から数10分の1度までの旋回角度が実現され得る。ブラケットの湾曲によって、ピストンの旋回角度が調節され得る。これによって、ピンに対するピストンの僅かな旋回が可能になることが確保されている。このような僅かな旋回は、ピストンと弁座との間の位置ずれを補償するためには十分である。それと同時に、旋回角度が制限され得るので、弁の迅速な閉鎖が保証される。この弁は、種々様々な使用分野に適応可能であり、これによってこの弁は広い使用領域を有している。さらに、アーチ形のブラケットを有するピストンは比較的単純に形成されており、このことは製造可能性を容易にする。
【0006】
ピンが、ソレノイドとは反対の側の端部にスリットを有し、このスリット内にブラケットが係止されていると、係止結合部を特に簡単に形成することができる。
【0007】
スリットが、有利にはブラケットの横断面に相当する係止段部を有することにより、確実な係止が達成される。
【0008】
単純であると同時にピストンの、ピンに対する良好な可動性を可能にする構成は、アーチ形のブラケットが、円形の横断面を有することにある。
【0009】
係止結合部の形成は、ブラケットが、ピストンの底部とは反対の側にスリットを有していると容易になる。このスリットは、係止時にブラケットを弾性的に変形させ、そして引き続き係止段部に達するとブラケットを弛緩させることを可能にする。これによって、ピンに設けられる係止段部の深さを、より大きく形成することができる。このことは、係止結合部の解離を一層確実に防止する。
【0010】
1構成では、アーチ形のブラケットの湾曲がピストンの底部に向かって曲げられている。別の構成では、アーチ形のブラケットが、ピストンの底部から離れる方向に曲げられており、これにより一層簡単な製造可能性が与えられている。
【0011】
さらに別の有利な構成では、ピンの、ポット形のピストンの内部に位置する範囲が、ピストンの底部に設けられた開口よりも大きな直径を有している。これによって、ピンが開口を通って滑り抜けることが阻止される。こうして、確実な組付けのための部品の紛失防止が得られる。それと同時に、ピンとピストンとの間の結合部が損傷された場合は、ピンの一部が管路内に侵入することも阻止される。
【0012】
弁の圧力負荷、特にハウジングの圧力負荷を減じるためには、ピストンの底部が、別の複数の開口を有している。
【0013】
さらに別の構成では、ピンが、ピンを貫通する長手方向孔を有しており、この長手方向孔を介してハウジング内への圧力補償を行うことができる。
【0014】
なお一層迅速な圧力補償を得るとともに、場合によっては圧力補償に基づき生じる騒音を最小限に抑えるためには、ピンが付加的に、長手方向軸線に対して直角に延在する横方向孔を有している。この横方向孔は、やはりピンを貫通していて、長手方向孔に接続されている。
【0015】
ピストンがプラスチックから成る弁を用いると、小さな質量に基づいた弁の迅速な開閉が達成される。
【0016】
実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】弁の配置を概略的に示す図である。
図2】弁の平面図である。
図3図2に示した弁の断面図である。
図4】ピンを2つの方向で見た図である。
図5】ピストンの斜視図である。
図6】ピストンの断面図である。
【0018】
図1には、シリンダ1と、シリンダ1内で運動可能なシリンダピストン2と、シリンダ1に開口した新空気管路3と、新空気管路3内に配置されたスロットルバルブ4と、シリンダ1から導出された排気管路5とを有する自動車のパワートレインの一部が示されている。さらに、両管路、つまり新空気管路3と排気管路5とに接続されているターボチャージャ6が配置されている。ターボチャージャ6は、排気管路5に接続されたタービン7と、新空気管路3に接続されたコンプレッサ8とから成っている。スロットルバルブ4の閉鎖時に、コンプレッサ8によって形成された圧力は、バイパス管路9を介して圧縮された空気を導出することによって逃がすことができる。バイパス管路9は、ブローオフ弁10によって開閉される。
【0019】
図2に図示されたブローオフ弁10は、ハウジング11を有し、このハウジング11は、ブローオフ弁10の電気的な接続のための一体に成形されたブッシュ12を有している。さらにハウジング11は、一体成形されたフランジ13と3つの孔13aとを有しており、フランジ13とこれらの孔13aとを介して、ハウジング11は、バイパス管路9の範囲でターボチャージャ6にフランジ締結されている。
【0020】
ハウジング11内には、図3に示したように、コイル15と金属ピン16とを備えたソレノイド14が配置されている。金属ピン16は、プラスチックから成るポット形のピストン17に結合されており、ピストン17は、底部18の周縁部に環状のシール縁部19を有している。図示されている閉鎖位置において、シール縁部19は、バイパス管路9を閉鎖するために弁座20に接触している。金属ピン16は、ポット形のピストン17の内部に位置して開口22よりも大きな直径を有する大径の範囲21を有しており、そしてソレノイド14とは反対の側には、開口22よりも小さな直径を有する小径の範囲21’を有している。この小径の範囲21’は、底部18に設けられた開口22を貫通していて、アーチ形のブラケット23を用いて係止されている。アーチ形のブラケット23は、底部18の外側に開口22に跨がるように設けられている。係止のためには、金属ピン16がスリット24を有し、このスリット24内にブラケット23が係合している。この場合、スリット24の底面は、ブラケット23と同じ湾曲を有している。このことは、ブラケット23が金属ピン16に対して移動することを可能にし、これによってピストン17を金属ピン16に対して旋回させることができる。
【0021】
図4には、スリット24が配置されている小径の範囲21’を有する金属ピン16が示されている。スリット24の底面には、係止段部25が形成されており、この係止段部25内にブラケット23が係合して係止される。係止段部25は、ブラケット23と同様に円形の横断面を有している。金属ピン16は、さらに長手方向孔26と、この長手方向孔26に対して直角に配置された横方向孔27とを有している。両孔26、27は、金属ピン16を貫通していて、ハウジング11内での圧力補償のために用いられる。横方向孔27は、より迅速な圧力補償のために設けられている。
【0022】
図5および図6には、底部18と開口22とを有するポット形のピストン17が示されている。底部18の外側には、開口22を跨がるアーチ形のブラケット23が配置されている。ブラケット23は、円形の横断面を有していて、この横断面はピストン17とは反対の側にスリット29を有している。ブラケット23のスリット付けされた構成は、金属ピン16の係止段部25における一層容易な係止を可能にする。底部18には、圧力補償に用いられる複数の付加的な開口28が配置されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6