特許第6099774号(P6099774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6099774会議システム、及び、会議システムの作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099774
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】会議システム、及び、会議システムの作動方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/56 20060101AFI20170313BHJP
   H04N 7/15 20060101ALI20170313BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20170313BHJP
【FI】
   H04M3/56 Z
   H04N7/15
   H04N21/442
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-561952(P2015-561952)
(86)(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公表番号】特表2016-515347(P2016-515347A)
(43)【公表日】2016年5月26日
(86)【国際出願番号】EP2013055419
(87)【国際公開番号】WO2014139589
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マルク スマーク
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ファン デル スハール
(72)【発明者】
【氏名】シャック スヘレケンス
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン メーウセン
【審査官】 石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−531894(JP,A)
【文献】 特開2010−268324(JP,A)
【文献】 Digital Congress Network,Philips Communication, Security & Imaging BV,2003年 5月26日,pp1.1-1.8,URL,http://www.digitalcongress.co.uk/pdf/DCNcongress%20data%20sheets..pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04N 7/10
7/14−7/173
7/20−7/56
21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
話者からの音声信号を受信するマイクロフォン(22)を含む複数のデリゲートユニット(2,10)と、
前記複数のデリゲートユニット(2,10)に電力を供給するための制御装置(4)と、
前記複数のデリゲートユニット(2,10)を前記制御装置(4)に接続するためのネットワークコネクション(6)と
を備え、
前記ネットワークコネクション(6)は、前記制御装置(4)から前記複数のデリゲートユニット(2,10)へ電力を送信するように動作可能である、
会議システム(1)において、
前記複数のデリゲートユニット(2,10)のうち少なくとも1つのデリゲートユニットは、ウェイクアップインタフェース(11)を含む制御デリゲートユニット(10)であり、
前記会議システム(1)は、前記ウェイクアップインタフェース(11)の使用に応じて、前記制御装置(4)及び/又は他のデリゲートユニット(2)を非作動状態から作動状態へ起動させるように、動作可能であり、
前記会議システム(1)には、動作を検出する動作検出手段が設けられており、
前記会議システム(1)は、所定の時間にわたって前記動作検出手段が動作を検出しなかった場合に自動的にパワーダウンされるように動作可能であり、
前記会議システム(1)は、会議モード及び非会議モードにセットされるように動作可能であり、前記制御装置(4)及び前記複数のデリゲートユニット(2,10)は双方のモードにおいて作動状態にあり、
前記会議システム(1)は、前記非会議モードにある場合にのみ、自動的にパワーダウンされるように動作可能である、
ことを特徴とする会議システム(1)。
【請求項2】
前記ウェイクアップインタフェース(11)はボタン(11)又はスイッチである、
請求項1記載の会議システム(1)。
【請求項3】
前記制御デリゲートユニット(10)は、前記ウェイクアップインタフェース(11)の使用に応じて前記制御装置(4)との通信を開始するように動作可能であり、
前記制御装置(4)は、前記通信の開始に応じて、自身を作動させるように、及び/又は、他のデリゲートユニット(2)を非作動状態から作動状態へ起動させるように、動作可能である、
請求項1又は2記載の会議システム(1)。
【請求項4】
前記制御装置(4)は、前記ウェイクアップインタフェース(11)の使用に応じて、及び/又は、前記制御デリゲートユニット(10)との通信の開始に応じて、非作動状態としてのパワーセーフモードから作動状態へ起動される、
請求項1から3までのいずれか1項記載の会議システム(1)。
【請求項5】
前記制御装置(4)は、前記ネットワークコネクション(6)を介して前記複数のデリゲートユニット(2,10)を自身へ接続するための複数の出力端子(5,12)を有しており、
前記複数の出力端子のうち少なくとも1つの出力端子(5)は、前記複数のデリゲートユニット(2)のサブセットを前記制御装置(4)に接続するように適合されており、
前記複数の出力端子のうち少なくとも1つの別の出力端子(12)は、前記制御デリゲートユニット(10)を前記制御装置(4)に接続するように適合された制御出力端子(12)であり、
前記制御装置(4)は、前記制御出力端子(12)のみに電力が供給され、他の出力端子(5)には電力が供給されない非作動状態にセットされるように、及び、全ての出力端子(5,12)に電力が供給される作動状態にセットされるように、動作可能である、
請求項1から4までのいずれか1項記載の会議システム(1)。
【請求項6】
前記複数のデリゲートユニット(2)のサブセットはデイジーチェーン式に配置されている、
請求項5記載の会議システム(1)。
【請求項7】
前記制御出力端子(12)は、単一の制御デリゲートユニット(10)用の電力のみを供給するように適合されている、
請求項5又は6記載の会議システム(1)。
【請求項8】
前記他のデリゲートユニット(2)は、前記ネットワークコネクション(6)を介した電力供給に応じて、非作動状態から作動状態へ起動される、
請求項5から7までのいずれか1項記載の会議システム(1)。
【請求項9】
前記非作動状態はパワーオフ状態である、
請求項8記載の会議システム(1)。
【請求項10】
前記制御装置(4)は、前記ウェイクアップインタフェース(11)の使用に応じて、パワーセーフモードから作動状態へ起動される、
請求項1から9までのいずれか1項記載の会議システム(1)。
【請求項11】
前記制御装置(4)を非作動状態へセットして、他のデリゲートユニット(2)への電力供給を不活性化し、該他のデリゲートユニット(2)を非作動状態へセットすることにより、前記会議システムのパワーダウンが実現される、
請求項1から10までのいずれか1項記載の会議システム(1)。
【請求項12】
前記制御デリゲートユニット(10)をパワーセーフモードへセットすることにより、前記会議システム(1)のパワーダウンがさらに実現される、
請求項11記載の会議システム(1)。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の会議システム(1)の作動方法において、
前記ウェイクアップインタフェース(11)の使用に応じて、前記制御装置(4)及び/又は他のデリゲートユニット(2)を非作動状態から作動状態へ起動させるステップを含む
ことを特徴とする会議システムの作動方法。
【請求項14】
前記制御装置を会議室から離隔した空間に配置する、
請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、会議システム、及び、会議システムの作動方法に関する。より正確には、本発明は、話者からの音声信号を受信するマイクロフォンを含む複数のデリゲートユニットと、複数のデリゲートユニットに電力を供給するための制御装置と、複数のデリゲートユニットを制御装置に接続するためのネットワークコネクションとを備え、ネットワークコネクションは制御装置から複数のデリゲートユニットへ電力を送信するように動作可能である、会議システムに関する。
【背景技術】
【0002】
会議システムは、典型的には中央設備と会議の各参加者用の個々の装置とから成り、会議用ホール又は会議室に設置されることが多い。ここで、中央設備は、ふつう、会議システムを制御するため、及び、参加者用の個々の装置への給電のために用いられる。
【0003】
こうした会議システムは、例えば、本願と同様の従来技術に基づく欧州特許出願公開第1686835号明細書に開示されている。ここでの会議システムは、音声通信ネットワークを介して相互に接続された複数の参加者ユニットと中央制御ユニットとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1686835号明細書
【0005】
発明の開示
本発明では、請求項1記載の特徴を有する会議システムと、請求項14記載の特徴を有する会議システムの作動方法とを提案する。本発明の有利な実施形態は従属請求項に示されており、添付図に則して後述する。
【0006】
本発明は、会議室や会議用ホール等で、会議もしくは討論のために動作可能な、及び/又は、会議もしくは討論に用いられるのに適した会議システムを主題とする。会議システムは、話者からの音声信号を受信して処理するように適合されており、特に、音声信号の送信及びスピーカもしくはヘッドフォンを介した放送を行うように適合されている。
【0007】
会議室は、複数のデリゲートユニット、例えば20個超、特には50個超のデリゲートユニットを含む。また、100個超もしくは1000個超のデリゲートユニットを含む会議システムも可能である。好ましくは、各デリゲートユニットもしくは大多数のデリゲートユニットが話者からの音声信号を受信するマイクロフォンを含む。話者は、通常、デリゲートユニットの正面に立って又は座って発話する。デリゲートユニットは卓上に配置されるボディ部を有しており、このボディ部にマイクロフォンが固定されている。したがって、デリゲートユニットは参加者ユニットとも称される。
【0008】
会議システムは、さらに、複数のデリゲートユニットに電力を供給するための制御装置を含む。電力はデリゲートユニットが音声信号を受信する際及び/又は音声信号を処理(特に送信)する際の動作電力として用いられる。有利な実施形態によれば、デリゲートユニットは、通話相手として、会議システムの他のコンポーネントと通信するための通信モジュールを含む。好ましくは、通信には、音声信号もしくは処理された音声信号の送信及び/又は命令もしくはステータスメッセージの送信が含まれる。
【0009】
会議システムはさらに、複数のデリゲートユニットを制御装置に接続するネットワークコネクションを含む。ネットワークコネクションは、デリゲートユニットに動作電力を供給するために、少なくとも、制御装置からデリゲートユニットへ電力を送信する機能を実現する。本発明の有利な実施形態では、ネットワークコネクションは、通信、特にコマンドを送信するように動作可能である。
【0010】
本発明によれば、少なくとも1つのデリゲートユニットが制御デリゲートユニットである。制御デリゲートユニットは、話者によるウェイクアップ信号の入力を可能にするウェイクアップインタフェースを含む。会議システムは、ウェイクアップインタフェースの使用に応じて、特にウェイクアップ信号の入力に応じて、制御装置及び/又は他のデリゲートユニットを非作動状態から作動状態へ起動させるように動作可能である。会議システムの作動状態とは、会議システムにおいて討論のサポートの用意が整った状態又は現に討論のサポートを行っている状態であり、非作動状態とは、会議システムにおいて討論のサポートの用意が整っていない状態である。討論のサポートとは、例えば、いずれかのデリゲートユニットによる音声信号の送受信、及び、スピーカもしくはヘッドフォンによる音声信号の放送を含む。
【0011】
本発明の発明者らは、議長及び/又は議事進行役を含めた会議の参加者が、ふつう、各デリゲートユニットに電力を供給するための制御装置の設置場所へのアクセス権を有さないということに気付いた。例えば、制御装置は中央設備室に設置される。会議の参加者が会議用ホールに入ったときにパワーダウンしている会議システムを見出すという状況を回避するために、会議システムはずっとパワーオンの状態にあるか、又は、少なくとも開場時間中はパワーオン状態にあるようにされている。本発明は、いずれかのデリゲートユニットにウェイクアップインタフェースを組み込んで、議長もしくは議事進行役又は他の話者が会議用ホール内から、特に制御デリゲートユニットから、簡単に会議システムをパワーオンできるようにすることを目的としている。このようにすれば、ウェイクアップインタフェースが使用されるまで会議システムを非作動状態に置き、制限された時間内に会議を開始する準備を整えることができる。
【0012】
本発明の有利な実施形態では、ウェイクアップインタフェースはボタンもしくはスイッチであり、これは制御デリゲートユニット上、特に制御デリゲートユニットのボディ部に配置されているか又は制御デリゲートユニットに接続されている。特に好ましくは、当該ウェイクアップインタフェース、特にボタンもしくはスイッチは、照明によって、ウェイクアップインタフェースが使用されれば会議システムをパワーオンできることを表示する。
【0013】
別の有利な実施形態では、制御デリゲートユニットは、ウェイクアップインタフェースの使用に応じて、特に制御装置との通信を開始するように動作可能である。この実施形態では、好ましくは、制御デリゲートユニットは少なくとも制御装置との通信を行う通信モジュールを含み、ネットワークコネクションにより、制御デリゲートユニットと制御装置との間の通信が可能となる。ユーザがウェイクアップインタフェースを使用すると直ちに、制御デリゲートユニットが制御装置との通信を開始する。
【0014】
さらに好ましくは、制御装置は、通信開始に応じて、自身及び/又は他のデリゲートユニットを、作動させるように、又は、非作動状態から作動状態へ起動させるように、動作可能である。通信の開始は、制御デリゲートユニットから制御装置へのメッセージ送信によって、又は、ネットワークコネクションでの作動ステータスの表示によって実現される。こうしたメッセージは好ましくはディジタルメッセージとして実現される。
【0015】
特に好ましくは、制御装置は、ウェイクアップインタフェースの使用に応じて、及び/又は、制御デリゲートユニットとの通信開始に応じて、非作動状態としてのパワーセーフモードから作動状態へ起動される。好ましくは、制御装置のパワーセーフモードにおける電力消費は、制御装置の作動状態における場合の電力消費の50%未満、特には30%未満である。特に有利な実施形態では、パワーセーフモードでの電力消費は作動状態での電力消費の5%以下まで低減される。この場合、各デリゲートユニットに必要な電力のほぼ全てを非作動状態において節約することができる。
【0016】
本発明の別の有利な実施形態では、制御装置は、ネットワークコネクションを介して複数のデリゲートユニットを自身へ接続するのに適した複数の出力端子を有する。各出力端子は、各デリゲートユニットへの給電のための端子である。少なくとも1つの出力端子は、複数のデリゲートユニットから成るサブセットを制御装置に接続するように適合される。サブセットは10個超、好ましくは20個超のデリゲートユニットを含む。少なくとも1つの別の出力端子は制御出力端子であり、この制御出力端子によって制御デリゲートユニットと制御装置とが接続される。好ましくは、制御出力端子は制御デリゲートユニットのみに接続されるので、制御デリゲートユニットのみが制御出力端子のユーザとなる。
【0017】
制御装置は非作動状態及び作動状態のどちらにもセット可能である。非作動状態、特にパワーセーフモードでは、制御出力端子のみに電力が供給され、他の出力端子には電力が供給されないので、電力は他のデリゲートユニットには送信されない。このため、出力端子を介した他の全てのデリゲートユニットの電力消費は0Wとなる。会議システムは、他の多数のデリゲートユニットを接続した装置であるので、例えばLANでのウェイクアップ機能などのサポートに用いられるべき電力が不要となれば、エネルギを節約できる。なお、作動状態では、全ての出力端子に電力が供給される。この実施形態の利点は、非作動状態の間、制御装置は制御デリゲートユニットに対する制御出力端子のみに電力を供給すればよく、他のデリゲートユニットに対する出力端子に電力を供給しなくて済むということである。ただし、非作動状態、特にパワーセーフモードにおいても、ウェイクアップインタフェースの使用に応じて、制御デリゲートユニットが当該ウェイクアップインタフェースの使用を処理するための電力、特に制御デリゲートユニットとの通信を開始するための電力の供給は必要である。したがって、制御装置の非作動状態では、制御装置に必要な電力の大部分を節約できる。
【0018】
好ましくは、共通の出力端子に接続される複数のデリゲートユニットのサブセットは、デイジーチェーン方式で配置される。さらに好ましくは、制御出力端子は、単一の制御デリゲートユニットにとって充分な量にまで制限された電力を供給するように適合される。
【0019】
本発明の別の有利な実施形態では、デリゲートユニットは、ネットワークコネクションを介した電力供給に応じて、非作動状態、特にパワーオフモードから作動状態へ起動される。特に、デリゲートユニットは、ネットワークコネクションを介して制御装置から電力を受信すると直ちに、自己起動もしくは自己作動を行う。
【0020】
本発明の別の有利な実施形態では、ウェイクアップインタフェースの使用に応じて、制御デリゲートユニットがパワーセーフモードから作動状態へ起動される。この有利な実施形態では、制御デリゲートユニットはパワーセーフモードへの切り替えのために内部電力を遮断する電子回路を含む。電力供給を再び作動させるには、ウェイクアップインタフェースを使用しなければならない。この有利な実施形態によれば、制御デリゲートユニットに対してパワーセーフモードを使用することにより、電力が節約される。
【0021】
本発明の別の有利な実施形態によれば、会議システムは、会議システムの作動状態からのパワーダウンシーケンスを実行できるように動作可能である。ここで、制御装置は、非作動状態、特にパワーセーフモードにセットされ、これにより他のデリゲートユニットに対する出力端子が非作動状態へ不活性化され、その結果、他のデリゲートユニットへの電力供給も非作動状態へ不活性化される。こうしたパワーダウンシーケンスのトリガは、ボタン押し又は他の手動操作によって行われる。さらに、会議システムのパワーダウンは、制御デリゲートユニットをパワーセーフモードへセットするステップを含む。結果として、他のデリゲートユニットが遮断され、制御デリゲートユニット及び制御装置の双方がパワーセーフモードへ起動される。
【0022】
本発明の可能な実施形態として、議場での会議参加者の動作を検出する動作検出手段を設けてもよい。動作検出手段は、デリゲートユニットの使用を検出することにより、及び/又は、デリゲートユニットのマイクロフォンを介したノイズを受信することにより、及び/又は、カメラもしくはモーションセンサなどのプレゼンス検出装置を使用することにより、動作を検出できる。好ましくは、所定の時間にわたって動作検出手段が動作を検出しなかった場合、会議システムが自動的にパワーダウンされるように動作可能である。
【0023】
会議システムは、会議モードと非会議モードとへセットされるように動作可能であると有利である。2つのモードの双方で、制御装置及びデリゲートユニット及び制御デリゲートユニットが作動状態に置かれる。非会議モードでは、所定の時間にわたって動作検出手段が何らの動作も検出しなかった場合、会議システムの自動パワーダウンが可能である。反対に、会議モードでは自動パワーダウンが防止される。本発明の基礎となるアイデアは、動作検出手段が動作を検出しない場合であっても、会議中であれば、会議システムの自動パワーダウンを防止するということにある。
【0024】
会議モードから非会議モードへの切り替えは、ユーザとのインタラクションによって、特には議長からのインタラクションによって、トリガされる。会議の終了時にはふつう議長が閉会を宣言するので、このとき議長が制御デリゲートユニットのユーザインタフェースを使用して会議の全記録(話者は誰でどれだけの時間の発話であったかや、音声記録、投票結果など)を閉じる。会議システムはこの状態変化を識別して、会議の主要部分を閉じ、会議モードから非会議モードへの切り替えを行う。ただし、会議室は依然として利用可能であり、事後の議論や会議結果のレビューなどのための電力は供給され続ける。
【0025】
ここで、会議システムは、会議用ホール内の動作の検出を開始する。動作とは、音声、又は、モーションディテクタもしくはカメラで検出される動き、又は、入力データ(ユーザのボタン押しもしくはGUIエレメントの制御)などである。これらの動作が所定の時間(例えば30分間)にわたって存在しなければ、会議システムは自動でパワーダウンされる。また、デリゲートユニットの位置からの手動のパワーダウンも可能であるが、いずれにしても、会議システムが非会議モードとなっていなければ、自動パワーダウンは不能である。
【0026】
この実施形態によれば、会議システムが会議の時間中に誤ってパワーダウンされることはない。例えば、皆がビデオを観ていて静粛に着席しており、制御パネルが全く操作されないような場合にパワーダウンがなされてしまうことが防止される。逆に、会議システムの手動パワーダウンを忘れてしまっても、所定の時間が経過すれば自動でパワーダウンが行われる。会議が終了していることが保証されているので、「このシステムは10秒後にシャットダウンします」などのパワーダウンメッセージを提示する必要もない。
【0027】
本発明のさらなる主題は、請求項14に記載された特徴を有する会議システムの作動方法に関する。本発明の方法の有利な実施形態では、デリゲートユニットが会議室内に配置され、制御装置が会議室から離隔した空間に配置される。
【0028】
本発明のさらなる特徴乃至利点乃至効果は、有利な実施例の説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施例の会議システムを示すブロック図である。
図2図1の会議システムの作動方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1には、本発明の実施例の会議システム1の概略的なブロック図が示されている。会議システム1は、会議用ホールでの会議を支援するために用いられる。
【0031】
会議システム1は、議場としての会議室3に分散配置された複数のデリゲートユニット2、例えば50個超又は100個超のデリゲートユニット2を含む。会議室3は、例えば政治討論のための会議用ホールとして実現されている。各デリゲートユニット2は、デリゲートユニット2の正面に位置する話者からの音声信号を受信するのに用いられるマイクロフォン22を含む。マイクロフォン22を備えたデリゲートユニット2は、エンベデッドシステムとして実現されたデスクトップ装置であってよい。
【0032】
デリゲートユニット2は、制御装置4に接続されている。制御装置4は2つの主機能を有している。第1の機能は、会議システム1の全体的な制御であり、特に音声信号の送受信、及び、デリゲートユニット2及び図1には図示されていないスピーカ又はヘッドフォンとの命令乃至通信のやり取りである。制御装置4は、例えば、アナログシステムのケースでのように、音声信号を増幅するアンプを含んでもよいし、これに代わる手段として、中央での音声処理のみが制御装置4において行われるようにしてもよい。制御装置4の第2の機能は、デリゲートユニット2への電力供給である。デリゲートユニット2で必要とされる電力は、マイクロフォン22で音声信号を受信するため、及び、音声信号を処理するため、及び、制御装置4への処理された音声信号を送信するための動作電力である。
【0033】
当該第2の機能のために、制御装置4は、複数の出力端子5と、ネットワークコネクション6に接続された制御出力端子12とを有している。各デリゲートユニット2は、ネットワークコネクション6を介して、制御装置4に接続されている。2つの機能に対し、ネットワークコネクション6は給電線7及び通信線8を含む。これに代えて、2つの機能を1つのワイヤで実現してもよい。好ましくは、通信はインタネットプロトコルに基づいて行われる、及び/又は、通信はディジタル通信である。デリゲートユニット2はデイジーチェーン方式で制御装置4に接続されている。
【0034】
制御装置4は、会議室3から離隔した、進入の制限される空間、例えば中央設備室9に配置されている。会議の参加者は、議長及び/又は議事進行役も含め、ふつうは中央設備室9へのアクセス権を有さない。
【0035】
したがって、会議システム1を会議室3へのアクセス権のみ有し、中央設備室9へのアクセス権を有さない人員によって作動できるようにしたいという要求が存在する。これにより、会議システム1をより多くの時間にわたってパワーダウンできる一方、会議室3へのアクセス権しか有さない人員にとっては、会議システム1が必要となった時点で直ちに会議システム1を利用できるようになる。こうした手段によって、特に環境フレンドリな会議システムが得られる。
【0036】
複数のデリゲートユニット2のうち、制御デリゲートユニット10の名称が与えられるいずれか1つに、ウェイクアップインタフェースが設けられる。ウェイクアップインタフェース11は、制御デリゲートユニット10上の単純なボタン11として実現される。図1に示されているように、制御デリゲートユニット10は制御出力端子12に接続されており、これにより、制御デリゲートユニット10のみが制御出力端子12に関与する。
【0037】
本発明の動作方法を図2に関連して説明する。図2のフローチャートには図1の会議システム1のパワーオン及びパワーダウンの様子が示されている。パワーオン及びパワーオフのシーケンス中の各コンポーネントの動作モードがわかるよう、テーブルが添えられており、×印によってパワーオフ状態、P印によってパワーセーフ状態、レ印によって作動状態が表されている。パワーオフ状態及びパワーセーフ状態は双方とも非作動状態である。パワーセーフ状態の各コンポーネントは部分的に非作動状態となるので、電力の入力は作動状態での入力に比べて低くなる。
【0038】
ステップ40では、会議システム1がパワーオフ状態にあり、これにより、制御装置4、出力端子5、制御出力端子12、制御デリゲートユニット10、及び、他のデリゲートユニット2もパワーオフとなっている。このことはテーブルにおいて×印によって表されている。
【0039】
ステップ41では、会議システム1が非作動状態へセットされる。この非作動状態では、制御装置4がパワーセーフモードPへセットされる。ここでは、出力端子5は未だ非作動状態にあるが、制御出力端子12へは電力が供給されるので、制御デリゲートユニット10には電力が供給される。しかし、この時点では、制御デリゲートユニット10はパワーセーフモードにあり、ネットワークコネクション6を介して接続された他のデリゲートユニット2は未だ非作動状態又はパワーオフ状態にある。
【0040】
ステップ51では、ボタン11が押圧され、その結果、制御デリゲートユニット10がウェイクアップされる。これにより、制御デリゲートユニット10は、パワーセーフモードから、図2にレ印で示された作動状態へ切り替わる。
【0041】
ステップ52では、制御デリゲートユニット10が制御装置4との通信を開始し、制御装置4がネットワークコネクション6上の制御デリゲートユニット10を検出する。制御装置4が制御デリゲートユニット10を検出したことに応じて、制御装置4は非制御状態又はパワーセーフモードPから作動状態へ切り替わり、全ての出力端子5に電力が供給される。
【0042】
他のデリゲートユニット2に電力が供給されると直ちに、これらのデリゲートユニット2が自動的にパワーオンされ、ステップ60で会議システム1全体が作動状態へ起動される。
【0043】
ステップ62では、会議が議長によって開始され、会議システム1の会議ステータスMOが非会議モードから会議モードへ切り替えられる。
【0044】
ステップ70の間、会議が進行し、全ての参加者が会議システム1を介して発話できる。会議の後、議長は会議システム1の会議ステータスMOを非会議モードへセットする。ただし、全てのコンポーネントが未だ作動状態にあるので、質疑応答は会議システム1によってなお送信可能である。
【0045】
会議システム1を非作動状態へセットするためには、ステップ50に関連して説明したように、種々の手段が存在する。
【0046】
ステップ81による第1の手段では、手動のパワーオフ命令が入力され、ステップ50の開始時と同様に、会議システム1は非作動状態へ戻る。
【0047】
ステップ82による第2の手段では、(図示されていない)動作検出手段が用いられ、この動作検出手段が所定の時間内に動作を検出しなかった場合、ステップ50の開始にしたがって、会議システム1が非作動状態へ切り替えられる。動作検出手段が何らかの動作を検出した場合には、会議システム1は作動状態にとどめられるが、ステップ83で非会議モードであることが表示される。
【0048】
ステップ50の開始にしたがって会議システム1を非作動状態へ戻す第3の手段は、ステップ61に示されている。動作検出手段が会議の開始までの所定の時間にわたって動作を検出しなかった場合、会議システム1は自動的に非作動状態へ切り替えられる。
【符号の説明】
【0049】
1 会議システム、 2 デリゲートユニット、 3 会議室、 4 制御装置、 5 出力端子、 6 ネットワークコネクション、 7 給電線、 8 通信線、 9 中央設備室、 10 制御デリゲートユニット、 11 ボタン、 12 制御出力端子、 22 マイクロフォン
図1
図2