(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び第2の液晶装置は、正の誘電異方性を有する液晶を収容している、均一に方向づけられる電気制御型複屈折(ECB)装置である、請求項1に記載の液晶カメラアイリス。
前記第1及び第2の液晶装置は、負の誘電異方性を有する液晶を収容している、準ホメオトロピックに方向づけられる電気制御複型屈折(ECB)装置である、請求項1に記載の液晶カメラアイリス。
前記第1及び第2の液晶装置は、正の誘電異方性を有する液晶を収容し、前記第1及び第2の液晶ダイレクタの配向場は反対の回転方向である、請求項1に記載の液晶カメラアイリス。
前記第1の液晶装置は、入力偏光方向を有する入力光が入射する光入力面を有し、前記第1の表面接触ダイレクタは、離間した第1の配向面の異なる配向面上に異なる方位角方向を画定し、これにより前記異なる方位角方向は該方位角方向の間の角距離を画定し、前記入力偏光方向は、前記異なる方位角方向の間の前記角距離を二等分する、請求項10に記載の液晶カメラアイリス。
前記第1の液晶装置の前記第1の電極構造の1つは、入力偏光方向を有する入力光が入射する光入力面を有し、前記第1の電極構造のうちの1つの内面に形成された前記第1の配向面に接する前記第1の表面接触ダイレクタは、前記入力偏光方向と20°の角度をなす方位角方向を画定する、請求項12に記載の液晶カメラアイリス。
前記第1及び第2の液晶装置それぞれは、前記アイリスのF値設定の範囲にわたって無彩色性能を向上させるために、染料を混合した液晶材料を含む、請求項1に記載の液晶カメラアイリス。
無彩色性を向上させるために前記アイリスのF値設定の範囲にわたって色ずれ量を減少させるために色調整装置をさらに備え、前記色調整装置は、前記第1及び第2の液晶装置から電気的に切り離された液晶電気光学装置を含む、請求項1に記載の液晶カメラアイリス。
前記第1及び第2の液晶装置は、それぞれ第1及び第2の液晶セルを含む電気制御型複屈折(ECB)装置であり、前記第1及び第2の液晶セルは、前記第1及び第2の液晶装置それぞれを通って伝播する入射光の偏光成分の、電圧依存の位相シフト変化をもたらすセルギャップを有し、前記第1及び第2の液晶装置によって与えられる前記位相シフト変化は、前記カメラアイリスに光を透過させるために追加する、請求項1に記載の液晶カメラアイリス。
【背景技術】
【0003】
従来のカメラは、フィルム、又は電荷結合素子(CCD)光センサアレイといった記録媒体に到達する光量を制御するために、メカニカルアイリス絞りを用いている。メカニカルアイリスは、スマートフォン及び他の携帯機器に見られるような多くの小型カメラ用途には不向きな複雑な機器である。ゲスト・ホスト液晶ディスプレイ(米国特許第4,774,537号明細書及び米国特許出願公開第2012/0242924号明細書)、ねじれネマティック(TN)液晶ディスプレイ(米国特許出願公開第2008/0084498号明細書)、電気泳動ディスプレイ(米国特許第7,859,741号明細書)、デジタル・マイクロミラー・ディスプレイ(欧州特許出願公開第1001619号明細書)、エレクトロウェッティングディスプレイ(米国特許第7,508,566号明細書)のような、メカニカルアイリスに対する多くの電気光学的な代替品が提案されてきた。これらの代替品はいずれも、記録媒体に入る光量を制御することができ、電極構造が、アパーチャーを変化させることのできる同心リングの配置にパターン化されていると、これらの代替品は、被写界深度を調整することもできる。電極構造のこのようなパターン化リング配置は、例えば、米国特許出願公開第2008/0084498号明細書に詳細に記載されている。
【0004】
液晶装置(LCDs)は成熟した主流の技術であるため、電気光学アイリス用に液晶を使用することは特に魅力的である。メカニカルアイリスと同様に、液晶アイリスは、光を有効に制御するために、小型カメラの光学系で通常、見られる光入射角の範囲にわたって、高コントラスト比だけでなく、中間調で均一な透過率を提供することができなければならない。アイリスの透過率の角度依存性によって、記録媒体の光感応領域にわたる露光が不均一になる。従来設計の液晶アイリスは、これらの要件を満たしておらず、こうした欠点が、液晶アイリスがまだ広く商業用途を見出していない理由である。
【0005】
シミュレーションによると、カメラアイリスとして使用される、米国特許出願公開第2008/0084498号明細書に提案されているようなTN装置が非常に高いコントラスト比を提供するも、中間調での透過率が、入射光の角度の範囲にわたってかなり不均一であることを示した。
図1は、法線入射白色光の条件下での、従来のTNアイリス装置のシミュレートした電気光学曲線を示す。この曲線は、ドイツのダルムシュタット所在のMerck GmbH社から入手可能な液晶混合物MLC−7030にドイツのカルルスルーエ所在のAutronic-Meichers GmbH社から入手可能なされたディスプレイモデリングシステム(DIMOS)ソフトウェアを用いてシミュレートした。MLC−7030は、550nmの設計波長で、3.8の正の誘電異方性、及びΔn=0.1126の複屈折性を有する。セルギャップは、設計波長で最大のスループットを提供するよう「第1の最小」条件Δn・d/λ=0.866を満たすように4.23μmとして選定される。
図1のデータを用いると、正規化された透過輝度は2.81Vで50%であり、正規化された透過輝度は5.25Vで0.1%であり、その結果、コンストラスト比は1,000である。
【0006】
図2は、本シミュレーションにおいて、法線入射で透過輝度50%となる2.81Vの駆動電圧を印加した、従来のTNアイリスの正規化された透過輝度の角度変化を示している。これらのデータは、便宜上、透過輝度の極座標投稿線図(iso-transmitted luminance polar contour diagram)によって表され、この図における等高線は一定の正規化された透過輝度の線である。図の中心は法線入射を表し、正規化された透過輝度は50%であり、図の外周は極角40°での入射光を表す。入射光の方位角は、0°から360°までの円方向に表されている。
図2は、正規化された透過輝度が外側に20°にまで及ぶ入射角にわたって約9%から約82%にまで変化することを示している。このTN装置は、高コントラスト比を達成することができるが、TN装置の中間透過率の大きな角度変化は、このTN装置をカメラアイリスとしての使用には不十分である。
【0007】
米国特許出願公開第2012/0242924号明細書の
図6A及び6Bに示される従来のデュアルセル・ゲスト・ホストアイリスは、光学的に直列に配置され、それらの表面配向方向が90°に向けられた、2つの均一に配向されるゲスト・ホストセルからなる。
図3は、6.2の二色比を有する無彩色の有機染料混合物が加わった液晶混合物MLC−7030で充填された5μmのセルギャップを有する従来のアイリスの、シミュレートされた電気光学曲線を示している。シミュレーションは、12Vでも、コントラスト比は4.1にしか到達しないことを示している。
図4は、法線入射での、正規化された透過輝度が50%となる3.1Vの印加で、シミュレートされた、正規化された透過輝度の輝度等高線図を示す。
図4において、正規化された透過輝度は、極角20°の外側に延在する入射角の範囲にわたって約42%から60%まで変化する。
図4は、
図2でシミュレートされたTNアイリスの角度変化と比較して中間透過率の角度変化がいくらか少ないことを示している。しかし、デュアルセル・ゲスト・ホストアイリスは低コントラスト比であるためカメラアイリスとして使用するには不十分である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】TN液晶装置を備える従来のアイリスにおける正規化された、シミュレートされた透過輝度の電気光学曲線である。
【
図2】法線入射光で法線透過輝度50%となるよう調整された駆動電圧での単TN液晶装置を備える、
図1の従来のカメラアイリスの正規化された極座標等高線図を示す図である。
【
図3】直交して配置された2つのゲスト・ホスト液晶装置を備える従来技術のカメラアイリスの、正規化された、シミュレートされた透過輝度電気光学曲線である。
【
図4】法線入射光で法線透過輝度50%となるよう調整された駆動電圧を用いる、直交して配置された2つのゲスト・ホスト液晶装置を備える従来のカメラアイリスの、正規化された、シミュレートされた極座標等高線図である。
【
図5】第1および第2の同等に配置されたECB装置を備え、第2の液晶装置の配向場は第1の液晶装置の配向場の鏡像であり、第1および第2の液晶装置が、2つの液晶装置の基板の隣接又は対向する表面の面接触配向場の方位角方向が平行となるようにともに位置した本開示の電気光学液晶カメラアイリスの第1の実施形態の第1の態様の分解図である。
【
図6】印加電圧の関数として正規化された透過輝度を示す、
図5の第1の実施形態の正規化された透過輝度電気光学曲線である。
【
図7】法線入射光で正規化されたそれぞれ75%、50%、及び25%の透過輝度を与えるよう調整された駆動電圧を用いる、
図5に示す第1の実施形態のカメラアイリスの正規化された極座標等高線図である。
【
図8】
図8Aは、
図5に示す第1の実施形態の、計測され、正規化された透過輝度電気光学曲線を示す図である。
図8B、8C、及び8Dは、それぞれ法線入射において75%中間調、1.41Vで、法線入射において50%中間調、1.74Vで、法線入射において25%中間調、2.22Vで得られた、
図5に示す第1の実施形態の、計測され、正規化された透過輝度電気光学曲線を示す図である。
【
図9】第2の液晶装置の偏向場は第1の液晶装置の偏向場の鏡像であり、第1および第2の液晶装置が、2つの液晶装置の基板の隣接又は対向する表面の面接触配向場の方位角方向が平行となるようにともに位置した垂直配向ネマティック(VAN)装置を備える、本開示の電気光学液晶カメラアイリスの第1の実施形態の第2の態様の分解図である。
【
図10】印加電圧の関数としての透過輝度を示す、
図9の第1の実施形態の例である、計測された透過輝度電気光学曲線である。データの点は、f/2からf/12までのF値の設定単位を示す。
【
図11】f/2,f/6,及びf/12のF値で計測された、単一の、従来技術のVAN液晶装置を備える液晶アイリスの極座標等高線図である。
【
図12】f/2,f/6,及びf/12のF値で計測された、2つのVAN液晶装置を備える、
図9の液晶アイリスの極座標等高線図である。
【
図13】f/2,f/6,及びf/12のF値で計測された、2つのVAN液晶装置及び2軸リターダを備える、
図9の第1の実施形態の第2の態様の液晶アイリスの極座標等高線図である。
【
図14】液晶カメラアイリスの第1の実施形態の第2の態様の液晶アイリスの1976CIE(u’,v’)均等色空間における異なるF値設定での色座標を示す。二色性染料のドーピングにおける3つの異なる濃度に3つの異なるV状曲線が対応する。
【
図15】イエローのNagase染料G−470を用いて計測された解像度1wt.%の通常吸収係数α
O及び異常吸収係数α
Eの図である。
【
図16】マゼンタ色のNagase染料G−241を用いて計測された解像度1wt.%の通常吸収係数α
O及び異常吸収係数α
Eの図である。
【
図17】F値設定間の色ずれを最小化し、アイリスを無彩色にするために、2つの色調整装置が液晶アイリスに組み入られた、本開示の液晶カメラアイリスのブロック図である。
【
図18】本発明の第1の実施形態の第2の態様の、第1の色調整装置を用いた、及び用いない1976CIE(u’,v’)均等色空間でのf/2とf/8との間のF値設定単位の色座標の比較である。
【
図19】
図9の第1の実施形態の第2の態様でのf/2,f/6,およびf/10での一定でのF値設定の維持を必要とする駆動電圧の調整を示す。
【
図20】本開示の電気光学液晶カメラアイリスの第2の実施形態の、シミュレートされ、印加電圧の関数としての正規化された透過輝度電気光学曲線を示す。
【
図21】法線入射光で正規化された透過輝度が50%となるよう調節された駆動電圧を用いる第2の実施形態のカメラアイリスの、正規化された、シミュレートされた極座標等高線図を示す。
【
図22】本開示の電気光学液晶カメラアイリスの第3の実施形態の、正規化された、シミュレートされた透過輝度電気光学曲線を示す。
【
図23】法線入射光で正規化された透過輝度が50%となるよう調節された駆動電圧を用いる第3の実施形態のカメラアイリスの、正規化された極座標等高線図を示す。
【
図24】本開示の液晶アイリスを実装したカメラモジュールの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図5は、本開示の電気光学液晶カメラアイリスの第1の実施形態の第1の態様として構成された液晶アイリス10の簡略図である。液晶アイリス10は、第1のECB液晶装置12及び第2のECB液晶装置14を備え、それぞれが正の誘電異方性を有する液晶を収容する。簡略化のために、各ECB液晶装置12及び14の屈折率整合コーティングは図から省略されている。ECB液晶装置12及び14は、それぞれ液晶ダイレクタ18で構成される配向場16、及び液晶ダイレクタ22で構成される配向場20を有する。中間駆動電圧Vでの各配向場16及び20が、
図5に示されている。ECB液晶装置14の配向場20は、ECB液晶装置12の配向場16の鏡像である。すなわち、配向場20における液晶ダイレクタ22は、配向場16における対応する液晶ダイレクタ18と比べると反対に配向されている。
【0017】
ECB液晶装置12は、基板プレート24
1及び24
2を含む、離間した対をなす第1の電極構造を有する。基板プレート24
1上に形成される光学的に透明な電極26
1は、対をなす第1の電極構造の一方に対する内面を構成し、この上に配向層28
1が形成される。基板プレート24
2上に形成される光学的に透明な電極26
2は、対をなす第1の電極構造の他方に対する内面を構成し、この上に配向層28
2が形成される。配向層28
1及び28
2は、それぞれ配向面30
1及び30
2を有する。
【0018】
ECB液晶装置14は、基板プレート32
1及び32
2を含む、離間した対をなす第2の電極構造を有する。基板プレート32
1上に形成される光学的に透明な電極34
1は、対をなす第2の電極構造の一方に対する内面を構成し、この上に配向層36
1が形成される。基板プレート32
2上に形成される光学的に透明な電極34
2は、対をなす第2の電極構造の他方に対する内面を構成し、この上に配向層36
2が形成される。配向層36
1及び36
2は、それぞれ配向面38
1及び38
2を有する。
【0019】
表面接触ダイレクタ18c及び22cは、それぞれ各配向面30
1、30
2、及び38
1、38
2と角度αをなす。表面接触ダイレクタの方位角方向が矢印で示されている。具体的にいうと、矢印40は、配向面30
1及び38
2でのそれぞれ表面接触ダイレクタ18c及び22cの方位角方向を示し、矢印42は、配向面30
2及び38
1でのそれぞれ表面接触ダイレクタ18c及び22cの方位角方向を示している。矢印42は、ECB液晶装置12及び14それぞれの基板プレート24
2及び32
1の隣接又は対向する表面に平行である。高コントラスト比を得るために、ECB液晶装置12と14の複合残留リターデーションを補償するために1つ以上の外部リターダが液晶アイリス10に含まれる。リターダの遅軸は、隣接位置にリターダがある配向層の表面接触ダイレクタの方位角方向に概して垂直配向で設定されるが、他のリターダ軸の方向も可能である。単数又は複数のリターダは、
図5に示されるように位置44
1、44
2、及び44
3に配置することができる。ECB液晶装置12及び14は、直線偏光板46と48との間に位置付けられ、これら偏光板の透過軸は直交配向される。入射光50は、偏光板46に入射する。
【0020】
図6は、液晶アイリス10によって表される、第1の実施形態の第1の態様の一例における、シミュレートされた電気光学曲線を示す。シミュレーションでは、液晶MLC−7030が用いられ、各ECB液晶装置12及び14のセルギャップは1.50μmに設定される。プレチルト角αは3°である。高コントラスト比を得るために、31.4nmのポリカーボネートリターダが、位置44
2及び44
3のところに配置され、それらの遅軸はECB液晶装置12及び14それぞれの表面接触ダイレクタ18c及び22cの方位角方向40に対して垂直配向に設定される。この方向で、2つのリターダは、6.51Vの印加電圧でECB液晶装置12と14との複合残留リターデーションを十分に補償する。ECB液晶装置12及び14と、位置44
2及び44
3の関連するリターダとの組み合わせは、各ECB液晶装置12及び14の表面接触ダイレクタ18c及び22cの方位角40は、基板プレート24
1の光入力面52に入射する光の偏光方向と45°の角度をなすように、直交配向の偏光板46と48との間に配置される。正規化された透過輝度は2.95Vの印加電圧で50%であり、正規化された透過輝度は6.16Vの印加電圧で0.1%であり、したがって、コントラスト比は1,000である。
【0021】
図7A、7B、及び7Cは、3つの異なる駆動電圧Vの印加のもとでの正規化された透過輝度の角度依存性を示している。2.55V、2.95V、及び3.47Vの駆動電圧それぞれによって、法線入射での透過輝度は75%、50%、及び25%となる。
図2のように、これらのデータは、
図7A、7B、及び7Cでは、正規化された透過輝度の極座標等高線図の形で表されている。
図7Bを、従来技術のTNアイリスの
図2と比較すると、50%階調での角度依存の均一性が顕著に改善されていることが明らかである。
図7A及び7Cは、それぞれ75%階調及び25%階調における角度依存の均一性が良好であることを示している。第1の実施形態の液晶アイリス10は、光入射角度の広い範囲にわたって高コントラスト比を達成し、均一な階調を維持することができるため、カメラアイリスとしての用途に非常に適している。
【0022】
図8Aは、第1の実施形態の第1の態様の液晶アイリス10の一例に対する、法線入射で計測され、正規化された透過輝度の電気光学曲線を示している。この計測でECB液晶装置12及び14に用いられる液晶は、589nm及び20℃で0.099の複屈折性を有し、各ECB液晶装置12及び14のセルギャップは1.4μmに設定される。第1の15nmのリターダフィルムが、ECB液晶装置12の基板プレート24
1の光入力面52におけるリターダ位置44
2に配置される。第1の15nmのリターダの遅軸は、光入力面52で表面接触ダイレクタ18cの方位角方向40に対して垂直に設定される。ECB液晶装置14の基板プレート32
2の光出力面54におけるリターダ位置44
3に第2の15nmのリターダフィルムが配置される。第2の15nmリターダフィルムの遅軸は、光出力面54で表面接触ダイレクタ22cの方位角方向40に垂直に設定される。ECB液晶装置12及び14と、位置44
2及び44
3に配置される関連するリターダとの組み合わせは、各ECB液晶装置12及び14の表面接触ダイレクタ18c及び22cの方位角方向40が、入射光の偏光方向と45°の角度をなすように、直交配向の偏光板46と48との間に配置される。1.41V、1.74V、及び2.22Vの印加電圧の場合、法線入射での正規化された透過輝度はそれぞれ75%、50%、及び25%である。
【0023】
図8B、8C、及び8Dは、第1の実施形態の液晶アイリス10の上記例の、法線入射での正規化された透過輝度がそれぞれ75%、50%、及び25%となる1.41V、1.74V、及び2.22Vの印加電圧で計測された極座標等高線図を示す。これらの図の中央部分は透過率の角度依存性が弱いことを示し、したがってシミュレーション結果を検証するに、第1の実施形態の第1の態様の液晶アイリス10はカメラアイリスの用途に適していることを示している。
【0024】
図9は、本開示の電気光学液晶カメラアイリスの第1の実施形態の第2の態様として構成される液晶アイリス10’’’の簡略図である。第2の態様は、液晶が負の誘電異方性を有し、表面接触ダイレクタが液晶層の法線方向から小さいプレチルト角をなすものである。第2の態様も2つのECB液晶装置を用い、負の誘電異方性液晶の場合、ECB液晶装置は、より一般的には垂直配向ネマティック又はVAN液晶装置と称される。
【0025】
VAN液晶装置を用いる第1の実施形態の構造は、以下の記載を除いて、正の誘電異方性液晶を用いる第1の実施形態の第1の態様で
図5に示される液晶アイリス10の構造と同様である。第2の態様の液晶装置の偏向場は、第1の実施形態の第1の態様のECB液晶装置12及び14の偏向場16及び20とは異なる。したがって、
図9に示す第2の態様の液晶装置及び関連する偏向場には、対応する参照番号の後にトリプルプライム符号(’’’)を付して示してある。
【0026】
液晶アイリス10’’’は、第1のVAN液晶装置12’’’、及び第2のVAN液晶装置14’’’を備え、それぞれが負の誘電異方性を有する液晶を収容している。簡略化のために、各VAN液晶装置12’’’及び14’’’の複屈折整合コーティングは図から省略されている。VAN液晶装置12’’’及び14’’’は、それぞれ液晶ダイレクタ18’’’で構成される配向場16’’’、及び液晶ダイレクタ22’’’で構成される配向場20’’’を有する。各配向場16’’’及び20’’’は中間駆動電圧Vで示される。VAN液晶装置14’’’の配向場20’’’は、VAN液晶装置12’’’の配向場16’’’の鏡像である。すなわち、配向場20’’’における液晶ダイレクタ22’’’は、配向場16’’’における対応する液晶ダイレクタ18’’’と比べると反対に配置されている。
【0027】
VAN液晶装置12’’’は、基板プレート24
1’’’及び24
2’’’を含む、離間した対をなす第1の電極構造を有する。基板プレート24
1’’’上に形成される光学的に透明な電極26
1’’’は、対をなす第1の電極構造の一方に対する内面を構成し、この上に配向層28
1’’’が形成される。基板プレート24
2’’’上に形成される光学的に透明な電極26
2’’’は、対をなす第1の電極構造の他方に対する内面を構成し、この上に配向層28
2’’’が形成される。配向層28
1’’’及28
2’’’は、それぞれ配向面30
1’’’及び30
2’’’を有する。
【0028】
VAN液晶装置14’’’は、基板プレート32
1’’’及び32
2’’’を含む、離間した対をなす第2の電極構造を有する。基板プレート32
1’’’上に形成される光学的に透明な電極34
1’’’は、対をなす第2の電極構造の一方に対する内面を構成し、この上に配向層36
1’’’が形成される。基板プレート32
2’’’上に形成される光学的に透明な電極34
2’’’は、対をなす第2の電極構造の他方に対する内面を構成し、この上に配向層36
2’’’が形成される。配向層36
1’’’及び36
2’’’は、それぞれ配向面38
1’’’及び38
2’’’を有する。
【0029】
表面接触ダイレクタ18c’’’及び22c’’’は、それぞれ各配向面30
1’’’、30
2’’’、及び38
1’’’、38
2’’’と角度αをなす。表面接触ダイレクタの方位角方向は矢印で示されている。具体的にいうと、矢印40’’’は、配向面30
1’’’及び38
2’’’でのそれぞれ表面接触ダイレクタ18c’’’及び22c’’’の方位角方向を示し、矢印42’’’は、配向面30
2’’’及び38
1’’’でのそれぞれ表面接触ダイレクタ18c’’’及び22c’’’の方位角方向を示している。矢印42’’’は、VAN液晶装置12’’’及び14’’’それぞれの基板プレート24
2’’’及び32
1’’’の隣接又は対向する表面に平行である。
【0030】
表面接触ダイレクタの方位角方向40’’’及び42’’’に対して、偏光板46’’’の透過方向は、45°に設定され、偏光板48’’’の透過方向は−45°に設定される。光出力面54’’’と偏光板48’’’との間に位置するリターダフィルム44
3’’’は、第2の態様にある唯一のリターダフィルムである。
図5に示される第1の態様における正の誘電異方性液晶装置とは異なり、
図9のVAN液晶装置の残留リターダンスは比較的低く、リターダフィルムを追加することはできるが、通常はそのような小さい値を補償するリターダフィルムを必要としない。リターダフィルム44
3’’’の目的は、アイリス10’’’を透過する光の角度均一性を向上させることにある。リターダフィルム44
3’’’は、面内リターデーションR
0及び面外リターデーションR
thを有する2軸リターダであり、面内遅軸は隣接する偏光板48’’’の透過軸と平行に方向づけられ。
【0031】
図10は、
図9の液晶アイリス10’’’で表される第2の態様で、法線入射で計測された透過輝度電気光学曲線を示している。本例では、液晶は0.08の複屈折、及び−4.4の誘電異方性を有し、各VAN液晶装置12’’’及び14’’’のセルギャップは、2.40μmである。偏光板46’’’及び48’’’は、非偏光光で39%の透過率を有する高耐久型であり、保護TAC層を有し、それぞれ約−40nmの面外リターデーションを有する。2軸リターダは、55nmの面内リターデーション(R
0)及び220nmの面外リターデーション(R
th)を有する。透過輝度電気光学曲線上の点は、カメラのF値設定に対応する透過輝度値である。25%の透過輝度は、例えばf/2に相当し、曲線の右端に載っている点で示されている。F値(F−Stop)設定の増加とともに、透過輝度は2倍減少する。f/6では、透過輝度は1.5625%であり、f/12での曲線の左端の点では透過輝度は0.02441である。曲線の中間点は、f/2とf/12との間のF値設定単位に相当する。
【0032】
図11A、11B、及び11Cは、単一のVAN液晶装置を備える従来の液晶アイリスの場合の、f/2、f/6、及びf/12のF値設定での透過輝度の角度依存性を示す。角度データは、透過輝度の極座標等高線図の形で表されている。f/6及びf/12での透過輝度の角度依存の均一性は良くない。
図12A、12B、及び12Cは、液晶アイリス10’’’が
図9に示すように組み立てられるも、リターダフィルム44
3’’’を含まない2つのVAN液晶装置を備えている場合の、f/2、f/6、及びf/12のF値設定での透過輝度の角度依存性を示している。f/6での透過輝度の角度依存の均一性は大きく改善されるが、f/12での均一性はなおも劣っている。
図13A、13B、及び13Cは、液晶アイリス10’’’が
図9に示すように組み立てられ、かつ先に記載された2軸リターダ44
3’’’を含む2つのVAN液晶装置を備えている場合の、f/2、f/6、及びf/12のF値設定での透過輝度の角度依存性を示している。
図13Cを
図12Cと比較すると、f/12での透過輝度の角度依存の均一性が、2軸リターダ44
3’’’を加えることによって大きく改善されていることが分かる。
【0033】
第1の実施形態の第2の態様の多くの他の構成も、当然可能である。2軸リターダは、第2のVAN液晶装置14’’’の底面ではなく、第1のVAN液晶装置12’’’の上面に配置することもできる。あるいは、2軸リターダは上面及び底面の位置の両方に配置することもできる。2軸リターダは、Aプレートリターダ及び負のCプレートリターダをVAN液晶装置12’’’及び14’’’のスタックの各側に1つずつ組み合わせるか、又は別々にしたものを置き換えることができる。負のCプレートリターダは、VAN液晶装置12’’’と14’’’との間に配置することもできる。同様に、2軸リターダは、液晶が正の誘電異方性を有する第1の実施形態の第1の態様に追加することもできる。
【0034】
理想的には、液晶アイリスは、F値設定の全範囲にわたって無彩色性能を有するべきであり、すなわち、それ自体のいかなる着色も導入すべきでない。VAN液晶装置10’’’及び12’’’を有する第1の実施形態の第2の態様における液晶アイリス10の性能の測定結果は、F値依存の僅かな色ずれを示した。これは、
図14に、計測された「無染料」曲線によって定量的に示され、f/3からf/10までの範囲のF値設定での色座標(u’、v’)が1976CIE均等色空間に示されている。F値色域(F-Stop color gamut)といわれるV字状曲線は、(u’、v’)=(0.2105,0.4737)での等エネルギー白色点Eからある程度離れた距離に位置している。二色性染料の混合物を液晶に加えることによって、F値色域の全体の大きさを小さくするだけでなく、白色点に近い方向にF値色域を移動させることができる。これは、
図14において、白色点に向かってV字状の曲線部をシフトする破線の曲線「0.6%染料混合物」、及び白色点にほぼ近いV字状曲線をもたらす点線の曲線「1.2%染料混合物」によって示されている。
【0035】
0.6%染料混合物は、0.3wt%のイエロー染料G−470と、0.3wt%のマゼンタ染料G−241とを加えたネマティック液晶を含む。1.2%染料混合物は、これらの各染料を0.6wt%有するネマティック液晶を含む。G−470及びG−241染料は、日本のNagase社から粉末状で入手可能である。これら2つの染料の通常吸収係数α
O及び異常吸収係数α
Eのスペクトルが、1wt.%染料混合物に対して単位nm
−1で示されている。
【0036】
液晶に等方性染料を加えることによって、F値色域の色座標全てが、特定の染料色に依存する方向に同じ量シフトするが、全ての色座標が同じ量シフトするためF値色域の全範囲は同じである。単に外部色フィルターを追加するだけで同様の効果を達成することができる。液晶中に溶解した異方性染料による光の吸収は、他方では、液晶ダイレクタの配向に依存する。正の二色性染料は、F値色域をシフトするだけでなく、その大きさを小さくする。大きいF値設定ではVAN液晶装置内の配向場はほぼホメオトロピックであり、入力光は小さい通常吸収係数で相互作用するため、F値色域の全体の大きさは小さくなる。これにより、低いF値設定の場合に発生するよりも少なく色座標がシフトし、液晶はホメオトロピック配向から離れて傾斜し、光がより大きい異常吸収係数で相互作用する。正の二色性染料も、液晶が正の誘電異方性を有する第1の実施形態の第1の態様におけるのと同様の効果を有する。
【0037】
二色性染料をアイリスの2つの液晶装置に組み入れるのではなく、二色性染料、又は染料の混合物は、色調整装置といわれる1つ以上の、別の液晶電気光学装置に追加することができる。これらの装置は、2つのアイリス液晶装置から電気的に切り離されるため、色調整装置は、F値設定の間で色シフト量を最小化し、アイリスをより無彩色にするために独立して駆動させることができる。
図17は、破線の長方形によって示される第1、第2、及び第3の実施形態の液晶アイリスの偏光板46及び48の外側に位置する第1の色調整装置56と第2の色調整装置58とを組み入れた、本開示の液晶カメラアイリスのブロック図である。簡単化のために、液晶アイリス10が示され、その電極構造、基板、配向場、及びリターデーションフィルムは図から省略されている。アイリス10の第1及び第2の液晶装置12及び14はともに、所望のF値設定を実質的に生成するよう調整される電圧Vで駆動される。第1及び第2の色調整装置56及び58は、アイリス電圧Vと協働して、F値番号間での色合い及び色ずれを最少量にする所望のF値設定を生成するよう調節される色調整電圧V
1及びV
2で独立して駆動される。いったんアイリス10が校正されたら、適切な駆動電圧V、V
1、及びV
2は、例えば、ルックアップテーブルに入れ、さらなる調整をせずに一連の無彩色F値設定間で迅速に切り替えることができる。
【0038】
色調整装置56及び58は、液晶に加えられる二色性染料、又は染料混合物を含む、好ましくはECB液晶装置である。これらの色調整装置は、ゲスト−ホストECB装置といわれることがある。最大の色調整効果を達成するために、ECB色調整装置56及び58の表面接触ダイレクタの方位角方向は、それらの隣接する偏光板46及び48の偏光光の透過方向に平行に向けられる。
【0039】
次の例は、4.8μmのセルギャップ及び0.2%濃度のイエロー染料G470を有するVAN液晶装置から成る単一の色調整装置の使用例を示す。この例では、アイリスの液晶装置もVAN液晶装置である。
図18は、1976CIE均等色空間において、f/2からf/8まで変化するF値設定単位でシミュレートされたu’、v’色座標を示し、色調整装置を有さない場合と、単一のVAN色調整装置を有する単一のVAN液晶装置の場合とを比較している。
図18を参照すると、色調整がある場合の低いF値番号間での色の違いは、色調整がない場合に比べて非常に少なく、色は標準の白色点D55にかなり近い。この例では、以下の表は、
図18で与えられたF値設定の色座標を達成するために必要とされる色調整電圧V
1及びアイリス駆動電圧Vを示す。
【0041】
弾性定数、誘電定数、及び屈折率といった液晶の材料定数は、温度に依存することが知られている。したがって、所与のF値設定を達成するために必要とされる電圧は、液晶カメラアイリスの温度に依存する。
図19は、5℃から40℃の温度範囲にわたってf/2、f/6、及びf/10のF値設定を維持するために要求される駆動電圧の温度依存性を示している。
図19のデータは、負の誘電異方性液晶を有する第1の実施形態の第2の態様での計測により得られたが、本開示の液晶カメラアイリスの他の例及び実施形態からのF値設定も温度依存の駆動電圧を示すはずである。アイリスの位置に、又はその近くに温度センサを取り付け、駆動電圧を適切に調整する制御回路に温度情報を送信することによって、この温度依存の駆動電圧を自動的に調整することができる。これは、例えば、アイリスに配置するサーミスタ及び駆動電圧制御回路に実装されたルックアップテーブルを用いて達成することができる。
【0042】
図20は、本開示の電気光学液晶カメラアイリスの第2の実施形態の一例における、シミュレートされた透過輝度電気光学曲線を示す。第2の実施形態の構造は、以下の記載を除いて、
図5に示す液晶アイリス10の構造と同様である。第2の実施形態の液晶装置の配向場は、第1の実施形態におけるECB液晶装置12及び14の配向場16及び20、並びにECB液晶装置12’’’及び14’’’の配向場16’’’及び20’’’とは異なる。したがって、第2の実施形態における液晶装置及び関連する配向場は、対応する参照番号の後にプライムを付して示す。液晶MLC−7030(Δn=0.1126)がシミュレーションで用いられ、λを550nmの設計波長とすると、セルギャップd、液晶の複屈折Δnが概ね式Δn・d/λ=0.629で与えられるように、各液晶装置12’及び14’のセルギャップは3.07μmに設定される。プレチルト角は3°である。液晶装置12’は、配向面30
1’から配向面30
2’へのセルの厚さ寸法に沿って60°の層ねじれ角を有する。液晶装置14’は、配向面38
1’から配向面38
2’へのセルの厚さ寸法に沿って−60°の層ねじれ角を有する。液晶装置14’の配向場20’は、液晶装置12’の配向場16’の鏡像であるため、液晶装置14’のねじれ角は、液晶装置12’のねじれ角と反対にねじれ又は回転する。液晶装置12’及び14’は、各液晶装置12’及び14’の基板プレート24
2’及び32
1’の隣接又は対向している面での表面接触ダイレクタ18c’及び22c’の方位角方向42’が平行な配向となるように、互いに配置される。(60°のねじれ角のために、方位角方向42’は、基板プレート24
2’及び32
1’の面それぞれの表面接触ダイレクタ18c’及び22c’の投影を表す。)第2の実施形態において、入力偏光方向は、液晶装置12’の各配向面30
1’及び30
2’での表面接触ダイレクタ18cの方位角方向40’及び42’の間の角距離を概ね二等分するように設定される。正規化された透過輝度は2.61Vの印加電圧で50%であり、正規化された透過輝度は6.63Vで0.1%であり、このため、コントラスト比は1,000となる。第2の実施形態は、高コントラスト比を達成するための外部リターデーションを必要としない。
【0043】
図21は、法線入射で正規化された透過輝度が50%となる2.61Vの駆動電圧の印加で正規化された透過輝度の視野角依存を示す。これらのデータは、
図21に、正規化された透過輝度の極座標等高線図で表されている。
図21を、従来のTNアイリスの
図2と比べると、透過輝度の角度変化が非常に少ないことが明らかである。第2の実施形態の液晶アイリスは、光入射角度の広い範囲にわたって高コントラスト比を達成し、均一な階調を維持することができるため、カメラアイリスとしての用途に非常に適している。
【0044】
図22は、本開示の電気光学液晶カメラアイリスの第3の実施形態の例の、シミュレートされた電気光学曲線を示す。第3の実施形態の構造は、以降の説明を除いて、
図5に示す液晶アイリス10の構造と同様である。そのため、第3の実施形態の液晶装置の偏向場は、第1の実施形態におけるECB液晶装置12及び14の偏向場16及び20、液晶装置12’’’及び14’’’の偏向場16’’’及び20’’’とは異なる。そのため、第3の実施形態における液晶装置、及び関連する偏向場は、対応する参照番号の後にダブルプライム符号(’’’)を付して示してある。液晶MLC−7030(Δn=0.1126)は、シミュレーションで用いられ、各液晶装置12’’及び14’’のセルギャップは、λを550nmの設計波長とすると、セルギャップd、液晶の複屈折Δn倍の製品では、概ねΔn・d/λ=0.447となるように2.18μmに設定される。プレチルト角は3°である。液晶装置12’’は、配向面30
1’’から配向面30
2’’の厚さに沿ってねじれ角90°の層を有する。液晶装置14’’は、配向面38
1’’から配向面38
2’’の厚さに沿ってねじれ角−90°の層を有する。液晶装置14’’の偏向場20’’は液晶装置12’’の偏向場16’’の鏡像であるため、液晶装置14’’のねじれ角は、液晶装置12’’のねじれ角と反対のねじれである。液晶装置12’’及び14’’は、各液晶装置12’’及び14’’の基板プレート24
2’’及び32
1’’に隣接又は対向する面で表面接触ダイレクタ18c’’及び22c’’の方位角方向42’’が平行に配向されるように、ともに位置する。(ねじれ角が90°であるため、方位角方向42’’は、基板プレート24
2’’及び32
1’’の表面上の表面接触ダイレクタ18c’’及び22c’’の投影を表す。)第3の実施形態において、入力偏光方向は、液晶装置12’’の光入力面52’’での表面接触ダイレクタ18c’’の方位角方向40’’に対して、ほぼ20°に設定される。正規化された透過輝度は、2.69Vの印加電圧で50%であり、6.63Vでは0.1%であるため、これによりコントラスト比は1,000となる。第3の実施形態は、高コントラスト比を達成するために外部リターデーションを必要としない。
【0045】
図23は、法線入射で透過輝度が50%となる2.69Vの駆動電圧の印加のもとでの正規化された透過輝度の視野角依存を示す。これらのデータは、
図23に正規化された透過輝度の極座標等高線図で表されている。
図23を従来技術のTNアイリスの
図2と比較すると、階調レベル50%での角度依存の均一性はかなり改善されていることが明らかである。第3の実施形態の液晶アイリス装置は、光入射角度の広い範囲にわたって高コントラスト比を達成し、均一な階調を維持することができるため、カメラアイリスとしての用途に非常に適している。
【0046】
図24は、本開示の電気光学液晶カメラアイリスの3つの実施形態のいずれかの液晶アイリスを含むカメラモジュール60の一例のブロック図である。
図24は、簡便のために第1の実施形態の液晶アイリス10を示す。カメラモジュール60は、スマートフォンのハウジングに合う小型サイズの光学部品を含み、フルモーションビデオ、そして画像も提供する。カメラモジュール60に入る入力光50は、通過する光の量を制御する液晶アイリス10に入射する。レンズ62は、単一の部品として例示されているが、複合レンズ体とすることができ、光を収集し、例えばCCD又はCMOS型のイメージセンサ64に像を結ぶ。イメージプロセッサ66は、イメージデータを処理し、イメージ情報をコントローラ68に送信し、コントローラ68は、イメージをメモリ、液晶表示スクリーン、他のストレージ又は表示媒体に出力する。コントローラ68は、アイリスドライバ70にもイメージ情報を送信し、アイリスドライバ70は、イメージセンサ64に到達する光の量を制御するために液晶アイリスに適切な信号を加える。制御信号は、アイリスドライバ70にも、直接、加えられる。
【0047】
本発明の本質を逸脱することなく、上記の実施形態に多くの変更がなされることは、当業者には明らかだろう。例えば、液晶装置12の光学的に透明な電極26
1及び26
2、液晶装置14の光学的に透明な電極34
1及び34
2は、同心円状に生成され、調整可能な被写界深度を形成することができる。このような代替は、記載された他の実施形態にも適用可能である。さらに、液晶装置12で、表面接触ダイレクタ18cが配向面30
1となす角度αは、表面接触ダイレクタ18cが配向面30
2となす角度αと同一である必要はない。また、液晶装置14で、表面接触ダイレクタ22cが配向面38
1となす角度αは、表面接触ダイレクタ22cが配向面38
2となす角度αと同一である必要はない。このような代替は、記載された他の実施形態にも適用可能である。そのため、本発明の範囲は、次の請求項によってのみ決定される。