(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099985
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20170313BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20170313BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/06 311C
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-7152(P2013-7152)
(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公開番号】特開2014-138145(P2014-138145A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】島崎 洸一
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 嘉胤
【審査官】
岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−216477(JP,A)
【文献】
特開2013−008715(JP,A)
【文献】
特開平04−094167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336、21/822、27/04、29/76、
29/772−29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の表面に設けられた、交互に配置された複数のソース及び複数のドレイン、前記複数のソースと前記複数のドレインとの間に形成された偶数のチャネル、前記偶数のチャネルの上に配置された複数のゲート、及び、前記複数のソースと前記複数のドレインとを含む領域を囲んで配置されたバックゲートを備えたNMOSトランジスタと、
複数のソース配線により前記複数のソースと電気的に接続された接地電圧配線と、
複数のドレイン配線により前記複数のドレインと電気的に接続された入力電圧配線と、
前記接地電圧配線と全ての前記複数のゲートとを、前記バックゲートでかこまれた領域内において、それぞれ電気的に接続する複数のゲート配線と、
前記接地電圧配線の一端において電気的に接続された外部接続用の接地電圧パッドからの配線と、
前記入力電圧配線の他の一端において電気的に接続された外部接続用の入力電圧パッドからの配線と、
を備え、
前記接地電圧配線の一端と前記入力電圧配線の他の一端とは、前記NMOSトランジスタの中心を中心とし、対向しており、
前記一端における前記外部接続用の接地電圧パッドからの配線と前記他の一端における前記外部接続用の入力電圧パッドからの配線とは、ともに前記NMOSトランジスタのチャネル長方向に対して平行になるように配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数のソース配線は、同一形状の金属膜でそれぞれ形成され、
前記複数のドレイン配線は、同一形状の金属膜でそれぞれ形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記ゲート配線は、同一形状の金属膜でそれぞれ形成されている、
ことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ESD(静電気放電)保護回路用のNMOSトランジスタを備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、従来の半導体装置について説明する。
図2は、従来の半導体装置を示す平面図である。
ESDから内部回路を保護するESD保護回路には、通常NMOSトランジスタが使用される。このNMOSトランジスタのパターンは、例えば、
図2に示すようにレイアウトされる。
【0003】
NMOSトランジスタ90は、交互に配置される複数のソース及び複数のドレイン、それぞれのソースとドレインとの間に形成される複数で偶数となるチャネル、及び、それぞれのチャネルの上に設けられるゲート98を備える。ゲート98は、マルチフィンガータイプであり、一つのポリシリコンで構成され、各ソースは、ソース配線99にそれぞれ接続され、各ドレインは、ドレイン配線97にそれぞれ接続される。このドレイン配線97は、延長されてパッド80に接続される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−294740号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1によって開示された技術では、
図2において、ソース配線99が図の下方から接続されているので、NMOSトランジスタ90の図中の下のチャネルに対するソース配線99の寄生抵抗の値は、図中の上のチャネルに対するソース配線99の寄生抵抗の値よりも低い。つまり、各チャネルに関するソース配線99の寄生抵抗の値が異なっている。
【0006】
すると、各チャネルにおいて、ESDによるサージ電流が均一に流れにくいことになる。つまり、サージ電流が特定のチャネルに集中しやすい。ここでは、サージ電流は図中下のチャネルに集中しやすい。よって、ESD保護回路用のNMOSトランジスタ90において、極所発熱による破壊が発生しやすく、ESD耐量が低くなってしまう。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、ESD耐量の高い半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、ESD保護回路用のNMOSトランジスタを備える半導体装置において、交互に配置される複数のソース及び複数のドレイン、前記ソースと前記ドレインとの間の複数で偶数のチャネル、及び、複数の前記チャネルの上に設けられる複数のゲートを備える前記NMOSトランジスタと、外部接続用の接地電圧パッドからの配線と、自身の配線方向の一端で、電気的に接続される接地電圧配線と、外部接続用の入力電圧パッドからの配線と、自身の配線方向の一端で、電気的に接続される入力電圧配線と、前記接地電圧配線と複数の前記ソースとを、それぞれ電気的に接続する複数のソース配線と、前記入力電圧配線と複数の前記ドレインとを、それぞれ電気的に接続する複数のドレイン配線と、前記接地電圧配線と複数の前記ゲートとを、それぞれ電気的に接続する複数のゲート配線と、を備え、前記接地電圧配線の一端と前記入力電圧配線の一端とは、前記NMOSトランジスタの中心を中心とし、略対向する、ことを特徴とする半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、NMOSトランジスタの各チャネルにおいて、各チャネルに関するソース配線及びドレイン配線の寄生抵抗の値が異なるが、ソース配線の寄生抵抗とドレイン配線の寄生抵抗との合計抵抗の値はほぼ等しくなる。すると、各チャネルにおいて、サージ電流が均一に流れやすくなる。つまり、サージ電流が特定のチャネルに集中しにくくなる。よって、ESD保護回路用のNMOSトランジスタにおいて、極所発熱による破壊が発生しにくくなり、ESD耐量が高くなる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、半導体装置の構成について説明する。
図1は、半導体装置を示す平面図である。
半導体装置は、ESD保護回路用のNMOSトランジスタ10、接地電圧配線22a、及び、入力電圧配線23aを備える。NMOSトランジスタ10は、交互に配置される複数のソース12及び複数のドレイン13、ソース12とドレイン13との間の複数で偶数のチャネル、複数のチャネルの上に設けられる複数のゲート11、及び、ソース12及びドレイン13を囲うよう配置されるバックゲート14を備える。ここで、NMOSトランジスタ10のチャネル長方向の最も端の拡散領域は、ソース12である。
【0012】
ここで、接地電圧配線22aは、概ね長方形をなしており、外部接続用の接地電圧パッドからの配線22bと、自身の配線方向の一端で、電気的に接続される。即ち、
図1では外部接続用の接地電圧パッドからの配線22bが左から接地電圧配線22aに接続されており、接続される一端は図の上下方向に走っているとする。同様に、入力電圧配線23aは、概ね長方形をなしており、外部接続用の入力電圧パッドからの配線23bと、自身の配線方向の他の一端で、電気的に接続される。即ち、
図1では外部接続用の入力電圧パッドからの配線23bが右から入力電圧配線23aに接続されており、接続される他の一端は図の上下方向に走っているとする。接地電圧配線22aの一端と入力電圧配線23aの他の一端とは、NMOSトランジスタ10の中心を中心とし、略対向する。即ち、点対称の位置に近い配置となっている。ただし、この時、接地電圧配線22aの一端と入力電圧配線23aの他の一端とが、NMOSトランジスタ10の中心を通る図内の水平線に対し、上下対称の位置にあってはならない。また、外部接続用の接地電圧パッドからの配線22bと外部接続用の入力電圧パッドからの配線23bとは、一般的には、NMOSトランジスタ10のチャネル長方向に対してともに平行に配置されているとする。
【0013】
複数のソース配線22は、接地電圧配線22aとコンタクト19を介する複数のソース12とを、それぞれ電気的に接続する。複数のドレイン配線23は、入力電圧配線23aとコンタクト19を介する複数のドレイン13とを、それぞれ電気的に接続する。複数のゲート配線21は、接地電圧配線22aとコンタクト19を介する複数のゲート11とを、それぞれ電気的に接続する。バックゲート配線24は、接地電圧配線22aとコンタクト19を介するバックゲート14とを、電気的に接続する。
【0014】
ここで、ゲート11は、半導体基板上で、ポリシリコンで構成される。ソース12及びドレイン13は、P型の半導体基板の表面に設けられるN型の拡散領域である。バックゲート14は、P型の半導体基板の表面に設けられるP型の拡散領域である。ソース配線22などの全ての配線は、半導体基板上で、アルミニウムや銅などの金属膜で構成される。
【0015】
また、複数のソース配線22は、同一形状の金属膜でそれぞれ形成される。複数のドレイン配線23は、同一形状の金属膜でそれぞれ形成される。複数のゲート配線21は、同一形状の金属膜でそれぞれ形成される。
【0016】
次に、外部接続用の入力電圧パッドへの入力電圧が通常である場合の、ESD(静電気放電)から内部回路を保護するESD保護回路用のNMOSトランジスタ10の動作について説明する。
【0017】
ソース12とゲート11とバックゲート14との電圧は、接地電圧であり、ドレイン13の電圧は、入力電圧である。よって、通常時では、NMOSトランジスタ10は、オフしており、ドレイン13に印加される入力電圧に影響を与えない。
【0018】
次に、外部接続用の入力電圧パッドにESDによるサージ電流が流れる場合の、NMOSトランジスタ10のESD保護動作について説明する。
ESDによるサージ電流が、入力電圧パッドから接地電圧パッドに流れる。この時、NMOSトランジスタ10の寄生ダイオードは、ブレイクダウン動作により、このサージ電流を逆方向に流している。すると、入力電圧パッドは半導体装置の内部回路に電気的に接続されているが、入力電圧パッドからのサージ電流は内部回路に流れない。よって、内部回路がサージ電流から保護される。
【0019】
この時、NMOSトランジスタ10において、接地電圧パッドからの配線22bに近いソース12では、接地電圧パッドまでの寄生抵抗の値が小さくなり、遠いソース12では、値が大きくなる。同様に、入力電圧パッドからの配線23bに近いドレイン13では、入力電圧パッドまでの寄生抵抗の値が小さくなり、遠いドレイン13では、値が大きくなる。つまり、NMOSトランジスタ10の各チャネルにおいて、各チャネルに関するソース配線22及びドレイン配線23の寄生抵抗の値が異なるが、ソース配線22の寄生抵抗とドレイン配線23の寄生抵抗との合計抵抗の値はほぼ等しくなる。すると、各チャネルにおいて、サージ電流が均一に流れやすくなる。つまり、サージ電流が特定のチャネルに集中しにくくなる。よって、ESD保護回路用のNMOSトランジスタ10において、極所発熱による破壊が発生しにくくなり、ESD耐量が高くなる。
【0020】
従って、接地電圧配線22aの一端と入力電圧配線23aの他の一端とが、NMOSトランジスタ10の中心を通る図内の水平線に対し、上下対称の位置にあると、このような効果を得ることができず、中心に近いチャネルと中心から遠いチャネルとの間に寄生抵抗の差が生じてしまい、均一な動作が難しくなってしまう。
【0021】
なお、各ゲート11同士は、ポリシリコンで接続されても良い。
また、各ゲート11は、接地電圧配線22aでなくて各ソース配線22に、それぞれ接続されても良い。
また、各ゲート11において、ゲート11と接地電圧配線22aとの間に、抵抗成分が存在しても良い。
また、ソース12とドレイン13とバックゲート14とは、P型の半導体基板でなくてP型のウェルの表面に設けられても良い。
【符号の説明】
【0022】
10 NMOSトランジスタ
11 ゲート
12 ソース
13 ドレイン
14 バックゲート
19 コンタクト
21 ゲート配線
22 ソース配線
22a 接地電圧配線
22b 接地電圧パッドからの配線
23 ドレイン配線
23a 入力電圧配線
23b 入力電圧パッドからの配線
24 バックゲート配線