(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に関わるインクジェット記録装置100の構成を示す。
図1において、101はインクジェット記録装置全体を制御するCPU(セントラルプロセッシングユニット)、102はインクジェット記録装置内で一時的に入力したデータ、計測したデータ及び演算したデータを記憶しておくRAM(ランダムアクセスメモリ)、103は、印字プログラムなどのソフトウェアやロータリーエンコーダのパルス数と、印字ヘッド移動距離、印字開始位置、印字間隔との対応関係を記憶するROM(リードオンリーメモリ)、104は往復移動する印字ヘッドの印字方向、印字ヘッドの移動距離、印字書き出し位置、印字内容及び印字回数、印字間隔のデータを入力し設定するパネル、105はインクジェット記録装置の印字動作を制御する印字制御回路、106は分周回路、107は印字内容を文字信号にする文字信号発生回路、108はロータリーエンコーダ118のパルス信号を入力する回路、109はデータを伝送するバスライン、110はインクジェット記録装置の印字ヘッド、111はインクを吐出するノズル、112はノズル111より吐出したインクが粒子になりそのインク粒子に電荷を加える帯電電極、113は帯電したインク粒子を偏向する偏向電極、114は印字に使用しないインク粒子を回収するガター、115はガター114より回収されたインクを再びノズル111へ供給するポンプ、116は印字の対象となる被印字物、117は被印字物を搬送するベルトコンベア、118はコンベアに接続するロータリーエンコーダである。
【0016】
図1のベルトコンベアの上に載置された被印字物の構成は一般的な構成を示しており、本発明の被印字物の構成は
図2に示すものである。
図2は、インクジェット記録装置の印字ヘッドが往復移動して被印字物に印字する構成を示し、また被印字物は印字している間は停止しており、印字が終了すると移動し、次の被印字物に印字する構成を示す。
【0017】
図2において、110は印字ヘッド、120は照明装置付き印字検査用カメラ、121は印字ヘッド及び検査用カメラが移動するためのベース、122は印字ヘッド及び検査用カメラを取り付け、ベース121をスライドして往復移動する移動台である。また、ロータリーエンコーダ118は、移動台122に設置され、移動台すなわち印字ヘッド110が移動したらロータリーエンコーダ118よりパルス信号を発生する。123はベルトコンベア117のコントローラである。また、ベルトコンベア117に載置された被印字物116は、例としてプリンの蓋に賞味期限などを印字する場合を示し、横一列に4個配置している。
図において、インクジェット記録装置本体と印字ヘッド110の信号線は省略している。
【0018】
次に、
図2に示した印字システムの動作について説明する。
先ず、ベルトコンベア117に載置され、一列に4個並べられた被印字物116のプリンの蓋が印字されるとき、プリンの蓋が所定位置に移動して停止する。次に、印字ヘッド110は、座標軸を
図2のようにするとX方向の原点に移動し、印字制御モードに入ると原点から移動し、最初のプリンの蓋の箇所で印字を開始し、移動しながらプリンの蓋の印字を行う。そして、1回目の印字が完了すると、印字ヘッドは移動し次のプリンの蓋の位置に達したとき印字を行う。
これを繰り返して4個のプリン蓋の印字が完了すると、印字ヘッド110は終了の定位置まで移動し、ロータリーエンコーダをリセットして往復移動の往路の動作は終了する。そして次に印字ヘッド110の帰り(戻りまたは復路)の動作を行う。
帰り(戻りまたは復路)動作において、印字する箇所があれば往路と同じ動作を行い、印字する箇所がなければ原点まで戻る。
また、印字ヘッド110が往復移動するとき、印字ヘッドに接続され固定された照明装置付き印字検査用カメラは、1つ前の列の印字を検査する。すなわち、検査カメラ120と印字ヘッド110の長さを、プリンの蓋の印字の列の分の長さとしているため1個前の列の印字を検査できる。
このように、印字ヘッド110の往復の動作により1列の印字が完了すると、ベルトコンベア117は一列分移動し、次に印字されるプリンの蓋の一列分が準備され、印字される。これを繰り返して、被印字物116が印字される。
【0019】
また、本発明は、印字生産計画に従って、例えば、コンベア上に載置され搬送される多数かつ複数種類の被印字物に対して、印字すべき印字データと被印字物に何回あるいは何個印字するかに関するデータをインクジェット記録装置パネル104で予め入力して設定し、RAM102に記憶する。CPU101は、印字制御プログラムを動作し、入力したロータリーエンコーダのパルス信号により印字を行う。
【0020】
次に、
図3に印字生産計画に従って、パネル104の印字条件設定画面にて印字方向、印字ヘッド移動距離、印字開始位置すなわち印字書き出し位置、登録印字データの名称、印字回数、印字間隔などデータ群を設定する図を示す。また、印字ヘッド移動距離、印字書き出し位置、印字間隔の設定単位をメートル単位で設定することが可能である。また、被印字物へ印字するための条件である印字開始位置、印字する内容、印字と次の印字までの間隔、印字する回数、印字ヘッドを移動して印字する場合の移動距離など含む設定データ群を少なくとも2つ以上RAMに記憶することができる。
図3において、
図3(a)の印字設定画面1と
図3(b)の印字設定画面2は独立した画面を示し、
図3(a)の印字方法は
図4に示し、
図3(b)の印字方法は
図5に示す。
【0021】
図3(a)の印字設定画面1において、「印字方向」は「正方向」と設定する。「正方向」は、
図2の座標でX=0(原点)から終点に向かう方向をいう。また、「ヘッド移動距離」は「1000」mmと入力し、「書き出し位置」は「200」mmと入力する。また、「印字内容1及び回数」は、「登録データ1」と「2」回を入力する。「印字内容1」で、「登録データ1」を設定すると「登録データ1」という名称のファイルから印字データを読み出し、2回印字することを意味している。
同様に、「印字内容2及び回数」に、「登録データ2」を入力し、「回数」に「2」回を入力すると、「登録データ2」の登録ファイルより印字するデータが読み込まれ、2回印字する。また、「印字間隔」の項目に「200」mmと入力すると、印字を200mm間隔で印字する。
【0022】
次に、
図3(a)に示したパネル104にて入力したデータに基づいて動作する印字ヘッド110について、
図4を用いて説明する。
図4において、
図4(a)は
図3(a)に示したパネルで、
図4(b)はロ―タリーエンコーダ118のパルス信号を示し、
図4(c)は印字ヘッド110の印字方向及び印字状態を示し、
図4(d)は印字ヘッド110の帰り(戻りまたは復路)の状態を示している。
図4(c)において、印字ヘッド110が移動距離1000mmを移動するとき、
図2の座標軸でX=0の点を原点とし、原点より正方向に移動する。
印字ヘッド110が原点より移動し、書き出し位置すなわち印字開始位置200mmに達したら印字を開始する。印字する文字は、「登録データ1」に登録され記憶された印字文字「111」を印字し、次に、印字ヘッドが200mm移動した点で、印字文字「111」を印字する。これは、印字間隔を「200」mmに設定しており、「印字内容1及び回数」を「登録印字データ1」及び「2」回と設定しているからである。
【0023】
さらに、印字ヘッド110が200mm移動し、印字文字「222」を印字する。印字文字「222」は「印字内容2」に入力した「登録データ2」に登録、記憶されている印字文字で、これを2回印字する。従って、印字文字「222」を印字した後、印字ヘッド110が「200」mm移動した点すなわち文字間隔の分を移動した点で、2回目の印字「222」を印字する。
そして、4個の印字が終了した後、印字ヘッド110は終点まで移動して停止する。
また、印字ヘッド110が原点より終点まで移動する間、ロータリーエンコーダ118より
図4(b)に示すようにパルス信号が発生する。
印字ヘッド110が一列の被印字物の文字を全て印字したら終点まで移動し、帰り(戻りまたは復路)に印字する文字が設定されていなければ、
図4(d)に示すように印字ヘッド110は原点まで移動(原点復帰)し、原点で停止し、次の指令を待つ。
【0024】
また、
図4において、CPU101で実行される印字制御プログラムはRAM102に保存されている印字条件からROM103にある登録印字データ1を読み出し、印字用インク粒子の帯電電圧を作成する。また、ロータリーエンコーダ118から移動速度に比例した周期をもつエンコーダパルス信号が入力回路108と分周回路106を介して、インクジェット記録装置に入力する。このエンコーダパルス信号および文字間インターバルS(mm)による印字ヘッドの移動距離を計算する。
【0025】
印字横方向スキャン数/文字間インターバルS=X スキャン/mm (数1)
上記(数1)でコンベヤが1mm移動する間に入力されたエンコーダパルス信号のスキャン回数を計算できる。印字ヘッドの移動を開始すると、RAM102に保存された印字開始位置の設定値200mmを取得し、印字ヘッドの移動距離1000mmと相当するパルス数を達すると、作成済み登録印字データ1の印字用インク粒子の帯電電圧をインク粒子に帯電させ、正方向で印字内容“111”を被印字物116に印字する。印字完了後に、実際の印字回数とRAM102に規定された印字回数を比較し、印字回数と一致せず場合には印字を継続する。印字回数と一致する場合には、登録印字データ1の印字動作を終了し、印字内容2の存在有無を判定する。印字内容2が存在しないことを判定すると、印字終了となる。
また、毎回印字開始時に、CPU101で実行される印字制御プログラムはRAM102に保存された印字間隔の設定値200mmを取得する。印字開始位置からさらに200mmと相当するパルス数を検知するとき、次の印字を行う。
【0026】
印字条件設定画面で設定されたヘッド移動距離1000mmに相当するパルス数を検知するとき、CPU101で実行される印字制御プログラムは未実行の印字条件データの存在有無を判定し、すべて印字条件データが実行したと判定した場合、印字動作を停止して印字ヘッドは印字開始時のヘッド位置に戻る。
(実施例2)
次に、印字ヘッドが逆方向に移動し、印字する場合について説明する。
図3(b)に示したパネル104において、項目「印字方向」を「逆方向」を設定し、「ヘッド移動距離」に「1000」mmを入力し、「書き出し位置」すなわち印字開始位置に「200」mmを入力し、「印字内容1及び回数」を「登録データ3」及び「2」回と設定し、さらに、「印字内容2及び回数」を「登録データ4」及び「2」回と設定し、印字間隔を「200」mmと設定した場合の印字方法について説明する。
【0027】
図5は、
図3(b)に示したパネル104で入力し設定した場合の印字方法を示す。
図5において、
図5(a)は
図3(b)に示したパネル104を示し、
図5(b)はロータリーエンコーダ118のパルス信号を示し、
図5(c)は印字ヘッド110の印字方向及び印字方法を示し、
図5(d)は印字ヘッドの原点復帰の状態を示す。
【0028】
先ず、
図5(c)において、印字ヘッド110の原点すなわち移動開始する地点(
図4(c)においては終点)から印字ヘッドは逆方向に移動する。移動開始地点(原点)から終点(
図4(c)においては原点)までの距離は1000mmである。そして、印字ヘッド110が逆方向に移動し、200mm移動した地点で、「登録データ3」に登録された印字文字「333」を印字する。
さらに、逆方向に移動し、200mm移動した地点で印字文字「333」を印字する。さらに、逆方向に移動し、200mm移動した地点で、「登録データ4」に登録された印字文字を読み出し、印字文字「444」を印字する。
さらに、逆方向に移動し、200mm移動した地点で、印字文字「444」を印字し、終点まで移動する。印字ヘッドが終点まで移動した後、帰り(戻りまたは復路)に印字することがないため、
図5(d)に示すように移動開始地点まで戻る(原点復帰)。
また、印字ヘッド110が原点である移動開始地点より距離1000mmを移動する間に、ロータリーエンコーダ118より
図5(b)に示すようにパルス信号が発生する。このパルス信号のパルス数により印字ヘッドを制御する。
これについては
図4において説明しているので説明は省略する。
【0029】
また、
図5において、CPU101で実行される印字制御プログラムはRAM102に保存されている印字条件からROM103にある登録印字データ3を読み出し、印字用インク粒子の帯電電圧を作成する。ロータリーエンコーダ118から移動速度に比例した周期をもつエンコーダのパルス信号が入力回路108と分周回路106を介して、インクジェット記録装置に入力する。
図4に説明したように、コンベヤが1mm移動する間に入力されたエンコーダパルス信号のスキャン回数を(数1)で計算する。
【0030】
印字ヘッドの移動を開始すると、RAM102に保存された印字開始位置の設定値200mmを取得し、印字ヘッドの移動距離1000mmと相当するパルス数に達すると、作成済み登録印字データ3の印字用インク粒子の帯電電圧をインク粒子に帯電させ、逆方向で印字内容“333”を被印字物116に印字する。印字完了後に、実際の印字回数とRAM102に保存された規定印字回数を比較し、保存された印字回数と一致せず場合には印字を継続する。
【0031】
実際印字回数は保存された印字回数と一致する場合には、登録印字データ3の印字動作が終了し、印字内容4の存在有無を判定する。印字内容4が存在することを判定すると、ROM103に保存された登録データ4を自動的に読み出し、印字用のインク粒子の帯電電圧を作成する。
【0032】
また、毎回印字開始時に、CPU101で実行される印字制御プログラムはRAM102に保存された印字間隔の設定値200mmを取得する。印字開始位置からさらに200mmと相当するパルス数を検知するとき、次の印字を行う。
【0033】
印字データ設定画面で設定されたヘッド移動距離1000mmと相当するパルス数を検知するとき、CPU101で実行される印字制御プログラムは未実行の印字条件データの存在有無を判定し、すべて印字条件データが実行したと判定した場合、印字動作を停止して印字ヘッドは印字開始時のヘッド位置に戻る。
(実施例3)
次に、印字ヘッドが往復移動時において印字する場合について、
図6を用いて説明する。
図6において、
図6(a)は印字ヘッド110が往復移動するときの往路の場合の印字条件を入力するパネル104を示し、
図6(b)は帰り(戻りまたは復路)の場合の印字条件を入力するパネル104を示す。
図6(c)はロータリーエンコーダ118のパルス信号を示し、
図6(d)は印字ヘッド110が往路の場合の印字方法を示し、
図6(e)は帰り(戻りまたは復路)の印字方法を示す。
【0034】
図6(a)の印字設定画面1において、印字ヘッド110が原点(X=0)より移動し、印字する方向を「正方向」とし、印字ヘッドの移動距離を「1000」mmと設定し、「書き出し位置」すなわち印字開始位置を「200」mmと設定する。また、「印字内容1及び印字回数」は、「登録データ1」及び「2」回とし、「印字内容2及び印字回数」は、「登録データ2」及び「2」回と設定する。また、「印字間隔」は「200」mmと設定する。
【0035】
次に、印字ヘッドが帰り(戻りまたは復路)の移動時の印字設定画面2において、「印字方向」は「逆方向」、「ヘッド移動距離」は「1000」mm、「書き出し位置」は「200」mm、「印字内容1及び印字回数」は「登録データ3」及び「2」回、「印字内容2及び印字回数」は「登録データ4」及び「2」回、「印字間隔」は「200」mmをそれぞれ設定する。
【0036】
図6(d)において、印字ヘッド110が正方向に移動し印字する場合、印字ヘッド110の移動距離は1000mmで、印字書き出し位置すなわち印字開始位置である200mmに到達したら、被印字物116に印字文字「111」を印字する。そして印字ヘッドがさらに200mm移動し、次の被印字物116に印字文字「111」を印字する。さらに、印字ヘッドが200mm移動し、次の被印字物116に印字文字「222」を印字し、さらに、印字ヘッドが200mm移動し、次の被印字物116に印字文字「222」を印字し、印字ヘッド110は終点まで移動する。
印字文字「111」は「登録データ1」の登録ファイルに記憶された文字データで、印字文字「222」は「登録データ2」の登録ファイルに記憶された文字データである。
【0037】
次に、印字ヘッド110が帰り(戻りまたは復路)に印字する場合を
図6(e)にて説明する。
往路で終点まで移動した印字ヘッド110は、逆方向に移動し、移動開始より200mm移動した地点で印字を行い、被印字物116に印字文字「333」を印字する。さらに、逆方向に200mm移動した地点で、被印字物116に印字文字「333」を印字する。さらに、逆方向に200mm移動した地点で、被印字物116に印字文字「444」を印字する。そして、さらに、逆方向に200mm移動した地点で、被印字物116に印字文字「444」を印字する。
【0038】
ここで、印字文字「333」は「登録データ3」の登録ファイルに記憶された文字データで、印字文字「444」は「登録データ4」の登録ファイルに記憶された文字データで、これらのファイルに記憶された印字データを読み出して印字している。
【0039】
また、
図6においては、被印字物のある領域に往路で文字「111」または文字「222」を各々2個の被印字物に印字し、帰り(戻りまたは復路)に文字「333」または文字「444」を各々文字「111」または文字「222」の横に印字する場合を示す。すなわち、被印字物の1段に異なる文字を印字する場合を示している。
【0040】
また、
図4及び
図5と同じように、印字ヘッド110の原点移動から印字書き出し位置すなわち印字開始位置、印字間隔の距離、及び印字ヘッド移動距離の制御は、ロータリーエンコーダ118から発生したパルス数にて制御している。すなわち、印字ヘッド110の移動距離1000mm、印字書き出し位置200mm、及び印字間隔200mmに対応するロータリーエンコーダのパルス数は、予め計測し演算などにより求めておいてRAM102に記憶して、数値が入力されたとき、その距離に応じたパルス数を読み出して印字ヘッドの制御に使用される。
【0041】
また、
図6において、最初にCPU101で実行される印字制御プログラムはRAM102に保存されている印字条件1からROM103より登録印字データ1を読み出し、印字用インク粒子の帯電電圧を作成する。ロータリーエンコーダ118から移動速度に比例した周期をもつロータリーエンコーダのパルス信号が入力回路108と分周回路106を介して、インクジェット記録装置に入力する。コンベヤが1mm移動する間に入力されたロータリーエンコーダのパルス信号のスキャン回数を(数1)で計算する。
【0042】
印字ヘッド110の移動を開始すると、RAM102に保存された印字開始位置の設定値200mmを取得し、印字ヘッドの移動距離200mmと相当するパルス数に達すると、作成済み登録印字データ1の印字用インク粒子の帯電電圧をインク粒子に帯電させ、正方向で印字内容“111”を被印字物116に印字する。印字完了時に、実際印字回数とRAM102に保存された該当設定データ群の規定回数を比較し、保存された印字回数2回と一致せず場合には印字を継続する。
【0043】
実際印字回数は保存された印字回数と一致する場合には、登録印字データ1の印字動作が終了し、印字内容2の存在有無を判定する。印字内容2が存在することを判定すると、ROM103に保存された登録データ2を自動的に読み出し、印字用のインク粒子の帯電電圧を作成する。
【0044】
また、毎回印字を開始時に、CPU101で実行される印字制御プログラムはRAM102に保存された印字間隔の設定値200mmを取得する。印字開始位置からさらに200mmと相当するパルス数を検知するとき、次の印字を行う。
【0045】
印字データ設定画面で設定されたヘッド移動距離1000mmと相当するパルス数を検知するとき、CPU101で実行される印字制御プログラムはRAM102に未実行の印字条件データ存在有無を判定する。存在する場合、その印字条件データに従って印字制御を行う。
【0046】
次に、
図6の印字方法を制御する手段について、
図7を用いて説明する。
図7は、
図6の印字方法の制御手段を有した構成図を示す。
図7において、予め印字ヘッド110は移動を開始して、印字ヘッド移動距離を「ヘッド移動距離計測手段」にて計測し、実際移動する距離に対応したロータリーエンコーダのパルス数を求め、距離とパルス数の関係を設定しておき記憶する。
また、「ヘッド移動距離計測手段」は、印字ヘッドが印字するために移動している場合も、ロータリーエンコーダのパルス数を計測して距離を算出している。
【0047】
次に、印字ヘッド110が、原点から移動開始してから「書き出し位置計測手段」により、書き出し位置すなわち印字開始位置までに距離、例えば200mmの距離を移動するときのロータリーエンコーダのパルス数を計測して、200mmに対応するパルス数に到達したら、登録ファイルから印字データを読み出して印字を開始する。
【0048】
本発明は、上記のように、ロータリーエンコーダ118のパルス信号の数値を用いて印字ヘッドを制御しているが、その効果について説明する。
印字ヘッドの移動時に速度のむらがある場合、パルス信号は等間隔にはならず、例えば、印字開始位置を200mmに設定しているとき、印字ヘッドの移動時に速度むらがあっても200mm移動するときそのロータリーエンコーダ118のパルス数は、変わらずある定まった数値となる。
もし、ロータリーエンコーダ118のパルス信号でなく、一定周期のクロック信号を用いた場合は、200mm移動するときクロック信号の数値を計測すると、印字ヘッドの移動時の速度むらのため誤差を含んだ数値となり正確な計測ができない。従って、ロータリーエンコーダのパルス数を用いて印字ヘッドを制御することで、高精度に制御可能となる。
【0049】
次に、印字完了後に、毎回「印字回数比較手段」を用いて設定される印字回数と比較し、一致しない場合は印字を継続する。一致する場合は、「印字データ更新手段」を用いて、印字条件で設定されていた次の登録印字データを読み出し、印字する。
また、「印字間隔手段」は、例えば印字間隔を200mmに設定した場合、印字ヘッドの移動時のロータリーエンコーダのパルス数が距離200mmに対応したパルス数に到達することを検知するものである。
【0050】
次に設定されているヘッド移動距離(図では1000mm)とそれに相当するロータリーエンコーダのパルス数を検知したとき、「印字条件データ更新手段」により、未実行の印字条件データを読み出し、その新しい印字条件データに従って、次の印字動作を行う。
但し、全印字条件データを実行し、印字ヘッドが最初の原点位置になっていない場合は、「印字ヘッド原点復帰手段」によって印字ヘッドが印字開始時のヘッド位置に原点復帰を行う。
【0051】
次に、
図7において、印字ヘッドが逆方向に移動即ち帰り(戻りまたは復路)の場合につても、印字書き出し位置は「書き出し位置計測手段」により印字開始を行い、印字間隔は「印字間隔計測手段」により間隔距離200mmに相当するロータリーエンコーダのパルス数を検知したら印字する。
また、「印字回収比較手段」は、印字完了後に設定される印字回数と比較し、設定回数に達していなければ印字を継続し、達していれば「印字データ更新手段」により次の登録印字データを読み出し、印字する。
また、「印字間隔手段」は、印字間隔が200mmの場合、この距離に対応したロータリーエンコーダのパルス数に達したことを検知して印字する。
【0052】
すなわち、
図7において、印字ヘッド110移動を開始してから、ヘッド移動距離の計測手段による印字ヘッドの移動距離計測を行う。印字開始位置計測手段で印字開始位置の計測を行い、規定された印字開始位置と相当するパルス数を検知すると、読み出した登録印字データを印字する。毎回印字完了後に、印字回数比較手段を使用して設定される印字回数と比較し、一致しない場合には印字を継続する。一致する場合には、印字データ更新手段を行い、印字条件で設定されていた次の登録印字データを読み出し印字する。規定されるヘッド移動距離と相当するパルス数を検知した際に、印字条件データ切替える手段による未実行の印字条件データを読み出し、その新しい印字条件データに従って次の印字動作を行う。但し、全印字条件データを実行し、印字ヘッドは最初位置になってない場合には、ヘッド原点復帰手段による印字ヘッドが印字開始時のヘッド位置に原点復帰を行う。
【0053】
次に、印字ヘッド110が移動して印字している途中で、ロータリーエンコーダのパルス信号が一定時間以上入力されない場合について説明する。
図8は、CPU101で実行される印字制御プログラム上で設けられた各制御手段を示す印字制御の図で、印字している途中で、ロータリーエンコーダのパルス信号が発生しない状況を示している。
【0054】
図8において、印字ヘッド110の移動開始から「ヘッド移動計測手段」により印字ヘッド移動距離計測を行い、例えば設定された距離1000mmに達したかを常に確認する。
「書き出し位置計測手段」で、印字書き出し位置すなわち印字開始位置の計測を行い、設定された200mmに相当するロータリーエンコーダのパルス数を検知すると、メモリより読み出した登録印字データ「111」を印字する。
印字完了後は、「印字回数比較手段」を用いて設定される印字回数と比較し、設定値に達していなければ印字を継続する。設定値と同じであれば、「印字データ更新手段」により、印字条件で設定された次の登録印字データを読み出して印字する。
図8において、印字文字「111」を印字間隔200mmで2回印字し、さらに、印字文字「222」を印字した後、ロータリーエンコーダよりパルス信号が発生していない。
このような状況において、その原因は(1)印字ヘッド110が移動していない、(2)ロータリーエンコーダがロックしている、の場合が考えられる。
(1)、(2)の場合において、ロータリーエンコーダ118からはパルス信号は発生しない。このように、印字途中でパルス信号が一定時間以上「ヘッド移動計測手段」にて入力されないとき、一連の印字動作を停止して、「印字ヘッド原点復帰手段」により印字ヘッドは印字開始時のヘッド位置に戻る。
【0055】
また、このような異常な状況の場合、周囲に警告を発するようにする。そのシステムを
図9に示す。
図9は、インクジェット記録装置のシステムにおいて、警告灯119をCPU101とバスライン109で接続し、印字に異常が発生したときはCPUより警告灯を発するように制御する。また、警告灯のほかにもアラームなどの警告音を発することもできる。