(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一の易接着層を形成する組成物が、前記ポリマー成分の他に、前記架橋構造を形成できる官能基として、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物およびメラミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の透明導電性積層体。
前記第一の易接着層を形成する組成物中のポリマー成分が、当該ポリマー成分中に、前記架橋構造を形成できる官能基として、オキサゾリン基およびカルボジイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有することを特徴とする請求項1または2記載の透明導電性積層体。
前記第一の透明フィルムを形成する材料が、ポリエステル、ポリシクロオレフィンまたはポリカーボネートのいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性積層体。
前記第二の透明フィルムを形成する材料が、ポリエステル、ポリシクロオレフィンまたはポリカーボネートのいずれかであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透明導電性積層体。
前記第二の易接着層が、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタンおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のポリマー成分を含有し、かつ架橋構造を形成できる官能基を有する組成物から形成されていることを特徴とする請求項9記載の透明導電性積層体。
前記第二の透明フィルムにおいて、前記透明硬化型接着剤層を設けていない他方の面に、第二の透明導電層を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の透明導電性積層体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記フィルム基材同士の貼り合わせにおいて、生産性の観点から、粘着剤層の代わりに硬化型接着剤層を使用されるようになってきている。しかし、フィルム基材同士の貼り合わせに硬化型接着剤層を使用した場合には、フィルム基材と硬化型接着剤層との接着性を確保することが難しかった。上記文献に記載の易接着層を有する透明導電性フィルムによれば、透明導電性積層体を形成した場合においても硬化型接着剤層との接着性を確保することは可能である。
【0007】
しかし、透明導電性フィルムにおける透明導電層は、通常、高温高真空条件下においてスパッタリングを行うため、前記文献に記載の易接着層を有するフィルム基材にスパッタリングの熱処理を含む工程により透明導電層を形成した場合には、フィルム基材中のオリゴマーが易接着層に析出してしまう。その結果、透明導電性フィルムの製造ラインや透明フィルム基材を汚染し、生産性を大きく低下させてしまう問題があった。
【0008】
本発明は、透明なフィルム基材の一方の面に易接着層を有する易接着フィルムと、当該易接着フィルムの他方の面に透明導電層を有し、かつ前記易接着層に透明硬化型接着剤層を介して他のフィルム基材を貼り合わされた透明導電性積層体であって、硬化型接着剤層との接着性が良好であり、かつ、易接着フィルムに透明導電層がスパッタリング等の熱処理を含む工程により形成する場合においても、オリゴマーの析出を防止することができる易接着層を有する透明導電性積層体を提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、前記透明導電性積層体を用いた、タッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記の透明導電性積層体等により前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明は、第一の透明フィルムと前記第一の透明フィルムの一方の面に設けられた第一の易接着層を有する易接着フィルムと、
前記易接着フィルムの前記第一の易接着層を有しない側に設けられた第一の透明導電層と、
前記易接着フィルムにおける前記第一の易接着層の側に、透明硬化型接着剤層を介して貼り合わされている第二の透明フィルムを有する透明導電性積層体であって、
前記第一の易接着層は、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタンおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のポリマー成分を含有し、かつ架橋構造を形成できる官能基を有する組成物から形成されており、
かつ、前記易接着フィルムは、150℃にて1時間の熱処理した後に、前記第一の易接着層の表面に析出するオリゴマー量が1.0mg/m
2以下であることを特徴とする透明導電性積層体、に関する。
【0012】
前記透明導電性積層体において、前記第一の易接着層を形成する組成物が、前記ポリマー成分の他に、前記架橋構造を形成できる官能基として、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物およびメラミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
【0013】
前記透明導電性積層体において、前記第一の易接着層を形成する組成物中のポリマー成分が、当該ポリマー成分中に、前記架橋構造を形成できる官能基として、オキサゾリン基およびカルボジイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有することが好ましい。
【0014】
前記透明導電性積層体において、前記第一の透明フィルムの厚さが、15〜75μmであることが好ましい。
【0015】
前記透明導電性積層体において、前記第一の透明フィルムを形成する材料が、ポリエステル、ポリシクロオレフィンまたはポリカーボネートのいずれかであることが好ましい。
【0016】
前記透明導電性積層体において、前記透明硬化型接着剤層の厚さが、0.01〜10μmであることが好ましい。
【0017】
前記透明導電性積層体において、前記第二の透明フィルムの厚さが、15〜300μmであることが好ましい。
【0018】
前記透明導電性積層体において、前記第二の透明フィルムを形成する材料が、ポリエステル、ポリシクロオレフィンまたはポリカーボネートのいずれかであることが好ましい。
【0019】
前記透明導電性積層体において、前記第二の透明フィルムと前記透明硬化型接着剤層の間に、第二の易接着層を有することができる。
【0020】
前記第二の易接着層は、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタンおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のポリマー成分を含有し、かつ架橋構造を形成できる官能基を有する組成物から形成されていることが好ましい。
【0021】
前記透明導電性積層体において、前記第二の透明フィルムにおける、前記透明硬化型接着剤層を設けていない他方の面に、第二の透明導電層を有することができる。
【0022】
さらに、本発明は前記透明導電性積層体を有するタッチパネル、に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の透明導電性積層体は、第一の透明フィルムの片面に設けた易接着層を有する易接着フィルムの易接着層に硬化型接着剤層、次いで第二の透明フィルムを積層しており、第一の透明フィルムと硬化型接着剤層の接着性が良好である。また、本発明の透明導電性積層体を構成する易接着フィルムの易接着層は、所定ポリマー成分を含有し、かつ架橋構造を形成できる官能基を有する組成物から形成されており、架橋構造を有することから、透明導電層を形成する際に熱処理が施される場合においても、析出オリゴマー量が小さく、スパッタリングによる透明導電層を効率的に製造するこができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、図面を参照しながら本発明の透明導電性積層体を説明する。
図1、
図2は、本発明の透明導電性積層体の一例を示す断面図である。
図1の透明導電性積層体は、第一の透明フィルム11の一方の面に第一の易接着層12を有する易接着フィルムA1を有し、当該易接着フィルムA1は、第一の透明フィルム11の他方の面に、第一の透明導電層13を有する。また、前記易接着フィルムA1における第一の易接着層12には、透明硬化型接着剤層4を介して、第二の透明フィルム21が貼り合わされている。
【0026】
図2の透明導電性積層体は、
図1の透明導電性積層体において、透明硬化型接着剤層4と第二の透明フィルム21の間に第二の易接着層22を有する場合である。この場合、通常は、第二の透明フィルム21の片面に第二の易接着層22を有する第二の易接着フィルムA2の当該第二の易接着層22の側を透明硬化型接着剤層4が貼り合わされる。また
図2の透明導電性積層体は、
図1の透明導電性積層体において、第二の透明フィルム21に第二の透明導電層23を有する場合である。
図2の透明導電性積層体は、第二の易接着層22および第二の透明導電層23を有するが、これらは一方のみが設けられていてもよい。なお、
図1、2の透明導電性積層体には図示していないが、第一の透明フィルム11の他方の面には、アンダーコート層を介して透明導電層13を設けることができる。アンダーコート層は、1層または複数層設けることができる。
【0027】
<第一の透明フィルム>
前記第一の透明フィルムとしては、特に制限されないが、透明性を有する各種のプラスチックフィルムが用いられる。当該プラスチックフィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリシクロオレフィン、ポリアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。これら材料の中でもスパッタリング時の耐熱性や光学特性の点から、ポリエステル(特に、ポリエチレンテレフタレート)、ポリシクロオレフィンまたはポリカーボネートを用いる場合に本発明は好適である。
【0028】
前記第一の透明フィルムの厚みは、通常、15〜75μmであり、20〜75μmであることが好ましく、23〜50μmであることがより好ましい。第一の透明フィルムの厚みが15μm未満であると、フィルム基材としての機械的強度が不足し、破断が起こり易くなる。一方、厚みが75μmを超えると、透明導電層の製膜加工において投入量を低減させ、またガスや水分の除去工程に弊害を生じ、生産性を損なうおそれがある。第一の透明フィルムは適宜に延伸処理されたものと用いることができる。
【0029】
前記第一の透明フィルムには、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、この上に設けられる透明導電層またはアンダーコート層の前記第一の透明フィルムに対する密着性を向上させるようにしてもよい。また、透明導電層またはアンダーコート層を設ける前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などにより除塵、清浄化してもよい。
【0030】
<第一の透明導電層>
前記第一の透明導電層の構成材料としては、特に限定されず、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、タングステンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の金属酸化物が用いられる。当該金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子を含んでいてもよい。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物、または酸化インジウム−酸化亜鉛複合酸化物などが好ましく用いられ、ITOが特に好ましく用いられる。また、前記第一の透明導電層の構成材料としては、アルミニウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物、フッ素亜鉛酸化物、フッ素インジウム酸化物、アンチモンスズ酸化物、フッ素スズ酸化物、リンスズ酸化物等を用いることができる。その他、前記第一の透明導電層の構成材料としては、ポリチオフェンなどの導電性高分子、カーボンナノチューブなどを使用することができる。
【0031】
前記第一の透明導電層の厚みは特に制限されないが、その表面抵抗を1×10
3Ω/□以下の良好な導電性を有する連続被膜とするには、厚さ10nm以上とするのが好ましい。前記厚みは、10〜300nmであることがより好ましく、15〜100nmであることがさらに好ましい。膜厚が、厚くなりすぎると透明性の低下などをきたすため、15〜35nmであることが好ましく、より好ましくは20〜30nmの範囲内である。
【0032】
透明導電層の形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、コーティング法等による透明導電層の形成方法を例示できる。また、必要とする膜厚に応じて適宜の方法を採用することもできる。
【0033】
<アンダーコート層>
アンダーコート層は、無機物、有機物または無機物と有機物との混合物により形成することができる。例えば、無機物として、NaF、Na
3AlF
6、LiF、MgF
2、CaF
2、BaF
2、SiO
2、LaF
3、CeF
3、Al
2O
3などの無機物が挙げられる。アンダーコート層を無機物により形成する場合は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセスとして、またはウェット法(塗工法)などにより形成できる。また有機物としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマー、有機シラン縮合物などが挙げられる。これら有機物は、少なくとも1種が用いられる。特に、有機物としては、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用するのが望ましい。
【0034】
アンダーコート層の厚さは、特に制限されるものではないが、光学設計、前記第一の透明フィルムからのオリゴマー発生防止効果の点から、通常、1〜300nm程度であり、好ましくは5〜300nmである。なお、アンダーコート層を2層以上設ける場合、各層の厚さは、5〜250nm程度であり、好ましくは10〜250nmである。
【0035】
<第一の易接着層>
前記第一の易接着層は、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタンおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のポリマー成分を含有し、かつ架橋構造を形成できる官能基を有する組成物から形成される。なお、前記組成物には、前記ポリマー成分の他に、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル等のポリマー成分を用いることができる。前記他のポリマー成分は、全ポリマー成分に対して、40重量%以下の範囲で用いることができる。
【0036】
アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートのモノマーユニットを主骨格とする。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は1〜14程度であり、これらは単独または組み合わせて使用できる。アルキル基の炭素数1〜9のアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0037】
前記アクリル系ポリマー中には、1種類以上の各種モノマーを共重合により導入することができる。共重合モノマーの具体例としては、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、窒素含有モノマー(複素環含有モノマーを含む)、芳香族含有モノマー等が挙げられる。これらの中でも、架橋剤との反応性が良好である点から、水酸基含有モノマー、アクリル酸などのカルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。アクリル系ポリマー中の前記共重合モノマーの割合は、特に制限されないが、重量比率において、50重量%以下である。好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜8重量%、さらに好ましくは1〜6重量%である。
【0038】
アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られるアクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0039】
ポリエステルは、ポリエステル骨格を有する各種樹脂を用いることができる。ポリエステルは、共重合ポリエステル、ホモポリエステルのいずれでもよい。ポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを重縮合させて得られるものが好ましい。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられる。グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。ポリエステルには、カルボキシル基、スルホン酸基またはその塩等の官能基を導入して、水分散性を付与することできる。
【0040】
ポリウレタンは、ポリウレタン骨格を有する各種樹脂を用いることができる。
ポリウレタンは、通常、ポリオール成分とイソシアネート化合物の反応により作成される。ポリオール成分としては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。ポリウレタンには、カルボキシル基、スルホン酸基またはその塩等の官能基を導入して、水分散性を付与することでできる。
【0041】
ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール骨格等を有する各種樹脂を用いることができる。また、ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコールの他;その誘導体;更に酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ブチラール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコールが挙げられる。また、アセトアセチル基等を有するポリビニルアルコールが挙げられる。ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されるものではないが、通常、100以上、好ましくは300〜40000の範囲のものが用いられる。ポリビニルアルコールのケン化度は特に限定されるものではないが、70モル%以上、好ましくは70〜99.9モル%の範囲であるのが好ましい。
【0042】
前記ポリマー成分は、水系または溶剤系のいずれの形態のものでもよいが、これらポリマー成分は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。前記ポリマー成分の形態は、水系、溶剤系のいずれでもよい。なお、第一の透明フィルムとして、延伸フィルムを用いる場合には、前記第一の易接着層の形成をフィルム延伸中でのインライン塗工を行うことができる。このような場合には、非防爆設備でも塗工可能な点から、水系のポリマー成分を用いるのが好ましい。水系のポリマー成分は、水溶性または水分散性のいずれであってもよい。
【0043】
本発明の第一の易接着層は、前記ポリマー成分を有する組成物は、架橋構造を形成できる官能基を有する。前記架橋構造を形成できる官能基は、例えば、前記組成物中に、前記ポリマー成分の他に、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、およびメラミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(架橋成分)を配合することにより、前記組成物中に含有することができる。また、前記架橋構造を形成できる官能基は、当該ポリマー成分として、前記架橋構造を形成できる官能基として、オキサゾリン基およびカルボジイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する自己架橋性のポリマー成分を用いることにより、前記組成物中に含有することができる。前記組成物は、自己架橋性のポリマー成分を用いて、かつ、架橋構造を形成できる官能基を有する化合物を用いることができる。
【0044】
架橋成分としては、例えば、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、ホウ酸、イソシアネート化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。これらのなかでも、架橋成分としては、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物が好ましい。架橋成分は、ポリマー成分に応じて適宜に選択することができる。前記架橋成分の配合割合は、前記ポリマー成分100重量部に対して、通常、50重量部以下、さらには、1〜40重量部、さらには5〜30重量部であるのが好ましい。
【0045】
エポキシ化合物としては、例えば、分子内にエポキシ基を含む化合物、そのプレポリマーおよび硬化物が挙げられる。例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトール、ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N´,N´,−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0046】
メラミン化合物としては、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことである。例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
【0047】
オキサゾリン化合物としては、分子内にオキサゾリン基を2個以上有する化合物が好ましく用いられ、具体的には、2´−メチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2´−エテンビス(2−オキサゾリン)、2,2´−エテンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2´−プロペンビス(2−オキサゾリン)、2,2´−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2´−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2´−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2´−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2´−p−フェニレンビス(4,4´−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2´−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2´−p(フェニレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)等を挙げることができる。
【0048】
また自己架橋性のポリマー成分としては、前記ポリマー成分中に、オキサゾリン基およびカルボジイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するものが挙げられる。例えば、自己架橋性のポリマー中におけるオキサゾリン基に係る割合は、オキサゾリン基に基づいて、1〜100mモル/gが好ましく、さらには2〜30mモル/gであるのが好ましい。例えば、自己架橋性のポリマー中におけるカルボジイミド基に係る割合は、カルボジイミド基に基づいて、100〜1000g/モルが好ましく、さらには300〜500g/モルであるのが好ましい。
【0049】
自己架橋性のポリマーとしては、例えば、オキサゾリン基含有ポリマーが好ましく、オキサゾリン基含有モノマーを重合または共重合することにより得られる。前記オキサゾリン基含有モノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンや、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
【0050】
オキサゾリン基含有ポリマーとしては、オキサゾリン基含有アクリル系ポリマーを例示できる。オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーとして、例えば、アルキル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数1〜14程度);アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。また、オキサゾリン基含有ポリマーには、ポリアルキレングリコール成分から導かれる親水性基を導入することができる。
【0051】
オキサゾリン基含有ポリマーとしては、例えば、(株)日本触媒製のエポクロスWS−500、WS−700、RPS−1005、K−2000等が挙げられる。
【0052】
また自己架橋性のポリマーとしては、例えば、カルボジイミド基含有ポリマーが好ましく用いられる。カルボジイミド基含有ポリマーとしては、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に2個以上有する化合物が好ましく用いられ、公知のポリカルボジイミドを用いることができる。
【0053】
また、カルボジイミド化合物は、ジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドも使用できる。このような化合物としては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものが挙げられる。ジイソシアネートとしては、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートの内の一種、またはこれらの混合物を使用することができる。
【0054】
カルボジイミド基含有ポリマー(ポリカルボジイミド)としては、例えば、日清紡ケミカル(株)製のカルボジライトシリーズが挙げられる。例えば、カルボジライトSV−02、V−02、V−02−L2、V−04、E−01、E−02、V−01、V−03、V−05、V−07、V−09等が挙げられる。これらの中でもカルボジライトV−01、V−03、V−05、V−07、V−09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
【0055】
また前記第一の易接着層は、第一の易接着フィルムに対して、150℃にて1時間の熱処理した後に、当該第一の易接着層の表面に析出するオリゴマー量が1.0mg/m
2以下になるように制御されている。前記オリゴマー析出量は、0.8mg/m
2以下であるのが好ましく、さらには0.5mg/m
2以下であるのが好ましい。
【0056】
前記オリゴマー析出量は、易接着層を形成する材料の選定と前記架橋構造を形成する架橋成分および/または自己架橋性ポリマー中の架橋構造を形成することができる官能基の割合を調整することにより制御することができる。なお、易接着層の架橋密度が高くなりすぎると接着性が低下してしまうため、前記架橋成分および/または自己架橋性ポリマー中の架橋構造を形成することができる官能基の割合により範囲内において調整するのが好ましい。
【0057】
第一の易接着層の形成は、前記ポリマー成分(自己架橋性ポリマーであるか、および/また架橋成分を含有)を含有する組成物(易接着層の形成材)を調製し、当該形成材を第一の透明フィルム上に、公知の技術により塗工、乾燥することにより行われる。第一の易接着層の形成材は、乾燥後の厚み、塗工の円滑性などを考慮して適当な濃度に希釈した溶液として、通常調整される。第一の易接着層の乾燥後の厚みは、好ましくは0.01〜5μm、さらに好ましくは0.02〜2μm、さらに好ましくは0.03〜1μmである。なお、易接着層は複数層設けることができるが、この場合にも、易接着層の総厚みは前記範囲になるようにするのが好ましい。なお、前記第一の透明フィルムが延伸フィルムの場合には、延伸前のフィルムに易接着層を形成しておくことができる。
【0058】
<易接着フィルムの製造>
本発明の易接着フィルムの製造方法は、前記構成のものが得られる方法であれば特に制限はない。通常は、前記第一の易接着層は、第一の透明フィルムに予め設けておき、次いで、前記第一の透明導電層が形成されるが、第一の透明フィルムに第一の透明導電層を設けたのちに、前記第一の易接着層を設けてもよい。
【0059】
<透明導電性積層体>
本発明の透明導電性積層体は、前記第一の透明導電層を他の面に有する易接着フィルムにおける第一の易接着層に、透明硬化型接着剤層を介して、第二の透明フィルムが貼り合わされている。
【0060】
<第二の透明フィルム>
第二の透明フィルムは、前記第一の透明フィルムと同様の、透明性を有する各種のプラスチックフィルムを用いることができる。第二の透明フィルムは、前記第一の透明フィルムと同様に、ポリエステル(特に、ポリエチレンテレフタレート)、ポリシクロオレフィンまたはポリカーボネートを用いる場合に本発明は好適である。第二の透明フィルムの厚みは、15〜300μmであり、15〜200μmであることが好ましく、20〜150μmであることがより好ましい。
【0061】
<透明硬化型接着剤層>
透明硬化型接着剤層に形成には、例えば、ラジカル硬化型接着剤が好適に用いられる。ラジカル硬化型接着剤としては、電子線硬化型、紫外線硬化型等の活性エネルギー線硬化型の接着剤を例示できる。特に短時間で硬化可能な、活性エネルギー線硬化型が好ましく、さらには低エネルギーで硬化可能な紫外線硬化型接着剤が好ましい。
【0062】
紫外線硬化型接着剤としては、大きくラジカル重合硬化型接着剤とカチオン重合型接着剤に区分出来る。その他、ラジカル重合硬化型接着剤は熱硬化型接着剤として用いることができる。
【0063】
ラジカル重合硬化型接着剤の硬化性成分としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物が挙げられる。これら硬化性成分は、単官能または二官能以上のいずれも用いることができる。またこれら硬化性成分は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これら硬化性成分としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好適である。
【0064】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−ニトロプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、t−ペンチル(メタ)アクリレート、3−ペンチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチル−2−プロピルペンチル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸(炭素数1−20)アルキルエステル類が挙げられる。
【0065】
また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレートなど)、アラルキル(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど)、多環式(メタ)アクリレート(例えば、2−イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、5−ノルボルネン−2−イル−メチル(メタ)アクリレート、3−メチル−2−ノルボルニルメチル(メタ)アクリレートなど)、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメチル−ブチル(メタ)メタクリレートなど)、アルコキシ基またはフェノキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類(2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど)、ハロゲン含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなど)、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど)等が挙げられる。
【0066】
また、前記以外の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド(SP値22.9)、N−エトキシメチルアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー等が挙げられる。また、アクリロイルモルホリン等の窒素含有モノマー等が挙げられる。
【0067】
また、前記ラジカル重合硬化型接着剤の硬化性成分としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性二重結合を複数個有する化合物を例示することができ、当該化合物は、架橋成分として接着剤成分に混合することもできる。かかる架橋成分になる硬化性成分としては、例えば、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、EO変性ジグリセリンテトラアクリレート、アロニックスM−220(東亞合成社製)、ライトアクリレート1,9ND−A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートDGE−4A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートDCP−A(共栄社化学社製)、SR−531(Sartomer社製)、CD−536(Sartomer社製)等が挙げられる。また必要に応じて、各種のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートや、各種の(メタ)アクリレート系モノマー等が挙げられる。
【0068】
ラジカル重合硬化型接着剤は、前記硬化性成分を含むが、前記成分に加えて、硬化のタイプに応じて、ラジカル重合開始剤を添加する。前記接着剤を電子線硬化型で用いる場合には、前記接着剤にはラジカル重合開始剤を含有させることは特に必要ではないが、紫外線硬化型、熱硬化型で用いる場合には、ラジカル重合開始剤が用いられる。ラジカル重合開始剤の使用量は硬化性成分100重量部あたり、通常0.1〜10重量部程度、好ましくは、0.5〜3重量部である。また、ラジカル重合硬化型接着剤には、必要に応じて、カルボニル化合物などで代表される電子線による硬化速度や感度を上がる光増感剤を添加することもできる。光増感剤の使用量は硬化性成分100重量部あたり、通常0.001〜10重量部程度、好ましくは、0.01〜3重量部である。
【0069】
カチオン重合硬化型接着剤の硬化性成分としては、エポキシ基やオキセタニル基を有する化合物が挙げられる。エポキシ基を有する化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、一般に知られている各種の硬化性エポキシ化合物を用いることができる。好ましいエポキシ化合物として、分子内に少なくとも2個のエポキシ基と少なくとも1個の芳香環を有する化合物や、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有し、そのうちの少なくとも1個は脂環式環を構成する隣り合う2個の炭素原子との間で形成されている化合物等が例として挙げられる。
【0070】
また、透明硬化型接着剤層を形成には、水系の硬化型接着剤として、例えば、ビニルポリマー系、ゼラチン系、ビニル系ラテックス系、ポリウレタン系、イソシアネート系、ポリエステル系、エポキシ系等を例示できる。このような水系接着剤からなる接着剤層は、水溶液の塗布乾燥層などとして形成しうるが、その水溶液の調製に際しては、必要に応じて、架橋剤や他の添加剤、酸等の触媒も配合することができる。
【0071】
前記水系接着剤としては、ビニルポリマーを含有する接着剤などを用いることが好ましく、ビニルポリマーとしては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。またポリビニルアルコール系樹脂としては、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤が耐久性を向上させる点からより好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂に配合できる架橋剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物が好ましく使用できる。例えば、ホウ酸やホウ砂、カルボン酸化合物、アルキルジアミン類;イソシアネート類;エポキシ類;モノアルデヒド類;ジアルデヒド類;アミノ−ホルムアルデヒド樹脂;さらに二価金属、または三価金属の塩およびその酸化物が挙げられる。
【0072】
前記硬化型接着剤層を形成する接着剤は、必要であれば適宜添加剤を含むものであっても良い。添加剤の例としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤、エチレンオキシドで代表される接着促進剤、透明保護フィルムとの濡れ性を向上させる添加剤、アクリロキシ基化合物や炭化水素系(天然、合成樹脂)などに代表され、機械的強度や加工性などを向上させる添加剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤(金属化合物フィラー以外)、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、帯電防止割、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤等の安定剤等が挙げられる。
【0073】
接着剤の塗工方式は、接着剤の粘度や目的とする厚みによって適宜に選択される。塗工方式の例として、例えば、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーター等が挙げられる。その他、塗工には、デイッピング方式などの方式を適宜に使用することができる。
【0074】
また、前記透明硬化型接着剤層の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜5μm、さらに好ましくは0.3〜4μmである。
【0075】
<第二の易接着層>
また、第二の透明フィルムの貼り合わせは、第二の透明フィルムに第二の易接着層を設けることができる。第二の易接着層は特に制限されないが、第二の易接着層は、第一の易接着層の形成に用いた組成物において説明したものと同様の組成物を用いることができる。また、第二の易接着層の厚さは、第一の易接着層と厚さの範囲と同様の範囲を採用することができる。
【0076】
また前記第二の易接着層については、第二の透明導電層を第二の易接着フィルムに設けない場合には、オリゴマーの析出の防止性は特に必要ではない。前記第一の易接着層と同様に、第二の易接着フィルムに対して、150℃にて1時間の熱処理した後に、当該第二の易接着層の表面に析出するオリゴマー量が1.0mg/m
2以下であることが好ましい。前記オリゴマー析出量は、0.8mg/m
2以下であるのが好ましく、さらには0.5mg/m
2以下であるのが好ましい。
【0077】
<第二の透明導電層>
また、前記第二の透明フィルムにおいて、前記透明硬化型接着剤層を設けていない他方の面に、第二の透明導電層を設けることができる。第二の透明導電層は、第一の透明導電層と同様の方法により形成することができる。また、第二の透明導電層の厚さは、第一の透明導電層と厚さの範囲と同様の範囲を採用することができる。
【0078】
さらに、本発明の透明導電性積層体は、加熱処理して、第一および/または第二の透明導電体層を結晶化することができる。また、第一および/または第二の透明導電体層にはパターニング工程を施すことができる。
【0079】
本発明の透明導電性積層体は、タッチパネルや液晶ディスプレイなどの種々の装置の形成などにおいて用いられる。特に、タッチパネル用電極板として好ましく用いることができる。
【0080】
また本発明の透明導電性積層体は、静電容量方式のタッチパネルの入力装置の電極基板に好適に用いることができる。静電容量方式のタッチパネルは、マルチタッチ方式を採用することができ、本発明の透明導電性積層体は、前記電極基板の一部として用いることができる。
【実施例】
【0081】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、各例中、部、%はいずれも重量基準である。
【0082】
実施例1
<第一の易接着フィルム>
厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第一の透明フィルム)の片面に、下記表1に示す、アクリル系ポリマー(1)とオキサゾリン化合物(5A)の混合物(固形分重量比で、前者:後者=70:30)の易接着層の形成材料を塗布し、熱処理を行って、乾燥することにより形成した膜厚(乾燥後)が0.05μmの塗布層(第一の易接着層)を有するもの用いた。
【0083】
<第一の透明導電層の形成>
上記第一の易接着フィルムの他の面(易接着層を形成していない面)、酸化インジウム97重量%、酸化スズ3重量%のインジウムスズ酸化物の焼結体ターゲットを備えたスパッタ装置を用いて、厚さは22nmのインジウムスズ酸化物(ITO)層(第一の透明導電層)を形成した。
【0084】
<活性エネルギー線硬化型接着剤の調製>
ヒドロキシエチルアクリルアミド50部、メチルアクリレート30部、アロニックスM−220(東亞合成社製)40部、IRGACURE907(チバ・ジャパン社製)1.5部を混合して50℃で1時間撹拌し活性エネルギー線硬化型接着剤を得た。
【0085】
<第二の易接着フィルム>
厚さ75μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第二の透明フィルム)の片面に、下記表1に示す、アクリル系ポリマー(1)とオキサゾリン化合物(5A)の混合物(固形分重量比で、前者:後者=70:30)の易接着層の形成材料を塗布し、熱処理を行って、乾燥することにより形成した膜厚(乾燥後)が0.05μmの塗布層(第二の易接着層)を有するもの用いた。
【0086】
<透明導電性積層体の製造>
上記第一の透明導電層を形成した第一の易接着フィルムの上記第一の易接着層に、上記活性エネルギー線硬化型接着剤をMCDコーター(富士機械社製)(セル形状:ハニカム、グラビアロール線数:1000本/inch、回転速度140%/対ライン速)を用いて、接着剤層の厚みが1μmになるように塗布した。次いで、前記活性エネルギー線硬化型接着剤を介して、第二の易接着フィルムの第二の易接着層の側を貼り合わせた。その後、第二の透明フィルム側から、高圧水銀ランプの紫外線(波長365nm)を照射して、接着剤を硬化させて、片面に第一の透明導電層を有する透明導電性積層体を得た。膜厚は膜厚計(Peacock社製デジタルダイアルゲージDG-205)を用いて測定した。
【0087】
実施例2〜26および比較例1〜6
実施例1の<第一の易接着フィルム>および<第二の易接着フィルム>において、第一の易接着層および第二の易接着層の形成材料を表1に示す下記材料に変えたこと以外は実施例1と同様にして、透明導電性積層体を製造した。なお、実施例2は第二の易接着層を形成しなかった場合であり、比較例5は第一および第二の易接着層のいずれも形成しなかった場合であり、比較例6は第一の易接着層を形成しなかった場合である。
【0088】
実施例27〜52および比較例7〜11
実施例1の<第一の易接着フィルム>および<第二の易接着フィルム>において、第一の易接着層および第二の易接着層の形成材料を表2に示す下記材料に変えたこと、また、第二の易接着フィルムには、<第一の透明導電層の形成>と同様の方法により第二の透明導電層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、両面に第一および第二の透明導電層を有する透明導電性積層体を製造した。なお、比較例7乃至10は第二の易接着層を形成しなかった場合であり、比較例11は第一の易接着層および第二の易接着層のいずれも形成しなかった場合である。
【0089】
<易接着層の形成材料>
・アクリル系ポリマー(1):下記組成で重合したアクリル樹脂の水分散体
エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(重量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)。
・ポリウレタン(2):カルボン酸水分散型ポリエステルポリウレタン樹脂である、ハイドランAP−40(DIC社製)。
・ポリエステル(3):下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(モル%)。
・ポリビニルアルコール(4):ケン化度88モル%、重合度500のポリビニルアルコール。
・オキサゾリン基及びポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリル系ポリマー(5A):エポクロスWS−500(日本触媒製)。オキサゾリン基量約4.5mモル/g。
・オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー(5B):エポクロスWS−300((株)日本触媒製)。オキサゾリン基量約7.7mモル/g。
・オキサゾリン化合物(5C):2´−メチレンビス(2−オキサゾリン)。
・カルボジイミド基含有ポリマー(6):カルボジイミド基含有化合物。カルボジライトV−02(日清紡ケミカル(株)製)。カルボジイミド基量600g/モル。
・エポキシ化合物(7):ポリグリセロールポリグリシジルエーテルである、デナコールEX−521(ナガセケムテックス製)。
・メラミン化合物(8):ヘキサメトキシメチルメラミン。
【0090】
上記透明導電性積層体および易接着フィルムについて以下の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
【0091】
≪接着力≫
透明導電性積層体を200mm×20mmの大きさに切り出した。次いで、切り出した透明導電性積層体の第1の透明フィルムと第2の透明フィルムの間(第一の易接着層/透明硬化型接着剤層/第二の易接着層)にカッターナイフで切り込みを入れた。テンシロンにより、第1の透明フィルムと第2の透明フィルムとを剥離速度300mm/minでT字剥離し、その剥離強度(N/20mm)を測定した。また、剥離後の剥離面の赤外吸収スペクトルをATR法によって測定し、剥離界面を下記の基準に基づき評価した。
A:フィルムの凝集破壊
B:フィルム/接着剤層間の界面剥離
上記基準において、Aは接着力がフィルムの凝集力以上であるため、接着力が非常に優れることを意味する。一方、Bはフィルム/接着剤層の界面の接着力が不足している(接着力が劣る)ことを意味する。これらを勘案して、Aの場合の接着力を「○」、A・B(「フィルムの凝集破壊」と「フィルム/接着剤層間の界面剥離」とが同時に発生)である場合の接着力を「△」、Bのみの場合の接着力を「×」とする。
【0092】
≪オリゴマー析出量≫
<第一または第二の易接着フィルムに用いたポリエチレンテレフタレート中のオリゴマー(環状三量体)含有量>
予め、未熱処理の積層ポリエステルフィルムを空気中、150℃で1時間加熱した。その後、熱処理をした当該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面(塗布層面)にできるだけ密着させて箱形の形状とした。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収した。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m
2)とした。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.01mg/mlとした。
【0093】
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
【0094】
オリゴマー析出量が0.5mg/m
2以下は極めて良好であり、1.0mg/m
2以下が良好である。オリゴマー析出量が1.0mg/m
2超えると透明導電層のスパッタリング時に製造ラインを汚染してしまう可能性がある。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】