【実施例】
【0014】
図1に示すように、燃料供給システム1は、自動車に搭載される燃料タンク4内の燃料を、図示省略した内燃機関に供給するためのシステムである。燃料供給システム1は、燃料メータ60と、燃料供給装置10と、を備える。燃料メータ60は、図示省略された自動車の表示装置に用いられる。燃料供給装置10は、燃料タンク4に配置される。燃料メータ60と、燃料供給装置10とは、複数のライン52、54、56によって電気的に接続されている。
【0015】
燃料供給装置10は、燃料ポンプユニット12と、燃料量検出装置20と、を備える。燃料ポンプユニット12は、燃料タンク4に収容される。燃料ポンプユニット12は、燃料タンク4の開口を閉塞するセットプレート6に取付けられている。燃料ポンプユニット12は、図示省略した燃料ポンプを備えている。燃料ポンプは、燃料タンク4内の燃料を、燃料ポンプ内に吸入し昇圧して、燃料ポンプ外に吐出する。燃料ポンプから吐出された燃料は、吐出ポート14から、図示省略された内燃機関に供給される。
【0016】
燃料量検出装置20は、フロート22と、フロート22に固定されたアーム部材24と、アーム部材24の回転角を検出する磁気センサユニット30と、を備える。フロート22は、燃料タンク4内の燃料に浮かんでおり、燃料の液位に応じて上下方向に運動する。フロート22は、アーム部材24の先端に回転自在に取り付けられている。アーム部材24の基端は、磁気センサユニット30に対して、回転可能に支持されている。このため、燃料タンク4内の燃料の液位に応じてフロート22が上下動すると、それによってアーム部材24が燃料ポンプユニット12に対して揺動回転する。
【0017】
アーム部材24は、フロート取付部分24aと、基部分24bと、を備える。フロート取付部分24aは、例えばステンレス等の燃料に対する耐性を有する金属で作製されている。フロート取付部分24aは、円柱の棒状の部材を中間位置で屈曲することによって作製されている。フロート取付部分24aの先端には、フロート22が取付けられている。フロート取付部分24aの基端には、基部分24bが固定されている。
【0018】
基部分24bは、燃料に対する耐性を有する樹脂(例えばPPS(即ちポリフェニレンサルファイド樹脂))で作製されている。基部分24bは、フロート取付部分24aとは異なる材料で作製されている。具体的には、基部分24bは、フロート取付部分24aと比較して、軽い材料、即ち密度(単位体積当りの質量)が小さい材料で作製されている。また、フロート取付部分24aは、基部分24bと比較して、剛性が高い材料で作製されている。
【0019】
基部分24bは、平板状に形成されている。
図2に示すように、基部分24bの先端部(
図2の下端部)には、フロート取付部分24aを係合して固定する係合部24dが配置されている。なお、
図2では、フロート取付部分24aの一部が省略されている。基部分24bは、基端よりも先端側の支点部24cにおいて、磁気センサユニット30に回転可能に支持されている。
【0020】
支点部24cは、円板形状を有する。アーム部材24の回転中心Xは、支点部24cの中心と一致する。
図2に示すように、支点部24cには、磁石26が収容されている。磁石26は、例えば、基部分24bを成形する際に、インサート成形することによって、基部分24b内に配置される。磁石26は、永久磁石である。磁石26は、円板形状を有する。磁石26の中心は、支点部24cの中心(即ち回転中心X)と一致する。磁石26は、一方の半円部分にN極を有し、他方の半円部分にS極を有する。磁石26は、アーム部材24の揺動回転に従って回転する。この結果、磁石26によって発生される磁界の向きは、アーム部材24の揺動回転に従って変動する。
【0021】
基部分24bの基端には、ウエイト28が固定されている。ウエイト28は、フロート22に対して、回転中心Xを挟んで、アーム部材24の反対側に取付けられている。このため、ウエイト28は、フロート22に上向きの力を与えるためのカウンタウエイトの機能を果たす。この結果、フロート22の浮力が小さくても、フロート22は燃料の液面に浮く。
【0022】
ウエイト28は、基部分24bから燃料ポンプユニット12側に向かって突出している。ウエイト28は、燃料ポンプユニット12から燃料量検出装置20が配置されている側に突出している突起部16,18に当接可能な位置に配置されている。なお、突起部16,18は、燃料ポンプユニット12の燃料ポンプを覆うケーシングと同一の材料、例えば樹脂で作製されていてもよいし、異なる材料、例えば金属材料で作製されていてもよい。突起部16,18は、燃料ポンプユニット12のケーシングと一体的に形成されていてもよいし、別体で形成されていてもよい。具体的には、アーム部材24が
図1の時計回りに回転する場合、ウエイト28が突起部18に当接することによって、アーム部材24の回転が規制される。また、アーム部材24が
図1の反時計回りに回転する場合、ウエイト28が突起部16に当接することによって、アーム部材24の回転が規制される。即ち、ウエイト28は、アーム部材24の揺動回転を規制する規制部の機能を果たす。
【0023】
磁気センサユニット30は、アーム部材24を回動自在に支持している。
図3は、磁気センサユニット30の断面図を示し、
図1の回転中心Xを通る上下方向の断面を表す断面図である。
図3に示すように、磁気センサユニット30は、ケーシング32と、磁気センサ40と、を備える。ケーシング32は、樹脂を複数層に成形することによって作製されている。ケーシング32は、アーム部材24の支点部24cのうち、磁石26が収容されている部分を受け入れる受入部34を有する。受入部34は、円筒形状を有している。受入部34の中空部分には、磁石26が配置される。ケーシング32は、受入部34に磁石26が配置されている状態で、受入部34のフランジ36に、アーム部材24の支点部24cが摺動可能に係合することによって、アーム部材24を回動自在に支持している。
【0024】
ケーシング32は、磁気センサ40を覆っている。磁気センサ40は、アーム部材24の回転運動を検出し、その検出結果に基づいて燃料タンク4内に貯留される燃料量に応じたアナログ信号を、燃料メータ60に出力する(
図1参照)。磁気センサ40は、アーム部材24の回転角を検出する磁気式のセンサであって、例えば、ホールICを利用した公知のセンサを用いることができる。具体的には、磁気センサ40では、磁石26の磁界の向きを検出するホール素子42と、ホール素子42に接続されるコンデンサ44と、を備える。ホール素子42とコンデンサ44とは、ケーシング32の樹脂カバー46によって覆われている。
【0025】
磁気センサ40は、電源ライン52、出力ライン54及びグランドライン56を介して、燃料メータ60に接続されている。電源ライン52、出力ライン54及びグランドライン56は、セットプレート6を貫通して燃料メータ60に接続されている。
【0026】
燃料メータ60は、CPU64と、表示器62と、を有している。CPU64は、電源ライン52を介して、燃料量検出装置20、詳細には磁気センサ40に電源を供給する。CPU64には、出力ライン54を介して、磁気センサ40から出力されるアナログ信号が入力される。CPU64は、磁気センサ40から入力されるアナログ信号を用いて、燃料タンク4内に貯留される燃料量を特定し、その特定した燃料量を表示器62に表示する。CPU64と表示器62とは、従来公知の燃料メータにおけるそれぞれと同様に構成することができる。なお、CPU64では、グランドライン56は接地されている。
【0027】
(液量検出方法)
次いで、液量検出方法について説明する。CPU64は、自動車の駆動中、磁気センサ40に電力を供給している。磁気センサ40は、磁石26の磁界の向きに応じたアナログ信号を出力する。燃料タンク4内の燃料の液面の高さが変化すると、フロート22が上下方向に移動し、フロート22の上下方向の移動に従ってアーム部材24が回転する。磁石26は、アーム部材24の回転に伴って自転する。この結果、磁石26の磁界の向きは、アーム部材24の回転、即ち、燃料タンク4内の燃料の液面の高さに応じて変動する。このため、磁気センサ40から出力されるアナログ信号は、燃料タンク4内の燃料の液面の高さに相関する。
【0028】
CPU64は、磁気センサ40から出力されるアナログ信号が入力されると、燃料タンク4内に貯留される燃料量を特定し、その特定した燃料量を表示器50に表示する。具体的には、CPU64は、CPU64に格納されている磁気センサ40から出力されるアナログ信号と燃料量との関係を示すデータベース又は関数を用いて、燃料量を特定する。データベース又は関数は、実験又はシミュレーションを実行することによって、予め特定され、CPU64に格納されている。
【0029】
(本実施例の効果)
上記の燃料量検出装置20では、ウエイト28は、フロート22に対するカウンタウエイトの機能を果たすと共に、アーム部材24の揺動回転を規制する規制部の機能を果たす。このため、カウンタウエイトと規制部とを個別に配置する必要が無い。この構成によれば、燃料量検出装置20の構造が複雑化することを抑制しつつ、アーム部材24の回転角度を規制することができる。この結果、燃料供給装置10の構造を複雑化することを抑制することができる。また、アーム部材24の揺動回転を適切に規制することによって、燃料供給装置10等の部品の配置の自由度が抑制されることを防止することができる。
【0030】
上記の燃料量検出装置20では、アーム部材24は、フロート取付部分24aと基部分24bとが別々の部材で作製されている。このため、アーム部材24を、複数の材料で作製することができる。
【0031】
また、基部分24bは、フロート取付部分24aと比較して、軽い材料、即ち密度(単位体積当りの質量)が小さい材料で作製されている一方で、フロート取付部分24aは、基部分24bと比較して、剛性が高い材料で作製されている。この構成によれば、アーム部材24に要求される剛性を維持しつつ、軽量のアーム部材24を作製することができる。この結果、アーム部材24が変形することによって、検出誤差が発生することを抑制することができる。また、アーム部材24が軽くなると、フロート22に作用すべき浮力を小さくすることができる。即ち、例えば、アーム部材24全体がSUS等の比較的に高密度の材料で作製されている場合と比較して、フロート22を小型化することができる。フロート22が小型化されると、燃料の残量が少なくなっても、フロート22が、燃料タンク4の底に接触しにくくなる。この結果、燃料量検出装置20を用いて、残量の少ない燃料(即ち燃料タンク4の底付近の燃料)の液量を適切に検出することができる。
【0032】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0033】
例えば、燃料量検出装置20に配置されるセンサは、磁気センサ40に限定されない。例えば、燃料量検出装置20は、フロート22の上下方向の移動に応じて、抵抗値が変動する抵抗式(接触式)のセンサを備えていてもよい。
【0034】
また、例えば、本明細書の「液量検出装置」は、燃料タンク4内の燃料量を検出する燃料量検出装置20以外に、容器内の液体、例えば、貯水タンク内の貯水量等を検出する装置であってもよい。
【0035】
また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。