(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも、第一半導電性組成物を含む内側半導電層、ポリマー組成物を含む絶縁層、第二半導電性組成物を含む外側半導電層および、任意的に、ジャケット組成物を含むジャケット層、によってこの順に囲まれた導体を含む、交流(AC)電力ケーブルにおいて、
上記絶縁層のポリマー組成物が、エチレンと少なくとも1の多不飽和コモノマーおよび任意的に1以上の他のコモノマーとの架橋された不飽和LDPEコポリマー、および架橋剤を含み、かつ
上記絶縁層のポリマー組成物が、本明細書の「測定法」に記載された「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に従って25kV/mmおよび130℃で測定されるとき、12.0×10−4以下のtanδ(50Hz)として表わされる誘電損失を有する
ところの前記ケーブル。
絶縁層のポリマー組成物が、本明細書の「測定法」に記載された「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に従って25kV/mmおよび130℃で測定されるとき、11.0×10−4以下のtanδ(50Hz)として表わされる誘電損失を有する、請求項1記載のケーブル。
絶縁層のポリマー組成物が、本明細書の「測定法」に記載された「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に従って25kV/mmおよび130℃で測定されるとき、0.01〜10.0×10−4のtanδ(50Hz)として表わされる誘電損失を有する、請求項1記載のケーブル。
上記鉱油が、食品接触において使用されるプラスチックのための2002年8月6日の欧州指令2002/72/EC、付録 V、におけるホワイトミネラルオイルのために与えられた要件を満たすホワイトミネラルオイルである、請求項9又は10記載の方法。
上記内側半導電層の第一半導電性組成物、上記外側半導電層の第二半導電性組成物、および任意的に、上記任意的なジャケット層のジャケット組成物を、架橋剤の存在下で架橋することをさらに含む、請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
ポリオレフィンおよび架橋剤を含むポリマー組成物を、少なくとも、第一半導電性組成物を含む内側半導電層、ポリマー組成物を含む絶縁層、第二半導電性組成物を含む外側半導電層および、任意的に、ジャケット組成物を含むジャケット層、によってこの順に囲まれた導体を含む、MV、HVまたはEHVのAC電力ケーブルの絶縁層を製造するために使用する方法において、
上記ポリマー組成物が、エチレンと少なくとも1の多不飽和コモノマーおよび任意的に1以上の他のコモノマーとの架橋された不飽和LDPEコポリマー、および架橋剤を含み、かつ
上記絶縁層の上記ポリマー組成物が、本明細書の「測定法」に記載された「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に従って25kV/mmおよび130℃で測定されるとき、12.0×10−4以下のtanδ(50Hz)として表わされる誘電損失を有する
ところの前記方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のケーブルはまた、本明細書において短く「ケーブル」として示される。ケーブルの絶縁層のポリマー組成物はまた、本明細書において短く「ポリマー組成物」として示される。本明細書において使用される「tanδ」または「tanデルタ」は、誘電損失の周知の尺度であるタンジェントデルタを意味する。言及しているように、tanデルタを測定する方法は、下記の「測定法」に記載されている。
【0017】
用語「導体」は、本明細書の上記および下記において、導体が1以上のワイヤを含むことを意味する。さらに、ケーブルは、1以上のそのような導体を含み得る。好ましくは、導体は電導体であり、1以上の金属ワイヤを含む。
【0018】
絶縁層のポリマー組成物は、高い温度および高い応力で、tanデルタとして表わされる驚くほど低下された誘電損失を有する。誘電損失は、双極分子(カルボニルなど)の振動および自由電荷担体(電子、イオン)の伝導の両方による。これらのメカニズムの相対的重要性は、測定中の温度、電場および周波数(frequency)などのパラメータに依存する。室温および50Hzで主に寄与するのは明らかに双極分子である。しかし、融点より上の温度では、高い電場では特に、自由電荷担体からの寄与が有意に増加している。
【0019】
高い応力および高い温度で予期せぬほどに低い誘電損失を有するポリマー組成物は、したがって、有利に低い導電性を有し、電力ケーブルの、好ましくは交流(AC)電力ケーブルの絶縁層において非常に適する層物質である。さらに、上記予期せぬほどに低い誘電損失は、ポリマー組成物が半導電層によって囲まれているときですら維持される。
【0020】
ケーブルは好ましくは、ジャケット層を含む。半導電層および絶縁層が、好ましくはジャケット層と組み合わされるとき、中電圧(MV)、高電圧(HV)または超高電圧(EHV)のAC電力ケーブルとしての、好ましくは任意の電圧、好ましくは36kVより高い電圧で作動するAC電力ケーブルとしての、最も好ましくはHVまたはEHVのAC電力ケーブルとしての使用に特に適する優れたAC電力ケーブルが得られる。
【0021】
ポリマー組成物のポリオレフィンは好ましくは、高圧(HP)法において製造される。周知であるように、高圧反応器システムは典型的には、a)ハイパー圧縮器としても知られている1以上の圧縮器において1以上の出発モノマーを圧縮するための圧縮ゾーン、b)1以上の重合反応器においてモノマーを重合するための重合ゾーン、およびc)1以上の分離器において未反応物を分離し、分離されたポリマーを回収するための回収ゾーンを含む。さらに、HP反応器システムの回収ゾーンは典型的には、分離器の次に、分離されたポリマーをペレットの形状で回収するための混合・ペレット化セクション、例えばペレット押出機、を含む。上記方法を以下により詳細に記載する。
【0022】
驚いたことに、出発モノマーを圧縮するためのHP反応器システムにおいて、鉱油が圧縮器においてシリンダ潤滑のために使用されるとき、得られるポリオレフィンが、上記および下記で述べるケーブルの絶縁層におけるポリマー組成物の優れた電気特性に寄与するところの、高い応力および高い温度での驚くほど低い誘電損失を有する。
【0023】
圧縮器潤滑剤は、本明細書では、圧縮器、すなわちハイパー圧縮器、においてシリンダ潤滑のために使用される潤滑剤を意味する。
【0024】
より好ましくは、絶縁層のポリマー組成物は、ポリオレフィンおよび架橋剤を含み、上記ポリオレフィンは、下記:
(a)1以上のモノマーを、潤滑のための圧縮器潤滑剤を使用する圧縮器中で加圧下に圧縮すること、
(b)モノマーを、任意的に1以上のコモノマーと共に、重合ゾーンで重合すること、
(c)得られたポリオレフィンを未反応物から分離し、分離されたポリオレフィンを回収ゾーンで回収すること、
を含む高圧法によって得られ得る。ここで、工程(a)において、圧縮器潤滑剤が鉱油を含む。
【0025】
得られるポリマー組成物は、高い温度および高い応力で、上述した有利な低下された誘電損失を有する。
【0026】
表現「上記方法によって得られ得る」または「上記方法によって製造される」は、本明細書において交換可能に使用され、「プロダクトバイプロセス」のカテゴリー、すなわち生成物が製造法故の技術的特徴を有すること、を意味する。
【0027】
従って、より好ましくは、ケーブルの絶縁層が、下記の「測定法」に記載された「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に従って25kV/mmおよび130℃で測定されるとき、12.0×10
−4以下のtanδ(50Hz)として表わされる誘電損失を有するポリマー組成物を含み、ポリマー組成物のポリオレフィンが、下記:
(a)1以上のモノマーを、潤滑のための圧縮器潤滑剤を使用する圧縮器中で加圧下に圧縮すること、
(b)モノマーを、任意的に1以上のコモノマーと共に、重合ゾーンで重合すること、
(c)得られたポリオレフィンを未反応物から分離し、分離されたポリオレフィンを回収ゾーンで回収すること、
を含む高圧法によって得られ得る。ここで、工程(a)において、圧縮器潤滑剤が鉱油を含む。
【0028】
さらにより好ましくは、絶縁層のポリマー組成物が、下記の「測定法」に記載された「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に従って25kV/mmおよび130℃で測定されるとき、12.0×10
−4以下の、好ましくは11.0×10
−4以下の、好ましくは0.01〜10.0×10
−4の、より好ましくは0.1〜9.0×10
−4の、より好ましくは0.3〜8.0×10
−4の、より好ましくは0.5〜7.0×10
−4のtanδ(50Hz)として表わされる誘電損失を有する。
【0029】
ケーブルのより好ましい実施態様では、少なくとも絶縁層のポリマー組成物が架橋可能であり、ケーブルの最終使用用途の前に架橋剤の存在下で架橋される。
【0030】
「架橋可能な」は、ポリマー組成物が、その最終用途における使用の前に架橋剤を使用して架橋され得ることを意味する。架橋可能なポリマー組成物は、ポリオレフィンおよび架橋剤を含む。ポリマー組成物のポリオレフィンが架橋されるのが好ましい。ポリマー組成物の架橋は、少なくとも、本発明のポリマー組成物の架橋剤を用いて行われる。さらに、架橋されたポリマー組成物または架橋されたポリオレフィンは、最も好ましくは、遊離ラジカル発生剤を用いるラジカル反応によって架橋される。架橋されたポリマー組成物は、当該分野において周知であるように、典型的な網状組織、特にポリマー間の架橋(橋)を有する。当業者に明らかであるように、架橋されたポリマーは、本明細書において述べられまたは本明細書から明らかなように、架橋の前または後のポリマー組成物またはポリオレフィン中に存在する特徴によって定義され得、そして、本明細書では上記特徴によって定義される。例えば、ポリマー組成物中の架橋剤の存在またはポリオレフィン成分の種類および組成特性、例えばMFR、密度および/または不飽和度、は特に断らない限り架橋の前に定義され、架橋後の特徴は、例えば架橋されたポリマー組成物を用いて測定された電気特性または架橋度である。
【0031】
ポリマー組成物の好ましい架橋剤は、遊離ラジカル発生剤、より好ましくはパーオキシドである。
【0032】
従って、本発明の好ましい架橋されたポリマー組成物は、上記または下記で定義されるパーオキシドによる架橋によって得られ得る。表現「架橋によって得られ得る」、「によって架橋された」および「架橋されたポリマー組成物」は、本明細書において交換可能に使用され、架橋工程が、下記で説明されるように、ポリマー組成物に更なる技術的特徴を付与することを意味する。
【0033】
ケーブルが任意的に、W&C分野において慣用的に使用されるところの、1以上のスクリーン、ジャケット層または他の保護層を含む1以上の他の層を含み得ることは当業者に明らかである。
【0034】
任意の架橋の前または後の、ポリマー組成物、第一半導電性組成物、第二半導電性組成物およびジャケット組成物の下記の好ましいサブグループ、特性および実施態様は、そのようなものとして組成物および層に、および上記または下記で定義される架橋可能なケーブルおよび架橋されたケーブルに、等しくかつ独立して当てはまる。
【0035】
好ましくは、ポリマー組成物が、架橋剤を、好ましくはパーオキシドを、ポリマー組成物の総重量に基づいて、10重量%未満の、6重量%未満の、より好ましくは5重量%未満の、3.5重量%未満の、さらにより好ましくは0.1〜3重量の、最も好ましくは0.2〜2.6重量%の量で含む。
【0036】
パーオキシドは、好ましい架橋剤である。非制限的例は、有機パーオキシド、例えばジ−t−アミルパーオキシド、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ(t−ブチル)パーオキシド、ジクミルパーオキシド、ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジベンゾイルパーオキシド、ジ(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチルー2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、またはそれらの任意の混合物である。好ましくは、パーオキシドが、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ジ(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ(t−ブチル)パーオキシド、またはそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、パーオキシドがジクミルパーオキシドである。
【0037】
架橋剤に加えて、有利な電気特性を有するポリマー組成物は、更なる成分、例えば更なるポリマー成分および/または1以上の添加剤、を含み得る。任意の添加剤として、ポリマー組成物が、酸化防止剤、安定剤、水トリー遅延剤、加工助剤、スコーチ遅延剤、金属不活性化剤、架橋ブースター、難燃剤、酸またはイオンスカベンジャー、無機フィラー、電圧安定剤、またはそれらの任意の混合物を含み得る。
【0038】
より好ましい実施態様では、ポリマー組成物が1以上の酸化防止剤および任意的に1以上のスコーチ遅延剤(SR)を含む。
【0039】
酸化防止剤の非制限的例として、例えば、立体障害を有するまたは半立体障害を有するフェノール類、芳香族アミン、脂肪族系の立体障害を有するアミン、有機ホスファイトまたはホスホナイト、チオ化合物、およびそれらの混合物が挙げられ得る。チオ化合物の非制限的例は、例えば、
1.硫黄含有フェノール系酸化防止剤、好ましくはチオビスフェノールから選択され、最も好ましくは、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)(CAS番号:96−69−5)、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、または4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(CAS:110553−27−0)またはそれらの誘導体、またはそれらの任意の混合物、
2.他のチオ化合物、例えばジ−ステアリル−チオ−ジプロピオネートまたは炭素鎖上に種々の長さを有する類似の化合物、またはそれらの混合物、または
3.1)および2)の任意の混合物
である。上記1)の群が好ましい酸化防止剤である。
【0040】
この好ましい実施態様では、酸化防止剤の量が、好ましくは、ポリマー組成物の重量に基づいて、0.005〜2.5重量%である。酸化防止剤は好ましくは、ポリマー組成物の重量に基づいて、0.005〜2.0重量%、より好ましくは0.01〜1.5重量%、さらにより好ましくは0.03〜0.8重量%、さらにより好ましくは0.04〜0.8重量%の量で添加される。
【0041】
さらに好ましい態様では、ポリマー組成物が少なくとも1以上の酸化防止剤および1以上のスコーチ遅延剤を含む。
【0042】
スコーチ遅延剤(SR)は、当該分野において周知の添加剤であり、特に、早期の架橋を防ぐことができる。また、知られているように、SRは、ポリマー組成物の不飽和レベルに寄与し得る。スコーチ遅延剤の例として、アリル化合物、例えば芳香族α−メチルアルケニルモノマーの二量体、好ましくは2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、置換されたまたは非置換のジフェニルエチレン、キノン誘導体、ヒドロキノン誘導体、単官能性ビニル含有エステルおよびエーテル、少なくとも2以上の二重結合を有する単環式炭化水素、またはそれらの混合物が挙げられ得る。好ましくは、スコーチ遅延剤の量が、ポリマー組成物の重量に基づいて、0.005〜2.0重量%、より好ましくは0.005〜1.5重量%の範囲内である。さらに好ましい範囲は、例えば、ポリマー組成物の重量に基づいて、0.01〜0.8重量%、0.02〜0.75重量%、0.02〜0.70重量%、または0.03〜0.60重量%である。ポリマー組成物の好ましいSRは、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(CAS番号6362−80−7)である。
【0043】
本発明のポリマー組成物は、典型的には、ポリマー組成物に存在するポリマー成分の総重量に基づいて、少なくとも50重量%の、好ましくは少なくとも60重量%の、より好ましくは少なくとも70重量%の、より好ましくは少なくとも75重量%の、より好ましくは80〜100重量%の、より好ましくは85〜100重量%の、ポリオレフィンを含む。好ましいポリマー組成物は、唯一のポリマー成分としてのポリオレフィンからなる。上記表現は、ポリマー組成物が、更なるポリマー成分を含まず、ポリオレフィンを唯一のポリマー成分として含むことを意味する。しかし、ポリマー組成物は、ポリマー成分以外の更なる成分、例えば、担体ポリマーとの混合物で、すなわちいわゆるマスターバッチで、任意的に添加され得る添加剤を含み得ると理解されるべきである。
【0044】
ケーブルのさらにより好ましい実施態様では、少なくとも内側半導電層の第一半導電性組成物および絶縁層のポリマー組成物がケーブルの最終使用用途の前に架橋される。また、任意的に、そして好ましくはジャケット層のジャケット組成物が架橋され得る。
【0045】
さらに、第一および第二半導電性組成物および任意的に、そして好ましくはジャケット組成物の各々が、架橋されるとき、任意の架橋剤を含み得、そして、好ましくは、使用される架橋剤の慣用的な量を使用して、慣用のやり方で架橋される。例えば、半導電性組成物または任意的に、そして好ましくはジャケット組成物のいずれかが、パーオキシドによって、または架橋可能な基、例えば加水分解可能なシラン基、を介して架橋可能であり得る。パーオキシドは好ましくは、上記所与の量で使用される。加水分解可能なシラン基は、オレフィンモノマー、好ましくはエチレンモノマーとシラン基含有コモノマーとの共重合によって上記組成物のポリマーに導入され得、または上記ポリマーをシラン基含有化合物でグラフト化することによって、すなわち大体はラジカル反応においてシラン基の付加によりポリマーを化学修飾することによって導入され得る。そのようなシラン基含有コモノマーおよび化合物は当該分野において周知であり、例えば商業的に入手可能である。加水分解可能なシラン基は、典型的には、次いで加水分解およびその後のシラノール縮合触媒およびH
2Oの存在下での公知のやり方での縮合によって架橋される。また、シラン架橋技術は周知である。
【0046】
本発明は、また、本発明のポリマー組成物を使用して、上記または下記で定義される架橋可能なおよび架橋された交流(AC)電力ケーブルを製造する方法に向けられる。
【0047】
ケーブルの絶縁層のポリマー組成物のポリオレフィン成分
上記ポリマー組成物のために適するポリオレフィン成分の下記の好ましい実施態様、特性およびサブグループは、それらがポリマー組成物の好ましい実施態様をさらに定義するために任意の順序または組合せで使用され得るように一般化可能である。さらに、上記記載が、架橋される前のポリオレフィンに当てはまることは明らかである。
【0048】
用語「ポリオレフィン」は、オレフィンホモポリマーおよびオレフィンと1以上のコモノマーとのコポリマーの両方を意味する。周知であるように、「コモノマー」は、共重合可能なコモノマー単位を意味する。
【0049】
ポリオレフィンは、任意のポリオレフィン、例えば、AC電力ケーブルの、絶縁層におけるポリマーとして適する、慣用のポリオレフィンであり得る。
【0050】
ポリオレフィンは、例えば、市販のポリマーであり得、または化学文献に記載された公知の重合法に従って、またはそれに類似して製造され得る。より好ましくは、ポリオレフィンが、高圧法で製造されたポリエチレンであり、より好ましくは、高圧法で製造された低密度ポリエチレンLDPEである。LDPEポリマーの意味は周知であり、文献に記載されている。用語「LDPE」は、低密度ポリエチレンの略号であるが、この用語は、密度範囲を限定するものではなく、低密度、中密度および高密度を有するLDPE様のHPポリエチレンをカバーする。用語「LDPE」は、オレフィン重合触媒の存在下で製造されたPEと比較して、典型的な特徴、例えば異なる分岐構造、を有するHPポリエチレンの性質のみを記載し、区別する。
【0051】
上記ポリオレフィンとしてのLDPEは、エチレンの低密度ホモポリマー(LDPEホモポリマーと言う)またはエチレンと1以上のコモノマーとの低密度コポリマー(LDPEコポリマーと言う)を意味する。LDPEコポリマーの1以上のコモノマーは、好ましくは、上記または下記で定義される、極性コモノマー、非極性コモノマーまたは極性コモノマーと非極性コモノマーの混合物から選択される。さらに、上記ポリオレフィンとしての上記LDPEホモポリマーまたはLDPEコポリマーは、任意的に不飽和であり得る。
【0052】
上記ポリオレフィンとしてのLDPEコポリマーのための極性コモノマーとして、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基またはエステル基またはこれらの混合物を有するコモノマーが使用され得る。より好ましくは、カルボキシルおよび/またはエステル基を有するコモノマーが、上記極性コモノマーとして使用される。さらにより好ましくは、LDPEコポリマーの極性コモノマーが、アクリレート、メタクリレートまたはアセテートまたはそれらの任意の混合物の群から選択される。上記LDPEコポリマーに存在するならば、極性コモノマーは好ましくは、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレートまたはビニルアセテート、またはそれらの混合物の群から選択される。さらに好ましくは、上記極性コモノマーが、C
1〜C
6アルキルアクリレート、C
1〜C
6アルキルメタクリレートまたはビニルアセテートから選択される。さらにより好ましくは、上記極性LDPEコポリマーが、エチレンとC
1〜C
4アルキルアクリレート、例えばメチル、エチル、プロピルまたはブチルアクリレート、またはビニルアセテート、またはそれらの任意の混合物とのコポリマーである。
【0053】
上記ポリオレフィンとしてのLDPEコポリマーのための非極性コモノマーとして、上述した極性コモノマー以外のコモノマーが使用され得る。好ましくは、非極性コモノマーが、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基またはエステル基を有するコモノマー以外である。好ましい非極性コモノマーの1群は、モノ不飽和(=1つの二重結合)コモノマー、好ましくはオレフィン、好ましくはα−オレフィン、より好ましくはC
3〜C
10α−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、1−オクテン、1−ノネン;多不飽和(=1より多い二重結合)コモノマー;シラン基含有コモノマー;またはそれらの任意の混合物を含み、好ましくはそれらから成る。上記多不飽和コモノマーは、不飽和LDPEコポリマーに関して以下にさらに記載される。
【0054】
LDPEポリマーがコポリマーであるならば、好ましくは、0.001〜50重量%、より好ましくは0.05〜40重量%、さらにより好ましくは35重量%未満、さらにより好ましくは30重量%未満、より好ましくは25重量%未満の1以上のコモノマーを含む。ポリマー組成物、好ましくはそのポリオレフィン成分、より好ましくはLDPEポリマーが、任意的に不飽和であり得る。すなわち、ポリマー組成物、好ましくはポリオレフィン、好ましくはLDPEポリマーが、ビニル基を含み得る。「不飽和」は、本明細書において、ポリマー組成物、好ましくはポリオレフィンが、ビニル基を、少なくとも0.04個/炭素原子1000個の総量で含有する。一般に、「ビニル基」は、本明細書においてCH
2=CH−部分を意味する。
【0055】
周知であるように、不飽和は、特にポリオレフィン、低分子量(Mw)化合物、例えば架橋ブースターまたはスコーチ遅延剤、またはそれらの任意の組合せによって、ポリマー組成物に付与され得る。ビニル基の2以上の源が選択されて不飽和を付与するために使用されるならば、ポリマー組成物中のビニル基の総量は、ビニル基源中に存在するビニル基の和を意味する。ビニル基の含量は、ビニル基含量の測定に関する「測定法」の「ポリマー組成物中またはポリマー中の二重結合の量の決定法」の記載部分に従って決定される。
【0056】
任意のビニル基の測定が、架橋の前に行われる。
【0057】
ポリマー組成物が、架橋の前に不飽和であるならば、不飽和が、少なくとも不飽和ポリオレフィン成分由来であるのが好ましい。より好ましくは、不飽和ポリオレフィンが不飽和ポリエチレンであり、より好ましくは不飽和LDPEポリマー、さらにより好ましくは不飽和LDPEホモポリマーまたは不飽和LDPEコポリマーである。多不飽和コモノマーが、上記不飽和ポリオレフィンとしてのLDPEポリマーに存在するとき、LDPEポリマーは、不飽和LDPEコポリマーである。
【0058】
LDPEホモポリマーが不飽和であるならば、不飽和は、例えば、連鎖移動剤(CTA)、例えばプロピレン、によっておよび/または重合条件によって付与され得る。LDPEコポリマーが不飽和であるならば、不飽和は、下記手段:連鎖移動剤(CTA)、1以上の多不飽和コモノマー、または重合条件、の1以上によって付与され得る。選択された重合条件、例えばピーク温度および圧力、が不飽和度に影響を及ぼし得ることは周知である。不飽和LDPEコポリマーの場合には、それは、好ましくは、エチレンと少なくとも1の多不飽和コモノマーと、任意的に他のコモノマー、例えばアクリレートまたはアセテートコモノマーから好ましくは選択される極性コモノマー、との不飽和LDPEコポリマーである。
【0059】
不飽和ポリオレフィンに適する多不飽和コモノマーは好ましくは、少なくとも8個の炭素原子を有しかつ複数の非共役二重結合の間に少なくとも4個の炭素原子を有する炭素直鎖からなり、上記複数の非共役二重結合のうちの少なくとも1が末端にある。より好ましくは、上記多不飽和コモノマーがジエンであり、好ましくは少なくとも8個の炭素原子を有し、第一の炭素−炭素二重結合が末端にあり、第二の炭素−炭素二重結合が第一のものに対して非共役の関係にあるジエンである。好ましいジエンは、C
8〜C
14非共役ジエンまたはそれらの混合物から選択され、より好ましくは、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,13−テトラデカジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、9−メチル−1,8−デカジエン、またはそれらの混合物から選択される。さらにより好ましくは、ジエンが、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,13−テトラデカジエン、またはそれらの任意の混合物から選択されるが、上記ジエンに限定されない。
【0060】
例えばプロピレンがコモノマーとしてまたは連鎖移動剤(CTA)としてまたは両方として使用され得、それによって、それがC−C二重結合の総量に、好ましくはビニル基の総量に寄与し得ることは周知である。本明細書では、コモノマーとしても作用し得る化合物、例えばプロピレン、が二重結合を付与するためのCTAとして使用されるとき、上記共重合可能なコモノマーは、コモノマー含量の計算に入れない。
【0061】
ポリオレフィン、より好ましくはLDPEポリマーが不飽和であるならば、それは、好ましくは、ビニル基の総量が、好ましくは0.05超/炭素原子1000個、さらにより好ましくは0.08超/炭素原子1000個、さらにより好ましくは0.11超/炭素原子1000個、最も好ましくは0.15超/炭素原子1000個である。好ましくは、ビニル基の総量が4.0未満/炭素原子1000個である。いくつかの実施態様では、さらにより高い不飽和が望ましく、そのとき、ポリオレフィンは、架橋前に、好ましくは0.20超/炭素原子1000個、より好ましくは0.25超/炭素原子1000個、さらにより好ましくは0.30超/炭素原子1000個の総量でビニル基を有する。より高いビニル基の量は、好ましくは、エチレンと少なくとも1の多不飽和コモノマーとの不飽和LDPEコポリマーによって付与される。
【0062】
ポリマー組成物での使用のために好ましいポリオレフィンは、飽和LDPEホモポリマーまたはエチレンと1以上のコモノマーとの飽和LDPEコポリマーであり、あるいは不飽和LDPEホモポリマーまたはエチレンと1以上のコモノマー、好ましくは少なくとも1の多不飽和コモノマー、との不飽和LDPEコポリマーから選択される不飽和LDPEポリマーである。
【0063】
W&C用途において典型的には、および好ましくは、ポリオレフィン、好ましくはLDPEポリマーの密度が、860kg/m
3より高い。好ましくは、ポリオレフィン、好ましくはLDPEポリマー、エチレンホモまたはコポリマー、の密度が960kg/m
3以下であり、好ましくは、900〜945kg/m
3である。ポリオレフィン、好ましくはLDPEポリマーのMFR
2(2.16kg、190℃)は、好ましくは0.01〜50g/10分、より好ましくは0.1〜20g/10分、最も好ましくは0.2〜10g/10分である。
【0064】
圧縮器潤滑剤
ポリマー組成物の好ましいポリオレフィンを製造するための重合法において使用される圧縮器潤滑剤は、公知の石油製品である鉱油を含む。鉱油は、周知の意味を有し、特に、市販の潤滑剤における潤滑のために使用される。「鉱油を含む圧縮器潤滑剤」および「鉱油に基づく圧縮器潤滑剤」は、本明細書において、交換可能に使用される。
【0065】
鉱油は、合成的に製造される合成鉱油または原油精製プロセスから得られ得る鉱油であり得る。典型的には、液体石油としても知られる鉱油は、原油からガソリンおよび他の石油に基づく製品を製造するための石油の蒸留における副生物である。本発明の圧縮器潤滑剤の鉱油は、好ましくは、パラフィン油である。そのようなパラフィン油は、石油に基づく炭化水素供給原料から誘導される。
【0066】
鉱油は好ましくは、圧縮器潤滑剤の基油である。圧縮器潤滑剤は、周知であるように、他の成分、例えば潤滑添加剤、粘度ビルダー、酸化防止剤、他の添加剤、またはそれらの任意の混合物を含み得る。
【0067】
より好ましくは、圧縮器潤滑剤は、食品または医薬工業のためのプラスチック、例えばLDPE、を製造するための圧縮器潤滑剤として慣用的に使用される鉱油を含む。より好ましくは、圧縮器潤滑剤は、ホワイトオイルである鉱油を含む。さらにより好ましくは、圧縮器潤滑剤が、鉱油としてホワイトオイルを含み、食品または医薬工業のためのポリマーの製造に適する。ホワイトオイルは周知の意味を有する。さらに、そのようなホワイトオイルに基づく圧縮器潤滑剤は周知であり、市販されている。さらにより好ましくは、ホワイトオイルが、食品または医薬ホワイトオイルのための要件を満たす。
【0068】
知られているように、好ましい圧縮器潤滑剤の鉱油、好ましくはホワイトミネラルオイルが、パラフィン系炭化水素を含む。さらにより好ましくは、圧縮器潤滑剤が下記実施態様の1以上を満たす。
1の好ましい実施態様では、圧縮器潤滑剤の鉱油、好ましくはホワイトミネラルオイルが、少なくとも8.5×10
−6m
2/sの粘度(100℃)を有する。
第2の好ましい実施態様では、圧縮器潤滑剤の鉱油、好ましくはホワイトミネラルオイルが、5重量%以下の、25未満の炭素原子を有する炭化水素を含有する。
第3の好ましい実施態様では、圧縮器潤滑剤の鉱油、好ましくはホワイトミネラルオイルの炭化水素が、480以上の平均分子量(Mw)を有する。
【0069】
上記「炭化水素の量」、「粘度」および「Mw」は好ましくは、上記の2002年8月6日の欧州指令2002/72/ECに従う。
【0070】
圧縮器潤滑剤は好ましくは、上記3つの実施態様1〜3の各々に従う。
【0071】
本発明の最も好ましい圧縮器潤滑剤は、食品接触において使用されるプラスチックのための2002年8月6日の欧州指令2002/72/EC、付録V(Annex V)、におけるホワイトミネラルオイルのための要件を満たす。上記指令は、例えば、2002年8月15日の欧共同体のL220/18EN官報に発表されている。従って、鉱油は、最も好ましくは、上記2002年8月6日の欧州指令2002/72/EC、付録 V、に従うホワイトミネラルオイルである。さらに、圧縮器潤滑剤が、上記2002年8月6日の欧州指令2002/72/ECに従うことが好ましい。
【0072】
本発明の圧縮器潤滑剤は、市販の圧縮器潤滑剤であり得、または慣用の手段によって製造され得る。好ましくは、医薬または食品用途のためのプラスチックを製造するための高圧重合法で使用される市販の潤滑剤である。好ましい市販の圧縮器潤滑剤の包括的でない例は、例えば、ExxonMobilによって特に供給される、食品接触において使用されるポリエチレンの製造のためのExxcolub Rシリーズの圧縮器潤滑剤、Shellによって供給される、医薬用途のためのポリエチレンを製造するためのShell Corena、またはSonnebornによって供給されるCL-1000-SONO-EUである。
【0073】
圧縮器潤滑剤は、好ましくは、ポリアルキレングリコールに基づく成分を含有しない。
【0074】
本発明のポリマー組成物に存在する任意の鉱油が、ポリオレフィンの重合プロセス中の装置において使用される圧縮器潤滑剤に由来するのが好ましい。したがって、ポリマー組成物に、または重合後のポリオレフィンに、鉱油が添加されないのが好ましい。
【0075】
圧縮器潤滑剤に由来する、およびあるならば製造されたポリオレフィン中に存在する微量の鉱油は、典型的には、最大で、ポリオレフィンの量に基づいて0.4重量%までの量であろう。上記限界は、失われた圧縮器潤滑剤(平均の漏出量)の全てが最終のポリオレフィンに入るところの最悪のシナリオの計算に基づく絶対的最大値である。そのような最悪のシナリオは起こりそうになく、通常は、得られるポリオレフィンは、明らかにより低い量の鉱油を含む。
【0076】
本発明の圧縮器潤滑剤は、本発明の圧縮工程(a)における圧縮器の潤滑のために慣用のやり方で使用され、当業者に周知である。
【0077】
方法
高圧(HP)法は、ポリマー組成物のポリオレフィン、好ましくはLDPEホモポリマーまたはエチレンと1以上のコモノマーとのLDPEコポリマーから選択される低密度ポリエチレン(LDPE)ポリマー、を製造するために好ましい方法である。
【0078】
本発明はさらに、下記工程:
(a)1以上のモノマーを圧縮器潤滑剤が潤滑のために使用されるところの圧縮器において加圧下で圧縮すること、
(b)モノマーを、任意的に1以上のコモノマーとともに、重合ゾーンで重合すること、
(c)得られたポリオレフィンを未反応物から分離し、分離されたポリオレフィンを回収ゾーンで回収すること、
を含む高圧法でポリオレフィンを重合するための方法を提供する。ここで、工程(a)において、圧縮器潤滑剤は、その好ましい実施態様を包含する鉱油を含む。
【0079】
したがって、本発明のポリオレフィンは、好ましくは、遊離ラジカル開始重合によって高圧で製造される(高圧ラジカル重合と言う)。好ましいポリオレフィンは、上述したように、LDPEホモポリマーまたはエチレンと1以上のコモノマーとのLDPEコポリマーである。本発明の方法によって得られ得るLDPEポリマーは、好ましくは、上記または下記で定義される有利な電気特性を与える。高圧(HP)重合および、所望の最終用途に応じてポリオレフィンの他の特性をさらに適応させるためのプロセス条件の調整は周知であり、文献に記載されており、当業者によって容易に使用され得る。
【0080】
本発明の方法の圧縮工程a)
モノマー、好ましくはエチレン、および1以上の任意のコモノマーが、圧縮器ゾーンで1以上の圧縮器に供給されて、所望の重合圧力になるまでモノマーを圧縮し、制御された温度での高い量のモノマーの取り扱いを可能にする。上記方法の典型的な圧縮器、すなわちハイパー圧縮器は、ピストン圧縮器またはダイヤフラム圧縮器であり得る。圧縮器ゾーンは通常、1以上の圧縮器、すなわちハイパー圧縮器を含む。それは、直列でまたは並列で作用し得る。本発明の圧縮器潤滑剤は、圧縮器ゾーンに存在する少なくとも1の、好ましくは全てのハイパー圧縮器におけるシリンダ潤滑のために使用される。圧縮工程a)は、通常、2〜7の圧縮工程を含み、しばしば中間の冷却ゾーンを有する。温度は典型的には低く、通常、200℃未満、好ましくは100℃未満の範囲である。任意の再循環されたモノマー、好ましくはエチレン、および任意のコモノマーが、圧力に応じて適する時点で添加され得る。
【0081】
本発明の方法の重合工程b)
好ましい高圧重合は、1以上の重合反応器、好ましくは少なくとも管状反応器またはオートクレーブ反応器、好ましくは管状反応器、を含む重合ゾーンで行われる。重合反応器、好ましくは管状反応器は、1以上の反応器ゾーンを含み得、ここで、種々の重合条件が生じ得、および/またはHP分野で周知であるように調整され得る。1以上の反応器ゾーンは、モノマー及び任意のコモノマーを供給するための手段および開始剤および/または更なる成分、例えばCTA、を添加するための手段が、公知のやり方で備えられる。さらに、重合ゾーンは、重合反応器に先立つまたはそれと統合された予熱セクションを含み得る。1の好ましいHP法では、モノマー、好ましくはエチレン、が任意的に1以上のコモノマーとともに、好ましい管状反応器中で、好ましくは連鎖移動剤の存在下で、重合される。
【0082】
管状反応器
反応混合物は、管状反応器に供給される。管状反応器は、単一供給系(フロントフィードとしても知られる)として運転され得、ここで圧縮器ゾーンからの全モノマー流が反応器の第一反応ゾーンの入口に供給される。あるいは、管状反応器は多供給系であり得、ここで例えば圧縮ゾーンからのモノマー、任意のコモノマーまたは更なる成分(例えばCTA)が、別々にまたは任意の組合せで、2以上の流れに分割され、分割された供給物が、管状反応器の種々の反応ゾーンへ反応器に沿って導入される。例えば、全モノマー量の10〜90%が第一反応ゾーンに供給され、他の90〜10%の残りのモノマー量が、任意的にさらに分割され、分割された各々が反応器に沿って種々の位置で注入される。開始剤の供給も2以上の流れに分割され得る。さらに、多供給系では、モノマー(/コモノマー)および/または任意の更なる成分、例えばCTA、の分割された流れ、および開始剤の分割された流れがそれぞれ、同じもしくは異なる成分または同じもしくは異なる濃度の成分、またはそれらの両方を有し得る。
【0083】
本発明のポリオレフィンの製造のための管状反応器では、モノマーおよび任意のコモノマーのための単一供給系が好ましい。
【0084】
管状反応器の第一の部分は、モノマー、好ましくはエチレン、および任意のコモノマーの供給の温度を調整することであり、通常の温度は200℃より下、例えば100〜200℃である。次いでラジカル開始剤が添加される。ラジカル開始剤としては、高められた温度でラジカルに分解する任意の化合物またはそれらの混合物が使用され得る。使用できるラジカル開始剤、例えばパーオキシド、は市販されている。重合反応は発熱的である。別個の注入ポンプが通常備えられた反応器に沿って、いくつかのラジカル開始剤注入点、例えば1〜5の注入点があり得る。既に述べたようにまた、モノマー、好ましくはエチレン、および任意のコモノマーが、フロントで添加され、任意的にモノマー供給物が、本発明方法の任意の時点で、管状反応器の任意のゾーンでおよび1以上の注入点、例えば1〜5の注入点から、別々の圧縮器を伴ってまたは伴わないで、上記モノマーおよび/または任意のコモノマーを添加するために分割され得る。
【0085】
さらに、ポリオレフィンの重合法において1以上のCTAが好ましくは使用される。好ましいCTAは、1以上の非極性CTAおよび1以上の極性CTA、またはそれらの任意の混合物から選択され得る。
【0086】
非極性CTAは、存在するならば、好ましくは下記から選択される。
i)ニトリル(CN)、スルフィド、ヒドロキシル、アルコキシ、アルデヒド(HC=O)、カルボニル、カルボキシル、エーテルまたはエステル基、またはそれらの混合から選択される極性基を有しない1以上の化合物。
非極性CTAは、好ましくは、1以上の非芳香族、直鎖、分岐または環式のヒドロカルビルであって、任意的にヘテロ原子、例えばO、N、S、SiまたはP、を含むものから選択される。より好ましくは、非極性CTAが、1以上の、5〜12の炭素原子の環式α−オレフィンまたは1以上の、3〜12の炭素原子の直鎖または分岐鎖α−オレフィン、より好ましくは1以上の、3〜6の炭素原子の直鎖または分岐鎖α−オレフィン、から選択される。好ましい非極性CTAはプロピレンである。
【0087】
極性CTAは、存在するならば、好ましくは下記から選択される。
i)ニトリル(CN)、スルフィド、ヒドロキシル、アルコキシ、アルデヒド(HC=O)、カルボニル、カルボキシル、エーテルまたはエステル基、またはそれらの混合物から選択される1以上の極性基を有する1以上の化合物、
ii)1以上の芳香族有機化合物、または
iii)それらの任意の混合物。
【0088】
好ましくは、任意のそのような極性CTAが、12までの炭素原子、例えば10までの炭素原子、好ましくは8までの炭素原子を有する。好ましくは、12までの炭素原子(例えば8までの炭素原子)を有しかつ少なくとも1のニトリル(CN)、スルフィド、ヒドロキシル、アルコキシ、アルデヒド(HC=O)、カルボニル、カルボキシルまたはエステル基を有する直鎖または分岐鎖のアルカンを包含する。
【0089】
より好ましくは、極性CTAが、存在するならば、i)1以上のヒドロキシル、アルコキシ、HC=O、カルボニル、カルボキシルおよびエステル基またはそれらの混合物を有する1以上の化合物から、より好ましくは、1以上のアルコール、アルデヒドおよび/またはケトン化合物から選択される。好ましい極性CTAは、存在するならば、12までの炭素原子、好ましくは8までの炭素原子、特に6までの炭素原子、を有する直鎖または分岐鎖のアルコール、アルデヒドまたはケトンであり、最も好ましくは、イソプロパノール(IPA)、メチルエチルケトン(MEK)および/またはプロピオンアルデヒド(PA)である。
【0090】
好ましいCTAの量は限定されず、最終ポリマーの所望の最終特性に応じて本発明の範囲内で当業者によって適応され得る。従って、好ましい連鎖移動剤は、反応器の任意の注入箇所においてポリマー混合物に添加され得る。1以上のCTAの添加は、重合中の任意の時点で1以上の注入箇所から行われ得る。
【0091】
ポリオレフィンの重合が、上述した1以上の極性CTAおよび上述した1以上の非極性CTAを含むCTA混合物の存在下で行われる場合には、極性CTAと非極性CTAとの供給比(重量%)は好ましくは、反応器への極性CTAおよび非極性CTAの供給の一緒にされた量に基づいて、1〜99重量%の極性CTAおよび1〜99重量%の非極性CTAである。
【0092】
モノマー、コモノマーおよび任意のCTAの添加は、新鮮なおよび再循環された供給物を包含し得、典型的には、それらを包含する。
【0093】
反応器は、例えば水または蒸気によって、連続的に冷却される。最も高い温度をピーク温度と言い、反応開始温度を開始温度と言う。適する温度は400℃まで、好ましくは80〜350℃の範囲であり、圧力は700バール以上、好ましくは1000〜4000バール、より好ましくは1000〜3500バールである。圧力は、少なくとも圧縮段階の後および/または管状反応器の後に測定され得る。温度は、全工程中のいくつかの時点で測定され得る。高い温度および高い圧力は一般に、出力を高める。当業者によって選択される種々の温度プロファイルの使用は、ポリマー鎖の構造の制御、すなわち長鎖分岐および/または短鎖分岐、密度、分岐係数(branching factor)、コモノマーの分布、MFR、粘度、分子量分布などの制御を可能にするであろう。反応器は慣用的に、バルブ、いわゆる製造制御バルブ、で終わる。バルブは、反応器圧を制御し、反応混合物を反応圧から分離圧へ減圧する。
【0094】
本発明の方法の回収工程c)
分離
圧力は、典型的には、約100〜450バールに低下され、反応混合物は分離器に送られ、そこで未反応物(しばしば気体状)のほとんどがポリマー流から除去される。未反応物は、例えばモノマーまたは上記任意のコモノマーを含み、未反応成分のほとんどが回収される。ポリマー流は任意的に、より低圧で、典型的には1バール未満で、未反応物のより多くが回収されるところの第二の分離器でさらに分離される。通常、低分子化合物、すなわちワックス、が気体から除去される。気体は通常、再循環の前に冷却され、きれいにされる。
【0095】
分離されたポリマーの回収
分離後、得られたポリマーは、典型的には、ポリマー溶融物の形状であり、それは通常、HP反応器系に連結して配置されたペレット化セクション、例えばペレット押出機において、混合されそしてペレット化される。任意的に、添加剤、例えば酸化防止剤、がこのミキサーに公知のやり方で添加されて本発明のポリマー組成物を与え得る。
【0096】
高圧ラジカル重合によるエチレン(コ)ポリマーの製造の更なる詳細は、特に、the Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Vol.6 (1986),pp 383-410およびEncyclopedia of Materials: Science and Technology, 2001 Elsevier Science Ltd.: “Polyethylene:High-pressure (「ポリエチレン:高圧) R. Klimesch,D. Littmann and F.-O. Mahling pp. 7181-7184に見られ得る。
【0097】
重合されたポリマー、好ましくはLDPEポリマー、のポリマー特性、例えばMFR、に関して、上記特性は、例えば重合中に連鎖移動剤を使用することによってまたは反応温度または圧力を調整することによって(これらはまた、ある程度まで、不飽和レベルに影響を及ぼす)調整され得る。エチレンの不飽和LDPEコポリマーが調製されるとき、周知のように、C−C二重結合量は、不飽和LDPEコポリマーのために望ましいC−C二重結合の性質および量に応じて、エチレンを、例えば1以上の多不飽和コモノマー、連鎖移動剤、プロセス条件、またはそれらの任意の組合せの存在下で、例えばモノマー、好ましくはエチレン、および多不飽和コモノマーおよび/または連鎖移動剤の間の望ましい供給比を使用して、重合することにより調整され得る。特に国際公開第9308222号パンフレットは、エチレンコポリマーの不飽和度を高めるための、エチレンと多不飽和モノマー、例えばα,ω−アルカジエン、との高圧ラジカル重合を記載している。こうして、反応しなかった二重結合は、形成されたポリマー鎖の、多不飽和コモノマーが重合によって組み入れられたところの部位に特にペンダントのビニル基を付与する。その結果、不飽和は、ランダム共重合法においてポリマー鎖に沿って均一に分布され得る。また、例えば国際公開第9635732号パンフレットは、エチレンとある種の多不飽和α,ω−ジビニルシロキサンとの高圧ラジカル重合を記載している。さらに、公知のように、例えばプロピレンが連鎖移動剤として使用されて上記二重結合を付与し得る。
【0098】
ケーブルの第一および第二半導電性組成物
第一および第二半導電性組成物は、異なりまたは同一であり得、半導電性組成物の下記の好ましい実施態様が、それらの各々に独立して当てはまる。
【0099】
半導電性組成物は、好ましくは、ポリオレフィン(S)および導電性フィラーを含む。
【0100】
適するポリオレフィン(S)は、任意のポリオレフィン、例えば本発明のケーブルの半導電性ケーブル層を製造するために使用され得る任意の慣用のポリオレフィンであり得る。例えば、そのような適する慣用のポリオレフィンは、そのようなものとして周知であり、そして例えば商業的に入手可能であり、または、化学文献に記載された公知の重合法に従ってまたは上記重合法に類似して製造され得る。
【0101】
ポリマー組成物のポリオレフィン(S)は好ましくは、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)から、好ましくはポリエチレンから選択される。ポリエチレンに関しては、エチレンが、任意のポリエチレンポリマーに存在する主要なモノマー含量を形成するであろう。
【0102】
好ましいポリオレフィン(S)は、オレフィン重合触媒の存在下で製造されたポリエチレンまたは高圧法で製造されたポリエチレンである。
【0103】
ポリオレフィン(S)がエチレンと少なくとも1のコモノマーとのコポリマーである場合には、そのようなコモノマーが非極性コモノマーまたは極性コモノマー、またはそれらの任意の混合物から選択される。好ましい任意の非極性コモノマーおよび極性コモノマーは、高圧法で製造されたポリエチレンに関して以下に記載される。これらのコモノマーは、本発明の任意のポリオレフィン(S)において使用され得る。
【0104】
「オレフィン重合触媒」は、本明細書において好ましくは慣用の配位触媒を意味する。好ましくは、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセンおよび非メタロセン触媒を含むシングルサイト触媒、またはクロム触媒、またはそれらの任意の混合物から選択される。上記用語は、周知の意味を有する。
【0105】
また、オレフィン重合触媒の存在下で重合されたポリエチレンは、しばしば「低圧ポリエチレン」と呼ばれて、高圧で製造されたポリエチレンと明確に区別される。両方の表現は、ポリオレフィン分野において周知である。低圧ポリエチレンは、特にバルク、スラリー、溶液または気相状態で、またはそれらの任意の組合せで作動する重合法において製造され得る。オレフィン重合触媒は、典型的には、上記で定義された配位触媒である。
【0106】
より好ましくは、ポリオレフィン(S)が、配位触媒の存在下で製造された、または高圧重合法で製造されたエチレンのホモポリマーまたはコポリマーから選択される。
【0107】
ポリオレフィン(S)が低圧ポリエチレン(PE)である場合には、そのような低圧PEが好ましくは、超低密度エチレンコポリマー(VLDPE)、直鎖状低密度エチレンコポリマー(LLDPE)、中密度エチレンコポリマー(MDPE)または高密度エチレンホモポリマーまたはコポリマー(HDPE)から選択される。これらの周知の型は、それらの密度範囲にしたがって命名される。用語VLDPEは、本明細書において、プラストマーおよびエラストマーとしても知られるポリエチレンを包含し、850〜909kg/m
3の密度範囲をカバーする。LLDPEは、909〜930kg/m
3の、好ましくは910〜929kg/m
3の、より好ましくは915〜929kg/m
3の密度を有する。MDPEは、930〜945kg/m
3の、好ましくは931〜945kg/m
3の密度を有する。HDPEは、945kg/m
3より高い、好ましくは946kg/m
3より高い、好ましくは946〜977kg/m
3の、より好ましくは946〜965kg/m
3の密度を有する。
【0108】
より好ましくは、ポリオレフィン(S)のためのそのようなエチレンの低圧コポリマーは、C3−20αオレフィン、より好ましくはC4−12αオレフィン、より好ましくはC4−8αオレフィンから選択される少なくとも1のコモノマーと、例えば1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテン、またはそれらの混合物と、共重合される。PEコポリマーに存在するコモノマーの量は、0.1〜15モル%、典型的には0.25〜10モル%である。
【0109】
さらに、ポリオレフィン(S)が低圧PEポリマーである場合には、そのようなPEが分子量分布(MWD=Mw/Mn)に関して単峰性または多峰性であり得る。一般に、少なくとも2のポリマー画分を含むポリマーを「多峰性」と言う。このポリマーは、異なる重合条件(特に、プロセスパラメータのいずれか、出発物質の供給量、プロセス制御剤の供給量および触媒系の供給量を包含する)下で製造されて、画分のための異なる(重量平均)分子量および分子量分布を生じている。接頭辞「多」は、ポリマー中に存在する異なるポリマー画分の数に関する。即ち、例えば、多峰性ポリマーは、2の画分からなるいわゆる「二峰性」ポリマーを包含する。多峰性ポリマーの分子量分布曲線の形状、すなわちポリマー重量画分のその分子量の関数としてのグラフの外観が2以上の極大を示し、あるいは典型的には、個々の画分のための曲線と比較して明瞭に広い。
【0110】
単峰性低圧PEは、例えば単一の反応器中で周知のおよび文献に記載されたやり方で単一工程重合によって製造され得る。多峰性(例えば二峰性)低圧PEは、例えば2以上の別個のポリマー成分を一緒に機械的にブレンドすることにより、または好ましくは上記成分の重合プロセス中にインシチューでブレンドすることにより製造され得る。機械的ブレンドおよびインシチューでのブレンドは共に、当該分野において周知である。インシチューでのブレンドは、異なる重合条件下で、例えば多工程の、すなわち2以上の工程の重合プロセスで、または1工程重合プロセスにおいて2以上の異なる重合触媒の使用により、または多工程重合プロセスと2以上の異なる重合触媒との組み合わせの使用により、ポリマー成分を重合することを意味する。重合ゾーンは、当該分野において知られているように、バルク、スラリー、溶液、または気相状態で、あるいはそれらの任意の組合せで作動し得る。
【0111】
第二の実施態様によれば、ポリオレフィン(S)が、高圧重合法で製造された、好ましくは開始剤の存在下でラジカル重合によって製造されたポリエチレンである。より好ましくは、ポリオレフィン(S)が、低密度ポリエチレン(LDPE)である。ポリオレフィン(S)、好ましくはポリエチレンが、高圧法で製造されるとき、好ましいポリオレフィンは、LDPEホモポリマーまたはエチレンと1以上のコモノマーとのLDPEコポリマーである。いくつかの実施態様では、LDPEホモポリマーおよびコポリマーが不飽和であり得る。適するLDPEポリマーの例およびそれらの重合のための一般的な原則は、絶縁層のポリマー組成物のポリオレフィンに関して上述されているが、上記方法の圧縮工程(a)中の圧縮器におけるどの特定の潤滑剤にも限定されない。高圧ラジカル重合によるエチレン(コ)ポリマーの製造に関して、the Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Vol.6 (1986), pp 383-410およびEncyclopedia of Materials: Science and Technology,2001 Elsevier Science Ltd.: “Polyethylene:High-pressure (「ポリエチレン:高圧) R. Klimesch,D. Littmann and F.-O. Mahling pp. 7181-7184が参照され得る。
【0112】
半導電性組成物の導電性フィラーは、好ましくはカーボンブラックである。電気伝導性であり、半導電層のために必要な半導電性を付与する任意のカーボンブラックが使用され得る。
【0113】
好ましくは、カーボンブラックが、ASTM D3037−93にしたがって測定されるとき、5〜400m
2/gの、好ましくは10〜300m
2/gの、より好ましくは30〜200m
2/gの窒素表面積(BET)を有し得る。さらに好ましくは、カーボンブラックが下記特性:i)少なくとも5nmの、ASTM D3849−95a 方法Dに従う数平均粒径として定義される一次粒子サイズ、ii)ASTM D−1510−07にしたがって測定されるとき、少なくとも10mg/gの、好ましくは10〜300mg/gの、より好ましくは30〜200mg/gのヨウ素吸着量(IAN)、および/またはiii)ASTM D2414−06aにしたがって測定されるとき、60〜300cm
3/100gの、好ましくは70〜250cm
3/100gの、より好ましくは80〜200cm
3/100gの、好ましくは90〜180cm
3/100gのDBP(ジブチルフタレート)吸収量、の1以上を有する。より好ましくは、カーボンブラックが上記で定義された窒素表面積(BET)および特性(i)、(ii)および(iii)を有する。好ましいカーボンブラックの非制限的例は、ファーネスカーボンブラックおよびアセチレンブラックを包含する。
【0114】
カーボンブラックの量は、少なくとも半導電性組成物が得られるような量である。所望の用途、カーボンブラックの導電性および組成物の導電性に応じて、カーボンブラックの量は変わり得る。
【0115】
ファーネスカーボンブラックは、ファーネス型の反応器で製造される周知のカーボンブラックの型のために一般的に認められている用語である。カーボンブラック、その製造法および反応器の例として、例えばCabotの欧州特許第629222号明細書、ならびに米国特許第4,391,789号、同第3,922,335号および同第3,401,020号明細書が参照され得る。ファーネスカーボンブラックは、例えば米国特許第4,340,577号明細書に記載されているようにアセチレンおよび不飽和炭化水素の反応によって製造されるアセチレンカーボンブラックと、本明細書では区別される。
【0116】
アセチレンブラックは、一般的に認められている用語であり、非常によく知られており、例えばDenkaによって供給される。アセチレンブラックは、アセチレンブラック法で製造される。
【0117】
好ましくは、ケーブルの半導電性組成物の、ISO3915(1981)にしたがって90℃で測定される体積抵抗率が、500,000Ωcm未満、より好ましくは100,000Ωcm未満、さらにより好ましくは50,000Ωcm未満である。体積抵抗率は、電気伝導性と反比例の関係にある。すなわち、抵抗率が低いほど、電導性が高い。
【0118】
本発明の半導電性組成物は、使用されるカーボンブラックに応じて、ポリマー組成物の重量に基づいて、好ましくは9.5〜49.5重量%、より好ましくは9〜49重量%、より好ましくは5〜45重量%のカーボンブラックを含む。
【0119】
架橋オプションおよび使用可能な架橋剤は、絶縁層のポリマー組成物の記載に関して上述されている。
【0120】
ケーブルの半導電性組成物はもちろん、ポリマー分野において知られているように、更なる成分、例えば、混和性熱可塑性物質などの更なるポリマー成分;または更なる添加剤、例えば酸化防止剤、スコーチ遅延剤;添加剤、例えば酸化防止剤、スコーチ遅延剤(SR)、水トリー遅延剤、架橋ブースター、電圧安定剤などの安定剤、難燃剤、酸またはイオンスカベンジャー、更なるフィラー、潤滑剤などの加工助剤、発泡剤または着色剤のいずれか、を含み得る。添加剤は、層の種類、例えば半導電層または絶縁層であるかどうか、に依存し、当業者によって選択され得る。更なる添加剤の総量は、存在するならば、ポリマー組成物の総量に基づいて、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜7重量%、より好ましくは0.2〜5重量%である。
【0121】
本発明のケーブルの半導電性組成物は典型的には、半導電性組成物に存在するポリマー成分の総重量に基づいて、少なくとも50重量%の、好ましくは少なくとも60重量%の、より好ましくは少なくとも70〜100重量%のポリオレフィンを含む。しかし、半導電性組成物は、ポリマー成分以外の更なる成分、例えば担体ポリマーとの混合物で、すなわちいわゆるマスターバッチで任意的に添加され得る添加剤、を含み得ることが本明細書において理解されるべきである。
【0122】
ケーブルのジャケット層のジャケット組成物
ジャケット組成物は好ましくは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはそれらの任意の混合物から好ましくは選択されるポリオレフィン(j)を含む。より好ましくは、ジャケット組成物のポリオレフィン(j)が、第一および第二半導電性組成物のために記載されたポリオレフィン(S)から独立して選択される。
【0123】
架橋オプションおよび使用可能な架橋剤は、絶縁層のポリマー組成物の記載に関して上述されている。
【0124】
ジャケット組成物は、更なる成分、例えば更なるポリマー成分、更なる添加剤、例えば酸化防止剤、安定剤、フィラー、顔料またはそれらの任意の混合物をさらに含み得る。ジャケット層は、好ましくは、顔料またはカーボンブラックまたは両方を慣用的に使用される量で含む。
【0125】
本発明のケーブルのジャケット組成物は典型的には、ジャケット組成物に存在するポリマー成分の総重量に基づいて、少なくとも50重量%の、好ましくは少なくとも60重量%の、より好ましくは少なくとも70〜100重量%のジャケットポリオレフィンを含む。しかし、ジャケット組成物は、ポリマー成分以外の更なる成分、例えば担体ポリマーとの混合物で、すなわちいわゆるマスターバッチで任意的に添加され得る添加剤、を含み得ることが本明細書において理解されるべきである。
【0126】
本発明のAC電力ケーブル
本発明の交流(AC)電力ケーブルは、AC電力ケーブル、特に6kV〜36kVの電圧で作動する電力ケーブル(中電圧(MV)ケーブル)および36kV超の電圧で作動する電力ケーブル(高電圧(HV)ケーブルおよび超高電圧(EHV)ケーブルとして知られる)、のために非常に適する。EHVケーブルは、よく知られているように、非常に高い電圧で作動する。上記用語は、周知の意味を有し、そのようなケーブルの作動レベルを示す。最も好ましいAC電力ケーブルは、aである。
【0127】
従って、有利な低誘電損失特性を有するポリマー組成物は、36kV超の電圧で、好ましくは40kV以上の電圧で、さらには50kV以上の電圧で作動するHVまたはEHVのAC電力ケーブルに非常に適する。EHV AC電力ケーブルは、非常に高い電圧の範囲、例えば800kVまでの高い電圧範囲(しかし、それに限定されない)で作動する。
【0128】
本発明はまた、上記または特許請求の範囲で定義され
る交流(AC)電力ケーブル、好ましくはHVまたはEHVのAC電力ケーブルを製造する方法を提供する。上記方法は、下記工程:
(a)1以上の
エチレンモノマーを、潤滑のための、鉱油を含む圧縮器潤滑剤を使用する圧縮器中で加圧下に圧縮すること、
(b)
上記エチレンモノマーを、任意的に1以上のコモノマーと共に、重合ゾーンで重合すること、および
(c)得られた
LDPEを未反応物から分離し、分離された
LDPEを回収ゾーンで回収すること、
を含む高圧法によって
LDPEを得ること、および下記工程:
(d)上記
LDPEおよび架橋剤を含むポリマー組成物を得ること、
(e)第一半導電性組成物を含む内側半導電層、工程(d)のポリマー組成物を含む絶縁層、第二半導電性組成物を含む外側半導電層、および任意的に、そして好ましくは、ジャケット組成物を含むジャケット層を導体上に施与すること、および
(f)
少なくとも、絶縁層のポリマー組成物の
LDPE、任意的に、そして好ましくは、内側半導電層の第二半導電性組成物、任意的に外側半導電層の第二半導電性組成物、および任意的に、任意のジャケット層のジャケット組成物を、架橋剤の存在下および架橋条件で架橋すること
を含む。
【0129】
本発明のHVまたはEHVのAC電力ケーブルの製造法の好ましい実施態様では、方法が下記工程:
(a)内側半導電層のための、ポリオレフィン、導電性フィラー、好ましくはカーボンブラック、および任意的に更なる成分を含む、任意的に架橋可能な第一半導電性組成物を用意し、そして混合する、好ましくは押出機中で溶融混合すること、
絶縁層のための本発明の架橋可能なポリマー組成物を用意し、そして混合する、好ましくは押出機中で溶融混合すること、
外側半導電層のための、ポリオレフィン、導電性フィラー、好ましくはカーボンブラック、および任意的に更なる成分を含む、任意的に架橋可能な第二半導電性組成物を用意し、そして混合する、好ましくは押出機中で溶融混合すること、
外側半導電層のための、ポリオレフィンおよび任意的に更なる成分を含む、任意的に架橋可能なジャケット組成物を用意し、そして混合する、好ましくは押出機中で溶融混合すること、
(b)導体上に、好ましくは共押出により、
内側半導電層を形成するための、工程(a)で得られた第一半導電性組成物の溶融混合物、
絶縁層を形成するための、工程(a)で得られた本発明のポリマー組成物の溶融混合物、
外側半導電層を形成するための、工程(a)で得られた第二半導電性組成物の溶融混合物、
遮蔽ジャケット層を形成するための、工程(a)で得られたジャケット組成物の溶融混合物
を施与すること、および
(c)任意的に、得られたケーブルの絶縁層のポリマー組成物、内側半導電層の半導電性組成物、外側半導電層の半導電性組成物およびジャケット層のジャケット組成物の1以上を、好ましくは少なくとも絶縁層のポリマー組成物を、より好ましくは絶縁層のポリマー組成物、少なくとも内側半導電層の半導電性組成物、任意的に外側半導電層の半導電性組成物および任意的にジャケット層のジャケット組成物を架橋条件で架橋すること
を含む。
【0130】
溶融混合は、得られた混合物の少なくとも主要なポリマー成分の融点より上で混合することを意味し、典型的には、ポリマー成分の融点または軟化点より少なくとも10〜15℃上の温度で行われる。
【0131】
用語「(共)押出」は、本明細書では、従来周知であるように、2以上の層の場合に、これらの層が別々の工程で押し出され得る、またはこれらの層の少なくとも2または全てが同一の押出工程で共押出され得ることを意味する。用語「(共)押出」はまた、本明細書では、層の全部または一部が1以上の押出ヘッドを使用して同時に形成されることを意味する。例えば、3のケーブル層を形成するためにトリプル押出が使用され得る。
【0132】
よく知られているように、本発明のポリマー組成物および第一および第二半導電性組成物、および任意的に、そして好ましくはジャケット組成物は、ケーブル製造法の前またはその間に製造され得る。さらに、絶縁層のポリマー組成物、第一および第二半導電性組成物および任意的に、そして好ましくはジャケット組成物が、各々独立して、ケーブル製造法の(溶融)混合工程a)への導入の前にそれらの成分の一部または全部を含み得る。
【0133】
好ましくは、ポリマー組成物の上記一部または全部が、好ましくは少なくともポリオレフィンが、ケーブル製造法へ供給されるときに、粉末、粒子(grain)またはペレットの形状である。ペレットは、任意のサイズおよび形状であり得、任意の慣用のペレット製造デバイス、例えばペレット押出機、によって製造され得る。
【0134】
1の実施態様によれば、少なくともポリマー組成物が上記任意の更なる成分を含む。この実施態様では、上記更なる成分の一部または全部が例えば、
1)重合法で得られた形状であり得るポリオレフィンへの溶融混合によって添加され得、そして得られた溶融混合物がペレット化される、および/または
2)上記更なる成分の一部をすでに含み得るポリオレフィンのペレットに混合することにより添加され得る。この選択肢2)において、上記更なる成分の一部または全部が上記ペレットと一緒に溶融混合され得、次いで得られた溶融混合物がペレット化され、および/または上記更なる成分の一部または全部が固体ペレットに含浸され得る。
【0135】
別の第二の実施態様では、ポリマー組成物が、例えばポリオレフィンを好ましくは更なる成分の一部を任意的に含み得るペレットの形状で提供し、そして混合工程a)において更なる成分の全部または残りと一緒にして本発明の方法の工程b)のための(溶融)混合物を提供することにより、ケーブル製造ラインと接続して製造され得る。ポリオレフィンのペレットが更なる成分の一部を含む場合には、上記ペレットが、上記第一の実施態様において記載されたように製造され得る。
【0136】
更なる成分は好ましくは、1以上の添加剤から少なくとも選択され、好ましくは遊離ラジカル発生剤から少なくとも選択され、より好ましくはパーオキシドから選択され、任意的におよび好ましくは酸化防止剤から選択され、および任意的に上述したスコーチ遅延剤から選択される。
【0137】
用意されたポリマー組成物、第一および第二半導電性組成物、および任意的に、そして好ましくはジャケット組成物の混合工程a)は、好ましくはケーブル押出機で行われる。工程a)は、任意的に、ケーブル押出機に先行して別個の混合工程、例えばミキサーでの混合工程、を含み得る。先行する別個のミキサーでの混合は、成分の外部加熱(外部源による加熱)を伴ってまたは伴わないで混合することにより行われ得る。ポリマー組成物または第一および第二半導電性組成物および任意的に、そして好ましくはジャケット組成物の任意の更なる成分が存在し、そしてケーブル製造プロセスの間に添加されるならば、それは、任意の段階および任意の時点でケーブル押出機にまたはケーブル押出機に先行する任意の別個のミキサーに添加され得る。添加剤の添加は、そのようなものとして、好ましくは液体状で、または周知のマスターバッチで、および混合工程(a)の間の任意の段階で、同時にまたは別個に行われ得る。
【0138】
(溶融)混合工程(a)で得られたポリマー組成物の(溶融)混合物が、唯一のポリマー成分として本発明のポリオレフィンから成るのが好ましい。任意的に、そして好ましくは添加剤が、ポリマー組成物にそのようなものとして、または担体ポリマーとの混合物として、すなわちいわゆるマスターバッチの形状で添加され得る。
【0139】
最も好ましくは、工程(a)で得られた絶縁層のポリマー組成物の混合物および第一および第二半導電性組成物および任意的に、そして好ましくはジャケット組成物の各々の混合物が、少なくとも押出機中で製造された溶融混合物である。
【0140】
好ましい実施態様では、少なくとも本発明の絶縁層のポリマー組成物が、予め作られたペレットの形状でケーブル製造プロセスに供給される。
【0141】
ケーブル製造プロセスの好ましい実施態様では、架橋されたMV、HVまたはEHVのAC電力ケーブル、より好ましくは架橋されたHVまたはEHVのAC電力ケーブルが製造される。上記電力ケーブルは、第一半導電性組成物を含む、好ましくは上記組成物から成る内側半導電層、上記で定義された、ポリオレフィンおよび架橋剤、好ましくはパーオキシドを含む本発明の架橋可能なポリマー組成物を含む、好ましくは上記組成物から成る絶縁層、第二半導電性組成物を含む、好ましくは上記組成物から成る外側半導電層、および任意的に、そして好ましくはジャケット組成物を含む、好ましくは上記組成物から成るジャケット層によって囲まれた導体を含み、ここで、少なくとも絶縁層のポリマー組成物が上記架橋剤の存在下で架橋され、より好ましくは、内側半導電層の第一半導電性組成物および絶縁層のポリマー組成物が架橋される。
【0142】
架橋されるならば、架橋剤が、架橋工程(c)に導入される前の第一および第二半導電性組成物にすでに存在し得、または架橋工程(c)の間に導入され得る。パーオキシドが、上記第一および第二半導電性組成物のための、および任意的に、そして好ましくはジャケット組成物のための好ましい架橋剤であり、それらの層のいずれかが架橋される場合には、好ましくは、上記組成物が上述したケーブル製造プロセスにおいて使用される前に、半導電性組成物のペレットおよびジャケット組成物のペレットに含められる。
【0143】
架橋は高められた温度で行われ得、温度は、周知のように、架橋剤の種類に応じて選択される。例えば、150℃より上の温度が典型的であるが、それに限定されない。
【0144】
MV、HVまたはEHVのAC電力ケーブルための、好ましくはHVまたはEHVのAC電力ケーブルのための絶縁層は一般に、ケーブルの絶縁層の断面で測定されるとき、少なくとも2mmの、典型的には少なくとも2.3mmの厚さを有し、厚さは、ケーブルが対象とするところの電圧の増加とともに増加する。
【0145】
測定法
説明および実験部分において特に断らない限り、下記方法が特性の測定のために使用された。
wt%は重量%である。
【0146】
メルトフローレート
メルトフローレート(MFR)は、ISO1133に従って測定され、g/10分で示される。MFRは、ポリマーの流動性、およびしたがって加工性の指標である。メルトフローレートが高いほど、ポリマーの粘度が低い。MFRはポリエチレンの場合には190℃で測定され、種々の荷重、例えば2.16kg(MFR
2)または21.6kg(MFR
21)、で測定され得る。
【0147】
密度
密度は、ISO1183−2に従って測定された。サンプルの作製は、ISO1872−2表3Q(圧縮成形)に従って行われた。
【0148】
分子量
Mz、Mw、MnおよびMWDが、当該分野において公知のように、低分子量ポリマーのためのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0149】
コモノマー含量
a)線状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンにおけるα−オレフィン含量のNMR分光法による定量
コモノマー含量は、基本的割り当て(basic assignment)の後、定量的13C核磁気共鳴(NMR)分光法によって決定された(J. Randall JMS - Rev. Macromol. Chem.Phys., C29(2&3), 201-317(1989))。実験パラメータは、この特定の仕事のための定量的スペクトルの測定を確実にするために調整された。
【0150】
特に溶液状態のNMR分光法が、Bruker AvanceIII 400分光計を使用して用いられた。ヒートブロックおよび回転管オーブンを使用して140℃で10mmサンプル管において約0.200gのポリマーを2.5mlの重水素化テトラクロロエテンに溶解することにより均一なサンプルを調製した。(出力制御された(powergated))NOEを伴うプロトンデカップリングされた13C単パルスNMRスペクトルが下記の取得パラメータを使用して記録された:90°のフリップ角、4個のダミースキャン、4096積算回数(transients)1.6sのアクイジションタイム、20kHzのスペクトル幅、125℃の温度、2元準位(bilevel)WALTZプロトンデカップリングスキームおよび3.0sの緩和遅延。得られたFIDは、下記のプロセッシングパラメータを使用して処理された:32kデータポイントへのゼロ充填(zero-filling)および、ガウス窓関数を使用するアポダイゼーション;自動ゼロ次および一次位相較正および、関係領域に限定された5次多項式を使用する自動基線較正。
【0151】
従来周知の方法に基づいて代表的位置のシグナルの積分の簡単な較正された比を使用して量が計算された。
【0152】
b)低密度ポリエチレンにおける極性コモノマーのコモノマー含量
(1)>6重量%の極性コモノマー単位を含有するポリマー
コモノマー含量(重量%)が、定量的核磁気共鳴(NMR)分光法によって較正されたフーリエ変換赤外分光法(FTIR)に基づいて公知のやり方で決定された。下記に、エチレンエチルアクリレート、エチレンブチルアクリレートおよびエチレンメチルアクリレートの極性コモノマー含量の決定を例示する。ポリマーのフィルムサンプルが、FTIR測定のために作製された。>6重量%の量のエチレンブチルアクリレートおよびエチレンエチルアクリレートのために0.5〜0.7mm厚さが使用され、エチレンメチルアクリレ-トのために0.10mmフィルム厚さが使用された。フィルムが、Specacフィルムプレスを使用して、150℃で約5トンで1〜2分間プレスされ、次いで制御されないやり方で冷水を用いて冷却された。得られたフィルムサンプルの正確な厚さが測定された。
【0153】
FTIRによる分析の後、吸収モードにおける基線が、分析されるべきピークのために引かれた。コモノマーのための吸収ピークが、ポリエチレンの吸収ピークによって正規化された(例えば、3450cm
−1でのブチルアクリレートまたはエチルアクリレートのためのピーク高さを、2020cm
−1でのポリエチレンのピーク高さで割った)。NMR分光法の較正手法が、文献に十分記載されそして下記で説明される慣用のやり方で行われた。
【0154】
メチルアクリレートの含量の決定のために、0.10mm厚さのフィルムサンプルが作製された。分析後、3455cm
−1でのメチルアクリレートのためのピークの最大吸光度から2475cm
−1での基線の吸光度が差し引かれた(A
メチルアクリレート−A
2475)。次いで、2660cm
−1でのポリエチレンのピークのための最大吸光度から、2475cm
−1での基線の吸光度が差し引かれた(A
2660−A
2475)。次いで、文献に十分記載されている慣用のやり方で、(A
メチルアクリレート−A
2475)と(A
2660−A
2475)との比が計算された。重量%は、計算によってモル%に変換され得る。それは、文献に十分記載されている。
【0155】
NMR分光法によるポリマー中のコポリマー含量の定量
コノモマー含量が、基本的割り当ての後、定量的核磁気共鳴(NMR)分光法によって決定された(例えば、”NMR Spectra of Polymers and Polymer Additives(ポリマーのNMRスペクトルおよびポリマー添加剤)”, A. J. Brandolini and D. D. Hills, 2000, Marcel Dekker, Inc. New York)。実験パラメータは、この特定の仕事のための定量的スペクトルの測定を確実にするために調整された(例えば、”200 and More NMR Experiments: A Practical Course(200以上のNMR実験:実際のコース)”, S. Berger and S.Braun, 2004, Wiley-VCH, Weinheim)。従来公知のやり方で代表的位置のシグナルの積分の簡単な較正された比を使用して量が計算された。
【0156】
(2)6重量%以下の極性コモノマー単位を含有するポリマー
コモノマー含量(重量%)が、定量的核磁気共鳴(NMR)分光法によって較正されたフーリエ変換赤外分光法(FTIR)に基づいて公知のやり方で決定された。下記に、エチレンブチルアクリレートおよびエチレンメチルアクリレートの極性コモノマー含量の決定を例示する。FTIR測定のために、0.05〜0.12mm厚さのフィルムサンプルが、上記方法1)に記載されたように作製された。得られたフィルムサンプルの正確な厚さが測定された。
【0157】
FTIRによる分析の後、吸収モードにおける基線が、分析されるべきピークのために引かれた。コモノマーのためのピーク(例えば、1164cm
−1でのメチルアクリレートおよび1165cm
−1でのブチルアクリレート)の最大吸光度から、1850cm
−1での基線の吸光度が差し引かれた(A
極性コモノマー−A
1850)。次いで、2660cm
−1でのポリエチレンのピークのための最大吸光度から、1850cm
−1での基線の吸光度が差し引かれた(A
2660−A
1850)。次いで、(A
極性コモノマー−A
1850)と(A
2660−A
1850)との比が計算された。NMR分光法の較正手法が、文献に十分記載された慣用のやり方で、上記方法1)に記載されたように行われた。重量%は、計算によってモル%に変換され得る。それは、文献に十分記載されている。
【0158】
10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験
ケーブルの製造
試験ポリマー組成物のポリマーペレットを使用して、CCV型のMailleferパイロットケーブルライン上で試験用10kVケーブルの絶縁層を製造した。ケーブルは、3.4mmの公称絶縁厚さを有する(内側半導電層は0.9mm厚さであり、外側半導電層は1mm厚さである)。導体の断面は、50mm
2の撚り合わせたアルミニウムであった。ケーブルが、1+2構成(construction)として製造された(例えば、最初に内側半導電層が導体上に施与され、次いで残り2つの層が、内側半導電層が既に施与された導体に同じ押出ヘッドを介して施与された)。内側および外側の半導電性物質として使用された半導電性物質は、LE0592(Borealisから供給された市販の半導電性物質)であった。ケーブルの芯は、1.6m/分のライン速度で製造された。
【0159】
ケーブルの長さ
ケーブルサンプルの製造
各ケーブルの12.5mが試験のために利用された。損失係数試験における活性な試験長さは約11mであった。長さは、IEC60502−2に従うように選択される。すなわち、試験対象の保護リング間の活性な試験長さが≧10mである。
【0160】
調整
ケーブルは、測定の前に70℃で72時間、換気されたオーブン中で熱的に処理される。サンプルはその後、tanδ測定が行われるまで、密封されたアルミニウムの袋に保管される。
【0161】
試験法
損失係数ケーブルの両端に、電場格付け(electric field grading)クロスを備えた。各末端は、0.7m長さであった。両端を、SF
6ガスで充填されたプラスチックの袋に入れ、テープで密封した。SF
6ガスを使用して、コロナ開始電圧を約55kVの最大試験電圧より上に増加させた。
【0162】
応力コーン(stress cones)保護リングから20cmが導入された。2mmの隙間が、絶縁スクリーンに開けられた。5cm長さの肉厚の熱収縮管(Raychem)が保護リングにわたって使用されて、測定の間の応力の高い末端からの部分的な放電および/またはリーク電流の影響を回避した。
【0163】
活性な試験長さが、幅0.45mおよび厚さ0.2mmのAlホイル(6〜7層)で包まれた。その後、これが、連続的な絶縁性熱収縮管で覆われた。全てのtanδ測定が、大きい換気されたオーブン内でコイル状にされたケーブルを用いて行われた。末端が、上記換気されたオーブンの外側の高電圧変圧器に取り付けられ、そして連結された。保護リングはまた、上記オーブンの外に位置された。
【0164】
ケーブル全体内で等温状態に達するために、各温度レベルでの測定間に2時間を要した。すなわち、ケーブルは、導体加熱ではなく、このオーブンによって加熱される。
【0165】
ケーブルの寸法が測定された後に、5、10、15、20および25kV/mmの導体応力に相当する50Hz試験電圧が決定された。
【0166】
tanδブリッジは、Schering Bridge Tettex 2801 H1-64型であった。系は、測定の前にtanδ標準の使用によってチェックされた。
【0167】
ポリマー組成物中またはポリマー中の二重結合の量の決定法
上記方法は一般的に、種々の型の二重結合の決定を記載し、記載の一部を使用してビニル基含量の決定を記載する。
【0168】
A)IR分光法による炭素−炭素二重結合の量の定量
定量的赤外(IR)分光法が、炭素−炭素二重結合(C=C)の量を定量するために使用された。既知の構造の代表的低分子量モデル化合物中のC=C官能基のモル吸光係数の事前の決定により較正が達成された。
【0169】
これらの基の各々の量(N)が、下記式によって、炭素原子1000個当たりの炭素−炭素二重結合の数(C=C/1000C)として決定された。
N=(A×14)/(E×L×D)
ここで、Aは、ピーク高さとして定義される最大吸光度であり、Eは、係る基のモル吸光係数(l・モル
−1・mm
−1)であり、Lはフィルム厚さ(mm)であり、Dは物質の密度(g・cm
−1)である。
炭素原子1000個当たりのC=C結合の総量は、個々のC=C含有成分のNを合計することによって計算され得る。
【0170】
ポリエチレンサンプルの場合には、固体状態の赤外スペクトルが、FTIR分光計(PerkinElmer 2000)を使用して、圧縮成形された薄い(0.5〜1.0mm)フィルムについて4cm
−1の分解能で記録され、吸収モードで分析された。
【0171】
1)>0.4重量%の極性コモノマーを有するポリエチレンコポリマーを除く、ポリエチレンホモポリマーおよびコポリマーを含むポリマー組成物
ポリエチレンのために、3種類のC=C含有官能基が定量された。各々は特徴的な吸収を有し、個々の吸光係数をもたらす異なるモデル化合物に対して較正された。
E=13.13l・モル
−1・mm
−1を与える1−デセン[デク−1−エン]に基づく910cm
−1によるビニル(R−CH=CH2)
E=18.24l・モル
−1・mm
−1を与える2−メチル−1−ヘプテン[2−メチルヘプト−1−エン]に基づく888cm
−1によるビニリデン(RR’C=CH2)
E=15.14l・モル
−1・mm
−1を与えるトランス−4−デセン[(E)−デク−4−エン]に基づく965cm
−1によるトランス−ビニレン(R−CH=CH−R’)
【0172】
ポリエチレンホモポリマーまたは<0.4重量%の極性コモノマーを有するコポリマーのために、約980cm
−1と840cm
−1との間に線状基線較正が適用された。
【0173】
2)>0.4重量%の極性コモノマーを有するポリエチレンコポリマーを含むポリマー組成物
>0.4重量%の極性コモノマーを有するポリエチレンコポリマーのために、2種類のC=C含有官能基が定量された。各々は、特徴的な吸収を有し、個々の吸光係数をもたらす異なるモデル化合物に対して較正された。
E=13.13l・モル
−1・mm
−1を与える1−デセン[デク−1−エン]に基づく910cm
−1によるビニル(R−CH=CH2)
E=18.24l・モル
−1・mm
−1を与える2−メチル−1−ヘプテン[2−メチルヘプト−1−エン]に基づく888cm
−1によるビニリデン(RR’C=CH2)
【0174】
EBA:
ポリ(エチレン−コ−ブチルアクリレート)(EBA)系のために、約920cm
−1と870cm
−1との間に線状基線較正が適用された。
EMA:
ポリ(エチレン−コ−メチルアクリレート)(EMA)系のために、約930cm
−1と870cm
−1との間に線状基線較正が適用された。
【0175】
3)不飽和低分子量分子を含有するポリマー組成物
低分子量C=C含有種を含む系のために、上記低分子量種自体におけるC=C吸収のモル吸光係数を使用する直接の較正が行われた。
【0176】
B)IR分光法によるモル吸光係数の定量
モル吸光係数が、ASTM D3124−98およびASTM D6248−98に示された手法に従って決定された。溶液状態の赤外スペクトルが、0.1mm光路長の液体セルを備えたFTIR分光計(Perkin Elmer 2000)を使用して4cm
−1の分解能で記録された。モル吸光係数(E)は、下記式によって、l・モル
−1・mm
−1として決定された。
E=A/(C×L)
ここで、Aはピーク高さとして定義される最大吸光度であり、Cは濃度(モル・l
−1)であり、Lはセル厚さ(mm)である。少なくとも3つの二流化炭素(CS
2)中の0.18モル・l
−1溶液が使用され、モル吸光係数の平均値が決定された。
【0177】
実験
実施例および比較例のポリオレフィンの調製
ポリオレフィンは、高圧反応器で製造された低密度ポリエチレンであった。本発明のポリマーおよび比較のポリマーの製造を下記に記載する。CTA供給に関して、例えばPA含量は、リットル/時またはkg/時として示され得、検算のために0.807kg/リットルのPAの密度を使用していずれかの単位に変換され得る。
【0178】
比較例1:高圧反応器で製造されたポリエチレンポリマー
純粋なエチレンが90バールの圧力および−30℃の温度への圧縮および冷却によって液化され、各々約14トン/時の2つの等しい流れに分割された。CTA(メチルエチルケトン、MEK)、空気、および溶媒に溶解された市販のパーオキシドラジカル開始剤が、上記2つの液体エチレン流に個々の量で添加された。2つの混合物が別々に、4つの増圧器の配列を通ってポンプ送りされて2100〜2300バールの圧力および約40℃の出口温度に達した。これら2つの流れがそれぞれ、スプリット供給2ゾーン管状反応器のフロント(ゾーン1)(50%)およびサイド(ゾーン2)(50%)に供給された。上記2つの反応器ゾーンの内径および長さはゾーン1が32mmおよび200mであり、ゾーン2が38mmおよび400mであった。MEKが約216kg/時の量でフロント流に添加されて約2g/10分のMFR
2を維持した。フロント供給流が加熱セクションを通って、発熱重合反応が開始するのに十分な温度に達した。反応が達したピーク温度は第1ゾーンおよび第2ゾーンにおいてそれぞれ約250℃および約318℃であった。サイド供給流が、上記反応を、165〜170℃の第2ゾーンの開始温度に冷却した。空気及びパーオキシド溶液が、目標のピーク温度に達するのに十分な量で上記2つの流れに添加された。反応混合物は、生成物バルブ(product valve)によって減圧され、冷却され、そしてポリマーが未反応ガスから分離された。
【0179】
比較例2:高圧反応器で製造されたポリエチレンポリマー
純粋なエチレンが90バールの圧力および−30℃の温度への圧縮および冷却によって液化され、各々約14トン/時の2つの等しい流れに分割された。CTA(メチルエチルケトン(MEK))、空気、および溶媒に溶解された市販のパーオキシドラジカル開始剤が、上記2つの液体エチレン流に個々の量で添加された。ここでまた、1,7−オクタジエンが約24kg/時の量で反応器に添加された。2つの混合物が別々に、4つの増圧器の配列を通ってポンプ送りされて2200〜2300バールの圧力および約40℃の出口温度に達した。これら2つの流れがそれぞれ、スプリット供給2ゾーン管状反応器のフロント(ゾーン1)(50%)およびサイド(ゾーン2)(50%)に供給された。上記2つの反応器ゾーンの内径および長さはゾーン1が32mmおよび200mであり、ゾーン2が38mmおよび400mであった。MEKが約205kg/時の量でフロント流に添加されて約2g/10分のMFR
2を維持した。フロント供給流が加熱セクションを通って、発熱重合反応が開始するのに十分な温度に達した。反応が達したピーク温度は第1ゾーンおよび第2ゾーンにおいてそれぞれ約253℃および約290℃であった。サイド供給流が、上記反応を、約168℃の第2ゾーンの開始温度に冷却した。空気及びパーオキシド溶液が、目標のピーク温度に達するのに十分な量で上記2つの流れに添加された。反応混合物は、生成物バルブによって減圧され、冷却され、そしてポリマーが未反応ガスから分離された。
【0180】
実施例1:高圧反応器で製造されたポリエチレンポリマー
エチレンが、再循環されたCTAとともに、中間の冷却を伴って5段階プレ圧縮器および2段階ハイパー圧縮器において圧縮されて約2700バールの初期反応圧力に達した。合計の圧縮器処理量は約30トン/時であった。圧縮器領域では、約5.6kg/時のプロピオンアルデヒドが約89kg/時のプロピレンとともに連鎖移動剤として添加されて1.9g/10分のMFRを維持した。圧縮された混合物が、約40mmの内径および1200mの全長を有するフロント供給3ゾーン管状反応器の予熱セクションで163℃に加熱された。イソドデカンに溶解された市販のパーオキシドラジカル開始剤の混合物が、プレヒーターのすぐ後で、発熱重合反応が約286℃のピーク温度に達するのに十分な量で注入され、その後、約215℃に冷却された。続く第二および第三のピーク反応温度はそれぞれ285℃および268℃であり、それらの間での230℃への冷却を伴った。反応混合物は、キックバルブ(kick valve)によって減圧され、冷却され、そしてポリマーが未反応ガスから分離された。
【0181】
実施例2:高圧反応器で製造されたポリエチレンポリマー
エチレンが、再循環されたCTAとともに、中間の冷却を伴って5段階プレ圧縮器および2段階ハイパー圧縮器において圧縮されて約2580バールの初期反応圧力に達した。合計の圧縮器処理量は約30トン/時であった。圧縮器領域では、約14.4kg/時のプロピオンアルデヒドが添加されて約2.0g/10分のMFRを維持した。圧縮された混合物が、約40mmの内径および1200mの全長を有するフロント供給3ゾーン管状反応器の予熱セクションで164℃に加熱された。イソドデカンに溶解された市販のパーオキシドラジカル開始剤の混合物が、プレヒーターのすぐ後で、発熱重合反応が約305℃のピーク温度に達するのに十分な量で注入され、その後、約208℃に冷却された。続く第二および第三のピーク反応温度はそれぞれ286℃および278℃であり、それらの間での237℃への冷却を伴った。反応混合物は、キックバルブによって減圧され、冷却され、そしてポリマーが未反応ガスから分離された。
【0182】
実施例3:高圧反応器で製造されたポリエチレンポリマー
エチレンが、再循環されたCTAとともに、中間の冷却を伴って5段階プレ圧縮器および2段階ハイパー圧縮器において圧縮されて約2800バールの初期反応圧力に達した。合計の圧縮器処理量は約30トン/時であった。圧縮器領域では、約3.6kg/時のプロピオンアルデヒドが約138kg/時のプロピレンとともに連鎖移動剤として添加されて2.1g/10分のMFRを維持した。ここでまた、1,7−オクタジエンが30.7kg/時の量で反応器に添加された。圧縮された混合物が、約40mmの内径および1200mの全長を有するフロント供給3ゾーン管状反応器の予熱セクションで167℃に加熱された。イソドデカンに溶解された市販のパーオキシドラジカル開始剤の混合物が、プレヒーターのすぐ後で、発熱重合反応が約271℃のピーク温度に達するのに十分な量で注入され、その後、約195℃に冷却された。続く第二および第三のピーク反応温度はそれぞれ269℃および247℃であり、それらの間での216℃への冷却を伴った。反応混合物は、キックバルブによって減圧され、冷却され、そしてポリマーが未反応ガスから分離された。
【0183】
実施例4:高圧反応器で製造されたポリエチレンポリマー
エチレンが、再循環されたCTAとともに、中間の冷却を伴って5−段階プレ圧縮器および2−段階ハイパー圧縮器において圧縮されて約2745バールの初期反応圧力に達した。合計の圧縮器処理量は約30トン/時であった。圧縮器領域では、約2.8kg/時のプロピオンアルデヒドが約77kg/時のプロピレンとともに連鎖移動剤として添加されて1.8g/10分のMFRを維持した。ここでまた、1,7−オクタジエンが28.7kg/時の量で反応器に添加され、ブチルアクリレートが約26kg/時の量で添加された。圧縮された混合物が、約40mmの内径および1200mの全長を有するフロント供給3ゾーン管状反応器の予熱セクションで161℃に加熱された。イソドデカンに溶解された市販のパーオキシドラジカル開始剤の混合物が、プレヒーターのすぐ後で、発熱重合反応が約286℃のピーク温度に達するのに十分な量で注入され、その後、約233℃に冷却された。続く第二および第三のピーク反応温度はそれぞれ280℃および266℃であり、それらの間での237℃への冷却を伴った。反応混合物は、キックバルブによって減圧され、冷却され、そしてポリマーが未反応ガスから分離された。
【0184】
実験結果
鉱油=鉱油に基づく潤滑剤、M-RARUS PE KPL 201、Exxon Mobil製
PAG=ポリアルキレングリコールに基づく潤滑剤、Syntheso D201N、Klueber製
PA=プロピオンアルデヒド(CAS番号:123−38−6)
MEK=メチルエチルケトン
【0186】
下記表の結果は、圧縮器潤滑剤として鉱油を使用してHP法で製造された本発明のポリマー組成物が、50Hzで測定されたtanδとして表わされる高い応力および高い温度での損失を減少させたことを示す。
【0189】
ジャケット層が、本発明の最終のケーブルの遮蔽(外側)層として、ケーブル押出機で慣用の方法で共押出される。ケーブルの好ましいジャケット層は、機械的保護層(mechanically protective layer)を提供することにより、改善されたAC電気特性にさらに寄与する。