特許第6100169号(P6100169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピーディーエックス テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特許6100169蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。
<>
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000002
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000003
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000004
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000005
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000006
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000007
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000008
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000009
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000010
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000011
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000012
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000013
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000014
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000015
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000016
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000017
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000018
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000019
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000020
  • 特許6100169-蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100169
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】蒸発器における冷媒の品質によって制御される冷却方法及びその冷却システム。
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20170313BHJP
   F25B 40/00 20060101ALI20170313BHJP
   F25B 39/02 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   F25B1/00 304G
   F25B40/00 V
   F25B1/00 331Z
   F25B39/02 Z
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-547612(P2013-547612)
(86)(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公表番号】特表2014-501381(P2014-501381A)
(43)【公表日】2014年1月20日
(86)【国際出願番号】US2011067390
(87)【国際公開番号】WO2012092274
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2014年12月26日
(31)【優先権主張番号】61/428,576
(32)【優先日】2010年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/312,706
(32)【優先日】2011年12月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513164691
【氏名又は名称】ピーディーエックス テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】シェーラー, ジョン エス.
(72)【発明者】
【氏名】テイター, ラルフ ジー.
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−097054(JP,U)
【文献】 特開2007−232232(JP,A)
【文献】 特開2003−262434(JP,A)
【文献】 特開平06−317363(JP,A)
【文献】 特開昭63−290354(JP,A)
【文献】 米国特許第06205807(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00,39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と凝縮器と1又は複数の蒸発器管を備えた蒸発器とを含む流体を漏らさない循環ループ内に配置された冷媒を有しており、該冷媒が、液化した状態、気体の状態、ならびに液化した状態の冷媒および気体の状態の冷媒の両方を含む2相状態で存在することができ、前記蒸発器が、入り口開口を備える上流部と、出口開口を備える下流部とを有している冷却システムを制御する方法であって、
(a)気体の状態の冷媒を圧縮機において圧縮し、該冷媒を凝縮器において冷却して液化した状態の冷媒を得るステップと、
(b)冷媒を凝縮器から蒸発器へと流すステップと、
(c)蒸発器において冷媒の圧力を下げ、2相状態の冷媒を得るステップと、
(d)蒸発器において2相状態の冷媒の圧力を下げ、気体の状態の冷媒を得るステップと、
(e)気体の状態の冷媒を蒸発器から圧縮機へと流すステップと、
(f)ステップ(a)〜(e)を繰り返すステップと、
(g)前記出口開口の上流と入り口開口の下流の蒸発器内に配置された冷媒状態センサで2相状態の冷媒の、測定された蒸気の体積の液体の体積に対する比を測定するステップと、
(h)ステップ(g)からの測定された比に基づき、ステップ(b)の冷媒の蒸発器への流速を、前記蒸発器管の表面の少なくとも大部分を濡らすために必要な流速に制御するステップと
を含む方法。
【請求項2】
ステップ(h)における液化された状態の冷媒の蒸発器への流れの制御が、蒸発器内の冷媒の測定された品質に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(g)における前記出口開口の上流の蒸発器内の冷媒の測定された状態が、蒸発器内の中間点における冷媒の測定された状態である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(g)における前記出口開口の上流の蒸発器内の冷媒の測定された状態が、蒸発器内の1対の中間点における冷媒の測定された状態の補間における計算された冷媒の状態である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(a)からの液化された状態の冷媒が、ステップ(b)における蒸発器への流入に先立って、蒸発器の入り口開口における冷媒の圧力での沸点に近い、−17.78℃〜15.56℃へと前もって冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(a)からの液化した状態の冷媒が、蒸発器の入り口開口における冷媒の圧力での沸点に近い、−17.78℃〜−1.11℃へと前もって冷却される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(g)における冷媒の測定された状態が、蒸発器から引き出された冷媒から判断され、ステップ(a)からの液化された状態の冷媒が、蒸発器内を流れる冷媒との熱接触によって前もって冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(a)圧縮機と凝縮器と蒸発器とを含んでおり、液化した状態、気体の状態、ならびに液化した状態の冷媒および気体の状態の冷媒の両方を含む2相状態で存在することができる冷媒を連続的に循環させるように構成された液体を漏らさない循環ループであって、前記蒸発器が、1又は複数の蒸発器管と、入り口開口を備える上流部と、出口開口を備える下流部とを有しており、前記循環ループが、(i)気体の状態の冷媒を圧縮機において圧縮し、該冷媒を凝縮器において冷却して液化した状態の冷媒を得て、(ii)液化した状態の冷媒を凝縮器から蒸発器へと流し、(iii)蒸発器内の冷媒の圧力を下げ、2相状態の冷媒を得て、(iv)蒸発器内の2相状態の冷媒の圧力を下げ、気体の状態の冷媒を得て、(v)気体の状態の冷媒を蒸発器から圧縮機へと流し、(vi)ステップ(i)〜(v)を繰り返すように構成された前記循環ループと、
(b)蒸発器において2相状態の冷媒の、蒸気の測定された体積の液体の体積に対する比を感知するために出口開口の上流と入り口開口の下流の蒸発器内に配置された冷媒の状態センサと、
(c)2相状態の冷媒の、蒸気の測定された体積の液体の体積に対する比に基づいて、液化された状態の冷媒の蒸発器への流れを制御することにより、冷媒の蒸発器への流速が蒸発器管の表面全体の少なくとも大部分を濡らすのに必要な流速に制御されるコントローラと
を備えた、冷却システム。
【請求項9】
前記コントローラによる蒸発器への冷媒の流れの制御に用いられる冷媒の測定された状態が、蒸発器内の中間点における冷媒の測定された品質である、請求項8に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記コントローラによる蒸発器への冷媒の流れの制御に用いられる冷媒の状態が、出口開口の上流の蒸発器内の一対の中間点における、測定された冷媒の状態の補間における計算された冷媒の状態である、請求項8に記載の冷却システム。
【請求項11】
蒸発器へと流入する冷媒を前もって冷却する内部の前置冷却器をさらに備え、前記コントローラが、蒸発器から引き出された冷媒の状態を判断するように構成され、ステップ(i)の液化された状態の冷媒が、蒸発器内を流れる冷媒との熱接触によって前もって冷却される、請求項8に記載の冷却システム。
【請求項12】
蒸発器の上流部が、各々が第1の断面積を有する1つ又は複数の長さの管を備え、下流部が、各々が前記第1の断面積よりも大きい第2の断面積を有する1つ又は複数の長さの管を備え、第1の断面積と第2の断面積との間の断面積の拡大部が滑らか、かつ、連続的である、請求項8に記載の冷却システム。
【請求項13】
蒸発器の上流部が複数の上流回路を備え、下流部が複数の下流回路を備え、複数の前記上流回路が、中央部ヘッダによって複数の前記下流回路へと接続され、液化された状態の冷媒の蒸発器への流れの制御が、前記中央部ヘッダにおいて測定される冷媒の測定された状態に基づく、請求項8に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体がここでの言及によって本明細書に援用される「Refrigeration System」という名称の2010年12月30日付の米国特許仮出願第61/428,576号からの優先権を主張する2011年12月6日付の「Refrigeration System Controlled by Refrigerant Quality Within Evaporator」という名称の米国特許出願第13/312,706号からの優先権を主張する。
【0002】
本発明は、広くには、冷却システムに関し、より詳しくは、圧縮機と凝縮器と蒸発器とを備える冷却システムに関する。
【背景技術】
【0003】
圧縮機と凝縮器と蒸発器とを備える冷却システムには、種々さまざまな構成が存在する。それらのうちで最も一般的な構成は、一般に、「直接膨張システム」と称される。直接膨張システムにおいては、冷媒蒸気が圧縮機において圧縮され、凝縮器において液化され、蒸発器において再び気化されることができ、次いで圧縮機へと流れ戻る。
【0004】
直接膨張システムにおいては、蒸発器を出る冷媒蒸気の過熱の量が、制御パラメータとしてほぼ例外なく使用される。直接膨張システムは、過熱を生じさせるために蒸発器のほぼ20%〜30%を乾燥状態にして動作する。この制御方法における問題は、小さな温度差、広いフィン間隔またはピッチ、軽い負荷、および水分の含有量が、過熱の制御に悪影響を及ぼす点にある。蒸発器が、同等の表面を利用可能にするために、20%〜30%大きくなければならない。また、過熱の制御が、蒸発器の温度が華氏約0度であるアンモニアまたは同様の冷媒を使用するシステムなどの低温のシステムにおいては、良好に機能しない。
【0005】
過熱の制御方法のさらなる欠点は、過度の入り口流れを引き起こしがちな点にある。そのような入り口流れは、蒸発器における圧力損失および不安定な変換につながり、蒸発器コイルの遠位端からの液体の強制的な膨張につながる。また、この制御方法は、冷媒がアンモニアまたは他の低温冷媒である場合に、大量の液体冷媒が蒸発器から吐き出されるがゆえに蒸発器の下流に大型の液体トラップを使用しなければならないことが通例であるため、特に問題である。このように、すべての過熱制御の膨張システムにおいて、効率および能力において消極的な妥協がやむを得ず行なわれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、先行技術における上述の問題を解消する冷却システムについて、ニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このニーズを満足させる。本発明は、圧縮機と凝縮器と蒸発器とを含む流体を漏らさない循環ループ内に配置された冷媒を有しており、該冷媒が、液化した状態、気体の状態、ならびに液化した状態の冷媒および気体の状態の冷媒の両方を含む2相状態で存在することができ、前記蒸発器が、入り口開口を備える上流部と、出口開口を備える下流部とを有している冷却システムを制御する方法であって、(a)気体の状態の冷媒を圧縮機において圧縮し、該冷媒を凝縮器において冷却して液化した状態の冷媒を得るステップと、(b)液化した状態の冷媒を蒸発器へと流すステップと、(c)蒸発器において冷媒の圧力を下げ、2相状態の冷媒を得るステップと、(d)蒸発器において2相状態の冷媒の圧力を下げ、気体の状態の冷媒を得るステップと、(e)気体の状態の冷媒を蒸発器から圧縮機へと流すステップと、(f)ステップ(a)〜(e)を繰り返すステップと、(g)ステップ(b)における液体の状態の冷媒の蒸発器への流れを、前記出口開口の上流の蒸発器内の冷媒の状態に基づいて制御するステップと、を含む方法である。
【0008】
さらに本発明は、上述の方法を実行することができる冷却システムに関する。本発明の冷却システムは、(a)圧縮機と凝縮器と蒸発器とを含んでおり、液化した状態、気体の状態、ならびに液化した状態の冷媒および気体の状態の冷媒の両方を含む2相状態で存在することができる冷媒を連続的に循環させるように構成されており、前記蒸発器が、入り口開口を備える上流部と、出口開口を備える下流部とを有しており、(i)気体の状態の冷媒を圧縮機において圧縮し、該冷媒を凝縮器において冷却して液化した状態の冷媒を得るステップと、(ii)液化した状態の冷媒を蒸発器へと流すステップと、(iii)蒸発器において冷媒の圧力を下げ、2相状態の冷媒を得るステップと、(iv)蒸発器において2相状態の冷媒の圧力を下げ、気体の状態の冷媒を得るステップと、(v)気体の状態の冷媒を蒸発器から圧縮機へと流すステップと、(vi)ステップ(i)〜(v)を繰り返すステップと、を実行するようにさらに構成されている流体を漏らさない循環ループと、(b)液体の状態の冷媒の蒸発器への流れを、前記出口開口の上流の蒸発器内の冷媒の状態に基づいて制御するコントローラと、を備える。
【0009】
本発明のこれらの特徴、態様、および利点、ならびに他の特徴、態様、および利点が、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面を参照して、さらに良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の特徴を有する冷却システムの蒸発器を通過する冷媒の典型的な固定温度の2相体積特性を説明する図である。
図2図3に示される蒸発器回路における理想的な理論上の速度および圧力損失を説明する図である。
図3】本発明の特徴を有する冷却システムの流れの図である。
図4】本発明の特徴を有する別の冷却システムの図である。
図5】本発明の特徴を有しており、電子式の個別の回路の液体の供給の注入を有している冷却システムの流れの図である。
図6】本発明の特徴を有しており、蒸発器へと液体を供給するために液体計量ポンプおよび回路ノズルを使用する冷却システムの流れの図である。
図7】本発明の特徴を有しており、可変速ポンプおよび液体流量計を使用する冷却システムの流れの図である。
図8】本発明の特徴を有しており、プレートおよびフレームからなる蒸発器を使用する冷却システムの流れの図である。
図9】本発明の特徴を有する冷却システムにおいて使用することができる蒸発器の概略の斜視図である。
図10】本発明において使用することができる冷却システムの第1の制御の図解である。
図11】本発明において使用することができる冷却システムの第2の制御の図解である。
図12】本発明において使用することができる冷却システムの第3の制御の図解である。
図13】本発明において使用することができる冷却システムの第4の制御の図解である。
図14】本発明において使用することができる冷却システムの第5の制御の図解である。
図15】本発明において使用することができる冷却システムの第6の制御の図解である。
図16】本発明において使用することができる冷却システムの第7の制御の図解である。
図17】本発明において使用することができる蒸発器における連続的に拡大する内側管寸法の第1の概略図である。
図18】本発明において使用することができる蒸発器における連続的に拡大する外側管寸法の第2の概略図である。
図19】変化する内側管直径を有する本発明において使用することができる蒸発器の概略図である。
図20】内径が拡大している管と2つの外部ヘッダとを有している本発明において使用することができる蒸発器回路を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の考察において、本発明の一実施形態およびその実施形態のいくつかの変種を、詳しく説明する。しかしながら、この考察を、本発明をそれらの特定の実施形態に限定するものとして解釈してはならない。当業者であれば、多数の他の実施形態も認識することができるであろう。
【0012】
上述のように、本発明は、圧縮機と凝縮器と蒸発器とを含む流体を漏らさない循環ループ内に配置された冷媒を有しており、該冷媒が、液化した状態、気体の状態、ならびに液化した状態の冷媒および気体の状態の冷媒の両方を含む2相状態で存在することができ、前記蒸発器が、入り口開口を備える上流部と、出口開口を備える下流部とを有している冷却システムを制御する方法であって、(a)気体の状態の冷媒を圧縮機において圧縮し、該冷媒を凝縮器において冷却して液化した状態の冷媒を得るステップと、(b)液化した状態の冷媒を蒸発器へと流すステップと、(c)蒸発器において冷媒の圧力を下げ、2相状態の冷媒を得るステップと、(d)蒸発器において2相状態の冷媒の圧力を下げ、気体の状態の冷媒を得るステップと、(e)気体の状態の冷媒を蒸発器から圧縮機へと流すステップと、(f)ステップ(a)〜(e)を繰り返すステップと、(g)ステップ(b)における液体の状態の冷媒の蒸発器への流れを、前記出口開口の上流の蒸発器内の冷媒の状態に基づいて制御するステップと、を含む方法である。
【0013】
典型的には、ステップ(g)における液体の状態の冷媒の蒸発器への流れの制御が、蒸発器における冷媒の品質に基づく。すなわち、液体の状態の冷媒の蒸発器への流れの制御が、冷媒の蒸気の体積の液体の体積に対する比に基づく。品質を、蒸気−液体の体積比を直接測定することによって割り出すことができる。また、品質を、静電容量、加熱素子の対応する電流の引き込み、較正された質量流量センサ、および渦流センサなど、技術的に公知の多数の他の手段によって割り出すこともできる。
【0014】
2相体積−液体噴射体積の比を直接測定する実施形態においては、1つ〜3つの測定点が典型的に使用され、そのうちの少なくとも1つが、好ましくは蒸発器内の中間点にある。本明細書において使用されるとき、用語「中間点」は、蒸発器において入り口開口の下流の蒸発器の総回路長の50〜90%を包含し、典型的には蒸発器の回路長の60%〜80%を包含する距離の地点である。多くの実施形態において、間隔を空けて位置する複数の中間点を、2相体積−液体噴射体積の比の測定に使用することができる。
【0015】
冷媒の品質が、ただ1点における測定によって割り出される場合には、このただ1つの点が、好ましくはただ1つの中間点である。中間点における測定の後で、コントローラが、中間点において検出された値から外挿を行なって、全表面の少なくとも大部分を濡らすために必要な液体供給量を近似することが、多くの場合に好都合である。
【0016】
冷媒の品質が、1対の中間点における測定によって割り出される場合には、コントローラが、典型的には、中間点において検出された値の間で補間を行なって、コア表面の全体の少なくとも大部分を濡らすための所望の供給量を定める。
【0017】
冷媒の品質が、3点における測定によって割り出される場合には、これら3点が、好ましくは2つの中間点における測定を含む。第3の「測定点」は、蒸発器の出口に関する1つ又は複数のパラメータであり、あるいは好ましくは体積または質量流量などの蒸発器への液体冷媒の供給流の1つ又は複数のパラメータである。そのような3測定の制御方法を使用することによって、コントローラは、蒸発器への液体供給量の制御において、蒸発器コイルへの冷媒の進入の前に、事前措置をとることができる。供給量を、所定の範囲を行き過ぎることがないように調節することができる。さらに、流入する供給量は、中間点および出口点における測定との併用において、制御システムが大負荷と軽負荷との間の区別を行なうことを可能にする。これは、中間点における測定値が供給量の変化につれて変化する可能性があるため、重要である。
【0018】
さらに、コントローラは、蒸発器への冷媒の流れを制御するために、蒸気の品質に関する入力を使用することもできる。蒸気の品質を、空孔の割合の割り出し、静電容量、特別に較正された質量流量センサ、加熱素子に基づく冷媒品質センサ、など、技術的に公知の種々の方法によって割り出すことができる。
【0019】
出口蒸気温度の測定も、コントローラによって蒸発器への冷媒の流れを制御するために使用することができる。これは、それが過熱制御の直接膨張であることを意味する。
【0020】
上述の方法で蒸発器への冷媒の流れを制御することで、コントローラが、内表面の全体がきわめて少ない量の冷媒で濡らされ、蒸発器の外部での冷媒の液体の気化が実質的に生じないように、蒸発器への液体の噴射を調節することができる。
【0021】
図1が、固定の温度の2相体積についての液体−蒸気の体積/品質のグラフであり、本発明の方法においてコントローラによって受信されて処理される情報の種類を説明している。中間点の位置は、蒸発器内の利用可能な表面の50%の地点に選択されている。平衡線よりも上方の点は、システムが薄い範囲で動作していることを示している。平衡線よりも下方の点は、システムが濃い状態で動作していることを示している。平衡線に沿った点は、当然ながら平衡にある。
【0022】
本発明の好ましい実施形態においては、ステップ(a)からの液化した状態の冷媒が、ステップ(b)における蒸発器への流入に先立って前もって冷却される。典型的には、ステップ(a)からの液化した状態の冷媒が、蒸発器の入り口開口における冷媒の圧力での沸点の0°F〜60°Fの間、好ましくは蒸発器の入り口開口における冷媒の圧力での沸点の0°F〜30°Fの間、最も好ましくは0°F〜5°Fの間など、冷媒の沸点の近くまで前もって冷却される。
【0023】
蒸発器への冷媒の前もっての冷却の値は、蒸発器の入り口におけるフラッシュ蒸気の低減または解消に由来する。蒸発器の入り口におけるフラッシュ蒸気の低減は、蒸発器への進入後の冷媒の膨張を安定化させ、より一様にする。前もっての冷却を備えない冷却システムの蒸発器における冷却負荷の15%〜30%またはそれ以上が、フラッシュガスである。そのようなフラッシュガスは、蒸発器の効率を低下させ、蒸発器の出口開口から液体を噴き出させる傾向にある。
【0024】
さらに、サイクル全体の効率が、前もっての冷却を備える冷却システムにおいては、過熱の必要がなくなることによって大幅に高められる。またさらに、特にアンモニアのシステムにおいて、蒸発器において必要とされる蒸発器表面が、前置冷却器の使用によって大幅に小さくなる。さらにまた、前もっての冷却を備える冷却システムにおいては、蒸発器の入り口開口における圧力損失が、典型的には約20%も小さくなる。したがって、上述の利点の組み合わせにより、前置冷却器を有する冷却システムは、前置冷却器を有さない冷却システムよりも安定的に、高い信頼性で、効率的に動作することができる。前置冷却器を内部に配置することが、本発明における重要な選択肢である。外部での前もっての冷却(蒸発器の外部に配置された前置冷却システムおよび供給制御システムを使用する)は、先行技術において知られている。中間点または中間点の後で達成される内部での前もっての冷却によれば、2相流における余分な液体がなくなり、したがって前もっての冷却の利点を保ちながら、全体としての流れがバランスされる。
【0025】
本発明の一実施形態においては、ステップ(a)からの液化した状態の冷媒が、好都合には、中間のサンプリング位置を過ぎて蒸発器内を流れる冷媒との熱接触によって前もって冷却される。
【0026】
多くの用途において、蒸発器内の1つ又は複数の長さの管、最も好ましくは蒸発器内の各々の長さの管を、拡大する断面を有するように構成することが好ましいかもしれない。典型的には、断面の拡大は、滑らかかつ連続的である。
【0027】
図2が、蒸発器の全体にわたる理想的な理論上の圧力損失−速度の回路によって実行される本発明の方法を示している。冷媒の液体の供給が、コントローラを使用して制御される。コントローラは、多数のデータ入力を取得する。コントローラの出力が、蒸発器の外部での冷媒の気化をわずかまたは皆無にしながら完全に濡れた気化の内部表面をもたらすように、供給の液体を調節するための供給指令信号をもたらす。全体としての圧力損失は、回路全体を通って流れるフラッシュガスがなくなるがゆえに、依然として好都合なままである。蒸発器における平均の圧力損失は、好ましくは低温の仕事においては0.5psiに限られ、中程度の温度の用途においては1psiに限られる。
【0028】
上述のように、先行技術のアンモニア冷却システムは、典型的には、蒸発器からの液体の持ち越しを捕捉するための吸入アキュムレータを必要とする。他方で、本発明の方法は、そのような吸入アキュムレータのサイズを著しく小さくでき、あるいは丸ごとなくすことができるように、蒸発器への供給量を正確に制御することができる。
【0029】
さらに、本発明は、本発明の方法において使用される冷却システムに関する。冷却システム10が、(a)圧縮機14と凝縮器16と蒸発器18とを含んでおり、液化した状態、気体の状態、ならびに液化した状態の冷媒および気体の状態の冷媒の両方を含む2相状態で存在することができる冷媒を連続的に循環させるように構成されており、前記蒸発器18が、入り口開口22を備える上流部20と、出口開口26を備える下流部24とを有しており、(i)気体の状態の冷媒を圧縮機14において圧縮し、該冷媒を凝縮器16において冷却して液化した状態の冷媒を得るステップと、(ii)液化した状態の冷媒を蒸発器18へと流すステップと、(iii)蒸発器18において冷媒の圧力を下げ、2相状態の冷媒を得るステップと、(iv)蒸発器18において2相状態の冷媒の圧力を下げ、気体の状態の冷媒を得るステップと、(v)気体の状態の冷媒を蒸発器18から圧縮機14へと流すステップと、(vi)ステップ(i)〜(v)を繰り返すステップと、を実行するようにさらに構成されている流体を漏らさない循環ループ12と、(b)液体の状態の冷媒の蒸発器18への流れを、出口開口26の上流の蒸発器18内の冷媒の状態に基づいて制御するためのコントローラ27と、を備える。
【0030】
本発明の冷却システム10の例が、図3に示されている。図3に見て取ることができるとおり、供給管28が、圧縮機14から凝縮器16を通って蒸発器18へと冷媒を運ぶように設けられている。戻り管30が、気体の状態の冷媒を蒸発器18から再び圧縮機14へと運ぶように設けられている。
【0031】
図3に示した実施形態においては、凝縮器16が、冷却水の供給源へと接続された冷却水入力配管32からの冷却水を使用するプレート凝縮器である。凝縮器16内の冷却水は、冷却水排出配管34を介して冷却水の供給源へと戻される。他の種類の凝縮器も、本発明において使用することが可能である。
【0032】
さらに、図3に示した実施形態においては、コントローラ27が、供給管28に配置された液体圧力センサ36、液体温度センサ38、および液体流量センサ40から入力情報を受信するマッチングコントローラである。さらに、コントローラ27は、蒸気流量センサ42および蒸気圧力センサ44(どちらも戻り管30に配置される)ならびに中間点の冷媒状態センサ46から入力情報を受信する。
【0033】
図3に示した冷却システム10においては、蒸発器18が、管群式の蒸発器である。これらに限られるわけではないが、プレートおよびフレームからなる蒸発器、二重管蒸発器、シェルおよびプレートからなる蒸発器、ミニチャネル蒸発器、およびマイクロチャネル蒸発器など、他の種類の蒸発器も、本発明において使用可能である。
【0034】
管群式の蒸発器においては、冷媒が、複数の並列な管回路48において膨張させられる。蒸発器18への冷媒の入力は、典型的には、最初に分配ヘッダ50へと流れ、次いで分配ヘッダ50から各々の回路48へと送られる。各々の回路48は、集合ヘッダ52へと流れ、すべての冷媒が集合ヘッダ52に集められ、蒸発器の出口開口26へと案内される。管群式の蒸発器18において冷却されるべき流体は、典型的には、管回路48の外側の周囲を流れる。熱接触の面積をより大きくするために、すべての管回路48の外側に、間隔を開けて位置する多数の外側フィンを備えることが一般的である。
【0035】
最も典型的には、冷却されるべき流体は、気体であり、典型的には空気である。しかしながら、本発明において、冷却されるべき流体として、これらに限られるわけではないが水、塩水、液化二酸化炭素、およびグリコール−水の溶液など、液体の流体を使用することもできる。
【0036】
管群式の蒸発器において、本発明の冷却システム10の蒸発器18への液体冷媒の流れを制御する最も単刀直入な方法は、ただ1つの点が1つ又は複数の代表回路の中間点にとられる単一点測定方法である。次いで、すべての回路48の制御が、これらの読み取り値に基づく。上述のように、特に低温かつ大型の用途にとって魅力的な選択肢は、中間点の冷媒の状態の測定を、蒸発器の入り口の流量と組み合わせることである。その方法が選択されても、典型的には、出口の蒸気の状態も測定される。
【0037】
図3に示されるように、本発明の別の好ましい実施形態は、蒸発器18へと供給管28を流れる冷媒を前もって冷却するための前置冷却器66の使用を含む。図3に示される実施形態においては、供給管28を通って流れる冷媒が、前置冷却器66において蒸発器18の内部からの冷媒に熱的に接触させられる。図3に示される実施形態においては、蒸発器18の内部からの冷媒が、好都合には、蒸発器18から前置冷却器66へと冷媒を循環させる配管に配置された中間点の冷媒状態センサ46によって、蒸発器18内の冷媒の状態に関する入力情報を、コントローラ27へともたらすためにも使用される。
【0038】
図4が、1対の前置冷却器66aおよび66bが使用される別の流れの仕組みを示している。各々の前置冷却器66aまたは66bが、蒸発器18内の異なる中間点から得られた冷媒を、冷却剤として使用する。冷媒を第1の前置冷却器66aへと循環させる配管に、第1の中間点の冷媒の状態センサ46aが位置し、第2の前置冷却器66bに、第2の中間点の冷媒の状態センサ46bが位置する。
【0039】
図3において、コントローラ27が、蒸発器18の上流に配置されたモータ駆動の供給入り口制御バルブ56を調節することによって、蒸発器18への入力液体冷媒の流れを制御する。図5〜8が、蒸発器18への液体冷媒の流れの入力を制御するための別のシステムを示している。図5においては、蒸発器18への液体冷媒の流れの制御が、電子式の個別の回路供給注入システムを使用する。各々の電子インジェクタ58が、蒸発器回路48への液体冷媒を正確に計量するように構成されている。コントローラ27が、電子インジェクタ58を通る流れを操作することによって、供給管28における流れを調節する。
【0040】
図6は、蒸発器18への液体冷媒の流れの制御が液体計量ポンプ60を使用する別のシステムを示している。この代案のシステムにおいては、1つ又は複数の供給ノズル62が使用されるが、コントローラ27は、そのような供給ノズル62を操作しない。液体を蒸発器回路48へともたらすために、精密供給ノズル62が好ましい。精密供給ノズル62によれば、蒸発器の飽和した吸入温度またはその付近の前もって冷却された液体が、制御バルブ56と供給ノズル62との間でフラッシュを生じることがない。制御動作圧力を、高水準の精度および一様性にて幅広い範囲の負荷に適合するように変化させることができる。電子式の個別の回路の液体注入も、使用することができる。
【0041】
図7が、さらに別の代案のシステムを示している。この代案のシステムにおいては、液体流量センサ56からの入力情報も、コントローラ27へともたらされ、コントローラ27が、可変速液体ポンプ64によって供給管28を通過する液体冷媒の流れを制御する。
【0042】
図8が、飽和した吸入圧力のフラッシュ冷却された液体が供給されるプレートおよびフレームからなる蒸発器18における制御システムの使用を示している。図6に示したシステムと同様に、蒸発器18への液体冷媒の流れは、液体計量ポンプ60によって制御される。
【0043】
並列に配置された複数の回路48を備えている伝統的な蒸発器18においては、液体の状態の冷媒の蒸発器18への流れの制御が、蒸発器18内の1つ又は複数の代表回路48における冷媒の状態に基づく。図9が、蒸発器18の上流部20が複数の上流回路48aを備え、下流部24が複数の下流回路48bを備えている本発明の好ましい実施形態を示している。上流回路48aが、ただ1つの中央部ヘッダ68によって下流回路48aへと接続されている。この好ましい実施形態は、上流回路48aからの出力を、下流回路48bへの分配の前に一様にすることを可能にする。したがって、中央部ヘッダ68は、中間冷媒状態センサ46のための理想的な場所を提供し、そのように配置された場合、蒸発器18における冷媒の状態に関する入力情報を、上流回路48aからの排出における冷媒の状態の重み付け平均においてもたらすことができる。
【0044】
図9に示した実施形態においては、温かい液体または或る程度まで前もって冷却された液体が、供給管28によって液体流量センサ40を過ぎて前置冷却器66へと供給される。前置冷却器66において、蒸発器18への冷媒が、蒸発器18の内部からの2相の冷媒の流れによって前もって冷却される。次いで、前もって冷却された前置冷却器66からの液体が、供給入り口制御バルブ56を過ぎて供給ヘッダ50へと案内され、供給ヘッダ50から各々の上流回路48aの上流の開口へと案内される。各々の上流回路48aからの2相の流れが、前置冷却器66へと流れ、前置冷却器66において供給管28内の供給物を冷却する。2相の冷媒は、前置冷却器66から中央部ヘッダ68へと流れる。中間点冷媒状態センサ46が、中央部ヘッダ68に配置されている。中央部ヘッダ68から、冷媒は下流回路48bへと再び分配される。下流回路48bの下流端において、冷媒が集合ヘッダ52に集められ、戻り管30へと案内される。蒸発器出口蒸気流量センサ42において液体が検出された場合には、コントローラ27が、蒸発器18への供給量を減らすように指令する。蒸発器出口蒸気流量センサ42における液体が著しい場合には、シャットダウンまたは他の測定を自動的に開始することができる。
【0045】
図9に示した実施形態の利点として、(1)きわめて低い温度、低い温度、および中程度の温度に適用できること、(2)フラッシュガスが少なくなり、より一様な供給の調節が可能になること、(3)回路48の大部分における圧力損失が少なくなること、(4)液体の質量流量または体積が測定される場合に、供給量を所与の負荷に必要な量を行き過ぎないように調節できること、(5)液体の供給の蒸発器の内部での前置冷却によって冷媒が気化し、供給の制御がさらに安定化されること、(6)負荷の前置冷却が蒸発器18への供給と同じシステムで達成されること、(7)全温度範囲にわたって過熱の不利のない動作を可能にすること、(8)吸入アキュムレータの要件が軽減され、あるいは皆無になること、および(9)適切に選択された対応する高い側が、きわめて少ない冷媒の投入しか必要としないことが挙げられる。
【0046】
図10〜16が、本発明において使用することができるいくつかの異なる流れの仕組みを示している。図10〜16に示した流れの仕組みの各々は、低および超低冷却負荷のパッケージの設計に関する。図10が、冷媒としてのサブクール液体アンモニアおよび蒸発器の前置冷却器66を有する本発明の冷却システム10に適用することができる流れの仕組みを示している。図10は、図3に示したシステムとほとんど同じ方法で構成され、図5〜8に示した方法の多くによって制御することが可能である。しかしながら、図10においては、前置冷却器66が、膨張装置72を通って膨張させられた後の供給管28から得られる冷媒の一部によって冷却されている。また、高圧フロート(high−side float)が、前置冷却器66の下流に使用されている。
【0047】
図11が、冷媒としてのサブクール液体アンモニアに適用することができる別の流れの仕組みを示している。この流れの仕組みは、フラッシュ冷却器75が高圧フロート74の下流において供給管28に配置されている点を除き、図10に示した仕組みにきわめて似ている。図11には示されていないが、この代案において使用される流れの仕組みは、図5〜7に示した制御の仕組みのいずれかであってよい。
【0048】
図12が、高温蒸発器回路システムに適用することができる流れの仕組みを示している。図12に示されているシステムは、凝縮器16の下流に前置冷却器66が使用されていない点を除き、図11に示したシステムにきわめて似ている。
【0049】
図13が、本発明のシステムにおいて複数の蒸発器18を有しており、蒸発器18への入力が前もって冷却される流れの仕組みを示している。図13に示される流れの仕組みは、1対の蒸発器18が使用されている点を除き、図11に示した流れの仕組みにきわめて似ている。
【0050】
図14が、複数の蒸発器18を有する高温蒸発器回路システムに適用することができる流れの仕組みを示している。図14に示される流れの仕組みは、前置冷却器66が使用されていない点を除き、図13に示した流れの仕組みに似ている。
【0051】
図15が、高温システムに適用することができる流れの仕組みを示している。図15に示される流れの仕組みは、プレート蒸発器が使用されている点を除き、図12に示した流れの仕組みにきわめて似ている。
【0052】
図16が、大規模な圧縮機バンク76を中央圧縮機室に配置して有している冷却システム10のための流れの仕組みを示している。図16に示される流れの仕組みは、複数の圧縮機14が使用されている点を除き、図13に示した流れの仕組みにきわめて似ている。
【0053】
上述のように、多くの用途においては、蒸発器18における1つ又は複数の回路管78(最も好ましくは、蒸発器18における各々の回路管78)を、拡大する断面を有するように構成することが好ましいかもしれない。典型的には、そのような断面の拡大は、滑らかかつ連続的である。例えば、蒸発器18が、第1の上流側の断面積と、第2の下流側の断面積とを有しており、第2の断面積が第1の断面積よりも大きい1つ又は複数の回路管78を有することができる。図17が、蒸発器16内の回路管が、管78の厚さは変わらないままで、外径を大きくすることによって拡大している本発明の実施形態を示している。図18が、蒸発器18内の管78が、外径は変わらないままで、内径を大きくすることによって拡大している本発明の実施形態を示している。蒸発器の管の内径の拡大は、冷媒が一様な、環状の、最終的には霧状の流れへと変化するときに、急激ではあるが妥当に予測することができる速度の増加を可能にする。液体のパドリング(puddling)が実質的に解消される。図17および18に示されるように、中間点冷媒状態センサ46が、前向きな中間制御点においてコントローラ27へと入力データをもたらすために使用される。液体の流れ、中間点の状態、および出口蒸気の流れの測定を、蒸発器18の外部で気化する冷媒をわずかまたは皆無にしながら、回路の内面を完全に濡れた状態に保つことができるように、蒸発器のための供給制御指令をもたらすために三角測量することができる。
【0054】
拡大された膨張器回路48を備えるシステムにおいては、典型的には蒸発器18の最初のいくつかのパスを含む「加速器」または「好ましい速度」ゾーンが、蒸発器18に定められる。管の内径が比較的小さく始まり、最大の内径に達するまで徐々にサイズが増加する。これらのゾーンにおける内部の表面積に対する始まりの液体の体積が、低い温度においても有利である。パドリングおよび過剰供給が、実質的に解消される。設計速度が、蒸気−液体の比および直接的な蒸気品質の測定を、相対精度で行なうことを可能にする。そのようなゾーンの使用は、標準的な外径の管、ミニ管、ミニチャネル、および他の種類の交換器に当てはまる。中間の蒸気の状態の測定と組み合わせられた冷却の再分配を、固定された内側断面の交換器およびより大型のより伝統的なユニットにおいて適用することができる。
【0055】
図19および20は、拡大する蒸発器の管の断面を有している本発明の実施形態を示している。図20は、中間点における蒸気の状態の重み付けされた測定のために、個々の回路の流れを集め、個々の回路48の2相混合物を混ぜ合わせる第1の中央部ヘッダ68aにおいて実行される本発明の方法を示している。中間点における冷媒の状態が、コントローラ27へともたらされ、蒸発器18への液体の冷媒の流量の制御に使用される。図20に示されるとおり、混合された冷媒の流れは、第1の中央部ヘッダ68aの下流において、第2の中央部ヘッダ68bを通って分配され、液体の前置冷却の熱交換を含んでおり、その後に蒸発器18の下流部24へと戻される。コントローラ27の出力が、コイルの内表面を完全に濡らすように計算される液体の供給の調節のための指令をもたらす。蒸発器18の外部で気化する冷媒は、わずかまたは皆無である。
【実施例】
【0056】
冷却システムの使用の理論的な例が、以下のように提供される。
【0057】
約3.25psigの圧力の蒸発器出口吸入蒸気が、圧縮機へと移動する。蒸発器出口吸入の圧力が、圧力トランスデューサによって検出される。圧縮機において約150psigのより高い圧力へと圧縮された後で、蒸気が、高圧管を通って凝縮器へと供給される。高圧の蒸気が、凝縮器において、典型的には冷却塔水を使用して凝縮させられる。約84°Fの温かい高圧の液体が、凝縮器から高圧管を介して前置冷却器へと供給され、前置冷却器において液体の冷媒が約−17°Fへと冷却される。
【0058】
前置冷却器を出る前置冷却された液体の圧力における前置冷却された液体が、圧力トランスデューサによって検出される。前置冷却器を出る前置冷却された液体の温度が、温度センサによって検出される。液体の体積流量が、液体体積流量計40によって測定される。蒸発器への供給量が、モータ駆動の制御バルブによって調節される。液体供給ノズルが、任意の数の蒸発器回路への一様な液体供給量を保証する。液体供給調節バルブと供給ノズルとの間で、フラッシュ蒸気はほとんど、または全く生じない。
【0059】
液体が蒸発器コイルに進入し、いくつかの加速器ゾーンまたはパスのうちの第1の加速器ゾーンまたはパスへと流入する。蒸発器における冷媒は、約−20°Fの温度で沸騰し、液体の体積と比べて比較的大量の蒸気を生じさせる。蒸発器の最初のパスは、小さな内径を有している。この最初のパスの内側の表面積に対する液体の体積は、表面の完全な濡れおよび良好な熱伝達に有利である。加速器および好ましい速度ゾーンまたはパスの後は、徐々に大きくなる内径を有している。負荷のもとで、2相の液体および蒸気の流れは、所望の流れの状況へと加速する。液体のフラッシュの蒸気が流れにおいて少なくなり、設計流速がきわめて少ない体積および法外でない圧力損失で生じることに、注意すべきである。回路の中間または後の部分において、2相の流れは霧状の流れの状況へと移動する。
【0060】
任意の数の回路からの流れが、前置冷却熱交換器を備える中間ヘッダへと移動し、前置冷却熱交換器において、凝縮器からの温かい液体を冷却する。2相の蒸発する流れの全体が、中間ヘッダを出て、再分配ヘッダへと移動する。中間点において、2相の品質が測定される。再分配ヘッダを出る2相の流れは、すべての回路へと一様に、少なくとも1つの残りのパスへと移動し、そこで霧が消え、蒸発器の出口における単相の蒸気の流れが形成される。蒸発器出口蒸気体積が、吸入蒸気センサによって測定される。コントローラが、体積センサ、圧力トランスデューサ、および温度センサからの入力信号を受信する。中間点における蒸気の品質が計算され、液体供給制御が、蒸発器が内表面が完全に濡れた状態で、しかしながら液体が蒸発器の出口まで残ることがないように動作するために必要な液体の量に一致する供給制御指令を与える。
【0061】
以上、本発明を説明したが、上述および特許請求の範囲によって後述される本発明の技術的範囲および公正な意味から外れることなく、多数の構造的な変更および調整が可能であることは、明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20