特許第6100228号(P6100228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100228
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】活動検知装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/04 20060101AFI20170313BHJP
   G01H 1/00 20060101ALI20170313BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20170313BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   G08B21/04
   G01H1/00 T
   G08B25/04 K
   G08B25/10 D
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-241580(P2014-241580)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-103181(P2016-103181A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2015年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】514304452
【氏名又は名称】株式会社テクノス
(73)【特許権者】
【識別番号】512250245
【氏名又は名称】株式会社アイティーエム
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】中野 満
(72)【発明者】
【氏名】細谷 勤
【審査官】 中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−134275(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0123754(US,A1)
【文献】 特表2009−517180(JP,A)
【文献】 特開平03−252797(JP,A)
【文献】 特開2000−133101(JP,A)
【文献】 米国特許第05523742(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00−21/24
G08B 23/00−31/00
G01H 1/00−17/00
A61B 5/00
H01H 35/02−35/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体を被装着者の身体に装着し又は当該被装着者の近傍に配して、当該被装着者の活動を検知する活動検知装置であって、
前記被装着者の前記活動を検知するセンサを有し、検知した活動に係る検知信号を出力する動作検知手段と、
前記検知信号の入力をトリガとして、前記センサ瞬間的にフィードバック電流を流ようにしたフィードバック手段とを有し、
前記センサが前記活動を検知したとき、
前記センサに流れる極微小な定常電流に、当該定常電流よりも大きなフィードバック電流を加えた起動電流を、前記センサへ流すようにしたことを特徴とする活動検知装置。
【請求項2】
前記フィードバック手段は、直列に接続した2段のNOTゲートを有するバッファと、当該バッファの出力端側と入力端側を接続した帰還回路とからなることを特徴とする請求項1に記載の活動検知装置。
【請求項3】
前記センサが振動センサであることを特徴とする請求項1に記載の活動検知装置。
【請求項4】
前記検知信号に基づく活動データを記録する記録手段を有することを特徴とする請求項1に記載の活動検知装置。
【請求項5】
前記活動データを無線通信回線を通じて基地局へ送信する送信手段を有することを特徴とする請求項4に記載の活動検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被装着者の活動を検知する活動検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者を介護するとき、一人暮らししている高齢者が健在であるか、また徘徊するおそれのある高齢者がどこにいるかということを、常に把握しておく必要がある。しかし、当該高齢者一人一人に介護士をつけるということは困難であることから、当該高齢者の活動を検知する活動検知装置と、当該活動検知装置からそれぞれ活動していることを示す信号を無線通信回線を受信して高齢者の無事や現在位置を確認し、監視するようにした監視システムが知られている。
【0003】
特開平10−111990号公報に開示されている行動体の動作検知装置は、人や動物といった行動体に取り付けられる振動センサまたは傾斜センサを有している。常に振動を検知している振動センサに加えて傾斜センサの反応を踏まえ、各センサからの信号を総合的に判断して行動体がお辞儀をしたのか、又は倒れたのか判別するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−111990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の動作検知装置の振動センサは、ベアリングセンサからなる。当該ベアリングセンサは、導電性のベアリングを、所定間隔で複数個の接点対が設けられた円筒状の筐体に内蔵して形成されている。円筒内を転がるベアリングが対を成す接点間を接続していく速さを検出することによって、「振動なし」から「ゆるやかな振動」、「一定以上の強さの振動」を検知することができる。このように、ベアリングが接点間を接続する機械式接点のベアリングセンサは、振動の有無を素早く検出するために常時電流を流しておかなければならない。当該常時電流は数μA〜数十mA程度であるが、バッテリーを消耗させる大きな原因となる。
【0006】
また、上記のようなベアリングセンサ以外にも、常時監視するために常時センサに通電する必要がある場合には、電力消費が大きくなるおそれがある。これにより、搭載されるバッテリーは大型で大容量のものとなり、装置自体が大きく、そして重たくなってしまう。そのため、このような検知装置を長時間に亘って装着することになる被装着者にとっては、大きな負担となるおそれがある。
また、バッテリーの消耗が大きい場合、上記の介護士や、またたとえば医師や看護師といった上記の動作検知装置を管理する者にとって、バッテリーを頻繁に交換したり、また充電したりすることは大きな手間となる。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、電力消費を抑えることによって、バッテリーの小型化を可能にして被装着者の負担を減らし、バッテリーの交換周期又は充電周期を長くするようにした活動検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の活動検知装置は、装置本体を被装着者の身体に装着し又は当該被装着者の近傍に配して、当該被装着者の活動を検知する活動検知装置であって、
前記被装着者の前記活動を検知するセンサを有し、検知した活動に係る検知信号を出力する動作検知手段と、
前記検知信号の入力をトリガとして、前記センサ瞬間的にフィードバック電流を流ようにしたフィードバック手段とを有し、
前記センサが前記活動を検知したとき、
前記センサに流れる極微小な定常電流に、当該定常電流よりも大きなフィードバック電流を加えた起動電流を、前記センサへ流すようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の活動検知装置は、請求項1に記載の発明において、前記フィードバック手段は、直列に接続した2段のNOTゲートを有するバッファと、当該バッファの出力端側と入力端側を接続した帰還回路とからなることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の活動検知装置は、請求項1に記載の発明において、前記センサが振動センサであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の活動検知装置は、請求項1に記載の発明において、前記検知信号に基づく活動データを記録する記録手段を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の活動検知装置は、請求項4に記載の発明において、前記活動データを無線通信回線を通じて基地局へ送信する送信手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る活動検知装置によれば、センサが被装着者の活動を検知したとき、当該センサに流れる定常電流にフィードバック電流を加えた起動電流を当該センサへ瞬間的に流すようにした。さらに、フィードバック電流を流した後は速やかに当該フィードバック電流を止めてセンサを定常電流で動作させるようにした。
これによって、センサに流れる電流を瞬間的に増大させた後、速やかに抑えることができるので、必要最低限の電流でセンサを動作させることができ、活動検知装置の電力消費を抑えることができる。
したがって、活動検知装置のバッテリーを小型化することができるので、被装着者の負担を減らすことができる。また、電力消費を抑えたことによってバッテリーの交換周期又は充電周期を長くすることができるので、バッテリーの交換又は充電の手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施例に係る活動検知装置の構成の概略を示すブロック図である。
図2】本実施例に係る活動検知装置の主要部回路構成の概略を示す回路図である。
図3】本実施例に係る活動検知装置について各部の動作タイミングを示すチャート図である。
【実施例1】
【0015】
本発明に係る活動検知装置の実施例を、添付した図面にしたがって説明する。本実施例に係る活動検知装置の構成の概略を示すブロック図を図1に示し、本実施例に係る活動検知装置の主要部回路構成の概略を示す回路図を図2に示す。
【0016】
活動検知装置10は、被装着者の活動を検知する検知部11と、検知した活動を記録する記録部12と、記録した活動を無線通信回線3を通じて基地局1へ出力する出力部13とからなる。
そして、少なくとも一台、好ましくは複数台の活動検知装置10と、それぞれ無線通信回線3で接続された基地局1から監視システムが構成されている。
ここで、受信アンテナ2を有する基地局1は、少なくとも一台、好ましくは複数台の活動検知装置10をそれぞれ識別可能に形成されている。基地局1は、複数の活動検知装置10のうち、いずれかの活動検知装置10が活動状況を送信したか記録し、どの活動検知装置10が作動し、またどの活動検知装置10が作動していないかを判別することによって、活動検知装置10の被装着者が活動しているか否かを把握することができる。
【0017】
検知部11は、被装着者の活動を検知して、検知した活動に係る検知信号を出力する動作検知手段14と、当該動作検知手段14から出力された検知信号に係る電流を、動作検知手段へフィードバックさせるフィードバック手段15を有している。
動作検知手段14は、図2に示すように、振動センサ14aを有している。振動センサ14aは10MΩの抵抗器14bを介して3VのVcc電源25に接続されている。
振動センサ14aは、円筒状に形成されたケースと、当該ケースに収納され当該ケースに内接する直径を有する金属球からなる。ケースは、内壁に所定の間隔で複数の接点が形成されている。接点は通電されており、金属球がケース内を移動したとき、当該金属球が接点を電気的に接続することによって振動を検出することができる。すなわち、振動センサ14aは、ケース内の金属球の状態に応じて振動を検知して接点が閉じたとき(オン)又は開いたとき(オフ)をそれぞれ検知信号として出力するように形成されている。本実施例における振動センサ14aの接点に通電される電流(以下、「接点電流」という)は3μA〜0.3mAが推奨されている。
なお、本実施例においては振動センサ14aを採用したがこれに限定されるものではなく、たとえば、水や油といった液体を利用したセンサや、心音を検知する心電センサ、或いは被装着者によって踏まれたことを検知するセンサといったように被装着者の活動を検知することができるものであれば良い。また、Vcc電源25の電圧値は本実施例の値に限定されず、最適な任意の値を設定可能であり、抵抗器14bの抵抗値は、動作検知手段14の消費電力を抑えるため数MΩ以上、好ましくは10MΩ以上の高抵抗が好ましい。
【0018】
フィードバック手段15は、検知信号のオン・オフの入力に応答してハイ(以下「H」という)若しくはロー(以下「L」という)の値を出力するバッファ16と、当該バッファ16の入力端と出力端を接続し、検知信号に係る電流をバッファ16の出力端側から入力端側へフィードバックさせる帰還回路17とからなる。
【0019】
バッファ16は、図2に示すように、それぞれNOTゲートからなる第1インバータ16aと第2インバータ16bを直列に接続してなり、当該バッファ16は、Vcc電源25に接続され、また接地されている。
ここで、振動センサ14aの接点が開いているときがオフ、閉じているときがオンであるから、動作検知手段14がバッファ16に対して検知信号のオフ入力をしたとき、第1インバータ16aはLを出力し、第2インバータ16bはHの値を出力するので、バッファ16は検知信号がオフのとき、Hを出力するように形成されている。
一方、動作検知手段14がバッファ16に対して検知信号のオン入力をしたとき、第1インバータ16aはHの値を出力し、第2インバータ16bはLの値を出力するので、バッファ16は検知信号がオンのとき、Lを出力するように形成されている。
これによって、バッファ16は、振動センサ14aから出力される連続的な接点のオン−オフ信号を振動があったか否かという二値的な検知信号に変換することができる。
【0020】
帰還回路17は、図2に示すように、ダイオード17aと10kΩの抵抗器17bからなる。
ダイオード17aの入力端は、バッファ16のインバータ16bの出力端に接続され、抵抗器17bの出力端は、インバータ16aの入力端に接続されている。これにより、帰還回路17は、バッファ16を流れている電流を、振動センサ14aへフィードバックすることができる。
【0021】
ここで、本実施例に係る振動センサ14aは、ケース内の一の接点に内接する金属球が、被装着者の活動に応じて他の接点へ移動することによって検知信号を出力する、いわばスイッチ的な動作をするように形成されている。また、ケース内には、極力導通を妨げる、たとえばグリス或いはプラスチックの粉塵又はこれらに類する絶縁体が付着しないように製造するものの、ごく微量の当該絶縁体が接点に付着し、当該接点に極薄い被膜が形成されることがある。絶縁体である当該被膜、また接点間の間隙によって、接点には抵抗が形成されている(以下「接点抵抗」という)。当該接点抵抗に流れる電流値が小さい場合、接点の動作、すなわち振動センサ14aの動作が不安定になるおそれがある。そこで、接点抵抗を無視できる程度に大きな電流を流すことが好ましい。
一方、振動センサ14aの接点抵抗を無視できる程度に大きな電流を常に流すようにした場合、振動センサ14aではバッテリーの消耗が激しくなるので、大きな電流を流した後は、可及的速やかに接点間に流れる電流値を小さくすることが好ましい。
【0022】
振動センサ14aの金属球が動いて接点が閉じる直前、動作検知手段のVcc電源25と抵抗器14bによって、バッファ16に対して検知信号のオフ入力がなされる。このとき、バッファ16の出力端側ではHが出力される。出力端側がHを出力したとき、帰還回路17は、バッファ16のVcc電源25(3V)と抵抗器17b(10kΩ)に基づく0.3mAのフィードバック電流を動作検知手段14へフィードバックするように形成されている。すなわち、動作検知手段14のVcc電源25と抵抗器14b(10MΩ)に基づく0.3μAの極微小な電流に加えて、上記の0.3mAのフィードバック電流が振動センサ14aを流れることになる。そのため、振動センサ14aには、当該振動センサ14aの接点抵抗を無視するに十分大きな電流を流すことができる。
そして、振動センサ14aの接点が閉じた瞬間、バッファ16に対して検知信号のオン入力がなされ、振動センサ14aが接地していることから、帰還回路17を介したバッファ16の出力端はL、すなわち0Vとなり、帰還回路17にフィードバック電流は流れなくなるので、振動センサ14aの接点には、動作検知手段14が有する0.3μAの極微小な電流のみが流される。
したがって、振動センサ14aの接点が閉じる瞬間のみ、フィードバック手段15は接点抵抗を無視できる程度に大きな電流を振動センサ14aへフィードバックさせることができ、その後速やかに振動センサ14aに流れる電流を小さくすることができる。
これによって、動作検知手段14の消費電力を極めて少なくすることができるので、活動検知装置10のバッテリーの消耗を抑えるとともに小型化・軽量化を図ることができる。そのため、被装着者の負担を減らし、バッテリーの交換周期又は充電周期を長くすることができる。
【0023】
微分回路18は、図2に示すようにコンデンサ18aと抵抗器18bからなる。フィードバック手段16から出力され、微分回路18に入力されたH又はLの定電圧信号は、当該微分回路18でパルス状の波形に変換されるように形成されている。これにより、検知部11から出力される検知信号は、パルス状の波形に整形された電圧信号とすることができる。
【0024】
記録部12は、検知部11から出力された検知信号を記録可能な記録手段を有している。記録手段は、2段のC−MOS・NANDゲート12a,12bを有するフリップフロップ回路からなる。フリップフロップ回路は、検知信号が入力されたオン状態と、検知信号が入力されていないオフ状態のいずれか一方を、リセット信号が入力されるまで保持するように形成されている。これにより、活動検知装置10の被装着者の活動状況を記録することができる。
フリップフロップ回路へリセット信号を周期的に入力することによって、所定の周期毎に記憶部12へ検知信号が少なくとも1回入力されたか否かが活動データとして順次記録されるように形成されている。そして、ある一の周期で検知信号が少なくとも1回入力されたときは、当該一の周期で振動を検知したことに基づく活動データが出力部13へ出力され、また他の周期で検知信号が1回も入力されなかったときは、当該他の周期で振動を検知しなかったことに基づく活動データが出力部13へ出力される。
なお、本実施例においてはフリップフロップ回路で活動状況を記録するようにしたが、これに限定されるものではなく、RAM、ハードディスクドライブ(HDD)或いはフラッシュメモリ又はこれらに類する外部記録媒体へ記録するようにしても良い。このようにすれば、たとえば、フリップフロップ回路で送信用の活動データを一時的に記録するとともに、外部記録媒体へバックアップとして活動データを記録しておくことによって、通信障害等によって無線通信回線3を通じて基地局へ活動状況を通知できない場合であっても被装着者の活動状況を記録しておくことができる。
【0025】
出力部13は、記録部12から活動データを読み取るデータ読取部19と、読み取った活動データを無線通信回線3を通じて基地局1へ送信する送信手段20とからなる。
データ読取部19は、トランジスタ19aと、抵抗器19b,19c,19dからなり、抵抗器19dはVcc電源25に接続されている。
送信手段20は、アンテナ21を有するワイヤレスモジュール20aからなり、読み取った活動データを所定の通信規格に準拠してエンコードした後、基地局1へ送信するように形成されている。
また、ワイヤレスモジュール20aは、所定の周期でデータ読取部19に読取信号を送信して活動データの応答を要求するように形成されている。読取信号で活動データを要求されたデータ読取部19は、フリップフロップ回路のオン・オフ状態に基づく活動データを記録部12から読み取って、当該オン・オフ状態に係る応答信号をワイヤレスモジュール20aへ返信するように形成されている。
さらに、ワイヤレスモジュール20aは、所定の周期でフリップフロップ回路に対して、リセット信号を送信するように形成されている。当該リセット信号がフリップフロップ回路へ入力されたとき、オン状態に保持されているフリップフロップ回路はオフ状態にリセットされる。
ワイヤレスモジュール20aは、リセット信号を送信した後、最低限の電力消費で次の読取信号を出力するまで待機するスリープモードに移行するように形成されている。周期的な読取信号とリセット信号の送信にしたがってスリープモードが周期的に訪れることによって、ワイヤレスモジュール20aの電力消費を抑えることができる。
【0026】
上記の構成を有する活動検知装置は、以下に説明するように動作する。当該動作について添付した図面にしたがって説明する。図3は、本実施例に係る活動装置について各部の動作タイミングを示したチャート図である。
【0027】
ケース内を金属球が移動したとき接点間が開閉するように機械的に形成された振動センサ14aは、接点が閉じたとき(オン)又は開いたとき(オフ)に検知信号を出力する。すなわち、当該検知信号は、連続した接点のオン−オフ信号である。
活動検知装置10の被装着者が動いて振動センサ14aがオン・オフを繰り返すようになったとき、当該振動センサ14aが出力する接点のオン−オフ信号は、バッファ16でH又はLの方形波状のパルス波形を有するデジタル的な検知信号に変換される。当該検知信号は、さらに微分回路18で単一波状のパルス波形に整形されて、検知部11から記憶部12へ出力される。このように、ケース内で金属球がゆっくり移動したときの微弱な振動から素早く移動したときの激しい振動までを連続的に示す接点のオン−オフ信号は、バッファ16と微分回路18を通じて、振動があったか否かの二値的なパルス検知信号に変換される。
【0028】
記憶部12のフリップフロップ回路へ最初のパルス検知信号が入力されたとき、オフ状態に保持されていたフリップフロップ回路は、オン状態へ遷移する。フリップフロップ回路が一度オン状態に移行した場合、当該オン状態は、ワイヤレスモジュール20aからリセット信号が入力されるまで保持される。リセット信号は、ワイヤレスモジュール20aから周期的に入力するので、フリップフロップ回路を有する記憶部12には、所定の周期毎に、検知信号が少なくとも1回入力されたか、或いは当該検知信号が1回も入力されなかったかという活動データが記憶される。本実施例において、記憶部12をリセットする周期は、後述する読取信号の周期にしたがって2秒に設定されている。
【0029】
一方、出力部13のワイヤレスモジュール20aは、周期的に読取信号をデータ読取部19に対して発信する。本実施例において、当該読取信号の周期は2秒に設定されているが任意で設定可能である。
読取信号が入力されたデータ読取部19は、読取信号を受信したときにフリップフロップ回路がオン状態で保持されている場合、オン状態の活動データに係る応答信号をワイヤレスモジュール20aへ返信する。
ワイヤレスモジュール20aは、オン状態の活動データに係る応答信号に基づいて、アンテナ21から無線通信回線3を通じて基地局1へ、活動検知装置10の被装着者が活動していることを示す活動信号を送信する。
一方、フリップフロップ回路がオフ状態で保持されている場合、データ読取部19は、オフ状態の活動データに係る応答信号をワイヤレスモジュール20aに返信する。
ワイヤレスモジュール20aは、オフ状態の活動データに係る応答信号に基づいて、基地局1へ活動検知装置10の被装着者が活動していないことを示す活動否信号を送信する。
これによって、基地局1では、被装着者が活動しているか否かを把握することができる。
【0030】
本実施例に係る活動検知装置10によれば、振動センサ14aが振動を検知して出力する検知信号をバッファ16と微分回路18に通して振動があったか否かの単純な二値処理を施すとともに、検知信号に係る電流をフィードバックさせて接点抵抗を無視できるほど大きな電流を振動センサ14aに流した後は、フィードバック電流を停止して、極小さな定常電流で振動センサ14aを動作させるようにした。これによって、振動センサ14aに余分な電流が流れることを抑え、検知信号もまた単一パルス波形に整形することができる。そのため、検知部11の電力消費を抑えることができる。
なお、本実施例においては、機械式に動作する振動センサ14aを例示したがこれに限定されるものではなく、接点抵抗のあるセンサ、又は当該接点抵抗に類する抵抗を有するセンサであれば、本願発明のフィードバック手段を適用して電力消費を抑えることができる。
そして、ワイヤレスモジュール20aが所定の周期でスリープモードへ移行するようにした。これにより、ワイヤレスモジュール20aの電力消費を抑えることができる。また、ワイヤレスモジュール20aは、基地局1に対して、周期的に活動信号又は活動否信号を発信するようにした。これにより、ワイヤレスモジュール20aの電力消費を抑えることができる。
このように、活動検知装置10は、各部で電力消費を抑えるように構成した。これによって、活動検知装置10の電力消費を抑えることができる。そのため、活動検知装置10に搭載するバッテリーを小型化することができるので、被装着者の負担を減らすことができる。また、電力消費を抑えたことによってバッテリーの交換周期又は充電周期を長くすることができるので、バッテリーの交換又は充電の手間を軽減することができる。
【0031】
なお、本実施例に係る活動検知装置10の被装着者は、どこにいるか又は健在であるかを常に把握しておく必要がある高齢者を想定しているが、これに限定されるものでない。たとえば、乳幼児に装着して、当該乳幼児が起きているか寝ているかを親が把握するために用いたり、また犬や猫といったペットに装着して、当該ペットがどこにいるか飼い主が把握するために用いたりしても良い。
【符号の説明】
【0032】
10…活動検知装置、11…検知部、12…記憶部、12a,12b…C−MOS・NANDゲート、13…出力部、
14…動作検知手段、14a…振動センサ、14b…抵抗器、
15…フィードバック手段、16…バッファ、16a,16b…インバータ、17…帰還回路、17a…ダイオード、17b…抵抗器、18…微分回路、18a…コンデンサ、18b…抵抗器、
19…データ読取部、19a…トランジスタ、19b,19c,19d…抵抗器、
20…送信手段、20a…ワイヤレスモジュール、21…アンテナ、
25…Vcc電源。
図1
図2
図3