特許第6100235号(P6100235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100235ククルビン酸化合物と、スルホンおよびアクリルポリマーのブレンドとを含む化粧料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100235
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】ククルビン酸化合物と、スルホンおよびアクリルポリマーのブレンドとを含む化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/365 20060101AFI20170313BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20170313BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20170313BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20170313BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20170313BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   A61K8/365
   A61K8/37
   A61K8/06
   A61K8/81
   A61Q19/00
   A61Q19/08
【請求項の数】18
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-503200(P2014-503200)
(86)(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公表番号】特表2014-510761(P2014-510761A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】FR2012050753
(87)【国際公開番号】WO2012143645
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年3月11日
(31)【優先権主張番号】1152903
(32)【優先日】2011年4月5日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1152904
(32)【優先日】2011年4月5日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】61/473,901
(32)【優先日】2011年4月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/473,904
(32)【優先日】2011年4月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ソフィ・アルマン
(72)【発明者】
【氏名】マリー・デヴィ
(72)【発明者】
【氏名】フロランス・レヴィ
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−155835(JP,A)
【文献】 特開2007−291103(JP,A)
【文献】 特表平06−502117(JP,A)
【文献】 特表平10−512897(JP,A)
【文献】 特開2003−238388(JP,A)
【文献】 特表2014−500284(JP,A)
【文献】 特開2011−032273(JP,A)
【文献】 特表平10−511703(JP,A)
【文献】 特開2000−119131(JP,A)
【文献】 特開平06−234619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される水性媒体中に、下記の式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
R1はCOOR3基を示し、R3は水素原子または1個もしくは複数の水酸基で任意選択により置換されているC1〜C4アルキル基を表し;
R2は炭素原子1〜18個を含有する飽和もしくは不飽和の直鎖状炭化水素基、または炭素原子3〜18個を含有する飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは環状の炭化水素基を示す]と、
また、その光学異性体、および対応する塩と、
スルホン酸基を含むモノマーのホモポリマーと、
架橋アクリル酸ホモポリマーと
を含む化粧料組成物。
【請求項2】
化合物(I)が、R1が、-COOH、-COOMe、-COO-CH2-CH3、-COO-CH2-CH(OH)-CH2OH、-COOCH2-CH2-CH2OH、-COOCH2-CH(OH)-CH3から選択される基を表し、
R2が、炭素原子2〜6個を含有する飽和または不飽和の直鎖状炭化水素基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
化合物(I)が、3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
式(I)の化合物が、組成物の総重量に対して、1重量%〜10重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
スルホン酸基を含むモノマーが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
スルホン酸基を含むモノマーのホモポリマーが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の架橋および中和されたホモポリマーであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
スルホン酸基を含むモノマーのホモポリマーが、組成物の総重量に対して0.05重量%〜5重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
アクリル酸ホモポリマーが、組成物の総重量に対して0.01重量%〜5重量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
水中油型エマルジョンの形態であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
アルキルポリグリコシドタイプの界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記アルキルポリグリコシドが、式(II)の化合物:
R(O)(G)x (II)
[式中、R基は、直鎖状または分枝状C12〜C22アルキル基であり、xは、1〜5の範囲であり、Gは、グルコース、デキストロース、サッカロース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオース、マンノース、リボース、デキストラン、タロース、アロース、キシロース、レボグルカン、セルロースおよびデンプンから選択される糖残基である]であることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
Gが、グルコース残基であることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
アルキルポリグリコシドタイプの界面活性剤が、組成物の総重量に対して0.1重量%〜1.6重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
炭素原子10〜30個を含む脂肪アルコールを含むことを特徴とする、請求項10から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
脂肪アルコールが、組成物の総重量に対して0.4重量%〜8重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
組成物の総重量に対して0.5重量%〜20重量%の範囲の含量の油を含むことを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
乳化剤、ゲル化剤、油、ワックス、防腐剤、酸化防止剤、水、香料、充填剤、UV遮断剤、顔料、繊維、キレート剤、臭気吸収剤および着色剤から選択される化粧用添加剤を含むことを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
ケラチン質のための非治療的美容処置方法であって、請求項1から17のいずれか一項に記載の化粧料組成物を前記ケラチン質に適用するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、特に、ククルビン酸化合物と、スルホンおよびアクリルポリマーのブレンドとを含む化粧料組成物に関し、また、ヒトケラチン質の処置方法でのこれらの組成物の使用に関する。
より特定すれば、本発明の組成物は、ケラチン質をケアおよび/またはメイクアップすることを意図したものである。
【0002】
本発明の目的のために、「ケラチン質」という用語は、例えば、皮膚、粘膜、唇、頭皮、睫毛、眉毛および毛髪を表すことを意図している。
【背景技術】
【0003】
特許出願EP-A-1333021は、皮膚の落屑を促進し、表皮の再生を刺激し、皮膚の老化の徴候と戦い、顔色の輝きを改善し、および/または顔の皮膚を滑らかにするための3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸などの水素化ククルビン酸化合物を開示している。特許出願FR-A-62921255では、これらの化合物はまた、脱色素剤(depigmenting agent)としてのその使用についても記載されている。
【0004】
しかしながら、先に言及した水素化ククルビン酸化合物を水性化粧料配合物に導入すると、粘度が些細とは言えない程度減少する可能性があり、したがって、組成物の実質的な流動化およびその結果として組成物の不安定化が誘発される。
【0005】
非常に流動性のある組成物は、ケラチン質への適用が困難である。こうした組成物は、ケラチン質、特に、皮膚に適用した際に流れ落ちてしまう。処置が望まれるケラチン質へのその適用は、正確さに欠け、したがって、使用は比較的魅力のないものになる。
【0006】
さらに、水素化ククルビン酸化合物が存在すると、ある従来のゲル化剤の増粘能力に影響を及ぼすことがわかっている。特に、この化合物は、粘度における実質的な低下により、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマーの水性ゲルを不安定化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許出願EP-A-1333021
【特許文献2】特許出願FR-A-62921255
【特許文献3】特許出願WO92/06778
【特許文献4】特許出願WO95/13863
【特許文献5】特許出願WO98/47610
【特許文献6】特許出願WO-A-2009/080958
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
故に、ククルビン酸化合物と実質的な流動化を自然発生的に呈さない(粘度における実質的な低下がない)スルホン酸基を含むモノマーのホモポリマー(特に、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー)とを含む化粧料組成物を有する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、本発明人らは、後述する通りの架橋アクリル酸ホモポリマーの添加により、実質的な流動化なしに、その粘度が安定なままである組成物を得ることが可能になることを観察した。特に、組成物は、特に周囲温度(25℃)で2か月間貯蔵した後、良好な経時安定性を呈する。
【0010】
本発明の目的は、正確には、これらの必要を満たすことである。
さらに、本発明による組成物は、ケラチン質、特に皮膚に適用される場合、いかなるべたつき感も呈さない。
【0011】
より詳細には、本発明は、後述する通り、水性媒体を含有する生理学的に許容される媒体中に、少なくとも1つの式(I)のククルビン酸化合物と、スルホン酸基を含むモノマーのホモポリマーと、架橋アクリル酸ホモポリマーとを含む組成物に関する。
【0012】
本発明による組成物は、特に化粧料組成物である。
【0013】
本発明は、ケラチン質をケアまたはメイクアップするための非治療的処置方法であって、本発明による組成物を前記ケラチン質に適用するステップを含む、方法にも関する。有利には、そのような方法は、皮膚をケアまたはメイクアップすることを意図している。
【0014】
ククルビン酸ベースの化合物は、以下の式(I):
【0015】
【化1】
【0016】
[式中、
R1はCOOR3基を示し、R3は水素原子または1個もしくは複数の水酸基で任意選択により置換されているC1〜C4アルキル基を表し;
R2は炭素原子1〜18個を含有する飽和もしくは不飽和の直鎖状炭化水素系基、または炭素原子3〜18個を含有する飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは環状の炭化水素系基を示す]に対応するものから選択される化合物、
ならびにまた、その光学異性体、および対応する塩である。
【0017】
好ましくは、R1は、-COOH、-COOMe、-COO-CH2-CH3、-COO-CH2-CH(OH)-CH2OH、-COOCH2-CH2-CH2OH、-COOCH2-CH(OH)-CH3から選択される基を表す。優先的には、R1は-COOH基を表す。
【0018】
優先的には、R2は、炭素原子2〜7個を好ましくは含有する飽和または不飽和の直鎖状炭化水素系基を表す。特に、R2は、ペンチル、ペンテニル、ヘキシル、またはヘプチル基とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一実施形態によると、式(I)の化合物は、3-ヒドロキシ-2-[(2Z)-2-ペンテニル]シクロペンタン酢酸および3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸から選択される。好ましくは、化合物(I)は3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸である。この化合物は特にナトリウム塩の形態であり得る。
【0020】
本発明に従って使用することができる化合物の塩は、特に、アルカリ金属、例えば、ナトリウムまたはカリウムの塩;アルカリ土類金属、例えば、カルシウム、マグネシウム、またはストロンチウムの塩;金属、例えば、亜鉛、アルミニウム、マンガン、または銅の塩;式NH4+のアンモニウムの塩;第四級アンモニウムの塩;有機アミンの塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミン、またはトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンの塩;リシンまたはアルギニンの塩から選択される。ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、銅塩、マンガン塩および亜鉛塩から選択される塩が好ましく用いられる。ナトリウム塩が優先的に用いられる。
【0021】
前に定義する式(I)の化合物は、本発明による組成物中に、組成物の総重量に対して1重量%〜10重量%、好ましくは1.5重量%〜5重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0022】
本発明による組成物は、スルホン酸基を含むモノマーのホモポリマーを含む。
本発明による組成物は、スルホン酸基を含む少なくとも1つのモノマーを含むポリマーも含む。このポリマーの存在により、良好な安定性を有する組成物を得ることが可能になる。
【0023】
本発明の組成物において使用されるスルホン酸基を含む少なくとも1つのモノマーを含むポリマーは、水溶性または水分散性または水膨潤性である。本発明に従って使用されるポリマーは、遊離形態であっても部分的または全体的に中和された形態あってもよい、スルホン酸基を含む少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーから得ることができるホモポリマーである。
【0024】
優先的には、本発明に従ったポリマーは、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニア水)あるいはモノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチルグルカミンなどの有機塩基、塩基性アミノ酸、例えばアルギニンおよびリジン、ならびにこれら化合物の混合物によって部分的または全体的に中和されていてよい。前記ホモポリマーは一般的に中和されている。本発明において、「中和された」という用語は、全体的にまたはほとんど全体的に中和された、すなわち少なくとも90%中和されたポリマーを意味するものとする。
【0025】
本発明の組成物において使用されるポリマーは、一般的に、1000〜20000000g/molの範囲の、好ましくは20000〜5000000g/mol、またさらに優先的には100000〜1500000g/molの範囲の数平均分子量を有する。
【0026】
本発明によるこれらのポリマーは、架橋されていても架橋されていなくてもよい。
【0027】
本発明の組成物において使用されるポリマーのスルホン酸基を含むモノマーは、特に、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド(C1〜C22)アルキルスルホン酸、ウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸などのN-(C1〜C22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C1〜C22)アルキルスルホン酸、およびそれらの部分的または全体的に中和された形態、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0028】
本発明の好ましい一実施形態によれば、スルホン酸基を含むモノマーは、(メタ)アクリルアミド(C1〜C22)アルキルスルホン酸、例えばアクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-n-ブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4-トリメチルペンタンスルホン酸、2-メタクリルアミドドデシルスルホン酸および2-アクリルアミド-2,6-ジメチル-3-ヘプタンスルホン酸、およびそれらの部分的または全体的に中和された形態、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0029】
より特定すれば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、およびそれらの部分的または全体的に中和された形態が使用される。
【0030】
ホモポリマーが架橋されている場合、架橋剤は、ラジカル重合によって得られる架橋ポリマーに対して通常使用されるポリオレフィン系不飽和化合物から選択され得る。
【0031】
架橋剤の例としては、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ハイドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコールまたはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、シアヌル酸トリアリル、マレイン酸ジアリル、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、糖類のアルコールのアリルエーテル、あるいは多官能性アルコールの他のアリルまたはビニルエーテル、ならびにリン酸および/またはビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、ならびにこれら化合物の混合物を挙げることができる。
【0032】
本発明の好ましい一実施形態によれば、架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)から選択される。架橋度は、一般に、ポリマーに対して0.01mol%〜10mol%、より特定すれば0.2mol%〜2mol%の範囲である。
【0033】
スルホン酸基を含むモノマーのホモポリマーは、1種または複数の架橋剤で架橋され得る。
【0034】
これらホモポリマーは、一般に、架橋および中和されており、下記のステップを含む調製方法に従って得ることができる:
(a)遊離形態の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸などのモノマーを、tert-ブタノールの、または水およびtert-ブタノールの溶液に分散または溶解する;
(b)(a)で得られたモノマー溶液または分散液を、90%から100%に及ぶポリマーのスルホン酸官能基の中和度を得ることを可能にする量の1種または複数の無機または有機塩基、好ましくはアンモニア水NH3で中和する;
(c)架橋モノマー(複数可)を、(b)で得られた溶液または分散液に添加する;
(d)標準的なフリーラジカル重合を、フリーラジカル開始剤の存在下、10〜150℃の範囲の温度で実施すると、ポリマーがtert-ブタノールベースの溶液または分散液中に沈殿する。
【0035】
好ましいAMPSホモポリマーは、一般に、ランダムに分布している以下を含むことを特徴とする:
a)90重量%〜99.9重量%の以下の一般式(II)の単位:
【0036】
【化2】
【0037】
[式中、X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンを表し、カチオンX+の10mol%以下は場合によりプロトンH+である];
b)少なくとも2つのオレフィン二重結合を含有し、重量割合がポリマーの総重量に対して定義される、少なくとも1つのモノマーから生じる0.01重量%〜10重量%の架橋単位。
【0038】
さらに特に好ましい本発明によるホモポリマーは、98重量%〜99.5重量%の式(II)の単位および0.2重量%〜2重量%の架橋単位を含む。
【0039】
特に言及され得るこの種類のポリマーには、Clariant社によりHostacerin(登録商標)AMPSの商品名(CTFA名:ポリアクリルジメチルタウラミドアンモニウム)で販売されている架橋され中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマーが含まれる。
【0040】
スルホン酸基を含むモノマーのホモポリマーは、本発明による組成物中に、組成物の総重量に対して、例えば0.05重量%〜5重量%の範囲の、好ましくは、0.1重量%〜5重量%の範囲の、優先的には、0.1重量%〜2重量%の範囲の活性物質の含量で存在することができる。
【0041】
有利には、前記の式(I)のククルビン酸化合物(Aと呼ぶ)およびスルホン基を含むモノマーのホモポリマー(Bと呼ぶ)は、本発明による組成物中に、3〜4.5の範囲のA/B重量比で存在し得る。
【0042】
本発明による組成物は、架橋アクリル酸ホモポリマーを含有する。
ホモポリマーは、特にペンタエリスリトールアリルエーテル、スクロースアリルエーテルまたはプロレンアリルエーテルから選択される架橋剤で架橋されていてよい。
【0043】
そのようなポリマーは、INCI名:カルボマーを有する。
例えば、Carbopol 980もしくは981またはCarbopol Ultrez 10の名称でLubrizol社によって、あるいはSynthalen KまたはSynthalen LまたはSynthalen Mの名称で3V社によって販売されているポリマーが使用され得る。
【0044】
アクリル酸ホモポリマーは、本発明による組成物中に、組成物の総重量に対して0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜3重量%の範囲の量で存在し得る。
【0045】
有利には、前記の式(I)のククルビン酸化合物(Aと呼ぶ)およびアクリル酸ホモポリマー(Cと呼ぶ)は、本発明による組成物中に、2〜20、好ましくは4.5〜5.5の範囲のA/C重量比で存在し得る。
【0046】
本発明の組成物の粘度は、当業者に周知の任意の方法によって、特に以下の従来法に従って測定することができる。故に、200rpmで回転するスピンドルを備えるRheomat 180粘度計を用いて25℃で測定を実施することができる。当業者は、測定を行うことができるように、一般知識に基づいてスピンドルM1、M2、M3およびM4から粘度を測定するためのスピンドルを選択することができる。
【0047】
本発明による組成物は、生理学的に許容される水性媒体を含む。
用語「生理学的に許容される媒体」は、ヒトケラチン質および/または繊維、例えば、非限定的な形で、皮膚、粘膜、爪、頭皮、および/または毛髪に適合する媒体を示すことを意図している。
【0048】
この生理学的に許容される水性媒体は、水性相を、場合により、C1〜C8アルコール、特に、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール;グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどのポリオール、およびポリオールエーテルなどの1種または複数の有機溶媒との混合物として、または非混合物として含む。
【0049】
本発明による組成物はまた、脂肪相を含むことができ、この脂肪相は、想定される応用分野で通常使用される油、ゴム、およびワックスを含み得る。
【0050】
したがって、一実施形態によれば、本発明による組成物はまた、周囲温度(20〜25℃)および大気圧で固体である脂肪相、ならびに/または周囲温度(20〜25℃)および大気圧で液体である脂肪相から選択される少なくとも1種の脂肪相を含むことができる。
【0051】
本発明の実施に適する液体脂肪相は、揮発性油、不揮発性油、およびそれらの混合物を含むことができる。揮発性または不揮発性の油は、炭化水素系油、特に、動物もしくは植物由来の油、合成油、シリコーン油、フッ素油、またはそれらの混合物とすることができる。
【0052】
本発明の実施に適する固体脂肪相は、例えば、ペースト状脂肪物質およびゴム、ならびにそれらの混合物から選択することができる。
【0053】
本発明において使用されてよい油として、鉱油(液体ワセリン)、植物油(シアバターの液体留分、ヒマワリ油)、合成油(パーセリン油)、シリコーン系油またはワックス(シクロメチコン)、およびフッ素化油(パーフルオロポリエーテル)を挙げることができる。脂肪アルコールおよび脂肪酸(ステアリン酸)を、これらの油に添加することができる。
【0054】
組成物がエマルジョンである場合、脂肪相の割合は、組成物の総重量に対して5重量%〜80重量%、好ましくは、5重量%〜50重量%の範囲とすることができる。エマルジョン形態の組成物中で使用される油、ワックス、乳化剤、および共乳化剤は、化粧品分野で通常使用されるものから選択される。
【0055】
1つまたは複数の乳化剤は、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して0.3重量%〜30重量%、特に0.5重量%〜20重量%の範囲の割合で存在してよい。
組成物が水中油型エマルジョンの形態である場合、好ましくはポリアルキルグルコシドタイプの界面活性剤を含む。
【0056】
より詳細には、本発明は、後述する通り、式(I)のククルビン酸化合物と、アルキルポリグリコシドタイプの界面活性剤と、スルホン酸基を含むモノマーのホモポリマーと、架橋アクリル酸ホモポリマーとを含む、水中油型エマルジョンの形態の組成物にも関する。
【0057】
得られたエマルジョンは特に安定している。特に、組成物は、特に45℃で2か月間貯蔵した後、良好な安定性を呈する。
【0058】
さらに、本発明による組成物は、ケラチン質、特に皮膚に適用するのに好ましく、塗布中に、増粘された流体形態から液体形態へ流動化する質感を有する。この適用は、べたつき感もひりつき感(pilling sensation)もなく行われる。
【0059】
本発明による組成物は、少なくとも1種のアルキルポリグリコシドタイプの界面活性剤を含む。
【0060】
本発明の目的において、「アルキルポリグリコシド」という用語は、アルキル単糖(重合度1)またはアルキル多糖(重合度1超)を意味するものとする。
【0061】
アルキルポリグリコシドを、単独で、またはいくつかのアルキルポリグリコシドの混合物の形態で使用してもよい。それらは一般に、下記の構造に対応する:
R(O)(G)x
[式中、R基は直鎖状または分枝状C12〜C22アルキル基であり、Gは糖残基であり、xは、1〜5、好ましくは1.05〜2.5、より優先的には1.1〜2の範囲である]。
【0062】
糖残基は、グルコース、デキストロース、サッカロース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオース、マンノース、リボース、デキストラン、タロース、アロース、キシロース、レボグルカン、セルロースおよびデンプンから選択され得る。より優先的には、糖残基はグルコースを表す。
【0063】
アルキルポリグリコシドの多糖部分の各単位は、αまたはβ異性体形態、LもしくはD形態であってよく、糖残基の配置はフラノシドまたはピラノシドタイプのものであり得ることにも注意すべきである。
【0064】
当然ながら、担持されているアルキル単位の性質および/または担持している多糖鎖の性質が互いに異なっていてもよいアルキル多糖の混合物を使用することも可能である。
【0065】
アルキルポリグリコシドタイプの界面活性剤は、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して0.1重量%〜1.6重量%、好ましくは0.1重量%〜1.5重量%、優先的には0.1重量%〜1重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0066】
本発明の1つの特定の態様によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の脂肪アルコール、特に炭素原子10〜30個を含有する脂肪アルコールも含み得る。
【0067】
使用することができる脂肪アルコールの例として、合成由来、あるいは天然由来の直鎖状もしくは分枝状の脂肪アルコール、例えば、植物材料(ココナツ、パーム核、ヤシなど)または動物材料(獣脂など)から生じるアルコールが挙げられる。
【0068】
炭素原子20〜26個、好ましくは炭素原子10〜24個、より優先的には炭素原子12〜22個を含む脂肪アルコールを好ましくは使用する。
【0069】
本発明と関連して用いることができる脂肪アルコールの具体的な例として、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、パルミチルアルコール、オレイルアルコール、セテアリルアルコール(セチルアルコールおよびステアリルアルコールの混合物)、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール(erucyl alcohol)およびアラキジルアルコール、ならびにそれらの混合物を特に挙げることができる。
【0070】
さらに、本発明によれば、脂肪アルコールと、そのアルキル部分が選択された脂肪アルコールのものと同一であるアルキルポリグリコシドとを一緒に使用することが特に有利である。
【0071】
定義した通りの脂肪アルコール/アルキルポリグリコシド乳化混合物は、特に、特許出願WO92/06778、WO95/13863およびWO98/47610に記載されている。
【0072】
特に好ましい脂肪アルコール/アルキルポリグリコシド混合物の中でも、下記の混合物など、Montanov(登録商標)の名称でSEPPIC社によって販売されている製品が挙げられる:
- セチルステアリルアルコール/ココイルグルコシド-Montanov 82(登録商標)、
- アラキジルアルコールおよびベヘニルアルコール/アラキジルグルコシド- Montanov 802(登録商標)、
- ミリスチルアルコール/ミリスチルグルコシド-Montanov 14(登録商標)、
- セチルステアリルアルコール/セチルステアリルグルコシド-Montanov 68(登録商標)、
- C14〜C22アルコール/C12〜C20アルキルグルコシド-Montanov L(登録商標)、
- ココイルアルコール/ココイルグルコシド-Montanov S(登録商標)、および
- イソステアリルアルコール/イソステアリルグルコシド-Montanov WO18(登録商標)。
【0073】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物において使用されるアルキルポリグリコシドは、C12〜C20グルコシドである。これは、C14〜C22アルコールとの混合物として有利に使用される。
【0074】
本発明の特定の一実施形態によれば、故に、約20%のC12〜C20アルキルグルコシドおよび約80%のC14〜C22アルコールからなる、Montanov 68(登録商標)の名称でSEPPIC社によって販売されている製品などの、C14〜C22アルコール/C12〜C20アルキルグルコシド混合物が使用される。
【0075】
脂肪アルコールは、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して0.4重量%〜8重量%の範囲の、好ましくは0.1重量%〜1重量%の範囲の、優先的には0.6重量%〜2重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0076】
脂肪アルコール/アルキルポリグリコシド混合物は、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して0.5重量%〜8重量%の範囲の、好ましくは0.6重量%〜5重量%の範囲の、より優先的には0.8重量%〜2.5重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0077】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、前記式(I)の化合物および前記アルキルポリグリコシドを、15〜25の範囲の、好ましくは17〜23の範囲の、優先的には18〜22の範囲の化合物(I)/アルキルポリグリコシド重量比で含み得る。
【0078】
アルキルポリグリコシドが、少なくとも1種の先に述べた脂肪アルコールと組み合わせて使用される特定の場合において、本発明の組成物は、有利には、前記アルキルポリグリコシドのおよび脂肪アルコールの混合物ならびに前記式(I)の化合物を、3〜5の範囲の、好ましくは3.4〜4.6の範囲の、優先的には3.6〜4.4の範囲の化合物(I)/(アルキルポリグリコシド+脂肪アルコール)重量比で含み得る。
好ましくは、アルキルポリグリコシドを含むエマルジョンの粘度は、0.086Pa.s-1〜1.4Pa.s-1.の範囲とすることができる。有利には、粘度は、0.20Pa.s-1〜1.1Pa.s-1の範囲とすることができる。
【0079】
有利には、前記の式(I)のククルビン酸化合物(Aと呼ぶ)およびスルホン基を含むモノマーのホモポリマー(Bと呼ぶ)は、アルキルポリグリコシドタイプの界面活性剤を含む本発明によるエマルジョン中に、3.5〜6.5の範囲のA/B重量比で存在し得る。
好ましくは、このA/B重量比は4〜6の範囲であってよい。優先的には、このA/B重量比は4.5〜5.5の範囲であってよい。
【0080】
有利には、前記の式(I)のククルビン酸化合物(Aと呼ぶ)およびアクリル酸ホモポリマー(Cと呼ぶ)は、アルキルポリグリコシドタイプの界面活性剤を含む本発明によるエマルジョン中に、8〜12の範囲のA/C重量比で存在し得る。好ましくは、このA/C重量比は9〜11の範囲であってよい。優先的には、このA/C重量比は9.5〜10.5の範囲であってよい。
【0081】
組成物は、組成物の総重量に対して20重量%〜95重量%の範囲の、好ましくは30重量%〜90重量%の範囲の、優先的には40重量%〜70重量%の範囲の含量の水を含むことができる。
【0082】
水は、フローラルウォーター、例えばコーンフラワーウォーターおよび/またはミネラルウォーター、例えばVittel水、Lucas水もしくはLa Roche Posay水および/または湧水であり得る。
【0083】
組成物はまた、炭素原子2〜6個を含むモノアルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノール;
特に炭素原子2〜20個を含有する、好ましくは炭素原子2〜10個を含有する、優先的には炭素原子2〜6個を含有するポリオール、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールまたはジエチレングリコール;
グリコールエーテル(特に炭素原子3〜16個を含有する)、例えばモノ-、ジ-もしくはトリプロピレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテル、およびモノ-、ジ-もしくはトリエチレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテル;
ならびにそれらの混合物
から特に選択される、周囲温度(25℃)で水混和性である有機溶媒も含むことができる。
【0084】
本発明による組成物は、組成物の総重量に対して1重量%〜20重量%の範囲の、好ましくは3重量%〜15重量%の範囲の含量の、周囲温度で水と混和性の有機溶媒、特にポリオールを含むことができる。
【0085】
有利には、本発明による組成物は5.5〜7.5の範囲のpHを有する。
【0086】
本発明によるエマルジョンはまた油相を含む。
【0087】
本発明の組成物において使用することができる油としては、例えば、以下のものを挙げることができる:
- 植物起源の炭化水素油、例えば炭素原子4〜10個を含有する脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばヘプタンもしくはオクタン酸トリグリセリド、または例えばヒマワリ油、コーン油、ダイズ油、マロー油(marrow oil)、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油(arara oil)、ヒマシ油、アボカド油、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Duboisから販売されているものまたはDynamit NobelからMiglyol 810、812および818という名称で販売されているもの、ホホバ油およびシアバター油;
- 特に脂肪酸の合成エステルおよびエーテル、例えば式R1COOR2およびR1OR2(式中、R1は炭素原子8〜29個を含む脂肪酸残基を示し、R2は炭素原子3〜30個を含む分枝または非分枝の炭化水素系鎖を示す)の油、例えばPurcellin油、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシルまたはイソステアリン酸イソステアリル;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリルまたはクエン酸トリイソセチル;脂肪アルコールヘプタノアート、オクタノアートまたはデカノアート;ポリオールエステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコールおよびジイソノナン酸ジエチレングリコール;ならびにペンタエリスリトールエステル、例えばテトライソステアリン酸ペンタエリスリチル;
- 無機もしくは合成起源の直鎖状または分枝状炭化水素、例えば揮発性もしくは不揮発性流動パラフィンおよびその誘導体、ワセリン、ポリデセン、ならびに水素化ポリイソブテン、例えばParleam油;
-炭素原子8〜26個を有する脂肪族アルコール、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルドデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコールまたはリノレイルアルコール;
- 部分炭化水素系および/またはシリコーン系フッ素油、例えば文献JP-A-2295912に記載されているもの;
- シリコーン油、例えば、周囲温度で液体またはペースト状である、直鎖状または環状シリコーン鎖を持つ揮発性または不揮発性ポリメチルシロキサン(PDMS)、特に、シクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン)、例えば、シクロヘキサシロキサン;ペンデントである、またはシリコーン鎖の末端に炭素原子2〜24個を有するアルキル、アルコキシもしくはフェニル基を含むポリジメチルシロキサン;またはフェニル化シリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサン、(2-フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケートおよびポリメチルフェニルシロキサン;
- それらの混合物。
【0088】
前述の油のリストにおいて、「炭化水素系油」という用語は、炭素原子および水素原子、ならびに場合によってエステル、エーテル、フルオロ、カルボン酸および/またはアルコール基を主として含む任意の油を意味するものとする。
【0089】
油は、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して0.5重量%〜20重量%の範囲の、好ましくは1重量%〜15重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0090】
エマルジョンの油相は、例えば炭素原子8〜30個を含有する脂肪酸、例えばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸;蝋、例えばラノリン蝋、蜜蝋、カルナウバ蝋またはカンデリラ蝋、パラフィンワックス、亜炭蝋または微結晶蝋、セレシンまたはオゾケライト、ならびに合成蝋、例えばポリエチレンワックスおよびフィッシャー-トロプシュワックス;シリコーン樹脂、例えばトリフルオロメチル-C14-アルキルジメチコンおよびトリフルオロプロピルジメチコン;ならびにシリコーンエラストマー、例えばShin-Etsu社からKSGという名称で販売されている製品、Dow Corning社からTrefil、BY29もしくはEPSXという名称で販売されている製品、またはGrant Industries社からGransilという名称で販売されている製品などの他の脂肪物質を含むことができる。
【0091】
これらの脂肪物質は、例えば稠度または質感の点で所望の特性を有する組成物を調製するために、当業者により変更された方法で選択され得る。
【0092】
本発明による組成物は、特に、乳化剤、ゲル化剤、油、ワックス、防腐剤、酸化防止剤、水、香料、充填剤、UV遮断剤、顔料、繊維、キレート剤、臭気吸収剤および着色剤から選択される化粧料アジュバントも含有することができる。
【0093】
これらの種々のアジュバントの量は、化粧品分野で慣用的に用いられている量であり、例えば組成物の総重量の0.01重量%〜30重量%の範囲であってよい。一般に、量は、調製する製剤に応じて調整される。これらのアジュバントは、その性質に応じて、脂肪相、水相および/または脂質小球に導入することができる。
【0094】
本発明による組成物は、水性もしくは水性-アルコール性溶液;分散液;油中水型、水中油型、もしくは複合エマルジョン;懸濁液;マイクロカプセルもしくはマイクロ粒子;イオン性および/もしくは非イオン性タイプのベシクル分散液;または加圧された噴霧剤も含むエアロゾル組成物の形態であってよい。優先的には、本発明の組成物は、水中油型または油中水型エマルジョンであってよい。より優先的には、本発明の組成物は水中油型エマルジョンである。
【0095】
組成物が油性相を含むとき、後者はシリコーンエラストマーを含んでよい。シリコーンエラストマーの例は、特許出願WO-A-2009/080958に記載されている。
【0096】
本発明による組成物は、ケア製品、日焼け防止(antisun)もしくはアフターサン製品、日常の光防護ケア製品、体用製品、顔もしくは首に適用するためのファンデーション、コンシーラー製品、顔色修正剤、顔をメイクアップするための着色クリームもしくはメイクアップベース、または体用メイクアップ組成物の形態であってもよい。
【0097】
本発明による組成物は、表皮、特に皮膚の全身状態を改善する、特にその生理学的機能および/または審美的外観を維持または回復する目的のために使用することができる。
【0098】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例証として示す以下の実施例からよりはっきりと明らかになる。本文中の以下または以上において、特に明示しない限り、割合は重量パーセントで示す。
【0099】
(比較実施例1および2)
スルホンおよびアクリルポリマーのブレンドを含有する本発明による水性ゲル(実施例1)ならびに同様ではあるがスルホンポリマーのみを含有する本発明の一部ではない水性ゲル(実施例2)を調製し、各ゲルは、3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩を用いて、またはその非存在下で調製した。
次いで、得られた水性ゲルの粘度を、周囲温度での24時間の保管後に測定した(粘度は、10分の200rpmでの回転後にM3スピンドルを備えるRheomat 180粘度計を用いて25℃で測定した)。
【0100】
以下の結果が得られた:
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
これらの試験から、3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酸のナトリウム塩の存在下でのスルホンポリマー(Hostacerin Amps)および架橋アクリルポリマー(Synthalen Kなどのカルボマー)の組合せは、粘度のわずかな変動を呈することがわかる。
故に、アクリルポリマーのブレンドの存在により、3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩の存在下で、スルホンポリマーを含有する水性ゲルの粘度における非常に実質的な低下を回避することが可能になる。
【0104】
(実施例3)
下記の組成を有するスキンケアクリームを調製した:
【0105】
【表3】
【0106】
組成物は、粘着作用を何ら感じることなく、ひりつきもなく、皮膚上に心地よく広がる。
【0107】
(比較実施例4から6)
3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酸のナトリウム塩を含有する3つの水中油型エマルジョン(スキンケアセラム)を調製した:
【0108】
アンモニア水で部分的に中和され架橋されたポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(Clariant製のHostacerin AMPS(登録商標))(ポリマーBと呼ぶ)および架橋アクリル酸ホモポリマー(Lubrizol製のCarbopol Ultrez 10)(ポリマーCと呼ぶ)の組合せを含む本発明によるエマルジョン(実施例4);
【0109】
ポリマーCの量がポリマーBの同じ量で置き換えられた、実施例4と同様の本発明の範囲外のエマルジョン(実施例5);
ポリマーBの量がポリマーCの同じ量で置き換えられた、実施例4と同様の本発明の範囲外のエマルジョン(実施例6);
【0110】
各組成物について、組成物の顕微鏡的評価を行った。
【0111】
以下の結果が得られた:
【0112】
【表4A】
【0113】
【表4B】
【0114】
これらの試験により、本発明による式(実施例4)は安定であるのに対し、ポリマーBのみ(実施例5)またはポリマーCのみ(実施例6)を含む組成物は安定でないことがわかる。
故に、ポリマーBおよびCの組合せにより、エマルジョンを安定化させることが可能になる。
【0115】
皮膚に適用されるセラムは、流動化している間、いかなるべたつき感もひりつきもなく、容易に広がる。