(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100247
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】医療器具用のシース及び医療装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20170313BHJP
A61B 17/28 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
A61B1/00 300B
A61B1/00 300R
A61B17/28
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-514578(P2014-514578)
(86)(22)【出願日】2012年6月6日
(65)【公表番号】特表2014-516729(P2014-516729A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012041027
(87)【国際公開番号】WO2012170480
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年5月29日
(31)【優先権主張番号】61/494,193
(32)【優先日】2011年6月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ワイツナー バリー
(72)【発明者】
【氏名】スミス ポール
(72)【発明者】
【氏名】デヴリーズ ロバート ビー
【審査官】
▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−095590(JP,A)
【文献】
米国特許第06352503(US,B1)
【文献】
特開2000−033071(JP,A)
【文献】
特開2010−057914(JP,A)
【文献】
特開2004−195037(JP,A)
【文献】
特開2003−144377(JP,A)
【文献】
特開2005−177080(JP,A)
【文献】
特開平06−007366(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0298642(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0056863(US,A1)
【文献】
特表2010−511440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
A61B 17/00 − 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具用のシースであって、
近位端部から遠位面まで延びる細長い本体であって、同細長い本体は、前記遠位面の近くで前記細長い本体内に完全に包囲される拡開要素を含む、細長い本体と、
前記遠位面から延びるネック領域と、
前記近位端部の近くの第1の端部から、前記ネック領域を通して、前記遠位面よりも遠位側の第2の端部まで延びる第1の内腔と、
前記近位端部の近傍から前記遠位面まで延びる第2の内腔と、
前記近位端部から前記遠位面まで延びる第3の内腔と、
前記第1の内腔を前記第2の端部のところでシールするために前記第1の内腔の第2の端部に位置決めされ且つ光が透過するように構成された透明な窓と、を有し、
前記第2の内腔及び前記第3の内腔のうちの少なくともいずれか一方は、前記遠位面のところで開口し、
前記拡開要素は作動されると、前記第2の内腔のもっとも遠位側の部分と前記第3の内腔のもっとも遠位側の部分の配向を互いに対して変更するように構成されるシース。
【請求項2】
更に、前記第2の内腔に前記近位端部の近くで結合されたシール装置を有し、前記シール装置は、その中に挿入される医療器具の周りをシールするように構成される、請求項1に記載のシース。
【請求項3】
前記第1の内腔は、前記第1の端部のところで開口する、請求項1に記載のシース。
【請求項4】
前記ネック領域は、前記細長い本体の遠位面に対して反るように構成される、請求項1に記載のシース。
【請求項5】
更に、前記近位端部の近くの箇所から前記第1の端部まで延びるポートを有し、
前記第1の内腔の少なくとも一部分は、前記ポート内に位置決めされる、請求項1に記載のシース。
【請求項6】
前記透明な窓は、前記第2の端部における前記第1の内腔への流体の流入が阻止されるように前記第1の内腔をシールする、請求項1に記載のシース。
【請求項7】
医療装置であって、
近位端部から遠位面まで延びる可撓性のシースであって、該シースは、前記遠位面の近くで前記シース内に完全に包囲される拡開要素を含む、シースと、
前記近位端部から前記遠位面まで前記シースの中を延びる第1の内腔と、
前記シースの遠位面からそれよりも遠位側にある第2の端部まで延びるネック領域と、を有し、前記第1の内腔は、前記第2の端部のところで透明な窓によって閉鎖され、
更に、第2の内腔及び第3の内腔を有し、前記第2の内腔及び前記第3の内腔の各々は、前記近位端部から前記シースの遠位面まで延び且つ前記遠位面のところで開口し、
前記拡開要素は作動されると、前記第2の内腔のもっとも遠位側の部分と前記第3の内腔のもっとも遠位側の部分の配向を互いに対して変更するように構成される、医療装置。
【請求項8】
更に、前記近位端部の近くで前記第2の内腔に結合された第1のシール装置を有し、前記第1のシール装置は、それに挿入された医療器具の周りをシールするように構成される、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
更に、前記第2の内腔の中を通って前記シースの遠位面から延びるエンドエフェクタを有し、
前記エンドエフェクタは、細長い部材に結合され、前記細長い部材は、前記シースの前記遠位面側から、前記第2の内腔の中を、前記遠位面と前記近位端部の間の第3の端部まで延び、前記細長い部材の第3の端部は、インタフェース部材を含み、前記インタフェース部材は、前記第2の内腔の近位端部の中に挿入された第1の器具と作動可能に結合されるとともに該第1の器具をシールするように構成される、請求項7に記載の医療装置。
【請求項10】
更に、前記第1の内腔内に取外し可能に位置決めされた第2の器具を有し、
前記第2の器具は、前記シースの長さ方向に沿って延びる細長い本体を有し、前記細長い本体は、前記透明な窓の近くに位置決めされた光学素子を含む細長い本体を含む、請求項7に記載の医療装置。
【請求項11】
更に、第3の医療器具を有し、前記第3の医療器具は、前記遠位面のところで前記シースから延びるエンドエフェクタを有する、請求項10に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年6月7日出願のWeizner他に付与された米国仮特許出願第61/494,193号の35 U.S.C.§119(e)に基づく優先権の利益を主張し、その開示全体を本明細書に援用する。
【0002】
本発明の実施形態は、再使用可能な医療装置のための使い捨てシースに関する。特に、本発明の例示の実施形態は、再使用可能な医療装置を直接的な組織接触なしに患者の身体内で使用することを可能にする使い捨てシースに関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡及びその他の類似の医療器具のような医療装置は、患者の身体内で診断適用例及び治療適用例に使用される。これらの器具のいくつかは、1回の使用後に廃棄される使い捨て器具であるが、他のものは再利用することができる。これらの再使用可能な器具は、患者間の相互汚染を予防するために、使用と使用の間に滅菌されなければならない。滅菌及び汚染に関連した問題を低減するために、これらの再使用可能デバイスのいくつかは、使用中、滅菌した使い捨てシースで覆われる。このようなシースは、再使用可能な医療装置の挿入のための内腔を有する細長いい管状構成要素であるのがよい。使用中、シースは、再使用可能な器具を身体組織から隔離する。使用後、使い捨てシースを、器具から取り外して廃棄する。再使用可能な器具自体は、身体組織と接触していないので、汚染のおそれを最小にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかの事例では、医療の適用を補助する多数の医療器具を身体内に差し向けることが望ましい場合がある。これらの器具のいくつかは、使い捨てであり、他の器具は、完全に又は部分的に再使用可能である。これらの多数の器具を個々に身体の中に導入することは、非効率的な場合があり、また、患者の不快感及び心的外傷を増大させる場合がある。患者の不快感を最小にして医療処置の効率を改善するために、これらの多数の器具を、同じ使い捨てシースを通して身体内に差し向けることが有利である。これらの場合、汚染を最小にするために、再使用可能な器具を使い捨て器具から隔離することが望ましい。ここに開示する実施形態は、多数の医療器具を身体内で互いに使用することを可能にする使い捨てシースに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、医療器具のためのシースを開示する。シースは、近位端部から遠位面まで延びる細長い本体と、近位端部の近くの第1の端部から前記遠位面の近くの第2の端部まで延びる第1の内腔を有する。シースはまた、第1の内腔を第2の端部のところでシールするために第1の内腔の第2の端部に位置決めされた透明な窓を有する。透明な窓は、光が透過するように構成される。
【0006】
本発明の様々な実施形態は、以下の態様のうちの1つ又は2つ以上を有するのがよい。第2の内腔は、近位端部から遠位面まで延び且つ遠位面のところで開口する。シール装置は、第2の内腔に近位端部の近くで結合され、シール装置の中に挿入される医療器具の周りをシールするように構成される。第3の内腔は、近位端部から遠位面まで延び且つ遠位面のところで開口する。細長い本体は、遠位面の近くに位置決めされた拡開要素を含み、拡開要素により、第2の内腔の遠位端部及び第3の内腔の遠位端部が互いに拡開することを可能にする。第1の内腔は、第1の端部のところで開口する。シースは、遠位面から第2の端部まで延びるネック領域を有し、第1の内腔の少なくとも一部分は、ネック領域内に位置決めされる。ネック領域は、細長い本体の遠位面に対して反るように構成される。シースは、更に、近位端部の近くの箇所から第1の端部まで延びるポートを有する。第1の内腔の少なくとも一部分は、ポート内に位置決めされる。ポートは、シースの長手方向軸線に対して傾斜する。透明な窓は、第2の端部における第1の内腔への生体液の流入が実質的に阻止されるように第1の内腔をシールする。
【0007】
本発明の実施形態は、近位端部から遠位面まで延びる可撓性シースを有する医療装置を開示する。医療装置は、近位端部から遠位面まで使い捨てシースの中を延びる第1の中空の内腔と、シースの遠位面からそれよりも遠位側にある第2の端部まで延びるネック領域を有し、第1の内腔は、前記第2の端部のところで透明な窓によって閉鎖される。医療装置はまた、更に、第2の内腔及び第3の内腔を有し、第2の内腔及び前記第3の内腔の各々は、近位端部からシースの遠位面まで延び且つ前記遠位面のところで開口する。
【0008】
本発明の様々な実施形態は、以下の態様のうちの1つ又は2つ以上を含むのがよい。第1のシール装置が、近位端部の近くで第2の内腔に結合され
、第1のシール装置は、第1のシール装置は、それに挿入された医療器具の周りをシールするように構成される。シースは、遠位面の近くに位置決めされた拡開要素を含む。拡開要素の作動は、第2の内腔の遠位面と第3の内腔の遠位面が互いに拡開することを可能にする。エンドエフェクタが、第2の内腔の中を通ってシースの遠位面から延びる。エンドエフェクタは、細長い部材に結合され、細長い部材は、第2の内腔の中を、遠位面と近位端部の間の第3の端部まで延びる。細長い部材の第3の端部は、インタフェース部材を含み、インタフェース部材は、第2の内腔の近位端部の中に挿入された第1の器具と作動可能に結合されるように構成される。第2の器具が、第1の内腔内に取外し可能に位置決めされる。第2の器具は、使い捨てシースの長さ方向に沿って延びて透明な窓の近くに位置決めされた光学素子を含む細長い本体を含む。第3の医療器具が、遠位面のところでシースから延びるエンドエフェクタを有する。
【0009】
本発明の実施形態は、医療装置を使用する方法を開示する。本方法は、シースの遠位端部を患者の身体に挿入する段階を有する。シースは、近位端部から遠位端部まで延びる細長い本体と、その中を延びる第1の内腔と、を有し、第1の内腔は、遠位端部のところで透明な窓によって閉鎖される。本方法は更に、シースを身体に挿入する前、その間、又はその後のいずれかにおいて、光学素子を有する第1の医療器具をシースの第1の内腔に挿入する段階を有する。本方法は、更に、第1の医療器具の光学素子を透明な窓の近くに位置決めする段階を有する。
【0010】
本発明の様々な実施形態は、以下の態様のうちの1つ又は2つ以上を含むのがよい。本方法は更に、第2の医療器具をシースの第2の内腔に挿入し、第2の医療器具のエンドエフェクタをシースの遠位端部の外に延ばす段階を有する。本方法は更に、第1の医療器具の光学素子を作動させて、光を前記透明な窓を通して透過させる段階を有する。本方法は更に、第1の医療器具の関節連結部を作動させて、シースの細長い本体の少なくとも一部分を移動させる段階を有する。
【0011】
本発明の実施形態は、医療装置を開示する。医療装置は、第1の端部から第2の端部まで延びるシースを有し、シースは、その中を長手方向に延びる内腔を含む。医療装置は更に、第1の端部と前記第2の端部の間に位置決めされたインタフェース部材を有し、インタフェース部材は、内腔を、流体的に互いに分離された近位部分と遠位部分とに分離する。医療装置は更に、内腔の遠位部分に位置決めされ且つ内腔の第2の端部の中を延びるエンドエフェクタを有し、エンドエフェクタの近位端部は、インタフェース部材に結合される。医療装置は更に、内腔の近位部分に位置決めされ且つ内腔の近位端部の中を延びる細長い部材を有する。細長い部材の遠位端部は、インタフェース部材に結合され、且つ、エンドエフェクタを作動させるように構成される。
【0012】
本明細書に組込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、本発明の原理を発明の詳細な説明と一緒に説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本明細書に開示するシースの例示の実施形態の概略図である。
【
図1B】本明細書に開示するシースの例示の実施形態の遠位端部の概略図である。
【
図1C】シースの拡開要素の作動後における
図1Bのシースの遠位端部の概略図である。
【
図1D】本明細書に開示するシースの別の例示の実施形態の遠位端部の概略図である。
【
図1E】本明細書に開示する例示の実施形態の近位端部の概略図である。
【
図1F】本明細書に開示する別の例示の実施形態の近位端部の概略図である。
【
図2A】使い捨て部分及び再使用可能な部分を有する医療器具を備えたシースの例示の実施形態の概略図である。
【
図2B】
図2Aの医療器具の使い捨て部分と再使用可能な部分の間のインタフェースの例示の実施形態の概略図である。
【
図3A】本明細書に開示するシースと一緒に使用される例示の再使用可能な器具の概略図である。
【
図3B】本明細書に開示するシースの実施形態と一緒に使用される
図3Aの再使用可能な器具の概略図である。
【
図4】本明細書に開示するシースを使用する例示の医療処置を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これから本発明の例示の実施形態を参照し、その例は、添付図面に示されている。可能な限り、同じ参照番号を、同じ又は同様の部分を図面全体にわたって参照するのに使用する。用語「近位」及び「遠位」は、本明細書において、装置又はデバイスの相対位置を参照するのに使用される。本明細書で使用される時の「近位」は、身体の外部に近い方の位置又はデバイスのユーザ(内科医、外科医などのような)に近い方の位置を参照する。これに対して、「遠位」は、デバイスのユーザから遠い方の位置又は身体の内部に近い方の位置を参照する。
【0015】
図1Aは、これから開示する例示のガイド又はシース10を示している。シース10は、近位端部14と遠位端部12の間を延びる可撓性の細長い本体26を含んでいる。適用中、遠位端部12は、患者の身体内に位置決めされ、近位端部14は、身体の外側に延びる。いくつかの実施形態では、シース10の近位端部14は、近位アタッチメント(図示せず)を含むのがよい。シース10の遠位端部12は、患者の身体の中に挿入され、身体の中に(例えば、身体管の中を通して)押入れられ、身体内の望ましい作業部位に位置決めされる。シース10は、経腔的、腔内的、経皮的、又は任意その他の手段によって身体の中に挿入される。例えば、シース10の遠位端部12は、口を通して患者の身体の中に挿入され、食道を通して身体の中に押入れられ、胃壁の近くに位置決めされ、近位端部14は、身体の外側に位置決めされる。細長い本体26は、可撓性であり、遠位端部12が曲がりくねった身体管の中を通って身体の中を前進するとき、シース10が曲がって身体管の中を通行することを可能にする。いくつかの実施形態では、細長い本体26の外面は、シース10が体腔の中を容易に通過することを可能にするポリマー又は潤滑材料(例えば、MDXコーティング、PTFE押出し成形物等)で作られ、又は、被覆されるのがよい。いくつかの実施形態では、細長い本体26の外面は、面接触及び摩擦を低減する特徴部、例えば、バンプ、リブを含むのがよい。
【0016】
1つ又は2つ以上の内腔(例えば、第1の内腔20、第2の内腔22、及び第3の内腔24等)が、細長い本体26の中を近位端部14から遠位端部12まで延びるのがよい。これらの内腔の1つ又は2つ以上は、その中への生体液の侵入を阻止するために遠位端部12においてシールされ、他の内腔は、開口しているのがよい。例えば、第1の内腔20は、
図1Aに示すように、遠位端部12においてシールされる。任意的に透明な窓(例えば、観察レンズ18)が、第1の内腔20の遠位端部12に設けられ、その中を光が通過することを可能にし、且つ、第1の内腔20の内部を身体組織及び流体から隔離する。光の少なくとも一部分を透過させる任意のタイプの材料が、観察レンズ18として使用される。いくつかの実施形態では、観察レンズ18は、シンプルなガラス窓、光フィルタ、拡大鏡等を含む。適用中、再使用可能な医療器具(例えば、
図3A及び
図3Bを参照して説明する再使用可能な器具50)は、第1の内腔20の中を通して身体内に差し向けられる。再使用可能な器具を、シース10の近位端部14のところの開口20bを通して第1の内腔20の中に挿入する。次いで、再使用可能な器具を、第1の内腔20の中を通して身体の中に押入れ、再使用可能な器具の遠位端部を、観察レンズ18の近位側に位置決めする。いくつかの実施形態では、
図1Aに示すように、第1の内腔20は、シース10の遠位面12aを越えて延びる突出ネック領域16を遠位端部12のところに含むのがよい。これらの実施形態では、第1の内腔20の最遠位端面20aは、遠位面12aから長手方向に変位し、観察レンズ18は、最遠位端面20aに設けられる。
【0017】
遠位端部12のところでシールされ且つ近位端部14のところで開口する第1の内腔20とは異なり、第2の内腔22及び第3の内腔24は、近位端部14及び遠位端部12の両方のところで開口している。医療器具(医療デバイス)を、近位端部14のところの開口22b、24bから第2の内腔22及び第3の内腔24の中に挿入する。その後、これらの医療器具を、シース10の中に押入れ、医療器具の遠位端部を、シース10の遠位端部12のところの開口22a、24aから身体の中に延ばす。第2の内腔22及び第3の内腔24は、任意所望の医療処置を身体内で行うことを補助する医療器具のためのアクセスを提供する。
【0018】
シース10は、任意の材料(金属、プラスチック、ポリマー等)で作られ、適用例に適した任意の剛性(又は可撓性)を有する。いくつかの実施形態では、シース10は、比較的柔軟な構成要素であり、他の実施形態では、比較的剛性である。いくつかの実施形態では、シース10の選択された部分は、比較的剛性であり、他の部分は、比較的可撓性であることが考えられる。選択された部分における増大した剛性を、異なる材料をシース10の中に組込むことによって設けてもよいし、シース10の選択された領域に剛性を付与する特徴部(剛性リブ、より厚い領域等)を組込むことによって設けてもよい。いくつかの実施形態では(例えば、シース10が比較的柔軟であるとき)、器具をシース10の内腔の中に挿入した後、シース10を(挿入した器具と一緒に)患者の身体の中に挿入する。かかる実施形態では、挿入された器具によって付与される剛性により、シース10を身体の中に案内する。シース10を身体内に適当に位置決めした後、他の器具をシース10の他の内腔に挿入する。例えば、1つの例示の実施形態では、シース10を体腔に挿入する前、再使用可能な器具を、比較的柔軟なシース10のシールした第1の内腔20に挿入してもよい。シース10の遠位端部12を身体内に適当に位置決めしたら、使い捨て器具を、第2の内腔22及び第3の内腔24に挿入する。シース10を体腔の中に挿入する前、使い捨て器具をシース10の中に挿入することも考えられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、使い捨て可能な器具や再使用可能な器具をシース10の内腔に挿入する前、シース10を身体の中に挿入し、身体の望ましい位置に位置決めするのがよい。かかる実施形態では、挿入されたシース10は、器具を身体内に差し向けるガイドとして作用する。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の器具又はガイドを身体の中に挿入し、シース10を、挿入した器具又はガイドの近位端部からかかる器具又はガイドの上に滑らせることも考えられる。例えば、いくつかの例示の適用例では、最初、器具を身体の中に(例えば、個々に又はガイド管の中を通して)挿入する。挿入した器具の近位端部(身体の外側に位置する)を、シースの遠位端部に(開口した内腔から)挿入し、シース10の遠位端部12が身体内の望ましい位置に位置決めされるまで、シース10を身体の中に押入れる。かかる実施形態では、挿入した器具により、シース10を身体の望ましい位置に案内する。シース10を望ましい位置に位置決めしたら、次いで、再使用可能な器具を、シールされた第1の内腔20に挿入する。
【0020】
いくつかの実施形態では、
図1B及び
図1Cのシース100に示すように、第2の内腔22及び第3の内腔24の中の器具30a、30bが遠位端部12のところで互いから拡開することを可能にする1つ又は2つ以上の拡開要素28が、細長い本体26に含まれる。
図1Bは、拡開要素28を作動させる前のシース100の概観を示し、
図1Cは、拡開要素28の作動後のシース100の概観を示す。これらの拡開要素28は、能動デバイス及び受動デバイスの両方を含む。拡開要素28の作動により、第2の内腔22及び第3の内腔24から外に延びる器具30a、30bの端部が任意の角度θだけ互いから拡開することを可能にする。
図1B及び
図1Cは、第2の内腔22及び第3の内腔24の中の器具30a、30bが互いにだけから拡開しているところを示しているけれども、いくつかの実施形態では、拡開要素28は、これらの器具30a、30bが第1の内腔20の中の再使用可能な器具の遠位端部からも拡開することを可能にするように構成されてもよい。拡開要素28は、シース100内の任意の箇所に位置決めされるけれども、いくつかの実施形態では、拡開要素28は、シース100の遠位端部12の近くに位置決めされ、シース100の中を通して送出された器具の遠位端部が互いから拡開することを可能にしてもよい。シース100の中を延びる器具が遠位端部のところで互いから拡開する能力は、ユーザが身体内で医療処置を行うときにユーザを更に助ける。
【0021】
異なる内腔内の器具が互いから拡開することを可能にする任意の特徴部が、拡開要素28として使用される。いくつかの実施形態では、拡開要素28は、細長い本体26の可撓性部分(例えば、比較的可撓性の材料で作られた部分、及び/又は、比較的薄い厚さを有する部分)を含み、可撓性部分が曲がることにより、異なる器具が互いから分離することを可能にする。他の実施形態では、拡開要素28は、可変の可撓性を有する細長い本体26の部分を含む。例えば、拡開要素28に近い細長い本体26の部分は、その領域の可撓性を変化させるために、空気(又は他の流体)で選択的に充填されたバルーン又は空洞を含む。バルーン又は空洞が充填されているとき、例えば、バルーン又は空洞が内腔22と内腔24の間にあれば、バルーン又は空洞が膨脹して、内腔22、24を互いから遠ざけるように押す。バルーン又は空洞は、シース100の中を通る内腔を介して、シース100の近位端部に配置された流体供給源に接続されるのがよい。他の実施形態では、拡開要素28は、細長い本体26の部分を含み、かかる部分の可撓性が熱的、電気的又は他の方法によって選択的に変更される。拡開要素28は、拡開を促進させる形状又は幾何学形状を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、拡開要素28は、内腔に隣接し且つ内腔内の器具を特定の方向に案内する1つ又は2つ以上の傾斜部を有する。いくつかの実施形態では、拡開要素28は、泡形状、球形、又は半球形に形成された特徴部であり、かかる特徴部により、器具が拡開要素28(特徴部)に斜めに当たって別の器具に対して拡開されることを可能にする。1つの拡開要素28のみが
図1B及び
図1Cに示されているけれども、シース100は、いくつかの拡開要素28を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、異なる拡開要素28が、異なる内腔に結合されてもよいし、シース100の異なる箇所に配置されてもよい。拡開要素28は、器具の遠位端部が互いから拡開することを可能にし、医療処置を更に支援する。
【0022】
突出ネック領域16が、
図1A、
図1B、及び
図1Cに示すシース10、100に示されているけれども、いくつかの実施形態では、
図1Dのシース200に示すように、ネック領域16を省略してもよい。かかる実施形態では、第1の内腔20は、遠位面12aのところで終端し、観察レンズ18は、遠位面12aに設けられる。シールされた1つの内腔(第1の内腔20)と開口した2つの内腔(第2の内腔22及び第3の内腔24c)が
図1A〜
図1Dに示されているけれども、これは例示に過ぎない。一般的に、任意の数のシールされた内腔及び開口した内腔が、シース200に設けられる。更に、これらの内腔は、円形で示されているけれども、一般的に、これらの内腔は、任意の断面形状を有する。断面形状は、長さ方向に沿って固定されてもよいし、細長い本体26の長さ方向に沿って変化してもよい。長さ方向に沿う断面形状の変化は、段階的であってもよいし、連続的であってもよい。いくつかの実施形態では、いくつかの内腔又は全ての内腔は、使用を容易にするために、ポリマー層(又は別の層)又はコーティング(例えば、MDXコーティング、PTFE押出物)のライナーが設けられる。更に、第1の内腔20、第2の内腔22、及び第3の内腔24は、シース200内に任意のパターンで配列される。いくつかの実施形態では、第1の内腔20、第2の内腔22、及び第3の内腔24は、
図1Aのシース10に示すように、垂直軸線に沿って配列されてもよいし、
図1B、
図1C、及び
図1Dのシース100、200に示すように、例えば、三角形の頂点に位置決めされる別のパターンで配列されてもよい。ここで開示するシースの中を延びる内腔は、制限なしに任意のパターンで配列されることに注意すべきである。内腔は、任意のサイズを有する。いくつかの実施形態では、内腔は、その中を通り且つ最も一般的に使用されるツールにぴったり適合する寸法を有する。いくつかの実施形態では、内腔の1つ又はそれよりも多くは、所望のツールのための寸法を有する。
【0023】
図1Aでは、第1の内腔20、第2の内腔22、及び第3の内腔24の近位端部は、(それぞれ、開口20b、22b、24bのところで)近位面14aで終端するように示されているけれども、これは例示に過ぎない。いくつかの実施形態では、
図1Eのシース300に示すように、これらの内腔のうちの1つ又はそれよりも多くは、近位面14aを越えて突出する突出部分(例えば、20c、22c、24c)を含む。突出部分は、可撓性であってもよいし、剛性であってもよいし、これらの組合せであってもよく、これらの突出部分のいくらか又は全部は、シール(例えば、突出部分22c、24cの上のシール22d、24d)又は他の固定具を含む。いくつかの実施形態では、内腔のこれらの突出部分は、医療処置を支援する他の機器と噛合うのがよい。例えば、例示の医療処置では、第2の内腔22は、身体内の作業部位への流体流れを容易にするように構成された潅注内腔であり、第3の内腔24は、作業部位の吸引を行うように構成された吸引内腔である。かかる実施形態では、第2の内腔22の突出部分22cは、流体タンク(又は別の流体供給源)に取付けられ、第3の内腔24の突出部分24cは、吸引/潅注ポンプ(又は吸引を行う別のデバイス)に取付けられる。シール22d、24dは、流体源/吸引ポンプとそれに対応する内腔との間の流体密な連結を行うことを支援する。いくつかのかかる実施形態では、第2の内腔22及び第3の内腔24の遠位端部はまた、その機能を支援するデバイスを含むのがよい。例えば、ノズル(又は流量を変化させるように構成された他の同様のデバイス)が、第2の内腔22の遠位端部12に取付けられ、望ましい位置における流体を制御するのを支援する。流体は、第2の内腔22を通して作業部位に差し向けられ、流体(及び/又は生体物質)を作業部位から除去するための吸引は、第3の内腔24を通して行われる。このように、組織サンプルは、第3の内腔24を通して身体から抽出される。他の実施形態では(例えば、
図1Fのシース400では)、シース400の近位端部14と遠位端部12の間に位置決めされたポート20eが、第1の内腔20aへのアクセスを提供する。いくつかの実施形態では、
図1Fに示すように、ポート20は、細長い本体26の面から一定の角度で延びるのがよい。
【0024】
当業技術で既知の任意のタイプの医療器具が、第2の内腔22及び第3の内腔24の中を通して配置される。これらの医療器具は、望ましい医療処置を補助する特定のタスクを行うように構成されるのがよい。医療器具は、限定するわけではないが、捕捉器具、鉗子、針、フック、解剖のための器具等を含む。いくつかの例では、タスクを行うように構成されたエンドエフェクタが、第2の内腔22及び第3の内腔24を介して身体の中に延びる細長い部材に結合される。細長い部材は、エンドエフェクタを近位端部14の作動デバイスに作動可能に結合し、エンドエフェクタを作動させることができる。第2の内腔22及び第3の内腔24の遠位端部は開口しているので、これらの内腔を通して身体の中に差し向けられた医療器具は、身体組織に直接接触する。従って、開示されたシースを使用するいくつかの例示の医療処置では、これらの医療器具を、滅菌して再利用してもよいし、使用後にシースと一緒に処分してもよい。
【0025】
シースのいくつかの実施形態では、第2の内腔22及び第3の内腔24を通して差し向けられた医療器具は、部分的に使い捨てであるに過ぎず、医療器具の残りの部分は、再使用可能である。これらの実施形態では、身体組織に接触する医療器具の一部分は、シース内に位置決めされ且つ身体組織から隔離された医療器具の再使用可能な部分34と係合している。
図2Aは、シース500の1つの例示の実施形態を示し、シース500は、その遠位端部12に予め取付けられた使い捨て部分32を有する。使い捨て部分32は、その遠位端部のエンドエフェクタ38を含んであり、シース500の第2の内腔22の中を延びる再使用可能な部分34と噛合うのがよい。使い捨て部分32及び再使用可能な部分34は、一緒になって器具30を形成する。再使用可能な部分34は、シース500内のインタフェース36のところで使い捨て部分32と接合している。インタフェース36は、互いに結合された再使用可能な部分34と使い捨て部分32の間の相対移動及び/又は信号を伝達するように構成された特徴部を含み、特徴部により、使い捨て部分32の遠位端部のところのエンドエフェクタ38を、再使用可能な部分34の近位端部のところの作動デバイスによって制御することを可能にする。インタフェース36はまた、生体組織がシース500内の再使用可能な部分34に接触することを阻止するように構成される。いくつかの実施形態では、インタフェース36はまた、生体流体が器具30の再使用可能な部分34を収容する第2の内腔22のシール部分に入ることを阻止し又は最小にするように構成される。いくつかの実施形態では、器具の使い捨て部分32は、シース500の壁を刺して貫く。
【0026】
使い捨て部分32と再使用可能な部分34とを互いに結合させ且つ再使用可能な部分34を生体組織から隔絶させることを可能にする任意のタイプのインタフェースが、インタフェース36として使用される。インタフェース36は、使い捨て部分32及び再使用可能な部分34のうちの一方の一体部分(例えば、
図2Aに示すような使い捨て部分32の一体部分)であってもよいし、シース500の部品であってもよい。
図2Bは、シースの部品である例示のインタフェース136を示す。かかる実施形態では、器具30の使い捨て部分32及び再使用可能な部分34は、インタフェース136に別々に結合される。使い捨て部分32及び再使用可能な部分34を有する器具30を使用する実施形態では、シース500は、使用後に使い捨て部分32と一緒に廃棄され、再使用可能な部分34は、再利用される。一般的に、器具の任意の部分が再使用可能な部分34になることができる。例えば、いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ38の一部分だけが使い捨てであり、器具30の残りの部分が、再利用可能である。他の実施形態では、作動デバイスの一部分だけが再利用可能であり、器具30の残りの部分が、使い捨てである。
【0027】
使い捨て部分32及び再使用可能な部分34を含む器具30を使用するいくつかの例示の医療処置では、シース500を身体の中に挿入する前の最初に、使い捨て部分32及び再使用可能な部分34を互いに結合させる。他の実施形態では、シース500を身体の中に挿入する前、使い捨て部分32及び再使用可能な部分34のうちの一方だけ(例えば、使い捨て部分32)が、シース500に結合される。シース500を身体の中に挿入した後、残りの部分(例えば、再使用可能な部分34)が結合される。
【0028】
図3Aは、開示されたシース(例えば、
図1Aのシース10)のシールされた第1の内腔20を通して身体内に差し向けられた再使用可能な器具50を示している。任意の器具(例えば、ライトワンド、撮像デバイス、内視鏡等)が、再使用可能な器具50として機能する。再使用可能な器具50は、ハンドル52から延びる可撓性の細長い部分56を含むのがよい。ハンドル52は、再使用可能な器具50の異なる特徴部を作動させる制御器58、62を含むのがよい。細長い部分56は、1つ又は2つ以上の曲げ可能な部分を含み、曲げ可能な部分は、例えば、細長い部分56の長さ方向に沿って位置決めされた第1の曲げ可能な部分66及び第2の曲げ可能な部分68である。いくつかの実施形態では、第1の曲げ可能な部分66及び第2の曲げ可能な部分68は、制御器58、62の作動に応答して曲げられ又は反らされるように構成されるのがよい。いくつかの実施形態では、制御器58、62のうちの一方(例えば、制御器58)は、第1の曲げ可能な部分66を作動させ、他方の制御器(例えば、制御器62)は、第2の曲げ可能な部分68を作動させるのがよい。再使用可能な器具の他の実施形態は、異なる仕方で制御されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、制御器58aは、第1の曲げ可能な部分66を水平方向軸線に沿って(すなわち、右方又は左方に)反らせるように作動され、制御器58bは、第2の曲げ可能な部分68を水平方向軸線に沿って反らせるように作動される。同様に、制御器62a、62bはそれぞれ、第1の曲げ可能な部分66及び第2の曲げ可能な部分68を鉛直方向軸線に沿って(上方又は下方に)作動させるのがよい。これらの制御器は、曲げ可能な部分を任意の仕方で作動させる。いくつかの実施形態では、これらの制御器は、機械的、熱的、又は電気的に曲げ可能な部分を作動させ、望ましい方向に反らせるのがよい。例えば、形状記憶材料又は電気活性材料の使用は、シースを望ましい方向に反らせることを支援する。他の実施形態では、曲げ可能な部分は、細長い部分56を望ましい方向に反らせるのを支援する特徴部(例えば、流体空洞)又は装置(例えば、アクチュエータ)を含んでいるのがよい。ケーブル64(又は導管)は、曲げ可能な部分を反らせるのを支援する信号(及び/又は流体)を再使用可能な器具50に差し向ける。いくつかの実施形態では、ケーブル64は、機械的、熱的、又は電気的に作動される。
【0029】
細長い部分56の最遠位端部は、光を受ける及び/又は透過させる光学要素70を含むのがよい。光を放出する及び/又は受けた光を使用して作動する任意の装置(光源、撮像装置等)は、光学要素70として機能する。例えば、光学要素70は、カメラ、撮像センサ(例えば、相補的金属酸化物半導体又はCOMSセンサ)、又は別の受像装置(例えば、光ファイバ撮像装置)を含む。光学要素70は、画像信号を、身体の外側に位置決めされ且つ装置のユーザが見ることができるモニタ又は他の表示デバイスに伝達するのがよい。画像信号は、スチール写真、及び/又は、身体内の作業部位の時間変動画像を表示するトランジエント画像に対応する。いくつかの実施形態では、光学要素70は、画像信号を無線で伝達し、他の実施形態では、再使用可能な器具50に埋込まれたワイヤ又はケーブルを使用して、画像信号を伝達する。いくつかの実施形態では、制御信号も、身体の外側から光学要素70に、無線で又は再使用可能な器具50に埋込まれたケーブルを通して伝達されることが考えられる。それに加えて又はその代わりに、光学要素70は、作業部位を照明するように構成された照明装置を含むのがよい。照明装置は、特に、バルブ、LED、光ファイバケーブル、及び光導体を含む。いくつかの実施形態では、第2の曲げ可能な部分68は、光学要素70の近くに位置決めされ、第1の曲げ可能な部分66は、第2の曲げ可能な部分68の近位側に位置決めされる。
【0030】
図3Bは、シース600の実施形態を示し、再使用可能な器具50が、第1の内腔20の中を延び、2つの使い捨て器具30a、30bがそれぞれ、第2の内腔22及び第3の内腔24の中を延びている。再使用可能な器具50は、光学要素70を観察レンズ18の近くに位置決めするために、第1の内腔20の中に延ばされている。再使用可能な器具50がこのように位置決めされているとき、いくつかの実施形態では、再使用可能な器具50の第2の曲げ可能な部分68は、シース600のネック領域16に位置決めされる。この構成では、第2の曲げ可能な部分68を作動させて、再使用可能な器具50のネック領域16を反らせることは、観察レンズ18及び光学要素70を、作業部位を見る及び/又は照明するのに適した任意の仕方で(例えば、作業部位の鳥瞰図を得るのに適した向きで)位置決めするのに使用される。第2の曲げ可能な部分68を作動させることは、シース600、及び、第2の内腔22及び第3の内腔24の中を作業部位まで延びる器具30a、30bを案内し又は操縦するのにも使用される。第1の曲げ可能な部分66を作動させることはまた、シース600の遠位端部12を身体内で望ましい仕方で案内し且つ位置決めするのに使用される。第1の曲げ可能な部分66及び第2の曲げ可能な部分68は、一緒に使用されるとき、シース600及びシース600の中の器具を身体内で望ましい仕方で位置決めするのにも使用される。例えば、第1の曲げ可能な部分66を作動させることにより、シース600の遠位端部12を持ち上げて患者の生体構造から離し、第2の曲げ可能な部分68を作動させることにより、器具を、作業部位を可視化する及び/又は照明するのに最も適した仕方で操縦して望ましい位置に差し向け、且つ、光学システムを位置決めする。かくして、ここで開示するシースは、光学内腔を標準の可撓性使い捨て器具に取付けるのに使用される。シースは、シース内で操縦可能器具(例えば、内視鏡)を使用することによって、操縦機能を標準非関節器具に付与するのにも使用される。
【0031】
シース10(
図1A参照)を、器具(再使用可能な器具50又は使い捨て器具30)に任意の仕方で固定するのがよい。いくつかの実施形態では、器具をシース10の内腔の中に滑らせ(又は押入れ)、他の実施形態では、シース10を器具の上に滑らせる。シース10を、器具の上に(コンドームと同様に)転がしてもよいし、巻いてもよいし、ジップ式にロックしてもよいし、(例えば、Velcro(登録商標)式の取付け機構を使用することによって)フックとループで係合させてもよいし、接着させてもよいし、器具の上で拡張させてもよい。シース10を器具の上で拡張させることは、器具を内腔に挿入してから内腔を収縮させるために、シース10を可逆的に膨張させること(例えば、内腔の寸法を増大又は縮小させるために、温度変化又は化学変化を使用することによって空気又は別の流体を膨張させてこと)を含む。
【0032】
シースは、任意の仕方で且つ任意の順序で制限なしに器具に取付けられる。例えば、いくつかの例示の医療処置では、最初、全ての器具(再使用可能な器具50及び使い捨て器具30a、30b等)をシース10に挿入した後(又は上述した仕方のうちの1つを使用することによってシースに取付けた後)、シース10を(挿入した器具と一緒に)患者の身体に挿入する。他の実施形態では、いくつかの器具だけをシース10に挿入した後、シース10を身体に挿入する。シース10を身体内に配置した後、他の器具をシース10に挿入する。例えば、最初、再使用可能な器具50をシース10に挿入した後、シース10を患者の身体に挿入する。シース10を身体内に配置した後、使い捨て器具30a、30b等を、シース10の第2の内腔22及び第3の内腔24に挿入する。いくつかの例示の医療処置では、最初、1つ又は2つ以上の器具を身体に挿入した後、シースをこれらの器具の上に滑らせることも考えられる。次いで、他の器具を、シースの内腔に挿入する。いくつかの実施形態では、最初、シース10を身体に挿入した後、器具をそのそれぞれの内腔に挿入することも考えられる。
【0033】
図4は、ここで開示するシースを使用する例示の方法を示すフローチャートである。
図4に示すように、再使用可能な器具50を、閉鎖した内腔20の中に挿入し、1つ又は2つ以上の使い捨て医療器具(30a、30b等)を、シース10の1つ又は2つ以上の開放した内腔22、24の中に挿入する(ステップ710)。これらの器具をシースの中に挿入するように説明しているけれども、上述したように、これらの器具を任意の仕方でシース10に取付けてもよい。次いで、シース10を、その中の器具と一緒に、患者の身体の中に挿入する(ステップ720)。シース10を、自然解剖学的開口を通して身体の中に挿入してもよいし、患者の身体の切開部を通して身体の中に挿入してもよい。シース10を、身体内の作業部位まで身体の中に押入れる(ステップ730)。再使用可能な器具50の関節機構(例えば、第1の曲げ可能な部分66及び/又は第2の曲げ可能な部分68)を作動させ、シース10を身体の中で操縦し且つ案内して、シース10の遠位端部12、観察レンズ18、及びエンドエフェクタ38a、38bを作業部位のところに望ましい構成で位置決めする(ステップ740)。いくつかの実施形態では、作業部位の鳥瞰図を得るために、観察レンズ18を作業部位の上に位置決めするように第1の内腔20のネック領域16を操作する。上述した説明では、器具をシース10の中に挿入した後にシース10を身体の中に挿入するように述べたけれども、このことは、前に述べたように例示に過ぎず、他の実施形態では、シース10(その中に挿入された単独又はいくつかの器具と共に)を身体に挿入した後で器具をシース10に挿入してもよい。
【0034】
本明細書で説明した実施形態は例示に過ぎず、様々な修正及び変形を、本発明の範囲から逸脱することなしに、開示したシステム及びプロセスに行ってもよいことを当業者は認識すべきである。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示する本発明の仕様及び実施を考慮すると当業者には明らかであろう。仕様及び実施例は、例示に過ぎず、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に示されていることが意図される。