【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の一態様によれば、シート状成形材料を構成する層を形成すること、基層を形成すること、シート状材料の層を基層表面へ積層すること、基層にシート状材料を圧縮加工することからなる、複合製品の成形方法が提供される。基層の配置は、圧縮加工領域からガスおよび/または蒸気を排出することができるようにされる。
好ましくは、圧力をかける領域は、基層の表面とシート状材料とが共に圧縮加工される領域であり、さらに好ましくは、基層と、シート状材料が接触する領域である。
【0012】
その領域において、なおも残っている、または作り出されたガスや蒸気を排除することによって、複合製品の成形に必要な圧力が著しく減少することは数例確認されている。
好ましくは基層の表面の性質は、圧縮加工領域からガスや蒸気を逃がすように構成されている。例えば、シート状材料の表面の少なくとも一部の領域は、好ましくは小穴があいており、関連エリアからガスや蒸気が逃げることができるようにしている。
【0013】
好ましくは、圧力をかける領域において、シート状材料が基層に押しつけられる圧縮加工方向に概ね横断する方向成分を少なくとも含む方向に、ガスや蒸気が逃げることができるように構成しておく。
他の形態(二者択一かまたは追加の形態)は、ガスを逃がすのを助けるためのものである。例えば、溝や導管が基層に形成されうる。
【0014】
ガスを逃がすようにするための基層の形状は、基層自体の組成の性質から生じるもの及び/または、基層に対して機械的にまたは化学的な処理等の次に施す処理に応じた固有のものになる。
好ましくは、基層の形状は、圧力をかける領域の圧力を抜くことができるような形状とする。
【0015】
好ましくは、基層は多孔構造をもつ材料を含む。基層の多孔構造は、配列におけるガスの必要な排出を可能とする。好例として、基層は実質的に連続気泡構造を含む材料により構成する。この場合、圧力をかける領域から離れた領域でガスの良好な動きが確認される。基層は発泡体の材料からなる。
さらなる発明の形態においては、シート状成形材料からなる層を形成することと、実質的に連続気泡構造を含む発泡体の材料からなる基層を形成することと、基層表面にシート状成形材料の層を積層させることと、基層に対して、シート状材料に貼り付けるように圧力を加えることとからなる、複合製品の成形方法が提供される。
【0016】
好ましくは、この製品はラミネート製品である。本発明によるラミネート製品は、例えば、コアとその一つの表面に接合したスキンからなるか、あるいは2枚のスキンの間にコアが挟まれた構造である。その他の構成でも可能である。
そして、基層は最終形成物の一部を形成してもよいし、スキンを成形した後に、基層を例えば機械的に除去してもよい。好ましくは、基層は複合製品である最終形成物の一部である。
【0017】
本発明の具体例においては、シート状材料は直接基層に接合される。または他の例では、2つの要素の粘着性、接着性を高める用途等の1又は複数の層が、基層とシート状材料の間に挿入されていてもよい。例えば、接着剤が挿入される。
好ましくは、この方法はシート状材料の層を金型に嵌める行程を含む。さらには、基層を金型に当て嵌められたシート状材料にプレスするステップを含む。
【0018】
シートの形状にマトリクス材を供給することで、液状の樹脂の使用を回避することができる。このことは、製品の生産において、かなりの時間短縮につながる。また、マトリクス材の扱いが容易であり、金型にマトリクス材やプレポリマーを使用するのに必要なマンパワー、装置を削減可能という利益もある。
【0019】
この方法は、金型の表面に直接、積層する工程を含む。
他の例として、1又は2以上の層がシート状材料と工具の表面の間に設けられていてもよい。例えば、成形を助けたり、金型から製品を取り外すために工具の表面に部材を設けてもよい。成形の後に製品にコーティングを施すために、コーティング用の化合物を積層してもよい。この化合物は色彩が施されてもよい。この化合物を粉状のものとして、静電的な方法を使うことも可能である。
【0020】
好ましくは、さらに、シート状材料と金型の表面の間にベールを施す工程を含んでもよい。
好ましくは、そのベールは、成形前に、シート状材料と金型の表面の間に施されたシート状の部材から構成される。ベールを施すことにより、ベールなしで調整した場合と比較して、成形した製品の表面仕上げが改善され、又は変化する。
【0021】
たとえば、シート状の成形コンパウンドが補強用の部材から構成される場合、好ましくは、そのベールは結果物である成形した製品の表面において補強用の部材の量を抑制または削減するように機能する。例えば、成形コンパウンドが短いガラスファイバを含むSMCで構成されている場合、状況によっては、成形すると同時にガラスファイバが、成形された製品の表面から突きだし、表面の仕上げを悪くする。ベールを用いることで、成形された部材の一定の要素の保護壁を形成し、例えば表面仕上げが改良される場合がある。
【0022】
例として、ベールを使って、金型の面にマトリクス材料の動きを抑制するという効果が考えられる。金型の表面の面内の動きを抑制することは本発明の好ましい特徴である。いくつかの構成の中で、このことは成形された製品の仕上げをよりよいものにすると考えられる。
好ましくは、ベールは実質上、成形の間、成形材料の成分が通り抜けるものである。
【0023】
このように、成形材料の樹脂成分等の成分は、成形の間、ベールを通り抜ける。そうすることで、成形製品の表面が樹脂で仕上がった状態となる。
それゆえに、成形コンパウンドのある成分(特に樹脂)は十分に透過できるように、そして一方で、ガラスファイバや他の補強材などの他の成分には防護壁として機能するように、ベールの材料は適宜選択される。
【0024】
いくつかの配置では、ベールを金型の表面にそのまま隣接して配置することができ、樹脂成分が十分に浸透し、満足のいく表面仕上げを形成することができる。しかし、表面の仕上がりをさらによくするために、ベールと金型の表面の間にさらに層を挿入することが検討される。例えば、樹脂材の層が金型の表面に設けられうる。これは、適切な方法により行われる。
【0025】
択一的に、あるいは追加して、ベール層が、表面の仕上がりを改善するための樹脂材といった追加成分を含有してもよい。
ベールは不織布材で構成されてもよい。特に、ベールが金型に直接張り付けられる箇所においては、成形された製品の表面において表面構造が認識されるような特別な織り方や仕上げとならないようにすることがベール材に要求される。しかし、他の配置では、表面におけるそのような表面構造やパターンは有利な特徴となりうる。
【0026】
そのような構造が要求されない箇所には、好ましくは、ベールは不織布材で構成される。例えば、好ましくはベールは編物、織物等の表面としては構成されないが、特に、表面の処理により、ベールの材料の表面構造を目立たなくさせる場合等、そのような材料が使用できる場合もある。いくつかの配置ではベールはフリースやブラッシングした表面として構成してもよい。しかし、多くの場合、ベール材の少なくとも一方の表面は実質上表面構造、パターンがないことが望ましい。
【0027】
ベールはフェルト布で構成してもよい。例えば、ベールはポリエステル材で構成してもよい。例えば、ウール、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET等の他の材料を用いることもできる。ベールは、フリース材で構成してもよいし、気泡材で構成してもよい。前述の通り、好ましくは、適合材料は使用される樹脂に浸透し、適切な表面構造を有している。
【0028】
ベールの一例はポリエステル材からなり、重さは約120〜150g/m
2である。
本発明の広範な態様は、樹脂やフィラー成分からなるシート成形材料を使う成形方法に関するものであり、その方法はシート成形材料と成形物の表面の間にベールを挿入することを含む。上述したように、好ましくはベールは、吸収等により樹脂剤が透過している間、フィラー成分への障害壁としての機能を有する。
【0029】
シート状材料を、連続気泡構造からなる基層に使用することにより、本発明のこの形態のようにいくつか有利なことが達成される。
特に、連続気泡の発泡体の基層を用いることで、金型内の空気や成形プロセスの間に作り出されるガスが発泡体の連続気泡構造の中を出入りすることができる。そのことにより、空気やガスがスキンのひびやその他の変形箇所に流れるというリスクを減らすことができる。
【0030】
さらに、成形工程において、シート状材料を基層に接着させることにより、ラミネート製品の製造効率が上がる。というのも例えば、スキンをコア層にくっつけるさらなる工程を避けることができるからである。
例として、シート状材料の成形が、基層の表面に成形材料の所望の流れがあるように調整される。例として、このことは、他の応用例に相当する構成と比較して、構成物内に超過分のプレポリマーが含まれることにより達成される。
【0031】
そして、成形されたスキンの厚さは、成形の作用によりシート状材料を予め決められた厚さに圧縮することにより自己制御されてもよい。そして、超過分の樹脂は基層に流れ込む。また、シート状材料の定式化の精度はあまり要求されない。なぜならば、複合物内の超過分の樹脂は成形工程で基層の中へ除かれるからである。
【0032】
より好ましい例として、シート状材料は成形工程で、基層材料の気泡や他の部分に入り、基層と成形されたスキンの間の機械的接着が行われる。このことは基層コアからスキンが剥げるというリスクを低減でき、加熱/冷却サイクルにおいても安定した製品を提供でき、また、接着剤や部品の組み立てを必要としないモノリシックな複合構造を提供することができる。
【0033】
より好ましい例として、シート状材料は基層の上にスキンを成形している。これは、スキンと基層の間の接着をよくする為に基層に機械的に合わせたものである。ある場合では、スキンと基層の界面での接着が実際には基層自身の材料よりも強いことがわかっている。この方法によって作られたラミネート製品は基層内での欠陥はあり得るが、界面での欠陥はない。
【0034】
好ましくは、この方法は基層とシート状材料に熱や圧力を加える工程も含まれる。好ましくは、シート状材料は、基層の上で直接硬化させる。この重要な特徴は独立して行われてもよい。本発明の広範な態様によれば、硬化可能なシート状の材料を直接、基層の表面上で硬化させて、界面領域からガスや蒸気を排除するように基層を構成し、好ましくは、基層を連続気泡の発泡体とする。
【0035】
好ましくは、シート状材料は熱硬化性の材料で構成され、製造方法には、その材料を硬化させる工程が含まれる。
好ましくは、その方法は圧縮成形の方法で構成される。
好ましくは、圧力、温度、サイクル時間は、シート状材料が金型に収まるように選択する。
好ましくは、金型はスキンの所望の形になるように造形される。
【0036】
輪郭の描かれた複合製品の表面が得られる。例えば、加圧工程の間、部材が金型に対して押さえつけられるため、製品の表面はくぼみが成形される。このようにして成形された複合製品が成形される。
本発明にかかる方法は、フラットパネルのような表面に成形を行わない製品の成形にも使用できると考えられる。この場合、基層は任意の適切な材料から構成される。好ましくは基層は、堅い材料で構成される。そうすることにより、圧縮行程がもっともうまく実施でき、また、基層が製品の機械的な要求特性を充足させることができる。
【0037】
輪郭をもつ表面が要求される場合の例として、所望の輪郭や成形物は基層の表面に成形されうる。例えば、所望の形は基層上で、ポリウレタンフォームからなる基層ブロック等を機械的に成形する。
金型の形は基層の輪郭に合わせる。そうすることで、部材が金型の表面に押しつけられたとき、結果物であるパネルは、成形された基層に所望の輪郭が接着されたスキンを有することとなる。
【0038】
しかし、好ましくは基層は押し潰し可能な材料からなる。そうすることで、圧縮工程において、基層の表面が成形されるからである。
基層は、もろい材料で構成されていてもよい。結果として得られる製品の通常の使い方においては、そのような材料は堅く、押し潰し不可能であってもよい。しかし圧縮工程の間は基層の材料は、基層を成形するために押し潰すことができる。金型の表面が使用される場合、基層の材料は押し潰され、金型に面する基層の表面は金型の表面の輪郭に合った形となる。
【0039】
この特徴は、特に有利であり、独立して適用しうる。結果として、本発明は、シート状成形材料からなる層を設ける工程と、押し潰し可能な材料を含む基層を設ける工程と、基層の表面にシート状材料の層を積層させる工程と、シート状材料を基層に押しつける工程からなり、基層の少なくとも一部が圧縮行程で押し潰されるという、複合製品の成形方法に係る。
好ましくは、基層の少なくとも一部は圧縮工程の間に成形される。
【0040】
好ましくは、この方法は、金型の表面を用意し、金型に対し、まずポリマーのシートを積層し、それから押し潰し可能な基層を積層し(追加的に、他の層や成分を用意する)、基層に金型の表面の形状と同じ型に基層を成形する手順を含む。
好ましくは、基層は非弾力的に押し潰し可能な材料を含む。好ましくは圧縮時の基層材料の変形により実質的に成形し、実質的に不変で回復不可能である。このように一旦、基層が押し潰されると押し潰された形が残ることとなる。
【0041】
この方法は特にある例において有利である。特にスキンを設ける前に基層の表面に所望の輪郭を機械的に形成する要件が不要となる。
成形する製品を作成する方法において、基層の単純なブロックを使用することができる。
成形により製品の表面の輪郭が形成されてもよい。及び/又はその製品そのものの形が形成されてもよい。この方法により、成形製品が成形されることがわかる。
【0042】
例示すると、基層はプラスチック材から構成されるが、他の任意の適切な材料を使うことができる。
本発明は、基層が、圧力をかけた状態でさらに堅くなる材料からなる場合に適用できることがわかるが、好ましくは、基層は圧力をかけたときに制御的に押し潰すことが可能な材料からなる。そうすることで、基層の表面は、金型の一部の輪郭の形となる。
【0043】
このように、成形されたラミネート製品は、シート成形材料と基層材料のブロックから、単一の工程で効率的に製造することができる。
好ましい例として、2つの相対する金型の表面の形に従って基層を成形するといった一つの圧縮工程で基層に2つのスキンを施してもよい。2つの金型の表面は異なる形状でもよいし、同一の形状でもよい。
例として、コアの一部又は全部が実質的に厚さ0となるように押し潰されてもよい。
【0044】
本発明の例として、基層材料は好ましくは堅い発泡体からなる。発泡体の材料は例えば、レゾール型フェノール、酸硬化材、及び細かく分けられた固体粒子の混合物を、気泡が形成された状態において硬化させることで得られる発泡体材料であり、該状態は、レゾールの中に存在する小分子の主にあるいは単に揮発によって引き起こされる、または硬化反応の副産物として成形されるものである。一例として、そのような発泡体の成形は、欧州特許第0010353号明細書に詳細が記載されており、このような気泡からなる発泡体はUKのAcell Holding LimitedからACELLフォームとして入手可能である。
【0045】
好ましくは、基層材料の密度は、100〜500kg/m
3の範囲内であり、さらに好ましくは、120〜400kg/m
3、最も好ましくは120〜250m
3の範囲内である。発泡体の材料の性質、密度に応じたレベルの適切な圧力を加えることにより、とても細かく複雑な金型の表面の詳細を複製することができるが、この圧力レベルは単純な実験により容易に決定することができることがわかっている。
【0046】
このような基層は実質的に連続気泡構造を有している。このため、シート状材料は材料の気泡や気孔に押されて入るため、その中のガスや蒸気は直ちに排出される。
任意の適切な材料が使用されている限り、発泡体等の実質的に堅い構造を持つ材料とともに用いる場合に特に、本発明の態様は適切である。例えば望ましくは発泡体は、重量をかけたときのゆがみを防止し、適度の圧力をかけたとき崩壊しないようにセルフサポートする発泡体が望ましい。このような発泡体の物理的性質については、特に圧縮する力や重量をかけたときのゆがみは、(他の要素はもとより)気泡の壁の厚さに関係すると考えられている。ある例によると、適切な基層の材料に対する気泡の大きさは、0.5mm〜5mmの範囲内、より好ましくは0.5又は1mmから2、3mmの範囲内であることがわかっている。
【0047】
基層は細かく分けられたフィラー材料等のフィラー材料を含んでいることが望ましい。細かく分けられたフィラーで補強された気泡のあるフェノール樹脂が、いくつかの構成で、特に好ましい。それから成形されたラミネート製品は、物理的な特性と耐火性の組み合わせが優れているからである。
【0048】
好ましくは、発泡体の基層の中の少なくともいくつかの気泡や孔は、シート状材料の層が積層されている面の表面に通じている。そして好ましくは、該気泡や孔は、表面の下に、開口部よりも広く開き、それによって基層への層の材料の嵌合を強めることのできる刻み目が形成される。
【0049】
例として、基層の上に設けられるシート状材料の層の厚さは、少なくとも1mmであるが、1mm以下の厚さも可能である。要求があれば、材料層の厚さはセッティングの前後に減らしてもよい。
例として、シート状成形材料のさらなる層は、基層の反対側の表面に設けられる。この場合、2つのシート状材料の2つの層の間に基層が圧力で挟まれている。
【0050】
このように、2つの側面にスキンを有するラミネート製品が、成形されうる。例えば、製品がドアからなる場合、1ステップでドアの両サイドが成形される。
好ましくは、シート状材料は熱硬化性樹脂を含む。その材料がシート状で扱われるようにするための成分など、その材料はさらなる成分を含んでいてもよい。
【0051】
本発明の形態に係るシート状材料は、適切なマトリクス組成物を含んでいてもよい。例えば、そのマトリクスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドやポリイミドや、その他適切な樹脂など、1又はそれ以上の熱硬化性ポリマーを含んでもよい。この材料は難燃剤として有用なメラミンを含んでもよい。マトリクス材料はさらに硬化材、反応促進剤、フィラー、顔料、及び/又は他の成分を必要に応じて含んでもよい。マトリクスは熱可塑性の材料を含んでもよい。
【0052】
シート状材料は補強ファイバなどの補強材を含んでもよい。シート状材料はガラスファイバを含んでもよい。
好ましくは、シート状成形材料はSMC(シート成形コンパウンド)からなる。
SMCは、マトリクスと補強材という2つの主な構成要素からなりうる。
マトリクスは好ましくは、ポリエステルを含む樹脂からなるが、ビニルエステル、エポキシ、フェノール、あるいはポリイミドを含んでもよい。好ましくは、マトリクスは熱硬化樹脂から構成されてもよい。
【0053】
マトリクスは、さらに、鉱物、不活性充填剤、顔料、スタビライザ、阻害剤、離型剤、触媒、増粘剤、水和添加物、及び/又は他の適切な材料等の添加物で構成されていてもよい。
補強材は、好ましくはガラスファイバで構成される。ファイバは、5cmかそれ以下の長さでカットされていてもよいし、連続していてもよい。他の補強材としても、カーボンファイバなども使用することができる。
【0054】
SMCを使用する利点がある。例えば、SMCは低密度ながら、熱可塑性樹脂などの他の材料と比較して、有利な機械的特性を有し、また、良好な熱的性質を示す。ビルへの適用等、いくつかの適用例において特に重要なことである耐火性が優れている。SMCはまた、建築材料として使用する場合の重要な要素としてノイズ低減性があり、また、良好な耐薬品性も有している。
【0055】
ファイバは短いファイバでもよいし、長いファイバでもよい。ファイバは束ねられていなくてもよく、例えば、1又は複数の方向に配列されていてもよい。ファイバはネットワークの一部を構成してもよく、例えば、適切な規則で互いに織られたか編まれた構成であってもよい。ファイバの調整はランダムでも規則的でもよく、ファブリック、マット、フェルト、織物、その他の構成でもよい。材料は、短いファイバを含んでいてもよい。ファイバは連続のフィラメントワインディングとしてもよい。1つまたは複数のファイバの層で構成してもよい。
【0056】
ファイバは1また複数の材料を含む。例えばファイバは1または複数のカーボンファイバ、ガラスファイバ、アラミドファイバ、ポリエチレンファイバを含んでもよい。ケブラー(RTM)ファイバを使用してもよい。このようなファイバを含んだ製品は、保護装置や建築物に用いることができる。例えば、本発明のいくつかの製品は、装甲や防弾の製品としての適用も考えられる。例えば、保護パネルは、ケブラー(RTM)ファイバの補強材を含んで成形されてもよい。
【0057】
シート状材料は含浸した繊維複合材料で構成されてもよい。
驚くことに、長いファイバを含むシート状材料が本発明に係る方法を使用でき、また、織物状のファイバを含むシート状材料も使用できることがわかった。理論によって拘束されることなく、相対的に長いファイバの補強材を含み、及び/またはファイバマットやその他のネットワークや構造を有する材料が使用できると考えられる。それは、金型の中で、金型の表面に沿って一方向に材料が移動することは相対的に少ないからである。
【0058】
シート状材料と一体としての要素として設けられる補強材の代わりに、又は追加して補強材は、例えば、シート状材料と基層の間等に、別個の層として設けられてもよい。
補強材が別個の層として設けられた場合、それは基層の全体にわたって配置されてもよいし、例えば一部に設けられてもよい。例えば、もし、ダメージや攻撃の影響をより受けやすい製品の特有の部分がある場合には、その領域に追加的に補強材を設けることもできる。例えば、製品がドアに使用される場合、追加の補強材は、装飾的な成形や他の特徴のために他より薄いドアの領域や、よりダメージの影響を受けやすいドアの領域に設けられる。
【0059】
このように、ファブリック状やマット状に配置された、例えば短いファイバや長いファイバのような一体としての補強材を有するシート状材料を含んで構成してもよい。それに加えて、あるいはそれに代わって、補強材は、シート状材料とは別個の1又は2以上の層として設けられてもよい。追加した補強材の層は、上記の材料のような短い及び/又は長いファイバを含んでもよい。
圧縮又は成形している間、好ましくは、樹脂等のマトリクス材料は、ファブリック状あるいは他の配置の構造の中に流れ込み、接着される。
【0060】
好ましくは、シート状材料の層は硬化性組成物から構成される。本発明のいくつかの例においては、シート状材料は、硬化以外でも固定可能なことがある。
好ましくは、シート状材料が成形されたり、金型の中に収まったりできるように、圧力や熱は適宜選択される。
好ましくは、シート状材料の粘度は、圧縮工程において減少する。
【0061】
好ましくは、シート状材料は、熱や圧力をかけることにより、粘性が減少するか、少なくとも部分的に液化したものである。このように金型内での材料の流れが確認できる。これは、厚さの均一化、及び/又は成形の欠陥の減少といった、材料の成形の改良につながりうる。好ましくは、圧縮ステップにおいて、材料は少なくとも部分的に基層の材料の気泡の中へ流れ込む。好ましくは、材料や基層は、成形工程において、材料が基層の中へ部分的にのみ流れ込むように構成する。そうすることにより、ラミネート製品の機械的、その他の要求仕様に対する適切なスキンの厚さを保持したまま、スキンと基層の間が良好に接着される。
【0062】
好ましくは、シート状材料は単一の厚さで設けられる。
好ましくは、材料、例えばSMCは折られていない形態で積層される。これは、製造の簡易化につながり、また、成形工程の圧力の要求値も減少させることができる。ここで単一の厚さの層が複数配置されている場合についてさらに言及すれば、好ましくは各層は端で重なり合わせて、スキンにおいて間隙が形成されるリスクを減少させる。
【0063】
好ましくは、シート状材料は実質的に成形表面全体に設けられる。
金型の表面の全領域に渡って実質的にSMCを延在させることにより、多くの利益がある。例えば、ある配置において、金型の中の材料の側方流動の要求値を減らすことにより、成形工程を完遂させるために要求される圧力を減らす事ができる。また、金型の表面に渡る材料の流動量を減らすことにより、金型の表面の擦過傷及び/または摩耗を低減させることができる。このように、金型として用いられる材料は、以下に詳細に述べる材料のより広範囲の候補から選択することができる。
【0064】
シート状材料は材料の単一の部分として金型に配置されてもよい。
好ましくは、シート状材料の複数のシートが、金型の表面に配置される。
いくつかの構成において、例えば、金型の表面が大きいため、あるいは、シート状材料の取り扱いがより簡易的になるように、数ピースのシート状材料が金型、及び/又は基層に配置されてもよい。好ましくは、あるシートの縁は、隣接シートの縁と重なり合っている。このようにして、基層の上のスキン内で間隙のリスクを低減できる。重なり合っている領域に追加する材料は、完成品の品質を下げないということがわかっている。というのも、その領域における余分な材料は、いくつかの例では、基層の中、及び/又は金型の側方向に流れるからである。
【0065】
このようにして、いくつかの例において、複雑な形状に成形された場合に特に、数ピースからなるシート状材料が用いられる。
この特徴は、シート状材料を潜在的に無駄にする量を減らすことができるため、さらなる利点がある。大きなピースから切り抜いたりして得た小さな材料(例えば、パネルが光沢のある部分を含む場合)のピースは処分する必要もなく、使用することができる。
【0066】
好ましくは、付与する圧力は、200トン未満、より好ましくは100トン未満であることが望ましい。
上述のように、従来のSMCの製造工程はSMC製品の成形時に閉じこめられた空気を抜くために巨大な圧力が必要であった。圧力をかける前に、SMCのスキンの後方の、発泡体の基層を置くことにより、工具の表面の摩耗を大幅に減らしつつ、空気を発泡体の気泡構造を通って逃がすことができる。また、必要とされる圧力もかなり低くなる。好ましくは、圧力は、500トン以下、より好ましくは200トン以下、さらに好ましくは100トン以下である。
【0067】
好ましくは、シート状材料は、アルミニウムやアルミニウム合金からなる金型の表面に用いる。
低い圧力下においては、アルミニウムの工具が使われる。これにより、ステンレススチールの金型と比較して、アルミニウムの金型が軽く、アルミニウムの金型の加熱、冷却時間が短い事に照らして考えるに、工具使用の低コスト化、柔軟な製造、工具交換のための稼働休止時間削減が可能となる。例えば、アルミニウムの工具の体積は、相当する鋼の工具の体積よりも著しく小さい。また、アルミニウムの低密度につながるこの事実は、アルミニウムの金型を使うとき、重さの点でかなり有利となる。
【0068】
ここで、アルミニウムにより作られた、あるいは、構成された構成要素について言及する場合、好ましくは、関連する構成要素には、アルミニウムや適当なアルミニウム合金や、他のアルミニウムを含有する材料が含まれる。
好ましくは、シート状材料は表面にパターンを持った金型の表面に用いられる。
【0069】
上述のように、金型の表面は、好ましくは、ラミネート製品のスキンに輪郭が描かれた表面が作られるように成形される。それに代わって、あるいは加えて、ラミネート製品のスキンの表面上の表面のパターンや質感を与えられるように、金型に表面のパターンが設けられてもよい。
【0070】
例えば、ラミネート製品のスキンの表面のパターンを木目調に似たパターンにするために、金型の表面には、木目調のパターンに関連するパターンが設けられる。スキンが別の仕上がりとなるように、他のパターンが設けられてもよい。
【0071】
本発明のさらに重要なことは、複合製品を成形する方法にある。この方法は、シート状成形材料からなる層を形成すること、基層を形成すること、シート状成形材料の層を基層表面上へ積層すること、圧力をかけることによってシート状材料を基層へ接着すること、からなる。ここで、基層は、基層表面の少なくとも一部に表面の凹凸構造を有し、基層へ材料を接着するために、シート状材料はその凹凸構造に嵌合させる。
【0072】
基層の表面は、複数のへこみ(hollows)を有してもよい。
基層への材料の当て嵌め、ひいては、基層への材料の接着性を高めるために、基層の凹凸表面がへこみからなる凹凸を有してもよい。
へこみ等の凹凸は、基層への材料の接着性を高められる任意の形状でよい。例えば、穴(ピット)、空洞、細孔を表面に有していてもよく、また、導管や溝を有していてもよい。凹凸のパターンは、規則的であっても、ランダムであっても任意の形状でよい。また、凹凸は基層の表面の全体に渡って延在してもよく、表面の1、又は数カ所にのみ施されていてもよい。
【0073】
好ましくは、凹凸は少なくとも何カ所かは表面の下に、表面における開口部よりも広く開いている。このように、嵌合を強化することができるアンダーカットが施される。
凹凸は基層自体の性質から作られてもよい。例えば、基層が発泡体から構成されている場合、凹凸は気泡によって作られてもよい。それに代えて、又は加えて、凹凸は、例えば機械的に又は化学的に基層の表面に成形されてもよい。例えば、穴(ピット)は、嵌合を改善するために基層の表面に機械的に成形することができる。
【0074】
好ましくは、シート状材料は、プリポリマー樹脂等のマトリクス材が、圧縮により基層の表面に広がるように構成される。このことは、スキンと基層の間の接着性を改善することができる。好ましくは、マトリクス材が表面の中へ広がった範囲は、基層の上のスキンの厚さの10%、20%、30%、あるいは50%程度である。例えば、シート状材料の樹脂の5%以上、あるいは10%以上、あるいは20%以上が基層の中へ流れ込んでもよい。
【0075】
シート状材料の成形は、ポリマー樹脂が基層の表面に流れ込むのに必要な量が用意されるようにするため、組成物の中に十分なマトリクス材が含まれるようになされる。これにより、シート状材料が、従来のシート状材料と比較して追加の樹脂を含むことが必要とされる。
本発明の広範な態様によれば、シート状硬化材料を形成すること、基層を形成すること、シート状材料を基層へ押しつけることといった工程の構成複合製品の成形方法が提供される。
【0076】
好ましくは、シート状材料は熱硬化性樹脂材を含む。
好ましくは、圧縮工程において、構成物からガスが排出されるように構成する。
好ましくは、基層の表面は、複数の穴や他の表面造形を含み、これにより、例えば穴や造形の結果として、シート状材料が基層に対し、機械的に嵌合するように流れることができる。このように、得られる製品のスキンと基層の間に強固な界面を作ることができる。
【0077】
例として、基層は実質的に連続気泡構造を有している。基層は連続気泡の発泡体材料からなっていてもよい。
好ましくは、単一の圧縮工程は、複合製品の成形で使用される。好ましくは完全に仕上がった製品は、わずか1つの圧縮又は成形工程が使用される方法により成形される。
【0078】
好ましくは、基層は硬質で破砕可能な材料からなる。これによりラミネート製品の凹んだ領域は、成形された成形用の工具を使って作られる。好ましくは、シート状材料は工具の表面に置かれ、基層がシート状の層の上に置かれ、基層は工具の表面へと加重がかけられる。
【0079】
本発明の一態様として、複合製品の成形方法がある。その方法は、連続気泡構造のもろい基層にシート成形コンパウンドを積層する工程と、基層にシート成形コンパウンドを押しつけることで、ワンステップで基層にSMCを付着させ、基層を成形するという工程から構成される。
【0080】
この方法は、さらにシート状硬化材の第2層を設ける工程が含まれる。この方法は、2つの層の間に基層を設け、2つの層を基層に押しつける工程が含まれる。
本発明は、さらに、ラミネート製品の成形方法を提供する。この方法は、シート状硬化材の2つの層を設ける工程と、2つの層の間に基層を設ける工程と、シート状硬化材の2層を基層に押しつける工程とからなり、前記基層は実質的に連続気泡構造を有していてもよい。
このようにして、2つのスキンの間に1層の発泡体が設けられた、サンドイッチ状の発泡体のパネルが1つの圧縮工程で生産される。
【0081】
この方法は、2層のシート状硬化材料の間にさらに構成要素を設ける工程を含んでもよい。
他の構成要素が、成形工程でスキンの間に挟まれてもよい。例えば、製品がドアだった場合、ドアのフレーム部分や光沢パネルや、その他の構成要素が成形物の中に配置されていてもよい。これにより、これらの構成要素は、1ステップの成形工程で製品の中に成形することができる。本発明を利用することにより、ドアのように実質的に完成した製品は1ステップの成形操作で生産することができることがわかる。
【0082】
本発明の広範な態様においては、パネルやドア等のラミネート製品の成形方法を提供する。この方法は、シート状成形材料の第1、第2層を設ける工程と、第1、第2層の間に基層を設ける工程と、オプションとして第1、第2層の間に追加の構成要素をさらに設ける工程と、これらの積層されたものに圧力をかけて基層にこれらの層を接着させて製品を成形する工程からなる。
【0083】
最終製品(ドア、窓、パネル)剛性を改良するためには、一般的に、スキンは、コアのそばだけでなく、フレームや、かまちやレール、縦仕切りのようなフレーム類のそばにも置かれる。フレーム部材は木製、金属製(アルミニウム等)、プラスチック製(uPVC等)、又は金属強化プラスチック等のようなこれらの組み合わせの材質であってもよい。プラスチック材は、硬度及び/又は剛性を改良するために必要に応じてフィラーを含んでもよい。
【0084】
好ましい実施形態において、コアは全体の体積またはフレームの中の体積を実質的に占めている。すなわち、スキンやフレームの構成要素によって決まるパネルの中の全体の空間を実質的に占める。また、たとえ、スキンが1又は複数の凹んだゾーンを含んでいたとしても、スキンに接触する基層の実質的に全体の領域にわたって、それぞれのスキンに基層が接着されているのが望ましい。なぜなら、このことがパネルの全体的な強度や、曲げに対する耐性を高めるからである。
【0085】
ある好ましい実施形態において、基層はフレームに保持された、1又は複数の、矩形ブロックのようなブロックの形状である。少なくともスキンの1つは、1又はそれ以上の凹んだゾーンを有する。前記ゾーンの後方のエリア内の基層を選択的にコントロールして押し潰した結果、前記ゾーンそれぞれの後方のブロック部分は、前記ゾーンの輪郭に適合している。
【0086】
本発明は、本明細書に記載されている方法により成形された製品及び本明細書に記載されている方法を使用するための装置もまた提供する。
また、本発明は、基層と、基層の表面に接着されたシート状材料のスキンとからなる製品も提供する。ここでシート状材料は基層の表面に機械的に合わせられている。基層はその表面上に成形物を有していてもよい。シート状材料は、この成形物に合わせてある。基層は、連続気泡構造の基層の気泡の中に広がった材料が実質的に連続気泡構造を形成していてもよい。
【0087】
本発明は、また、実質的に連続気泡構造の基層と、基層の表面に接着されたシート状材料のスキンとからなる製品を提供する。さらに、本明細書に記載された方法により用いられる基層を提供する。
また、本発明は、基層にシート状成形材料を押しつけるために用いられる成形装置も提供する。ここで、好ましくは、成形装置の表面はアルミニウムかアルミニウム合金からなる。
【0088】
ここで基層に接着されているスキンや層について言及をすると、少なくともスキンや層の一部がそのように接着されている事が好ましいことがわかっている。いくつかの例では、スキンや層などが、基層との界面全体に渡ってくっついている。
本発明は、添付図面を参照して本明細書に記載されているように、実質的に方法及び/又は装置に拡張される。
【0089】
本発明の一態様におけるどの特徴も、適切な組み合わせにおいて本発明の他の態様に適用されてもよい。特に、方法の態様は装置の態様に適用され、逆も然りである。