(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御部と記憶部と表示部を少なくとも備えたBIMシステムであって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツに関するパーツ情報であって、前記BIMパーツの前記パーツに対応する前記昇降機の部材の組立手順を示す組立手順情報を含むパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段、備え、前記制御部は、利用者により入力される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリング手段と、前記昇降機モデリング手段により作成された前記BIMパーツを、前記表示部に表示させる画面表示手段と、を備え、前記画面表示手段は、前記BIMパーツに含まれる前記組立手順情報が示す前記昇降機の前記部材の複数の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成する複数の前記パーツを表示させつつ、複数の前記パーツが据え付けられた前記昇降機内で複数の前記パーツの表示形態を組立手順が先の順から順番に他の前記パーツと色を異ならせることを特徴とするBIMシステム。
前記画面表示手段は、前記組立手順情報に含まれる前記昇降機の前記部材の据付作業日に応じて、前記BIMパーツを構成する前記パーツの色を異ならせることを特徴とする請求項1に記載のBIMシステム。
前記BIMシステムは、入力部を更に備え、前記画面表示手段は、前記組立手順情報を利用者が入力するための組立手順入力画面を前記表示部に表示させ、前記制御部は、前記利用者により前記組立手順入力画面上で前記入力部を介して入力された前記組立手順情報を、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報が示す対象の前記パーツに夫々対応付けて格納する組立手順入力手段、を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のBIMシステム。
前記組立手順入力手段は、前記利用者により前記組立手順入力画面上で前記入力部を介して変更された前記組立手順情報を、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報が示す対象の前記パーツに夫々対応付けて更新することを特徴とする請求項3に記載のBIMシステム。
前記制御部は、前記利用者により前記入力部を介して、前記部材に付与された識別情報が入力された場合、前記画面表示手段により前記表示部上に表示された前記BIMパーツに含まれる前記パーツのうち、前記識別情報により特定される前記パーツが存在するか否かを示す照合結果を生成する照合手段、を更に備え、前記画面表示手段は、前記照合手段により生成された前記照合結果が、前記識別情報により特定される前記パーツが存在するとの照合結果である場合は、前記表示部に完了通知を表示させ、前記照合手段により生成された前記照合結果が、前記識別情報により特定される前記パーツが存在しないとの照合結果である場合は、前記表示部にエラー通知を表示させることを特徴とする請求項3または4に記載のBIMシステム。
制御部と記憶部と表示部を少なくとも備えたBIMシステムにおいて実行される方法であって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツに関するパーツ情報であって、前記BIMパーツの前記パーツに対応する前記昇降機の部材の組立手順を示す組立手順情報を含むパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段、を備え、前記制御部において実行される、利用者により入力される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリングステップと、前記昇降機モデリングステップにて作成された前記BIMパーツを、前記表示部に表示させる画面表示ステップと、を含み、前記画面表示ステップにおいて、前記BIMパーツに含まれる前記組立手順情報が示す前記昇降機の前記部材の複数の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成する複数の前記パーツを表示させつつ、複数の前記パーツが据え付けられた前記昇降機内で複数の前記パーツの表示形態を組立手順が先の順から順番に他の前記パーツと色を異ならせることを特徴とする方法。
制御部と記憶部と表示部を少なくとも備えたBIMシステムに実行させるためのプログラムであって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツに関するパーツ情報であって、前記BIMパーツの前記パーツに対応する前記昇降機の部材の組立手順を示す組立手順情報を含むパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段、を備え、前記制御部において、利用者により入力される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリングステップと、前記昇降機モデリングステップにて作成された前記BIMパーツを、前記表示部に表示させる画面表示ステップと、を実行させ、前記画面表示ステップにおいて、前記BIMパーツに含まれる前記組立手順情報が示す前記昇降機の前記部材の複数の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成する複数の前記パーツを表示させつつ、複数の前記パーツが据え付けられた前記昇降機内で複数の前記パーツの表示形態を組立手順が先の順から順番に他の前記パーツと色を異ならせることを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明にかかるBIMシステム、方法およびプログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
ここで、
図1を参照して、実施形態において利用されるBIMの概要について説明する。
図1は、建築物の設計図書およびBIMモデルの一例を示す概念図である。
図1では、建築物の設計図書による設計方法とBIMによる設計方法との違いを表している。
図1の左側に示すように、建築物の設計図書による設計方法では、建築物の設計に関わる各業種が個々に専門図面を作成しているため、各々が関連性および整合性を各々とる必要がある。つまり、建築物の設計図書による設計方法では、例えば関連する設計図書の修正が必要となり、その整合性のチェックも必要となる。一方、
図1の右側に示すBIMによる設計方法では、各業種にて建物全体のデータである建築物の3次元モデル(すなわち、建築物のBIMモデル)を共有することができるので、1個のデータ上で関連性および整合性の確認を行うことができる。以下の実施形態では、このBIMを使用した昇降機客先提案システムについて説明する。
【0010】
以下、実施形態の構成および処理について、第1の実施形態(BIMシステム(機能分散型))、第2の実施形態(BIMシステム(サーバ主導型))、第3の実施形態(BIMシステム(スタンドアロン型))の順にて詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
最初に、第1の実施形態について、
図2乃至
図14を参照して以下に説明する。なお、第1の実施形態で例示するBIMシステムにおけるサーバ側と端末側の機能分散の形態は以下に限られず、同様の効果や機能を奏し得る範囲において、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0012】
[第1の実施形態におけるBIMシステムの構成]
まず、第1の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例について、
図2を参照して以下に説明する。
図2は、第1の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち主要な部分を概念的に示している。なお、本実施形態においては、通信型のBIMシステムを具体例として説明するが、これに限ることなく、スタンドアロン型のBIMシステムなどにも適用可能である。
【0013】
図2に示すように、第1の実施形態のBIMシステムは、概略的に、昇降機の3次元モデル(すなわち、昇降機のBIMパーツ)等の情報を提供できるサーバ装置200、および、単数または複数のBIMアプリケーション等を搭載した端末装置100、を通信可能に接続して構成される。ここで、
図2に示すように、通信には、一例として、ネットワーク300を介した有線・無線通信等の遠隔通信等を含む。また、これらBIMシステムの各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0014】
図2に示すように、第1の実施形態のBIMシステムにおいて、サーバ装置200は、概略的に、制御部202と記憶部206とを少なくとも備えており、端末装置100は、出力部(表示部114および音声出力部116)と入力部118と制御部102と記憶部106とを少なくとも備える。
【0015】
[サーバ装置200の構成]
ここで、
図2において、サーバ装置200は、端末装置100から送信される作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを作成し、端末装置100へ送信する等の機能を有する。サーバ装置200は、通信制御インターフェース部204を介してネットワーク300を経由し、端末装置100と相互に通信可能に接続されており、制御部202と記憶部206とを備える。制御部202は、各種処理を行う制御手段である。通信制御インターフェース部204は、通信回線や電話回線等に接続されるアンテナやルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースであり、サーバ装置200とネットワーク300との間における通信制御を行う機能を有する。すなわち、通信制御インターフェース部204は、端末装置100等と通信回線を介してデータを通信する機能を有している。記憶部206は、HDD(Hard Disk Drive)等の固定ディスク装置またはSSD(Solid State Drive)等のストレージ手段であり、各種のデータベースやテーブル(パーツ情報データベース206a等)を格納する。
【0016】
これら記憶部206の各構成要素のうち、パーツ情報データベース206aは、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツに関するパーツ情報であって、BIMパーツのパーツに対応する昇降機の部材の組立手順を示す組立手順情報を含むパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段である。本実施形態において、昇降機は、エレベータおよび乗客コンベアを含む概念であり、乗客コンベアは、エスカレータおよび動く歩道を含む。ここで、パーツ情報は、利用者が昇降機のBIMパーツを設計する上で必要となるあらゆる情報を含む。パーツ情報としては、例えば、用途、定員、積載量、動作速度、色、機種等といった昇降機の仕様、昇降機を建築物に設置する際に必要とされるスペース、寸法、各種付属設備に関する情報、昇降機を構成する必要部材の部材強度、価格、寸法、質量、色、素材、固有振動数といった情報の他、納期、在庫状況、据付時間、仕上げ材、耐用年数、メーカ情報、品番型番などが挙げられるが、上記に限定されない。
【0017】
より具体的には、本実施形態において、パーツ情報は、例えば、制御部102によりBIMパーツをBIMモデルに組み込む際等に参照されるBIMパーツのサイズ情報を含む。ここで、BIMパーツのサイズ情報は、BIMパーツを構成するパーツ(すなわち、各ユニットや構成部品)のサイズ情報も含む。BIMパーツを構成する各ユニットとしては、例えば、本実施形態のように昇降機がエレベータである場合には、昇降路、乗りかご、カウンタウェイト、メインロープ、巻上機、ガイドレール、乗り場ホール関連品、機械室、制御盤、電源設備、各種配線配管等が挙げられる。また、BIMパーツを構成する各ユニットとしては、例えば、昇降機がエスカレータである場合には、トラス、踏段、踏段チェーン、移動手摺、乗降板、欄干、駆動装置、機械室、制御盤、電源設備、各種配線配管等が挙げられる。また、パーツ情報は、例えば、制御部102によりBIMパーツを変更する際に用いられる設定パラメータを含む。ここで、設定パラメータは、BIMパーツを構成する各ユニットのサイズ、色、材質、上記各種配線配管等を規定するパラメータを含む。なお、BIMパーツは、典型的なBIMモデルと同様に、このBIMパーツ自体に対象の昇降機に関連するパーツ情報等の属性情報を含んでいる。
【0018】
また、本実施形態において、パーツ情報は、BIMパーツのパーツに対応する昇降機の部材の組立手順を示す組立手順情報を更に含んで構成される。組立手順情報は、昇降機の据付作業者等により組立手順入力画面を介して予め入力された情報であって、対象の昇降機を構成する各部材(例えば、機械室用品、昇降路用品、出入口用品、かご用品等)の据付作業日を含む情報である。据付作業日を含む組立手順情報とは、例えば、据付作業日の年月日を指定する数値データであり、「2015年9月23日」のように特定日を指定するものであってもよいし、「2015年9月26日〜9月28日」のように特定期間を指定するものであってもよい。なお、パーツ情報データベース206aに記憶されるパーツ情報に含まれる組立手順情報は、後述する組立手順入力部202dの処理により入力され、適宜変更される。
【0019】
また、制御部202は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部202は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部202は、機能概念的に、作成条件受信部202a、昇降機モデリング部202b、情報提供部202c、及び、組立手順入力部202dを備える。
【0020】
このうち、作成条件受信部202aは、端末装置100から送信される作成条件を受信する作成条件受信手段である。ここで、作成条件は、利用者が所望する昇降機の仕様等を示す条件である。つまり、作成条件は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するための条件を指定する。作成条件は、例えば、機種、色、素材、希望の価格、納期、利用者の嗜好性等のうちの少なくとも1つを含んでもよい。また、作成条件は、利用者により端末装置100において入力部118を介して入力されたものであってもよいし、予め作成条件が記憶された外部記憶装置(図示せず)から読み込まれたものであってもよい。
【0021】
また、昇降機モデリング部202bは、作成条件受信部202aにより受信された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する昇降機モデリング手段である。昇降機モデリング部202bは、例えば、
図3に示すようなエレベータの3次元のBIMパーツを作成する。ここで、
図3は、昇降機のBIMパーツの一例を示す図である。
図3の左側は、昇降路、乗りかご、ガイドレール等のユニットから構成されるBIMパーツであり、
図3の右側は、乗り場ホーム関連品の一例として、乗降口のドアのユニット等から構成されるBIMパーツである。
【0022】
昇降機モデリング部202bは、利用者が画面上で確認しながら選択可能なように、作成条件を満たす複数の昇降機のBIMパーツを作成してもよい。昇降機モデリング部202bは、例えば、作成条件受信部202aにより受信された作成条件に基づいた後述のBIMモデルの構造情報等に基づいて、建築物の概要、規模、設置位置、電源設備容量等から当該建築物に設置可能な昇降機のBIMパーツを単数あるいは複数作成する。また、昇降機モデリング部202bは、作成条件受信部202aにより受信された作成条件に基づいた納期、価格、あるいは、嗜好性に応じてBIMパーツを自動的に最適化して作成するようにしてもよい。例えば、昇降機モデリング部202bは、利用者によって昇降機の設置に際し納期優先の選択がなされている場合には、設置可能な昇降機のBIMパーツのうち納期が早いものから順に自動で複数作成するようにしてもよい。同様に、昇降機モデリング部202bは、利用者によって価格優先の選択がなされている場合には、設置可能な複数の昇降機のBIMパーツのうち価格が安いものから順に自動で複数作成するようにしてもよい。昇降機モデリング部202bは、利用者によって利用者の嗜好性が設定されている場合には、設置可能な複数の昇降機のBIMパーツのうち嗜好性にあったものから順に自動で複数作成するようにしてもよい。ここで、昇降機モデリング部202bは、作成した昇降機のBIMパーツを記憶部206に格納して、BIMパーツデータベース(図示せず)を構築してもよい。
【0023】
また、情報提供部202cは、昇降機モデリング部202bにより作成された昇降機のBIMパーツを端末装置100へ送信する情報提供手段である。ここで、情報提供部202cは、複数のBIMパーツを含む計算結果を端末装置100へ送信してもよい。
【0024】
また、組立手順入力部202dは、端末装置100から送信される組立手順情報を、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報が示す対象のパーツに夫々対応付けて格納する組立手順入力手段である。更に、組立手順入力部202dは、端末装置100から再送信された、利用者により変更された組立手順情報を、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報が示す対象のパーツに夫々対応付けて更新する。
【0025】
[端末装置100の構成]
図2において、端末装置100は、サーバ装置200へBIMパーツを作成するのに必要な作成条件を送信し、作成条件にしたがって作成されたBIMパーツを含むサーバ装置200の計算結果を、サーバ装置200から受信する等の機能を有する。また、端末装置100は、
図4に示すように、サーバ装置200から受信した昇降機のBIMパーツを建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する等の機能を有する。ここで、
図4は、昇降機のBIMパーツを建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルの一例を示す図である。
図4では、昇降機組込建築物の完成時におけるエレベータの設置状態を示す統合BIMモデルの一部が示されている。
【0026】
端末装置100は、例えば、一般に市販されるデスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置、携帯電話、スマートフォン、PHS、およびPDA等の携帯端末装置等である。端末装置100は、インターネットブラウザ等を搭載していてもよく、BIMアプリケーション等を搭載していてもよい。端末装置100は、表示部114と音声出力部116とを少なくとも含む出力部を備えていてもよい。端末装置100は、データ入力等を行う入力部118を備えていてもよい。
【0027】
図2において、表示部114は、アプリケーション等の表示画面を表示する表示手段(例えば、液晶または有機EL等から構成されるディスプレイ、モニタ、および、タッチパネル等)であってもよい。音声出力部116は、音声情報を音声として出力する音声出力手段(例えば、スピーカ等)であってもよい。入力部118は、例えば、キー入力部、タッチパネル、コントロールパッド(例えば、タッチパッド、および、ゲームパッド等)、マウス、キーボード、および、マイク等であってもよい。入出力制御インターフェース部108は、表示部114、音声出力部116、および、入力部118等の制御を行う。
【0028】
図2において、通信制御インターフェース部104は、通信回線や電話回線等に接続されるアンテナやルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースであり、端末装置100とネットワーク300との間における通信制御を行う機能を有する。すなわち、通信制御インターフェース部104は、サーバ装置200等と通信回線を介してデータを通信する機能を有している。ネットワーク300は、端末装置100およびサーバ装置200と、図示しない外部機器または外部システム(例えば、BIMモデルデータベースサーバ等として機能する外部のデータベース装置など)とを相互に接続する機能を有し、例えば、インターネット、電話回線網(携帯端末回線網および一般電話回線網等)、イントラネット、または、電力線通信(PLC)等であってもよい。
【0029】
図2において、記憶部106は、HDDやSSD等の大容量のストレージ手段、および/または、SRAM(Static Random Access Memory)等を用いて構成される小容量高速メモリ(例えば、キャッシュメモリ)等のストレージ手段であり、各種のデータベースやファイルやテーブル(BIMモデルデータベース106a等)を格納してもよい。ここで、記憶部106は、各種のファイル等を一時的に記憶するものであってもよい。
【0030】
このうち、BIMモデルデータベース106aは、建築物のBIMモデルを記憶するBIMモデル記憶手段である。本実施形態において、BIMモデルデータベース106aには、予め設計者により設計された建築物のBIMモデルが格納されている。BIMモデルには、例えば、建物形状、空間関係、地理情報、建物部材の数量や特性、部材強度、固有振動数、耐用年数等の構造情報が含まれるが、これらに限定されない。この他、構造情報は、建物用途、建物規模、階床数、階床名、階高、各階の使用用途、フロア人員、占有面積等から算出可能な昇降機の利用人数などの情報を含んでいてもよい。更に、構造情報は、対象の建築物を構成する各構造ユニットに関する寸法、位置等を示す情報を含んでいてもよい。ここで、BIMモデルを構成する各構造ユニットとしては、例えば、建築物に配置される部屋、壁、通路、非常階段、避難経路、ガス管、水道管、火災報知機、スプリンクラー、梁、安全対策品等が挙げられる。
【0031】
図2において、制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部102は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部102は、機能概念的に、作成条件送信部102a、情報取得部102b、統合モデリング部102c、画面表示部102d、組立手順送信部102e、及び、照合部102fを備える。
【0032】
このうち、作成条件送信部102aは、利用者により入力される作成条件をサーバ装置200へ送信する作成条件送信手段である。ここで、作成条件は、利用者が所望する昇降機の仕様を示す条件である。つまり、作成条件は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するための条件を指定する。作成条件は、利用者により入力部118を介して入力されたものであってもよいし、予め作成条件が記憶された外部記憶装置(図示せず)から読み込まれたものであってもよい。
【0033】
また、情報取得部102bは、サーバ装置200から送信される作成条件に対応するBIMパーツを含む計算結果を受信する情報取得手段である。ここで、情報取得部102bは、複数のBIMパーツを含む計算結果をサーバ装置200から受信してもよい。情報取得部102bは、受信したBIMパーツを記憶部106に格納して、BIMパーツデータベース(図示せず)を構築してもよい。
【0034】
また、統合モデリング部102cは、情報取得部102bにより受信された昇降機のBIMパーツを、BIMモデルデータベース106aに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリング手段である。ここで、統合モデリング部102cは、
図4に示したように作成した統合BIMモデルを記憶部106に格納して、統合BIMモデルデータベース(図示せず)を構築してもよい。
【0035】
また、画面表示部102dは、情報取得部102bにより受信された昇降機のBIMパーツを、表示部114に表示させる画面表示手段である。本実施形態において、画面表示部102dは、BIMパーツに含まれる組立手順情報が示す昇降機の部材の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成するパーツの表示形態を異ならせる。具体的には、画面表示部102dは、組立手順情報に含まれる昇降機の部材の据付作業日に応じて、BIMパーツを構成するパーツの色を異ならせてもよいし、点滅表示させてもよいし、強調表示させてもよい。
【0036】
例えば、
図5乃至
図8に示すように、画面表示部102dは、組立手順情報に含まれる据付作業日ごとに設定された色の違いにより、昇降機の部材の組立手順が据付作業者に明確になるように、組立手順情報に含まれる昇降機の部材の据付作業日に応じて、BIMパーツを構成するパーツの色を異ならせてもよい。
図5乃至
図8は、組立手順に従ってパーツの表示形態を異ならせた状態で表示するBIMパーツを含むレイアウト画面の一例を示す図である。
【0037】
ここで、
図5乃至
図8において、画面表示部102dにより表示部114に表示されたレイアウト画面内には、昇降機の一例としてのエレベータのBIMパーツが含まれている。なお、
図5乃至
図8において、エレベータのBIMパーツを構成するパーツの一例として、巻上機のパーツ1、レールのパーツ2、三方枠と乗場ドアと乗場表示装置を含むパーツ3、乗りかごのパーツ4、及び、昇降路のパーツ5が挙げられているが、これらに限定されない。これら巻上機のパーツ1、レールのパーツ2、三方枠と乗場ドアと乗場表示装置を含むパーツ3、乗りかごのパーツ4、及び、昇降路のパーツ5は、夫々、昇降機を構成する部材の一例としての機械室用品、昇降路用品、出入口用品、かご用品に対応するものとする(
図9乃至
図11参照)。
【0038】
また、
図5乃至
図8において、巻上機のパーツ1のパーツ情報に含まれる組立手順情報が示す機械室用品の据付作業日(例えば、「2015年9月23日」)は、レールのパーツ2のパーツ情報に含まれる組立手順情報が示す昇降路用品の据付作業日よりも前の年月日が据付作業者等により予め入力されているものとする。また、レールのパーツ2のパーツ情報に含まれる組立手順情報が示す昇降路用品の据付作業日(例えば、「2015年9月26日〜9月28日」)は、三方枠と乗場ドアと乗場表示装置を含むパーツ3のパーツ情報に含まれる組立手順情報が示す出入口用品の据付作業日よりも前の年月日が据付作業者等により予め入力されているものとする。また、三方枠と乗場ドアと乗場表示装置を含むパーツ3のパーツ情報に含まれる組立手順情報が示す出入口用品の据付作業日(例えば、「2015年9月29日〜10月1日」)は、乗りかごのパーツ4のパーツ情報に含まれる組立手順情報が示すかご用品の据付作業日(例えば、「2015年10月2日〜10月4日」)よりも前の年月日が据付作業者等により予め入力されているものとする。
【0039】
この場合、
図5乃至
図8に示すように、画面表示部102dは、昇降機の組立手順が1番目となる機械室用品に対応する巻上機のパーツ1(
図5参照)と、昇降機の組立手順が2番目となる昇降路用品に対応するレールのパーツ2(
図6参照)と、昇降機の組立手順が3番目となる出入口用品に対応する三方枠と乗場ドアと乗場表示装置を含むパーツ3(
図7参照)と、昇降機の組立手順が4番目となるかご用品に対応する乗りかごのパーツ4(
図8参照)と、を互いに色を異ならせた表示形態で表示部114に表示させる。また、画面表示部102dは、昇降機の組立手順が先の順から順番に、対象のパーツの色を他のパーツの色と異ならせた表示形態で、表示部114に表示させてもよい。このように、据付作業日ごとにBIMパーツを構成するパーツに色を付けることで、据付作業者が据付ける昇降機の部材について、組立手順を視覚で容易に確認させることができる。これにより、また、据付作業者は、BIMパーツが表示されたレイアウト画面上で、BIMパーツを前後左右360°回転させることで、据付時に、全方位から部材毎の結合方法、機器間の隙間等を確認することもできる。
【0040】
また、画面表示部102dは、統合モデリング部102cにより作成された統合BIMモデルを、表示部114に表示させてもよい。更に、画面表示部102dは、当該統合BIMモデルに組み込まれたBIMパーツに含まれる組立手順情報が示す昇降機の部材の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成するパーツの表示形態を異ならせてもよい。
【0041】
この他、画面表示部102dは、
図9乃至
図11に示すように、組立手順情報を利用者(例えば、据付作業者、昇降機の据付作業の工程管理者、建築物の建方工程の管理者など)が入力するための組立手順入力画面を表示部114に表示させてもよい。
図9乃至
図11は、組立手順入力画面の一例を示す図である。
図9乃至
図11において、組立手順入力画面の上段部の表には、機械室用品取付を行う予定日、昇降路用品取付を行う予定日、出入口用品取付を行う予定日、かご用品取付を行う予定日、調整を行う予定日を、夫々、据付作業者等が入力する欄として、予定日入力欄が設けられている。また、この予定日入力欄に記載された各予定日を変更する際に用いる変更入力欄として、第1の変更入力欄(変更1)及び第2の変更入力欄(変更2)も設けられている。更に、
図9乃至
図11において、組立手順入力画面の下段部には、上段部の予定日入力欄や変更入力欄に入力された据付作業日に対応する据付工程のスケジュールを作業内容ごとに示す工程表が表示されている。
【0042】
図2に戻り、組立手順送信部102eは、利用者により組立手順入力画面上で入力部118を介して入力された組立手順情報を、サーバ装置200へ送信する組立手順送信手段である。
【0043】
本実施形態において、組立手順情報は、例えば、
図9の組立手順入力画面に示すように、予定日入力欄に夫々作業ごとに入力される予定日に対応する据付作業日を含んで構成される。一例として、
図9(i)に示すように、機械室用品取付を行う据付作業日は、「2015年9月23日」であり、この据付作業日は、機械室用品に対応する巻上機のパーツ1のパーツ情報に対応付けて組立手順情報としてサーバ装置200のパーツ情報データベース206aに格納されるように、サーバ装置200へ送信される。また、昇降路用品取付を行う据付作業日は、「2015年9月26日〜9月28日」であり、この据付作業日は、昇降路用品に対応するレールのパーツ2のパーツ情報に対応付けて組立手順情報としてサーバ装置200のパーツ情報データベース206aに格納されるように、サーバ装置200へ送信される。また、出入口用品取付を行う据付作業日は、「2015年9月29日〜10月1日」であり、この据付作業日は、出入口用品に対応する三方枠と乗場ドアと乗場表示装置を含むパーツ3のパーツ情報に対応付けて組立手順情報としてサーバ装置200のパーツ情報データベース206aに格納されるように、サーバ装置200へ送信される。また、かご用品取付を行う据付作業日は、「2015年10月2日〜10月4日」であり、この据付作業日は、かご用品に対応する乗りかごのパーツ4のパーツ情報に対応付けて組立手順情報としてサーバ装置200のパーツ情報データベース206aに格納されるように、サーバ装置200へ送信される。
【0044】
また、
図10(ii)に示すように、変更入力欄の昇降路用品取付の予定日「2015年9月26日〜9月28日」が、「2015年9月27日〜9月29日」に変更された場合には、
図11(iii)に示すように、変更された昇降路用品取付の予定日以降の後工程となる、出入口用品取付の予定日「2015年9月30日〜10月2日」、かご用品取付の予定日「2015年10月3日〜10月5日」、調整の予定日「2015年10月6日」についても、自動で修正される。更に、
図11(iv)に示すように、これら予定日の変更(
図10(ii)参照)及び自動修正(
図11(iii)参照)に応じて、各変更日が夫々下段部の工程表に反映される。これにより、据付作業者等は、例えば、据付作業の工程遅れまたは工程前倒しや部材の欠品、誤送のトラブルなどが発生した場合でも、作業実施記録を入力することで、作業実施日以降の据付工程を容易に変更することができる。
【0045】
このようにして変更および自動修正された予定日に対応する据付作業日についても、更新された組立手順情報として、各対象のパーツのパーツ情報に対応付けてサーバ装置200のパーツ情報データベース206aに格納されるように、サーバ装置200へ再送信される。
【0046】
また、照合部102fは、利用者により入力部118を介して、昇降機の部材に付与された識別情報が入力された場合、画面表示部102dにより表示部114に表示されたBIMパーツに含まれるパーツのうち、識別情報により特定されるパーツが存在するか否かを示す照合結果を生成する照合手段である。ここで、識別情報は、識別番号や、バーコードまたは無線タグを含むが、これらに限定されない。
【0047】
本実施形態において、画面表示部102dは、照合部102fにより生成された照合結果が、識別情報により特定されるパーツが存在するとの照合結果である場合は、表示部114に完了通知を表示させる。一方、画面表示部102dは、照合部102fにより生成された照合結果が、識別情報により特定されるパーツが存在しないとの照合結果である場合は、表示部114にエラー通知を表示させる。これにより、例えば、据付作業者は、据付部材の搬入チェック時に、搬入されてきた部材の識別番号等の識別情報を端末装置100に登録することで、表示部114に表示されたレイアウト画面上で、BIMパーツを構成する対象のパーツとの整合性をチェックすることができる。また、例えば、搬入完了時に搬入完了ボタン(図示せず)を据付作業者が押したときに整合性がとれない部材や、搬入されていない部材が有る場合には、エラー発報することができる。この他、搬入されてきた部材に付けたバーコード登録や無線タグ登録により、整合性をチェックすることもできる。
【0048】
以上で、第1の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例の説明を終える。
【0049】
[第1の実施形態におけるBIMシステムの処理]
次に、このように構成された第1の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例について、以下に
図12乃至
図14を参照して詳細に説明する。
【0050】
まず、
図12を参照して、第1の実施形態においてBIMシステムにより実行される基本処理について説明する。
図12は、第1の実施形態におけるBIMシステムの基本処理の一例を示すフローチャートである。
【0051】
図12に示すように、端末装置100の画面表示部102dは、組立手順情報を利用者が入力するための組立手順入力画面(
図9参照)を表示部114に表示させる(ステップSA−1)。そして、端末装置100の組立手順送信部102eは、ステップSA−1にて画面表示部102dの処理により表示された組立手順入力画面上で、利用者により入力部118を介して入力された組立手順情報を、サーバ装置200へ送信する(ステップSA−2)。
【0052】
そして、サーバ装置200の制御部202は、ステップSA−2にて組立手順送信部102eの処理により端末装置100から送信された組立手順情報を受信する(ステップSA−3)。そして、サーバ装置200の組立手順入力部202dは、ステップSA−3にて制御部202の処理により受信した組立手順情報を、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報が示す対象のパーツに夫々対応付けて格納する(ステップSA−4)。ここで、ステップSA−4において、組立手順入力部202dは、端末装置100から再送信されて変更された組立手順情報がある場合には(
図10及び
図11参照)、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報が示す対象のパーツに夫々対応付けて更新する。
【0053】
そして、端末装置100の作成条件送信部102aは、利用者により入力される作成条件をサーバ装置200へ送信する(ステップSA−5)。
【0054】
そして、サーバ装置200の作成条件受信部202aは、ステップSA−5にて作成条件送信部102aの処理により端末装置100から送信される作成条件を受信する(ステップSA−6)。そして、サーバ装置200の昇降機モデリング部202bは、ステップSA−6にて作成条件受信部202aの処理により受信された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、ステップSA−4にて組立手順入力部202dの処理により入力された組立手順情報を含むパーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する(ステップSA−7)。例えば、昇降機モデリング部202bは、
図3に示すようなエレベータの3次元のBIMパーツを作成する。ここで、ステップSA−7において、昇降機モデリング部202bは、作成条件を満たす複数の昇降機のBIMパーツを作成してもよい。そして、サーバ装置200の情報提供部202cは、ステップSA−7にて昇降機モデリング部202bの処理により作成された昇降機のBIMパーツを端末装置100へ送信する(ステップSA−8)。
【0055】
そして、端末装置100の情報取得部102bは、ステップSA−5にて作成条件送信部102aの処理により送信した作成条件に対応するBIMパーツであって、ステップSA−8にて情報提供部202cの処理によりサーバ装置200から送信されたBIMパーツを単数又は複数含む計算結果を受信する(ステップSA−9)。
【0056】
そして、端末装置100の画面表示部102dは、ステップSA−9にて情報取得部102bの処理により受信された昇降機のBIMパーツを、表示部114に表示させる(ステップSA−10)。本実施形態では、ステップSA−10において、画面表示部102dは、BIMパーツに含まれる組立手順情報が示す昇降機の部材の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成するパーツの表示形態を異ならせる。例えば、画面表示部102dは、組立手順情報に含まれる昇降機の部材の据付作業日に応じて、BIMパーツを構成するパーツの色を異ならせる(
図5乃至
図8参照)。その後、本処理を終了する。
【0057】
続いて、
図13を参照して、第1の実施形態においてBIMシステムにより実行される照合処理について説明する。
図13は、第1の実施形態におけるBIMシステムの照合処理の一例を示すフローチャートである。
【0058】
図13に示すように、端末装置100の制御部102は、利用者により入力部118を介して、昇降機の部材に付与された識別情報が入力されたか否かを判定する(ステップSB−1)。そして、端末装置100の照合部102fは、ステップSB−1にて制御部102の処理により識別情報が入力されたと判定された場合(ステップSB−1:YES)、
図12のステップSA−10にて画面表示部102dの処理により表示部114に表示されたBIMパーツに含まれるパーツのうち、識別情報により特定されるパーツが存在するか否かを示す照合結果を生成する(ステップSB−2)。一方、ステップSB−1にて制御部102の処理により識別情報が入力されていないと判定された場合には(ステップSB−1:NO)、制御部102は、ステップSB−1の処理を、識別情報が入力されたと判定されるまで繰り返す。
【0059】
そして、端末装置100の制御部102は、ステップSB−3にて照合部102fの処理により生成された照合結果に基づいて、
図12のステップSA−10にて画面表示部102dの処理により表示部114に表示されたBIMパーツに含まれるパーツのうち、ステップSB−1にて利用者により入力された識別情報により特定されるパーツが存在するとの照合結果であるか、または、ステップSB−1にて利用者により入力された識別情報により特定されるパーツが存在しないとの照合結果であるかを判定する(ステップSB−3)。
【0060】
ステップSB−3において、制御部102の処理により、ステップSB−2にて照合部102fの処理により生成された照合結果が、ステップSB−1にて利用者により入力された識別情報により特定されるパーツが存在するとの照合結果であると判定された場合(ステップSB−3:YES)、端末装置100の画面表示部102dは、表示部114に完了通知を表示させる(ステップSB−4)。その後、本処理を終了する。
【0061】
一方、ステップSB−3において、制御部102の処理により、ステップSB−2にて照合部102fの処理により生成された照合結果が、ステップSB−1にて利用者により入力された識別情報により特定されるパーツが存在しないとの照合結果であると判定された場合(ステップSB−3:NO)、端末装置100の画面表示部102dは、表示部114にエラー通知を表示させる(ステップSB−5)。その後、本処理を終了する。
【0062】
続いて、
図14を参照して、第1の実施形態においてBIMシステムにより実行される統合BIMモデル作成処理について説明する。
図14は、第1の実施形態におけるBIMシステムの統合BIMモデル作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0063】
なお、
図14において、ステップSC−1〜SC−5の処理は、
図12のステップSA−5〜SA−9の処理に夫々対応するため、説明を省略する。
図14に示す統合BIMモデル作成処理では、ステップSC−6の処理から説明する。
【0064】
図14に示すように、端末装置100の統合モデリング部102cは、ステップSC−5にて情報取得部102bの処理により受信された単数または複数の昇降機のBIMパーツを、BIMモデルデータベース106aに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する(ステップSC−6)。例えば、統合モデリング部102cは、
図4に示すような、エレベータのBIMパーツが建築物のBIMモデルに組み込まれた状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する。
【0065】
そして、端末装置100の画面表示部102dは、ステップSC−6にて統合モデリング部102cの処理により作成された統合BIMモデルを、表示部114に表示させる(ステップSC−7)。本実施形態では、ステップSC−7において、画面表示部102dは、当該統合BIMモデルに組み込まれたBIMパーツに含まれる組立手順情報が示す昇降機の部材の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成するパーツの表示形態を異ならせる。その後、本処理を終了する。
【0066】
以上で、第1の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例の説明を終える。
【0067】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について、
図15乃至
図18を参照して以下に説明する。ここで、
図15は、第2の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本実施形態に関係する部分を概念的に示している。
【0068】
なお、第2の実施形態においては、サーバ装置200側で作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを作成し、当該BIMパーツを建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルも作成する。また、サーバ装置200側で、BIMパーツと識別情報との照合も行う。そして、サーバ装置200から端末装置100へ、BIMパーツを含むレイアウト画面や、統合BIMモデルを含むレイアウト画面や、照合結果に基づく完了通知又はエラー通知を含む結果画面を送信し、当該端末装置100の表示部114に表示させるように制御している。このように、第2の実施形態は、サーバ装置200にてサーバ主導で処理を行う点が、その他の実施形態と異なる。
【0069】
[第2の実施形態におけるBIMシステムの構成]
まず、第2の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例について、
図15を参照して以下に説明する。
【0070】
図15に示すように、第2の実施形態のサーバ装置200は、出力部(表示部114および音声出力部116)と入力部118と制御部102と記憶部106とを少なくとも備えた端末装置100に通信可能に接続され、制御部202と記憶部206とを少なくとも備える。通信には、一例として、ネットワーク300を介した有線・無線通信等の遠隔通信等を含む。また、これらサーバ装置200および端末装置100の各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0071】
図15において、サーバ装置200は、端末装置100から送信される作成条件に対応するBIMパーツを作成する機能や、当該BIMパーツをBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する機能や、レイアウト画面や組立手順入力画面や結果画面を生成して端末装置100へ送信することで表示部114に表示させるように制御する機能や、組立手順情報をパーツ情報データベース206aに格納する機能や、BIMパーツと識別情報との照合を行う機能などを有する。
【0072】
なお、サーバ装置200における通信制御インターフェース部204および記憶部206(パーツ情報データベース206a等)の機能、また、端末装置100における表示部114、音声出力部116、および、入力部118の機能は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。なお、記憶部206のうち、BIMモデルファイル206bには、端末装置100側の記憶部106のBIMモデルデータベース106aに記憶された複数の建築物のBIMモデルのうち、対象の建築物のBIMモデルが予めサーバ装置200側へ転送されて一時的に記憶されているものとする。
【0073】
図15において、制御部202は、OS等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部202は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部202は、機能概念的に、作成条件受信部202a、昇降機モデリング部202b、情報提供部202c、組立手順入力部202d、統合モデリング部202e、画面表示制御部202f、情報取得部202g、照合部202hを備える。
【0074】
このうち、作成条件受信部202aは、端末装置100から送信される作成条件を受信する作成条件受信手段である。ここで、作成条件は、利用者により端末装置100において入力部118を介して入力されたものであってもよいし、予め作成条件が記憶された外部記憶装置(図示せず)から読み込まれたものであってもよい。
【0075】
また、昇降機モデリング部202bは、作成条件受信部202aにより受信された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する昇降機モデリング手段である。昇降機モデリング部202bは、例えば、
図3に示すようなエレベータの3次元のBIMパーツを作成する。
【0076】
また、情報提供部202cは、昇降機モデリング部202bにより作成されたBIMパーツ、統合モデリング部202eにより作成された統合BIMモデル、照合部202hにより生成された照合結果等の各種計算結果を、端末装置100からの要求に応じて送信する情報提供手段である。
【0077】
また、組立手順入力部202dは、情報取得部202gにより端末装置100から受信した組立手順情報を、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報が示す対象のパーツに夫々対応付けて格納する組立手順入力手段である。更に、組立手順入力部202dは、情報取得部202gにより端末装置100から再受信した、利用者により変更された組立手順情報を、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報が示す対象のパーツに夫々対応付けて更新する。
【0078】
また、統合モデリング部202eは、昇降機モデリング部202bにより作成された昇降機のBIMパーツを、BIMモデルファイル206bに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリング手段である。ここで、統合モデリング部202eは、
図4に示したように作成した統合BIMモデルを記憶部206に格納して、統合BIMモデルデータベース(図示せず)を構築してもよい。
【0079】
また、画面表示制御部202fは、昇降機モデリング部202bにより作成された昇降機のBIMパーツを含むレイアウト画面を生成し、当該レイアウト画面を端末装置100へ送信し、端末装置100の表示部114に表示させるように制御する画面表示制御手段である。本実施形態において、画面表示制御部202fは、BIMパーツに含まれる組立手順情報が示す昇降機の部材の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成するパーツの表示形態を異ならせる制御信号を含むレイアウト画面を生成し、当該レイアウト画面を端末装置100へ送信し、端末装置100の表示部114に表示させるように制御する。例えば、画面表示制御部202fは、組立手順情報に含まれる昇降機の部材の据付作業日に応じて、BIMパーツを構成するパーツの色を異ならせる制御信号を含むレイアウト画面を生成し、当該レイアウト画面を端末装置100へ送信し、端末装置100の表示部114に表示させるように制御してもよい。
【0080】
画面表示制御部202fは、統合モデリング部202eにより作成された統合BIMモデルを含むレイアウト画面を生成し、当該レイアウト画面を端末装置100へ送信し、端末装置100の表示部114に表示させるように制御してもよい。更に、画面表示制御部202fは、当該統合BIMモデルに組み込まれたBIMパーツに含まれる組立手順情報が示す昇降機の部材の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成するパーツの表示形態を異ならせる制御信号を含むレイアウト画面を生成し、当該レイアウト画面を端末装置100へ送信し、端末装置100の表示部114に表示させるように制御してもよい。
【0081】
この他、画面表示制御部202fは、組立手順情報を利用者が入力するための組立手順入力画面を端末装置100へ送信し、端末装置100の表示部114に表示させるように制御してもよい。また、画面表示制御部202fは、照合部202hにより生成された照合結果に基づく完了通知又はエラー通知を含む結果画面を生成し、当該結果画面を端末装置100へ送信し、当該端末装置100の表示部114に表示させるように制御してもよい。
【0082】
また、情報取得部202gは、端末装置100から送信される、組立手順情報、識別情報等の各種情報を受信する情報取得手段である。
【0083】
また、照合部202hは、情報取得部202gにより端末装置100から識別情報を受信した場合、画面表示制御部202fにより生成されたレイアウト画面上のBIMパーツに含まれるパーツのうち、識別情報により特定されるパーツが存在するか否かを示す照合結果を生成する照合手段である。ここで、識別情報は、識別番号や、バーコードまたは無線タグを含むが、これらに限定されない。
【0084】
本実施形態において、画面表示制御部202fは、照合部202hにより生成された照合結果が、識別情報により特定されるパーツが存在するとの照合結果である場合は、完了通知を含む結果画面を生成し、当該結果画面を端末装置100へ送信し、端末装置100の表示部114に表示させるように制御する。一方、画面表示制御部202fは、照合部202hにより生成された照合結果が、識別情報により特定されるパーツが存在しないとの照合結果である場合は、エラー通知を含む結果画面を生成し、当該結果画面を端末装置100へ送信し、端末装置100の表示部114に表示させるように制御する。
【0085】
なお、
図15では、BIMモデルデータベース106aが端末装置100側の記憶部106に備えられた例を説明したが、これに限定されない。図示しないが、BIMモデルデータベースは、サーバ装置200側の記憶部206側に備えられていてもよく、また、ネットワーク300を介して通信可能に接続されたデータベースサーバとして外部装置の記憶部側に備えられていてもよい。
【0086】
以上で、第2の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例の説明を終える。
【0087】
[第2の実施形態におけるBIMシステムの処理]
次に、このように構成された第2の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例について、以下に
図16乃至
図18を参照して詳細に説明する。
【0088】
まず、
図16を参照して、第2の実施形態においてBIMシステムにより実行される基本処理について説明する。
図16は、第2の実施形態におけるBIMシステムの基本処理の一例を示すフローチャートである。
【0089】
図16に示すように、サーバ装置200の画面表示制御部202fは、組立手順情報を利用者が入力するための組立手順入力画面(
図9参照)を端末装置100へ送信し(ステップSD−1)、端末装置100の表示部114に組立手順入力画面を表示させるように制御する(ステップSD−2)。そして、端末装置100の制御部102は、ステップSD−1〜2にて画面表示制御部202fの処理により表示された組立手順入力画面上で、利用者により入力部118を介して入力された組立手順情報を、サーバ装置200へ送信する(ステップSD−3)。
【0090】
そして、サーバ装置200の情報取得部202gは、ステップSD−3にて制御部102の処理により端末装置100から送信された組立手順情報を受信する(ステップSD−4)。そして、サーバ装置200の組立手順入力部202dは、ステップSD−4にて情報取得部202gの処理により端末装置100から受信した組立手順情報を、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報が示す対象のパーツに夫々対応付けて格納する(ステップSD−5)。ここで、ステップSD−5において、組立手順入力部202dは、端末装置100から再送信されて変更された組立手順情報がある場合には(
図10及び
図11参照)、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報が示す対象のパーツに夫々対応付けて更新する。
【0091】
そして、端末装置100の制御部102は、利用者により入力される作成条件をサーバ装置200へ送信する(ステップSD−6)。
【0092】
そして、サーバ装置200の作成条件受信部202aは、ステップSD−6にて制御部102の処理により送信される作成条件を受信する(ステップSD−7)。そして、サーバ装置200の昇降機モデリング部202bは、ステップSD−7にて作成条件受信部202aの処理により受信された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、ステップSD−5にて組立手順入力部202dの処理により入力された組立手順情報を含むパーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する(ステップSD−8)。例えば、昇降機モデリング部202bは、
図3に示すようなエレベータのBIMパーツを作成する。ここで、ステップSD−8において、昇降機モデリング部202bは、作成条件を満たす複数の昇降機のBIMパーツを作成してもよい。
【0093】
そして、サーバ装置200の画面表示制御部202fは、ステップSD−8にて昇降機モデリング部202bの処理により作成された昇降機のBIMパーツを含むレイアウト画面を生成する(ステップSD−9)。本実施形態では、ステップSD−9において、画面表示制御部202fは、BIMパーツに含まれる組立手順情報が示す昇降機の部材の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成するパーツの表示形態を異ならせる制御信号を含むレイアウト画面を生成する。例えば、画面表示制御部202fは、組立手順情報に含まれる昇降機の部材の据付作業日に応じて、BIMパーツを構成するパーツの色を異ならせる制御信号を含むレイアウト画面を生成する(
図5乃至
図8参照)。そして、画面表示制御部202fは、ステップSD−9にて作成したレイアウト画面を端末装置100へ送信し(ステップSD−10)、端末装置100の表示部114にレイアウト画面を表示させるように制御する(ステップSD−11)。その後、本処理を終了する。
【0094】
続いて、
図17を参照して、第2の実施形態においてBIMシステムにより実行される照合処理について説明する。
図17は、第2の実施形態におけるBIMシステムの照合処理の一例を示すフローチャートである。
【0095】
図17に示すように、端末装置100の制御部102は、利用者により入力部118を介して、昇降機の部材に付与された識別情報が入力されたか否かを判定する(ステップSE−1)。そして、端末装置100の制御部102は、ステップSE−1にて識別情報が入力されたと判定した場合(ステップSE−1:YES)、識別情報をサーバ装置200へ送信する(ステップSE−2)。一方、制御部102は、ステップSE−1にて識別情報が入力されていないと判定した場合には(ステップSE−1:NO)、ステップSE−1の処理を、識別情報が入力されたと判定するまで繰り返す。
【0096】
そして、サーバ装置200の情報取得部202gは、ステップSE−2にて制御部102の処理により端末装置100から送信された識別情報を受信する(ステップSE−3)。そして、サーバ装置200の照合部202hは、
図16のステップSD−9にて画面表示制御部202fの処理により生成されたレイアウト画面上のBIMパーツに含まれるパーツのうち、ステップSE−3にて情報取得部202gの処理により受信された識別情報により特定されるパーツが存在するか否かを示す照合結果を生成する(ステップSE−4)。
【0097】
そして、サーバ装置200の制御部202は、ステップSE−4にて照合部202hの処理により生成された照合結果に基づいて、
図16のステップSD−9にて画面表示制御部202fの処理により生成されたレイアウト画面上のBIMパーツに含まれるパーツのうち、ステップSE−3にて情報取得部202gの処理により受信された識別情報により特定されるパーツが存在するとの照合結果であるか、または、ステップSE−3にて情報取得部202gの処理により受信された識別情報により特定されるパーツが存在しないとの照合結果であるかを判定する(ステップSE−5)。
【0098】
ステップSE−5において、制御部202の処理により、ステップSE−4にて照合部202hの処理により生成された照合結果が、ステップSE−3にて情報取得部202gの処理により受信された識別情報により特定されるパーツが存在するとの照合結果であると判定された場合(ステップSE−5:YES)、サーバ装置200の画面表示制御部202fは、完了通知を含む結果画面を生成する(ステップSE−6)。そして、画面表示制御部202fは、ステップSE−6にて生成した完了通知を含む結果画面を端末装置100へ送信し(ステップSE−8)、端末装置100の表示部114に当該完了通知を含む結果画面を表示させるように制御する(ステップSE−9)。その後、本処理を終了する。
【0099】
一方、ステップSE−5において、制御部202の処理により、ステップSE−4にて照合部202hの処理により生成された照合結果が、ステップSE−3にて情報取得部202gの処理により受信された識別情報により特定されるパーツが存在しないとの照合結果であると判定された場合(ステップSE−5:NO)、サーバ装置200の画面表示制御部202fは、エラー通知を含む結果画面を生成する(ステップSE−7)。そして、画面表示制御部202fは、ステップSE−7にて生成したエラー通知を含む結果画面を端末装置100へ送信し(ステップSE−8)、端末装置100の表示部114に当該エラー通知を含む結果画面を表示させるように制御する(ステップSE−9)。その後、本処理を終了する。
【0100】
続いて、
図18を参照して、第2の実施形態においてBIMシステムにより実行される統合BIMモデル作成処理について説明する。
図18は、第2の実施形態におけるBIMシステムの統合BIMモデル作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0101】
なお、
図18において、ステップSF−1〜SF−3の処理は、
図16のステップSD−6〜SD−8の処理に夫々対応するため、説明を省略する。
図18に示す統合BIMモデル作成処理では、ステップSF−4の処理から説明する。
【0102】
図18に示すように、サーバ装置200の統合モデリング部202eは、ステップSF−3にて昇降機モデリング部202bの処理により作成された単数または複数の昇降機のBIMパーツを、BIMモデルファイル206bに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する(ステップSF−4)。例えば、統合モデリング部202eは、
図4に示すような、エレベータのBIMパーツが建築物のBIMモデルに組み込まれた状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する。
【0103】
そして、サーバ装置200の画面表示制御部202fは、統合モデリング部202eにより作成された統合BIMモデルを含むレイアウト画面を生成する(ステップSF−5)。本実施形態では、ステップSF−5において、画面表示制御部202fは、当該統合BIMモデルに組み込まれたBIMパーツに含まれる組立手順情報が示す昇降機の部材の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成するパーツの表示形態を異ならせる制御信号を含むレイアウト画面を生成する。そして、画面表示制御部202fは、ステップSF−5にて生成したレイアウト画面を端末装置100へ送信し(ステップSF−6)、端末装置100の表示部114に当該レイアウト画面を表示させるように制御する(ステップSF−7)。その後、本処理を終了する。
【0104】
以上で、第2の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例の説明を終える。
【0105】
なお、第2の実施形態にかかるBIMシステム(サーバ主導型)においても、上述の第1の実施形態にかかるBIMシステム(機能分散型)と同様の効果を奏する。
【0106】
[第3の実施形態]
続いて、第3の実施形態について、
図19乃至
図22を参照して以下に説明する。ここで、
図19は、第3の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本実施形態に関係する部分を概念的に示している。ここで、第3の実施形態におけるBIMシステムは、スタンドアロン型に構成され単独で処理を行うBIM装置400により実現される。
【0107】
なお、第3の実施形態においては、全ての機能をBIM装置400に集約し、当該BIM装置400は、利用者により入力される作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを作成する機能や、当該BIMパーツを建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する機能や、レイアウト画面や組立手順入力画面を表示部414に表示する機能や、組立手順情報をパーツ情報データベース406aに格納する機能や、BIMパーツと識別情報との照合を行う機能などを有する。このように、第3の実施形態は、BIM装置400がスタンドアロン型に構成され単独で処理を行う点がその他の実施形態と異なる。
【0108】
[第3の実施形態におけるBIMシステムの構成]
まず、第3の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例について、
図19を参照して以下に説明する。
【0109】
図19に示すように、第3の実施形態のBIM装置400は、出力部(表示部414および音声出力部416)と入力部418と制御部402と記憶部406とを少なくとも備える。これらBIM装置400の各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されてもよい。BIM装置400は、例えば、PND(Portable Navigation Device)等の各種情報処理端末、ノート型のパーソナルコンピュータ等の各種情報処理装置、または、携帯電話やPHSやPDA等の携帯端末装置等であってもよい。また、BIM装置400は、通信制御インターフェース部(図示せず)を介してネットワークを経由し、外部装置と相互に通信可能に接続されていてもよい。
【0110】
図19において、入出力制御インターフェース部408、表示部414、音声出力部416、および、入力部418の各機能は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。また、記憶部406の各部(パーツ情報データベース406a、BIMモデルデータベース406b等)についても、サーバ装置200ではなくBIM装置400に備えられている点を除き、各機能が第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0111】
なお、制御部402の各部については、本実施形態のBIM装置400がスタンドアロン型であり、制御部402が各送信部を備えていない点を除き、各機能は第1の実施形態と基本的に同様である。
【0112】
図19において、制御部402は、OS等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部402は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部402は、機能概念的に、作成条件設定部402a、昇降機モデリング部402b、統合モデリング部402c、画面表示部402d、組立手順入力部402e、照合部402fを備える。
【0113】
このうち、作成条件設定部402aは、利用者により入力される作成条件を設定する作成条件設定手段である。ここで、作成条件は、利用者により入力部418を介して入力されたものであってもよいし、予め作成条件が記憶された外部記憶装置(図示せず)から読み込まれたものであってもよい。
【0114】
また、昇降機モデリング部402bは、作成条件設定部402aにより設定された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、パーツ情報データベース406aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する昇降機モデリング手段である。昇降機モデリング部402bは、例えば、
図3に示すようなエレベータの3次元のBIMパーツを作成する。
【0115】
また、統合モデリング部402cは、昇降機モデリング部402bにより作成された昇降機のBIMパーツを、BIMモデルデータベース406bに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリング手段である。ここで、統合モデリング部402cは、
図4に示したように作成した統合BIMモデルを記憶部406に格納して、統合BIMモデルデータベース(図示せず)を構築してもよい。
【0116】
また、画面表示部402dは、昇降機モデリング部402bにより作成された昇降機のBIMパーツを、表示部414に表示させる画面表示手段である。本実施形態において、画面表示部402dは、BIMパーツに含まれる組立手順情報が示す昇降機の部材の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成するパーツの表示形態を異ならせる。例えば、画面表示部402dは、組立手順情報に含まれる昇降機の部材の据付作業日に応じて、BIMパーツを構成するパーツの色を異ならせる。
【0117】
画面表示部402dは、統合モデリング部402cにより作成された統合BIMモデルを、表示部114に表示させてもよい。更に、画面表示部402dは、当該統合BIMモデルに組み込まれたBIMパーツに含まれる組立手順情報が示す昇降機の部材の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成するパーツの表示形態を異ならせてもよい。
【0118】
この他、画面表示部402dは、組立手順情報を利用者が入力するための組立手順入力画面を、表示部414に表示させてもよい。
【0119】
また、組立手順入力部402eは、利用者により組立手順入力画面上で入力部418を介して入力された組立手順情報を、パーツ情報データベース406aに記憶されたパーツ情報が示す対象のパーツに夫々対応付けて格納する組立手順入力手段である。更に、組立手順入力部402eは、利用者により組立手順入力画面上で入力部418を介して変更された組立手順情報を、パーツ情報データベース406aに記憶されたパーツ情報が示す対象のパーツに夫々対応付けて更新する。
【0120】
また、照合部402fは、利用者により入力部418を介して、昇降機の部材に付与された識別情報が入力された場合、画面表示部402dにより表示部414に表示されたBIMパーツに含まれるパーツのうち、識別情報により特定されるパーツが存在するか否かを示す照合結果を生成する照合手段である。ここで、識別情報は、識別番号や、バーコードまたは無線タグを含むが、これらに限定されない。
【0121】
本実施形態において、画面表示部402dは、照合部402fにより生成された照合結果が、識別情報により特定されるパーツが存在するとの照合結果である場合は、表示部414に完了通知を表示させる。一方、画面表示部402dは、照合部402fにより生成された照合結果が、識別情報により特定されるパーツが存在しないとの照合結果である場合は、表示部414にエラー通知を表示させる。
【0122】
以上で、第3の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例の説明を終える。
【0123】
[第3の実施形態におけるBIMシステムの処理]
次に、このように構成された第3の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例について、以下に
図20乃至
図22を参照して詳細に説明する。
【0124】
まず、
図20を参照して、第3の実施形態においてBIMシステムにより実行される基本処理について説明する。
図20は、第3の実施形態におけるBIMシステムの基本処理の一例を示すフローチャートである。
【0125】
図20に示すように、画面表示部402dは、組立手順情報を利用者が入力するための組立手順入力画面(
図9参照)を、表示部414に表示させる(ステップSG−1)。そして、組立手順入力部402eは、ステップSG−1にて画面表示部402dの処理により表示された組立手順入力画面上で、利用者により入力部418を介して入力された組立手順情報を、パーツ情報データベース406aに記憶されたパーツ情報が示す対象のパーツに夫々対応付けて格納する(ステップSG−2)。ここで、ステップSG−2において、組立手順入力部402eは、組立手順入力画面上で利用者により入力部418を介して変更された組立手順情報がある場合には(
図10及び
図11参照)、パーツ情報データベース406aに記憶されたパーツ情報が示す対象のパーツに夫々対応付けて更新する。
【0126】
そして、作成条件設定部402aは、利用者により入力される作成条件を設定する(ステップSG−3)。そして、昇降機モデリング部402bは、ステップSG−3にて作成条件設定部402aの処理により設定された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、ステップSG−2にて組立手順入力部402eの処理により入力された組立手順情報を含むパーツ情報データベース406aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する(ステップSG−4)。例えば、昇降機モデリング部402bは、
図3に示すようなエレベータのBIMパーツを作成する。ここで、ステップSG−2において、昇降機モデリング部402bは、作成条件を満たす複数の昇降機のBIMパーツを作成してもよい。
【0127】
そして、画面表示部402dは、ステップSG−4にて昇降機モデリング部402bの処理により作成された昇降機のBIMパーツを、表示部414に表示させる(ステップSG−5)。本実施形態では、ステップSG−5において、画面表示部402dは、BIMパーツに含まれる組立手順情報が示す昇降機の部材の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成するパーツの表示形態を異ならせる。例えば、画面表示部402dは、組立手順情報に含まれる昇降機の部材の据付作業日に応じて、BIMパーツを構成するパーツの色を異ならせる(
図5乃至
図8参照)。その後、本処理を終了する。
【0128】
続いて、
図21を参照して、第3の実施形態においてBIMシステムにより実行される照合処理について説明する。
図21は、第3の実施形態におけるBIMシステムの照合処理の一例を示すフローチャートである。
【0129】
図21に示すように、制御部402は、利用者により入力部418を介して、昇降機の部材に付与された識別情報が入力されたか否かを判定する(ステップSH−1)。そして、照合部402fは、ステップSH−1にて制御部402の処理により識別情報が入力されたと判定された場合(ステップSH−1:YES)、
図20のステップSG−5にて画面表示部402dの処理により表示部414に表示されたBIMパーツに含まれるパーツのうち、識別情報により特定されるパーツが存在するか否かを示す照合結果を生成する(ステップSH−2)。一方、ステップSH−1にて制御部402の処理により識別情報が入力されていないと判定された場合には(ステップSH−1:NO)、制御部402は、ステップSH−1の処理を、識別情報が入力されたと判定されるまで繰り返す。
【0130】
そして、制御部402は、ステップSH−3にて照合部402fの処理により生成された照合結果に基づいて、
図20のステップSG−5にて画面表示部402dの処理により表示部414に表示されたBIMパーツに含まれるパーツのうち、ステップSH−1にて利用者により入力された識別情報により特定されるパーツが存在するとの照合結果であるか、または、ステップSH−1にて利用者により入力された識別情報により特定されるパーツが存在しないとの照合結果であるかを判定する(ステップSH−3)。
【0131】
ステップSH−3において、制御部402の処理により、ステップSH−2にて照合部402fの処理により生成された照合結果が、ステップSH−1にて利用者により入力された識別情報により特定されるパーツが存在するとの照合結果であると判定された場合(ステップSH−3:YES)、画面表示部402dは、表示部414に完了通知を表示させる(ステップSH−4)。その後、本処理を終了する。
【0132】
一方、ステップSH−3において、制御部402の処理により、ステップSH−2にて照合部402fの処理により生成された照合結果が、ステップSH−1にて利用者により入力された識別情報により特定されるパーツが存在しないとの照合結果であると判定された場合(ステップSH−3:NO)、画面表示部402dは、表示部414にエラー通知を表示させる(ステップSH−5)。その後、本処理を終了する。
【0133】
続いて、
図22を参照して、第3の実施形態においてBIMシステムにより実行される統合BIMモデル作成処理について説明する。
図22は、第3の実施形態におけるBIMシステムの統合BIMモデル作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0134】
なお、
図22において、ステップSI−1〜SI−2の処理は、
図20のステップSG−3〜SG−4の処理に夫々対応するため、説明を省略する。
図22に示す統合BIMモデル作成処理では、ステップSI−3の処理から説明する。
【0135】
図22に示すように、統合モデリング部402cは、ステップSI−2にて昇降機モデリング部402bの処理により作成された昇降機のBIMパーツを、BIMモデルデータベース406bに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する(ステップSI−3)。例えば、統合モデリング部402cは、
図4に示すような、エレベータのBIMパーツが建築物のBIMモデルに組み込まれた状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する。
【0136】
そして、画面表示部402dは、ステップSI−3にて統合モデリング部402cの処理により作成された統合BIMモデルを、表示部414に表示させる(ステップSI−4)。本実施形態では、ステップSI−4において、画面表示部402dは、当該統合BIMモデルに組み込まれたBIMパーツに含まれる組立手順情報が示す昇降機の部材の組立手順にしたがって、当該BIMパーツを構成するパーツの表示形態を異ならせる。その後、本処理を終了する。
【0137】
以上で、第3の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例の説明を終える。
【0138】
なお、第3の実施形態にかかるBIMシステム(スタンドアロン型)においても、上述の第1の実施形態にかかるBIMシステム(機能分散型)と同様の効果を奏する。
【0139】
[他の実施形態]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0140】
例えば、上述の実施形態では、昇降機としてエレベータを例にして説明したが、エスカレータ、動く歩道等の乗客コンベアについても同様に本発明を適用できる。
【0141】
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0142】
この他、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0143】
また、端末装置100、サーバ装置200、および、BIM装置400に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0144】
例えば、端末装置100、サーバ装置200、および、BIM装置400の各装置が備える処理機能、特に制御部102、制御部202、および、制御部402にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じて端末装置100、サーバ装置200、および、BIM装置400に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDDなどの記憶部106、記憶部206、および、記憶部406などには、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0145】
また、このコンピュータプログラムは、端末装置100、サーバ装置200、および、BIM装置400に対して任意のネットワーク300を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0146】
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0147】
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0148】
記憶部106、記憶部206、および、記憶部406に格納される各種のデータベース等(例えば、BIMモデルデータベース106a、パーツ情報データベース206a、BIMモデルファイル206b、パーツ情報データベース406a、BIMモデルデータベース406b等)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0149】
また、端末装置100、サーバ装置200、および、BIM装置400は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、該情報処理装置に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、端末装置100、サーバ装置200、および、BIM装置400は、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0150】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【0151】
以上で説明した実施形態に係るBIMシステム、方法およびプログラムによれば、その結果、据付作業者による昇降機の部材の据付作業をより一層効率化させるように支援することができる。