(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオール成分が、40から100重量%のジアンヒドロヘキシトール、及び随意に、環状エーテルポリオールとは異なる1種又は複数のポリオールを0から60重量%含む、請求項1に記載の放射線硬化性組成物。
(メタ)アクリル化用化合物(iii)が、少なくとも1種のポリイソシアナート(iv)と、イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の反応性基及び少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を含有する少なくとも1種の化合物(v)との反応生成物である、請求項5又は6に記載の放射線硬化性組成物。
ポリエステル(メタ)アクリラート、エポキシ(メタ)アクリラート、ウレタン(メタ)アクリラート、及び/又はアクリルコポリマーから選択される少なくとも1種の化合物(B1)をさらに含む、請求項9に記載の放射線硬化性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の態様では、(i)ポリオール成分、(ii)ポリ酸成分、及び(iii)1種又は複数の(メタ)アクリル化用化合物、から調製される(メタ)アクリル化化合物(A)であって、ポリオール成分がポリオール成分の総重量に対して少なくとも30重量%の1種又は複数の環状エーテルポリオールを含み、化合物(A)が随意に、(ポリ)カプロラクトン含有部分(ai)、(ポリ)ラクチド及び/若しくは(ポリ)グリコリド含有部分(aii)、エポキシド基を与える部分(aiii)、並びに2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド基を与える部分(aiv)からなる群から選択される1つ又は複数の部分をさらに含有する、上記(メタ)アクリル化化合物(A)が提供される。
【0010】
典型的には、(メタ)アクリル化用化合物(iii)はヒドロキシル基又はカルボン酸基と反応することが可能な1個(又は実質的に1個)の反応性基及び少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を含む。「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイル、メタクリロイル、又は両者の混合物を意味する。或いは、(メタ)アクリル化用化合物は、少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基、及びヒドロキシル基と又はカルボン酸基と反応することが可能な1個(又は実質的に1個)の反応性基を含むリンカーと反応することが可能な1個(又は実質的に1個)の反応性基を含み得る。
【0011】
「(メタ)アクリル化された」とは、本発明の化合物(A)が1個若しくは複数のアクリロイル基、1個若しくは複数のメタクリロイル基、又は両者の混合物を含有することを示すことが意図される。典型的には、本発明の化合物(A)は分子の両端に(メタ)アクリロイル基を含有する。
【0012】
「(メタ)アクリル化用化合物」とは、重合性(メタ)アクリロイル基、好ましくは重合性アクリロイル基を与える化合物を示すことが意図される。「重合性」とは、特に(メタ)アクリロイル基が照射及び/又は(光)開始剤の影響下でラジカル重合され得ることを示すことが意図される。「部分」とはビルディングブロック又はモノマー単位を意味する。
【0013】
「(ポリ)カプロラクトン含有部分」とは、1つ若しくは複数のカプロラクトン単位及び/又は1つ若しくは複数のポリカプロラクトン単位を含有する部分を示すことが意図される。非常に好適なのは、式(1):
−(C(=O)C
uH
2uO)
t−
(式中、uは2から5、好ましくは3から5の整数であり、tは1から10、好ましくは1から5、最も典型的には1から3の整数である)により表される少なくとも一部を含む部分(ai)である。部分(ai)は典型的には、(ポリ)γ−ブチロラクトン部分、(ポリ)δ−バレロラクトン部分、及び/又は(ポリ)ε−カプロラクトン部分から選択される。好ましいのは(ポリ)ε−カプロラクトン部分であり、より詳細にはポリ−ε−カプロラクトン部分である。多くの場合、tはそのとき1又は2である。
【0014】
「(ポリ)ラクチド含有部分」とは、1つ若しくは複数のポリラクチド単位及び/又は1つ若しくは複数のラクチド単位を含有する部分を示すことが意図される。「(ポリ)グリコリド含有部分」とは、1つ若しくは複数のポリグリコリド単位及び/又は1つ若しくは複数のグリコリド単位を含有する部分を示すことが意図される。典型的には、部分(aii)は、式(2):
−[C(=O)−CH(R)−O−C(=O)−CH(R)−O]
t’−
(式中、t’は1から10の整数であり、Rはそれぞれ−H又は−CH
3から選択される)により表される少なくとも一部を含む。
【0015】
典型的にはt’は1から5、より典型的には2から4の整数である。典型的には、Rは−CH
3である。ラクチドはL−、メソ−及び/又はD−ラクチドでもよい。
【0016】
エポキシド基を与える部分(aiii)の例はエピハロヒドリンに由来する部分である。エピハロヒドリンは、ハロメチルオキシラン骨格(スキーム1)を有し、式中、Xがハロゲン原子である化合物である。好ましいエピハロヒドリンはエピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン(エピクロルヒドリンとしても知られている)、エピブロモヒドリン、及び/又はエピヨードヒドリンである。最も好ましいのはエピクロロヒドリンである。
【化1】
【0017】
2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド基を与える部分(aiv)の例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシドに由来する部分である。好ましいのはエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドに由来する部分である。
【0018】
本発明の一実施形態では、本発明の化合物(A)の調製に使用されるポリオールの1種又は複数は、上記の部分の1つ又は複数を含有するよう改変され得る。或いは又は加えて、これらの部分は(メタ)アクリル化用化合物(iii)に含有され得る。しかしながら、存在する場合、これらの部分は好ましくはポリエステル主鎖のみに含有され、その理由は、これによってより良好な特性がもたらされたからである。
【0019】
本発明による化合物(A)は様々な手法で調製することができる。可能な手法の1つは、全ての試薬をワンポットシステムで反応させることである。或いは、化合物は、記載したポリオール成分及びポリ酸成分からポリエステルを調製する第1のステップと、第1のステップで得られたポリエステルを1種又は複数の好適な(メタ)アクリル化用化合物と反応させることを含む第2のステップとを含むプロセスにより調製してもよい。典型的には、本発明の化合物(A)は、化合物(i)、(ii)及び(iii)、及び場合により(iv)を、好ましくは無水条件下で、好ましくは50℃から150℃の間、より好ましくは80℃から130℃の間の温度で、反応が実質的に完了するまで反応させることにより調製される。プレポリマーの粘度を低減するために5から40重量%、好ましくは15から25重量%の溶媒を加えることにより、反応を促進してもよい。溶媒は好ましくはヘプタン、ヘキサン、又はトルエンである。このプロセスにおいて、エステル化反応を加速する触媒を使用することが一般的である。典型的な触媒は、化合物(A)の総重量に対して約0.1から約2wt%の範囲の濃度で典型的に使用される強酸、例えばアルキル及び/又はアリールスルホン酸である。典型的な阻害剤は、化合物(A)の総重量に対して約0.01から約0.5wt%の範囲の濃度で典型的に使用されるフェノール系酸化防止剤、例えばヒドロキノン、メチルエーテルヒドロキノン等である。
【0020】
典型的には、本発明の化合物(A)の調製に使用されるポリオール成分(i)は、ポリオール成分の総重量に対して少なくとも32重量%の1種又は複数の環状エーテルポリオール(i’)を含む。好ましくはこの量は少なくとも33重量%であり、より好ましくは少なくとも34重量%であり、さらに好ましくは少なくとも35重量%であり、最も好ましくは少なくとも40重量%である。多くの場合この量は少なくとも50重量%であり、典型的には少なくとも60重量%であり、より典型的には少なくとも70重量%である。この量はポリオール成分の総重量に対して100重量%まで達してもよい。
【0021】
「ポリオール」とは2個以上のヒドロキシル基を有する有機化合物を示すことが意図される。ジオールが多くの場合好ましい。
【0022】
環状エーテルポリオール(i’)は少なくとも1個の環状エーテル基及び少なくとも2個のヒドロキシル基を有する化合物である。好ましいのは生物由来の環状エーテルポリオールである。生物由来の環状エーテルポリオールは、例えば農業、林業、植物、細菌又は動物原料などの再生可能な生物原料に由来する又はそれにより合成される、環状エーテルポリオールである。
【0023】
好適な環状エーテルポリオールの例は、例えばアンヒドロヘキシトールである。アンヒドロヘキシトールは、典型的にはいくつかの生物原料、例えばコムギ、トウモロコシ、セルロースに由来するヘキソース、例えばグルコース、マンノース、イドースのカルボニル基を還元することにより生成されるヘキシトール、例えばソルビトール(グルシトール)、マンニトール、イジトールの脱水により得られる。
【0024】
二重脱水(double dehydration)することにより、ジアンヒドロヘキシトールが生じる。通常、アンヒドロヘキシトールはジアンヒドロヘキシトール、例えばジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロイジトール、及びそれらの混合物である。ジアンヒドロヘキシトールは好ましくはジアンヒドロソルビトールであり、より詳細にはイソソルビドである。少数の会社がジアンヒドロヘキシトール、例えばイソソルビド、イソマンニド、及びイソイジドの製造を専門としている。
【0025】
随意に、環状エーテルポリオールとは異なる1種又は複数の他のポリオール(ii’)を本発明の化合物(A)の調製に使用してもよい。他のポリオール(ii’)の量はポリオール成分の総重量に対して0重量%から68重量%まで変動し得る。多くの場合この量は最大で67重量%であり、通常最大で66重量%であり、より典型的には最大で65重量%であり、最も典型的には最大で60重量%である。より多くの場合この量は最大で50重量%であり、より典型的には最大で40重量%であり、さらに典型的には最大で30重量%である。ポリオール(ii’)とは、特に上で指定したジアンヒドロヘキシトールとは異なるポリオール、より詳細にはイソソルビドなどのジアンヒドロソルビトールとは異なるポリオールを示すことが意図される。
【0026】
本発明の特定の実施形態では、環状エーテルポリオール(i’)の量は、ポリオール成分の総重量に対して少なくとも75重量%、多くの場合少なくとも80重量%、より詳細には少なくとも85重量%、さらに詳細には少なくとも90重量%であり、最大99.9重量%、より典型的には最大99.5重量%である。典型的には環状エーテルポリオールはジアンヒドロヘキシトールであり、より詳細にはジアンヒドロソルビトールであり、最も詳細にはイソソルビドである。
【0027】
本発明に関連して使用され得るポリオール(ii’)の例としては、(ポリ)エチレングリコール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールなど);(ポリ)プロピレングリコール(例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びトリプロピレングリコールなど);1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール);2−メチル−1,3−プロパンジオール(MPD);2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール;1−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール;1,3−ブチレングリコール;1,4−ブタンジオール;2,3−ブタンジオール;2−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(BEPD);ペンタンジオール;2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール;1,3−ペンタンジオール;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール;ヘキシレングリコール;1,6−ヘキサンジオール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロパノアート(ヒドロキシルピバリルヒドロキシピバラート(HPHP);ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバラート);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(TMPD);水素化ビスフェノールA;トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール;これらのうち任意のもののエトキシル化及び/又はプロポキシル化型(例えばプロポキシル化グリセロールなど);並びにそれらの(上記のうち任意のものの)混合物が挙げられるがこれらに限定されない。多くの場合ポリオール(ii’)はジオールである。本発明に関連して使用され得るより高い官能基数のポリオール(ii’)の例としてはPerstorp製のポリオールR3540が挙げられるがこれらに限定されない。他の好適なポリオール(ii’)のより広範なリストが表1に提供される:
【表1】
【0028】
好ましいポリオール(ii’)はプロポキシル化及び/又はエトキシル化グリセロール、トリメチロールプロパン、Perstorp製のポリオールR3540、ペンタエリトリトール(例えばPerstorp製のPP50)、並びにこれらのうち任意のものの混合物である。
【0029】
本発明の化合物(A)の調製に使用されるポリ酸成分(ii)は1種又は複数の「ポリ酸」を含むことができる。「ポリ酸」とは、とにかく有機物が使用されることを示すことが意図され、ジメチルエステル及び/又はジエチルエステルが好ましい。好ましいポリ酸化合物は2個以上のカルボン酸基を有する。ポリ酸の対応する無水物又は好適な対応するジアルキルエステルを使用してもよい。ジアルキルエステルが二酸(即ち、2個のカルボン酸基を有するポリカルボン酸)である場合。
【0030】
任意の好適なポリ酸が使用され得るが、多くの場合脂肪族ポリ酸、より詳細には脂肪族二酸が使用される。典型的には、使用される脂肪族二酸は直鎖脂肪族二酸である。
【0031】
典型的には、以下のリストからの1種又は複数のポリ酸が使用される:コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、及びダイマー二酸、例えばEmpol(登録商標)1018又はPripol(登録商標)1013。
【0032】
好適な無水物の例としては無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、及び/又はピロメリット酸二無水物が挙げられるがこれらに限定されない。以下のものを使用してもよい:イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、クエン酸、酒石酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、又は(これらのうち任意のものの)対応する無水物。芳香族ポリ酸、例えばイソフタル酸及び/又はテレフタル酸を使用してもよい。
【0033】
好ましいポリ酸は無水フタル酸、ダイマー二酸、コハク酸、無水コハク酸、及び/又はアジピン酸である。さらに好ましいのはダイマー二酸、コハク酸、無水コハク酸、及び/又はアジピン酸である。
【0034】
好適な(メタ)アクリル化用化合物(iii)の選択は使用される総ポリオール(i’及びii’)/総ポリ酸(ii)の比に応じてなされる。多くの場合この比は1を超える。
【0035】
典型的には、(メタ)アクリル化用化合物(iii)はエステル及び/又はカルバマート基を介して分子の主鎖に結合する。本発明のある特定の実施形態では、リンカー(例えば無水物)を使用して(メタ)アクリル化用化合物を分子の主鎖と結合してもよい。
【0036】
下記は、総ポリオール(i’及びii’)/総ポリ酸(ii)の比が1を超える場合の本発明のいくつかの好ましい実施様式である。多くの場合この比は2:1から6:5であり、最も多くの場合この比は2:1から4:3である。典型的には、ヒドロキシル基と反応することが可能な反応性基を含む(メタ)アクリル化用化合物(iii)がこの場合使用される。最も典型的には、ヒドロキシル基と反応することが可能な実質的に1個(特に1個)の反応性基を含む(メタ)アクリル化用化合物(iii)が使用される。
【0037】
本発明の第1の変形例では、(メタ)アクリル化用化合物(iii)は不飽和酸及び/又はその好適な同等物から選択される。好適な同等物の例は、例えば不飽和酸のアシルハライド、不飽和酸の対応する無水物、及び/又は不飽和酸の低級アルキルエステルである。低級アルキルとはC
1〜C
4アルキルを意味する。本発明での使用に好ましいのは不飽和一塩基酸である(例えば下の式IV参照)。本発明での使用に特に適しているのは(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸ハライド、及び/又は(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルである。好適な(メタ)アクリル酸ハライドの例は(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミド、及び/又は(メタ)アクリル酸ヨージドである。低級アルキルエステルとは特に、(メタ)アクリル酸などの不飽和酸の低級アルコールエステルを示すことが意図される。低級アルコールは好ましくは脂肪族C
1〜C
4アルコールである。好ましい低級アルキルエステルは例えば(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、及び/又はイソプロピルエステルである。(メタ)アクリル酸ハライド及び/又は(メタ)アクリル酸無水物が使用される場合、分解を避けるために脱水状態で作業することが望ましい。第1の実施形態のこの第1の変形例での使用に好ましいのは(メタ)アクリル酸である。より好適な例は下の式IV付近のセクションに提供される。
【0038】
本発明の第2の変形例では、(メタ)アクリル化用化合物(iii)は少なくとも1種のポリイソシアナート(iv)と、イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の反応性基を含有し、少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を含有する少なくとも1種の化合物(v)との反応生成物(又は付加物)から選択される。
【0039】
ポリイソシアナート(iv)とは、少なくとも2個のイソシアナート基を含有する有機化合物を示すことが意図される。典型的にはポリイソシアナートは6個以下のイソシアナート基を含有し、より好ましくは3個以下のイソシアナート基を含有する。最も典型的には、それはジイソシアナートである。ポリイソシアナートは1種又は複数の当技術分野で周知の脂肪族、脂環式、芳香族、及び/又は複素環式ポリイソシアナートから選択され得る。使用され得る脂肪族及び脂環式のポリイソシアナートの例は1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,1’−メチレンビス[4−イソシアナトシクロヘキサン](H12MDI)、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート、IPDI)である。3個以上のイソシアナート基を含有する脂肪族ポリイソシアナートは例えば、1,6−ジイソシアナトヘキサンビウレット及びイソシアヌラートなどの上述のジイソシアナートの誘導体である。使用され得る芳香族ポリイソシアナートの例は1,4−ジイソシアナトベンゼン(BDI)、2,4−ジイソシアナトトルエン(TDI)、1,1’−メチレンビス[4−イソシアナトベンゼン](MDI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアナート(NDI)、トリジンジイソシアナート(TODI)、テトラメチルキシリレンジイソシアナート(TMXDI)、及びp−フェニレンジイソシアナート(PPDI)である。本発明に関連して使用され得るポリイソシアナートの他の例は、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、上述のジイソシアナートの2,4−ジイソシアナトジフェニルメタンとの工業用混合物及びさらには高級同族体、2,4−ジイソシアナトトルエン及びそれらの2,6−ジイソシアナトトルエンとの工業用混合物、並びに3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアナート(TMI)の共重合生成物である。
【0040】
好ましいのは脂肪族ポリイソシアナートであり、最も好ましいのは脂肪族ジイソシアナートである。
【0041】
化合物(v)はイソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の反応性基及び少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物である。典型的には、化合物(v)は少なくとも1個のアクリロイル及び/又はメタクリロイル基、並びにイソシアナート基と反応することが可能な1個(又は実質的に1個)の求核官能基、例えばヒドロキシル基を含有するエンドキャッピング剤である。他の可能な基はアミノ及び/又はチオール基である。しかし、ヒドロキシル基が好ましい。モノ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物及びポリ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物を使用することができる。
【0042】
有用な化合物(v)としては、脂肪族及び/又は芳香族のポリオールの(メタ)アクリル酸によるエステル化生成物が挙げられ、前記化合物(v)は約1の残留平均ヒドロキシル官能価を有する。(メタ)アクリル酸の三、四、五若しくは六価ポリオール又はそれらの混合物による部分エステル化生成物が好ましい。これに関連して、そのようなポリオールと、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応生成物を使用することも可能である。これに関連して、そのようなポリオールと、開環反応においてこれらのポリオールに付加するラクトンとの反応生成物を使用することも可能である。好適なラクトンの例はγ−ブチロラクトン、特にδ−バレロラクトン及びε−カプロラクトンである。グリコリド及びラクチドを同じ目的のために使用することができる。これらの変性又は非変性ポリオールは、所望の残留ヒドロキシル官能価に達するまで、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの混合物により部分的にエステル化される。
【0043】
1個のヒドロキシル官能基及び少なくとも1個の(メタ)アクリル官能基を有する化合物を形成する、(メタ)アクリル酸と、1個のエポキシ官能基を有する脂肪族、脂環式又は芳香族化合物との反応から得られる化合物(v)も同様に使用することができる。
【0044】
他の好適な化合物(v)は、少なくとも1個のヒドロキシ官能基が遊離状態のままである直鎖及び分枝鎖ポリオールの(メタ)アクリルエステル、例えばアルキル基中に1から20個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートである。このカテゴリーの好ましい分子はヒドロキシメチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、及び/又はヒドロキシブチル(メタ)アクリラートである。ポリ(メタ)アクリロイルヒドロキシル化化合物の好ましい例は少なくとも2個の(メタ)アクリル官能基を含む化合物、例えばグリセロールジアクリラート、トリメチロールプロパンジアクリラート、グリセロールジアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、ジトリメチロールプロパントリアクリラート、ジペンタエリトリトールペンタアクリラート、並びにそれらの(ポリ)エトキシル化及び/又は(ポリ)プロポキシル化同等物である。このカテゴリーのうちポリ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物が好ましい。
【0045】
幾分好ましくはないが、化合物(v)は上に記載した部分(ai)から(aiv)までの1つ又は複数を含有し得る。後者は化合物(v’)と称される。
【0046】
好適な化合物(v’)の例はヒドロキシC
1〜4アルキル(メタ)アクリラート−((ポリ)ラクトン)
t化合物(式中、tは1から10、好ましくは1から5の整数である)である。好ましくは、(ポリ)ラクトンは(ポリ)カプロラクトンである。このカテゴリーの有用な化合物(v’)の例はTone M100(Dow Chemicals)及び/又はBisomer PEMCURE 12A(Cognis)である。好適な部分(v’)の他の例はヒドロキシC
1〜4アルキル(メタ)アクリラート−((ポリ)ラクチド)t’化合物(式中、t’は1から10の間の整数であり、好ましくはt’は1から5の間であり、最も好ましくはt’は2から4の間である)である。このカテゴリーの有用な化合物(v’)の例は、ヒドロキシ(メタ)アクリラート(化合物ii)及び例えばGalacid Slow release(GALACTIC SA)、FUTERRO(登録商標)Lactide LF(Futerro)、PURALACT(登録商標)L、PURALACT(登録商標)D若しくはPURASORB(登録商標)G(Purac)、又はこれらの(これらのうち任意のものの)混合物の反応生成物(又は付加物)である。このカテゴリーの化合物(v’)の合成に使用されるヒドロキシ(メタ)アクリラート、特にヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート(v)の量は一般的には5から80wt%(これらの化合物v’の総重量に対して)の範囲である。
【0047】
しかしながら、好ましいのは上記の部分(ai)から(aiv)までをいずれも含有しない化合物(v)である。
【0048】
本発明のこの第2の変形例では、ポリイソシアナート(iv)は最も典型的にはジイソシアナートであり、化合物(v)はイソシアナート基と反応することが可能な実質的に1個(特に1個)の反応性基及び少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物である。
【0049】
本発明の第3の変形例では、本発明の化合物(A)は、上に記載したポリオール成分と、上に記載したポリ酸と、少なくとも1種の無水物(vi)と、1個のエポキシド基及び1個又は複数の(メタ)アクリロイル基を含有する少なくとも1種の(メタ)アクリル化用化合物(vii)との反応から調製される。この変形例による化合物(A)は典型的には、上に記載したポリオール成分及びポリ酸成分から調製されたヒドロキシル末端ポリエステルを無水物(vi)と反応させることを含む第1のステップと、第1のステップで得られた生成物を、1個のエポキシド基及び1個又は複数の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物(vii)と反応させることを含む第2のステップとを含むプロセスにより調製される。
【0050】
使用され得る無水物(vi)の例としては無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、及び/又はピロメリット酸二無水物が挙げられるがこれらに限定されない。好ましいのは無水コハク酸、無水マレイン酸、及び/又は無水フタル酸である。最も好ましいのは無水コハク酸である。使用され得る化合物(vii)の例はグリシジル(メタ)アクリラート及び/又はモノ(メタ)アクリル化ビスフェノールAジグリシジルエーテルである。グリシジル(メタ)アクリラートが好ましい。
【0051】
下記は、総ポリオール(i’及びii’)/総ポリ酸(ii)の比が1未満の場合の本発明のいくつかの好ましい実施様式である。典型的には、カルボン酸基と反応することが可能な反応性基を含む(メタ)アクリル化用化合物(iii)がこの場合使用される。最も典型的には、カルボン酸基と反応することが可能な実質的に1個(特に1個)の反応性基を含む(メタ)アクリル化用化合物(iii)が使用される。
【0052】
本発明の第4の変形例では、(メタ)アクリル化用化合物(iii)は上に記載した化合物(vii)から選択される。
【0053】
本発明の第5の変形例では、(メタ)アクリル化用化合物(iii)は上に記載した化合物(v)から選択される。
【0054】
所望の場合はいつでも、上記の変形例のいずれかによる化合物(A)のブレンド(又は混合物)を使用することができる。しかしながら、好ましいのは上に記載した第1及び/又は第2の変形例による化合物(A)である。
【0055】
本発明に関連して好ましいのは、一般式(I):
Y−[ポリオール(A)
n−ポリ酸]
m−X(A)
n’−Y’
(式中、
Y及びY’は独立に(メタ)アクリル化用化合物の残基であり、
Xは環状エーテルポリオール、より詳細にはジアンヒドロヘキシトールの残基であり、
Aは(ポリ)カプロラクトン、(ポリ)ラクチド、(ポリ)グリコリド、エポキシド基を与える化合物、及び/又は2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド基の残基を表し、
n及びn’は独立に0から10の整数であり、
mは1から5、好ましくは1から3の整数である)により表される化合物(A)である。
【0056】
典型的には、Y及びY’は独立に、ヒドロキシル基と反応することが可能な反応性基を含有する(メタ)アクリル化用化合物から選択される。最も典型的には、Y及びY’はヒドロキシル基と反応する1個(又は実質的に1個)の反応性基を含有する。好ましいのは第1及び/又は第2の変形例について上に記載した化合物(iii)である。多くの場合Y及びY’は同一である。典型的には、ジアンヒドロヘキシトールはイソソルビドである。
【0057】
本発明のこの特定の実施形態では、「ポリ酸」は上に記載したポリ酸のいずれであってもよく、脂肪族二酸、より詳細には直鎖脂肪族二酸又はその同等物が好ましい。「ポリオール」は環状エーテルポリオール(i’)(この場合ジアンヒドロヘキシトール)から及び/又は環状エーテルポリオール(この場合ジアンヒドロヘキシトール)とは異なるポリオール(ii’)から選択することができる。いずれも上に記載されている。
【0058】
本発明のこの特定の実施形態では、典型的にはn及びn’は独立に0から5の整数であり、より典型的には0から3の整数である。この実施形態の第1の変形例では、n及びn’の少なくとも一方は0であり、好ましくはn及びn’はいずれも0である。この実施形態の第2の変形例では、n及びn’の少なくとも一方は0とは異なる。この実施形態の第3の変形例では、n及びn’は独立に1から10、好ましくは1から5、典型的には1から3の整数である。
【0059】
特に好ましいのは、一般式(II):
Y−[ポリオール−ポリ酸]
m−X−Y’
(式中、X、Y、Y’、ポリオール、ポリ酸、及びmは上で指定した通りである)により表される化合物(A)である。この式はn及びn’がいずれも0である上の式(I)に対応する。最も好ましくはY及びY’は上で特定した部分(ai)から(aiv)までをいずれも含有しない。多くの場合Y及びY’は同一である。
【0060】
したがって、さらに好ましいのは、一般式(III):
Y−[ポリオール−ポリ酸]
m−X−Y
(式中、X、Y、ポリオール、ポリ酸、及びmは上で指定した通りである)により表される本発明の化合物(A)である。
【0061】
この実施形態の第1の変形例では、Yは不飽和一塩基酸の残基である−一般式(IV)参照:
【化2】
(式中、zは0から3の整数であり、Rは−H又は−CH
3であり、Bは無水物の残基であり、Dはポリオール、典型的にはジオールの残基である)。好ましくは、zは0又は1である。
【0062】
本発明の特定の実施形態では、zは0であり、Yは(メタ)アクリル酸、より詳細にはアクリル酸の残基である(上に記載した本発明の第1の変形例参照)。本発明の別の実施形態では、z>0、より詳細には1であり、Yはモノヒドロキシル化ポリエステル(メタ)アクリラートの残基である。より詳細には、Yはこの場合、上に記載した少なくとも1種の無水物(vi)と少なくとも1種の化合物(v)との付加物(又は反応生成物)の残基である。特に好ましい化合物(v)はヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリラートである。
【0063】
この実施形態の第2の変形例では、Yは一般式(V):
【化3】
(式中、Wは上で特定したポリイソシアナート(iv)の残基であり、Vはポリオールの残基であり、Rは−H又は−CH
3であり、pは1から5、より好ましくは1から2の整数である)により表される残基である。最も典型的には、pは1である。典型的には、Vはジオールの残基である。
【0064】
使用される(メタ)アクリル化用化合物(iii)の種類に応じて、本発明の化合物(A)は、少なくとも1個のカルバマート基を含むポリエステル(メタ)アクリラート及び/又はウレタン(メタ)アクリラートでもよい。本発明のウレタン(メタ)アクリラートはコーティング用途での使用に特に適している。本発明のポリエステル(メタ)アクリラートはコーティング用途(例えばラッカー)又はインクに使用することができる。
【0065】
典型的には、上に記載した化合物以外の化合物は、本発明による化合物(A)の作製に使用されない。
【0066】
典型的には、本発明の化合物(A)は、ポリスチレン標準物質を使用してゲル浸透クロマトグラフィーにより測定すると400から4,000ダルトンの分子量(MW)を有する。より典型的には分子量は少なくとも500ダルトンであり、より好ましくは少なくとも1,000ダルトンである。一般的には分子量は最大で2,000ダルトンである。
【0067】
好ましくは、本発明の化合物(A)は、化合物(A)の総重量に対して10から80重量%の環状エーテルポリオール(この場合ジアンヒドロヘキシトール)を含有する。典型的にはこの量は少なくとも20重量%であり、より好ましくは少なくとも25重量%であり、さらに好ましくは少なくとも30重量%である。典型的にはこの量は、化合物(A)の総重量に基づき最大で70重量%であり、より好ましくは最大で50重量%である。
【0068】
本発明は高い再生可能原料含有量を有する化合物(A)の作製を可能にする。例えば、化合物(A)の総重量に対して少なくとも25重量%、さらには少なくとも30重量%の化合物の調製に使用される原材料が再生可能起源に由来する、化合物(A)を調製することができる。この量はさらに高くてもよく、例えば少なくとも50重量%、さらには少なくとも70重量%であってもよい。
【0069】
好ましくは、本発明の化合物(A)は、25℃で測定される粘度が400から40,000mPa.sの範囲である。典型的には粘度は最大で25,000mPa.sであり、より好ましくは最大で10,000mPa.sである。
【0070】
好ましくは、本発明の化合物(A)は、硬化した材料のガラス転移温度(Tg)が、示差走査熱量測定により(例えばASTM E1640−09に従い1分あたり3℃の加熱勾配で)測定すると35から100℃の範囲であることを特徴とする。典型的にはTgは少なくとも50℃であり、より好ましくは少なくとも60℃である。典型的にはTgは最大で160℃であり、より好ましくは最大で120℃である。
【0071】
本発明の化合物(A)の一利点はその高い硬化速度である。本発明の化合物(A)はコーティング組成物での使用に非常に好適である。コーティング組成物は透明(例えばラッカー)であっても、着色されていてもよい。本発明の化合物(A)はハードコートの調製に特に適している。本発明の化合物(A)はさらにインク、ワニス、及び接着剤での使用にも好適である。本発明の化合物(A)は複合材料のポリマーマトリックス(透明又は着色)の作製にも好適である。それらはさらにステレオリソグラフィー用途での使用に適している。
【0072】
したがって、本発明の第2の態様は少なくとも1種の本発明の化合物(A)を含む放射線硬化性組成物に関する。
【0073】
典型的には、本発明の組成物は、組成物の総重量に対して少なくとも5重量%の本発明の化合物(A)を含む。典型的にはこの量は少なくとも10重量%であり、通常少なくとも20重量%であり、より典型的には少なくとも50重量%である。典型的にはこの量は最大で90重量%であり、より典型的には最大で70重量%である。
【0074】
典型的には、本発明の組成物はさらに、化合物(A)とは異なる少なくとも1種の化合物(B)を含む。
【0075】
典型的には、本発明の組成物は、組成物の総重量に対して少なくとも10重量%の化合物(B)を含む。典型的にはこの量は少なくとも20重量%であり、より典型的には少なくとも30重量%である。典型的にはこの量は最大で50重量%であり、より典型的には最大で70重量%である。
【0076】
本発明に関連して好ましいのは、化合物(A)及び(B)の総重量に対して10から90重量%の化合物(A)及び90から10重量%の化合物(B)を含む組成物である。より典型的には、これらの組成物は、化合物(A)及び(B)の総重量に対して30から70重量%の化合物(A)及び70から30重量%の化合物(B)を含む。
【0077】
化合物(B)は以下のうちの1種又は複数から選択され得る:200から5,000ダルトンの分子量(MW)を有する(メタ)アクリル化化合物(B1);光開始剤(B2)、より詳細にはポリマー光開始剤、及び一般式(VI):
Y−X(A)
n’−Y’
(式中、
Y及びY’は独立に(メタ)アクリル化用化合物の残基であり、
Xは環状エーテルポリオール、より詳細にはジアンヒドロヘキシトールの残基であり、
Aは(ポリ)カプロラクトン、(ポリ)ラクチド、(ポリ)グリコリド、エポキシド基を与える化合物、及び/又は2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド基の残基を表し、
n’は0から10の整数である)により表される化合物(B3)。
【0078】
X、Y、Y’、A、及びn’に関するさらなる情報は上に見出される。Y及びY’は典型的には、ヒドロキシル基と反応することが可能な反応性基を含む(メタ)アクリル化用化合物(iii)の残基である。一般的には、Y及びY’はヒドロキシル基と反応することが可能な1個(又は実質的に1個)の反応性基を含有する。最も好ましくはY及びY’は同一であり、最も好ましくはそれらは(メタ)アクリル酸の残基である。典型的には、n’は0から10の整数である。多くの場合n’は最大で5であり、好ましくはn’は最大で3である。好ましい変形例では、n’は0である。ジアンヒドロヘキシトールは典型的にはイソソルビドである。好ましい化合物(B3)はイソソルビドのジ(メタ)アクリラートである。別の変形例では、n’は少なくとも1であり、最大で10、好ましくは最大で5、最も好ましくは最大で3である。化合物(B3)は典型的には化合物(B1)とは異なる。
【0079】
化合物(B1)は典型的には200から5,000ダルトンの分子量(MW)、より詳細には重量平均分子量を有する。典型的にはこれらの化合物のMWは少なくとも300ダルトンであり、より好ましくは少なくとも500ダルトンである。典型的にはこれらの化合物のMWは最大で2,000ダルトンであり、より好ましくは最大で1,000ダルトンである。
【0080】
化合物(B1)は典型的にはオリゴマー又はポリマーであり、より典型的にはオリゴマーである。
【0081】
好ましくは、化合物(B1)は以下のうちの1種又は複数から選択される:化合物(A)とは異なるポリエステル(メタ)アクリラート、化合物(A)とは異なるウレタン(メタ)アクリラート、アルコキシル化(メタ)アクリル化オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリラート、アミノ化(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル化(メタ)アクリル、及び(メタ)アクリル(コ)ポリマー(完全アクリルとも称される)、塩素化されていてもよい不活性ポリエステル。
【0082】
好適なポリエステル(メタ)アクリラートの例は、EBECRYL(登録商標)860(Cytec)などのアクリル化エポキシ化大豆油化合物、EBECRYL(登録商標)870、EBECRYL(登録商標)657、EBECRYL(登録商標)450(Cytec)などのポリエステル(メタ)アクリラートを含有する脂肪酸、並びにEBECRYL(登録商標)800、EBECRYL(登録商標)884、EBECRYL(登録商標)810及びEBECRYL(登録商標)830(Cytec)などのポリエステル(メタ)アクリラートである。
【0083】
好適なエポキシ(メタ)アクリラートの例はビスフェノールAのジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリラート(BADGED(M)A)及びその変性物である(例えば、Cytec製のEBECRYL(登録商標)3700又はEBECRYL(登録商標)600、EBECRYL(登録商標)3701、EBECRYL(登録商標)3703、EBECRYL(登録商標)3708、及びEBECRYL(登録商標)3639参照)。好適なウレタン(メタ)アクリラートの例はEBECRYL(登録商標)284、EBECRYL(登録商標)264、EBECRYL(登録商標)210、EBECRYL(登録商標)230、EBECRYL(登録商標)1290(Cytec)である。好適なアミノ化(メタ)アクリラートの例はEBECRYL(登録商標)80、EBECRYL(登録商標)81、EBECRYL(登録商標)83、EBECRYL(登録商標)7100、P115などである。使用され得る好適な(メタ)アクリル(コ)ポリマーの例はEBECRYL(登録商標)745及び/又はEBECRYL(登録商標)1200である。好適な不活性ポリエステルの例としてはEBECRYL(登録商標)525及び塩素化されていてもよいその変形体(例えばEBECRYL(登録商標)436など)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0084】
本発明に関連して使用され得る好適なポリマー光開始剤(B2)の例はP36、P39等である。
【0085】
多くの場合、本発明の組成物はさらに、化合物(A)及び(B)とは異なる少なくとも1種の化合物(C)を含む。化合物(C)は典型的には反応性希釈モノマーである。化合物(C)は典型的には、少なくとも1個の活性エネルギー線で硬化可能な基、より詳細には少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基、アリル基、及び/又はビニル基を含有する。最も典型的なのは(メタ)アクリロイル基である。
【0086】
化合物(C)は単官能及び/又は多官能(メタ)アクリラートでもよい。とりわけアクリル化型が使用される。
【0087】
好適な化合物(C)の例としては、ブチル(メタ)アクリラート、メチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、n−ヘキシル(メタ)アクリラート、イソボルニル(メタ)アクリラート、イソオクチル(メタ)アクリラート、n−ラウリル(メタ)アクリラート、オクチル/デシル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、フェノキシエチル(メタ)アクリラート、ノニルフェノールエトキシラートモノ(メタ)アクリラート、2−(−2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリラート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリラート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート(HDD(M)A)、ジ又はトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリラート(DPGD(M)A、TPGD(M)A)、エトキシル化及び/又はプロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリラート(PETI(M)A)並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート(TMPT(M)A)並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ジ−トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート(diTMPT(M)A)グリセロールトリ(メタ)アクリラート)並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリラート並びにそのエトキシル化又は/及びプロポキシル化誘導体、脂肪族グリシジルエーテル、とりわけアルキル鎖が6から24個の炭素原子、より好ましくは8から18個の炭素原子を含むもの、並びに/又は飽和及び不飽和のカルボン酸のグリシジルエステル、とりわけアルキル鎖が6から24個の炭素原子、より好ましくは8から18個の炭素原子を含む長鎖アルキルカルボン酸のグリシジルエステルの(メタ)アクリル酸によるエステル化から得られる(メタ)アクリラートが挙げられるがこれらに限定されない。好ましいモノマー(C)は、ジ及び/又はトリ(メタ)アクリル化モノマー、例えば1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート(HDD(M)A)、ジ又はトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリラート(DPGD(M)A、TPGD(M)A)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート(TMPT(M)A)並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリラート(PETI(M)A)並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、グリセロールトリ(メタ)アクリラート並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体である。
【0088】
典型的には、本発明の組成物は、組成物の有機不揮発分の総重量に対して0から90重量%、より詳細には5から60重量%の化合物(C)を含む。存在する場合、それらは典型的には少なくとも5重量%、一般的には少なくとも10重量%、典型的には少なくとも20重量%、より典型的には少なくとも30重量%の量で存在する。典型的にはこの量は最大で60重量%であり、より典型的には最大で40重量%である。
【0089】
本発明の組成物は典型的には紫外線照射により、一般的に光開始剤の存在下で硬化され、光開始剤はポリマー光開始剤(B2)であってもよい。組成物は電子ビーム照射により硬化させることもでき、光開始剤を含まない組成物の使用を可能にする。本発明による組成物は極めて急速な硬化を実現する。
【0090】
存在する場合、光開始剤は典型的には、光重合性化合物100質量部あたり0.1から10質量部の量で加えられる。好適な光開始剤の例としてはアリールケトン系光開始剤(例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、アルキルアミノベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンゾインジメチルケタール、ベンゾイルベンゾアート、又は[アルファ]−アシルオキシムエステル)、含硫黄光重合開始剤(例えばスルフィド又はチオキサントン)、アシルホスフィンオキシド(例えばアシルジアリールホスフィンオキシド)、又は他の光重合開始剤が挙げられるがこれらに限定されない。光重合開始剤は少なくとも2種類のものを組み合わせた混合物として使用され得る。さらに、光重合開始剤はアミンなどの光増感剤と組み合わせて使用され得る。
【0091】
或いは又は加えて、本発明の組成物は少なくとも1種のラジカル重合開始剤、例えば過酸化ベンゾイル、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシド等を含み得る。本発明の組成物はさらに、必要とされる場合には、以下のうちの少なくとも1種を含み得る:紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料(有機着色顔料、無機顔料)、着色染料、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、分散剤、帯電防止剤、防曇剤、及び/又はカップリング剤。
【0092】
本発明の特定の実施形態では、組成物はコーティング組成物である。本発明のコーティング組成物は、紙、木材、金属、コンクリート、プラスチック等が挙げられるがこれらに限定されない、多くの異なる基材に塗布することができる。
【0093】
本発明の組成物は特に、プラスチック、例えばポリ塩化ビニル、ポリカーボナート、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー等に対して優れた接着性を示す。好ましい本発明の組成物はハードコート組成物である。本発明に関するハードコート組成物とは、硬化の後、ガラス上の40ミクロン被膜に対して25℃で測定したとき、Persoz硬度が少なくとも300秒である組成物を示すことが意図される。
【0094】
本発明の別の特定の実施形態では、組成物はインク又はオーバープリントワニスである。インクはリトクグラフ、フレキソ印刷、又はインクジェット用途に使用されるインクであってもよい。本発明のインクは包装産業において使用してもよく、食品包装、より詳細には間接的な食品との接触のための食品包装での使用に好適である。
【0095】
硬化の時間及び条件は組成物の成分、コーティング被膜の厚さ、及び使用される活性エネルギー線源に応じて変動し得る。通常、硬化は約0.1から約60秒間の照射により達成される。さらに、硬化反応を完了させるために、活性エネルギー線の照射後に熱処理を行ってもよい。本発明の組成物は、刷毛塗り、ディップコーティング、ローラーコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、真空コーティング、フレキソ印刷、グラビア印刷、リトグラフ印刷、インクジェット印刷等が挙げられるがこれらに限定されない、当技術分野において使用される任意の好適な技法によって塗布することができる。
【0096】
本発明の組成物は典型的には400から40,000mPa.sの範囲の25℃における粘度を有する。より好ましくはこの温度における粘度は400から20,000mPa.sの範囲であり、最も好ましくは400から10,000mPa.sの範囲である。
【0097】
溶媒を使用してもよいが、本発明の組成物は典型的には最大で0.1重量%の溶媒を含む。通常この量は最大で0.01重量%であり、より好ましくは最大で0.001重量%である。
【0098】
本発明の化合物(A)は典型的には水不溶性化合物である。「水不溶性化合物」とは本発明では、化合物が自己乳化性又は自己分散性ではないが、好適な外部乳化剤の存在下において水中又は水溶液中でエマルジョン又は分散液を形成することを示すことが意図される。典型的には、そのような水性組成物(エマルジョン又は分散液)は最大で70重量%の水を含む。
【0099】
通常この量は最大で65重量%であり、より好ましくは最大で50重量%である。本発明のさらに別の態様は、少なくとも1種の本発明による化合物(A)及び/又は少なくとも1種の本発明による組成物を含むコーティング組成物、インク、オーバープリントワニス、又は接着剤に関する。少なくとも1種の本発明による化合物(A)及び/又は少なくとも1種の本発明による組成物から調製されるコーティング組成物、インク、オーバープリントワニス、又は接着剤も提供される。
【0100】
本発明のさらに別の態様は、通常その表面の少なくとも1つに、本発明の組成物が塗布された物品又は基材に関する。特に、本発明の組成物で完全に又は部分的にコーティングされた物品又は基材が提供される。コーティング組成物は上に記載したハードコート組成物であってもよい。
【0101】
本発明のさらに別の態様は本発明のインク又はオーバープリントワニスで印刷された食品包装に関する。食品包装は特に間接的な食品との接触のためのものである。
【0102】
本発明のさらに別の態様は、コーティングされた物品又は基材を調製するためのプロセスであって、本発明のコーティング組成物をその表面の少なくとも1つに塗布するステップと、続いて放射線で硬化させる(例えばUV及び/又は電子ビームによって)ステップとを含む、上記プロセスに関する。コーティング組成物は上に記載したハードコート組成物であってもよい。
【0103】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも1種の本発明による化合物(A)及び/又は少なくとも1種の本発明による組成物、並びに少なくとも1種の補強材料を含む複合材組成物(透明又は着色)に関する。使用される補強材料は繊維質であっても非繊維質であってもよい。非繊維質材料の例としてはアルミナ三水和物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、ガラス微小球、カオリン、金属フィラー、カーボンブラック、マイカ、有機フィラー(木粉、トウモロコシの穂軸、籾殻/落花生殻、及びナッツシェル)、シリカ、タルク、ワラストナイト、及び他のナノサイズ材料が挙げられるがこれらに限定されない。
【0104】
繊維質材料の例としては、US8012573、EP2226171、US7250209に記載されているようなホウ素繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、天然(麻、ジュート、亜麻、ケナフ、葉繊維などであるがこれらに限定されない)又は合成繊維が挙げられるがこれらに限定されない。多くの場合、ガラスフィラーが補強材料として使用される。好適なガラスフィラーの例としてはガラス繊維、ガラスクロス、ガラス不織布、及び他のガラス繊維クロス、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、粉砕ガラス種等が挙げられるがこれらに限定されない。中でも、ガラス繊維、ガラスクロス、及びガラス不織布は、線膨張率の低減に非常に有効である点から見て好ましい。ガラスクロスが最も好ましい。
【0105】
本発明をこれから下の実施例においてより詳細に記載するが、それらは決して限定されることを意図するものではない。
【0106】
本発明の全体を通じて、特に実施例において、以下の測定方法を適用した。
【0107】
GPCによる分子量決定:サンプルのごく一部をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、4つのPLGel Mixed−AポリスチレンジビニルベンゼンGPCカラム(300mm×7.5mm×20μm)を備えた液体クロマトグラフ(Merck−Hitachi L7100)中に注入する。典型的には、ポリスチレン標準物質(典型的には分子量範囲:200〜7,500,000ダルトン)を内部標準物質として加える。サンプルの成分を溶液中のそれらの分子サイズに基づいてGPCカラムにより分離し、屈折率検出器により検出する。データは典型的にはPolymer Laboratories Cirrus GPCソフトウェアにより収集及び処理する。
【0108】
硬化速度:溶媒摩擦(ADR:アセトン二重摩擦)により測定される完全硬化被膜を生じる所与のランプ下における最大ベルト速度。最適な性能を有する完全硬化コーティングのためには最低50回のADRを要する。
【0109】
最小硬化線量:最低50回のアセトン二重摩擦(ADR)に耐える10μmコーティングを硬化させるのに要する最小UVエネルギーである。選択されたUVランプは80W/cm出力の中圧水銀ランプである。コーティングを硬化させる線量が低いほど、樹脂の反応性は良好である。最小硬化線量は所与のランプ及びリフレクターについての硬化速度に対応する。
【0110】
アセトン二重摩擦:被膜の完全硬化性は、いくらかのタルクを表面に置き、指で、次いで綿で摩擦することにより評価する。艶のない外観は完全には硬化されていない被膜を示す。コーティングは典型的には、アセトンに浸した綿の小塊による50回の二重摩擦にも供する。完全に硬化した被膜はこの試験により視覚的な影響を受けない。
【0111】
Persoz硬度:振り子硬度は、最小硬化線量で2回硬化させたガラス上の40μm被膜に対して測定し、振り子の振幅が12°から4°まで低下するのに要する時間(秒)として測定される。コーティングが硬いほど振動時間が長くなる(減衰効果が少ない)。
【0112】
機械的特性:キャスティングし、配合物の最大硬化速度で5回硬化させた約100μmのフリーフィルム(free film)から得られる応力歪み曲線。測定条件:Zwick Z010;温度:23℃;相対湿度:50%;伸長速度:50mm/分;サンプル寸法:30×10×0.08mm;サンプルの数:2〜7。
【0113】
Tg測定:TgはASTM E1640−09に従い測定する。条件は以下の通りである:DMA Q800(TA instruments)引張モード、周波数:1Hz、歪み10〜30 引張モード、周波数:1Hz、歪み10〜30μm、加熱プロファイル:3℃/分で−50℃から250℃まで、サンプル寸法:12×7.5×0.08mm。
【0114】
粘度:コーンプレート型レオメーターMCR100(Paar−Physica)を用いて固定せん断速度で測定する。転移温度(Tg)はASTM E1356−08に従いDSCにより測定した。
【0115】
レオロジー(降伏値、粘度、ショートネス指数):ISO3219に従いコーンプレート型レオメーターMCR100(Paar−Physica)を使用して測定する。本発明の(フレキソ)インクを測定するための測定形状は、コーンの直径が25mmで角度が1°であった。測定結果は25℃でD=0s−1(ゼロ粘度)、D=2.5s−1からD=2500s−1の範囲の制御されたせん断速度における流動曲線であった。
【0116】
光学密度:一定の被膜厚における印刷されたインクの色密度を測定する。この場合、実験塗布器を使用してインクを印刷し、分光光度法で反射光を入射光と比較するデンシトメーターを用いて色密度を測定する。ここでは、適切なフィルターを備えたGretag Macbeth Spectroeye分光光度計/デンシトメーターを使用して光学密度を測定した。被膜厚(単位:g/m2)は印刷された用紙(form)又は基材の印刷前後の重量を比較することにより決定する。
【0117】
光沢度:光沢度はTRI−MICROGLOSS 20−60−85 SHEEN装置によって測定する。測定は60°の幾何学的配置で行う。
【0118】
NCO含有量:イソシアナート含有量は典型的には、ISO11909に従いアミンを用いた滴定により追跡する
【0119】
耐薬品性:コーティングに特定の化学薬品の染みをいくつか付ける。所定の時間にわたりよく接触させる。綿の小塊を必要に応じて溶媒に浸したものでコーティングを拭く。そしてコーティングの外観を検査する。スコア:0(不良)から5(優)まで。
【0120】
再生可能原材料含有量:再生可能原材料含有量は原材料の総重量に対する再生可能原材料の重量比として計算する。
【実施例】
【0121】
合成例1:ポリエステルアクリラート1
400gのイソソルビド(Posysorb P、Roquette製)、582gのダイマー酸(Pripol1017、Croda製)、295gのアクリル酸、45gのパラトルエンスルホン酸(水中65%)、1.5gのメチルエーテルヒドロキノン、0.3gの酸化銅、0.3gのトリフェニルホスフィット、及び587gのトルエンを、撹拌機、温度調節器に取り付けられた熱電対、ガス導入管、真空装置との接続部、及び蒸留カラムを備えた二重壁ガラス反応器に投入する。次いで、混合物を約120℃の温度に加熱する。水がそれ以上留出されなくなるまでエステル化を継続させる。次いで、混合物を60℃まで冷却し、さらに470gのトルエンを加える。混合物を200gの水で3回洗浄し、共沸蒸留によって乾燥させる。その後、約30mmHgの減圧下でトルエンを留去し、反応生成物を濾過する。このようにして得られたポリエステルアクリラートは帯黄色であり、25℃で10190mPasの粘度を有する。このポリエステルの官能基数は2である。
【0122】
合成例2:ポリエステルアクリラート2
548gのイソソルビド(Posysorb P、Roquette製)、182gのアジピン酸、404gのアクリル酸、35gのメタンスルホン酸(水中70%)、1.4gのメチルエーテルヒドロキノン、0.4gの酸化銅、0.15gのトリフェニルホスフィット、及び610gのトルエンを、撹拌機、温度調節器に取り付けられた熱電対、ガス導入管、真空装置との接続部、及び蒸留カラムを備えた二重壁ガラス反応器に投入する。次いで、混合物を約120℃の温度に加熱する。水がそれ以上留出されなくなるまでエステル化を継続させる。次いで、混合物を60℃まで冷却し、さらに410gのトルエンを加える。混合物を200gの水で3回洗浄し、共沸蒸留によって乾燥させる。その後、約30mmHgの減圧下でトルエンを留去し、反応生成物を濾過する。このようにして得られたポリエステルアクリラートは帯黄色であり、25℃で16,000mPasの粘度を有する。このポリエステルの官能基数は2である。
【0123】
合成例3:ポリエステルアクリラート3
288gのイソソルビド(Posysorb P、Roquette製)、465gのプロポキシル化グリセロール(MW:260)、158gのコハク酸、435gのアクリル酸、41gのメタンスルホン酸(水中70%)、1.5gのメチルエーテルヒドロキノン、0.4gの酸化銅、0.4gのトリフェニルホスフィット、及び650gのトルエンを、撹拌機、温度調節器に取り付けられた熱電対、ガス導入管、真空装置との接続部、及び蒸留カラムを備えた二重壁ガラス反応器に投入する。次いで、混合物を約120℃の温度に加熱する。水がそれ以上留出されなくなるまでエステル化を継続させる。次いで、混合物を60℃まで冷却し、さらに250gのトルエンを加える。混合物を200gの水で3回洗浄し、共沸蒸留によって乾燥させる。その後、約30mmHgの減圧下でトルエンを留去し、反応生成物を濾過する。このようにして得られたポリエステルアクリラートは帯黄色であり、25℃で4100mPasの粘度を有する。このポリエステルの官能基数は3である。
【0124】
合成例4:ポリエステルアクリラート4
144gのイソソルビド(Posysorb P、Roquette製)、356gのラクチド、0.5gの第一スズオクトアート、0.5gのトリフェニルホスフィット、及び0.25gのヒドロキノンモノメチルエーテルを、撹拌機、温度調節器に取り付けられた熱電対、ガス導入管、真空装置との接続部、及び蒸留カラムを備えた二重壁ガラス反応器に投入する。温度を140℃に上昇させ、遊離ラクチドが3%未満になるまでこの温度で保持する。
【0125】
340gのトルエン、58gのコハク酸、83gのアクリル酸、19gのメタンスルホン酸(水中70%)、0.08gの酸化銅、0.85gのmeHQを加えることにより、混合物を冷却する。水がそれ以上留出されなくなるまで混合物を120℃に加熱する。次いで、混合物を60℃まで冷却し、さらに180gのトルエンを加える。混合物を150gの水で3回洗浄し、共沸蒸留によって乾燥させる。その後、約30mmHgの減圧下でトルエンを留去し、反応生成物を濾過する。このようにして得られたポリエステルアクリラートは帯黄色であり、60℃で250,000mPasの粘度を有する。
【0126】
合成例5:ポリエステルアクリラート5
360gのイソソルビド(Posysorb P、Roquette製)、673gのダイマー酸(Pripol1017、Croda製)、231gのアクリル酸、39gのパラトルエンスルホン酸(水中65%)、1.5gのメチルエーテルヒドロキノン、0.3gの酸化銅、及び590gのトルエンを、撹拌機、温度調節器に取り付けられた熱電対、ガス導入管、真空装置との接続部、及び蒸留カラムを備えた二重壁ガラス反応器に投入する。次いで、混合物を約120℃の温度に加熱する。水がそれ以上留出されなくなるまでエステル化を継続させる。次いで、混合物を60℃まで冷却し、さらに460gのトルエンを加える。混合物を200gの水で3回洗浄し、共沸蒸留によって乾燥させる。その後、約30mmHgの減圧下でトルエンを留去し、反応生成物を濾過する。このようにして得られたポリエステルアクリラートは帯黄色であり、25℃で23,300mPasの粘度を有する。このポリエステルの官能基数は2である。
【0127】
合成例6:ウレタンアクリラート1
ポリエステルポリオールa)を以下のように合成する:
113gのジエチレングリコール(DEG)、195gのイソソルビド、272gの無水フタル酸、及び2.15gのFascat4102の混合物を、撹拌機、水冷凝縮器に接続された蒸留カラム、窒素導入口、及び温度調節器に取り付けられた熱電対を備えた二重壁ガラス反応器中で220℃に加熱する。
水がそれ以上蒸留されなくなるまで反応混合物を大気圧下220℃で保持する。次いで、次第に−900mmHgの真空に達するように減圧しながら、酸価を減少させる。10mgKOH/gの酸価に達したらすぐに、混合物を約100℃まで冷却する。
得られたポリエステルは90mgKOH/gのOH価を有する
【0128】
次いで、ウレタンアクリラートb)を以下のように作製する:
209gのイソホロンジイソシアナート(IPDI)を、撹拌機を備えた二重壁ガラス反応器中に投入する。30℃で、110gのヒドロキシエチルアクリラート、0.3gのDBTL、及び0.3gのメチルエーテルヒドロキノンを反応器中に1時間で供給する。90℃までの昇温を伴う発熱反応により、NCOが12.45%NCOまで低下する。
次いで、90℃で、548gのポリエステルa)及び183gのヘキサンジオールジアクリラート(HDDA)を反応器中に投入する。0.15%のNCO%が得られるまで反応を継続させる。
さらなる量の180gのHDDAを加えながら、混合物を冷却する。
樹脂は60℃で4400mPasの粘度を有する。
【0129】
【表2】
【0130】
配合例1〜3:例1の化合物から調製されたインク
フレキソインクを例1で得られた化合物から調製した。インクの組成及び特性を下の表3にまとめる。インクの特性を下に記録したように標準的なフレキソインク(FEx1R〜FEx3R)と比較した。
【表3】
【0131】
上記の結果は、本発明の化合物(A)がUV配合物の他の成分による良好な溶解性を有し、非常に高い反応性を有することを示す。硬化速度は高く、より低い総エネルギー線量を要する。別の利点は、本発明によるインクは相当量の再生可能原材料の使用を可能とすることである。
【0132】
配合例4:例5から調製されたインク
FEx4:リソインクを例5で得られた化合物から調製した。インクの組成及び特性を下の表4にまとめる。インクの特性を、EBECRYL(登録商標)657をベースとする標準的なリソインク(FEx4R)と比較した。
【表4】
【0133】
ここでも、著しく高い再生可能原材料の含有量と併せて優れた結果及び改善された硬化速度が見られる。
【0134】
配合例5:例2の化合物から調製されたコーティング組成物
コーティング組成物を例2で得られた化合物から調製した。インクの組成及び特性を下の表5にまとめる。本発明のコーティング組成物の特性を、EBECRYL(登録商標)800をベースとする標準的なハードコーティング(FEx5R)の特性と比較した。
【0135】
反応性測定のために10ミクロン厚のコーティングをバーコーターで白色紙に塗布し、耐薬品性測定のために20ミクロン厚のコーティングをLenetta紙に塗布した。硬度は上に記載したようにガラス上(40ミクロンコーティング)で測定する。被膜を80ワット/cmの中圧水銀ランプで硬化させ、完全硬化被膜(50回のADRのための最小必要線量)の特性を評価する。
【表5】
【0136】
上記から、本発明の組成物を用いてより高い硬化速度が得られることが示される。より低い官能基数の材料や相当量の再生可能原材料を使用しても同様の特性が得られた。
本発明の一態様を以下に示す。
[請求項1]
(i)ポリオール成分、(ii)ポリ酸成分、及び(iii)1種又は複数の(メタ)アクリル化用化合物、から調製される(メタ)アクリル化化合物(A)であって、ポリオール成分が、ポリオール成分の総重量に対して少なくとも30重量%の1種又は複数のジアンヒドロヘキシトールを含み、化合物(A)が、随意に、(ポリ)カプロラクトン含有部分(ai)、(ポリ)ラクチド及び/若しくは(ポリ)グリコリド含有部分(aii)、エポキシド基を与える部分(aiii)、並びに2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド基を与える部分(aiv)からなる群から選択される1つ又は複数の部分をさらに含有する、上記(メタ)アクリル化化合物(A)。
[請求項2]
ポリオール成分が、40から100重量%のジアンヒドロヘキシトール、及び随意に、環状エーテルポリオールとは異なる1種又は複数のポリオールを0から60重量%含む、請求項1に記載の化合物。
[請求項3]
ジアンヒドロヘキシトールがイソソルビドである、請求項1又は2に記載の化合物。
[請求項4]
(メタ)アクリル化用化合物(iii)がエステル基を介して及び/又はカルバマート基を介して分子の主鎖に結合される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物。
[請求項5]
一般式(I):
Y−[ポリオール(A)n−ポリ酸]m−X(A)n’−Y’
(式中、
Y及びY’は独立に(メタ)アクリル化用化合物の残基であり、
Xはジアンヒドロヘキシトールの残基であり、
Aは(ポリ)カプロラクトン、(ポリ)ラクチド、(ポリ)グリコリド、エポキシド基を与える化合物、又は2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド基の残基を表し、
n及びn’は独立に0から10の整数であり、
mは1から5の整数である)
により表される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物。
[請求項6]
(メタ)アクリル化用化合物が不飽和酸、不飽和酸のアシルハライド、及び/又は不飽和酸のC1〜C4アルキルエステルから選択される、請求項5に記載の化合物。
[請求項7]
(メタ)アクリル化用化合物(iii)が(メタ)アクリル酸である、請求項5又は6に記載の化合物。
[請求項8]
(メタ)アクリル化用化合物(iii)が、少なくとも1種のポリイソシアナート(iv)と、イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の反応性基及び少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を含有する少なくとも1種の化合物(v)との反応生成物である、請求項5又は6に記載の化合物。
[請求項9]
少なくとも5重量%の少なくとも1種の化合物(A)を含む放射線硬化性組成物。
[請求項10]
ポリエステル(メタ)アクリラート、エポキシ(メタ)アクリラート、ウレタン(メタ)アクリラート、及び/又はアクリルコポリマーから選択される少なくとも1種の化合物(B1)をさらに含む、請求項9に記載の放射線硬化性組成物。
[請求項11]
一般式(VI):
Y−X(A)n’−Y’
(式中、
Y及びY’は独立に(メタ)アクリル化用化合物の残基であり、
Xはジアンヒドロヘキシトールの残基であり、
Aは(ポリ)カプロラクトン、(ポリ)ラクチド、(ポリ)グリコリド、エポキシド基を与える化合物、及び/又は2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド基の残基を表し、
n’は0から10の整数であり、最も典型的にはn’は0である)
により表される少なくとも1種の化合物(B3)をさらに含む、請求項9又は10に記載の放射線硬化性組成物。
[請求項12]
少なくとも1種の光開始剤をさらに含み、光開始剤が好ましくはポリマー光開始剤(B2)である、請求項9から11までのいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
[請求項13]
硬化の後、ガラス上の40μ被膜に対して25℃で測定したとき、Persoz硬度が少なくとも300秒であるハードコート組成物である、請求項9から12までのいずれか一項に記載の組成物。
[請求項14]
インクである、請求項9から12までのいずれか一項に記載の組成物。
[請求項15]
その表面の少なくとも1つに請求項9から12までのいずれか一項に記載の組成物を塗布した物品又は基材。