(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100369
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】電気自動車制御モジュールの有効化および無効化の方法並びにシステム
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20060101AFI20170313BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20170313BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
B60L3/00 H
B60L1/00 L
B60R16/023 Z
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-517740(P2015-517740)
(86)(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公表番号】特表2015-530060(P2015-530060A)
(43)【公表日】2015年10月8日
(86)【国際出願番号】EP2013062697
(87)【国際公開番号】WO2013189963
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2016年5月9日
(31)【優先権主張番号】1201736
(32)【優先日】2012年6月19日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100153914
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 勝己
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン、プズナット
【審査官】
橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−043189(JP,A)
【文献】
特開2010−116024(JP,A)
【文献】
特開平10−042481(JP,A)
【文献】
特開2011−138468(JP,A)
【文献】
特開2004−336907(JP,A)
【文献】
特表2010−501412(JP,A)
【文献】
特開2005−333717(JP,A)
【文献】
特開2006−109161(JP,A)
【文献】
特開2008−312342(JP,A)
【文献】
特開2008−017595(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0241614(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
B60R16/00−17/02
H02M3/00−3/44
H04L12/28
12/44−12/46
13/02−13/18
29/00−29/12
H04W8/26
24/00
28/02
72/04
74/04
74/08
84/12
88/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧で電力供給される少なくとも1つの機能モジュール(5)を備える自動車電気回路(1)にガルバニック絶縁状態で結合されることが意図された、自動車電気回路(1)用の電子制御モジュール(3)であって、
外部インタフェース(7)に結合されることが意図され、前記外部インタフェース(7)から出る低電圧電気設定値信号を宛先の前記制御モジュール(3)の要素へ伝送するように構成された接続バス(9)と、
前記設定値信号に応じて前記少なくとも1つの機能モジュール(5)を制御するように構成されたマイクロコントローラ(11)と、を備え、
前記マイクロコントローラ(11)および前記接続バス(9)は、低電圧部(131)および高電圧部(133)を備える非ガルバニックカプラ(13)によって結合され、それらは、少なくとも1つの信号を交換可能であり、且つ、ガルバニック分離され、前記制御モジュールは、出力(153、155、157)を介して前記非ガルバニックカプラ(13)の前記高および低電圧部(131,133)、並びに、前記マイクロコントローラ(11)に結合されてそれらの電源を供給する変圧器(15)をさらに備え、前記変圧器(15)は、ブレーカスイッチ(19)を介して電源(17)に結合され、前記接続バス(9)は、前記ブレーカスイッチ(19)の開または閉状態を制御するスイッチング部材(91)を備え、
前記制御モジュール(3)は、前記非ガルバニックカプラ(13)を介して前記接続バス(9)および前記マイクロコントローラ(11)を結合するホールド信号線(H)をさらに備え、
前記スイッチング部材(91)は、前記ホールド信号線(H)にホールド信号がない場合、前記ブレーカスイッチ(19)を開くように構成され、
前記スイッチング部材(91)は、前記ホールド信号線(H)にホールド信号がある場合、前記ブレーカスイッチ(19)を閉じるように構成されることを特徴とする電子制御モジュール。
【請求項2】
前記接続バス(9)は、LINバスであることを特徴とする、請求項1に記載の制御モジュール。
【請求項3】
前記接続(9)バスは、CANバスまたはFlexRay(商標)バスであることを特徴とする、請求項1に記載の制御モジュール。
【請求項4】
前記非ガルバニックカプラ(13)は、フォトカプラであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御モジュール。
【請求項5】
前記非ガルバニックカプラ(13)は、容量性カプラであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御モジュール。
【請求項6】
前記変圧器(15)は、低電圧電源を供給する、前記接続バス(9)からガルバニック絶縁された出力(157)を備えることを特徴とする、請求項1から5の少なくとも一項に記載の制御モジュール。
【請求項7】
低電圧電源を供給する前記出力(157)は、前記マイクロコントローラ(11)に結合され、
前記マイクロコントローラ(11)は、前記少なくとも1つの機能モジュール(5)の前記高電圧制御トランジスタ(51)を作動させる制御信号を出力で得るために、入力で受けられる前記低電圧電源を変調するように構成されることを特徴とする、請求項6に記載の制御モジュール。
【請求項8】
高電圧で電力供給される少なくとも1つの機能モジュール(5)を備える自動車電気回路(1)にガルバニック絶縁状態で結合されることが意図された、自動車電気回路(1)用の電子制御モジュール(3)を無効化する方法であって、前記自動車電気回路(1)は、
外部インタフェース(7)に結合されることが意図され、前記外部インタフェース(7)から出る低電圧電気設定値信号を宛先の前記制御モジュール(3)の要素へ伝送するように構成された接続バス(9)と、
前記設定値信号に応じて前記少なくとも1つの機能モジュール(5)を制御するように構成されたマイクロコントローラ(11)と、を備え、
前記マイクロコントローラ(11)および前記接続バス(9)は、低電圧部(131)および高電圧部(133)を備える非ガルバニックカプラ(13)によって結合され、それらは、少なくとも1つの信号を交換可能であり、且つ、ガルバニック分離され、前記制御モジュールは、出力(153、155、157)を介して前記非ガルバニックカプラ(13)の前記高および低電圧部(131,133)、並びに、前記マイクロコントローラ(11)に結合されてそれらの電源を供給する変圧器(15)をさらに備え、前記変圧器(15)は、ブレーカスイッチ(19)を介して電源(17)に結合され、前記接続バス(9)は、前記ブレーカスイッチ(19)の開または閉状態を制御するスイッチング部材(91)を備え、前記制御モジュール(3)は、前記非ガルバニックカプラ(13)を介して前記接続バス(9)および前記マイクロコントローラ(11)を結合するホールド信号線(H)をさらに備え、
前記接続バス(9)が無効化要求を受信するステップと、
前記マイクロコントローラ(11)が前記ホールド信号線(H)でのホールド信号の送出を中断するステップと、
前記ホールド信号を受信しなくなると、前記接続バス(9)が、前記スイッチング部材(91)によって前記ブレーカスイッチ(19)を開くステップと、
前記接続バス(9)が無効化されるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記マイクロコントローラ(11)が長期の無作動を検出するステップと、
前記マイクロコントローラ(11)が前記機能モジュール(5)の少なくとも一部の無効化を起動するステップと、
前記マイクロコントローラ(11)が前記接続バス(9)へ無効化要求を送出するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
高電圧で電力供給される少なくとも1つの機能モジュール(5)を備える自動車電気回路(1)にガルバニック絶縁状態で結合されることが意図された、自動車電気回路(1)用の電子制御モジュール(3)を有効化する方法であって、前記自動車電気回路(1)は、
外部インタフェース(7)に結合されることが意図され、前記外部インタフェース(7)から出る低電圧電気設定値信号を宛先の前記制御モジュール(3)の要素へ伝送するように構成された接続バス(9)と、
前記設定値信号に応じて前記少なくとも1つの機能モジュール(5)を制御するように構成されたマイクロコントローラ(11)と、を備え、
前記マイクロコントローラ(11)および前記接続バス(9)は、低電圧部(131)および高電圧部(133)を備える非ガルバニックカプラ(13)によって結合され、それらは、少なくとも1つの信号を交換可能であり、且つ、ガルバニック分離され、前記制御モジュールは、出力(153、155、157)を介して前記非ガルバニックカプラ(13)の前記高および低電圧部(131,133)、並びに、前記マイクロコントローラ(11)に結合されてそれらの電源を供給する変圧器(15)をさらに備え、前記変圧器(15)は、ブレーカスイッチ(19)を介して電源(17)に結合され、前記接続バス(9)は、前記ブレーカスイッチ(19)の開または閉状態を制御するスイッチング部材(91)を備え、前記制御モジュール(3)は、前記非ガルバニックカプラ(13)を介して前記接続バス(9)および前記マイクロコントローラ(11)を結合するホールド信号線(H)をさらに備え、
前記接続バス(9)が作動信号を受信するステップと、
前記接続バス(9)が無効化状態を終了するステップと、
前記マイクロコントローラ(11)が、ホールド信号を送出するステップと、
を含み、前記接続バス(9)は、前記ホールド信号線(H)に前記ホールド信号がある場合に前記スイッチング部材(91)によって前記ブレーカスイッチ(19)を閉じることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、特に、電気自動車の電気回路用制御モジュールに関し、特に、これらの回路を備える要素の無効化および有効化に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車またはハイブリッド車において、400ボルトのオーダーの高電圧で電力供給される電気回路部品がある一方で、制御信号を生成すると共に搬送する制御回路には、5〜12ボルトのオーダーの低電圧で電力供給がなされる。
【0003】
高電圧で電力供給される部品は、一般に、自動車の推進モータや自動車のヒータなどの全ての機能パワーモジュールを備えている。高電圧は、同じ電力に対して、強度、ひいては、ジュール効果による損失を低くすることを可能とする。回路部品に対して低電圧で電力供給される部品は、特に、接続バスなどの制御要素を備える。
【0004】
電気回路のこれらの2つの部品は、低電圧部品へ高電圧が放電しないように、ガルバニックバリア(galvanic barrier)と呼ばれる絶縁によって分離される。相互作用が要求される高電圧線と低電圧線との間に位置する場所に、変圧器によってガルバニックバリアが通される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回路の機能を制御するために、制御回路は、スイッチングモジュールを介してユーザによって適用される命令および/または低電圧バスによって結合されるセンサからの信号に応じて、回路の異なる機能モジュールを制御するマイクロコントローラを備える。特に、高価なコンバータを用いることなく、ガルバニックバリアを通過するアナログ電圧または強度の測定を行うことは不可能である。
【0006】
したがって、マイクロコントローラがガルバニックバリアの低電圧側に位置すれば、挿入されたコンバータを通して回路の高電圧機能モジュールに関する測定値のみを受信可能となり、精度への悪影響および/または高コストにつながる。
【0007】
マイクロコントローラがガルバニックバリアの高電圧側に位置すれば、追加的なガルバニック分離(galvanically decoupled)線を導入することなく装置の無効化を制御することは不可能であり、ガルバニックバリアを形成する要素の制御が特に問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した欠点を少なくとも部分的に解消するために、本発明の目的は、高電圧で電力供給される少なくとも1つの機能モジュールを備える自動車電気回路にガルバニック絶縁状態で結合されることが意図された、自動車電気回路の電子制御モジュールであって、
外部インタフェースに結合されることが意図され、低電圧電気設定値信号を伝送するように構成された接続バスと、
設定値信号に応じて少なくとも1つの機能モジュールを制御するように構成されたマイクロコントローラと、
を備え、マイクロコントローラおよび接続バスは、低電圧部および高電圧部を備える非ガルバニックカプラによって結合され、低電圧部および高電圧部は、1つの信号を交換可能であり、かつ、ガルバニック分離され、制御モジュールは、出力を介して非ガルバニックカプラの低電圧部および高電圧部、ならびにマイクロコントローラに結合されて電力を供給する変圧器をさらに備え、変圧器は、ブレーカスイッチを介して電源に結合され、接続バスは、ブレーカスイッチの開状態または閉状態を制御するスイッチング部材を備えることを特徴とする、電子制御モジュールである。
【0009】
したがって、本発明による制御モジュールにより無効化が可能となり、制御電子機器の消費が低減される。
【0010】
制御モジュールは、以下の特性の1つ以上を単独でまたは組み合わせてさらに備え得る。
【0011】
接続バスはLINバスである。
【0012】
あるいは、接続バスは、CANバスまたはFlexRay(商標)バスである。
【0013】
非ガルバニックカプラは、フォトカプラまたは容量性カプラである。
【0014】
制御モジュールは、非ガルバニックカプラを介して接続バスおよびマイクロコントローラを結合するホールド信号線をさらに備え、スイッチング部材は、ホールド信号線のホールド信号がない場合、ブレーカスイッチを開くように構成され、マイクロコントローラは、所定の期間、少なくとも1つの機能モジュールの作動がない場合、ホールド信号を遮断するように構成される。
【0015】
変圧器は、接続バスからガルバニック絶縁された出力を備え、超低電圧電源を供給する。
【0016】
低電圧電源を供給する前記出力は、マイクロコントローラに結合されることができ、前記マイクロコントローラは、少なくとも1つの機能モジュールの高電圧制御トランジスタを作動させる制御信号を出力で得るために、入力で受信される低電圧電源を変調するように構成され得る。
【0017】
本発明は、前述したような自動車電気回路の電子制御モジュールを無効化する関連する方法であって、
接続バスが無効化要求を受信するステップと、
無効化要求を受信すると、接続バスが、ブレーカスイッチを開くステップと、
接続バスが無効化されるステップと、
を含むことを特徴とする方法を1つの目的として有する。
本発明は、前述したような自動車電気回路の電子制御モジュールを無効化する関連する方法であって、
接続バスが作動信号を受信するステップと、
接続バスが無効化状態を終了するステップと、
接続バスがブレーカスイッチを閉じるステップと、
を含むことを特徴とする方法を1つの目的として有する。
【0018】
また、本発明は、前述したような方法であって、
マイクロコントローラが長期の無作動を検出するステップと、
マイクロコントローラが機能モジュールの少なくとも一部の無効化を起動するステップと、
マイクロコントローラが接続バスへ無効化要求を送出するステップと、
をさらに含むことを特徴とする方法を1つの目的として有する。
【0019】
本発明のさらなる利点および特性は、以下の図面の記載を読むことで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による制御モジュールを備える自動車電気回路の図。
【
図2】本発明による制御モジュールを無効化する方法の主要なステップを図式的に列挙した体系図。
【
図3】本発明による制御モジュールを有効化する方法の主要なステップを図式的に列挙した体系図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を通して、同じ参照番号は同じ要素に関係する。
【0022】
図1は、制御モジュール3を備える自動車電気回路1を図式的に示す。
【0023】
図1において、電気回路1は、制御モジュール3の他に、高電圧で機能する機能モジュール5を備える。ここで、機能モジュール5は、高電圧の電気回路負荷を表す。これは、電気自動車やハイブリッド車の場合、自動車のモータおよび/または暖房装置であり得る。
【0024】
機能モジュール5は、高電圧、高電力で機能するため、制御モジュール3の低電圧要素から絶縁される必要がある。
【0025】
また、電気回路1は、回路1の低電圧側に、制御モジュール3に接続された外部インタフェース7をさらに備え、外部インタフェース7は、例えば、センサおよび/またはスイッチを含む。センサは、検出値に応じて信号を発生し、この信号は、機能モジュールの機能をセンサによって検出された条件に適応させるように使用される。スイッチにより、ユーザは、機能モジュール5の機能モードに作用することができる。
【0026】
センサは、例えば、自動車のバッテリが過熱した場合にモータパワーを抑制できるように、バッテリ用の温度センサを含み得る。代わりに、又は、並列に、センサは、検出温度に応じて乗員室の暖房システムの電力を適応させるように、乗員室温度センサを含み得る。
【0027】
スイッチは、例えば、機能モジュール5の対応する機能モードを得るためにユーザによって特定のスイッチング状態に置かれた、乗員室、特にボードパネルレベルに組み込まれたスイッチを含み得る。
【0028】
制御モジュール3は、回路の要素と少なくとも1つのコントローラとの間の接続を含む接続バス9を備える。接続バス9は、例えば、LIN(ローカル相互接続ネットワーク:Local Interconnection Network)、CAN(コントローラエリアネットワーク:Controller Area Network)またはFlexRay(商標)タイプのバスであり得る。LINバスは、センサおよびスイッチの数が制限されていれば、その簡潔さ、堅牢性および低コストの面から特に適切である。
【0029】
接続バス9は、外部インタフェース7から、機能モジュール5に結合されたマイクロコントローラ11に送信される必要がある設定値信号を受信するように構成される。接続バス9は、制御モジュール3の通信バスとマイクロコントローラ11との間のインタフェースであり、接続バス9は、英語名称でバストランシーバとして知られている。マイクロコントローラ11は、特に、機能モジュール5のある数の高電圧トランジスタ51を制御し、高電圧トランジスタ51は、低電圧信号によって作動される。
【0030】
接続バス9およびマイクロコントローラ11は、信号線、ここでは、3本の信号線、すなわち、受信線Rx、送信線Tx、ホールド信号線Hによって結合される。受信線Rxは、接続バス9からマイクロコントローラ11へ設定値信号を送信するように働き、送信線Txは、マイクロコントローラ11から接続バス9に設定値信号を送信するように働く。ホールド信号線は、マイクロコントローラ11から接続バス9へホールド信号を送信するように働く。
【0031】
線Rx、TxおよびHは、非ガルバニックカプラ13によって遮断される。非ガルバニックカプラ13は、接続バス9とマイクロコントローラ11との間に配置される。非ガルバニックカプラ13は、接続バス9とマイクロコントローラ11との間にガルバニック絶縁を設けながら、線Rx、TxおよびHを通して信号の送信を可能にする。
【0032】
非ガルバニックカプラ13は、低電圧部131と、高電圧部133とを備える。低電圧部131は、接続バス9に接続され、高電圧部133は、マイクロコントローラ11に接続される。低電圧部131および高電圧部133は、ガルバニック絶縁を生じさせるように、非ガルバニックカップリング、例えば、光カップリングによって互いに結合される。この構成において、非ガルバニックカプラ13の低電圧部131および高電圧部133は、発光ダイオードと、フォトトランジスタとを備える。
【0033】
このカップリングは、マイクロコントローラ11が、恒常的に変化する設定値信号に従う必要があれば、アナログタイプのものでよく、または、マイクロコントローラ11を制御する機能モジュール5の状態が有限数に低減可能であれば、ディジタルタイプのものでよい。
【0034】
あるいは、非ガルバニックカプラ13は、ディジタル値を有するブレーカスイッチを作動させることによって信号を中継する電気機械カプラであり得、またはこのタスクを達成するために半導体を用いる静的接触器であり得る。
【0035】
なお、マイクロコントローラ11は、ここでは、非ガルバニックカプラ13によって実現されるガルバニックバリアの高電圧側に位置する。
【0036】
制御モジュール3は、変圧器15、例えば、低電圧電源17によって電力供給されるインダクタンス変圧器をさらに備える。変圧器15は、入力151で低電圧電源17から電源電流を受け、電力が供給される回路1の要素に結合される出力153、155、157に出力電流を誘導するように前記電源電流を使用する。
【0037】
低電圧電源17は、一般に、可能な電圧アダプタを介した車両バッテリとの接続である。変圧器15は、例えば、1つまたは複数の磁気結合回路を用いたガルバニック絶縁体である。
【0038】
第1の出力153は、非ガルバニックカプラ13の低電圧部131に結合され、第2の出力155は、カプラ13の高電圧部133およびマイクロコントローラ11に結合される。
【0039】
変圧器15は、多目的低電圧電流を出力する追加的な出力157を備え得る。この多目的電流は、特に、他の出力151、153、155によって供給される電流と比較して異なる電圧となり得る。
【0040】
多目的低電圧電流は、マイクロコントローラ11が制御するトランジスタを作動させるために使用され得る。これを行うために、マイクロコントローラ11は、多目的低電圧電流を変調し、負荷5の要素を制御する高電圧トランジスタの制御信号として、変調された信号を使用する。
【0041】
変圧器15は、特に、低電圧電源または信号電流を生成するために、ガルバニックバリアで通常配設された1つまたは複数の変圧器と組み合わせられ、または一体化され得る。特に、多目的電流を阻止する際に、マイクロコントローラ11は「ロー」状態を生成し、多目的電流が通過できるようにする際に、マイクロコントローラ11は「ハイ」状態を生成する。
【0042】
変圧器15の入力151と低電圧電源17との間に、ブレーカスイッチ19が配設される。このブレーカスイッチ19は、特に、例えば、MOSFETタイプのパワートランジスタであり得る。ブレーカスイッチ19は、接続バス9と一体化されたスイッチング部材91によって制御される。スイッチング部材91は、バス9上で搬送される信号に応じて開状態と閉状態との間でブレーカスイッチ19を作動させる。特に、接続バス9のスイッチング部材91は、ホールド信号線Hにホールド信号が検出されない場合、ブレーカスイッチ19を開き、ホールド信号がある場合、前記ブレーカスイッチ19を閉じるように構成される。一方で、スイッチング部材91は、ホールド信号線Hにホールド信号がある場合、ブレーカスイッチ19を閉じるように構成される。
【0043】
スイッチング部材91は、接続バス9が無効化に設定されれば、スイッチング部材91は無効化状態に入り、相反的に、バス9の有効化によりスイッチング部材91が有効化される点で、無効化状態または有効化状態に関して、接続バス9と密接である。
【0044】
図2は、前述したシステムに関連する無効化方法100の主要なステップを図式的に列挙する。無効化により、回路1の異なる要素は、特に、長期にわたって利用されない場合に備えるために、最小消費状態に置かれることを理解されたい。
【0045】
第1のステップ101では、接続バス9によって無効化要求を受信する。例えば、接触の遮断(自動車からの鍵の引き抜き)や、検出器による無効化条件の検出(危険な過熱、非常に低いバッテリ充電など)により、外部インタフェース7によって無効化要求が送出される。
【0046】
例えば、マイクロコントローラ11が、長期にわたる装置の無作動を検出すると、前記要求は、マイクロコントローラ11によって発せられ得る。
【0047】
マイクロコントローラ11による無作動の検出は、例えば、所定の期間、一般には、およそ数秒にわたって1つまたは複数の機能モジュール5の電気消費を記憶することによって達成され、且つ、超過するとモジュール5が記憶期間中に作動していることが確実になるしきい値を、電気消費が超えていないことを検証することによって達成され得る。
【0048】
遮断要求が別の供給源から接続バス9によって受信されれば、この遮断要求は、最初にマイクロコントローラ11に送信され、マイクロコントローラ11は、1つまたは複数の機能モジュール5のすべての可能な要素をオフに切り換えるか、またはすべて無効化する。
【0049】
マイクロコントローラ11は、次のステップ103において、依然として電力が供給されている前記1つまたは複数の機能モジュール5の要素をオフに切り換え、または無効化する。
【0050】
1つまたは複数の機能モジュール5の電気要素をオフに切り換え、または無効化することに加えて、マイクロコントローラ11は、次のステップ105において、ホールド信号線Hでのホールド信号の送出を中断する。
【0051】
ホールド信号を受信しなくなれば、接続バス9は、次のステップ107において、スイッチング部材91によってブレーカスイッチ19を開くように作動させる。ブレーカスイッチ19が開くと、変圧器15の電源はオフに切り換えられる。この瞬間から、変圧器15には電力が供給されず、出力153、155、157はこれ以上は電流を伝送しない。出力153、155、157に電流がないということは、カプラ13の低電圧部131および高電圧部133、マイクロコントローラ11および多目的電流がオフに切り換えられていることを示す。
【0052】
最後に、接続バス9は、プロトコル(LIN、CAN、FlexRay(商標)など)に固有の無効化手順を適用することによって、最後のステップ109において無効化される。この無効化により、スイッチング部材91の無効化がもたらされる。
【0053】
そして、回路1のすべての要素は、最小消費状態にある。
【0054】
図3は、本発明による制御モジュール3の有効化方法200の主要なステップの線図である。
【0055】
第1のステップ201は、接続バス9を通じた外部インタフェース7から送出される作動信号の受信である。以下のステップ203において、接続バス9は、スイッチング部材91によってブレーカスイッチ19を閉じる。
【0056】
作動信号は、例えば、自動車の始動時、インタフェース7の開始検出器によって送出され得る。
【0057】
ブレーカスイッチ19が閉じられると、変圧器15がオンに切り換えられ、結果的に、出力153、155、157に接続された要素がオンに切り換えられ、すなわち、カプラ13の低電圧部131および高電圧部133、マイクロコントローラ11、並びに、多目的電流線のすべてに再度電力が供給される。
【0058】
電力が供給されると、マイクロコントローラ11は、再度、ホールド信号を送出し、次のステップ205において無作動検出を再開する。
【0059】
したがって、上述したような制御モジュール3は、前記制御モジュール3を有効化および無効化するための方法の実行を単純化できる。特に、関係する要素全体は、ガルバニックバリアの低電圧側でマイクロコントローラ11が実行されることなく、オフに切り換えられ得る。それ以降、3本の線Rx、Tx、Hのみが、機能モジュール5のすべての制御線の代わりに、ガルバニック絶縁性カップリングを与えればよい。
【0060】
以上のことから、本発明により、低コスト制御モジュールの実施形態が可能になり、自動車の電子回路1が休止状態にあるとき、消費の低減が可能になる。