特許第6100424号(P6100424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100424ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールド及びロッククライミング・システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100424
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールド及びロッククライミング・システム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20170313BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20170313BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   A63B69/00 517
   H01L33/00 L
   A63B71/06 T
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-112985(P2016-112985)
(22)【出願日】2016年6月6日
(65)【公開番号】特開2017-23707(P2017-23707A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年12月21日
(31)【優先権主張番号】201510447708.6
(32)【優先日】2015年7月27日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】16102763.3
(32)【優先日】2016年3月10日
(33)【優先権主張国】HK
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516167864
【氏名又は名称】億源(香港)實業有限公司
【氏名又は名称原語表記】BILLION BRIGHT (HK) CORPORATION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】曾 紀豐
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第8668626(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0004098(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0337979(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/121944(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00
A63B 71/06
H01L 33/00
G01N 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッククライミングで用いられるクライミング・ホールドであって、
導電性膜を有するクライミング・ホールド・ボディーであって、クライミング・ホールドが登攀されるとき、前記導電性膜と人体の静電気容量とが結びついて静電容量に変化が生じるクライミング・ホールド・ボディーと、
前記導電性膜と電気的に接続されるクライミング・ホールド制御回路基板と、
を備え、
ハウジングケースが前記クライミング・ホールド・ボディーの内部に配置され、
前記導電性膜は、前記クライミング・ホールド・ボディーと前記ハウジングケースと間に配置され、
クライミング・ホールドは、導電性膜保護ハウジングケースを更に備え、
前記導電性膜保護ハウジングケースは、前記導電性膜の外部側の周囲にスリーブ状に配置され、
前記導電性膜保護ハウジングケースは、前記クライミング・ホールド・ボディーと前記導電性膜との間に配置されている、
ロッククライミングで用いられるクライミング・ホールド。
【請求項2】
少なくとも一つの発光ダイオード(LED)が前記クライミング・ホールド・ボディーの内部に配置され、
前記LEDは、前記クライミング・ホールド制御回路基板と電気的に接続されている、
請求項1に記載のロッククライミングで用いられるクライミング・ホールド。
【請求項3】
複数の前記LEDを備え、
複数の前記LEDは、フルカラーLED及び白色LEDを含む、
請求項2に記載のロッククライミングで用いられるクライミング・ホールド。
【請求項4】
前記クライミング・ホールド制御回路基板は、クライミング・ホールドの内部であって、クライミング・ウォールの前方に配置される、
請求項1に記載のロッククライミングで用いられるクライミング・ホールド。
【請求項5】
前記導電性膜は、前記導電性膜保護ハウジングケースと前記ハウジングケースとの間に密着させて取り付けられ、これにより前記導電性膜の形状が固定され、
前記導電性膜保護ハウジングケースは、前記ハウジングケース及び前記導電性膜を覆うカバーの態様であり、
前記導電性膜保護ハウジングケースは、第1ネジによって前記ハウジングケースに固定される、
請求項4に記載のロッククライミングで用いられるクライミング・ホールド。
【請求項6】
電源を供給する通信インタフェースが前記クライミング・ホールド制御回路基板に設置され、
前記電源を供給する通信インタフェースは、RJ11又はRJ45のインタフェースである、
請求項1に記載のロッククライミングで用いられるクライミング・ホールド。
【請求項7】
クライミング・ホールド・マイクロコントローラ・ユニット(MCU)が前記クライミング・ホールド制御回路基板に設置され、
前記クライミング・ホールドMCUは、前記導電性膜と電気的に接続されている、
請求項1に記載のロッククライミングで用いられるクライミング・ホールド。
【請求項8】
前記クライミング・ホールド制御回路基板は、クライミング・ウォールの背部に配置され、
前記導電性膜は、第2ネジ及び平坦ガスケットによって前記クライミング・ホールド制御回路基板に接続される、
請求項1に記載のロッククライミングで用いられるクライミング・ホールド。
【請求項9】
無線送受信モジュールが前記クライミング・ホールド制御回路基板に設置されている、
請求項1に記載のロッククライミングで用いられるクライミング・ホールド。
【請求項10】
ロッククライミング・ルートを設定するために、レーザーペンから放出されるレーザーを受光するための光感知器を更に備え、
前記光感知器は、前記クライミング・ホールド制御回路基板と電気的に接続されている、
請求項1に記載のロッククライミングで用いられるクライミング・ホールド。
【請求項11】
圧力感知器を更に備え、
前記圧力感知器は、前記クライミング・ホールド制御回路基板と電気的に接続されている、
請求項1に記載のロッククライミングで用いられるクライミング・ホールド。
【請求項12】
クライミング・システムであって、
クライミング・ウォールと、
メイン制御ユニットと、
制御端末と、
複数のクライミング・ホールドと、
を備え、
それぞれの前記クライミング・ホールドは、導電性膜を有するクライミング・ホールド・ボディーであって、前記クライミング・ホールドが登攀されるとき、前記導電性膜と人体の静電気容量とが結びついて、静電容量に変化が生じるクライミング・ホールド・ボディーと、前記導電性膜と電気的に接続されるクライミング・ホールド制御回路基板と、を有し、
前記クライミング・ホールドは、前記クライミング・ウォールに配置され、
前記メイン制御ユニットは、メイン制御回路基板を有し、
前記メイン制御回路基板には、メイン・マイクロコントローラ・ユニット(MCU)が配置され、
前記クライミング・ホールドの前記クライミング・ホールド制御回路基板は、前記メイン制御回路基板と電気的に接続され、
前記制御端末は、前記メイン制御回路基板と電気的に接続されており
ハウジングケースが前記クライミング・ホールド・ボディーの内部に配置され、
前記導電性膜は、前記クライミング・ホールド・ボディーと前記ハウジングケースと間に配置され、
前記クライミング・ホールドは、導電性膜保護ハウジングケースを更に備え、
前記導電性膜保護ハウジングケースは、前記導電性膜の外部側の周囲にスリーブ状に配置され、
前記導電性膜保護ハウジングケースは、前記クライミング・ホールド・ボディーと前記導電性膜との間に配置されている、
ことを特徴とする、クライミング・システム。
【請求項13】
前記制御端末は、コンピュータ端末又はインテリジェント端末である、
請求項12に記載のロッククライミング・システム。
【請求項14】
前記メイン制御ユニットは、無線通信モジュールを有し、
前記メイン制御ユニットは、前記無線通信モジュールを通して前記制御端末と接続されている、
請求項12に記載のロッククライミング・システム。
【請求項15】
前記メイン制御ユニットは、インテリジェント端末との通信のための近距離無線通信モジュールを有する、
請求項12に記載のロッククライミング・システム。
【請求項16】
前記クライミング・ホールドは、複数のLEDを有し、
前記複数のLEDは、フルカラーLED及び白色LEDを含む、
請求項12に記載のロッククライミング・システム。
【請求項17】
前記クライミング・ホールドは、ロッククライミング・ルートを設定するために、レーザーペンから放出されるレーザーを受光するための光感知器を更に有し、
前記光感知器は、前記クライミング・ホールド制御回路基板と電気的に接続されている、
請求項12に記載のロッククライミング・システム。
【請求項18】
前記クライミング・ホールドは、圧力感知器を更に有し、
前記圧力感知器は、前記クライミング・ホールド制御回路基板と電気的に接続されている、
請求項12に記載のロッククライミング・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年7月27日出願の中国特許出願番号201510447708.6及び2016年3月10日出願の香港短期特許出願番号16102763.3からの優先権を主張し、その内容全体を参照によって援用する。
【0002】
本願は、ロッククライミング装置に関し、詳細には、ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールド及びロッククライミング・システムに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、ロッククライミング・ウォール又はロッククライミング・システムでは天然の岩以外にも、人工的なクライミング・ホールドすなわちハンドホールドが広く採用されている。クライミング・ホールドは、樹脂等の高分子材料の種々の合成物で形成することができる。クライミングの魅力を向上させるとともに、より多くの若者や子供たちがクライミング活動に参加したくなるように、LEDを内蔵した蛍光クライミング・ホールドや、LEDを内蔵した透明又は半透明のクライミング・ホールドが登場してきている。しかしながら、これらのクライミング・ホールドを使用する効果は非常に限定されている。現在は、異なる色で光るクライミング・ルートを予め設定できるに過ぎない。効力は、単に、グループ全体の発光や、個別の発光及び点滅等に限られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の目的は、ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールド及びロッククライミング・システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロッククライミングに用いられる本クライミング・ホールドは、クライマーの登攀状況を感知し、解析及び判断のために制御端末へと状況情報を即座に送信することができる。
【0006】
まず、導電性膜を有するクライミング・ホールド・ボディーを備えた、ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドが提供される。クライミング・ホールドが登攀されるとき、導電性膜と人体の静電気容量とが結びついて、静電容量に変化が生じる。クライミング・ホールドは、導電性膜と電気的に接続されるクライミング・ホールド制御回路基板を更に備える。
【0007】
ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドの一の態様では、少なくとも一つの発光ダイオード(LED)がクライミング・ホールド・ボディーの内部に配置されており、LEDはクライミング・ホールド制御回路基板と電気的に接続されている。
【0008】
ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドの一の態様では、クライミング・ホールドは複数のLEDを備えていてもよく、複数のLEDにはフルカラーLED及び白色LEDを含んでもよい。
【0009】
ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドの一の態様では、ハウジングケースがクライミング・ホールド・ボディーの内部に配置されており、導電性膜はクライミング・ホールド・ボディーとハウジングケースと間に配置されている。
【0010】
ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドの一の態様では、クライミング・ホールドは導電性膜保護ハウジングケースも含む。導電性膜保護ハウジングケースは、導電性膜の外部側の周囲にスリーブ状で配置されており、導電性膜保護ハウジングケースは、クライミング・ホールド・ボディーと導電性膜との間に配置されている。
【0011】
ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドの一の態様では、電源を供給する通信インタフェースがクライミング・ホールド制御回路基板に設けられており、通信インタフェースはRJ11又はRJ45である。
【0012】
ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドの一の態様では、クライミング・ホールド・マイクロコントローラ・ユニット(MCU)がクライミング・ホールド制御回路基板に設けられており、クライミング・ホールドMCUは、導電性膜と電気的に接続されている。
【0013】
ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドの一の態様では、クライミング・ホールド制御回路基板は、クライミング・ホールドの内部、又は、クライミング・ウォールの背部に配置されている。
【0014】
ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドの一の態様では、無線送受信モジュールが、クライミング・ホールド制御回路基板に設けられる。
【0015】
ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドの一の態様では、クライミング・ホールドは、クライミング・ルートを設定するために、レーザーペンから放出されるレーザーを受光する光感知器を更に備えており、光感知器は、クライミング・ホールド制御回路基板と電気的に接続されている。
【0016】
ロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドの一の態様では、クライミング・ホールドは、クライマーがクライミング・ホールドを掴んだ時の力を感知する圧力感知器を更に備えており、圧力感知器はクライミング・ホールド制御回路基板と電気的に接続されている。
【0017】
他方面では、クライミング・ウォールと、メイン制御ユニットと、制御端末と、複数のクライミング・ホールドと、を備えるロッククライミング・システムが提供される。クライミング・ホールドは、クライミング・ウォールに配置される。メイン制御ユニットは、メイン制御回路基板を有する。メイン制御回路基板には、メインMCUが設けられる。クライミング・ホールドのクライミング・ホールド制御回路基板は、メイン制御回路基板と電気的に接続される。制御端末は、メイン制御回路基板と電気的に接続される。
【0018】
ロッククライミング・システムの一の態様では、制御端末はコンピュータ端末又はインテリジェント端末である。
【0019】
ロッククライミング・システムの一の態様では、メイン制御ユニットは無線通信モジュールを有しており、メイン制御ユニットは無線通信モジュールを通して制御端末と接続されている。
【0020】
ロッククライミング・システムの一の態様では、メイン制御ユニットは、インテリジェント端末との通信のための近距離無線通信モジュールを有している。
【発明の効果】
【0021】
本願のロッククライミングに用いられるクライミング・ホールド及びロッククライミング・システムは、次の効果がある。本願のクライミング・ホールドは、導電性膜を有する。クライミング・ホールドが登攀されるとき、導電性膜と人体の静電気容量と結びついて静電容量に変化が生じる。クライミング・ホールドのクライミング・ホールド制御回路基板は、即座に変化を感知し、情報を制御端末へ送信することができる。本願のロッククライミング・システムにおいて、制御端末は、統計的分析のために、登攀されているクライミング・ホールドの状況をリアル・タイムにモニタリングすることができる。
【0022】
本願のロッククライミングに用いられるクライミング・ホールド及びロッククライミング・システムの具体的な実施形態を、添付の図面を参照して例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本願のロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドの一実施形態の分解組立図である。
図2】本願のロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドの他の実施形態の分解組立図である。
図3】本願のロッククライミング・システムの一実施形態の構造の説明図である。
図4】本願のロッククライミング・システムの他の実施形態の構造の説明図である。
図5A】本願のロッククライミング・システムの更なる実施形態の構造の説明図である。
図5B図5Aのクライミング・ホールドの分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願のロッククライミングに用いられるクライミング・ホールド及びロッククライミング・システムの技術的特徴、目的及び効果を理解しやすくするために、添付図面を参照しながら具体的な実施形態を以下に説明する。
【0025】
以下に、本願のロッククライミングに用いられるクライミング・ホールド及びロッククライミング・システムの実施形態を詳細に説明する。これらの実施形態を添付図面に示す。同様の機能を有する同様の部材には、同様の参照符号をすべての図面にわたって用いる。
【0026】
本願のクライミング・ホールドは、クライミング・ホールド・ボディーに導電性膜(フィルム)の層を付加している。クライミング・ホールドが登攀されるとき、導電性膜と人体の静電気容量とが結びついて静電容量に変化が生じ、クライミング・ホールドが登攀状況にあるか否かを知ることができる。登攀状況は、クライミング・ホールドに触れること、当たることや、クライミング・ホールドを握ること、掴むこと、ぶら下がること、つまむこと、持ち上げること、押すこと、圧迫すること等をいう。クライミング・ホールドのクライミング・ホールド制御回路基板は、登攀状況を感知して即座に制御端末へ送信し詳細に記録させ、情報を計算、集計、分析して直ちに結果を生成することができる。クライマー及び/又は競技者は、以降の練習及び競技において改善を図ることができる。
【0027】
導電性膜は空間を占有せず、重量も無視できる程度である。既存の人工的なクライミング・ホールドの構造を変更する必要がない。薄い導電性膜だけで、モニタリング機能を持たせることができる。クライミング・ホールドのどの点でもモニタリングに十分に使用して、より便利にかつ実用的にロッククライミングに適用できる。
【0028】
導電性膜として、透明導電性膜を選択できる。透明導電性膜を、蛍光材料、透明材料及び/又は半透明材料で形成された人工的なクライミング・ホールド・ボディーに適用することで、光線の透過を確保できる。木材クライミング・ホールド、天然石クライミング・ホールド、樹脂クライミング・ホールド、プラスチック・クライミング・ホールド及びゴム・クライミング・ホールドを含む非導電性クライミング・ホールドに、導電性膜を適用できるので、既存の人工的なクライミング・ホールドの色又は形状を変更する必要がない。
【0029】
登攀過程においてクライミング・ホールド制御回路基板から登攀状況を即座に送信することによって、制御端末は、クライマーがあるクライミング・ホールドから他のクライミング・ホールドへと登攀するのに必要な時間を容易に記録することができ、またクライミング・ルートを容易に記録することができる。
【0030】
さらに、制御端末は、クライミング・ホールドを制御できる。クライミング・ホールドは複数のLEDが有することができる。時間及び/又は規則に応じてゲームや競技のクライミング・ルートを設定するため、制御端末を通じて、LEDの色や点滅状態を変化させたり及び/又は同時に色の変化と点滅を変化させたり等することで、多様な組み合わせが選択される。便利でかつ実用的であるだけでなく、楽しさや柔軟性も高めることができる。
【0031】
図1に、本願のロッククライミングに用いられるクライミング・ホールドすなわちハンドホールドの実施形態を示す。本実施形態のクライミング・ホールドは、高分子材料で形成することができ、また天然石、木材又は他の適当な材料で形成することもできるクライミング・ホールド・ボディー1を有する。クライミング・ホールド・ボディー1は、クライミング・ウォール110上に取り付けることができ、ロッククライミングのクライミングサポートとして用いることができる。登攀状況を即座に取得可能とするために、導電性膜6をクライミング・ホールド・ボディー1に設けることができる。ロッククライミングの際に、導電性膜6とクライマーの静電気容量とが結びついて静電容量に変化が生じる。導電性膜6には透明な導電性膜が優先的に選択される。本実施形態において、クライミング・ホールド・ボディー1内に、クライミング・ホールド制御回路基板8を設置してある。クライミング・ホールド制御回路基板8には、クライミング・ホールド・マイクロコントローラ・ユニット(MCU)11を設置することができる。クライミング・ホールド制御回路基板8と、クライミング・ホールド制御回路基板8に設けられたクライミング・ホールドMCU11とは、導電性膜6の静電容量変化を感知してモニタリングするために用いることができ、これにより登攀状況を外部機器に送信することができる。そこでクライミング・ホールドMCU11は必須ではないことが理解される。クライミング・ホールド1にクライミング・ホールドMCU11を設けなくてもよい。代わりに、ロッククライミング・システムのメイン制御ユニット210を、導電性膜6の静電容量変化を直接モニタリングするために用いることができる。
【0032】
導電性膜6は、ポリエステル、樹脂混合物、及びポリチオフェンとポリエチレン・テレフタレートとの樹脂混合物で形成可能な透明な導電性膜である。導電性膜6と人体の静電気容量とが結びついて静電容量に変化が生じる。たとえクライミング・ホールド・ボディー1又は他の材料によって離間していても、導電性膜6は人体の静電気容量と結びつくことができる。導電性膜6を不透明又は半透明とできることが理解できる。現在、インテリジェント端末のタッチ・スクリーンに、このような透明な導電性膜が用いられている。
【0033】
また、本実施形態において、クライミング・ホールドがガイド機能を提供し、クライミングの楽しさを向上させることができるよう、クライミング・ホールド・ボディー1にLED14を設けることができる。一つ以上のLED14を設置することもできる。LED14の色は、白、赤、黄、青、フルカラー、あるいは他の色にすることができる。LED14を色変化が可能なLEDとしてもよい。LED14とクライミング・ホールド制御回路基板8とを電気的に接続することができ、外部制御端末からの指示に基づきクライミング・ホールドMCU11により制御することができる。外部制御端末は、LED14を点灯/消灯させることができ、又は色を変化させることができ、そしてLED14を異なる速さで点滅させることができる。さらに、登攀の際の相互作用を高めるため、外部制御端末は、各クライミング・ホールドのクライミング状況を受け付けたとき、フィードバックを行うことができる。外部制御端末は、クライミング・ホールドの色を変化させる等ができる。LED14は直接に制御回路基板に設置することができる。
【0034】
本実施形態において、導電性膜6を保護するために、導電性膜保護ハウジングケース3(外側ハウジング)及びハウジングケース7(内側ハウジング)が、クライミング・ホールド・ボディー1の内側に配置される。導電性膜6は、外側ハウジング3と内側ハウジング7との間に密着させて取り付けられ、これにより、導電性膜6の形状を固定できる。クライミング・ホールド・ボディー1は、外側ハウジング3及び内側ハウジング7の外側に配置される。導電性膜6を、ネジ4及び平坦ガスケット5によってクライミング・ホールド制御回路基板8に接続することができる。ネジ4は、導電性膜6を内側ハウジング7に固定する固定機能を有することができ、また、導電性膜6をクライミング・ホールド制御回路基板8に接続することもできる。また、本実施形態の外側ハウジング3は、内側ハウジング7及び導電性膜6を覆うカバーの態様とすることができる。外側ハウジング3は、導電性膜6を保護するよう機能することができる。外側ハウジング3は、クライミング・ホールド・ボディー1を回転させる時に導電性膜6が破損することを防止できる。クライミング・ホールド・ボディー1は、外側ハウジング3を覆うことができる。外側ハウジング3は、ネジ2によって内側ハウジング7に固定することができる。
【0035】
本実施形態において、クライミング・ホールド制御回路基板8を、ネジ10によって内側ハウジング7に固定することができる。クライミング・ホールド制御回路基板8には、クライミング・ホールド制御回路基板8に電力を供給するとともに、メイン制御ユニット210と通信する通信インタフェース9を設置することができる。本実施形態において、通信インタフェース9は、RJ11ソケットである。通信インタフェース9は、RJ45インタフェース等の他の適切な標準インタフェースとしてもよいことが理解される。
【0036】
また、この実施形態において、クライミング・ホールドの設置を容易にするため、クライミング・ホールド制御回路基板8には、クライミング・ホールドとロッククライミング・システムのメイン制御ユニット210との間の通信のための無線送受信モジュール15を設けることができる。無線送受信モジュール15は、WiFiモジュール、ブルートゥース(登録商標)モジュール又は他の適切な無線送受信モジュールとすることができる。
【0037】
また、この実施形態において、クライミング・ルートをより簡便に配置するため、クライミング・ホールドは、ロッククライミング・ルートを配置するために、レーザーペンから放出されるレーザーを受光するための光感知器13が更に有する。光感知器13は、クライミング・ホールド制御回路基板8と電気的に接続することができる。光感知器13を、レーザーペンで容易に照射できる場所に設置することができる。例えば、光感知器13は、クライミング・ホールド・ボディー1上に配置することができ、又は、クライミング・ホールド制御回路基板8上に配置することもできる。レーザーペンによって光感知器13に照射がなされると、クライミング・ホールドが選択されているか否かを判断するために、対応する電気信号が生成される。
【0038】
また、この実施形態において、クライマーがクライミング・ホールドを掴む力を感知するために、クライミング・ホールドは圧力感知器12を有することができる。クライマーがクライミング・ホールドに力を加えた後、導電性膜6が、クライミング・ホールドの全ての位置について掴む力及び時間を感知し、これらを、その解析のために圧力感知器12に送信することができる。圧力感知器12とクライミング・ホールド制御回路基板8とを、電気的に接続することができる。導電性膜6及び圧力感知器12を通して、クライマーの登攀状況及び動作をリアル・タイムにモニタリングし記録することができる。詳細なクライミングデータは、あらゆるクライマーに、新たなクライミング体験及び改善をもたらすことができる。
【0039】
図2に、本願のクライミング・ホールドの他の実施形態を示す。先の実施形態において、クライミング・ホールド制御回路基板8は、クライミング・ホールド内に配置でき、また、クライミング・ホールドはクライミング・ウォール110上に設置される。本実施形態において、クライミング・ホールド制御回路基板8は、クライミング・ウォール110の背面に配置することができる。クライミング・ホールド制御回路基板8は、クライミング・ウォール110を貫通してネジ又はワイヤ等の接続要素によって、クライミング・ホールド・ボディー1に接続することができる。この構造により、クライミング・ホールドの省スペース化に役立つ。
【0040】
図3に、本願のロッククライミング・システムの一実施形態を示す。ロッククライミング・システムは、本願に係るロッククライミングに用いられる複数のクライミング・ホールド100を有するクライミング・ウォール110を含む。クライミング・ホールド100は、様々な配置でクライミング・ウォール110に装着することができる。また、ロッククライミング・システムは、メイン制御ユニット210を有する。メイン制御ユニット210は、メイン制御回路基板200を有することができる。メイン制御回路基板200上には、メイン・マイクロコントローラ・ユニット(MCU)及びUSBインタフェース201及び/又は無線通信モジュール202を配置できる。クライミング・ホールド100のクライミング・ホールド制御回路基板8を、電話線120を通してメイン制御回路基板200と接続することができる。また、ロッククライミング・システムは、メイン制御回路基板200と電気的に接続されている制御端末を有する。制御端末は、コンピュータ端末310及び/又はインテリジェント端末320とすることができる。インテリジェント端末320は、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、タブレット等とすることができる。制御端末は、USBインタフェース201を通じて電気ケーブルにより、又は、無線通信モジュール202を通じて無線通信により、メイン制御回路基板200と接続することができる。メイン制御回路基板200上には、USBインタフェース201又は無線通信モジュール202の一方のみを配置することができ、あるいは、USBインタフェース201及び無線通信モジュール202の両方を配置することができる。メイン制御回路基板200には、近距離通信モジュール(NFCモジュール)203を配置することができる。近距離通信モジュール203は、インテリジェント端末320の近距離通信モジュールと通信することができる。クライマーは、インテリジェント端末320から登攀活動の記録をチェックすることができる。インテリジェント端末にインストールされたアプリケーションにより、クライマーは、インテリジェント端末320上でクライミング・ルートを容易に予め設定することができ、その後、メイン制御回路基板200上にインテリジェント端末320を置いて、個々のクライマーのためのクライミング・ルートを直ちに示すことができる。もちろん他のタイプの通信インタフェースをメイン制御回路基板200に配置できることが理解できる。
【0041】
図4に、本願のロッククライミング・システムの他の実施形態を示す。通信のためにクライミング・ホールドをメイン制御回路基板200に接続する電気ケーブルを用いることに代えて、この実施形態においては、通信に無線通信を用いることができる。各クライミング・ホールド100は、その無線送受信モジュール15を通して、メイン制御回路基板200と無線通信を行うことができる。クライミング・ホールド100が触れられる又は離されると、クライミング・ホールドは、その無線送受信モジュール15からメイン制御回路基板200のメインMCUへと信号を送信することができる。同様に、メイン制御ユニット210も、その無線通信モジュール202を通してクライミング・ホールドMCU11に信号を送信することができる。本実施形態において、メイン制御ユニット210と制御端末310との間の通信も、無線通信とすることができる。
【0042】
本願のロッククライミング・システムにおいて、クライマーがクライミング・ホールドを登攀するとき、クライミング・ホールドの導電性膜6と人体の静電気容量とが結びついて静電容量に変化が生じる。静電容量変化がクライミング・ホールド制御回路基板8上のクライミング・ホールドMCU11によって検出され、クライマーがそのクライミング・ホールドを登攀していると判断されたとき、クライミング・ホールド状況がメイン制御ユニット210に直ちに送信される。クライミング・ホールドMCU11は、クライミング・ホールドが3秒間クライマーによって掴まれていると感知した時、クライマーがクライミング・ホールドを掴んでいると判断され、ロッククライミング状況は、メイン制御ユニット210に直ちに送信される。もちろんクライミング・ホールドを掴んでいる時間を必要に応じて設定できることは理解できる。クライマーがクライミング・ホールドを離すと、導電性膜6の静電容量は通常に戻る。静電容量変化がクライミング・ホールドMCU11によって感知されると、クライマーがクライミング・ホールドを離したと判断され、その状況がメイン制御ユニット210に直ちに送信される。メイン制御ユニット210は各クライミング・ホールドの状況を受信すると、USBを通してクライミング・ホールドの状況を、コンピュータ端末310又はインテリジェント端末320にすることができる制御端末へ送信する。制御端末には、対応するアプリケーションをインストールすることができ、各クライミング・ホールドの状況の変化が即時に表示される。制御端末のロッククライミング・システムのアプリケーションを通して、色と点灯との組み合わせの多様性によって、異なるクライミング・ルート及びゲームを設計することができる。
【0043】
図5A及び図5Bに、ロッククライミング・システム及びクライミング・ホールドの他の実施形態をそれぞれ示す。本実施形態のロッククライミング・システムにおいて、クライミング・ホールド100は、クライミング・ホールドMCU11を有していない。クライミング・ホールド100の導電性膜6及びLEDは、メイン制御ユニット210のメイン制御回路基板200に直接接続することができる。メイン制御回路基板200のメインMCUは、直接的に導電性膜6の静電容量変化をモニタリングしLEDを制御することができる。
【0044】
本願のクライミング・ホールドは、導電性膜を有している。クライミング・ホールドが登攀されると、導電性膜の静電容量が変化する。クライミング・ホールド制御回路基板8のクライミング・ホールドMCU11は、変化を即座に検出し、情報を制御端末へと送信できる。本実施形態のロッククライミング・システムにおいて、制御端末は、統計及び分析のために、クライミング・ホールドの登攀状況をリアル・タイムにモニタリングすることができる。
【0045】
本実施形態のクライミング・ホールドには、導電性膜6及び制御回路基板8が配置されており、クライミング・ホールドの全ての位置における圧力を感知することができる。クライマーがクライミング・ホールドに力を作用させる時、導電性膜6が掴む力を感知し、データを統計分析のために制御端末に出力することができる。詳細な登攀データは、あらゆる種類のクライマーに新しい登攀体験及び改善をもたらすことができる。
【0046】
以上、添付図面を参照して特定の実施形態を説明した。但し、本願は上記特定の実施形態に限定されていない。上記特定の実施形態は単なる例示であって、限定と見なされるものではない。上記の開示から、当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく種々の変形及び変更を行うことができることを付言しておく。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B