(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2構造体が追加的な外因性垂直磁化構造体をさらに含み、その各々が磁性膜及び前記磁性膜上の垂直磁化誘導膜を含む、請求項1に記載の磁気トンネリング接合装置。
前記強磁性物質が、CoFeB、CoFe、NiFe、CoFePt、CoFePd、CoFeCr、CoFeTb、CoFeGd又はCoFeNiの中の少なくとも1つである、請求項6に記載の磁気トンネリング接合装置。
前記金属酸化物が、マグネシウム酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム亜鉛酸化物、ハフニウム酸化物、又はマグネシウムホウ素酸化物の中の少なくとも1つである、請求項12に記載の磁気トンネリング接合装置。
前記垂直磁化誘導膜が、Ta、Ti、U、Ba、Zr、Al、Sr、Hf、La、Ce、Sm、Mg、Th、Ca、Sc、又はYの中の少なくとも1つを含む、請求項3に記載の磁気トンネリング接合装置。
少なくとも1つの前記貴金属が、ルテニウムRu、ロジウムRh、パラジウムPd、銀Ag、オスミウムOs、イリジウムIr、白金Pt、又は金Auを含む、請求項18に記載の磁気トンネリング接合装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が達成しようとする一技術的課題は増大された熱的安定性を有する磁気メモリ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一部実施形態による磁気トンネリング接合装置は磁性膜を含む第1構造体、及び少なくとも2つの外因性垂直磁化構造体を含み、前記外因性垂直磁化構造体の各々は磁性膜及び前記磁性膜上の垂直磁化誘導膜を含む第2構造体、及び前記第1及び第2構造体の間のトンネルバリアを包含できる。
【0007】
一実施形態において、前記第2構造体は追加的な外因性垂直磁化構造体をさらに含み、その各々は磁性膜及び前記磁性膜上の垂直磁化誘導膜を包含できる。
【0008】
一実施形態において、前記垂直磁化誘導膜の中の1つの上に配置される垂直磁化保存膜をさらに包含できる。
【0009】
一実施形態において、前記磁性膜の各々は前記垂直磁化誘導膜の各々より小さい酸素親和度を有することができる。
【0010】
一実施形態において、前記垂直磁化保存膜の各々は前記垂直磁化誘導膜の各々より小さい酸素親和度を有することができる。
【0011】
一実施形態において、前記磁性膜は強磁性物質から成ることができる。
【0012】
一実施形態において、前記強磁性物質はCoFeB、CoFe、NiFe、CoFePt、CoFePd、CoFeCr、CoFeTb、CoFeGd、又はCoFeNiの中の少なくとも1つであり得る。
【0013】
一実施形態において、前記磁性膜は約1乃至約30Åの厚さを有することができる。
【0014】
一実施形態において、前記磁性膜は約3乃至約17Åの厚さを有することができる。
【0015】
一実施形態において、前記垂直磁化誘導膜は前記磁性膜に直接接触することができる。
【0016】
一実施形態において、前記垂直磁化誘導膜は酸素含有物質であり得る。
【0017】
一実施形態において、前記垂直磁化誘導膜は金属酸化物であり得る。
【0018】
一実施形態において、前記金属酸化物はマグネシウム酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム亜鉛酸化物、ハフニウム酸化物、又はマグネシウムホウ素酸化物の中の少なくとも1つであり得る。
【0019】
一実施形態において、前記垂直磁化誘導膜はTa、Ti、U、Ba、Zr、Al、Sr、Hf、La、Ce、Sm、Mg、Th、Ca、Sc、又はYの中の少なくとも1つを包含できる。
【0020】
一実施形態において、前記垂直磁化誘導膜は前記磁性膜又は前記垂直磁化保存膜より大きい電気抵抗を有することができる。
【0021】
一実施形態において、前記垂直磁化誘導膜は前記磁性膜又は前記垂直磁化保存膜より薄い厚さを有することができる。
【0022】
一実施形態において、前記垂直磁化保存膜は前記垂直磁化誘導膜より小さい電気抵抗を有することができる。
【0023】
一実施形態において、前記垂直磁化保存膜は少なくとも1つの貴金属又は銅で形成され得る。
【0024】
一実施形態において、少なくとも1つの前記貴金属はルテニウムRu、ロジウムRh、パラジウムPd、銀Ag、オスミウムOs、イリジウムIr、白金Pt、又は金Auを包含できる。
【0025】
一実施形態において、前記垂直磁化保存膜はタンタル又はチタンより小さい電気抵抗を有する物質の中の少なくとも1つで形成され得る。
【0026】
一実施形態において、前記磁気トンネリング接合装置は基板をさらに含み、前記第1構造体は前記基板に隣接する下部構造体であり、前記第2構造体は前記基板から離隔された上部構造体であり得る。
【0027】
一実施形態において、前記第2構造体の前記磁性膜は自由磁性膜であり得る。
【0028】
一実施形態において、前記第1構造体は固定磁性膜を包含できる。
【0029】
一実施形態において、前記垂直磁化保存膜上の上部電極をさらに包含できる。
【0030】
一実施形態において、前記磁気トンネリング接合装置は基板をさらに含み、前記第1構造体は前記基板から離隔された上部構造体であり、前記第2構造体は前記基板に隣接する下部構造体であり得る。
【0031】
一実施形態において、前記第1構造体は磁性膜及び前記磁性膜上の垂直磁化誘導膜を含む、少なくとも2つの外因性垂直磁化構造体、前記垂直磁化誘導膜の中の2つの間に介在される金属膜、及び前記垂直磁化誘導膜の中の1つの上部に位置する垂直磁化保存膜を包含できる。
【0032】
一実施形態において、前記第1構造体内の少なくとも2つの前記外因性垂直磁化構造体の数は前記第2構造体内の少なくとも2つの前記外因性垂直磁化構造体の数より大きくなり得る。
【0033】
本発明の一部実施形態による電子装置はバス、前記バスに連結された無線通信ネットワークに又はそれからデータを伝送するように構成される無線インターフェイス、前記バスに連結される入出力装置、前記バスに連結されるコントローラ、及び前記バスに連結されるメモリを包含できる。前記メモリは前記コントローラによって使用される命令コード又は使用者データを格納するように構成され、磁気トンネリング接合装置を含む半導体装置を包含できる。
【0034】
本発明の一部実施形態によるメモリシステムは磁気トンネリング接合装置を含む半導体装置を含み、データを格納するためのメモリ装置、及び前記メモリ装置に格納されたデータを読み出すために、又はホストからの読出し/書込み要請に応答して前記メモリ装置にデータを記録するために、前記メモリ装置を制御するように構成されるメモリコントローラを包含できる。
【0035】
本発明の一部実施形態による磁気トンネリング接合装置は固定磁性膜を含む第1構造体、前記第1構造体上のトンネルバリア、及び前記トンネルバリア上の第2構造体を含み、前記第2構造体は前記トンネルバリア上の第1磁性膜、前記第1磁性膜上の第1垂直磁化誘導膜、前記第1垂直磁化誘導膜上の交換結合層、前記交換結合層上の第2垂直磁化誘導膜、前記第2垂直磁化誘導膜上の第2磁性膜、及び前記第2磁性膜上の第3垂直磁化誘導膜を包含できる。
【0036】
一実施形態において、前記第3垂直磁化誘導膜上の垂直磁化保存膜をさらに包含できる。
【0037】
一実施形態において、前記磁性膜の各々は前記垂直磁化誘導膜の各々より小さい酸素親和度を有することができる。
【0038】
一実施形態において、前記垂直磁化保存膜の各々は前記垂直磁化誘導膜の各々より小さい酸素親和度を有することができる。
【0039】
一実施形態において、前記垂直磁化誘導膜は金属酸化物であり得る。
【0040】
一実施形態において、前記金属酸化物はマグネシウム酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム亜鉛酸化物、ハフニウム酸化物、又はマグネシウムホウ素酸化物の中の少なくとも1つであり得る。
【0041】
一実施形態において、前記垂直磁化誘導膜はTa、Ti、U、Ba、Zr、Al、Sr、Hf、La、Ce、Sm、Mg、Th、Ca、Sc、又はYの中の少なくとも1つを包含できる。
【0042】
一実施形態において、前記垂直磁化誘導膜は前記磁性膜又は前記垂直磁化保存膜より大きい電気抵抗を有することができる。
【0043】
一実施形態において、前記垂直磁化誘導膜は前記磁性膜又は前記垂直磁化保存膜より薄い厚さを有することができる。
【0044】
一実施形態において、前記磁気トンネリング接合装置は基板をさらに含み、前記第1構造体は前記基板に隣接する下部構造体であり、前記第2構造体は前記基板から離隔された上部構造体であり得る。
【0045】
一実施形態において、前記第2構造体の前記磁性膜は自由磁性膜であり得る。
【0046】
一実施形態において、前記第1構造体は固定磁性膜を包含できる。
【0047】
一実施形態において、前記垂直磁化保存膜上の上部電極をさらに包含できる。
【0048】
一実施形態において、前記磁気トンネリング接合装置は基板をさらに含み、前記第1構造体は前記基板から離隔された上部構造体であり、前記第2構造体は前記基板に隣接する下部構造体であり得る。
【0049】
本発明の一部実施形態による電子装置はバス、前記バスに連結された無線通信ネットワークに又はそれからデータを伝送するように構成される無線インターフェイス、前記バスに連結される入出力装置、前記バスに連結されるコントローラ、及び前記バスに連結されるメモリを包含できる。前記メモリは前記コントローラによって使用される命令コード又は使用者データを格納するように構成され、磁気トンネリング接合装置を含む半導体装置を包含できる。
【0050】
本発明の一部実施形態によるメモリシステムは磁気トンネリング接合装置を含む半導体装置を含み、データを格納するためのメモリ装置、及び前記メモリ装置に格納されたデータを読み出すために又はホストからの読出し/書込み要請に応答して前記メモリ装置にデータを記録するために、前記メモリ装置を制御するように構成されるメモリコントローラを包含できる。
【発明の効果】
【0051】
本発明の実施形態による磁気トンネル接合は外因性垂直磁化構造を包含するように構成され、前記外因性垂直磁化構造は複数の磁性膜及びこれらの間に介在される少なくとも1つの垂直磁化誘導体を含む。前記磁性膜の各々は垂直磁化特性を有し得る最大厚さより薄く形成され得るが、磁気的に結合された前記磁性膜の厚さの合計は前記最大厚さより大きくなり得る。これによって、磁気トンネル接合の熱的安定性が増大できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の実施形態による磁気メモリ素子の単位セルを例示的に図示する回路図である。
【
図2】本発明の実施形態による選択素子を例示的に図示する回路図である。
【
図3】本発明の実施形態による選択素子を例示的に図示する回路図である。
【
図4】本発明の実施形態による選択素子を例示的に図示する回路図である。
【
図5】本発明の実施形態による選択素子を例示的に図示する回路図である。
【
図6】本発明の実施形態による選択素子を例示的に図示する回路図である。
【
図7】本発明の実施形態による第1形態の磁気トンネル接合を図示する概略図である。
【
図8】本発明の実施形態による第2形態の磁気トンネル接合を図示する概略図である。
【
図9】磁気トンネル接合の一部として使用され得る薄膜構造体を例示的に図示する断面図である。
【
図10】磁気トンネル接合の一部として使用され得る薄膜構造体を例示的に図示する断面図である。
【
図11】磁気トンネル接合の一部として使用され得る薄膜構造体を例示的に図示する断面図である。
【
図12】磁気トンネル接合の一部として使用され得る薄膜構造体を例示的に図示する断面図である。
【
図13】磁気トンネル接合の一部として使用され得る薄膜構造体を例示的に図示する断面図である。
【
図14】磁気トンネル接合の一部として使用され得る薄膜構造体を例示的に図示する断面図である。
【
図15】磁気トンネル接合の一部として使用され得る薄膜構造体を例示的に図示する断面図である。
【
図16】磁気トンネル接合の一部として使用され得る薄膜構造体を例示的に図示する断面図である。
【
図17】磁気トンネル接合の一部として使用され得る薄膜構造体を例示的に図示する断面図である。
【
図18A】本発明の実施形態による外因性垂直磁化構造の一側面を図示するグラフである。
【
図18B】本発明の実施形態による外因性垂直磁化構造の一側面を図示するグラフである。
【
図19】本発明の実施形態による外因性垂直磁化構造の他の側面を図示するグラフである。
【
図20】本発明の実施形態による外因性垂直磁化構造のその他の側面を説明するための図面である。
【
図21】本発明の実施形態による磁気トンネル接合の磁気的な特性の一側面を例示的に示す実験グラフである。
【
図22】本発明の実施形態による第1形態の磁気トンネル接合を例示的に図示する断面図である。
【
図23】本発明の実施形態による第2形態の磁気トンネル接合を例示的に図示する断面図である。
【
図24】本発明の変形された実施形態による磁気メモリ素子の単位セルを例示的に図示する回路図である。
【
図25】本発明の実施形態による半導体装置を含む電子装置を図式的に説明するための図面である。
【
図26】本発明の実施形態による半導体装置を含む電子装置を図式的に説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び長所は添付された図面と関連された以下の望ましい実施形態を通じて容易に理解できる。しかし、本発明はここで説明される実施形態に限定されず、他の形態に具体化できる。むしろ、ここで紹介される実施形態は開示された内容が徹底であり、完全になるように、そして当業者に本発明の思想が十分に伝達できるようにするために提供されることである。
【0054】
本明細書で、ある膜が他の膜又は基板の上にあると言及される場合にそれは他の膜又は基板の上に直接形成されうるが、それらの間に第3の膜が介在されることもあり得ることを意味する。また、図面において、膜及び領域の厚さは技術的内容の効果的な説明のために誇張されることがある。また、本明細書の多様な実施形態で第1、第2、第3等の用語が多様な領域や膜等を説明するために使用されるが、これらの領域や膜はこのような用語によって限定されない。これらの用語は単なるいずれかの所定領域又は膜を他の領域又は膜と区別するために使われるのみである。したがって、いずれかの一実施形態において第1膜質として言及された膜質が他の実施形態では第2膜質として言及されることもあり得る。ここで説明され、例示される各実施形態はその相補的な実施形態も含む。
【0055】
本発明の実施形態によれば、磁気メモリ素子は以下でより具体的に説明される外因性垂直磁化構造を包含するように構成され得る。
【0056】
一方、2011年3月18日及び2011年7月27日に各々出願された韓国特許出願番号10−2011−0024429及び10−2011−0074500は外因性垂直磁化構造と関連された技術的特徴を開示し、ここに開示された内容は完全な形態としてこの出願の一部として包含される。
【0057】
図1は本発明の実施形態による磁気メモリ素子の単位セルを例示的に図示する回路図である。
【0058】
図1を参照すれば、単位セル100は互いに交差する第1配線10及び第2配線20の間でこれらを連結する。単位セル100は選択素子30及び磁気トンネル接合MTJ(magnetic tunnel junction)を包含できる。選択素子30及び磁気トンネル接合MTJは電気的に直列に連結され得る。第1及び第2配線10、30の中の1つはワードラインとして使用され、他の1つはビットラインとして使用され得る。
【0059】
選択素子30は磁気トンネル接合MTJを通る電荷の流れを選択的に制御するように構成され得る。例えば、選択素子30は
図2乃至
図6に図示されたようにダイオード、PNPバイポーラトランジスター、NPNバイポーラトランジスター、NMOS電界効果トランジスター、及びPMOS電界効果トランジスターの中の1つであり得る。選択素子30が3端子素子であるバイポーラトランジスター又はMOS電界効果トランジスターで構成される場合、追加的な配線(図示せず)が選択素子30に連結され得る。
【0060】
磁気トンネル接合MTJは下部構造体41、上部構造体42及びこれらの間のトンネルバリア50を包含できる。下部及び上部構造体41、42の各々は磁性物質で形成される少なくとも1つの磁性膜を包含できる。
【0061】
磁性膜の中の1つの磁化方向は、通常的な使用環境の下で外部磁界(external magnetic field)に関係なく固定される。以下では、このような固定された磁化特性を有する磁性膜を被固定膜PL(pinned layer)と称する。反面、磁性膜の中の他の1つの磁化はそれに印加される外部磁界によってスイッチされ得る。以下では、このような可変的な磁化特性を有する磁性膜を自由膜FRL(free layer)と称する。即ち、
図7及び
図8に図示されたように、磁気トンネル接合MTJはトンネルバリア50によって分離された少なくとも1つの自由膜FRL及び少なくとも1つの被固定膜PLを具備することができる。
【0062】
磁気トンネル接合MTJの電気抵抗は自由膜FRL及び被固定膜PLの磁化方向に依存的であり得る。例えば、磁気トンネル接合MTJの電気抵抗は自由膜FRL及び被固定膜PLの磁化方向が平行な場合に比べてこれらが反平行な(antiparallel)場合に著しく大きくなり得る。結果的に、磁気トンネル接合MTJの電気抵抗は自由膜FRLの磁化方向を変更することによって調節することができ、これは本発明にしたがう磁気メモリ装置でのデータ格納原理として利用され得る。
【0063】
磁気トンネル接合MTJの下部及び上部構造体41、42は、
図7及び
図8に図示されたように、所定の基板(sub)の上に順に形成され得る。この場合、磁気トンネル接合MTJは、それを構成する自由膜FRLと基板(sub)との間の相対的配置又は自由膜FRLと被固定膜PLとの形成順序にしたがって、2つの形態に区分され得る。例えば、磁気トンネル接合MTJは
図7に図示されたように下部構造体41及び上部構造体42が各々被固定膜PL及び自由膜FRLを含む第1形態の磁気トンネル接合MTJ1であるか、或いは
図8に図示されたように下部構造体41及び上部構造体42が各々自由膜FRL及び被固定膜PLを含む第2形態の磁気トンネル接合MTJ2であり得る。
【0064】
図9乃至
図17は磁気トンネル接合MTJの一部として使用され得る薄膜構造体を例示的に図示する断面図である。即ち、磁気トンネル接合MTJの下部及び上部構造体41、42の各々は
図9乃至
図17を参照して例示的に説明される薄膜構造体の中のいずれか1つを包含するように構成され得る。一方、
図9乃至
図17を参照して例示的に説明される薄膜構造体が下部構造体41の一部として採用される場合、これらの各々は図示された構造を裏返しにした構造として提供され得る。
【0065】
本発明の実施形態によれば、下部及び上部構造体41、42の中の少なくとも1つは
図9乃至
図15を参照して例示的に説明される外因性垂直磁化構造EPMS(extrinsic perpendicular magnetization structure)の一部又は全てを包含するように構成され得る。例えば、下部構造体41は
図9乃至
図15を参照して説明される外因性垂直磁化構造EPMSの中の一部又は全てを含み、上部構造体42は
図16及び
図17を参照して例示的に説明される内在的垂直磁化構造IPMS(intrinsic perpendicular magnetization structure)の中の一部又は全てを包含するように構成され得る。又は下部構造体41は
図16及び
図17を参照して例示的に説明される内在的垂直磁化構造IPMSの中の一部又は全てを含み、上部構造体42は
図9乃至
図15を参照して例示的に説明される外因性垂直磁化構造EPMSの中の一部又は全てを包含するように構成され得る。又は下部及び上部構造体41、42の各々は
図9乃至
図15を参照して説明される外因性垂直磁化構造EPMSの中の一部又は全てを包含するように構成され得る。
【0066】
図9乃至
図15を参照すれば、外因性垂直磁化構造EPMSは少なくとも1つの磁性膜MGL及び/又は磁性膜MGLを覆う少なくとも1つの垂直磁化誘導膜PMI(perpendicular magnetization inducing layer)を包含できる。この時、磁性膜MGLは下部構造体41及び/又は上部構造体42に含まれた磁性膜であり得る。即ち、自由膜FRL又は被固定膜PLは外因性垂直磁化構造EPMSの磁性膜MGLを使用して具現され得る。
【0067】
外因性垂直磁化構造EPMSの場合、磁性膜MGLは強磁性物質(ferromagnetic material)であり得る。例えば、磁性膜MGLはコバルト鉄ホウ素CoFeB、コバルト鉄CoFe、ニッケル鉄NiFe、コバルト鉄白金CoFePt、コバルト鉄パラジウムCoFePd、コバルト鉄クロムCoFeCr、コバルト鉄テルビウムCoFeTb、コバルト鉄ガドリニウムCoFeGd又はコバルト鉄ニッケルCoFeNiの中の少なくとも1つであり得る。本発明の一側面によれば、磁性膜MGLは内在的水平磁化特性(intrinsic horizontal magnetization property)を有する内在的水平磁性膜(intrinsic horizontal magnetic layer)であり得る。ここで、内在的水平磁化特性とは、磁性膜MGLがその幾何学的形状によって生じる磁気異方性によって、その主表面に平行な磁化を有する特性を意味する。主表面とは、最も広い面積を有する磁性膜MGLの表面を意味し、ほとんどの場合、磁性膜MGLの上部面又は下部面であり得る。上から例示的に説明された強磁性物質はこのような内在的水平磁化特性を有する物質であり得る。
【0068】
これに加えて、磁性膜MGLは、その蒸着厚さがその水平方向の長さに比べて相対的に小さい、薄膜の形態に形成され得る。本発明の一部実施形態によれば、外因性垂直磁化構造EPMSを構成する磁性膜MGLの各々の厚さは約1Å乃至約30Åであり得る。又は、磁性膜MGLの各々の厚さは約3Å乃至14Å又は約3Å乃至17Åであり得る。
【0069】
垂直磁化誘導膜PMIは磁性膜MGLと直接接触するように形成され、このような直接的な接触は磁性膜MGLの磁化方向を磁性膜MGLの厚さ方向(即ち、主表面の法線方向)と平行になるように変化させ得る。即ち、垂直磁化誘導膜PMIは内在的水平磁化特性を有する磁性膜MGLが垂直磁化特性を有するようにする外部要因(external factor)を提供できる。このような理由で、互いに接触する垂直磁化誘導膜PMI及び磁性膜MGLは外因性垂直磁化特性(extrinsic perpendicular magnetization property)を有する構造(例えば、外因性垂直磁化構造)を形成できる。以下で、外因性垂直磁化構造を構成する磁性膜MGLは外因性垂直磁性膜と称される。
【0070】
垂直磁化誘導膜PMIは酸素原子を含む物質であり得る。一部実施形態によれば、垂直磁化誘導膜PMIは金属酸化物の中の少なくとも1つであり得る。例えば、垂直磁化誘導膜PMIはマグネシウム酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム亜鉛酸化物、ハフニウム酸化物又はマグネシウムホウ素酸化物の中の少なくとも1つであり得るが、本発明の技術的思想はこれに限定されない。一方、垂直磁化誘導膜PMIは磁性膜MGLに比べて高い抵抗率を有することができる。この場合、磁気トンネル接合MTJの電気抵抗は垂直磁化誘導膜PMIの抵抗に大きく依存される。このような依存性を減らすために、垂直磁化誘導膜PMIは薄い厚さに形成され得る。例えば、垂直磁化誘導膜PMIは磁性膜MGLより薄い厚さであり得る。一部実施形態によれば、垂直磁化誘導膜PMIの厚さは約1Å乃至約15Åであり得る。
【0071】
一部実施形態によれば、外因性垂直磁化構造EPMSは、
図9に例示的に図示されたように、単一層構造に形成される磁性膜MGL及び垂直磁化誘導膜PMIを包含できる。
【0072】
他の実施形態によれば、外因性垂直磁化構造EPMSは、
図10乃至
図15に例示的に図示されたように、多層構造に形成される磁性膜MGL及び垂直磁化誘導膜PMIを包含できる。磁性膜MGL及び垂直磁化誘導膜PMIは交互に積層され得る。即ち、2つの磁性膜MGLの間には、少なくとも1つの垂直磁化誘導膜PMIが介在され得る。より具体的に、外因性垂直磁化構造EPMSは、
図10及び
図11に図示されたように、2つの磁性膜MGLの間に1つの垂直磁化誘導膜PMIが介在されるように構成されるか、或いは
図13及び
図14に図示されたように、2つの磁性膜MGLの間に一対の垂直磁化誘導膜PMIが介在されるように構成され得る。
【0073】
多層構造の磁性膜MGLを含む外因性垂直磁化構造EPMSにおいて、一部実施形態によれば、磁性膜MGLは実質的に同一な厚さ及び/又は同一な物質で形成され得る。しかし、他の実施形態によれば、磁性膜MGLの中の少なくとも2つは互いに異なる厚さ及び/又は互いに異なる物質で形成され得る。同様に、一部実施形態によれば、垂直磁化誘導膜PMIは実質的に同一な厚さ及び/又は同一な物質で形成され得る。しかし、他の実施形態によれば、垂直磁化誘導膜PMIの中の少なくとも2つは互いに異なる厚さ及び/又は互いに異なる物質で形成され得る。一部実施形態によれば、磁性膜MGLの各々及び垂直磁化誘導膜PMIの各々の物質及び厚さは先に例示的に説明されたことと実質的に同一であり得る。
【0074】
一方、外因性垂直磁化構造EPMSは垂直磁化誘導膜PMIを覆う少なくとも1つの金属膜をさらに包含できる。例えば、外因性垂直磁化構造EPMSは垂直磁化保存膜PMPをさらに包含できる。一実施形態において、垂直磁化保存膜PMPは、
図9乃至
図15に例示的に図示されたように、外因性垂直磁化構造EPMSの最上部層又は最下部の層として使用され得る。垂直磁化誘導膜PMIの中の1つは垂直磁化保存膜PMPとこれに隣接する磁性膜MGLとの間に介在され得る。一実施形態において、上部電極が垂直磁化保存膜PMPの上に配置され得る。
【0075】
垂直磁化保存膜PMPは垂直磁化誘導膜PMIより低い抵抗率を有する物質で形成され得る。例えば、垂直磁化保存膜PMPは(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金等の)貴金属(noble metal)又は銅の中の少なくとも1つで形成され得る。本発明の一部実施形態によれば、垂直磁化保存膜PMPはタンタル又はチタンより低い抵抗率を有する物質の中の1つであり得る。
【0076】
これに加えて、本発明の一側面によれば、少なくとも、垂直磁化誘導膜PMIに接触する垂直磁化保存膜PMPの部分は酸素原子と反応するのが難しい物質で形成され得る。上述した貴金属(noble metal)又は銅は垂直磁化保存膜PMPのためのこのような条件を充足させる物質から選択され得る。一部実施形態によれば、垂直磁化保存膜PMPは後続工程又は使用者の通常の使用環境の下でも酸素原子との反応を実質的に完全に遮断できる物質であり得る。
【0077】
一部実施形態によれば、外因性垂直磁化構造EPMSは、
図13乃至
図15に例示的に図示されたように、磁性膜MGLの間に介在される少なくとも1つの交換結合層ECLをさらに包含できる。交換結合層ECLは(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金等の)貴金属(noble metal)の中の1つで形成され得る。
【0078】
隣接するように配置される一対の磁性膜MGLは交換結合層ECLとして使用される物質の種類及び厚さにしたがって平行な磁化特性又は反平行な磁化特性を有することができる。交換結合層ECLは隣接する磁性膜MGLが平行な磁化特性を有するように構成され得る。この場合、磁気トンネル接合MTJの磁気モーメント特性での不安定性(例えば、階段形のヒステリシス曲線)を示す技術的問題が予防できる。しかし、本発明の技術的思想はこれに限定されない。一部実施形態によれば、交換結合層ECLは2Å乃至10Åの厚さを有するルテニウム膜であり得る。
【0079】
交換結合層ECLとこれに隣接する磁性膜MGLとの中の1つの間には、
図13及び
図14に図示されたように、垂直磁化誘導膜PMIが介在され得る。例えば、交換結合層ECLの上部面及び下部面の全てを垂直磁化誘導膜PMIによって覆うことができる。この場合、外因性垂直磁化構造EPMSで、垂直磁化誘導膜PMIの層数が磁性膜MGLの層数より大きくなり得る。しかし、他の実施形態によれば、
図15に図示されたように、交換結合層ECLの上部面及び下部面の中の少なくとも1つは磁性膜MGLと直接接触することができる。
【0080】
一部実施形態によれば、交換結合層ECLと磁性膜MGLの層数との間の差異は2より大きくなり得る。即ち、交換結合層ECLが磁性膜MGLの間の空間の全てに配置されなくてもよいが、そのように配置されることもあり得る。例えば、
図15に例示的に図示されたように、磁性膜MGLの間の空間には1つの垂直磁化誘導膜PMIが介在されるが、或いは1つの交換結合層ECLが介在され得る。
【0081】
外因性垂直磁化構造EPMSは垂直磁化誘導膜PMIを覆う少なくとも1つの金属膜MTLをさらに包含できる。例えば、金属膜MTLは、
図12に図示されたように、磁性膜MGLと垂直磁化誘導膜PMIとの間に介在され得る。一部実施形態によれば、金属膜MTLは垂直磁化保存膜PMPとして機能するように構成され得る。即ち、金属膜MTLは酸素原子と反応するのが難しい物質(例えば、貴金属又は銅の中の少なくとも1つ)で形成され得る。他の実施形態によれば、金属膜MTLは交換結合層ECLとして機能するように構成され得る。即ち、金属膜MTLはその上部面及び下部面に隣接する一対の磁性膜MGLが平行又は反平行な磁化特性を有するように構成され得る。
【0082】
本発明の実施形態によれば、下部及び上部構造体41、42の中の1つは、
図16及び
図17に図示された、内在的垂直磁化構造IPMSの中の1つを包含するように構成され得る。
【0083】
図16及び
図17を参照すれば、内在的垂直磁化構造IPMSは少なくとも1つの内在的垂直磁性膜IPMLを包含できる。内在的垂直磁性膜IPMLは下部構造体41及び/又は上部構造体42に含まれた磁性膜であり得る。即ち、自由膜FRL又は被固定膜PLは内在的垂直磁性膜IPMLを使用して具現され得る。
【0084】
内在的垂直磁性膜IPMLは内在的垂直磁化特性(intrinsic perpendicular magnetization property)を有する物質で形成され得る。即ち、内在的垂直磁性膜IPMLは、外因性垂直磁化構造EPMSの垂直磁化誘導膜PMIのような外部要因が無くとも、その水平面(即ち、xy平面)と垂直になる磁化方向を有することができる。
【0085】
例えば、内在的垂直磁性膜IPMLは、(a)テルビウムTbの含量比が10%以上であるコバルト鉄テルビウムCoFeTb、(b)ガドリニウムGdの含量比が10%以上であるコバルト鉄ガドリニウムCoFeGd、(c)コバルト鉄ジスプロシウムCoFeDy、(d)L10構造のFePt、(e)L10構造のFePd、(f)L10構造のCoPd、(g)L10構造のCoPt、(h)稠密六方晶系格子(Hexagonal Close Packed Lattice)構造のCoPt、(i)上述した(a)乃至(h)の物質の中の少なくとも1つを含む合金、又は(j)磁性層及び非磁性層が交互にそして反復的に積層された構造の中の1つであり得る。磁性層及び非磁性層が交互に、そして反復的に積層された構造は(Co/Pt)n、(CoFe/Pt)n、(CoFe/Pd)n、(Co/Pd)n、(Co/Ni)n、(CoNi/Pt)n、(CoCr/Pt)n又は(CoCr/Pd)n(nは積層回数)の構造であり得る。
【0086】
より具体的に、
図16に図示されたように、内在的垂直磁化構造IPMSは単一層構造に形成される内在的垂直磁性膜IPML及びキャッピング膜CPLを包含できる。キャッピング膜CPLはその下に位置する内在的垂直磁性膜IPMLを保護するキャッピング層として使用され得る。キャッピング膜CPLはルテニウムRu、タンタルTa、パラジウムPd、チタンTi、白金Pt、銀Ag、金Au又は銅Cuの中の少なくとも1つで形成され得る。
【0087】
一部実施形態によれば、
図16に図示された内在的垂直磁化構造IPMSは図示された構造を裏返しにした構造として提供されて下部構造体41を構成することができる。この場合、キャッピング膜CPLはその上部に位置する内在的垂直磁性膜IPMLの成長のためのシード層として機能することができる。例えば、内在的垂直磁性膜IPMLがL10構造である場合、キャッピング膜CPLは、窒化チタン、窒化タンタル、窒化クロム又は窒化バナジウム等のような、塩化ナトリウム格子構造の導電性金属窒化物を包含できる。
【0088】
図17を参照すれば、内在的垂直磁化構造IPMSは一対の内在的垂直磁性膜IPML及びこれらの間に介在される交換結合層ECLを包含できる。交換結合層ECLは(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金等の)貴金属(noble metal)の中の1つで形成され得る。
図13乃至
図15を参照して説明したのと同様に、交換結合層ECLとして使用される物質の種類及び厚さにしたがって、隣接するように配置される一対の内在的垂直磁性膜IPMLは平行な磁化特性又は反平行な磁化特性を有することができる。一部実施形態によれば、内在的垂直磁化構造IPMSの交換結合層ECLは内在的垂直磁性膜IPMLが反平行な磁化特性を有するように(即ち、合成反強磁性を有するように)構成され得る。
【0089】
図18A及び
図18Bは本発明の実施形態による外因性垂直磁化構造の一側面を図示するグラフである。上述したように、垂直磁化保存膜PMPは後続工程又は使用者の通常の使用環境の下でも酸素原子との反応を実質的に完全に遮断できる物質であり得る。
【0090】
例えば、
図18Aに図示されたように、垂直磁化保存膜PMPは垂直磁化誘導膜PMIを構成する金属より低い酸素親和度を有する物質であり得る。又は、酸素親和度は酸化物形成反応での標準反応エンタルピー(standard heat of formation of metal oxide(ΔH
0f[単位:kJ/mole Oxygen])を通じて表現でき、
図18Bに図示されたように、垂直磁化誘導膜PMIを構成する金属物質のΔH
0fは約−500[kJ/mole Oxygen]より小さいことがあり得、垂直磁化保存膜PMPのΔH
0fは−300[kJ/mole Oxygen]より大きくなり得る。即ち、標準反応エンタルピーは、絶対値で、垂直磁化保存膜PMPより垂直磁化誘導膜PMIを構成する金属の場合にさらに大きくなり得る。例えば、垂直磁化誘導膜PMIを構成する金属はTa、Ti、U、Ba、Zr、Al、Sr、Hf、La、Ce、Sm、Mg、Th、Ca、Sc、Yの中の少なくとも1つを包含でき、垂直磁化保存膜PMPはAu、Ag、Pt、Pd、Rh、Ru、Cu、Re、Pbの中の少なくとも1つを包含できる。磁性膜MGLもやはり、
図18A又は
図18Bに図示されたように、垂直磁化誘導膜PMIを構成する金属より酸素親和度が小さい物質であり得るが、垂直磁化保存膜PMPより大きい酸素親和度を有する物質であり得る。一方、酸素との反応は多様な物理量を通じて定量的に表現できる。例えば、酸素との反応の容易さは酸化反応ポテンシャル又は酸化反応での自由エネルギー等のような物理量を通じて定量的に表現できる。
【0091】
図19は本発明の実施形態による外因性垂直磁化構造の他の側面を図示するグラフである。
【0092】
図19を参照すれば、外因性垂直磁化特性は磁性膜MGLの原子と垂直磁化誘導膜PMIを構成する酸素原子との化学的結合の結果であり得る。この場合、
図19に図示されたように、磁性膜MGLと垂直磁化誘導膜PMIとの間には、磁性膜MGLより高くて垂直磁化誘導膜PMIより低い酸素含量を有する遷移領域TRが形成され得る。遷移領域TRでの酸素含量は線型的でないこともあり得る。例えば、
図11に図示されたように、遷移領域TRでの酸素含量は所定のエンベロープENV内で単調的に(monotonically)変化し得る。
【0093】
これと異なり、垂直磁化保存膜PMPは上述したように後続工程又は使用者の通常の使用環境の下で酸素原子と反応しない物質であり得る。
図19に図示されたように、垂直磁化誘導膜PMIは有限な大きさの酸素含量を有するが、垂直磁化保存膜PMPは垂直磁化誘導膜PMIより小さい酸素含量を有することができる。一部実施形態によれば、酸素含量は垂直磁化誘導膜PMIと垂直磁化保存膜PMPとの間の界面で急激に(abruptly)変化し得る。即ち、酸素含量の変化率の絶対値は遷移領域TRでよりも、垂直磁化誘導膜PMIと垂直磁化保存膜PMPとの間の界面でさらに大きくなり得る。
【0094】
他の実施形態によれば、遷移領域TRは垂直磁化誘導膜PMIの全体にかけて形成され得る。例えば、
図19で、垂直磁化誘導膜PMIの酸素含量のz方向の変化率は磁性膜MGLと垂直磁化保存膜PMPとの間の全ての領域で有限な大きさを有することができる。一部実施形態によれば、垂直磁化誘導膜PMIの酸素含量は磁性膜MGLに隣接する領域でよりも、垂直磁化保存膜PMPに隣接する領域でさらに高いことがあり得る。
【0095】
図20は本発明の実施形態による外因性垂直磁化構造のその他の側面を説明するための図面である。
【0096】
本発明にしたがう磁気メモリ装置を製造するためには、垂直磁化誘導膜PMI及び垂直磁化保存膜PMPが形成された以後にも、所定の工程段階が追加的に実施される。(例えば、熱処理段階又は配線形成段階等。)垂直磁化誘導膜PMIは、
図20に図示されたようにこのような後続工程段階の間に、又は製品販売以後、使用者による製品使用の間に、熱的エネルギーの供給を受け得る。このような熱的エネルギーは垂直磁化誘導膜PMIから酸素原子を分離し得る。
【0097】
しかし、低い酸素親和度を有する物質で形成される垂直磁化保存膜PMPが存在する場合、分離された酸素原子の拡散及びこれにしたがう垂直磁化誘導膜PMIからの酸素離脱は防止され得る。具体的に、熱的エネルギーの供給が中断されて、分離された酸素原子が化学的に安定な状態に戻る時、垂直磁化保存膜PMPが上述したように低い酸素親和度を有する物質で形成される場合、分離された酸素原子は垂直磁化保存膜PMPでなく、垂直磁化誘導膜PMIを構成する金属原子と再結合する。即ち、垂直磁化誘導膜PMIは熱的エネルギーの供給以前の状態に復元され得る。
【0098】
図21は本発明の実施形態による磁気トンネル接合の磁気的特性の一側面を例示的に示す実験グラフである。
【0099】
実験では、磁性膜の膜厚さに対する磁性膜での垂直異方性エネルギー密度が2つの形態の磁気トンネル接合から得られた。
図21で参照番号C1は
図9に図示された外因性垂直磁化構造EPMSを含む第1形態の磁気トンネル接合MTJ1から得られた結果を示し、参照番号C2は
図13に図示された外因性垂直磁化構造を含む第2形態の磁気トンネル接合MTJ2から得られた結果を示す。即ち、第1番目の試料は単一層の磁性膜を含む外因性垂直磁化構造に該当し、第2番目の試料は多層の磁性膜を含む外因性垂直磁化構造に該当する。
【0100】
使用された試料で、トンネルバリア膜50はマグネシウム酸化膜MgOで形成され、磁性膜MGL及び垂直磁化誘導膜PMIの各々はコバルト鉄ホウ素CoFeB及びタンタル酸化物TaOで形成され、垂直磁化保存膜PMP及び交換結合層ECLはルテニウムRuで形成された。実験の他の条件は実質的に同一であった。
図21で横軸は外因性垂直磁化構造を構成する磁性膜の総計の厚さを示し、縦軸は磁性膜の垂直異方性エネルギー密度を示す。
【0101】
図21の参照番号C1を参照すれば、内在的水平磁化特性を有する物質であるコバルト鉄ホウ素CoFeBの厚さが約14Å以下である場合、垂直異方性エネルギー密度は正の値を有する。即ち、
図9の外因性垂直磁化構造EPMSで磁性膜は所定の厚さ範囲(t)内で垂直異方性を有する。例えば、内挿された(interpolated)曲線C1から、磁性膜の厚さが約3Å乃至14Åの範囲で、
図9に図示された構造の磁性膜は垂直異方性を有する。
【0102】
反面、
図21の参照番号C2を参照すれば、約20Å以上の厚さでも正の垂直異方性エネルギー密度を有するだけでなく、垂直異方性エネルギー密度の大きさは単一層の磁性膜を含む
図9の構造より大きい。これは、外因性垂直磁化構造が上述したような多層構造の磁性膜を包含するように構成される場合、垂直異方性エネルギー密度の減少無く、又は増加と共に、外因性垂直磁化構造を構成する磁性膜の総計の厚さを増加させることが可能であることを意味する。磁性膜の総計の厚さの増加によって、磁性膜の厚さが薄い場合に現れ得る磁化特性の熱的安定性問題が抑制され得る。
【0103】
上述したように、
図9乃至
図17に例示的に図示された薄膜構造体は
図7又は
図8の磁気トンネル接合MTJ1、MTJ2の一部として使用され得る。例えば、
図22に例示的に図示されたように、
図10及び
図17を参照して説明された薄膜構造体が各々上部及び下部構造体42、41を構成することができる。
図10を参照して説明された薄膜構造体は外因性垂直磁化構造であり、
図17を参照して説明された薄膜構造体は合成反強磁性を有する内在的垂直磁化構造IPMSであり得る。したがって、
図22の構造は
図7のような上部構造体42が自由膜FRLを含み、下部構造体41が固定膜PLを含む構造に該当する。
【0104】
又は、
図23に例示的に図示されたように、
図10及び
図11を参照して説明された薄膜構造体が各々下部及び上部構造体41、42を構成することができる。
図11の構造は
図10の構造に比べて、より大きい磁性膜厚さを有するように構成されることによって、固定層(又はハード層)として機能することができる。したがって、
図23の構造は
図8のような上部構造体42が固定膜PLを含み、下部構造体41が自由膜FRLを含む構造に該当する。
【0105】
例として、本発明の一部実施形態による磁気トンネル接合が
図22及び
図23を参照して例示的に説明されたが、本発明の技術的思想はこれに限定されるものではない。
【0106】
図24は本発明の変形された実施形態による磁気メモリ素子の単位セルを例示的に図示する回路図である。
【0107】
図24を参照すれば、この実施形態による磁気トンネル接合MTJは下部構造体41の下に配置される下部電極構造体61及び上部構造体42の上に配置される上部電極構造体62をさらに包含できる。即ち、下部電極構造体61は第1配線10と下部構造体41との間又は選択素子30と下部構造体41との間に配置されることができ、上部電極構造体62は第2配線20と上部構造体42との間に配置され得る。
【0108】
下部及び上部電極構造体61、62の各々は単一層構造又は多層構造であり得る。これに加えて、下部及び上部電極構造体61、62は導電性物質(さらに限定的には、金属)で形成され得る。しかし、その他の変形された実施形態によれば、所定の磁気トンネル接合MTJは下部及び上部電極構造体61、62の中の1つを包含しない構造であることもあり得る。
【0109】
図25及び
図26は本発明の実施形態による半導体装置を含む電子装置を図式的に説明するための図面である。
【0110】
図25を参照すれば、本発明の実施形態による半導体装置を含む電子装置1300はPDA、ラップトップ(laptop)コンピューター、携帯用コンピューター、ウェブタブレット(web tablet)、無線電話機、携帯電話、デジタル音楽再生器(digital music player)、有線または無線電子機器あるいはこれらの中の少なくとも2つを含む複合電子装置の中の1つであり得る。電子装置1300はバス1350を通じて互いに結合した制御器1310、キーパッド、キーボード、画面(display)のような入出力装置1320、メモリ1330、無線インターフェイス1340を包含できる。制御器1310は例えば1つ以上のマイクロプロセッサー、デジタル信号プロセッサー、マイクロコントローラ、又はこれと類似なものを包含できる。メモリ1330は例えば制御器1310によって実行される命令語を格納するのに使用され得る。メモリ1330は使用者データを格納するのに使用でき、上述した本発明の実施形態による半導体装置を包含できる。電子装置1300はRF信号で通信する無線通信ネットワークにデータを伝送するか、或いはネットワークからデータを受信するために無線インターフェイス1340を使用することができる。例えば無線インターフェイス1340はアンテナ、無線トランシーバー等を包含できる。電子装置1300はCDMA、GSM(登録商標)、NADC、E−TDMA、WCDMA、CDMA2000、Wi−Fi、Muni Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)、DECT、Wireless USB、Flash−OFDM、IEEE 802.20、GPRS、iBurst、WiBro、WiMAX、WiMAX−Advanced、UMTS−TDD、HSPA、EVDO、LTE−Advanced、MMDS等のような通信システムの通信インターフェイスプロトコルで使用され得る。
【0111】
図26を参照すれば、本発明の実施形態による半導体装置はメモリシステム(memory system)を具現するために使用され得る。メモリシステム1400は大容量のデータを格納するためのメモリ素子1410及びメモリコントローラ1420を包含できる。メモリコントローラ1420はホスト1430の読出し/書込み要請に応答してメモリ素子1410から格納されたデータを読み出す又は書き込むようにメモリ素子1410を制御する。メモリコントローラ1420はホスト1430、例えばモバイル機器又はコンピューターシステムから提供されるアドレスをメモリ素子1410の物理的なアドレスにマッピングするためのアドレスマッピングテーブル(Address mapping table)を構成することができる。メモリ素子1410は上述した本発明の実施形態による半導体装置を包含できる。
【0112】
上述された実施形態で開示された半導体装置は多様な形態の半導体パッケージ(semiconductor package)で具現され得る。例えば、本発明の実施形態による半導体装置はPoP(Package on Package)、Ball grid arrays(BGAs)、Chip scale packages(CSPs)、Plastic Leaded Chip Carrier(PLCC)、Plastic Dual In−Line Package(PDIP)、Die in Waffle Pack、Die in Wafer Form、Chip On Board(COB)、Ceramic Dual In−Line Package(CERDIP)、Plastic Metric Quad Flat Pack(MQFP)、Thin Quad Flat Package(TQFP)、Small Outline(SOIC)、Shrink Small Outline Package(SSOP)、Thin Small Outline(TSOP)、System In Package(SIP)、Multi Chip Package(MCP)、Wafer−Level Fabricated Package(WFP)、Wafer−Level Processed Stack Package(WSP)等の方式にパッケージングされ得る。
【0113】
本発明の実施形態による半導体装置が実装されたパッケージは半導体装置を制御するコントローラ及び/又は論理素子等をさらに包含することもあり得る。
【0114】
以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で多様な他の組み合わせ、変更及び環境で使用することができる。添付された請求の範囲は他の実施状態も含んで解釈されるべきである。