(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び第2の駆動手段(12、13、15、50)は、第2段階において、前記第2のフラップ(6)が、その第1の位置から第2に位置へ、前記第2の駆動手段(13)を介して旋回され続ける一方、前記制御手段は、前記第1のフラップ(5)を、その第1の位置から第2の位置へ前記第1の駆動手段(12、15、50)を介して旋回させ始めるようになっている請求項8に記載の弁。
【背景技術】
【0002】
自動車の熱機関は、主に複数のシリンダーから形成された燃焼室を備えている。シリンダー内では、燃料と空気の混合物が燃焼し、エンジンによる作業を行わせるようになっている。空気は、エンジンがターボチャージャーを有するか否かにより、圧縮されることもあれば、圧縮されないこともある。エンジンがターボチャージャーを備えている場合、圧縮機により圧縮された空気は、エンジン内に取り込まれ、燃料とともに燃焼され、その後、排気管より排出される。排出ガスは、タービンを駆動し、タービンは、圧縮機に取り付けられて、圧縮機とともにターボチャージャーを構成するようになっている。
【0003】
取り込まれた空気は、搬出ガスと混合される。これは、再循環排ガスの概念、及びいわゆるEGR(排気再循環)ループによるガスの循環の概念に基づくものである。このように燃焼室内に取り込まれたガスは、吸気と呼ばれる。これにより、有害な排出、特に窒素酸化物の排出が減少させられる。
【0004】
排出ガスの再循環は、タービンの後で取り込まれて、圧縮機の前に再導入されるガスに適用されるときには「低圧」と呼ばれ、タービンの前で取り込まれて、圧縮機の後に再導入されるガスに適用されるときには「高圧」と呼ばれる。一例として、低圧再循環は、主として、ガソリンエンジンにおいて、燃料消費量を減少させ、より良いエンジン効率を得るようにされる。
【0005】
したがって、ガスは、様々な導管を通って搬送され、その循環は、導管内でのガスの循環を、許可、禁止、又は制限する弁を用いて制御される。EGRループの場合、いわゆる三方弁を用いることが行われている。このような弁は、ターボチャージャーの圧縮機の上流、すなわち混合ガスの吸気口に配置することができ、これにより、前記導管内での空気循環量、及び導管内に取り込まれる排出ガスの量が制限される。
【0006】
低温側に配置された三方弁の場合、弁の複数の作動モード、したがってエンジンの複数の作動モードが考えられる。エンジンは、再循環排出ガスを含まない外気のみを受け取る。また、エンジンは、排出ガスの一部と混合された外気も受け取る。その場合、エンジンにおける排出ガスと吸気との圧力差は、排出ガスの再循環を確保するのに十分なものとされる。この圧力差が、排出ガスの再循環、及び適切なEGR率の確保のために十分でない場合、排気ガスの一部を、エンジンの吸気通路に向けて加速するために、EGRループの下流の排気通路を絞ることにより、背圧を生成させることができる。しかしながら、この解決法は、その複雑さゆえに、十分に満足のいくものではなく、下記のようなEGRループを用いる方が、より望ましい。
【0007】
EGR弁の外気入口通路内の外気の流速が最大であるとき、弁内のEGRガスの通路は徐々に開いていき、弁内でのEGRガスの流速の増加が止まる前に、外気入口通路は徐々に閉じていき、EGRガスの流速を、単調な増加曲線にしたがって増加させ続ける。
【0008】
本出願人により出願された国際公開第2009/106727号には、2つのフラップを有する三方弁であって、2つのフラップが、弁の2つの入口通路内に配置され、単一かつ同一の駆動手段により、一時的なずれをもって駆動される三方弁が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記特許文献1に記載された発明の構成において、フラップは、制御手段により回転駆動される駆動手段により駆動され、フラップ自身又はその制御手段上に取り付けられたリターンスプリングにより、その停止位置に戻される。空気フラップのリターンスプリング、又はその旋回機構の問題個所が故障の場合、空気フラップは、閉位置に留まり続ける恐れがあり、これは、エンジンの性能を低下させる。したがって、リターンスプリング
が破損
した場合でも、エンジンの作動を維持し得る装置を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、これらの問題点を取り除くことである。このため、本発明の主題は、
空気入口通路におけるリターン駆動終端ストッパ付き三方弁であって、空気入口通路と、前記
空気入口通路内に配置された第1
のフラップと、ガス入口通路と、前記ガス入口通路内に配置された第2のフラップと、制御手段と、
前記制御手段により制御されるようになっている第1の駆動手段とを備え、前記第1の駆動手段は、前記第1のフラップを、第1の位置から第2の位置に向けて、第1段階において
は、前記第1のフラップが
リターンスプリングの作用下で前記第1の位置に維持されて、前記第1のフラップと前記第2のフラップが、同時に開放位置及び閉鎖位置にないように、前記第1のフラップを第2のフラップに対して一時的な時間のずれをもって駆動するようになっていて、前記第1の駆動手段は、前記リターンスプリングが故障の場合に、前記制御手段の作用下で、前記第1のフラップ(5)を前記第1の位置に戻すようになっているリターン駆動終端ストッパを備えていることを特徴とする空気入口通路におけるリターン駆動終端ストッパ付き三方弁を提供することにある。
【0012】
本発明によれば、前記第1の駆動手段は、前記リターン
スプリングが故障
した場合に、前記制御手段の作用下で、前記第1のフラップを前記第1の位置に戻すことを可能とするリターン駆動
終端ストッパを備えている。
【0013】
リターンスプリングが故障
した場合であっても、車両のエンジンが作動し続けることを可能とする位置に、第1のフラップを戻すことができる。汚染排出低減機能だけは影響を受ける可能性があるが、車両は、修理されるまで、走行し続けることができる。
【0014】
組み合わせて、又は別個に採用し得る実施形態として、次のものがある。
-第1のフラップの第1及び第2の位置は、第1の通路の開放及び閉鎖位置である。
-第1の駆動手段は、歯付きクラウン
大リングを備えている。
【0015】
第1の実施形態によれば、
-第1の駆動手段は、前記第1のフラップに対して回転
するように連結され、前記歯付きクラウン
大リングに対して回転自由である
ガイド歯車を更に備え、前記ガイド歯車は、前記第1のフラップがその第1の位置から第1の位置に切り替わるときには、前記歯付きクラウン
大リングにより駆動することができ、前記フラップが戻り方向に駆動されるときには、前記リターン
スプリングにより駆動することができる。
−前記歯付きクラウン
大リングは、前記リターン
スプリングが故障
した場合に、
ガイド歯車のリターン終
端ストッパと協働しうるリターン終端ストッパを備えている。
−前記歯付きクラウン
大リングは、前記第1のフラップが、その第1の位置から第2の位置に切り替わるときに、
ガイド歯車の
駆動終端ストッパと協働可能な駆動終端ストッパを備え、
ガイド歯車のリターン終端ストッパ、及び駆動終端ストッパは、互いに当接している。
【0016】
他の実施形態によれば、
-前記リターン駆動
終端ストッパは、前記
歯付きクラウン大リングの一端部により形成されたリターン終端ストッパを備えている。
-前記第1の駆動手段は、歯付きクラウン
大リング内に形成されたスカラップ内を循環する爪を更に備え、リターン終端ストッパは、前記爪と向き合って配置されている。
【0017】
本発明の1つの特徴によれば、前記リターン駆動
終端ストッパは、制御手段が、前記リターン
スプリングの故障を緩和するために駆動されたときに、第1のフラップを、その第1の位置に対して後退した位置とするようになっている。従って、通常作動において、異なる終端ストッパ間で発生するおそれのある干渉は回避される。
【0018】
本発明の1つの特徴によれば、弁は、三方弁であり、弁の3つの通路の中の第2の通路に配置された第2のフラップを備え、前記制御手段は、両方のフラップに共通として設計されており、前記弁は、第2の駆動手段を更に備え、前記第2の駆動手段は、共通の制御手段により制御されるようになっており、前記第1段階の間、共通の制御手段が、第2のフラップを第1の位置から第2の位置に旋回させるように、第2のフラップを駆動する。
【0019】
また、第1及び第2の駆動手段は、第2段階において、第2のフラップは、その第1の
位置から第2に位置へ前記第2の駆動手段を介して旋回され続ける一方、前記制御手段は、前記第1のフラップをその第1の位置から第2の位置へ前記第1の駆動手段を介して旋回させ始めるようになっている。
【0020】
フラップは、その2つの入口通路に配置されており、弁は、自動車の内燃エンジンの吸気マニホールドに接続された低温側のためのEGRループ弁である。
【0021】
単なる例示であって、制限を加えるものでない本発明の実施形態の以下の詳細な説明から、本発明を、より良く理解することができ、また本発明の他の目的、詳細、特徴及び利点は、更に明瞭になると思う。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、排気再循環(EGR)ループを備え
た自動車の内燃エンジン21を示している。内燃エンジン21は、ターボチャージャー24の圧縮機26からの空気及び排出ガスを受け取るための吸気マニホールド23と、燃焼ガスのための排気マニホールド22と、ターボチャージャー24のタービン25と、EGRループ28とを備えている。EGRループ28は、クーラー29と、ターボチャージャー24の圧縮機26の上流に配置された低圧三方弁1とを有している。この三方弁は、出口において圧縮機と接続されており、外気を受け入れるための入口(空気通路)と、冷却された排出ガスを受け入れるための入口(EGR通路又はガス通路)の2つの入口を有している。外気と排出ガスの混合ガスの圧力は、圧縮機26によって増大させられる。
【0024】
図2a〜
図2dは、空気入口2と、再循環ガス入口3と、空気とガスの混合ガスの出口4とを備え
た三方弁を示す。この実施形態において、弁1は、空気入口通路2内の
第1のフラップ5と、ガス入口通路3内の
第2のフラップ6の2つのフラップを備えている。EGRループを有効化するときの弁の作動は、次の通りである。当初は、
第1のフラップ(空気フラップ
)5は、通路2内における最大空気流速を可能とする角度位置(0°)にあり、
第2のフラップ(ガス入口フラップ6
)は、通路3を遮断する角度位置(90°)にある。この状態は、例えば停止中、又はアイドリング時において、エンジンが作動している場合に相当する。
【0025】
ループの有効化は、
第1のフラップ(空気フラップ
)5を旋回させることなく、
第2のフラップ(ガス入口フラップ
)6の旋回を開始することにより、EGR排出ガスの通路3を漸進的に開くことによりもたらされる(
図2a)。
第1のフラップ(空気フラップ
)5は、空気入口2における同一の最大開位置に維持させ、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6は、ガス通路3を大きく開くように旋回し続ける(
図2b)。
第2のフラップ(ガスフラップ
)6が、特定の角度位置(本実施形態では35°、即ち55°の回転後の位置)となると、通路3におけるEGRガスの流速は明らかに増加を止め、そのとき、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6が旋回を続ける一方で
第1のフラップ(空気フラップ
)5は、空気入力通路2を閉じるように旋回を始め、エンジンが、EGRガスを更に吸い込むようにする(
図2c)。この段階は、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6が、ガス入力通路3を最大の開角度位置(0°)に達し、
第1のフラップ(空気フラップ
)5が、空気入力通路2を閉じる角度位置(90°)となる最終位置に至るまで継続させる(
図2d)。
【0026】
次に、本発明による三方弁の実現を可能とし、上記の原理にしたがって作動させる機構1について、
図3〜5を参照して説明する。
【0027】
三方弁の作動機構1は、歯車装置を備えている。歯車装置は、直流モータ7と、
第1のフラップ(空気フラップ
)5と
第2のフラップ(ガスフラップ
)6とを、それぞれ回転駆動する2本のシャフト51、61の間に配置されている。2本のシャフト51、61は、互いに平行をなしている。モータ7のシャフト14は、外周歯10と中央ピニオン11とを備える中間歯車9を駆動するピニオン8を備えている。中間歯車9の外周歯10は、
第1のフラップ(空気フラップ
)5を回転駆動する歯付きクラウン大リング12と噛み合っている。歯付きクラウン大リング12は
、第1のフラップ(空気フラップ
)5の軸51に対して回転自由である。
歯付きクラウン大リング12による
第1のフラップ(空気フラップ
)5の回転駆動は、フラップ5の軸51に回転可能に取り付けられた駆動爪15を介してなされる。駆動爪15は、弁の本体(図示せず)に対して取り付けられた調整可能な終端ストッパ、即ち底部側の終端ストッパ16に当接している。歯付きクラウン大リング12は、爪15の駆動、したがって
第1のフラップ(空気フラップ
)5の駆動なしに、所定の角度部分にわたる
歯付きクラウン大リング12の自由回転を許容するようになっているカム円板17を備えている。
歯付きクラウン大リング12が、一方向又は他方向に、この角度部分を超えて回転駆動されると、駆動終端ストッパ30を有するカム円板17の第1端部は、爪15を駆動する。詳しくは後述するが、歯付きクラウン大リング12のカム円板17の反対側端部は、リターン
駆動終端ストッパ34となっている。
【0028】
中間歯車9と一体をなす中央ピニオン11は、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6を回転駆動する歯付きクラウン小リング13と噛み合っている。歯付きクラウン小リング13は、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6のシャフト61に回転に関して取り付けられている。
歯付きクラウン小リング13は、角度区間にわたってのみ、円形に延びており、
歯付きクラウン小リング13の端部は、弁の本体に取り付けられた部分と協働するように半径方向面を有している。この半径方向面は、歯付きクラウン小リング13の円形の変位の終端ストッパを形成している。
【0029】
したがって、通常モードにおいて、直流モータ7の作動時、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6は、クラウン小リング13の回転により、直接的に回転駆動される一方、
第1のフラップ(空気フラップ
)5は、
歯付きクラウン大リング12が爪15を回転駆動するときにのみ、回転駆動されるようになっている。
【0030】
実施例において、直流モータ7は、反時計回り方向に回転しているとき、ピストン8を介して、中間歯車9を時計回りに回転駆動する。一方、中間歯車9は、その歯10、11によって、反時計回り方向に2つの歯付きクラウン
大リング12
及び歯付きクラウン小リング13を回転駆動する。歯付きクラウン
大リング12
及び歯付きクラウン小リング13は、同一の中間歯車9と、2つの異なる歯10、11の組によって、回転駆動される。一例として、本実施形態において、駆動時におけるシャフト14と
第1のフラップ(空気フラップ
)5の噛み合い率は約7であるが、直流モータ7のシャフト14と
第2のフラップ(ガスフラップ
)6との噛み合い率は、約16である。
【0031】
次に、
第1のフラップ(空気フラップ
)5による
第2のフラップ(ガスラップ)6に対する閉鎖の位相をずらすための機構を、
図3、
図4、
図5を関連させて説明する。
図3、
図4及び
図5は、ピニオン8の回転が異なった状態にある歯付きクラウンリング及び歯車を示している。
【0032】
図3〜
図4において、
歯付きクラウン
大リング12及び
歯付きクラウン小リング13は、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6を開くように、反時計回り方向に駆動され、
第1のフラップ(空気フラップ
)5は、カム円板17の働きにより、不動に保たれ続けている。
図4の位置において、駆動終端ストッパ30を形成しているカム円板17の端部は、駆動爪15と接触する。その後、
歯付きクラウン大リング12の回転は、
図5に示される位置に向けて継続し、駆動爪15(及び、結果として
第1のフラップ(空気フラップ
)5)は、駆動終端ストッパ30により回転駆動される。したがって、
第1のフラップ(空気フラップ
)5は、カム円板17の存在に起因して、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6に対する一時的な位相のずれをもって閉じる。
【0033】
図3〜
図5は、歯付きクラウン
大リング12及び
歯付きクラウン小リング13に関連している複数の終端ストッパを示している。空気通路には、弁の本体に取り付けられた頂部側空気終端ストッパ31が設けられている。頂部側空気終端ストッパ31は、
第1のフラップ(空気フラップ
)5が全閉位置あるときに、駆動爪が到達する最端位置にある。従って、駆動爪15は、通常作動において、一方向には、駆動終端ストッパ30によって、また他方向には、リターンスプリング(図示せず)の作用によって、終端ストッパ16と頂部側空気終端ストッパ31の間で変位する。この変位は、
第1のフラップ(空気フラップ
)5の全開位置と全閉位置の間の回転に対応する。
図3において、
第1のフラップ(空気フラップ
)5及びリターン
駆動終端ストッパ34を駆動する歯付きクラウン大リング12は、駆動爪15との接触に至らないことに注目されたい。駆動爪15は、三方弁が
図2aの配置
、即ち、第1のフラップ(空気フラップ
)が開で
、第2のフラップ(ガスフラップ
)が閉にあるときに、終端ストッパ16まで戻される。歯車及びクラウン環の機構は、リターン
駆動終端ストッパ34と底部側空気終端ストッパの間に、駆動爪15の厚さよりも大きな間隙を残すようになっている。この間隙の有用性については、
図9と関連づけて、詳しく後述する。
【0034】
同時に、EGR通路には、2つの終端ストッパ、底部側ガス終端ストッパ32と頂部側ガス終端ストッパ33が設けられている。底部側ガス終端ストッパ32と頂部側ガス終端ストッパ33は、それぞれ、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6を駆動する歯付きクラウン小リング13の第1端部62と第2端部63によって想定される最端位置と関係付けられている。
【0035】
上記終端ストッパの作用を、本発明による三方弁の作動を示す
図8と
図9と関連づけて、詳細に説明する。これらの図においては、簡略化するため、中間歯車9の中央ピニオン11及び周辺歯10は、一体化されている。
図6は、
図2aの配置、即ち、
第1のフラップ(空気フラップ
)5が全開であり、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6が全閉である、通常モードにおける弁の作動に対応している。
図7は、
図2dの配置、即ち、
第1のフラップ(空気フラップ
)5が全閉であり、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6が全開である、通常モードにおける弁の作動に対応している。
図8は、第1欠陥作動モードを示している。第1欠陥作動モードにおいては、
第1のフラップ(空気フラップ
)5はもはや駆動されず、駆動爪15は、頂部終端ストッパ31に達しておらず、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6は、全開位置を超えており、歯付きクラウン小リング13の端部63は、頂部側ガス終端ストッパ33に対する終端ストッパに到達している。最後に、
図9は、第2欠陥作動モードを示している。第2欠陥作動モードにおいては、
第1のフラップ(空気フラップ
)5は、もはや全開位置に戻らず、リターンスプリング
100が破損したか、さもなければ、空気通路の機構における問題個所が、スプリングが付与する力のみでの駆動爪15の戻りを阻害していると推定される。
【0036】
まず、
図6及び
図7を参照して、通常モードにおける本発明の作動を説明し、次に、
図9に対応する欠陥モードにおける本発明の作動を説明する。
【0037】
図6は、
図2の配置、即ち、再循環ガス導入前における、弁の構成要素を示す。歯付きの中間歯車9は、
第2のフラップ(ガスフラップ
)を駆動する
歯付きクラウン小リング13の端部62を、底部側ガス終端ストッパ32と隣接するところまで持ってきている。これは、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6の全開位置に対応している。同時に、
第1のフラップ(空気フラップ
)5を駆動する歯付きクラウン大リング12は、その駆動終端ストッパ30が駆動爪15から離れた位置にある。駆動爪15は
、第1のフラップ(空気フラップ
)5を全開位置に向けて引き戻そうとするリターンスプリング
(100)の作用により、調節終端ストッパ16に当接している。リターン終端ストッパ32は、歯付きクラウン大リング12が最端の角度位置の1つにあるにもかかわらず、駆動爪15と接触していない。
【0038】
ガス再循環の有効化は、中間歯車9の回転によってもたらされる。一方、この回転は、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6の歯付きクラウン小リング13の回転を引き起こし、その端部62を底部側ガス終端ストッパ32から引き離すように動かし、その第2端部32を、頂部側ガス終端ストッパ33の近傍まで、ただし到達しない位置まで運んでいく。一方、これは、
第1のフラップ(空気フラップ
)5の歯付きクラウン大リング12を回転させ、その結果、
第1のフラップ(空気フラップ
)5の
歯付きクラウン大リング12は、当初は、駆動爪15の終端ストッパ32に近づき、その後の第2段階においては、頂部側空気終端ストッパ31に接するまで回転する。ここで、弁の状態は、
第1のフラップ(空気フラップ
)5が全閉であり、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6が全開である
図2dの場合に対応している
図7に示すものとなる。
【0039】
図7は、中間歯車9の回転が、駆動爪15の頂部側空気終端ストッパ31へ接触しているために妨げられ、回転を続けることができなくなっている状態を示している。この状態において、本発明によると、歯付きクラウン小リング13の端部63が、ガス終端ストッパ33との接触に至ることはなく、それらの間に間隙が存在し続けるようになっている歯車機構を備えている。この間隙は、弁がその通常作動モードにある限り、無くならないように設計されている。
【0040】
図8には、上述した誤作動の第1の場合、即ち、機構の歯の破損、クラッチの問題、又は駆動爪15の破損の場合における弁の作動を示す。この場合、歯付きクラウン
大リング12及び
歯付きクラウン小リング13の噛み合いの1対1の相関関係は、もはや存在しない。中間歯車9による爪15の駆動に関する破損のために、駆動爪15は、頂部側空気終端ストッパに到達することはなく、又は、到達したとしても、中間歯車の回転の継続に対して、いかなる抵抗も与えることはない。したがって、中間歯車9は、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6を駆動する歯付きクラウン小リング13を、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6の全開位置を超えて駆動し、その第2端部は、頂部側ガス終端ストッパ33とぶつかる。
【0041】
第2のフラップ(ガスフラップ
)6の位置を検出するセンサは、
第2のフラップ
(ガスフラップ)6、シャフト61、又は歯付きクラウン小リング13上のいずれかにおいて、EGR通路のどこかに配置され、歯付きクラウン環の追加の回転を検出し、空気通路故障警告を発する。
【0042】
本発明にしたがって構成された三方弁により、空気通路の正常作動の診断方法も提供される。
【0043】
これは、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6を駆動する歯付きクラウン小リング13が、第1端部62が、底部側ガス終端ストッパ32上にあって
第2のフラップ(ガスフラップ
)6が全閉位置にある位置から、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6が全開位置となるまで、完全な移動をするように、中間歯車9の回転を始めることにある。空気通路が正常である場合、中間歯車9の回転は、駆動爪15の頂部側空気終端ストッパ31との接触により停止し、センサは、全開位置にある
第2のフラップ(ガスフラップ
)6を検出する。さもなければ、爪は駆動されず、中間歯車9の回転を妨げることはない。中間歯車9は、歯付きクラウン小リング13を駆動し、歯付きクラウン小リング13は、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6の全開位置を超え、その第2端部63が頂部側ガス終端ストッパに接触することによってのみ停止する。この余剰の回転により、
第2のフラップ(ガスフラップ
)6の位置を検出するセンサは、空気通路に発生した故障を検出する。このような診断方法は、例えば、車両が始動する毎に適用され、何らかの故障があれば、ダッシュボード上に表示して、運転者に通知される。
【0044】
空気通路の故障検出のための他の手段は、歯付きクラウン小リング13の第2端部63と頂部側ガス終端ストッパ33との接触を検出する検出器を取り付けることにより得られる。
【0045】
図9は、上述した誤作動の第2の場合における弁の配置を示す。この配置では、駆動爪15は、終端ストッパ16まで戻っていない。このようなケースは、例えば、リターンスプリング
100の破損、または制御チェインの中での破損の発生、さらには、リターンスプリング
100により作用する力に耐えることができない個所の破損によって生じる。
【0046】
この場合、
図2aに相当する位置への復帰のための電気モータの始動は、
第1のフラップ(空気フラップ
)5を駆動する歯付きクラウン大リング12を時計回り方向に回転させ、リターン終端ストッパ23を構成するカム円板の端部を、底部側空気終端ストッパ16に向けて引き戻す。これがなされると、リターン終端ストッパは、駆動爪15を、ブロックされた位置から、底部側終端ストッパ16に向けて駆動し、
第1のフラップ(空気フラップ
)5を全開位置とする。換言すると、モータ7により生成されるトルクが用いられ、スプリングの故障は緩和される。したがって、車両のエンジンは、三方弁の作動時において故障があっても、機能し続ける。
【0047】
しかしながら、駆動爪15と底部側空気終端ストッパ16の間には間隙が残され、そのため、通常作動において、リターン
駆動終端ストッパ34は、例えば振動動作において、駆動爪15と干渉することはない。
【0048】
図10は、空気通路を調整するための手段の変形例を示す。この変形例においては、透視図で描かれた歯付きクラウン大リング12と、巻き線の一部が図示されているリターンスプリング100とが設けられている。クラウン大リング12とリターンスプリング100は、
ガイド歯車50により連係されている。
ガイド歯車50は、図示されてない
第1のフラップ(空気フラップ
)に連結されており、歯付きクラウン大リング12に対して回転自由となっている。
【0049】
前記ガイド歯車50は、
第1のフラップ(空気フラップ
)5が全開位置から全閉位置へ切り換わるときには、前記歯付きクラウン大リング12により駆動可能であり、前記
第1のフラップ(空気フラップ
)5は、リターンモードにより駆動され、この図には示されていない
第2のフラップ(ガスフラップ
)6に対して、一時的な位相のずれを有しているときには、リターンスプリング
100により駆動可能である。
【0050】
このため、前記歯付きクラウン大リング12は、駆動終端ストッパ53を備えている。駆動ストッパ53は、前記
第1のフラップ(空気フラップ
)5が全開位置から全閉位置に切り替えられたときに、
ガイド歯車50の駆動終端ストッパ54と協働しうるようにとなっている。より具体的には、
図10に示すように、前記歯付きクラウン大リング12は、その駆動終端ストッパ53が、弁の
図2aに示す配置から
図2bに示す配置への切り換えに対応する前記歯付きクラウン大リング12の回転の第1段階において、
ガイド歯車50の終端ストッパ54から、角度的に後退した位置となるように構成されている。その後、2つの駆動終端ストッパ53、54は接触し、歯付きクラウン大リング12の回転の第2段階において、歯付きクラウン大リング12は、
ガイド歯車50を駆動する。換言すると、この第2段階において、
第1のフラップ(空気フラップ
)5は、弁のモータによって、その全開位置から全閉位置まで駆動される。
【0051】
反対方向への回転において、通常モードでは、スプリングは、
ガイド歯車50を駆動し、
ガイド歯車50は、
図10に示すように、
ガイド歯車
50の終端ストッパ54を、
第1のフラップ(空気フラップ
)5の全開位置にある底部側空気終端ストッパ16に対して押し付ける。底部側空気終端ストッパ16は、ここでは、弁の本体と同一の材料から形成されている。駆動終端ストッパ54は、底部側終端ストッパ16と協働するための半径方向の延長部を有している。
【0052】
上述の誤作動の第1の場合、即ち、歯車機構の破損の場合に対応することができる頂部側空気終端ストッパ31も、また本図に示されている。前記頂部側空気終端ストッパ31は、ここでは、弁本体と同一の材料から形成されている。同様の目的のために、
ガイド歯車50には、診断終端ストッパ55が設けられ、前記
ガイド歯車50と前記弁本体は、前記誤作動の第1の場合に、前記頂部側空気終端ストッパ31と前記診断終端ストッパ55が接触状態となるように構成されている。
【0053】
終端ストッパ間の干渉を回避するために、前記診断終端ストッパ55は、例えば、
ガイド歯車50の駆動終端ストッパ54を備える表面と反対側の表面、又は/及び
ガイド歯車50の周辺に設けられている。
【0054】
誤作動の第2の場合を取り扱うために、前記歯付きクラウン大リング12は、ここでは、前記リターン
スプリング100の故障の場合に
ガイド歯車50のリターン終端ストッパ52と協働しうるリターン終端ストッパを備えている。
【0055】
上記の実施形態においてのように、前記リターン終端ストッ
パ52は、
図10に示すように、
第1のフラップ(空気フラップ
)5が全開位置にあるときに、角度方向のずれを有している。
【0056】
ガイド歯車50の前記リターン終端ストッパ52は、ここでは、前記
ガイド歯車
50の駆動終端ストッパ54の角度方向延長部、及び/又は前記歯車の前記駆動終端ストッパ54と同一面上に設けられている。
ガイド歯車
50の前記リターン終端ストッパ52、及び駆動終端ストッパ54は、スペーサ56を用いて、互いの上に配置されている。
【0057】
以上本発明を、一時的な
時間のずれを伴う空気通路の閉鎖が後続するEGR通路の漸進的な開放を伴うEGRループとの関係において用いられる三方弁によって説明してきた。しかし
、本発明は、リターンスプリング
100の故障を緩和するために、通常モードにおいて、モータにより、第1の方向に駆動され、リターンスプリング
100により、第2の方向に駆動されるフラップを、通路の1つに備える如何なるタイプの三方弁にも、完全に実施可能である。特に、本発明は、フラップを異なる方向に開閉するのに使用される三方弁において用いることができる。