特許第6100511号(P6100511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100511水廻り部構造及び水廻り部のリフォーム方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100511
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】水廻り部構造及び水廻り部のリフォーム方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   E04H1/02
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-251573(P2012-251573)
(22)【出願日】2012年11月15日
(65)【公開番号】特開2014-98289(P2014-98289A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年9月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年8月9日 http://www.asahi−kasei.co.jp/j−koho/press/20120809/index/ 掲載タイトル:既存の単世帯ヘーベルハウスをコンパクトな二世帯住宅にリフォーム「ヘーベルハウス リメイク コンパクト二世帯タイプ」新発売
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100133307
【弁理士】
【氏名又は名称】西本 博之
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】福島 隼人
(72)【発明者】
【氏名】内藤 幸子
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−323669(JP,A)
【文献】 特開2012−219449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関を1つのみ有し台所を世帯別に有する二世帯住宅において両世帯が共用する浴室を備えた水廻り部構造であって、
前記浴室と、前記浴室に隣接する2つの脱衣室と、前記2つの脱衣室のそれぞれに隣接し前記両世帯が共用する廊下と、を備え、
前記2つの脱衣室のそれぞれは、各世帯が占用する前記台所を含む占用部を経由することなく前記浴室及び前記廊下に直通していることを特徴とする水廻り部構造。
【請求項2】
室と、前記浴室に隣接して直通する第1の脱衣室と、前記第1の脱衣室に隣接して直通する廊下と、を備えた単世帯住宅の水廻り部を、玄関を1つのみ有し台所を世帯別に有する二世帯住宅の水廻り部へ変更するリフォーム方法であって、
前記浴室及び前記廊下は、前記二世帯住宅の両世帯によって共用されるものであり、
前記浴室及び前記廊下に隣接すると共に、各世帯が占用する前記台所を含む占用部を経由することなく前記浴室及び前記廊下に直通する第2の脱衣室を新設することを特徴とする水廻り部のリフォーム方法。
【請求項3】
前記第1の脱衣室には、洗面化粧台及び洗濯機置場が備えられており、
前記両世帯が共用する前記廊下から階段を介してつながる第2の廊下に面して、第2の洗面化粧台及び第2の洗濯機置場を有するユーティリティスペースが新設される、請求項2に記載の水廻り部のリフォーム方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水廻り部構造及び水廻り部のリフォーム方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単世帯用として建築された住宅に、二世帯(例えば親子二世帯)が同居することになった場合、台所やトイレに加えて、夫々の世帯専用の浴室や洗面室を設けるリフォーム工事を行うことがある。しかし、浴室や洗面室などの水廻り部の増設は、給排水や給湯などの配管工事を必要とするため、リフォーム工事のためのコストが増大する。また、増築工事が必要になるとコストはさらに増大する。
【0003】
そこで、浴室や洗面室を両世帯で共用する案も考えられる。しかし、この場合には、例えば一方の世帯の構成員が浴室を使用している際、プライバシーの観点から、他方の世帯の構成員は洗面室を使用しにくくなる。その結果、待機時間が発生して生活行為を効率よく行えないといった問題が発生する。例えば、特許文献1には、浴室へ至る動線を複数確保することにより、二世帯住宅等におけるプライバシーを確保するようにした浴室構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】平7−331897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の浴室構造は、2つの脱衣室(すなわち、一般用脱衣室14と高齢者用脱衣室16)を備えているが、これらの脱衣室は、使用者を限定するものである。すなわち、高齢者用脱衣室16に対しては、高齢者用寝室13経由でしかアクセスすることができない。よって、高齢者用脱衣室16は、高齢者のみによって使用されるものである。一方、一般用脱衣室14に対しては、高齢者用寝室13からのアクセス性が考慮されていない。よって、一般用脱衣室14は、高齢者以外の居住者のみによって使用されるものである。
【0006】
従って、高齢者(すなわち高齢者用寝室13の使用者)と他の居住者の双方が、スムーズに洗面や洗濯を行うためには、2つの脱衣室の夫々に洗面化粧台と洗濯機(若しくは洗濯機用の配管設備)を設けなければならない。しかしながら、そうした場合には、低コストまたは省スペースを達成することは困難である。このように、従来の水廻り部構造では、プライバシーの確保を必要とする複数の居住者が居住する場合において、待機時間の発生を抑制することは難しかった。
【0007】
本発明は、プライバシーの確保を必要とする複数の居住者が居住する場合であっても、待機時間の発生を容易に抑制することができる水廻り部構造及び水廻り部のリフォーム方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水廻り部構造は、玄関を1つのみ有し台所を世帯別に有する二世帯住宅において両世帯が共用する浴室を備えた水廻り部構造であって、浴室と、浴室に隣接する2つの脱衣室と、2つの脱衣室のそれぞれに隣接し両世帯が共用する廊下と、を備え、2つの脱衣室のそれぞれは、各世帯が占用する台所を含む占用部を経由することなく浴室及び廊下に直通していることを特徴とする。
【0009】
この水廻り部構造によれば、2つの脱衣室のそれぞれが浴室及び共用部に直通するので、ある居住者が一方の脱衣室を洗面室などとして使用中であっても、他の居住者は、共用部から他方の脱衣室を経由して浴室にアクセスし、入浴することができる。あるいは、ある居住者が浴室を使用中であっても、他の居住者は、共用部からいずれか一方(すなわち入浴中の居住者が使用していない方)の脱衣室にアクセスして、洗面などを行うことができる。このようにして、プライバシーの確保を必要とする複数の居住者が居住する場合であっても、待機時間の発生を容易に抑制することができる。なお、共用部としては、例えば、廊下または居住者で共用するLDKなどが挙げられる。また、脱衣室は、例えば、洗面室または洗濯室などを兼ねてもよい。また、各世帯は、それぞれの占用部から、共用部及びいずれかの脱衣室を経由して、浴室にアクセスすることができる。よって、二世帯住宅においても、世帯間のプライバシーを確保しつつ、待機時間の発生を容易に抑制することができる。
【0011】
本発明の水廻り部のリフォーム方法は、室と、浴室に隣接して直通する第1の脱衣室と、第1の脱衣室に隣接して直通する廊下と、を備えた単世帯住宅の水廻り部を、玄関を1つのみ有し台所を世帯別に有する二世帯住宅の水廻り部へ変更するリフォーム方法であって、浴室及び廊下は、二世帯住宅の両世帯によって共用されるものであり、浴室及び廊下に隣接すると共に、各世帯が占用する台所を含む占用部を経由することなく浴室及び廊下に直通する第2の脱衣室を新設することを特徴とする。
【0012】
この水廻り部のリフォーム方法によれば、第1及び第2の脱衣室のそれぞれが浴室及び共用部に直通するので、ある居住者が一方の脱衣室を洗面室などとして使用中であっても、他の居住者は、共用部から他方の脱衣室を経由して浴室にアクセスし、入浴することができる。あるいは、ある居住者が浴室を使用中であっても、他の居住者は、共用部からいずれか一方(すなわち入浴中の居住者が使用していない方)の脱衣室にアクセスして、洗面などを行うことができる。このようにして、プライバシーの確保を必要とする複数の居住者が居住する場合であっても、待機時間の発生を容易に抑制することができる。
また、第1の脱衣室には、洗面化粧台及び洗濯機置場が備えられており、両世帯が共用する廊下から階段を介してつながる第2の廊下に面して、第2の洗面化粧台及び第2の洗濯機置場を有するユーティリティスペースが新設される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プライバシーの確保を必要とする複数の居住者が居住する場合であっても、待機時間の発生を容易に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】リフォーム前における1階の間取りの一例を示す平面図である。
図2】リフォーム前における2階の間取りの一例を示す平面図である。
図3】リフォーム後における1階の間取りの一例を示す平面図であり、本発明の一実施形態に係る水廻り構造を示す図である。
図4】リフォーム後における2階の間取りの一例を示す平面図である。
図5】二世帯住宅における給湯器のリモコンの配置を示す図である。
図6】リフォーム前における1階の間取りの他の例を示す平面図である。
図7】リフォーム後における1階の間取りの他の例を示す平面図であり、本発明の他の実施形態に係る水廻り構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
まず、図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係る水廻り部構造及び水廻り部のリフォーム方法について説明する。図1及び図2は、リフォーム前の住宅Aの間取りを示す平面図である。図1には、住宅Aの1階A1の間取りが示されており、図2には、住宅Aの2階A2の間取りが示されている。
【0017】
本発明における「連通」とは、住宅Aの居住者が2つの空間を行き来することができること、すなわち、通常の生活において、居住者が2つの居室の間に形成された開口部を通行可能であることを意味する。例えば、2つの居室間の壁に開口部、戸、窓などが設けられていたとしても、通常の生活において、これらを人が通行できない場合、2つの空間(または居室)が連通している、とは言わない。
【0018】
図1に示されるように、リフォーム前の住宅Aは、いわゆる5SLDKの単世帯住宅である。本実施形態では、リフォーム工事によって、この住宅Aをいわゆる共用二世帯住宅である住宅B(図3及び図4参照)に変更する場合について説明する。リフォーム前の住宅Aの水廻り部1Aは従来の水廻り部構造Xに相当し、リフォーム後の住宅Bの水廻り部1B(図3参照)は、本実施形態の水廻り部構造Yに相当する。
【0019】
住宅Aは、1階A1において、玄関2と、LDK3と、客間である和室4と、トイレ6と、脱衣室(第1の脱衣室)7と、浴室8とを備えている。また、住宅Aは、1階廊下9と、階段10とを備えている。これらの各空間は、住宅Aの居住者によって共用される。1階廊下9は、玄関2に連通している。LDK3、和室4、トイレ6、脱衣室7のそれぞれは、1階廊下9に面しており(すなわち1階廊下9に隣接しており)、かつ、1階廊下9に連通している。脱衣室7は、浴室8に隣接しており、出入口8bを介して浴室8に連通している。トイレ6は、浴室8と和室4との間に設けられており、浴室8に隣接している。トイレ6と浴室8との間には壁Wが設けられており、トイレ6は、浴室8に連通していない。
【0020】
脱衣室7には、洗面化粧台7aと洗濯機置場7bとが設けられている。すなわち、脱衣室7は、脱衣に加えて、居住者が洗面や洗濯をも行う空間となっている。浴室8には、浴槽8aが設置されている。なお、浴室8は、浴槽8aを備える場合に限られない。浴室8は、シャワー設備(図示せず)を備えるが浴槽8aを備えない、いわゆるシャワールームであってもよい。
【0021】
脱衣室7と、浴室8と、トイレ6と、脱衣室7及びトイレ6に連通する1階廊下9の一部分9aとを備えて、住宅Aの水廻り部1A(水廻り部構造X)が構成されている。
【0022】
図2に示されるように、住宅Aは、2階A2において、3室の洋室11〜13と、和室14と、トイレ16と、納戸17とを備えている。また、住宅Aは、2階A2において、2階廊下19と、ベランダ18とを備えている。2階廊下19は、階段10を介して1階廊下9に連通している。東側の洋室11,12、南側の洋室13、西側の和室14、トイレ16、のそれぞれは、2階廊下19に面しており(すなわち2階廊下19に隣接しており)、かつ、2階廊下19に連通している。納戸17は、和室14に隣接及び連通している。洋室12、洋室13、和室14のそれぞれは、ベランダ18に面しており(すなわちベランダ18に隣接しており)、かつ、ベランダ18に連通している。
【0023】
図3及び図4に示されるように、リフォーム後の住宅Bは、1階B1を主に親世帯(例えば親夫婦2名)のための空間として利用し、2階B2を主に子世帯(例えば子夫婦とその子供2名の計4名)のための空間として利用する、いわゆる共用二世帯住宅である。1階廊下9は、両世帯が共用する空間であり、共用部に相当する。
【0024】
1階B1のリフォームでは、和室4の一部を、親夫婦の寝室として使用する洋室(占用部)24に変更している。この洋室24には、2個のベッド24a,24a及び複数の物入24bが設けられる。また、浴室8に隣接していたトイレ6を移設し、客間であった和室4の一部を利用してトイレ26を設ける。また、LDK3を子世帯のLDK(占用部)23に変更する。洋室24は親夫婦によって占用され、LDK23は子世帯によって占用される。洋室24及びLDK23のそれぞれは、1階廊下9に連通している。
【0025】
さらに、トイレ6が設けられていた空間を、主に子世帯が使用する脱衣室(第2の脱衣室)25に変更している。この脱衣室25は、1階廊下9の一部分9aに隣接及び連通している。脱衣室7から浴室8に出入りするための出入口8bに加え、脱衣室25から浴室8に出入りするための出入口8cを設ける。この変更にあたり、出入口8bに設けられていたドア等の建具を変更してもよい。また、浴室8とトイレ6との間にあった壁Wをそのまま利用し、壁Wに開口部を設け、その開口部にドア等の建具を新設する。浴室8にユニットバスを設けてもよい。
【0026】
脱衣室7と、浴室8と、脱衣室25と、トイレ26と、1階廊下9と、LDK23と、ベッド24aとを備えて、住宅Bの水廻り部1B(水廻り部構造Y)が構成されている。
【0027】
このようにして、本実施形態の水廻り部構造Yは、住宅Bの居住者である両世帯が共用する浴室8と、浴室8に隣接する2つの脱衣室7,25と、2つの脱衣室7,25のそれぞれに隣接し両世帯が共用する1階廊下9と、を備え、2つの脱衣室7,25のそれぞれは、浴室8及び1階廊下9の一部分9aに連通している。本実施形態のリフォーム方法では、浴室8と、浴室8に隣接する脱衣室7と、脱衣室7に隣接し両世帯が共用する1階廊下9の一部分9aと、を備えた水廻り部1Aをリフォームし、浴室8及び1階廊下9の一部分9aに隣接すると共に浴室8及びその一部分9aに連通する脱衣室25を新設している。言い換えれば、一部分9aと浴室8との間には、脱衣室7を経由する動線と脱衣室25を経由する動線とが形成される。
【0028】
2階B2のリフォームでは、東側の洋室2室11,12を、親世帯のLDK31に変更する。西側の和室14と納戸17を、当面は子世帯全員の寝室として使用する広めの洋室32に変更する。この洋室32を広めに設定することにより、将来は洋室32を2室に区画して子供部屋32a,32bとして使用することができる。さらに、中央の洋室13を洋室33とし、この洋室33を当面は居間(リビング)として使用する。将来、この洋室33を夫婦の寝室として使用することを想定して、収納空間の位置を変更し(すなわち洋室13の収納空間13aを変更して収納空間33aとし)、LDK31と直接出入りする為の出入り口33bを設ける。さらに、子世帯用として、洗面化粧台34aと洗濯機置場34bとを備えたユーティリティスペース34を新設する。
【0029】
図5を参照して、リフォーム後の住宅Bにおける給湯器のリモコンの配置について説明する。給湯器のリモコン36は一般には2つ(台所に設置するメインリモコン36aと浴室8内に設置する浴室リモコン36b)であるが、これにサブリモコン36cを追加し、メインリモコン36aを子世帯の台所(すなわち2階B2のLDK31)に、サブリモコン36cを親世帯の台所(すなわち1階B1のLDK23)に設置した。リモコン36は呼び出し機能や会話機能を備えており、メインリモコン36aと浴室リモコン36bとの間では、呼び出しや会話が行える。一方、サブリモコン36cにはこの機能はない。メインリモコン36aを子世帯側に設置することで、例えば、親世帯の誰かが入浴中に具合が悪くなった場合は、子世帯家族を呼び出して救援や介護を求めることができる。
【0030】
以上説明した本実施形態の水廻り部構造Y及び水廻り部1Aから水廻り部1Bへのリフォーム方法によれば、2つの脱衣室7,25のそれぞれが浴室8及び1階廊下9に直通しているので、ある居住者(例えば親世帯の居住者)が一方の脱衣室(例えば脱衣室7)を洗面室などとして使用中であっても、他の居住者(例えば子世帯の居住者)は、1階廊下9から他方の脱衣室(例えば脱衣室25)を経由して浴室8にアクセスし、入浴することができる。あるいは、ある居住者(例えば子世帯の居住者)が浴室8を使用中であっても、他の居住者(例えば親世帯の居住者)は、1階廊下9からいずれか一方の脱衣室(例えば脱衣室25)にアクセスして、洗面などを行うことができる。このようにして、プライバシーの確保を必要とする複数の居住者が居住する場合であっても、待機時間の発生を容易に抑制することができる。さらには、低コストかつ省スペースを達成することができ、コストとスペースの両面から効率の良いリフォームを行うことができる。
【0031】
また、各世帯は、それぞれの洋室24、LDK23から、1階廊下9及び脱衣室7,25のいずれかを経由して、浴室8にアクセスすることができる。よって、二世帯住宅においても、世帯間のプライバシーを確保しつつ、待機時間の発生を容易に抑制することができる。
【0032】
また、脱衣室7や浴室8の移設を必要とせず、壁の移設や新設を最小限に留めることができるので、コスト面における効率が高められている。さらには、階段10や外壁を取り壊したり、移設したりする必要もない。
【0033】
次に、図6及び図7を参照して、他の実施形態に係る水廻り部構造及び水廻り部のリフォーム方法について説明する。図6は、リフォーム前の住宅Cの間取りを示す平面図であり、図7は、リフォーム後の住宅Dの間取りを示す平面図である。図6には、住宅Cの1階C1の間取りが示されており、図7には、住宅Dの1階D1の間取りが示されている。
【0034】
図6に示す1階C1の間取りが図1に示した1階A1の間取りと違う点は、略直線状の1階廊下9に代えて、L字状に曲がった1階廊下(共用部)49を備えた点と、浴室8に隣接するトイレ6に代えて、LDK3及び和室4に隣接するトイレ56を備えた点と、浴室8に隣接する納戸57を備えた点である。脱衣室7、トイレ56、納戸57は、1階廊下49の一部分49aに隣接している。納戸57は、浴室8と和室4との間に設けられている。
【0035】
1階D1のリフォームでは、和室4を洋室61に変更し、納戸57の一部を洋室61のWIC(ウォークインクローゼット)62に変更する。さらに、納戸57の他の一部を、主に子世帯が使用する脱衣室(第2の脱衣室)63に変更する。トイレ56に関しては、何らリフォーム工事が行われない。住宅Dにおける各部屋の両世帯の使用方法は、住宅Bにおける使用方法と同様である。
【0036】
本実施形態の水廻り部1D(水廻り部構造Z)では、2つの脱衣室7,63のそれぞれは、浴室8及び1階廊下49の一部分49aに連通している。また、本実施形態のリフォーム方法では、浴室8と、浴室8に隣接する脱衣室7と、脱衣室7に隣接し両世帯が共用する1階廊下49の一部分49aと、を備えた水廻り部1Cをリフォームし、浴室8及び1階廊下49の一部分49aに隣接すると共に浴室8及びその一部分49aに連通する脱衣室63を新設している。言い換えれば、一部分49aと浴室8との間には、脱衣室7を経由する動線と脱衣室63を経由する動線とが形成される。
【0037】
このような水廻り部構造Z及び水廻り部1Cから水廻り部1Dへのリフォーム方法によっても、前述の実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。さらには、トイレ56を移設せずに済むため、リフォーム工事が一層容易かつ低コストになっている。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、脱衣室25,63を子世帯用とし、脱衣室7を親世帯用としたが、これと逆であってもよい。また、第2の脱衣室25,63の使用者は子世帯家族に限定されず、脱衣室7の使用者も親世帯家族に限定されない。子世帯家族も、第2の脱衣室25,63よりも広い脱衣室を使って脱衣したい、あるいは、浴室8と連携して洗面や洗濯をしたいという要求が生ずることもあるが、その場合も臨機応変に使用する世帯を入れ替えることができる。
【0039】
また、浴室8に直通する脱衣室7と第2の脱衣室25,63がそれぞれ共用空間である廊下9,49と直通するようにすることは、単世帯住宅であっても有効である。単世帯住宅の場合はLDKから脱衣室7や第2の脱衣室25,63にアクセスする形態でもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、子世帯用に洗面化粧台34aと洗濯機置場34bとを備えたユーティリティスペース34を別途設けたが(図4参照)、これを設けず浴室8と脱衣室7(洗面化粧台7aと洗濯機置場7bとを備えた脱衣室)の両方を共用する(1セットしか備えない)場合であっても、本発明は有効である。また、第2の脱衣室25,63にも洗面化粧台と洗濯機置場を備えてもよい。リフォームされた住宅に限られず、新築時からこのような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1A…(リフォーム前の)水廻り部、1B…(リフォーム後の)水廻り部、7…脱衣室(第1の脱衣室)、8…浴室、9…1階廊下、23…LDK(占用部)、24…洋室(占用部)、25…脱衣室(第2の脱衣室)、49…1階廊下、63…脱衣室(第2の脱衣室)、B…住宅、Y…水廻り部構造、Z…水廻り部構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7