特許第6100513号(P6100513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100513
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】火災受信機
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   G08B17/00 L
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-258805(P2012-258805)
(22)【出願日】2012年11月27日
(65)【公開番号】特開2014-106714(P2014-106714A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年9月3日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大祐
(72)【発明者】
【氏名】永田 智一
【審査官】 藤江 大望
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−326389(JP,A)
【文献】 特開2006−190598(JP,A)
【文献】 特開2005−018174(JP,A)
【文献】 特開2006−178870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と該本体を覆うとともに窓部を有するカバーとで構成される筐体と、
発光素子が設けられるとともに前記筐体内に収納される基板と、
前記窓部に対向して前記基板上に設けられるとともに、各種の操作スイッチや各種情報が明示される操作パネルと、
前記発光素子の光を前記操作パネルにおける前記各種情報に対応して表示する部位に導く光ガイドとを備えた火災受信機であって、
前記操作パネルは、全体が樹脂製の透明部材で形成されると共に複数の前記光ガイドが隣接して一体的に設けられており、該光ガイドは透明な樹脂の樹脂成形によって他の部位と同時に成形され、透明な樹脂のみからなり、
前記光ガイドは、内部が空洞でない中実であり、出射面から前記発光素子に近接される入射面に向かって先細になるように形成されていることを特徴とする火災受信機。
【請求項2】
前記光ガイドにおける光の出射面が凸レンズ状に形成されていること、及び/又は前記光ガイドにおける光の入射面が前記光ガイドにおける出射面側に向かって凹状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の火災受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災報知設備における火災受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
火災受信機は、火災報知設備において複数の火災検知器等からの火災信号等を受信するためものである。
火災受信機は、その前面に火災受信機の操作を行うための操作パネルを有している。このような操作パネルを有する火災受信機が、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された火災受信機の操作パネルの前面側には、複数の警戒地区を表示する火災表示部が設けられており、基板側に設けた発光素子の光を各火災表示部に導いて各火災表示部を個別に光らせるようにしている。
【0003】
基板側に設けた発光素子の光を操作パネルの各火災表示部に導くための手段として、光が透過しない不透明な材料からなる筒状の導光スタッドを設け、各発光素子の光を導光スタッドの筒内を通過させて目的とする火災表示部に導くようにしている。
また、特許文献1では光スタッド内に透明材からなる光ガイドを設けることもできるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−326389
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の火災受信機の操作パネルでは、導光スタッドを筒状に形成して筒内の空間又は筒内に設置した光ガイドを光路としている。そのため、各導光スタッドには筒内の空間と、ある程度の厚みを有する筒壁が必要であり、各導光スタッドの設置にはある程度の面積が必要となり、その分操作パネルが大型化するという問題があった。
また、導光スタッドに光ガイドを入れない場合は、導光スタッドを通過可能な光の量が不十分となり、他方、導光スタッドに光ガイドを設置するとなると、導光スタッドの数だけ光ガイドが必要になり、部品点数が多くなり、製造コストや組立コストがかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、部品点数が少なく小型の操作パネルを有する火災受信機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る火災受信機は、本体と該本体を覆うとともに窓部を有するカバーとで構成される筐体と、
発光素子が設けられるとともに前記筐体内に収納される基板と、
前記窓部に対向して前記基板上に設けられるとともに、各種の操作スイッチや各種情報が明示される操作パネルと、
前記発光素子の光を前記操作パネルにおける前記各種情報に対応して表示する部位に導く光ガイドとを備えた火災受信機であって、
前記操作パネルは、全体が樹脂製の透明部材で形成されると共に複数の前記光ガイドが隣接して一体的に設けられており、該光ガイドは透明な樹脂の樹脂成形によって他の部位と同時に成形され、透明な樹脂のみからなり、
前記光ガイドは、内部が空洞でない中実であり、出射面から前記発光素子に近接される入射面に向かって先細になるように形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記光ガイドにおける光の出射面が凸レンズ状に形成されていること、及び/又は前記光ガイドにおける光の入射面が前記光ガイドにおける出射面側に向かって凹状に形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記操作パネルの表面に貼付されたシートを有し、該シートに前記各種情報が表示され、前記出射面に対応して透光可能であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、光ガイドが操作パネルに一体的に形成されていることにより、部品点数が少なく小型の操作パネルを有する火災受信機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る火災受信機の斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る火災受信機の操作パネルを背面側からの斜視図である。
図3図2の操作パネルの正面図である。
図4図2の操作パネルの背面図である。
図5図3中のA−A矢視断面図である。
図6図2の操作パネルに基板を取り付けた状態を説明する説明図である。
図7図6中のB−B矢視端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施の形態に係る火災受信機1は、図1に示す通り、扁平した箱状からなり、有底枠体の本体3と、本体3の開口部を覆うカバー5とを有している。そして、本体3とカバー5で火災受信機1の筐体6を構成している。
カバー5には矩形状の窓部5aが設けられており、該窓部5aは、図1に示されるように、本体3にカバー5を被せて取り付けた状態で火災受信機1を操作するための操作パネル11が操作可能となっている。そして、操作パネル11は、詳細は後述するが、本体3内に設けられる基板上に固定されて、窓部5aに対向する位置に設けられている。
以下、本発明の特徴である操作パネル11について、図1図7に基づいて詳細に説明する。
【0014】
操作パネル11は、全体が樹脂製の透明部材で形成されており、図2に示すように、浅底の有底枠体からなる。操作パネル11は、立てた状態で開口部側が火災受信機1の背面側(本体3側)になるようにして、本体3の図示しないフックに仮止めされる基板10上に取り付けられる。操作パネル11の外周部には、外方に突出する小片部からなるネジ取付部(ネジ取付部13a、ネジ取付部13b)が複数箇所に設けられており、その内、ネジ取付部13aには、操作パネル11側からネジが挿入されて、このネジによって基板10を介して操作パネル11と本体3とが固定される。一方、操作パネル11におけるネジ取付部13aが設けられている辺と対向する辺に設けられるネジ取付部13bは、操作パネル11側からネジが挿入されて、このネジによって操作パネル11と本体3とが直接固定される。
【0015】
操作パネル11の正面側、すなわち操作パネル11の開口部の裏面側は操作面になっており、火災受信機1等を操作するための操作スイッチ18や、明るく表示する部位(後述する出射面17a、出射面17b)等が設けられている。
操作面には図1図6に示すように、メンブレンシートからなるシート19が操作面を覆うように貼付されている。シート19には、明るく表示する部位(出射面17a、出射面17b)に対応して各種情報7(図示はしていないが、例えば、「火災」や「異常」等の文字)が表示されている。
【0016】
そのため、シート19が操作面に貼付されることによって、明るく表示する部位(出射面17a、出射面17b)がどのような情報を表示するものであるのかが分かるようになっている。例えば明るく表示する部位のうち、「火災」という文字に対応する部位が明るく表示されると、火災が発生したことを示す。あるいは、「異常」という文字に対応する部位が明るく表示されると、異常が発生していることを示す。
なお、上記の説明では、各種情報7は文字の例を示したが、各種情報7は例えば炎を模したマークであってもよい。
【0017】
シート19は、明るく表示する部位(出射面17a、出射面17b)に対応して透光可能になっており、明るく表示する部位(出射面17a、出射面17b)が光ることによって、シート19の対応する部位が光るようになっている。
【0018】
また、操作面の一部には、長方形状の窓状からなり、厚紙などからなるカード状の挿入シート20(地区窓用紙)、及び図示しない透明な樹脂の地区窓プレートが挿入可能なシート挿入窓8が設けられている。シート挿入窓8の図6中左側には5つの出射面17bが設けられている。挿入シート20は、シート挿入窓8の各出射面17bに対応した位置に、各種情報7として複数の火災警戒地区名が表示可能になっており、挿入窓8に挿入されている。そして、挿入シート20の上から地区窓プレートを挿入窓8に挿入し、挿入シート20を保護する。挿入シート20が挿入窓8に挿入されている状態において、各火災警戒地区名に対応した出射面17bが明るく表示されると、該各火災警戒地区で火災が発生したことを示す。
なお、図3はシート19が貼付されておらず、挿入シート20が挿入されていない状態を図示したものである。また、挿入シート20中の火災警戒地区名は省略している。
【0019】
操作パネル11の底部には、図2図4に示すように、先端部にネジ孔が形成されたねじスタッド15が開口部側に突き出すように設けられている。
操作パネル11の開口部側には、該開口部を覆うようにして基板10が配置される(図6図7参照)。そして、操作パネル11側からねじスタッド15にネジを挿入し、基板10を貫通させて本体3と螺着させることで、操作パネル11は基板10を介して本体3に取り付けられている。
筐体6に収容される基板10上には、図6図7に示すように、火災発生等の状況に応じて発光する発光素子12が設けられている。
【0020】
操作パネル11の底部には、図2図4図5および図7に示すように、開口部側に突き出す棒状からなる光ガイド21が操作パネル11と一体的に設けられている。一体的に設けられるとは、例えば樹脂成形によって光ガイド21が操作パネル11の他の部位と同時に成形される場合をいう。すなわち、操作パネル11は光ガイド21と一体的に、透明な樹脂で同時に成形されている。
従って、特許文献1に記載されたもののように光ガイドを設置するための筒状の導光スタッドが不要である。それ故、隣接する光ガイド21との間隔を狭くすることができ、特に多数の光ガイドを隣接して設けるような場合には、操作パネル11を小型化することができる。また、操作パネル11は樹脂で成形されるため、光ガイド21は様々なサイズ及び形状にすることができる。
【0021】
また、操作パネル11と光ガイドが一体的に設けられているため、特許文献1に記載されたもののように光ガイドを別部品として製造して組立てることがなく、それ故、製造コストや組立コストを大幅に減少させることができる。さらに、導光スタッドに光ガイドを挿入する場合に起こりうる光ガイドの取り付け忘れや、光ガイドが斜めに挿入される等の組み付け不良等の問題が、操作パネル11と光ガイドが一体的に設けられることで、解消される。
【0022】
光ガイド21の内部は空洞ではなく、透明な樹脂で充填されている。また、光ガイド21は、その先端面(基板側の端面)が基板10に設けられた発光素子12の発光が入射される入射面16になっている。
光ガイド21の基端部には入射面16から入射した光が出射されるための、平坦面からなる出射面17a(図3中に点線で示す)または、凸レンズ状からなる出射面17b(図3および図7参照)が形成されている。
凸レンズ状からなる出射面17bは、光ガイド21によって導かれた光が出射するときに多方向に屈折して、出射面17bの側方からの視認性を高めている。
【0023】
光ガイド21は、光ガイド21の入射面16が発光素子12に近接するような長さに設定されている。また、光ガイド21の入射面16は、発光素子12の表面を覆うことができる大きさに設定されている(図7(b)参照)。すなわち、光ガイド21の長さは、ねじスタッド15と同じか、それよりわずかに短くなっており、入射面16の面積は発光素子12と同じか、それよりも広くなっている。
【0024】
光ガイド21の長さを発光素子12に近接させ、かつ入射面16を、発光素子12を覆うことができる大きさに設定することにより、発光素子12の発光のほぼ全てが光ガイド21の入射面16に垂直に入射されて出射面(出射面17a、出射面17b)から出射される。
垂直に入射されかった光も、光ガイド21の内面に反射され、光ガイド21の側面外に出ることなくそのほとんどが出射面(出射面17a、出射面17b)から出射される。
このように、光ガイド21は発光素子12の発光のほぼ全てを出射面(出射面17a、出射面17b)に導くことができ、目的の照射面以外を光らせることがない。
なお、上述したように導光スタッドが不要であるため、その分光ガイド21を太くしてもよい。こうすることによって、光ガイド21で導光される光量を多くすることができる。
【0025】
また、光ガイド21の入射面16を出射面側に向かって凹んでいる凹状に形成しても良い。こうすることで、入射面16に入射した光はより拡散するので、発光素子12と操作パネル11の出射面の距離が短くても出射面の全面を光らせることができ、操作パネル11を薄型化することができる。
また、光ガイド21の入射面16を基板10側に向かって突出している凸状に形成しても良い。こうすることで、入射面16に入射した光は拡散せずに集約されて出射面に届くので、出射面をより明るくすることができる。
【0026】
以上のように、本実施の形態によれば、操作パネル11を透明部材によって形成し、光ガイド21を操作パネル11と一体的に形成しているので、特許文献1に記載されたもののように、筒状の導光スタッドを形成して、筒内に光ガイドを挿入するものに比較して、部品点数を大幅に減らすことができるため、製造コストや、組立コストを大幅に減少させることができる。
また、本実施の形態の光ガイド21は、特許文献1に記載されたもののように、光ガイドを設置するための筒状の導光スタッドが不要であるため、隣接する光ガイド21との間隔を狭くすることができ、特に多数の光ガイド21を隣接して設けるような場合には、操作パネル11を小型化することができる。
【0027】
また、基板10に操作パネル11を直接取り付けているので、操作パネル11が基板上の電子部品の保護になる。さらに、操作パネル11がカバー5に取り付けられる場合と比べて、基板10に操作パネル11を直接取り付けている場合は、基板10上の発光素子12やスイッチと、操作パネル11の光ガイド21や操作スイッチ18の位置がずれることがなく、製造誤差を吸収することができる。
なお、本実施の形態では、本体3に基板10及び操作パネル11が取り付けられるものとして説明したが、窓部5aを介して操作パネル11が操作及び視認可能となるように、筐体内に収納されていればよく、例えば、基板10及び操作パネル11は、窓部5aに対応してカバー5の背面側に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 火災受信機
3 本体
5 カバー
5a 窓部
6 筐体
7 各種情報
8 シート挿入窓
10 基板
11 操作パネル
12 発光素子
13a、13b ネジ取付部
15 ねじスタッド
16 入射面
17a 出射面
17b 出射面
18 操作スイッチ
19 シート
20 挿入シート
21 光ガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7