特許第6100543号(P6100543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100543コイン状被検出体識別装置およびコイン状被検出体識別装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100543
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】コイン状被検出体識別装置およびコイン状被検出体識別装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 5/08 20060101AFI20170313BHJP
   G01B 7/287 20060101ALN20170313BHJP
【FI】
   G07D5/08 103
   !G01B7/287
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-17203(P2013-17203)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-149615(P2014-149615A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 正吾
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−128342(JP,A)
【文献】 特開昭61−221990(JP,A)
【文献】 実開昭56−168871(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0023596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 5/00−5/10
G01B 7/00−7/34
G01N 27/72−27/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励磁用コイルおよび検出用コイルを有するとともにコイン状の被検出体が通過する第1センサと、前記被検出体の通過方向において前記第1センサよりも上流側に配置され、前記被検出体を検出することで前記被検出体が投入口から投入されたことを検出するための第2センサと、前記検出用コイルおよび前記第2センサが接続される制御部とを備え、
前記制御部には、前記検出用コイルからの出力信号に基づくコイル出力信号が入力され、
前記制御部は、前記第2センサが前記被検出体を検出したときの前記コイル出力信号の信号レベルである基準信号値を記憶するとともに、前記被検出体の識別完了時から所定時間が経過するまで、前記基準信号値を保持し、かつ、前記第1センサを前記被検出体が通過するときの前記コイル出力信号のピーク値と前記基準信号値との差に基づいて、前記被検出体を識別することを特徴とするコイン状被検出体識別装置。
【請求項2】
前記第2センサが前記被検出体を検出する前の待機時の前記コイル出力信号の信号レベルが所定の範囲内に収まるように前記コイル出力信号の信号レベルを調整するためのレベル調整部を備え、
前記レベル調整部は、前記制御部から出力されるレベル調整信号に基づいて、前記コイル出力信号の信号レベルの調整を行い、
前記制御部は、前記第2センサが前記被検出体を検出すると、前記レベル調整部による前記コイル出力信号の信号レベルの調整を停止させて、前記基準信号値を記憶することを特徴とする請求項1記載のコイン状被検出体識別装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記被検出体の識別完了時から所定時間が経過した後に、前記レベル調整部による前記コイル出力信号の信号レベルの調整を再開させることを特徴とする請求項2記載のコイン状被検出体識別装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記コイル出力信号の信号レベルが所定の閾値以上となっているとき、または、所定の閾値以下となっているときに、前記コイル出力信号の信号値を取得し、取得された前記コイル出力信号の信号値のうちのピーク値と前記基準信号値との差に基づいて、前記被検出体を識別することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコイン状被検出体識別装置。
【請求項5】
前記閾値は、複数の前記被検出体が隙間なく連続で前記第1センサを通過する場合であっても、複数の前記被検出体のそれぞれが前記第1センサを通過するごとに前記コイル出力信号の信号レベルが前記閾値を横切るように設定されていることを特徴とする請求項4記載のコイン状被検出体識別装置。
【請求項6】
前記コイル出力信号の信号レベルと前記閾値とを比較する比較部を備え、
前記制御部は、前記比較部からの出力信号に基づいて、前記コイル出力信号の信号値を取得することを特徴とする請求項4または5記載のコイン状被検出体識別装置。
【請求項7】
前記第1センサは、前記被検出体が通過する通過路と、前記通過路を通過する前記被検出体の厚み方向の一方側に配置される第1コアと、前記被検出体の前記厚み方向の他方側に配置される第2コアとを備え、
前記第1コアには、前記第2コアに向かって突出する励磁側凸部が1個または2個以上形成され、
前記第2コアには、前記第1コアに向かって突出する検出側凸部が1個または2個以上形成され、
前記励磁用コイルは、前記励磁側凸部に巻回され、
前記検出用コイルは、前記検出側凸部に巻回され、
前記被検出体の前記厚み方向における前記励磁側凸部と前記検出側凸部との間は、前記通過路となっており、
前記通過路を通過する前記被検出体の通過方向と前記被検出体の前記厚み方向とに直交する方向を直交方向とし、前記直交方向の一方側を第1方向とし、前記直交方向の他方側を第2方向とし、前記励磁側凸部の前記第1方向側の端面を第1端面とし、前記励磁側凸部の前記第2方向側の端面を第2端面とし、前記検出側凸部の前記第1方向側の端面を第3端面とし、前記検出側凸部の前記第2方向側の端面を第4端面とすると、
最も前記第1方向側に配置される前記第1端面の前記第2コア側端と、最も前記第2方向側に配置される前記第2端面の前記第2コア側端との前記直交方向における距離、および、最も前記第1方向側に配置される前記第3端面の前記第1コア側端と、最も前記第2方向側に配置される前記第4端面の前記第1コア側端との前記直交方向における距離は、前記被検出体の外径以上となっていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のコイン状被検出体識別装置。
【請求項8】
励磁用コイルおよび検出用コイルを有するとともにコイン状の被検出体が通過する第1センサと、前記被検出体の通過方向において前記第1センサよりも上流側に配置され、前記被検出体を検出することで前記被検出体が投入口から投入されたことを検出するための第2センサとを備えるコイン状被検出体識別装置の制御方法であって、
前記第2センサが前記被検出体を検出したときの、前記検出用コイルからの出力信号に基づくコイル出力信号の信号レベルである基準信号値を記憶するとともに、前記被検出体の識別完了時から所定時間が経過するまで、前記基準信号値を保持し、かつ、前記第1センサを前記被検出体が通過するときの前記コイル出力信号のピーク値と前記基準信号値との差に基づいて、前記被検出体を識別することを特徴とするコイン状被検出体識別装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイン状の被検出体の真偽を識別するためのコイン状被検出体識別装置、および、かかるコイン状被検出体識別装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットマシンで使用されるメダル検出装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のメダル検出装置では、メダル投入口から投入されたメダルが通過すると受光量が変化する光センサと、メダルが通過すると静電容量が変化する静電容量センサとの2種類のセンサがメダル流路に設けられている。このメダル検出装置では、2種類のセンサを用いて、メダルが識別されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−162143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、多数のメダルがメダル投入口から連続投入されるスロットマシンが普及し始めている。そのため、市場では、多数のメダルが隙間なく連続で通過する場合であっても、メダルを適切に識別できるメダル検出装置が要求されている。
【0005】
そこで、本発明の課題は、多数のコイン状の被検出体が隙間なく連続で通過する場合であっても、被検出体を適切に識別することが可能なコイン状被検出体識別装置、および、コイン状被検出体識別装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のコイン状被検出体識別装置は、励磁用コイルおよび検出用コイルを有するとともにコイン状の被検出体が通過する第1センサと、被検出体の通過方向において第1センサよりも上流側に配置され、被検出体を検出することで被検出体が投入口から投入されたことを検出するための第2センサと、検出用コイルおよび第2センサが接続される制御部とを備え、制御部には、検出用コイルからの出力信号に基づくコイル出力信号が入力され、制御部は、第2センサが被検出体を検出したときのコイル出力信号の信号レベルである基準信号値を記憶するとともに、被検出体の識別完了時から所定時間が経過するまで、基準信号値を保持し、かつ、第1センサを被検出体が通過するときのコイル出力信号のピーク値と基準信号値との差に基づいて、被検出体を識別することを特徴とする。
【0007】
また、上記の課題を解決するため、本発明のコイン状被検出体識別装置の制御方法は、励磁用コイルおよび検出用コイルを有するとともにコイン状の被検出体が通過する第1センサと、被検出体の通過方向において第1センサよりも上流側に配置され、被検出体を検出することで被検出体が投入口から投入されたことを検出するための第2センサとを備えるコイン状被検出体識別装置の制御方法であって、第2センサが被検出体を検出したときの、検出用コイルからの出力信号に基づくコイル出力信号の信号レベルである基準信号値を記憶するとともに、被検出体の識別完了時から所定時間が経過するまで、基準信号値を保持し、かつ、第1センサを被検出体が通過するときのコイル出力信号のピーク値と基準信号値との差に基づいて、被検出体を識別することを特徴とする。
【0008】
本発明のコイン状被検出体識別装置は、励磁用コイルおよび検出用コイルを有するとともにコイン状の被検出体が通過する第1センサを備えている。そのため、本発明では、図7(A)に示すように、被検出体(2)が第1センサ(4)を通過すると、第1センサ(4)を構成する検出用コイルからの出力信号に基づくコイル出力信号(SG1)の信号レベルが、たとえば、図7(B)に示すように、被検出体(2)の材質、外径および厚さ等に応じて変動する。したがって、第1センサ(4)を被検出体(2)が通過する前のコイル出力信号(SG1)の信号レベルとコイル出力信号(SG1)のピーク値との差に基づいて、被検出体(2)を識別することが可能になる。一方で、図7(C)に示すように、多数の被検出体(2)が隙間なく連続で第1センサ(4)を通過する場合、たとえば、図7(D)に示すように、ピーク値から下降していくコイル出力信号(SG1)の信号レベルが完全に下降する前に再び上昇に転じることもあるため、第1センサ(4)を被検出体(2)が通過する前のコイル出力信号(SG1)の信号レベルとコイル出力信号(SG1)のピーク値との差に基づいて、多数の被検出体(2)のそれぞれを適切に識別することが困難な状況が生じうる。
【0009】
本発明では、第2センサが被検出体を検出したときのコイル出力信号の信号レベルである基準信号値を記憶するとともに、被検出体の識別完了時から所定時間が経過するまで、基準信号値を保持し、かつ、第1センサを被検出体が通過するときのコイル出力信号のピーク値と基準信号値との差に基づいて、被検出体を識別している。そのため、本発明では、多数のコイン状の被検出体が隙間なく連続で通過して、たとえば、図7(D)に示すように、ピーク値から下降していくコイル出力信号(SG1)の信号レベルが完全に下降する前に再び上昇に転じる場合であっても、たとえば、1枚目の被検出体を第2センサが検出したときのコイル出力信号の基準信号値と、第1センサを多数の被検出体が通過するときの多数の被検出体のそれぞれのコイル出力信号のピーク値との差に基づいて、被検出体を適切に識別することが可能になる。すなわち、本発明では、多数のコイン状の被検出体が隙間なく連続で第1センサを通過する場合であっても、被検出体の真偽を適切に識別することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、第1センサを被検出体が通過するときのコイル出力信号のピーク値と基準信号値との差に基づいて、被検出体を識別しているため、投入口から被検出体が投入される前のコイル出力信号の信号レベルが、コイン状被検出体識別装置の周囲温度の変動等の影響によって変動したとしても、制御部は、この変動分の影響を排除して、被検出体を識別することが可能になる。したがって、本発明では、被検出体の識別精度を高めることが可能になる。
【0011】
本発明において、コイン状被検出体識別装置は、第2センサが被検出体を検出する前の待機時のコイル出力信号の信号レベルが所定の範囲内に収まるようにコイル出力信号の信号レベルを調整するためのレベル調整部を備え、レベル調整部は、制御部から出力されるレベル調整信号に基づいて、コイル出力信号の信号レベルの調整を行い、制御部は、第2センサが被検出体を検出すると、レベル調整部によるコイル出力信号の信号レベルの調整を停止させて、基準信号値を記憶することが好ましい。このように構成すると、待機時のコイル出力信号の信号レベルがレベル調整部によって調整されるため、コイン状被検出体識別装置の周囲温度の変動等の影響によって制御部での測定可能範囲からコイル出力信号の信号レベルが外れてしまうのを防止することが可能になる。また、このように構成すると、第2センサが被検出体を検出したときにレベル調整部によるコイル出力信号の信号レベルの調整が停止するため、制御部は、安定した基準信号値を記憶し保持することが可能になる。
【0012】
本発明において、たとえば、制御部は、被検出体の識別完了時から所定時間が経過した後に、レベル調整部によるコイル出力信号の信号レベルの調整を再開させる。
【0013】
本発明において、制御部は、コイル出力信号の信号レベルが所定の閾値以上となっているとき、または、所定の閾値以下となっているときに、コイル出力信号の信号値を取得し、取得されたコイル出力信号の信号値のうちのピーク値と基準信号値との差に基づいて、被検出体を識別することが好ましい。このように構成すると、制御部で取得される信号値のデータ量を低減することが可能になるため、制御部での処理を簡素化することが可能になるとともに、制御部での処理を高速化することが可能になる。
【0014】
この場合には、閾値は、複数の被検出体が隙間なく連続で第1センサを通過する場合であっても、複数の被検出体のそれぞれが第1センサを通過するごとにコイル出力信号の信号レベルが閾値を横切るように設定されていることが好ましい。このように構成すると、複数の被検出体が隙間なく連続で第1センサを通過する場合であっても、所定時間おきに被検出体ごとのコイル出力信号の信号値を取得することが可能になる。したがって、多数のコイン状の被検出体が隙間なく連続で通過する場合であっても、被検出体の真偽をより適切に識別することが可能になる。
【0015】
また、この場合には、コイン状被検出体識別装置は、コイル出力信号の信号レベルと閾値とを比較する比較部を備え、制御部は、比較部からの出力信号に基づいて、コイル出力信号の信号値を取得することが好ましい。このように構成すると、制御部において、コイル出力信号の信号レベルが閾値以上となっているか否か、または、閾値以下となっているか否かが判断される場合と比較して、制御部での処理を簡素化することが可能になる。
【0016】
本発明において、第1センサは、被検出体が通過する通過路と、通過路を通過する被検出体の厚み方向の一方側に配置される第1コアと、被検出体の厚み方向の他方側に配置される第2コアとを備え、第1コアには、第2コアに向かって突出する励磁側凸部が1個または2個以上形成され、第2コアには、第1コアに向かって突出する検出側凸部が1個または2個以上形成され、励磁用コイルは、励磁側凸部に巻回され、検出用コイルは、検出側凸部に巻回され、被検出体の厚み方向における励磁側凸部と検出側凸部との間は、通過路となっており、通過路を通過する被検出体の通過方向と被検出体の厚み方向とに直交する方向を直交方向とし、直交方向の一方側を第1方向とし、直交方向の他方側を第2方向とし、励磁側凸部の第1方向側の端面を第1端面とし、励磁側凸部の第2方向側の端面を第2端面とし、検出側凸部の第1方向側の端面を第3端面とし、検出側凸部の第2方向側の端面を第4端面とすると、最も第1方向側に配置される第1端面の第2コア側端と、最も第2方向側に配置される第2端面の第2コア側端との直交方向における距離、および、最も第1方向側に配置される第3端面の第1コア側端と、最も第2方向側に配置される第4端面の第1コア側端との直交方向における距離は、被検出体の外径以上となっていることが好ましい。
【0017】
このように構成すると、最も第1方向側に配置される第1端面の第2コア側端と、最も第2方向側に配置される第2端面の第2コア側端との直交方向における距離、および、最も第1方向側に配置される第3端面の第1コア側端と、最も第2方向側に配置される第4端面の第1コア側端との直交方向における距離が、被検出体の外径以上となっているため、励磁側凸部と検出側凸部との間に形成される磁路から被検出体の一部が外れないように、通過路で被検出体を通過させることが可能になる。したがって、被検出体を適切に識別することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、多数のコイン状の被検出体が隙間なく連続で通過する場合であっても、被検出体を適切に識別することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態にかかるコイン状被検出体識別装置の正面図である。
図2図1に示すケース体に収容される磁気センサの斜視図である。
図3図2に示す状態から励磁用コイル、検出用コイルおよびボビンを取り外した状態の斜視図である。
図4図2に示す環状コアの斜視図である。
図5図2に示す環状コアの平面図である。
図6図1に示すコイン状被検出体識別装置の回路ブロック図である。
図7図2に示す検出用コイルからの出力信号に基づいて生成されるコイル出力信号を説明するための図である。
図8図1に示すコイン状被検出体識別装置における被検出体の識別処理の流れの一例を説明するためのタイミングチャートである。
図9図8に示すコイル出力信号の信号レベルの調整タイミングを算出するためのタイマーの停止、再起動タイミングおよび図1に示すシャッターの開閉タイミングを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(コイン状被検出体識別装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるコイン状被検出体識別装置1の正面図である。図2は、図1に示すケース体3に収容される磁気センサ4の斜視図である。
【0022】
本形態のコイン状被検出体識別装置1は、コイン状の被検出体であるメダル2を識別するための装置であり、スロットマシン(図示省略)に搭載されて使用される。すなわち、本形態のコイン状被検出体識別装置1は、スロットマシンのメダル投入口から投入されたメダル2が正規のものであるか否かを識別するための装置である。したがって、以下では、本形態のコイン状被検出体識別装置1を「メダル識別装置1」とする。なお、メダル2は、磁性を有する金属材料で形成されるとともに、円板状に形成されている。
【0023】
メダル識別装置1は、図1図2に示すように、ケース体3に収容される第1センサとしての磁気センサ4と、発光素子と受光素子とを有する第2センサとしての光学式センサ5と、磁気センサ4へメダル2を案内するメダルガイド6と、磁気センサ4へ向かって移動するメダル2を停止させるためのシャッター7とを備えている。磁気センサ4には、メダル2が通過する通過路PWが形成されている。すなわち、メダル投入口から投入されたメダル2は、磁気センサ4を通過する。
【0024】
ケース体3は、直方体の箱状に形成されている。ケース体3の6つの側面のうちの互いに平行な2つの側面(図1の上面および下面)には、メダル2が通過するスリット状の通過孔(図示省略)が形成されている。この通過孔は、通過路PWに繋がっている。ケース体3には、メダルガイド6が固定されている。メダル投入口から投入されたメダル2は、図1におけるケース体3の上面に形成される通過孔を通過するように、メダルガイド6に案内される。
【0025】
磁気センサ4は、励磁用コイル8および検出用コイル9、10と、励磁用コイル8および検出用コイル9、10が巻回される環状コア11とを備えている。環状コア11は、磁性材料によって形成されている。たとえば、環状コア11は、フェライト、アモルファス、パーマロイ等の鉄系の磁性材料によって形成されている。また、環状コア11は、平板状に形成されている。磁気センサ4の具体的な構成については後述する。
【0026】
光学式センサ5は、磁気センサ4よりもメダル投入口側に配置されている。すなわち、光学式センサ5は、メダル2の通過方向において磁気センサ4よりも上流側に配置されている。この光学式センサ5は、メダルガイド6に案内されるメダル2の厚み方向でメダル2を挟むように互いに対向配置される発光素子と受光素子とを備えている。本形態では、発光素子から受光素子へ向かう光がメダル2によって遮られると、光学式センサ5によってメダル2が検出される。また、光学式センサ5によってメダル2が検出されることで、メダル投入口からメダル2が投入されたことが検出される。
【0027】
シャッター7は、メダル2の通過方向において、磁気センサ4と光学式センサ5との間に配置されている。シャッター7には、図示を省略するソレノイド等の駆動源が連結されており、シャッター7は、メダルガイド6の、メダル2が通過する箇所へ出没可能となっている。メダルガイド6の、メダル2が通過する箇所へシャッター7が突出しているときには、磁気センサ4へ向かって移動するメダル2を停止させることが可能になり、メダルガイド6の、メダル2が通過する箇所からシャッター7が退避しているときには、磁気センサ4へ向かってメダル2が通過可能となる。
【0028】
(磁気センサの構成)
図3は、図2に示す状態から励磁用コイル8、検出用コイル9およびボビン20、21を取り外した状態の斜視図である。図4は、図2に示す環状コア11の斜視図である。図5は、図2に示す環状コア11の平面図である。
【0029】
以下の説明では、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。また、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。さらに、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側とする。本形態では、環状コア11の厚み方向と上下方向とが一致するように、磁気センサ4が配置されている。また、本形態では、メダル2は、環状コア11の厚み方向で通過路PWを通過する。すなわち、上下方向は、通過路PWを通過するメダル2の通過方向である。また、前後方向は、通過路PWを通過するメダル2の厚み方向である。なお、本形態の左右方向は、メダル2の通過方向とメダル2の厚み方向とに直交する直交方向であり、右側は、直交方向の一方側であり、左側は、直交方向の他方側である。
【0030】
上述のように、磁気センサ4は、励磁用コイル8および検出用コイル9、10と、励磁用コイル8および検出用コイル9、10が巻回される環状コア11とを備えている。
【0031】
環状コア11は、環状に形成されている。具体的には、環状コア11は、左右方向に細長い略四角環状に形成されている。この環状コア11は、環状コア11の前側部分を構成するとともに左右方向と平行に配置される略直線状の第1コア12と、環状コア11の後ろ側部分を構成するとともに第1コア12と平行に配置される略直線状の第2コア13と、第1コア12の右端と第2コア13の右端とを繋ぐとともに前後方向と平行に配置される直線状の第1連結コア14と、第1コア12の左端と第2コア13の左端とを繋ぐとともに第1連結コア14と平行に配置される直線状の第2連結コア15とから構成されている。本形態の環状コア11は、プレスの打ち抜き加工によって形成されており、第1コア12と第2コア13と第1連結コア14と第2連結コア15とは一体で形成されている。
【0032】
第1コア12と第2コア13とは、同形状に形成されており、第1連結コア14と第2連結コア15とは、同形状に形成されている。また、環状コア11は、図5に示すように、前後方向における環状コア11の中心位置を通過する左右方向に平行な中心線CL1に対して線対称な形状に形成されるとともに、左右方向における環状コア11の中心位置を通過する前後方向に平行な中心線CL2に対して線対称な形状に形成されている。
【0033】
第1コア12には、第2コア13に向かって(すなわち、後ろ側に向かって)突出する励磁側凸部としての凸部12a、12b、12cが形成されている。凸部12a〜12cは、長方形状に形成されている。凸部12a〜12cの後端面(すなわち、先端面)は、左右方向と平行になっており、凸部12a〜12cの左右の端面は、前後方向と平行になっている。また、凸部12a〜12cの後端面は、前後方向に直交する同一平面上に配置されている。左右方向における凸部12cの幅は、凸部12a、12bの幅よりも狭くなっている。本形態の凸部12a〜12cの右端面は第1端面であり、凸部12a〜12cの左端面は第2端面である。
【0034】
凸部12aは、右端側に配置され、凸部12bは、左端側に配置され、凸部12cは、凸部12aと凸部12bとの間に配置されている。具体的には、凸部12cは、左右方向における凸部12cの中心と第1コア12の中心とが一致するように配置され、凸部12aと凸部12bとは、中心線CL2を対称軸とする線対称の位置に配置されている。凸部12aと凸部12bとは同形状に形成されており、第1コア12は、中心線CL2に対して線対称な形状に形成されている。
【0035】
左右方向において、凸部12aと第1連結コア14との間(具体的には、凸部12aの右端面と第1連結コア14の左端面との間)には、隙間が形成され、凸部12bと第2連結コア15との間(具体的には、凸部12bの左端面と第2連結コア15の右端面との間)には、隙間が形成されている。また、左右方向において、凸部12aと凸部12cとの間(具体的には、凸部12aの左端面と凸部12cの右端面との間)には、隙間が形成され、凸部12bと凸部12cとの間(具体的には、凸部12bの右端面と凸部12cの左端面との間)には、隙間が形成されている。上述のように、第1コア12は、中心線CL2に対して線対称な形状に形成されており、凸部12aと第1連結コア14との隙間と、凸部12bと第2連結コア15との隙間とは同じ大きさとなっており、凸部12aと凸部12cとの隙間と、凸部12bと凸部12cとの隙間とは同じ大きさになっている。
【0036】
凸部12aと凸部12cとの間、および、凸部12bと凸部12cとの間の第1コア12の後端面は、凸部12aと第1連結コア14との間、および、凸部12bと第2連結コア15との間の第1コア12の後端面よりも前側に配置されている。
【0037】
上述のように、第2コア13は、第1コア12と同形状に形成されており、中心軸CL1を対称軸とする線対称の位置に配置されている。そのため、第2コア13には、第1コア12に向かって(すなわち、前側に向かって)突出する検出側凸部としての凸部13a、13b、13cが形成されている。凸部13a〜13cは、凸部12a〜12cと同形状に形成されており、凸部13a〜13cの前端面(すなわち、先端面)は、前後方向に直交する同一平面上に配置されている。本形態の凸部13a〜13cの右端面は第3端面であり、凸部13a〜13cの左端面は第4端面である。
【0038】
左右方向において、凸部13aは、凸部12aと同じ位置に配置され、凸部13bは、凸部12bと同じ位置に配置され、凸部13cは、凸部12cと同じ位置に配置されている。第1コア12と同様に、第2コア13は、中心線CL2に対して線対称な形状に形成されている。また、左右方向において、凸部13aと第1連結コア14との間には、隙間が形成され、凸部13bと第2連結コア15との間には、凸部13aと第1連結コア14との隙間と同じ大きさの隙間が形成されている。また、左右方向において、凸部13aと凸部13cとの間には、隙間が形成され、凸部13bと凸部13cとの間には、凸部13aと凸部13cとの隙間と同じ大きさの隙間が形成されている。第1コア12と同様に、凸部13aと凸部13cとの間、および、凸部13bと凸部13cとの間の第2コア13の後端面は、凸部13aと第1連結コア14との間、および、凸部13bと第2連結コア15との間の第2コア13の後端面よりも後ろ側に配置されている。
【0039】
前後方向における凸部12a〜12cと凸部13a〜13cとの間は、通過路PWとなっており、通過路PWは、左右方向に細長い長方形状に形成されている。すなわち、凸部12a、13aの右端面と凸部12b、13bの左端面との左右方向の距離L1(図5参照)は、通過路PWの左右方向の幅と等しくなっている。また、通過路PWの左右方向の幅は、メダル2の外径よりも大きくなっている。すなわち、距離L1は、メダル2の外径よりも大きくなっている。具体的には、通過路PWの左右方向の幅は、スロットマシンのメダル投入口から投入されることが想定されるメダル2であって、最も大きな外径を有するメダル2の外径よりも大きくなっており、この最も大きな外径を有するメダル2の外径よりも距離L1は大きくなっている。本形態の凸部12aの右端面は、最も右側(第1方向側)に配置される第1端面であり、凸部12bの左端面は、最も左側(第2方向側)に配置される第2端面であり、凸部13aの右端面は、最も右側に配置される第3端面であり、凸部13bの左端面は、最も左側に配置される第4端面である。
【0040】
また、凸部12c、13cは、左右方向における通過路PWのどの位置をメダル2が通過しても、前後方向から見たときに、凸部12c、13cの全体がメダル2と重なるように形成され、また、配置されている。すなわち、凸部12a、13aの右端面または凸部12b、13bの左端面と、メダル2の外周端とが一致するように、メダル2が通過路PWを通過したとしても、前後方向から見たときに、凸部12c、13cの全体がメダル2と重なるように、凸部12c、13cが形成され配置されている。
【0041】
さらに、前後方向における凸部12a〜12cと凸部13a〜13cとの距離L2(より具体的には、前後方向における凸部12a〜12cの後端面と凸部13a〜13cの前端面との距離L2、図5参照)は、左右方向における凸部12a、13aの右端面と第1連結コア14の左端面との距離L3(図5参照)、および、左右方向における凸部12b、13bの左端面と第2連結コア15の右端面との距離L4(図5参照)よりも短くなっている。また、前後方向における凸部12cと凸部13cとの距離L2は、凸部12cと凸部13aとの最短距離(すなわち、凸部12cの右端面の後端と凸部13aの左端面の前端との最短距離)、および、凸部12cと凸部13bとの最短距離(すなわち、凸部12cの左端面の後端と凸部13bの右端面の前端との最短距離)よりも短くなっている。
【0042】
また、左右方向における凸部12a、13aの右端面と凸部12b、13bの右端面との距離L5、および、左右方向における凸部12a、13aの左端面と凸部12b、13bの左端面との距離L6は、メダル2の外径よりも小さくなっている。具体的には、距離L5、L6は、スロットマシンのメダル投入口から投入されることが想定されるメダル2であって、最も小さな外径を有するメダル2の外径よりも小さくなっている。
【0043】
励磁用コイル8は、凸部12a〜12cに巻回されている。具体的には、図2に示すように、凸部12a〜12cの上下両面、凸部12aの右端面および凸部12bの左端面を覆う略四角筒状のボビン20を介して、励磁用コイル8が凸部12a〜12cに巻回されている。すなわち、凸部12a〜12cの上下両面、凸部12aの右端面および凸部12bの左端面を覆うように、ボビン20を介して、励磁用コイル8が凸部12a〜12cに巻回されている。
【0044】
検出用コイル9は、凸部13a〜13cに巻回されている。具体的には、図2に示すように、凸部13a〜13cの上下両面、凸部13aの右端面および凸部13bの左端面を覆う略四角筒状のボビン21を介して、検出用コイル9が凸部13a〜13cに巻回されている。すなわち、凸部13a〜13cの上下両面、凸部13aの右端面および凸部13bの左端面を覆うように、ボビン21を介して、検出用コイル9が凸部13a〜13cに巻回されている。
【0045】
検出用コイル10は、凸部13cに巻回されている。具体的には、図3に示すように、凸部13cの上下両面、右端面および左端面を覆う略四角筒状のボビン22を介して、検出用コイル10が凸部13cに巻回されている。すなわち、凸部13cの上下両面、右端面および左端面を覆うように、ボビン22を介して、検出用コイル10が凸部13cに巻回されている。
【0046】
(メダル識別装置の回路構成)
図6は、図1に示すメダル識別装置1の回路ブロック図である。図7は、図2に示す検出用コイル9からの出力信号に基づいて生成されるコイル出力信号SG1を説明するための図である。図8は、図1に示すメダル識別装置1におけるメダル2の識別処理の流れの一例を説明するためのタイミングチャートである。
【0047】
図6に示すように、励磁用コイル8を構成する導線の一端には、交流電源25が接続され、励磁用コイル8を構成する導線の他端は接地されている。検出用コイル9を構成する導線の一端は、増幅回路26、整流回路27およびレベル調整回路28を介して、制御部としてのMPU(Micro Processing Unit)29に接続され、検出用コイル9を構成する導線の他端は接地されている。検出用コイル10を構成する導線の一端は、増幅回路31、整流回路32およびレベル調整回路33を介してMPU29に接続され、検出用コイル10を構成する導線の他端は接地されている。レベル調整回路28とMPU29との間には、コンパレータ35が並列に接続されている。
【0048】
また、MPU29には、光学式センサ5が接続されており、光学式センサ5からの出力信号(センサ出力信号)SG11が入力されている。光学式センサ5は、メダル2を検出しているときの信号レベルが「Hi」となり、メダル2を検出していないときの信号レベルが「Lo」となるデジタル状のセンサ出力信号SG11を出力する。たとえば、図8に示すように2枚のメダル2が隙間なく連続で磁気センサ4を通過するとともにその後少し隙間をあけた状態でもう1枚のメダル2が磁気センサ4を通過する場合、光学式センサ5は、図8に示すように信号レベルが変動するセンサ出力信号SG11を出力する。
【0049】
磁気センサ4では、交流電源25から供給される電力によって励磁用コイル8が環状コア11の内周側に交流磁界を発生させている状態でメダル2が通過路PWを通過すると、環状コア11の内周側の交流磁界が変動する。環状コア11の内周側の交流磁界が変動すると、検出用コイル9からの出力信号の信号レベルおよび検出用コイル10からの出力信号の信号レベルが変動する。
【0050】
上述のように、検出用コイル9を構成する導線の一端は、増幅回路26、整流回路27およびレベル調整回路28を介して、MPU29に接続されており、検出用コイル9からの出力信号に基づいて生成されるアナログ状のコイル出力信号SG1がレベル調整回路28からMPU29へ入力される。本形態では、励磁用コイル8が交流磁界を発生させている状態でメダル2が通過路PWを通過すると、コイル出力信号SG1の信号レベルが大きくなるように、メダル識別装置1の回路が構成されている。
【0051】
たとえば、図7(A)に示すように1枚のメダル2が磁気センサ4を通過すると(すなわち、1枚のメダル2が通過路PWを通過すると)、図7(B)に示すように信号レベルが変動するコイル出力信号SG1がMPU29へ入力される。また、たとえば、図7(C)に示すように3枚のメダル2が隙間なく連続で磁気センサ4を通過すると、図7(D)に示すように信号レベルが変動するコイル出力信号SG1がMPU29へ入力される。さらに、たとえば、図8に示すように2枚のメダル2が隙間なく連続で磁気センサ4を通過するとともにその後少し隙間をあけた状態でもう1枚のメダル2が磁気センサ4を通過すると、図8に示すように信号レベルが変動するコイル出力信号SG1がMPU29へ入力される。
【0052】
同様に、検出用コイル10を構成する導線の一端は、増幅回路31、整流回路32およびレベル調整回路33を介してMPU29に接続されており、検出用コイル10からの出力信号に基づいて生成されるアナログ状のコイル出力信号SG2がレベル調整回路33からMPU29へ入力される。本形態では、励磁用コイル8が交流磁界を発生させている状態でメダル2が通過路PWを通過すると、コイル出力信号SG2の信号レベルが大きくなるように、メダル識別装置1の回路が構成されている。たとえば、図8に示すように2枚のメダル2が隙間なく連続で磁気センサ4を通過するとともにその後少し隙間をあけた状態でもう1枚のメダル2が磁気センサ4を通過すると、図8に示すように信号レベルが変動するコイル出力信号SG2がMPU29へ入力される。
【0053】
また、上述のように、凸部12a、13aの右端面と凸部12b、13bの左端面との左右方向の距離L1は、通過路PWの左右方向の幅と等しくなっており、検出用コイル9は、凸部13a〜13cの上下両面、凸部13aの右端面および凸部13bの左端面を覆うように、ボビン21を介して凸部13a〜13cに巻回されている。そのため、検出用コイル9からの出力信号に基づくコイル出力信号SG1の信号レベルは、通過路PWを通過するメダル2の材質、厚みおよび外径の影響によって変動する。
【0054】
一方、凸部12c、13cは、凸部12a、13aと凸部12b、13bとの間に配置されるとともに、左右方向における通過路PWのどの位置をメダル2が通過しても、前後方向から見たときに、凸部12c、13cの全体がメダル2と重なるように形成され配置されており、検出用コイル10は、凸部13cに巻回されている。そのため、検出用コイル10からの出力信号に基づくコイル出力信号SG2の信号レベルは、主として、通過路PWを通過するメダル2の材質および厚みの影響によって変動する。
【0055】
ここで、コイル出力信号SG1の信号レベルは、図8のE部に示すように、メダル識別装置1の周囲温度の変動等の影響によって変動することがある。本形態では、メダル識別装置1の周囲温度の変動等が生じても、コイル出力信号SG1の信号レベルがMPU29での測定可能範囲から外れてしまうのを防止するため、光学式センサ5がメダル2を検出する前の待機時(すなわち、メダル投入口からメダル2が投入される前の待機時)のコイル出力信号SG1の信号レベルが所定の範囲内に収まるように、コイル出力信号SG1の信号レベルが定期的に調整されている。具体的には、コイル出力信号SG1の信号レベルに基づいてMPU29から出力されレベル調整回路28に入力されるレベル調整信号に基づいて、レベル調整回路28が、待機時のコイル出力信号SG1の信号レベルを定期的に調整している。
【0056】
同様に、コイル出力信号SG2の信号レベルは、図8のF部に示すように、メダル識別装置1の周囲温度の変動等の影響によって変動することがある。本形態では、メダル識別装置1の周囲温度の変動等が生じても、コイル出力信号SG2の信号レベルがMPU29での測定可能範囲から外れてしまうのを防止するため、待機時のコイル出力信号SG2の信号レベルが所定の範囲内に収まるように、コイル出力信号SG2の信号レベルが定期的に調整されている。具体的には、コイル出力信号SG2の信号レベルに基づいてMPU29から出力されレベル調整回路33に入力されるレベル調整信号に基づいて、レベル調整回路33が、待機時のコイル出力信号SG2の信号レベルを定期的に調整している。本形態のレベル調整回路28、33は、待機時のコイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが所定の範囲内に収まるように、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルを調整するレベル調整部である。
【0057】
レベル調整回路28、33によるコイル出力信号SG1、SG2の信号レベルの定期的な調整は、光学式センサ5がメダル2を検出すると停止される。すなわち、図8に示すように、光学式センサ5がメダル2を検出すると、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルのレベル調整ステータスは、「Hi」から「Lo」へ切り替わる。本形態では、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルの調整タイミングを算出するためのタイマーをMPU29が備えており、MPU29が、このタイマーを停止させることで、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルの定期的な調整を停止させる。
【0058】
また、メダル2の識別完了時から所定時間が経過すると、MPU29は、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルの定期的な調整を再開させる。すなわち、図8に示すように、メダル2の識別完了時から所定時間が経過すると、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルのレベル調整ステータスは、「Lo」から「Hi」へ切り替わる。具体的には、後述のように、通過路PWを通過するメダル2が正規のものであるか否かを識別した後、所定の時間T10が経過し、かつ、センサ出力信号SG11の信号レベルが「Lo」であると(すなわち、光学式センサ5がメダル2を検出していないと)、MPU29は、タイマーを再起動させて、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルの定期的な調整を再開させる。なお、通過路PWを通過するメダル2が正規のものであるか否かを識別した後、所定の時間T10が経過しても、時間T10が経過する間に後述の識別ステータスのレベルの切替えが行われている場合には、MPU29は、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルの定期的な調整を再開させない。
【0059】
また、本形態では、MPU29は、コイル出力信号SG1の信号レベルが所定の閾値th以上となっているときに、コイル出力信号SG1、SG2の信号値を取得する。具体的には、まず、コンパレータ35が、レベル調整回路28から入力されるコイル出力信号SG1の信号レベルと閾値thとを比較し、比較結果に基づくデジタル状の出力信号(比較出力信号)SG5をMPU29へ出力する。より具体的には、コンパレータ35は、コイル出力信号SG1の信号レベルが閾値th以上となっているときの信号レベルが「Hi」となり、コイル出力信号SG1の信号レベルが閾値th未満となっているときの信号レベルが「Lo」となる比較出力信号SG5を出力する。たとえば、コンパレータ35は、図8に示すように信号レベルが変動する比較出力信号SG5を出力する。また、MPU29は、入力される比較出力信号SG5の信号レベルが「Hi」となっているときの範囲T内のコイル出力信号SG1、SG2の信号値を取得する。
【0060】
このように、コンパレータ35は、MPU29におけるコイル出力信号SG1、SG2の信号値の取得範囲(サンプリング範囲)を決めるための機能を果たしている。本形態のコンパレータ35は、コイル出力信号SG1の信号レベルと閾値thとを比較する比較部である。
【0061】
閾値thは、たとえば、図7(C)に示すように複数のメダル2が隙間なく連続で磁気センサ4を通過する場合であっても、図7(D)に示すように、複数のメダル2のそれぞれが磁気センサ4を通過するごとにコイル出力信号SG1の信号レベルが閾値thを横切るように設定されている。すなわち、隙間なく連続で磁気センサ4を通過する複数のメダル2のうちの1枚のメダル2の中心が磁気センサ4の中心を通過した後、次のメダル2の中心が磁気センサ4の中心を通過するまでの間に、コイル出力信号SG1の信号レベルが閾値thよりも低くなるように、閾値thが設定されている。
【0062】
MPU29は、光学式センサ5がメダル2を検出したときのコイル出力信号SG1の信号レベルである基準信号値BL1と、磁気センサ4をメダル2が通過するときのコイル出力信号SG1のピーク値(最大値)PL1との差ΔL1、および、光学式センサ5がメダル2を検出したときのコイル出力信号SG2の信号レベルである基準信号値BL2と、磁気センサ4をメダル2が通過するときのコイル出力信号SG2のピーク値(最大値)PL2との差ΔL2とに基づいて、通過路PWを通過するメダル2が正規のものであるか否かを識別する。
【0063】
具体的には、MPU29は、所定の上限値UL1と下限値LL1との間に差ΔL1があり、かつ、所定の上限値UL2と下限値LL2との間に差ΔL2がある場合に、通過路PWを通過するメダル2が正規のものであると判断し、上限値UL1と下限値LL1との間から差ΔL1が外れていたり、上限値UL2と下限値LL2との間から差ΔL2が外れていたりする場合に、通過路PWを通過するメダル2が正規のものではないと判断する。なお、上限値UL1および下限値LL1は、基準信号値BL1を基準に規定され、上限値UL2および下限値LL2は、基準信号値BL2を基準に規定されている。
【0064】
本形態では、MPU29は、差ΔL1、ΔL2を算出するために、基準信号値BL1および基準信号値BL2を記憶している。また、MPU29は、メダル2の識別完了時から所定時間が経過するまで、記憶した基準信号値BL1、BL2を保持する。具体的には、MPU29は、比較出力信号SG5に基づくコイル出力信号SG1、SG2の信号値の取得が終了し、取得された信号値から差ΔL1、ΔL2を算出して、通過路PWを通過するメダル2が正規のものであるか否かを識別した後、所定の時間T10が経過するまで、記憶した基準信号値BL1、BL2を保持する。すなわち、MPU29は、図8に示すように、比較出力信号SG5に基づくコイル出力信号SG1、SG2の信号値の取得を開始してから、取得された信号値に基づいて差ΔL1、ΔL2を算出し、通過路PWを通過するメダル2が正規のものであるか否かを識別し終わるまでの間「Hi」となっている識別ステータスが「Lo」へ切り替わってから時間T10が経過するまで、記憶した基準信号値BL1、BL2を保持する。
【0065】
なお、比較出力信号SG5に基づくコイル出力信号SG1、SG2の信号値の取得が終了し、取得された信号値から差ΔL1、ΔL2を算出して、通過路PWを通過するメダル2が正規のものであるか否かを識別した後、所定の時間T10が経過した後であっても、時間T10が経過する間に識別ステータスのレベルの切替えが行われている場合、および、センサ出力信号SG11の信号レベルが「Hi」である場合の少なくともいずれか一方の場合には、MPU29は、記憶した基準信号値BL1、BL2をさらに保持する。
【0066】
また、MPU29は、保持している基準信号値BL1、BL2に基づいて、差ΔL1、ΔL2を算出し、通過路PWを通過するメダル2が正規のものであるか否かを識別する。そのため、たとえば、図7(C)に示すように3枚のメダル2が隙間なく連続で磁気センサ4を通過する場合には、MPU29は、光学式センサ5が1枚目のメダル2を検出したときに記憶された基準信号値BL1、BL2と、3枚のメダル2のそれぞれが磁気センサ4を通過するときのピーク値PL1、PL2との差ΔL1、ΔL2に基づいて、3枚のメダル2のそれぞれが正規のものであるか否かを識別する。
【0067】
(シャッターの開閉タイミング等)
図9は、図8に示すコイル出力信号SG1、SG2の信号レベルの調整タイミングを算出するためのタイマーの停止、再起動タイミングおよび図1に示すシャッター7の開閉タイミングを説明するためのフローチャートである。
【0068】
メダル識別装置1では、MPU29は、一定周期で定期的に、待機時のコイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが調整中であるか否かを判断する(ステップS1)。ステップS1において、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが調整中でない場合には、MPU29は、光学式センサ5がメダル2を検出しているか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、MPU29は、センサ出力信号SG11の信号レベルが「Hi」であるか否かを判断する。一方、ステップS1において、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが調整中である場合には、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルの調整が終了してからステップS2へ進む。
【0069】
ステップS2において、光学式センサ5がメダル2を検出しており、センサ出力信号SG11の信号レベルが「Hi」である場合には、MPU29は、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルの調整タイミングを算出するためのタイマーを停止させる(ステップS3)。このタイマーが停止している間は、MPU29からレベル調整回路28、33へ向かってレベル調整信号が出力されることはない。その後、メダルガイド6の、メダル2が通過する箇所を閉鎖していたシャッター7が開放されて、磁気センサ4へ向かってメダル2が通過可能な状態となる(ステップS4)。その後、MPU29は、待機時のコイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが調整中であるか否かの次の判断タイミングになったか否かを判断する(ステップS5)。
【0070】
ステップS5において、待機時のコイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが調整中であるか否かの次の判断タイミングになっている場合には、ステップS1へ進む。一方、ステップS5において、待機時のコイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが調整中であるか否かの次の判断タイミングになっていない場合には、次の判断タイミングになってからステップS1へ進む。
【0071】
また、ステップS2において、光学式センサ5がメダル2を検出しておらず、センサ出力信号SG11の信号レベルが「Lo」である場合には、MPU29は、識別ステータスが「Hi」であるか否かを判断する(ステップS6)。ステップS6において、識別ステータスが「Hi」である場合には、ステップS5へ進む。一方、ステップS6において、識別ステータスが「Lo」である場合には、MPU29は、識別ステータスが「Lo」へ切り替わってから時間T10が経過しているか否かを判断する(ステップS7)。
【0072】
ステップS7において、時間T10が経過していない場合には、ステップS5へ進む。一方、ステップS7において、時間T10が経過している場合には、メダルガイド6の、メダル2が通過する箇所を開放していたシャッター7が閉鎖されて、磁気センサ4へ向かってメダル2が通過できない状態となる(ステップS8)。その後、MPU29は、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルの調整タイミングを算出するためのタイマーを再起動させてから(ステップS9)、ステップS5へ進む。
【0073】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、たとえば、図7(C)に示すように3枚のメダル2が隙間なく連続で磁気センサ4を通過する場合、MPU29は、光学式センサ5が1枚目のメダル2を検出したときに記憶された基準信号値BL1と、3枚のメダル2のそれぞれが磁気センサ4を通過するときのピーク値PL1との差ΔL1に基づいて、3枚のメダル2のそれぞれが正規のものであるか否かを識別している。そのため、本形態では、たとえば、3枚のメダル2が隙間なく連続で通過して、図7(D)に示すように、ピーク値PL1から下降していくコイル出力信号SG1の信号レベルが完全に下降する前に再び上昇に転じる場合であっても、光学式センサ5が1枚目のメダル2を検出したときに記憶された基準信号値BL1と、3枚のメダル2のそれぞれが磁気センサ4を通過するときのピーク値PL1との差ΔL1、ΔL2に基づいて、メダル2を適切に識別することが可能になる。すなわち、本形態では、多数のメダル2が隙間なく連続で磁気センサ4を通過する場合であっても、メダル2の真偽を適切に識別することが可能になる。
【0074】
本形態では、基準信号値BL1とピーク値PL1との差ΔL1、および、基準信号値BL2とピーク値PL2との差ΔL2とに基づいて、通過路PWを通過するメダル2が正規のものであるか否かを識別している。そのため、本形態では、メダル識別装置1の周囲温度の変動等の影響によってメダル投入口からメダル2が投入される前のコイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが変動したとしても、MPU29は、この変動分の影響を排除して、メダル2を識別することが可能になる。したがって、本形態では、メダル2の識別精度を高めることが可能になる。
【0075】
本形態では、レベル調整回路28、33は、MPU29から出力されレベル調整回路28、33に入力されるレベル調整信号に基づいて、待機時のコイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが所定の範囲内に収まるように、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルを定期的に調整している。そのため、本形態では、上述のように、メダル識別装置1の周囲温度の変動等が生じても、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルがMPU29での測定可能範囲から外れてしまうのを防止することが可能になる。また、本形態では、レベル調整回路28、33によるコイル出力信号SG1、SG2の信号レベルの定期的な調整は、光学式センサ5がメダル2を検出すると停止されるため、光学式センサ5がメダル2を検出したときのコイル出力信号SG1、SG2の信号レベルである基準信号値BL1、BL2を記憶するMPU29は、安定した基準信号値BL1、BL2を記憶し保持することが可能になる。
【0076】
本形態では、MPU29は、コイル出力信号SG1の信号レベルが閾値th以上となっているときに、コイル出力信号SG1、SG2の信号値を取得している。そのため、本形態では、MPU29で取得される信号値のデータ量を低減することが可能になる。したがって、本形態では、MPU29での処理を簡素化することが可能になるとともに、MPU29での処理を高速化することが可能になる。また、磁気センサ4を通過するメダル2の速度がばらついても、コイル出力信号SG1、SG2のピーク値PL1、PL2を確実に取得することが可能になる。
【0077】
本形態では、閾値thは、たとえば、図7(C)に示すように複数のメダル2が隙間なく連続で磁気センサ4を通過する場合であっても、図7(D)に示すように複数のメダル2のそれぞれが磁気センサ4を通過するごとにコイル出力信号SG1の信号レベルが閾値thを横切るように設定されている。そのため、本形態では、複数のメダル2が隙間なく連続で磁気センサ4を通過する場合であっても、図7(D)に示すように、所定時間おきにメダル2ごとのコイル出力信号SG1の信号値を取得することが可能になる。したがって、本形態では、多数のメダル2が隙間なく連続で磁気センサ4を通過する場合であっても、メダル2の真偽をより適切に識別することが可能になる。
【0078】
本形態では、コイル出力信号SG1の信号レベルが閾値th以上となっているときの信号レベルが「Hi」となり、コイル出力信号SG1の信号レベルが閾値th未満となっているときの信号レベルが「Lo」となる比較出力信号SG5をコンパレータ35がMPU29へ出力するとともに、MPU29は、比較出力信号SG5の信号レベルが「Hi」となっているときの範囲T内のコイル出力信号SG1、SG2の信号値を取得している。そのため、本形態では、MPU29で、コイル出力信号SG1の信号レベルが閾値th以上となっているか否かが判断される場合と比較して、MPU29での処理を簡素化することが可能になる。
【0079】
本形態では、凸部12a、13aの右端面と凸部12b、13bの左端面との左右方向の距離L1は、通過路PWの左右方向の幅と等しくなっている。そのため、本形態では、左右方向における通過路PWのどの位置をメダル2が通過しても、メダル2の一部が、凸部12a〜12cと凸部13a〜13cとの間に形成される磁路から外れることがない。したがって、本形態では、左右方向におけるメダル2の通過位置に起因するコイル出力信号SG1の信号レベルの変動を抑制することが可能になる。その結果、本形態では、メダル2の外径の識別精度を高めることが可能になる。
【0080】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0081】
上述した形態では、待機時のコイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが所定の範囲内に収まるように、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが定期的に調整されている。この他にもたとえば、周囲温度の変動等が少ない環境でメダル識別装置1が使用されるのであれば、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが定期的に調整されなくても良い。
【0082】
上述した形態では、励磁用コイル8が交流磁界を発生させている状態でメダル2が通過路PWを通過したときに、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが大きくなるように、メダル識別装置1の回路が構成されている。この他にもたとえば、励磁用コイル8が交流磁界を発生させている状態でメダル2が通過路PWを通過したときに、コイル出力信号SG1、SG2の信号レベルが小さくなるように、メダル識別装置1の回路が構成されても良い。この場合には、磁気センサ4をメダル2が通過するときのコイル出力信号SG1のピーク値(最小値)と基準信号値BL1との差、および、磁気センサ4をメダル2が通過するときのコイル出力信号SG2のピーク値(最小値)と基準信号値BL2との差とに基づいて、通過路PWを通過するメダル2が正規のものであるか否かが識別される。また、この場合には、コイル出力信号SG1の信号レベルが所定の閾値以下となっているときに、コイル出力信号SG1、SG2の信号値が取得される。
【0083】
上述した形態では、コイル出力信号SG1の信号レベルが閾値th以上となっているときの信号レベルが「Hi」となり、コイル出力信号SG1の信号レベルが閾値th未満となっているときの信号レベルが「Lo」となる比較出力信号SG5をコンパレータ35がMPU29へ出力するとともに、MPU29は、比較出力信号SG5の信号レベルが「Hi」となっているときの範囲T内のコイル出力信号SG1、SG2の信号値を取得している。この他にもたとえば、コンパレータ35を設けずに、MPU29で、コイル出力信号SG1の信号レベルが閾値th以上となっているか否かを判断し、その判断結果に基づいて、MPU29がコイル出力信号SG1、SG2の信号値を取得しても良い。
【0084】
上述した形態では、MPU29は、コイル出力信号SG1の信号レベルが所定の閾値th以上となっているときに、コイル出力信号SG1、SG2の信号値を取得している。この他にもたとえば、MPU29は、コイル出力信号SG1の信号レベルに関係なく、一定のサンプリング周期で、コイル出力信号SG1、SG2の信号値を取得しても良い。
【0085】
上述した形態では、磁気センサ4は、2個の検出用コイル9、10を備えている。この他にもたとえば、磁気センサ4が備える検出用コイルの数は、1個であっても良いし、3個以上であっても良い。この場合には、検出用コイルの数に応じて、第2コア13に凸部が形成されれば良い。
【0086】
上述した形態では、光学式センサ5によって、メダル投入口からメダル2が投入されたことが検出されている。この他にもたとえば、光学式センサ5に代えて、接点スイッチ等を有する機械式のセンサ、磁気センサまたは静電容量センサ等の他のセンサによって、メダル投入口からメダル2が投入されたことが検出されても良い。
【0087】
上述した形態では、スロットマシンで使用されるメダル2を識別するためのメダル識別装置1を例に、本発明のコイン状被検出体識別装置の実施例を説明しているが、本発明が適用されるコイン状被検出体識別装置は、たとえば、ゲーム機で使用されるメダル等の他のコイン状の被検出体を識別するための装置であっても良い
【符号の説明】
【0088】
1 メダル識別装置(コイン状被検出体識別装置)
2 メダル(被検出体)
4 磁気センサ(第1センサ)
5 光学式センサ(第2センサ)
8 励磁用コイル
9、10 検出用コイル
12 第1コア
12a、12b、12c 凸部(励磁側凸部)
13 第2コア
13a、13b、13c 凸部(検出側凸部)
28、33 レベル調整回路(レベル調整部)
29 MPU(制御部)
35 コンパレータ(比較部)
BL1、BL2 基準信号値
PL1、PL2 ピーク値
PW 通過路
SG1、SG2 コイル出力信号
th 閾値
X 直交方向
X1 第1方向
X2 第2方向
Y 被検出体の厚み方向
Z 被検出体の通過方向
ΔL1、ΔL2 ピーク値と基準信号値との差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9