特許第6100558号(P6100558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100558
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】車両用ドア
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/17 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   B60J1/17 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-37539(P2013-37539)
(22)【出願日】2013年2月27日
(65)【公開番号】特開2014-162435(P2014-162435A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077780
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 泰甫
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】中川 勝則
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−211964(JP,A)
【文献】 実公昭46−026007(JP,Y1)
【文献】 実開昭55−056714(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/17
B62D 65/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能に下降してドア本体の内部空間に収納されるウィンドガラスと、上下方向に延びて上記内部空間に収容されると共に上記ドア本体に締結具により取り付けられ、上記ウィンドガラスが所定姿勢で昇降するようこのウィンドガラスを案内する前、後案内レールとを備え、これら各案内レール、それぞれその長手方向の各部断面がコの字形状となるよう凹溝を有し、その各凹溝の開口が車両の前後方向で互いに対向するよう配置し、上記ウィンドガラスの前、後外縁部をそれぞれ上記各凹溝に摺動可能となるよう嵌入した車両用ドアにおいて、
上記案内レールの底部に、この案内レールの電着塗装用吊り下げ具を掛合させる貫通孔を形成し、その貫通孔を、上記案内レールの長手方向に長い長方形状とし、
昇降途中の上記ウィンドガラスにおける上記外縁部の一部分を上記貫通孔に嵌入可能にすると共に、この嵌入状態で上記ウィンドガラスが、その厚さ方向かつ上記貫通孔の近傍を通る仮想軸心回りに回動可能となるようにしたことを特徴とする車両用ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれに形成された凹溝の開口が互いに対向するよう配置された前、後案内レールの案内により、ウィンドガラスが所定姿勢で昇降するようにした車両用ドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両用ドアには、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、ドアは、昇降可能に下降してドア本体の内部空間に収納されるウィンドガラスと、上下方向に延びて上記内部空間に収容されると共に上記ドア本体に締結具により取り付けられ、上記ウィンドガラスが所定姿勢で昇降するようこのウィンドガラスを案内する前、後案内レールと、上記ウィンドガラスを昇降させるウィンドレギュレータとを備える。上記各案内レールは、それぞれその長手方向の各部断面がコの字形状となるよう形成されて、その各凹溝の開口が車両の前後方向で互いに対向するよう配置される。上記ウィンドガラスの前、後外縁部は、それぞれ上記各凹溝にその長手方向に摺動可能となるよう嵌入される。
【0003】
そして、上記ウィンドレギュレータにより上記ウィンドガラスを上昇させれば、このウィンドガラスにより上記ドア本体の上方に形成されたドアウィンド開口が閉じられる。一方、上記ウィンドレギュレータにより、上記ウィンドガラスを下降させれば、上記ウィンド開口が開かれると共に上記ウィンドガラスはドア本体の内部空間に収納される。
【0004】
ここで、上記前、後案内レールに対する上記ウィンドガラスの組み付け作業は、このウィンドガラスの前、後外縁部を上記前、後案内レールの各凹溝に、その長手方向に摺動可能となるよう嵌入させる、というものである。
【0005】
上記の場合、従来の技術では、後案内レールが前後に移動可能とされており、上記ウィンドガラスの組み付け作業に際しては、まず、上記後案内レールを所定位置から後方に移動させて、前、後案内レールの両凹溝の間を拡げ、この間に上記ウィンドガラスを位置させる。次に、上記後案内レールを前方に移動させて所定位置に戻し、この際、上記ウィンドガラスの前、後外縁部と上記前、後案内レールの両凹溝とを嵌合させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−306885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の技術では、前、後案内レールに対しウィンドガラスを組み付け可能とするため、上記後案内レールを前後に移動可能となるよう構成している。しかし、これでは、ドアの構成が複雑になると共に、上記前、後案内レールへのウィンドガラスの組み付け作業が煩雑となるおそれがある。しかも、上記ドア本体の内部空間は限りある狭い空間であることから、上記後案内レールを前後移動可能にするための空間を確保することや上記後案内レールの移動作業は容易でない。この結果、上記従来の技術の車両用ドアでは、その生産性が低下し、生産コストが高価になるおそれがあって、好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、車両用ドアにおいて、それぞれに形成された凹溝の開口が互いに対向するよう配置された前、後案内レールに対しウィンドガラスを組み付けるための組み付け作業が、簡単な構成で、より容易にできるようにし、もって、車両用ドアの生産性を、より向上させて、その生産コストを安価にできるようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、昇降可能に下降してドア本体2の内部空間8に収納されるウィンドガラス14と、上下方向に延びて上記内部空間8に収容されると共に上記ドア本体2に締結具16により取り付けられ、上記ウィンドガラス14が所定姿勢で昇降するようこのウィンドガラス14を案内する前、後案内レール17,18とを備え、これら各案内レール17,18、それぞれその長手方向の各部断面がコの字形状となるよう凹溝23を有し、その各凹溝23の開口が車両の前後方向で互いに対向するよう配置され、上記ウィンドガラスの前、後外縁部をそれぞれ上記各凹溝23に摺動可能となるよう嵌入した車両用ドアにおいて、
上記案内レール18の底部に、この案内レール18の電着塗装用吊り下げ具31を掛合させる貫通孔30を形成し、その貫通孔30を、上記案内レール18の長手方向に長い長方形状とし、昇降途中の上記ウィンドガラス14における上記外縁部の一部分を上記貫通孔30に嵌入可能にすると共に、この嵌入状態で上記ウィンドガラス14が、その厚さ方向かつ上記貫通孔30の近傍を通る仮想軸心33回りに回動A,B可能となるようにしたことを特徴とする車両用ドアである。
【0010】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0011】
本発明による効果は、次の如くである。
【0012】
請求項1の発明は、昇降可能に下降してドア本体の内部空間に収納されるウィンドガラスと、上下方向に延びて上記内部空間に収容されると共に上記ドア本体に締結具により取り付けられ、上記ウィンドガラスが所定姿勢で昇降するようこのウィンドガラスを案内する前、後案内レールとを備え、これら各案内レール、それぞれその長手方向の各部断面がコの字形状となるよう凹溝を有し、その各凹溝の開口が車両の前後方向で互いに対向するよう配置し、上記ウィンドガラスの前、後外縁部をそれぞれ上記各凹溝に摺動可能となるよう嵌入した車両用ドアにおいて、
上記案内レールの底部に、この案内レールの電着塗装用吊り下げ具を掛合させる貫通孔を形成し、その貫通孔を、上記案内レールの長手方向に長い長方形状とし、 昇降途中の上記ウィンドガラスにおける上記外縁部の一部分を上記貫通孔に嵌入可能にすると共に、この嵌入状態で上記ウィンドガラスが、その厚さ方向かつ上記貫通孔の近傍を通る仮想軸心回りに回動可能となるようにしている。
【0013】
このため、上記前、後案内レールに対し上記ウィンドガラスの組み付け作業をする場合には、まず、上記ドア本体の上方で上記ウィンドガラスを縦長の姿勢にさせ、次に、このウィンドガラスをほぼ平行に下方移動させ、上記前、後案内レールの両凹溝の間に位置させる。
【0014】
次に、上記ウィンドガラスの側面視で、このウィンドガラスを回動させ、このウィンドガラスの一部分を上記貫通孔に嵌入させ、この嵌入状態で、上記ウィンドガラスを上記仮想軸心回りで上方回動させる。これにより、上記ウィンドガラスの前、後外縁部をそれぞれ全体的に上記前、後案内レールの両凹溝に嵌入させて、上記ウィンドガラスを所定姿勢にさせれば、上記ウィンドガラスは上記所定姿勢のままで上記前、後案内レールの両凹溝に案内されて昇降可能とされ、これにより、上記前、後案内レールに対するウィンドガラスの組み付け作業が終る。
【0015】
そして、上記した前、後案内レールに対するウィンドガラスの組み付け作業は、前記したように、案内レールの電着塗装用吊り下げ具を掛合させる貫通孔を利用して達成されることから、この貫通孔を利用した分、上記ウィンドガラスの組み付け作業は、簡単な構成で、より容易にすることができる。
【0016】
しかも、上記した前、後案内レールに対するウィンドガラスの組み付け作業は、上記前、後案内レールをドア本体に取り付けたままで、できることから、上記案内レールを移動させる必要があった従来の技術に比べ、簡単な構成で、より容易にすることができる。
【0017】
よって、車両用ドアの生産性を、より向上させることができて、その生産コストを、より安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ドアの簡略全体側面部分破断図である。
図2図1の部分拡大部分断面図である。
図3図2のIII−III線矢視断面図である。
図4】後案内レールの部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の車両用ドアに関し、それぞれに形成された凹溝の開口が互いに対向するよう配置された前、後案内レールに対しウィンドガラスを組み付けるための組み付け作業が、簡単な構成で、より容易にできるようにし、もって、車両用ドアの生産性を、より向上させて、その生産コストを安価にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0020】
即ち、車両用ドアは、昇降可能に下降してドア本体の内部空間に収納されるウィンドガラスと、上下方向に延びて上記内部空間に収容されると共に上記ドア本体に締結具により取り付けられ、上記ウィンドガラスが所定姿勢で昇降するようこのウィンドガラスを案内する前、後案内レールとを備える。これら各案内レールは、それぞれその長手方向の各部断面がコの字形状となるよう形成されて、その各凹溝の開口が車両の前後方向で互いに対向するよう配置される。上記ウィンドガラスの前、後外縁部はそれぞれ上記各凹溝に摺動可能となるよう嵌入される。
【0021】
上記案内レールの底部に、この案内レールの電着塗装用吊り下げ具を掛合させる貫通孔が形成される。昇降途中の上記ウィンドガラスにおける上記外縁部の一部分が上記貫通孔に嵌入可能にされると共に、この嵌入状態で上記ウィンドガラスが、その厚さ方向かつ上記貫通孔の近傍を通る仮想軸心回りに回動可能とされる。
【実施例】
【0022】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0023】
図において、符号1は、自動車で例示される車両用のフロントサイドドアで、矢印Frは、この車両の進行方向の前方を示している。
【0024】
上記ドア1は、その下部を構成するドア本体2と、このドア本体2に支持されるドアウィンド3とを備えている。
【0025】
上記ドア本体2は、車両の幅方向で少し離れて対面する板金製のインナ、アウタパネル6,7を備えている。これら両パネル6,7の前、後部外縁部同士及び下部外縁部同士が互いに結合され、これら両パネル6,7の間に偏平な内部空間8が形成される。ドア1のベルトラインに相当する上記ドア本体2の上端縁部において、上記両パネル6,7の上端縁部間にスリット9が形成され、このスリット9を通し、上記内部空間8が上記ドア本体2の上方に向って開放される。
【0026】
上記ドアウィンド3は、上記ドア本体2に支持され、このドア本体2の上端縁部から上方に向って突設されるウィンドサッシ12と、上記ドア本体2の上端縁部およびウィンドサッシ12により囲まれた空間に形成されるウィンド開口13と、上記内部空間8を通し昇降可能に上昇して、図1中二点鎖線図示のように上記ウィンド開口13を開閉可能に閉じるウィンドガラス14とを備えている。このウィンドガラス14は、上記ウィンド開口13を閉じた状態から下降して上記ウィンド開口13を開くと共に、上記内部空間8に収納されるようになっている。
【0027】
上記ドアウィンド3は、上下方向に互いに平行に延び上記内部空間8に収容されると共に上記ドア本体2のインナパネル6に締結具16により取り付けられる前、後案内レール17,18を備えている。これら各前、後案内レール17,18は、それぞれその長手方向の各部断面がコの字形状となるよう形成された板金製のレールフレーム21と、このレールフレーム21の内面に全体的に面接触するよう圧入され、その長手方向の各部断面がコの字形状となるよう形成されたゴム製で弾性のガラスラン22とを有している。
【0028】
上記前、後案内レール17,18は、その各ガラスラン22の凹溝23の開口が車両の前後方向で互いに対向するよう配置される。上記ウィンドガラス14の前、後外縁部がそれぞれ上記前、後案内レール17,18の各ガラスラン22の凹溝23にその長手方向に沿って摺動可能となるよう嵌入される。そして、この摺動により、上記前、後案内レール17,18は、上記ウィンドガラス14が所定姿勢で昇降するようこのウィンドガラス14を案内する。このウィンドガラス14は、上記所定姿勢で、ドア1の前後方向に長い長方形状をなしている。
【0029】
上記ドアウィンド3は、上記ウィンドガラス14を昇降させるウィンドレギュレータ26を備える。このウィンドレギュレータ26は上記ドア本体2の内部空間8に収容されて上記ドア本体2に支持され、上記ウィンドガラス14は上記ウィンドレギュレータ26に締結具27により取り付けられる。
【0030】
上記後案内レール18の長手方向の中途部における底部に貫通孔30が形成される。この貫通孔30は、上記後案内レール18のレールフレーム21をこれ単独で電着塗装する際に、この電着塗装用の吊り下げ具31を掛合させるものである。上記貫通孔30は、上記後案内レール18の長手方向に長い長方形状とされ、上記後案内レール18のレールフレーム21に形成される外側貫通孔30aと、ガラスラン22に形成される内側貫通孔30bとで形成される。この場合、外側貫通孔30aの開口縁部よりも内側貫通孔30bの開口縁部の方が、この開口縁部の長手方向の全体にわたり貫通孔30の中心側に位置している。
【0031】
上記前、後案内レール17,18に案内された上記ウィンドガラス14の昇降途中において、このウィンドガラス14をその側面視(図1)で回動させれば、このウィンドガラス14における後外縁部の一部分14aである下端部が上記貫通孔30に嵌入可能とされる。また、この嵌入状態で、上記ウィンドガラス14は、その厚さ方向かつ上記貫通孔30の近傍を通る仮想軸心33回りに回動A,B可能とされる。
【0032】
上記構成によれば、案内レール18の底部に、この案内レール18の電着塗装用吊り下げ具31を掛合させる貫通孔30を形成し、
昇降途中の上記ウィンドガラス14における上記外縁部の一部分を上記貫通孔30に嵌入可能にすると共に、この嵌入状態で上記ウィンドガラス14が、その厚さ方向かつ上記貫通孔30の近傍を通る仮想軸心33回りに回動A,B可能となるようにしている。
【0033】
このため、上記ドア本体2の内部空間8に設けられた前、後案内レール17,18に対し上記ウィンドガラス14の組み付け作業をする場合には、まず、図1中一点鎖線で示すように、上記ドア本体2の上方における上記ウィンドサッシ12に隣接するよう上記ウィンドガラス14を配置し、かつ、このウィンドガラス14を縦長の姿勢にさせる。次に、このウィンドガラス14を、ドア本体2のスリット9を通しほぼ平行に下方移動させ、ドア本体2内の内部空間8で上記前、後案内レール17,18の両凹溝23の間に位置させる。
【0034】
次に、図1〜3中実線で示すように、上記ウィンドガラス14の側面視(図1)で、このウィンドガラス14を回動させ、このウィンドガラス14の一部分14aを上記貫通孔30に嵌入させる。この際、上記ウィンドガラス14の一部分14aを上記貫通孔30の開口縁部に仮置きし、もしくは、仮置きすることなく、上記貫通孔30へのウィンドガラス14の一部分14aの嵌入状態で、このウィンドガラス14を前記仮想軸心33回りで上方回動Aさせる。これにより、上記ウィンドガラス14の前、後外縁部をそれぞれ全体的に上記前、後案内レール17,18の両凹溝23に嵌入させて、上記ウィンドガラス14を所定姿勢にさせる。
【0035】
すると、上記ウィンドガラス14は上記所定姿勢のままで上記前、後案内レール17,18の両凹溝23に案内されて上昇可能とされ(図1中二点鎖線)、かつ、下降可能とされる。そして、上記ウィンドガラス14の下端部を上記ウィンドレギュレータ26に締結具27により締結させれば、上記前、後案内レール17,18に対するウィンドガラス14の組み付け作業が終る。
【0036】
なお、上記ウィンドガラス14をドア本体2の内部空間8に挿入し、この内部空間8で上記ウィンドガラス14を回動Aさせて所定姿勢とし、かつ、上記ウィンドレギュレータ26に締結させる各作業は、上記ドア本体2のインナパネル6に形成された不図示の作業孔を通して行われる。
【0037】
そして、上記した前、後案内レール17,18に対するウィンドガラス14の組み付け作業は、前記したように、後案内レール18のレールフレーム21の電着塗装用吊り下げ具31を掛合させる貫通孔30を利用して達成されることから、この貫通孔30を利用した分、上記ウィンドガラス14の組み付け作業は、簡単な構成で、より容易にすることができる。
【0038】
しかも、上記した前、後案内レール17,18に対するウィンドガラス14の組み付け作業は、上記前、後案内レール17,18をドア本体2に取り付けたままで、できることから、上記案内レールを移動させる必要があった従来の技術に比べ、簡単な構成で、より容易にすることができる。
【0039】
よって、車両用ドアの生産性を、より向上させることができて、その生産コストを、より安価にできる。
【0040】
また、前記したように、前、後案内レール17,18は、それぞれ板金製のレールフレーム21と、このレールフレーム21に圧入された弾性のガラスラン22とを有し、上記貫通孔30の開口縁部のうち、上記レールフレーム21に形成される開口縁部よりも、上記ガラスラン22に形成される開口縁部の方が上記貫通孔30の中心側に位置している。
【0041】
このため、上記したウィンドガラス14の組み付け作業において、このウィンドガラス14の一部分14aを上記貫通孔30に嵌入させて上方回動Aさせるとき、上記ウィンドガラス14の一部分14aは、上記後案内レール18の弾性ガラスラン22における貫通孔30の開口縁部に接触する一方、板金製のレールフレーム21における貫通孔30の開口縁部に接触することは防止される。よって、上記ウィンドガラス14の組み付け作業において、このウィンドガラス14の一部分14aが上記板金製のレールフレーム21における貫通孔30の開口縁部に接触することによって損傷させられることは防止され、その分、上記ウィンドガラス14の組み付け作業は円滑、かつ、容易にすることができる。
【0042】
なお、以上は図示の例によるが、上記貫通孔30と共に、もしくは、これに代えて、上記前案内レール17に上記貫通孔30と同作用が生じる貫通孔を形成してもよい。また、上記各構成は車体の後部側壁に設けられるリヤドアに適用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ドア
2 ドア本体
3 ドアウィンド
6 インナパネル
7 アウタパネル
8 内部空間
13 ウィンド開口
14 ウィンドガラス
14a 一部分
16 締結具
17 前案内レール
18 案内レール(後案内レール)
21 レールフレーム
22 ガラスラン
23 凹溝
30 貫通孔
30a 外側貫通孔
30b 内側貫通孔
31 吊り下げ具
33 仮想軸心
A 回動
B 回動
図1
図2
図3
図4