特許第6100566号(P6100566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100566
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】遊技用メダルおよびその判別装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/14 20060101AFI20170313BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20170313BHJP
   G06K 19/04 20060101ALI20170313BHJP
   A63F 5/04 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   G06K7/14 021
   G06K19/06 168
   G06K19/04 070
   A63F5/04 512H
   G06K7/14 034
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-54891(P2013-54891)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-182439(P2014-182439A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】大濱 剛
【審査官】 梅沢 俊
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭49−030306(JP,B1)
【文献】 実開昭53−096939(JP,U)
【文献】 特許第4130991(JP,B2)
【文献】 特開平04−096192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/14
A63F 5/04
G06K 19/04
G06K 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場で使用される遊技用メダルの一方の面に形成され、識別情報として機能するパターンを有するバーコードからなるデータコードと、
当該遊技用メダルの他方の面に形成され、前記データコードを読み取るときのタイミング情報として機能するパターンを有するバーコードからなるクロックコードと
を備え
前記クロックコードは、前記他方の面において第1円形リングが前記遊技用メダルの中心軸と同心上に等間隔に並ぶ第1円形バーコードからなり、
前記データコードは、前記一方の面において第2円形リングが前記中心軸と同心上に並ぶ第2円形バーコードからなる遊技用メダルにおいて、
前記第1円形リングおよび前記第2の円形リングは、凸状のリング部の上端の平坦な反射面と凹状のリング部の下端の平坦な反射面とによって構成され、
前記凸状のリング部と前記凹状のリング部との間には、前記一方の面または前記他方の面から所定角度だけ傾斜した斜面が形成され、
前記凸状のリング部と前記凹状のリング部との間は、前記斜面によって光学的に隔離されている、
ことを特徴とする遊技用メダル。
【請求項2】
遊技場で使用される遊技用メダルの一方の面に形成され、識別情報として機能するパターンを有するバーコードからなるデータコードと、
当該遊技用メダルの他方の面に形成され、前記データコードを読み取るときのタイミング情報として機能するパターンを有するバーコードからなるクロックコードと
を備え、
前記クロックコードは、前記他方の面において第1円形リングが前記遊技用メダルの中心軸と同心上に等間隔に並ぶ第1円形バーコードからなり、
前記データコードは、前記一方の面において第2円形リングが前記中心軸と同心上に並ぶ第2円形バーコードからなる遊技用メダルにおいて、
前記第1円形リングおよび前記第2の円形リングは、表面が滑らかな光沢面と表面が粗い粗面とによって構成されている、
ことを特徴とする遊技用メダル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の遊技用メダルを判別する判別装置であって、
前記遊技用メダルの搬送経路に沿う位置に配置され、前記クロックコードまたは前記データコードのうちのいずれか一方を読み取る第1読取部と、
前記搬送経路を挟んで前記第1読取部と対向する位置に配置され、前記クロックコードまたは前記データコードのうちの他方を読み取る第2読取部と、
前記第1読取部または前記第2読取部のいずれかで読み取られた前記データコードに基づいて、前記遊技用メダルを識別するメダル識別部と
を備えている判別装置。
【請求項4】
前記第1読取部が前記クロックコードまたは前記データコードのうちのいずれか一方を読み取ったことにより生成される第1読取データと、前記第2読取部が前記クロックコードまたは前記データコードのうちの他方を読み取ったことにより生成される第2読取データとを比較することにより、いずれか一方が前記クロックコードであり、他方が前記データコードであるかを判別するバーコード間判別部をさらに備えている、
請求項に記載の判別装置。
【請求項5】
記第1読取部または前記第2読取部は、前記遊技用メダルの進行時に前記第2円形バーコードからなる前記データコードを2回読み取り、
前記メダル識別部は、前記第1読取部または前記第2読取部が前記データコードを読み取ることによって生成された2回の読取データを照合する、
請求項またはに記載の判別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技用メダルおよびその判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチスロなどの遊技機に使用される遊技用メダルとして、自店舗用のメダルであるか否かを判別するために、特許文献1に記載されているような識別用の円形バーコードを有するメダルがある。
【0003】
識別用の円形バーコードは、自店舗用のメダルであることを示す固有のパターンを有しており、メダルの両面にそれぞれ形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4130991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような遊戯用メダルの識別用の円形バーコードを読取装置によって読み取る際に、読取装置内でメダルを搬送する搬送ベルトとメダルとの間で滑りが生じるなどの種々の原因でメダルの搬送速度が変動することによって、円形バーコードを正確に読み取ることができないおそれがあり、その結果、バーコードの読取りの信頼性を維持できないないおそれがある。例えば、円形バーコードのうち、「0」を示す円形リングの幅が「1」を示す円形リングの幅よりも狭い場合であっても、読取装置が当該「0」を示す円形リングを読み取る時にメダルの搬送速度が遅くなれば、「0」を示す円形リングを読み取る時間が延びることによって「1」を示す円形リングであると間違って読み取ってしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、メダルの搬送速度が変動しても識別用のバーコードを正確に読み取ることが可能な遊技用メダルおよびその判別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのものとして、本発明の請求項1に係る遊技用メダルは、遊技場で使用される遊技用メダルの一方の面に形成され、識別情報として機能するパターンを有するバーコードからなるデータコードと、当該遊技用メダルの他方の面に形成され、前記データコードを読み取るときのタイミング情報として機能するパターンを有するバーコードからなるクロックコードとを備え、前記クロックコードは、前記他方の面において第1円形リングが前記遊技用メダルの中心軸と同心上に等間隔に並ぶ第1円形バーコードからなり、前記データコードは、前記一方の面において第2円形リングが前記中心軸と同心上に並ぶ第2円形バーコードからなる遊技用メダルにおいて、前記第1円形リングおよび前記第2の円形リングは、凸状のリング部の上端の平坦な反射面と凹状のリング部の下端の平坦な反射面とによって構成され、前記凸状のリング部と前記凹状のリング部との間には、前記一方の面または前記他方の面から所定角度だけ傾斜した斜面が形成され、前記凸状のリング部と前記凹状のリング部との間は、前記斜面によって光学的に隔離されていることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、遊技用メダルを識別するためのバーコードであるデータコードが遊技用メダルの一方の面に形成され、当該データコードを読み取る時のタイミングを取ることが可能なバーコードであるクロックコードが遊技用メダルの他方の面に形成されている。これにより、クロックコードを読み取ることに同期させながら、遊技用メダルを識別するためのデータコードを読み取ることが可能になる。したがって、識別用のデータコードを読み取る時にメダルの搬送速度が変動しても、データコードと同時に読み取られるクロックコードに基づいて、搬送速度の変動分を補正することが可能になり、その結果、識別用のデータコードを正確に読み取ることが可能になる。
【0010】
また、上記の構成によれば、クロックコードとして、第1円形リングがメダルの前記他方の面にメダル1の中心軸の同心上に等間隔に並ぶ第1円形バーコードが形成され、データコードとして、メダルの前記一方の面に前記中心軸と同心上に第2円形リングがメダルの中心軸の同心上に並ぶことにより識別情報として機能するパターンが形成された第2円形バーコードが形成されている。これにより、第1円形バーコードにおけるメダル1の中心軸の同心上に等間隔に並ぶ第1円形リングを読み取ることに同期させながら、遊技用メダルを識別するための第2円形バーコードを読み取ることが可能になる。したがって、識別用の第2円形バーコードを読み取る時にメダルの搬送速度が変動しても、第2円形バーコードと同時に読み取られる第1円形バーコードに基づいて、搬送速度の変動分を補正することが可能になり、その結果、識別用の第2円形バーコードを正確に読み取ることが可能になる。しかも、クロックコードおよびデータコードとして円形バーコードを用いているので、読取時のメダルが周方向の角度においていずれの角度を向いていても、これらクロックコードおよびデータコードを正確に読み取ることが可能である。
【0012】
さらに、上記の構成によれば、プレス加工などによって遊技用メダルの表面に凹凸を付与することによってクロックコードおよびデータコードが形成されるので、識別情報を有する遊技用メダルを安価に製造することが可能になる。
しかも、第1円形リングおよび第2の円形リングは、凸状のリング部の上端の平坦な反射面と凹状のリング部の下端の平坦な反射面とによって構成されている。これら凸状のリング部と凹状のリング部との間には、一方の面または他方の面から所定角度だけ傾斜した斜面が形成されている。凸状のリング部と凹状のリング部との間は、この斜面によって光学的に隔離されている。
本発明の請求項2に係る遊技用メダルは、遊技場で使用される遊技用メダルの一方の面に形成され、識別情報として機能するパターンを有するバーコードからなるデータコードと、当該遊技用メダルの他方の面に形成され、前記データコードを読み取るときのタイミング情報として機能するパターンを有するバーコードからなるクロックコードとを備え、 前記クロックコードは、前記他方の面において第1円形リングが前記遊技用メダルの中心軸と同心上に等間隔に並ぶ第1円形バーコードからなり、前記データコードは、前記一方の面において第2円形リングが前記中心軸と同心上に並ぶ第2円形バーコードからなる遊技用メダルにおいて、前記第1円形リングおよび前記第2の円形リングは、表面が滑らかな光沢面と表面が粗い粗面とによって構成されていることを特徴とする。この特徴では、光沢面および粗面における反射光の強度が異なるので、これら光沢面と粗面の光学的な違いを利用して、円形バーコードを構成することが可能であり、当該円形バーコードによってデータコードおよびクロックコードを構成することが可能である。
【0013】
本発明の判別装置は、上記の遊技用メダルを判別する判別装置であって、前記遊技用メダルの搬送経路に沿う位置に配置され、前記クロックコードまたは前記データコードのうちのいずれか一方を読み取る第1読取部と、前記搬送経路を挟んで前記第1読取部と対向する位置に配置され、前記クロックコードまたは前記データコードのうちの他方を読み取る第2読取部と、前記第1読取部または前記第2読取部のいずれかで読み取られた前記データコードに基づいて、前記遊技用メダルを識別するメダル識別部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、遊技用メダルの搬送経路を挟んで対向する位置にそれぞれ配置された2つの読取部、すなわち第1読取部および第2読取部によって遊技用メダル両面に形成されたクロックコードおよびデータコードが同時に読み取られ、メダル識別部によって、データコードに基づいて遊技用メダルが真正であるか否かを識別することが可能である。その結果、真正でないメダルを排除することが可能である。しかも、第1読取部および第2読取部によってクロックコードおよびデータコードが同時に読み取られるので、データコードと同時に読み取られるクロックコードに基づいて、搬送速度の変動分を補正することが可能になり、その結果、識別用のデータコードを正確に読み取ることが可能になる。
【0015】
また、前記第1読取部が前記クロックコードまたは前記データコードのうちのいずれか一方を読み取ったことにより生成される第1読取データと、前記第2読取部が前記クロックコードまたは前記データコードのうちの他方を読み取ったことにより生成される第2読取データとを比較することにより、いずれか一方が前記クロックコードであり、他方が前記データコードであるかを判別するバーコード間判別部をさらに備えているのが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、遊技用メダルが表裏いずれの向きで搬送経路を搬送される場合であっても、バーコード間判別部によって、いずれか一方がクロックコードであり、他方がデータコードであるかを判別することが可能である。具体的には、第1読取部によって読み取られたクロックコードまたはデータコードの一方によって生成された第1読取データと、第2読取部によって読み取られたクロックコードまたはデータコードの他方によって生成された第2読取データとをバーコード間判別部で比較することによって、いずれか一方がクロックコードであり、他方がデータコードであるかを判別することが可能である。
【0017】
また、前記第1読取部または前記第2読取部は、前記遊技用メダルの進行時に前記第2円形バーコードからなる前記データコードを2回読み取り、前記メダル識別部は、前記第1読取部または前記第2読取部が前記データコードを読み取ることによって生成された2回の読取データを照合するのが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、第1読取部または第2読取部が遊技用メダルの進行時に第2円形バーコードからなるデータコードを2回読み取る場合には、メダル識別部がデータコードの2回の読取データを照合することにより、データコードからの読取データの信頼性を向上させることが可能であり、遊技用メダルの誤った判別を低減することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の遊技用メダルおよびその判別装置によれば、メダルの搬送速度が変動しても識別用のバーコードであるデータコードを正確に読み取ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る遊技用メダルの平面図である。
図2図1の遊技用メダルの背面図である。
図3図1の遊技用メダルの部分断面図である。
図4】本発明の実施形態の係る判別装置の内部構成を示す説明図である。
図5図4の判別装置内の搬送路をメダルが進行する状態を示す平面図である。
図6図4の判別装置による遊技用メダルのクロックコードおよびデータコードの読取りを説明するための図であって、(a)は図1の遊技用メダルの断面図、(b)は(a)のメダルから得られたクロック面出力波形、(c)は(a)のメダルから得られたデータ面出力波形である。
図7】(a)は図1の遊技用メダルのクロックコードの読取りによって得られるクロック面出力波形、(b)は図1の遊技用メダルのデータコードの読取りによって得られるデータ面出力波形である。
図8図4の判別装置を用いたメダルの判別方法の手順を示すフローチャートである。
図9】本発明の他の実施形態に係る遊技用メダルの断面説明図である。
図10】本発明のさらに他の実施形態に係る遊技用メダルの断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜3に示される遊技用メダル1(以下、メダル1という)は、遊技場で使用されるメダルであって、パチスロなどの回胴式の遊技機に投入して使用されるメダルである。
【0022】
メダル1は、円板状の部材からなり、一方の面、すなわちクロック面2には、円形バーコードからなるクロックコード4が設けられ、他方の面、すなわちデータ面3には、円形バーコードからなるデータコード5が設けられている。
【0023】
クロックコード4は、データコード5を読み取るときのタイミング情報として機能するパターン(例えば、図7(a)に示されるような「1010101010」)を有する円形バーコード(第1円形バーコード)からなる。クロックコード4は、クロック面2において、複数の第1円形リング6a、7aがメダル1の中心軸の同心上に等間隔に並ぶことにより形成されている。具体的には、クロック面2において、プレス加工などによって、複数の凸状のリング部6と凹状のリング部7とが交互に形成されている。凸状のリング部6と凹状のリング部7との間には、それぞれ水平面から所定角度(例えば60度程度)だけ傾斜した斜面8が形成されている。凸状のリング部6は、その上端において、平坦な光沢面からなる反射面6aを有している。また、凹状のリング部6は、その下端において、平坦な光沢面からなる反射面7aを有している。これらの反射面6aおよび7aは、メダル1が水平に置かれた状態で上下から垂直方向に向けて光が当てられたときに垂直方向にそれぞれ光を反射させることが可能な部分であり、光学的に読み取り可能な第1円形リング6a、7aを構成する。第1円形リング6a、7aの間は、斜面8を挟んだ状態で離間しており、これらの間は光学的に隔離されている。第1円形リング6aは、第1円形リング7aよりも幅が広くなるように設定されている。
【0024】
図6(a)、(b)に示されるように、幅が広い第1円形リング6aは、「1」のコードに対応し、幅が狭い第1円形リング7aは、「0」のコードに対応している。
【0025】
データコード5は、識別情報として機能するパターン(例えば、図7(b)に示されるような「1010101011」)を有する円形バーコード(第2円形バーコード)からなる。データコード5は、図3および図6(a)に示されるように、データ面3において、第1円形リング6a、7aに対応する半径方向の位置にそれぞれ第2円形リング9a、10aがメダル1の中心軸の同心上に並ぶことにより形成されている。具体的には、第1円形リング6a、7aのそれぞれの幅方向の中点の位置と第2円形リング9a、10aのそれぞれの幅方向の中点の位置とが一致するように、第2円形リング9a、10aは、データ面3に配置される。
【0026】
データコード5も、上記のクロックコード4と同様にメダル1表面の凹凸を利用して形成されている。具体的には、データ面3において、プレス加工などによって、複数の凸状のリング部9および凹状のリング部10が形成されている。凸状のリング部9と凹状のリング部10との間には、それぞれ水平面から所定角度(例えば60度程度)だけ傾斜した斜面11が形成されている。凸状のリング部9は、その上端において、平坦な光沢面からなる反射面9aを有し、また、凹状のリング部9は、その下端において、平坦な光沢面からなる反射面10aを有している。これらの反射面9aおよび10aは、メダル1が水平に置かれた状態で上下から垂直方向に向けて光を当てたときに垂直方向にそれぞれ光を反射させることが可能な部分であり、光学的に読み取り可能な第2円形リング9a、10aを構成する。第2円形リング9a、10aの間は、斜面11を挟んだ状態で離間しており、これらの間は光学的に隔離されている。また、第2円形リング9a、10aは、第1円形リング6a、7aに対応する半径方向の位置にそれぞれ配置されている。第2円形リング9aは、第2円形リング10aよりも幅が広くなるように設定されている。幅が広い第2円形リング10aは、「1」のコードに対応し、幅が狭い第2円形リング10aは、「0」のコードに対応している。
【0027】
ここで、図6(a)、(c)に示されるように、「1」のコードに対応する幅が広い第2円形リング9aが連続する場合には、第2円形リング9aの間には斜面11が介在せずに一連の反射面14を形成する。
【0028】
識別用のデータコード5は、店舗ごとに決められた特定のパターン(例えば、図7(b)に示されるような「1010101011」)になるように設定されている。
【0029】
また、図1〜3のメダル1では、最外周の縁部12とその内側のクロックコード4およびデータコード5とを仕切る溝13が形成されている。これにより、最外周の縁部12の影響を受けることなく、クロックコード4およびデータコード5を正確に読み取ることが可能である。
【0030】
上記のように構成されたメダル1は、図4〜5に示される判別装置21を用いて判別される。
【0031】
判別装置21は、メダルMの両面のクロックコード4およびデータコード5を読み取るための2つの読取部、第1読取部22および第2読取部23と、これら読取部22、23から得られる出力信号が入力されてメダル識別などの処理を行う制御部24と、メダルMが搬送される搬送路25と、搬送機構26とを備えている。搬送路25は、メダルMの直径とほぼ同じ幅で延びており、メダルMは、搬送機構26によって、搬送路25内を進行方向Aに向けて一定速度で搬送される。搬送路M内を搬送されるメダルMは、表裏の向きに関係なく搬送され、すなわち、クロック面2およびデータ面3のいずれか一方が上を向き、他方が下を向いた状態で搬送される。
【0032】
第1読取部22および第2読取部23は、搬送路25の幅方向の中心線に沿う位置であって、搬送路25を挟んで上下に対向する位置に配置されている。これら読取部22および23は、発光部および受光部を有するフォトセンサであり、メダルM両面のクロックコード4およびデータコード5を光学的に読み取ることが可能である。すなわち、メダルMが第1読取部22と第2読取部23との隙間を通過するときには、第1読取部22がクロックコード4またはデータコード5のうちのいずれか一方を読み取り、それと同時に、第2読取部23がクロックコード4またはデータコード5のうちの他方を読み取ることが可能である。
【0033】
例えば、第1読取部22が図6(a)に示されるメダル1の上面、すなわちクロック面2に形成されたクロックコード4を読み取ることによって、図6(b)のクロック面出力波形51を得ることが可能である。
【0034】
具体的には、第1読取部22が幅の広い第1円形リング6aを光の反射によって読み取ったときには、「1」に対応する長さの出力信号51aが得られ、一方、第1読取部22が幅の狭い第1円形リング7aを光の反射によって読み取ったときには、「0」に対応する長さの出力信号51bが得られる。出力信号51a、51bは、同じ出力レベル(図7(a)の出力レベルa2参照)になる。
【0035】
第1円形リング6aと第1円形リング7aとの間の斜面8に光が当たったときには、垂直方向から傾いた方向へ光が反射するので、第1読取部22は光を受け取ることができず、その場合、上記の「1」および「0」対応する出力信号51a、51bよりも低い出力レベル(図7(a)の出力レベルa1参照)の出力信号51cが得られる。
【0036】
出力信号51a、51bおよび51cの長さは、任意に設定されるが、例えば、出力信号51bおよび51cの長さが出力信号51aの長さの半分になるように設定される。
【0037】
なお、クロック面2から得られるクロック面出力波形51には、メダル1の縁部12から反射した光に基づく出力信号51dおよび溝13の底面から反射した光に基づく出力信号51eを含んでいるが、これらの出力信号51dおよび51eは、クロックコード4の読取データに含めないように制御部24で処理される。
【0038】
また、上記の第1読取部22によるクロックコード4の読取りと同時に、第2読取部23が図6(a)に示されるメダル1の下面、すなわち、データ面3に形成されたデータコード5を読み取ることによって、図6(c)のデータ面出力波形52を得ることが可能である。
【0039】
具体的には、第2読取部23が幅の広い第2円形リング9aを光の反射によって読み取ったときには、「1」に対応する長さの出力信号52aが得られ、一方、第2読取部23が幅の狭い第1円形リング10aを光の反射によって読み取ったときには、「0」に対応する長さの出力信号52bが得られる。出力信号52a、52bは、同じ出力レベル(図7(b)の出力レベルb2参照)になる。
【0040】
第2円形リング9aと第2円形リング10aとの間の斜面11に光が当たったときには、垂直方向から傾いた方向へ光が反射するので、第2読取部23は光を受け取ることができず、その場合、上記の「1」および「0」対応する出力信号52a、52bよりも低い出力レベル(図7(b)の出力レベルb1参照)の出力信号52cが得られる。
【0041】
出力信号52a、52bおよび52cの長さは、上記のクロック面出力波形51の出力信号51a、51bおよび51cの長さにそれぞれ対応するように設定される。例えば、出力信号52bおよび52cの長さは、出力信号52aの長さの半分になるように設定される。
【0042】
制御部24は、クロックコード4とデータコード5との判別を行うバーコード間判別部41と、データコード5に基づいてメダル1を識別するメダル識別部42とを備えている。
【0043】
バーコード間判別部41は、第1読取部22がクロックコード4またはデータコード5のうちのいずれか一方を読み取ったことにより生成される第1読取データ(例えば、図7(a)に示されるクロック面出力波形51)と、第2読取部23がクロックコード4またはデータコード5のうちの他方を読み取ったことにより生成される第2読取データ(例えば、図7(b)に示されるデータ面出力波形52)とを比較することにより、いずれか一方がクロックコード4であり、他方がデータコード5であるかを判別する。
【0044】
具体的には、バーコード間判別部41は、以下のようにして、クロックコード4とデータコード5とを判別する。図7(a)に示されるクロック面出力波形51は、「1」に対応する長さの出力信号51aと「0」に対応する長さの出力信号51bが周期的に交互に並ぶ「1010101010」のクロックコード4に対応する出力波形になっている。一方、図7(b)に示されるデータ面出力波形52は、例えば、「1」に対応する長さの出力信号52aと「0」に対応する長さの出力信号52bが途中まで周期的に交互に並ぶが、最後のコードだけ「1」になる「1010101011」のデータコード5に対応する出力波形であったとする。バーコード間判別部41は、2つの出力波形51、52の出力信号を最初から順に比較していき、異なる出力信号を発見したとき(図7(b)のXの範囲)、比較動作を中止し、2つの出力波形のうち出力信号が交互に並ぶ出力波形をクロック面出力波形51であると判定し、残りの出力波形をデータ面出力波形52であると判定する。これによって、バーコード間判別部41は、いずれか一方がクロックコード4であり、他方がデータコード5であるかを判別することが可能になる。
【0045】
メダル識別部42は、第1読取部22または第2読取部23のいずれかで読み取られたデータコード5に基づいてメダル1が真正であるか否かを識別する。例えば、あらかじめ所定の店舗コードなどの基準データコードを制御部24内のメモリなどに記憶しておき、メダル識別部42は、メダル1から読み取られたデータコード5がこの基準コードに一致するか否か判断して、メダル1が真正である(すなわち、正規の自店舗用のメダルである)か否かを識別する。
【0046】
また、メダル識別部42は、データコード5と同時に読み取られるクロックコード4に基づいて、搬送速度の変動分を補正する。例えば、制御部24などには、あらかじめ基準となる基準クロックコード「1010101010」および基準データコード(例えば、「1010101011」)を記憶しておき、メダル識別部42は、読み取られたクロックコード4が上記の基準クロックコード「1010101010」と一致している場合には、読み取られたデータコード5は変動していないとして、補正しない状態のデータコード5をそのまま基準データコードと比較してメダル識別を行う。一方、読み取られたクロックコード4が基準クロックコード「1010101010」に一致しない場合、例えば、「1110101010」の場合には、読み取られたデータコード5は、読み取られたクロックコード4が基準クロックコードと一致していない部分、すなわち、「1110101010」のうちの2番目の「1」の位置で「0」に対応するコードの長さから「1」に対応するコードの長さへ変動したとして、その変動分だけデータコード5の2番目のコードの長さを変動させることにより、データコード5を補正する。この場合、メダル識別部42は、補正されたデータコード5を基準データコードと比較してメダル識別を行う。
【0047】
また、メダル識別部42は、第1読取部22または第2読取部23がメダル1の進行時に円形バーコードからなるデータコード5を2回読み取るときに、第1読取部22または第2読取部23がデータコード5を読み取ることによって生成された2回の読取データを照合する。具体的には、メダルMがこれら読取部22、23の間を通過するときに、読取時の1回目、すなわち、進行方向AにおいてメダルMの始端からメダルMの中心までの間で1群のデータコード5が読み取られ、さらに、読取時の2回目、すなわち、進行方向AにおいてメダルMの中心からメダルMの終端までの間で1群のデータコード5が読み取られる。読取時の1回目と2回目で読み取られたデータコード5は、メダル識別部42で照合され、両者が同じか否か判定する。なお、読取時の2回目で読み取られた1群のデータコード5のコードが並ぶ順番は、読取時の1回目で読み取られた1群のデータコード5のコードが並ぶ順番と逆になるので、メダル識別部42は、読取時の1回目および2回目で読み取られたデータコード5の順番を合わせる処理をし、その後に、両者が同じか否か判定する。これらのデータコード5が同じであるときには、制御部24は、メダルの識別が正常に行なわれたと判断し、一方、これらのデータコード5が異なるときには、メダルの識別が正常に行なわれかったと判断する。
【0048】
搬送機構26は、メダル1を搬送路25に沿って進行方向Aへ一定速度で搬送できる構成を有しており、本発明では種々の構成を採用することが可能である。例えば、図4に示されるように、搬送機構26は、無端ベルト26aと、駆動プーリ26bと、従動プーリ26cとを備えた構成であってもよい。なお、無端ベルト26aは、第1読取部22とメダル1との間を遮らないように、第1読取部22に対して搬送路25の幅方向両側にそれぞれ配置されていればよい。
【0049】
さらに、判別装置21には、搬送路25へメダル1を1枚ずつ供給するホッパ27と、搬送路25の終端まで来たメダル1を判別装置21の外部へ排出する排出部28とを備えている。さらに、メダル識別部42によって真正でないと判別されたメダル1を排除するために、判別装置21は、搬送路25における第1および第2読取部22、23の下流側に形成された開口30が形成されている。さらに、判別装置21は、この開口30を開閉するシャッタ29を備えている。シャッタ29は、図示しないアクチュエータによって開閉される。シャッタ29は、通常は開口30を閉じているが、メダル識別部42によってメダル1が真正でないと判別されたときには、開口30を開けて、メダル1を開口30から搬送路25の下方へ落下させる。開口30から落下した不良メダルは、不良メダル搬送部31によって排出口32へ向けて搬送され、当該排出口32を通して判別装置21の外部へ排出される。
【0050】
また、判別装置21は、搬送路25の上側であって第1読取部22よりも進行方向Aの上流側の位置において、メダル1の通過を検知するタイミングセンサ(通過センサ)33を備えている。タイミングセンサ33は、フォトセンサなどからなる。
【0051】
(判別装置21によるメダル判別方法)
上記のように構成された判別装置21では、搬送路25に沿って搬送されるメダル1を以下のような手順で判別を行う。
【0052】
図8のフローチャートに示されるように、まず、ステップS1において、タイミングセンサ33がメダル1を検知するまで待機する。
【0053】
タイミングセンサ33がメダル1を検知したときには、ステップS2において、搬送路25の上下に配置された第1読取部22および第2読取部23の読取動作を開始する。
【0054】
ついで、ステップS3において、メダル1の上面、下面の波形を読み取る。具体的には、第1読取部22および第2読取部23によって、メダル1の上下両面、すなわち、クロック面2およびデータ面3からクロックコード4およびデータコード5を読み取ることによって、2つの出力波形、すなわち、クロック面出力波形51およびデータ面出力波形52(図6(b)、(c)参照)を収集する(データ収集ステップ)。
【0055】
ついで、ステップS4において、制御部24は、上面、下面の2つの波形、すなわち、クロック面出力波形51およびデータ面出力波形52を基準サイズに補正する(補正ステップ)。ここでいう基準サイズとは、例えば、あらかじめ制御部24に記憶された基準クロックコードの長さまたはメダル全体の長さなどによって設定された長さなどをいう。
【0056】
ついで、ステップS5において、制御部24のバーコード間判別部41は、ステップS4の補正によって得られた2つの出力波形のうち、上面、下面のどちらの出力波形がクロック面出力波形51か、データ面出力波形52かを判定する(データ面判定ステップ)。
【0057】
ついで、ステップS6において、制御部24のメダル識別部42は、データ面出力波形52からコードを識別して識別コード(すなわち、データコード)を求める(識別コード化ステップ)。
【0058】
ついで、ステップS7において、メダル識別部42は、ステップS6で得られた識別コードがあらかじめ制御部24に記憶された基準となる登録店舗コード(すなわち、基準データコード)と一致するか否か判定する(判定ステップ)。
【0059】
上記の判定ステップの後、自店舗用のメダルとそれ以外のメダルの枚数をそれぞれカウントする(計数ステップ)。すなわち、識別コードが登録店舗コードと一致する場合には、メダル1を搬送路25の下流端まで通過させ(ステップS8)、搬送路25の下流側に設けられたカウントセンサ(図示せず)によって自店舗用のメダルの通過枚数をカウントする(ステップS9)。一方、識別コードが登録店舗コードと一致しない場合には、メダル1を搬送路25からリジェクト(排除)させる(ステップS11)。具体的には、図4に示される搬送路25の途中に設けられたシャッタ29を開け、開口30からメダル1を搬送路25から落下させ、不良メダル搬送部31によって排出口32へ向けて搬送させる。このとき、開口30から排出口32へ向かう排出経路に設けられたカウントセンサ(図示せず)によって、自店舗用でないメダルの枚数(リジェクト枚数)をカウントする(ステップS12)。
【0060】
上記の計数ステップが終了し、所定時間が経過した後、上下の読取部22,23の読取動作を終了する(ステップS10)。その後、制御部24は、ステップS1に戻って待機状態になる。
【0061】
(特徴)
(1)
本実施形態のメダル1では、メダル1を識別するためのデータコード5とは別に、当該データコード5を読み取る時のタイミングを取るときに利用することが可能なクロックコード4がメダル1に形成されている。具体的には、メダル1の一方の面であるクロック面2において、第1円形リング6a、7aがメダル1の中心軸の同心上に等間隔に並ぶクロックコード4が形成され、他方の面であるデータ面3において、前記第1円形リングに対応する半径方向の位置にそれぞれ第2円形リング9a、10aがメダル1の中心軸の同心上に並ぶことにより識別情報として機能するパターンのデータコード5が形成されている。これにより、クロックコード4におけるメダル1の中心軸の同心上に等間隔に並ぶ第1円形リングを読み取ることに同期させながら、メダル1を識別するためのデータコード5を読み取ることが可能になる。したがって、識別用のデータコード5を読み取る時にメダルの搬送速度が変動しても、データコード5と同時に読み取られるクロックコード4に基づいて、搬送速度の変動分を補正することが可能になり、その結果、識別用のデータコード5を正確に読み取ることが可能になる。
【0062】
しかも、クロックコード4およびデータコード5として円形バーコードを用いているので、読取時のメダル1が周方向の角度においていずれの角度を向いていても、これらクロックコード4およびデータコード5を判別装置21の上下2つの読取部22、23によって正確に読み取ることが可能である。
【0063】
(2)
本実施形態のメダル1では、プレス加工などによってメダル1の表面に凹凸を付与することによってクロックコード4およびデータコード5が形成されている。そのため、識別情報を有するメダル1を安価に製造することが可能になる。
【0064】
(3)
本実施形態の判別装置21では、メダル1の搬送経路を挟んで対向する位置にそれぞれ配置された2つの読取部、すなわち第1読取部22および第2読取部23によってメダル1両面に形成されたクロックコード4およびデータコード5が同時に読み取られ、メダル識別部42によって、データコード5に基づいてメダル1が真正であるか否かを識別することが可能であり、真正でないメダル、例えば、他店舗のメダルなどを排除することが可能である。このとき、第1読取部22および第2読取部23によってクロックコード4およびデータコード5が同時に読み取られるので、データコード5と同時に読み取られるクロックコード4に基づいて、搬送速度の変動分を補正することが可能になり、その結果、識別用のデータコード5を正確に読み取ることが可能になる。
【0065】
(4)
本実施形態の判別装置21では、メダル1が表裏いずれの向きで搬送経路を搬送される場合であっても、バーコード間判別部によって、いずれか一方がクロックコード4であり、他方がデータコード5であるかを判別することが可能である。具体的には、第1読取部22によって読み取られたクロックコード4またはデータコード5の一方によって生成された第1読取データと、第2読取部23によって読み取られたクロックコード4またはデータコード5の他方によって生成された第2読取データとをバーコード間判別部41で比較することによって、いずれか一方がクロックコード4であり、他方がデータコード5であるかを判別することが可能である。
【0066】
(5)
本実施形態の判別装置21では、データコード5が円形バーコードからなり、第1読取部22または第2読取部23がメダル1の進行時にデータコード5を2回読み取る構成において、メダル識別部42がデータコード5の2回の読取データを照合する。これにより、データコード5からの読取データの信頼性を向上させることが可能であり、メダル1の誤った判別を低減することが可能である。
【0067】
(変形例)
上記実施形態では、クロックコードおよびデータコードとして円形バーコードを例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の形状のバーコードを採用することが可能である。例えば、複数の直線が互いに平行に並ぶ1次元バーコード、または2次元バーコードなども、本発明のクロックコードおよびデータコードとして採用することが可能である。
【0068】
上記実施形態では、メダル識別部42がデータコード5の読取データのうち読取時の前半で読み取られた部分と後半で読み取られた部分とを照合しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、読取データの前半部分または後半部分どちらかが基準データコードと一致していればメダル1が真正であると判定してもよい。
【0069】
上記実施形態では、メダル識別用のデータコード5として、自店舗用のコードを採用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の種類の識別用コードを採用してもよい。例えば、遊技場で価値の異なる複数種類のメダルを使用している場合には、価値ごとに特定のパターンが設定された識別用のデータコードを採用してもよい。これにより、価値の異なるメダルの不正使用を排除することが可能である。
【0070】
また、上記実施形態では、クロックコードおよびデータコードがメダルの表面に形成された凹凸によって構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、バーコードを形成可能な構成であれば種々の構成を採用することが可能である。
【0071】
例えば、本発明の遊技用メダルの変形例として、図9に示されるメダル61では、表面が滑らかな光沢面と表面が粗い粗面とを組み合わせることによってメダル表面に2種類の円形バーコード、すなわち、クロックコード64とデータコード65が形成されている。光沢面は垂直方向から入射した光を垂直方向に反射するので強い反射光が得られ、粗面は光を乱反射するので、弱い反射光しか得られない。このような光学的な性質の違いを利用して、バーコードを構成することが可能である。
【0072】
クロックコード64は、メダル61の一方の面であるクロック面62に形成されている。クロックコード64は、光沢面からなる円形リング66と、粗面からなる円形リング67とを備えている。円形リング66、67は、同心円状に交互に並ぶように等間隔に配置されている。一方、データコード65は、メダル61の他方の面であるクロック面62に形成されている。データコード65は、光沢面からなる円形リング69と、粗面からなる円形リング70とを備え、これらの円形リング69、70によってメダル61を識別するための特定のパターンが構成されている。円形リング69、70は、クロックコード64の円形リング66、67に対応する半径方向の位置にそれぞれがメダル61の中心軸の同心上に並ぶことにより形成されている。
【0073】
このようなメダル61においても、クロックコード64におけるメダル61の中心軸の同心上に等間隔に並ぶ円形リング66、67を読み取ることに同期させながら、メダル1を識別するためのデータコード65を読み取ることが可能になり、その結果、クロックコード64を用いてメダルの搬送速度の変動を補正しながらデータコード65を正確に読み取ることが可能になる。
【0074】
また、本発明の遊技用メダルの他の変形例として、図10に示されるメダル71では、表面が滑らかな光沢面と表面が黒色などの暗色に着色された暗色面とを組み合わせることによってメダル表面に2種類の円形バーコード、すなわち、クロックコード74とデータコード75が形成されている。クロックコード74は、メダル71の一方の面であるクロック面72に形成されている。光沢面は垂直方向から入射した光を垂直方向に反射するので強い反射光が得られ、暗色面は光を吸収するので、弱い反射光しか得られない。このような光学的な性質の違いを利用して、バーコードを構成することが可能である。
【0075】
クロックコード74は、光沢面からなる円形リング76と、暗色面からなる円形リング77とを備えている。円形リング76、77は、同心円状に交互に並ぶように等間隔に配置されている。一方、データコード75は、メダル71の他方の面であるクロック面72に形成されている。データコード75は、光沢面からなる円形リング79と、暗色面からなる円形リング80とを備え、これらの円形リング79、80によってメダル71を識別するための特定のパターンが構成されている。円形リング79、80は、クロックコード74の円形リング76、77に対応する半径方向の位置にそれぞれがメダル71の中心軸の同心上に並ぶことにより形成されている。
【0076】
このようなメダル71においても、クロックコード74におけるメダル71の中心軸の同心上に等間隔に並ぶ円形リング76、77を読み取ることに同期させながら、メダル71を識別するためのデータコード75を読み取ることが可能になり、その結果、クロックコード74を用いてメダルの搬送速度の変動を補正しながらデータコード75を正確に読み取ることが可能になる。
【符号の説明】
【0077】
1 メダル
2 クロック面
3 データ面
4 クロックコード(第1円形バーコード)
5 データコード(第2円形バーコード)
6 凸部
6a 第1円形リング(反射面)
7 凹部
7a 第1円形リング(反射面)
8 斜面
9 凸部
9a 第2円形リング(反射面)
10 凹部
10a 第2円形リング(反射面)
11 斜面
21 判別装置
22 第1読取部
23 第2読取部
24 制御部
41 バーコード間判別部
42 メダル識別部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10